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バイロイト音楽祭 「神々の黄昏」 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト音楽祭で人生最初に鑑賞することになったのが、「ニュルンベルグの指環」の最終章の「神々の黄昏」。

事が決まって渡欧するまで、ほとんど時間がなかったので、予習素材としてDG/UNITELから出ている1980年のバイロイト音楽祭のDVDで1回さらっただけであった。

もともと指環(リング)って、神話のお話なのであるから、この予習素材は、それ相応の時代考証での舞台芸術、衣装で、好感の持てる、いわゆる保守的・伝統的な路線の演出だった。自分にとっては、とても受容的な演出だった。

オペラって、演出、舞台装置、衣装、演技、歌手の声などによる総合芸術と、よく言われるけれど、オペラを鑑賞するたびに都度思うのは、やはり演出の占める割合が、その公演の大部分の印象を決めてしまうんではないかな、ということ。

筋書は常に不変、そして作曲家ワーグナーがこの楽劇で何を伝えようとしたいのか、は固定で不変のはず。そして、なによりも音楽が不変。

でも演出家がそれをどのように表現して、あるいは読み替えたりして、どう舞台表現していくのか、の出来具合で、その作曲家の意図が歪めれられたり、観客にうまく伝わるのかが決まるのではないのか?とオペラ鑑賞歴の浅い自分でもそう感じてしまう。

今回の指環4部作の演出家は、フランク・カストルフ氏。

今回が新制作ではなく、3年前あたりから、ずっと同じ演出で毎年上演してきている。それを今年私は見た訳だ。



はっきり言おう!


カストルフ氏のリングのこの演出は、私には、全く理解不能で、「神々の黄昏」の筋書を、いま目の前で展開されている演出に、どのように解釈、結び付け、理解していくか、という頭の中の処理が、舞台進行のスピードについていけなかった。

こうやって帰国後に他人の感想を少し垣間見る感じで、はじめて、あぁそうだったのか?と理解する感じ。

3年前からずっとやっている演出なのだから、事前に情報を掴んでおくこともするべきだったかもしれないが、突然決まったことなので、そんな余裕はなかった。

ずいぶんと意味不明、理解不能でメチャメチャだなぁ、という印象で、悲しいかな、これが私のバイロイト演出の人生初の経験となった。

2,3年前のねずみのローエングリンでも、その最悪の演出ぶりが話題になったことは記憶に新しいので、やっぱりバイロイトの演出って一筋縄ではいかない、超難解・奇怪というのを、身をもって経験してしまった。

バイロイト演出は難しすぎる!

このカストルフ氏のリングの演出は、どうも私だけでなく、マスコミ、評論家あたりの評判もほぼ同様のようで、悪評にさらされているようだ。

ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリードなどは観ていないので、私が責任もっては言えないが、どうなのだろう?

毎年バイロイトに行かれている方であれば、この演出にも慣れて、どう読み替えられているのか、というツボがわかってその素晴らしさを評価できるのかもしれないが、人生初体験の自分には、あまりに荷が重すぎた。

時代考証は現代。舞台装置もかなり大がかりで、天井から白幕を吊るして投影したりもするのだが、その投影内容の画像も、なにかしら意味不明でどういうことを言いたのだろう?とまず考え込んでしまう。

過度の読み替え、抽象すぎて、何を表現したいのか?を常に観客に考えさせるような凝った演出なので、頭がそちらに集中しすぎて、歌手の歌声、演技、表現だとかのもう一つ大事なファクターに気が回らないのだ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


この日記で採用している写真は、バイロイト音楽祭の公式HPから正式に購入した写真で、著作権的にクリアされているものです。(HPの中の上のバーにあるFOTO ORDERから入っていて、写真を購入できます。過去の年度の音楽祭の写真も購入できます。)

バイロイト音楽祭公式HP
http://www.bayreuther-festspiele.de/english/english_156.html



第1幕と第2幕でのギービヒ家は、中央にケバブの売店がある。店内にはトルコの国旗とベルリンの熊のマークの旗が張られており、第2幕では一同がケバブを食べながら騒ぐ。

第3幕では、突然ニューヨークの証券取引所が出てきて、そのビルの前でラインの乙女たちが高級オープンカーの中で寝ており、(しかもラインの乙女はヤンキー女だし。)しかもそのクルマは1人の男をはねて重傷を負わせ、スクリーンではラインの女たちがその男の死体をトランクに詰め込む模様が写される。


ジークフリートが殺される前にラインの乙女のうちのひとりと、この車の上で情事に至る。

ハーゲンはジークフリートを背後から槍で刺すのではなく、金属バットで正面から殴り殺す。

ほんの一部を掻い摘んでいるにすぎないけれど、後出しじゃんけんで考えてみれば、その難解な解釈の真意がわからないでもない。でもリアルタイムには、あまりに自分の頭にある筋書のイメージと乖離しすぎて理解するには荷が重すぎた。

予習素材のDVDで見た1980年代の頃のような神話らしい時代考証の演出って、もうバイロイトでは復活することってないのだろうか?やはり現代の時代考証、そしてつねに一捻りある抽象的解釈優先なのだろうか?

でも歌手たちは、かなり善戦しているように自分には思われた。


特にカーテンコールで大歓声でブラボーで迎えられていたのは、ブリュンヒルデを歌ったキャサリン・フォスター。 

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キャサリン・フォスター(ブリュンヒルデ)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリート亡き後の独唱は、すざましい壮絶なものがあって、まさに場を圧するという感じで、その勢いのまま、カーテンコールでのブラボーを勝ち取ったと言っても過言ではなかった。 


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シュテファン・ヴィンケ(ジークフリート)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリートを歌ったシュテファン・ヴィンケも安定した歌唱力で、主役の大役を堂々と歌い切った。 


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シュテファン・ミリンク(ハーゲン)
写真提供:Bayreuther Festspiele


「ワルキューレ」ではブリュンヒルデというヒロインが、「ジークフリート」ではタイトルロールであるヒーローが活躍する。この「神々の黄昏」では、じつは悪役のハーゲンがそれに相応したりする。

そんな大切な役を、見事に演じたのがシュテファン・ミリンクで、悪役にふさわしい見事な役への成りきりっぷりで、バスの魅力的な声が劇場を支配していた。 




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そしてなによりも、自分にとって、この公演の大きな目玉だったのが、指揮のマレク・ヤノフスキ。

自分の音楽人生にとって、なにかと縁の深い巨匠である。彼のバイロイト・デビューの現場に立ち会えることができた、というのが、自分にとって一番大きな収穫であった。

ヤノフスキのリングの演奏は、テンポが速いとの話もあるらしいが、現地で聴いた限り、自分的には、そう?という感じであった。(笑)

「音楽だけに集中して舞台装置による解釈なしにワーグナーの楽曲の音楽的な質の高さを観客に伝えること。」と、演奏会形式のスタイルにこだわり続けてきた巨匠にとって、今回のオペラ指揮には、本人の大きな決断もあったようだ。

BR-KLASSIKでのインタビューで、ヤノフスキは、思わず本音で、このように答えている。

「自分も77歳。この機会を断ったら、あの音響が独特のオーケストラピットを味わうことは二度とできない。私は弱くなったのです。後悔はしていません。」

カーテンコールでの歓声は、1番大きかった。

相変わらず、控えめな所作であるけれど、この割れんばかりの大歓声・ブラボー、そして床の踏み鳴らしに、なにか自分が褒められているかのように嬉しく涙が止まらなかった。自分は惜しみない拍手をずっと送り続けていた。

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バイロイト音楽祭2016 「神々の黄昏」

2016/8/12 16:00~ バイロイト祝祭劇場

指揮:マレク・ヤノフスキ
演出:フランク・カストルフ
舞台:アレクサンダー・デニック
衣装:アドリアーナ・ブラガ・ペレツキ
照明:ライナー・キャスパー
撮影:アンドレアス・ダイナート&イェンス・クルル
合唱指揮:エーベルハルト・フリードリッヒ

ジークフリート:シュテファン・ヴィンケ
ギュンター:マルクス・アイヒェ
アルベリヒ:アルベルト・ドーメン
ハーゲン:シュテファン・ミリンク
ブリュンヒルデ:キャサリン・フォスター
グートルーネ:アリソン・オークス
ヴァルトラウテ:マリナ・プルデンスカヤ
ノルン1:ヴィーブケ・レームクール
ノルン2:ステファニー・ハウツィール
ノルン3:クリスティアン・コール
ヴォークリンデ:アレクサンドラ・シュタイナー
ヴェルグンデ:ステファニー・ハウツィール
フロースヒルデ:ヴィーブケ・レームクール


体験!バイロイト祝祭劇場 Vol.3 [海外音楽鑑賞旅行]

オペラハウスの音響学を考えるときに、単にステージ上の歌手の声が、客席に綺麗に聴こえるだとか、ピットのオーケストラの音が客席に豊潤に聴こえるだとか、いわゆる単に、対聴衆、対観客席という我々の目線だけで評価してはダメなのである。

オペラというのは、歌手とオーケストラとのブレンド&調和がとても大事なファクターで、歌手がオーケストラとうまく調和して歌うためには、透明でバランスの取れたオーケストラの音が歌手に聴こえないといけない。

これが実現すれば、歌手は自分の声量を適切に調節することができる。

一方、ピット内のオーケストラ奏者は他のパートの音が聴こえる必要があるし、また良好なアンサンブルを保つため、演奏者には歌手の声が聴こえる必要がある。さらに視覚的条件として、歌手と演奏者から指揮者が容易に見えることが当然のことなのである。

オーケストラ奏者と歌手にとって、お互いの音が聴こえることは、お互いに見えることよりも重要なことなのである。

我々聴衆に音を送り届ける前に、まず、歌手の声はピットに、そしてオーケストラの音を舞台に返す、という前提があること。

こういうキャッチボールが内々的に必要なのも、やはりオペラハウスの音響学の難しさなのかもしれない。

単にステージ上の音を観客席に隈なく送り届ける仕組みだけに執心すればいいコンサートホールよりも、ずっと難易度が難しいところなのだと思う。

オペラハウスのピットの形状には、つぎの大きく二つのタイプに大別される。

①開放型ピット

ごく一般のオペラハウスのピットは、みんなこのタイプ。ステージの前方にオケのエリアがあり、ある程度の深さはあるものの、観客席からは、オケの姿は見えるし、ステージ上の歌手からも視認性がいい。敷居で囲まれているとはいえ、オケのサウンドはピットから上空のほうへ伝わり、ステージ、観客席に拡がっていく。まさに開放型である。

②沈み込んだ閉鎖型ピット

これは、まさにバイロイト祝祭劇場のピットのことを言っていて、ある意味、開放型ピットのアンチテーゼとも言える。いま、これから体験するのは、こちらのピットのことで、自分はバイロイト祝祭劇場を語るときは、このピットの特殊性がとても、このオペラハウスをユニークな存在にしているのではないか、と思うほどなのだ。

バイロイト祝祭劇場のピットは、ピットの半分くらいが、ステージ舞台の真下に埋め込まれた感じの状態になっていて、残りの半分のエリアがステージの外側に出ているとはいえ、その残りのエリアの上部は天蓋によってほぼ全面が覆われている。つまりフタが締められているのだ。そしてステージとその天蓋との間にスリットが入っていて、そのスリットからオケの音が絞り出されてくる仕組みなのだ。オーディオファン、オーディオマニアからするとどうなの?これって。(笑)


ワーグナーのオペラの場合、少なくとも彼の晩年の作品については、「見えない」オーケストラによる「神秘的」な音の創造が、作曲者の劇的な構想における重要な要素となっていて、この要件によってワーグナーは、沈み込んだ天蓋に覆われたピットを考案したのである。

自分がバイロイトを経験するとなったときに一番体験してみたかったのは、こういうピットスタイルでのオケのサウンドがどう聴こえるのか、ということが最大の関心事だった。他人の聴感レビューはあまり耳を傾けないふだんの自分にとって、ここは、自分の耳で直に確認してみたかった。

まず、前回のVol.2の日記で記載したように、ここのピットの写真を自分のデジカメで絶対撮影したかった自分は、苦心の末成功した。

それが、この写真である。

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自分の一生の宝物である。バイロイトに行った!という自分の証でもある。

世界中のコンサートホール&オペラハウスを探訪する者にとって、やはり他人の写真を拝借するのはいやなものだ。(たとえ、それがプロの写真家の撮影したものでも。。。)自分のカメラで撮影することで、初めて、そのホールへの征服感というのが達成される想いなのだ。

よく見るとオケの団員達の服装は、みんな私服である。(笑)やはり観客から見えない、さらに夏のシーズンということもあって、みんな私服なのだと思う。

この写真を見ると、いままでの説明が納得いくように、スリットが入っていて、そこからオケのサウンドがでてくる、というのが理解できるであろう。

それじゃ、一部がステージ舞台の下のほうに埋め込まれていて、残りのエリアが外に出ていて、そこは天蓋に覆われている、というのは、この写真だけでは、ちょっとまだ理解しずらいところがあって、もう少し解説にトライしてみたい。

ここからは、バイロイト音楽祭のFB公式ページの写真をお借りしたいと思います。

この写真が、ステージ側から観客席の方向に向かって、スリットを通して、ピットを撮影したものである。

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真ん中に指揮台の椅子があって、その前に、プルト・譜面台と団員の座る椅子が並んでいるのが分かる。つまり、オペラ指揮者は、この方向を向いて指揮していて、やはりスリットの中から、ステージ上を覗き込んで、オペラ歌手の動きを観ながら指揮しているのが納得いく感じだ。

やっぱりオペラの指揮は、オケと歌手との調和で、それを誘っているのが指揮者の仕事なんです。これはバイロイトでも変わらないポリシー。

次の写真が、その全く反対で、観客席からステージの方向に向かって、スリットの中を覗いて撮影した写真である。

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これを見ると、指揮者のいる床から、階段状になっていて、どんどん下の方向に深く下がっているのがわかる。

つまりふつうのオーケストラの配置で考えると、一番前に弦楽器群(弦5部)、そして真ん中に木管楽器群、そして奥に金管楽器、打楽器群となると、指揮者の手前の弦楽器奏者が、一番高いところに居て、木管、金管、打楽器となっていく順番で、階段状で下に深く潜り込んでいく感じなのである。

古い写真で申し訳ないが、バイロイト・ピットで演奏しているオケは、まさに、こんな感じで演奏しているのである。(写真のクレジットを見ると、なんと指揮者がワーグナーの長男のジークフリート・ワーグナー氏で、バイロイト祝祭管弦楽団の演奏風景のようである。)


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よくバイロイト・サウンドは、弦楽器はとてもパワフルに聴こえるのだけれど、金管群が遠く感じるとか、というレビューをよく読んだことがあって、それを読んだとき、このピットスタイルで演奏しているなら、それも当然だよな、と思うところがあった。



自分は渡欧前に、イメージしていたサウンドは、ステージ上の歌手の声は直接音、オーケストラは間接音を聴いている感じというものだった。間接音なので、直接音に比べると、あちこちで反射した後で、音のエネルギー感がかなり減衰している感じで、明瞭さに欠けるというイメージだった。

そしてなによりも、間接音であるならば、歌手の声、動きに対して、時間的、位相的にディレイ(遅れ)があって、観客席から観ていて、同期していないんではないか、と考えたことだった。

でも実際聴いてみた印象は、自分の理論はあれこれ考え過ぎの、空回りのところがあって、観客席でオペラを鑑賞しているというシチュエーションをからすると、なんら違和感はない、素晴らしいものだった。(かなり安堵した。)

ちょっと肩すかしを喰らった感じでもある。

まず、ステージ上の歌手の直接音。これは非常によくホール内を通る声で、よく伸びていた。

最上階席にいても、かなり明瞭に聴こえたので、声の通りは非常にいいホールだと思う。

そしてオケのサウンドも、とてもこういう構造のピット、スリットから絞り出されている音とは思えない極めて通常のサウンドだったように思えた。

なぜか、をここで理論的に説明するのは、ちょっと不可能。たとえば、こんなピットなら、すぐ思い出すのは、籠った感じの音に聴こえるとか、というイメージがつきまとうが、そうでないのだ。本当に、本当にごく普通の音。

まぁ、ある意味、ホール内を音が廻るぐらいか、というとさすがにそうでもなく、ステージ周りでのみ音が鳴っているという感覚は確かにある。でも、このピット構造なら、それは当たり前ではないだろうか?

ホールの響き自体も、極めてニュートラル(中庸)に近いレベルだけど、ほんのりとライブ気味寄りかな、というレベルと感じた。音質自体は比較的柔らかいウォーム系の音ですね。

でも自分が一番慄いたのは、ピットのオケが見えない状態で、ステージのどこから音が鳴っているのかわからない状態、観客席から見えない状態で、伴奏のオケが鳴っていることの、何とも言えない不気味さ。

ステージで歌手たちが歌っているときに、鳴っている伴奏が、どこから聴こえているのか、わからない、演奏している場面が見えない、なんとも言えない不気味さ、というのを感じて、これが、バイロイトの醍醐味、そしてワーグナーが目指していたところではないのかな、と思ったことだった。

素晴らしい体験だった!

以上3部に分けての大特集の体験記であったが、いかがであろうか?
バイロイト祝祭劇場のミステリアスな部分、特殊性が伝われば幸いである。

死ぬ前に、もう一回くらいバイロイト詣をしよう、と心から思っている。


体験!バイロイト祝祭劇場 Vol.2 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場で、最初に初演されたのが、1876年の「ニュルンベルクの指環」、いわゆる指環(リング)である。そして、つぎのパルジファルが初演され、その翌年には、ワーグナーはこの世を去ってしまう。

結局、ワーグナー自身が、この劇場で自分の作品を上演したのは、指環とパルジファルの2作品だけなのである。

後は、妻コジマ、そして息子のジークフリート。そしてジークフリートの未亡人、ヴィニフレート、そしてその息子たちであるヴィンラード&ヴォルフガングの兄弟がこの音楽祭の運営にあたり、残りのワーグナー作品も上映され、子孫代々、引き継がれながら、この音楽祭は運営されてきたのである。

現在は、御大ワーグナーのひ孫で、前総監督のウォルフガンク・ワーグナーの娘であるカタリーナ・ワーグナーさんが総支配人・総監督である。 

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いま現在のバイロイト音楽祭の運営は、支配人として、このカタリーナ・ワーグナーさん、そして音楽監督として、クリスティアン・ティーレマンのタッグで、運営されているのだ。

ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているとのことなのだが、はたしてどのようなオペラハウスなのか?

とにかく普通のオペラハウスとは、かなり趣が違う非常にユニークな構造なので、自分が実際内部に入って、そのありようを見てくるのは、大変勇気が要り、興奮することでもあった。

バイロイト祝祭劇場の入り口は、左右にある入り口から入る。劇場の真正面についている扉は、開かずの扉である。

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今年はヨーロッパで多発しているテロに対する厳戒態勢下ということで、事前にカタリーナ・ワーグナーさん署名の通知文が発せられており、身分証明するためのパスポート持参、カバンの持ち込み禁止(携帯用であればよい。)、座布団持ち込み禁止、液体状物質の持ち込み禁止、そして検査のために最低でも1時間前には劇場に着くように、のお達しがあった。

実際は、そこまでの検査はなかったが、ただ、ホワイエには、それは驚くほどのおびただしい警備員がいたことは確かだった。

まず、この左右の入り口に入るときにチケットを見せて、入場する。そしてホールの中に入るには、さらにたくさんのゲートがあり、そのゲートには、必ず係員がいるのである。

バイロイトのチケットは、昔は記名制といって、チケットに購入者の名前がついていて、そのチケットと入場する人が同じという条件下があったこともあったらしいが、いまは、その記名制はなく、基本はチケットについているバーコードで管理されている。

その扉に立っている女性の係員は、バーコードリーダーを持っていて、それでチケットをスキャンする。

チケットの座席に応じて、入るべきゲートが決まっており、バーコードをスキャンするので、自分のチケットにあったゲートしか入場できない仕組みなのだ。

だから、違うゲートから入ってみて、ホールの内装写真を撮影してみたい、という不届き者にとっては、まったく実行不可能な仕組みなのだ。だから最前列に行きたかったなら、その最前列のチケットに当選するしかないのである。

だったら、自分のゲートから入って、ホール内を自由に動き回ればいいのではないの?という考えもあったが、これも無残にもその夢は打ち砕かれた。これについては、また後述する。

まず、ホール内部のホワイエの様子から。

音楽祭の祝祭劇場って大体このような形式になっている。これはザルツブルク祝祭大劇場でもまったく同じだな、と感じたところであった。

それは、ホールへのゲートは、原則両端左右にあって、真ん中に相当するエリアは、クロークと申し訳なさそうなホワイエ空間という感じである。

右側のゲート。
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左側のゲート。
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ホールに入るゲートは、この1階の他に、階段を上っていって上階から入るような箇所がある。

真ん中に相当するエリアのホワイエ空間。ちょっと薄暗い感じの空間などなのだが、ブラウンを基調とした、とてもシックな造りになっていて雰囲気がかなりある。そしてホワイエの奥には、クロークがある。

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そして、ホール開場とともに、ホールに入る。

自分は初日の神々の黄昏は、最上階席でとても残念賞の座席、そして2日目のトリスタンとイゾルデは平土間最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えることのできる最高のポジションの座席であった。

幕間ブレークの時に、中にいる観客を全員外に追い出して、中を完全の空席ホールにしてしまい、扉には鍵をかけてしまうのであるが、初日の日、偶然にも、中の観客を追い出した後の空席状態のホールで、たまたまひとつの扉がふっと開いていて、私は吸い込まれるように、そろ~っと寄って思わず写真をパチリ。

まさにホール愛に満ちている自分のために、音楽の神様が自分にプレゼントしてくれたようなショットが撮れたのだ。


これが、まさにこのショット。

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これがバイロイト祝祭劇場の内装空間。

ホールの形状は、いわゆる扇型。ところが両端の側壁はおたがい平行なのである。

その両端の側壁には、ギリシャ神殿を思い出させる柱が取り付けられていて、ホール側に突き出た感じになっている。天井は平坦であるが、ギリシャ円形劇場を覆う巨大の天幕のごとく、後方から前方に向かって、天井が上昇しているように感じる。

ご覧のように、ホールの大半が1階席平土間で、その特徴は、前方から後方に至るまで、もの凄い傾斜が大きいことだ。

傾斜した床から天井までの高さは、かなり高いと感じ、そのおかげで、残響時間も比較的長い。(資料スペックには、残響時間1.55秒だとある。)これはロマン派のワーグナー音楽には、極めて好適である、といえる。

内装の仕上げは、主にプラスターで、レンガまたは木の下地の上に施工されている。天井面は水平で、これも木の上にプラスター塗り。

まぁ、ざっくり見た感じでは、正直いうとウィーン楽友協会や他のヨーロッパのコンサートホール&オペラハウスに見られるような、建築当時は、そういう概念があったかどうかは不明であるが、いま考えてみると、素晴らしい音響を生み出している要素がいっぱい散りばめられている、ある種のミステリーみたいなものは正直インスピレーションは湧いてこなかった。

とにかく、このホールに入ってみて1番驚いたのは、その客席構造。

上の写真を見てもらえばわかるように、縦のライン(通路)がまったくないのだ!

入り口は、両端左右の入り口固定。いったん中に入ってしまうと、ホールの中を縦移動して、前後に移動するということが全く不可能な構造なのだ。ホールの中を自由に動けないのだ。

これには心底驚いた。

1階席は前方から後方に至るまで傾斜が大きくて、ホール内は縦移動ができない構造なので、それぞれの高さに横からのゲートがあってまったく固定なのである。

各ゲートには常に係員がいて、チケットを確認するので、外から自分の好きな列に入ってみたいというのは、正規のルートでは無理なのある。


つまり最前列付近の座席に近寄れる人、そこに行けるのは、
そのチケットを持っているだけの人の特権という感じ。

これは正直ショックは大きかった。ホールマニアの自分にとって、このホールの内装写真を撮るなら、最前列の前方から後方を撮るアングルが欲しいと思っていたのと、あと最大の関心事として、バイロイト独特のピットの写真を撮ってみたい、と思ったからである。これを実行するには、最前列に行かないといけない。

志半ばで倒れるか!


初日は、最上階席だったので、もう完全諦めなのであるが、2日目のトリスタンとイゾルデは、最初チケットの番号と、ホワイエでのゲートの位置を確認すると、なんとゲートは、階段を何階も昇って行かないといけない、ことが判明。

この時点で、平土間1階席ではない、とあきらめの境地。

でもいざホールに入場してみると、なんと平土間の最後尾列であることが瞬時に分かったのだ。

そのとき、自分が、渡欧前にずっとイメージしていたのと、この縦のライン(通路)がまったくないホールでの唯一のウィークポイントは。。。それは一番両端左右のところは、絶対通路がついているはず、だと想像していたことなのだ。

つまりいくらなんでも、全部横側にはめ殺しの通路ではなく、一番両端は縦のラインが必ずあるはず。

想像が当たっていた。入場した瞬間、平土間だとわかった瞬間、すぐに一番端を伝って、最前列に出ようとする。

確かに通路はあるが、かなり細いし、中には列によって、まったく通路が塞がれている列もあった。

もうそういう場合は、座席をまたぐしかないのである。だから細い通路を伝わりながら、ときによっては塞いでいる座席をまたぎ、を連続して、なんと最前列に躍り出ることが出来たのだ!

もう息をきらしながら大感動。念願のピットの撮影ができたことは次回お話しするが、待望の最前列から、ホール後方に向けてのアングルを撮影することが出来た。


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最前列の中央から、ホール後方を臨んだアングル。

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天井

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トリスタンとイゾルデでは、平土間の最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えるという最高のポジションであった。

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こうしてみると、バイロイト祝祭劇場のステージの開口率は、それほど大きいという感じでもなかった。ごくアベレージ付近で、どちらかというと小さめな感じもする。

なにせ、ワーグナーの作品しか上映しないし、原語上映が原則で、字幕掲示板などもいっさいない。



バイロイト祝祭劇場と言えば、話題になるのが、ワーグナーが長時間オペラのために眠らせないようにするために考案したという固い椅子。

最上階席での座席はこんな感じ。ケツ痛いです。(>_<)
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平土間の椅子になると、もう少し改善されていて、座るところがクッション性のものがついていたりするのだが、それでも近代のホールからするとたかがしれたもの。

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長時間固い椅子に座っているとお尻が痛くなるばかりか、腰にきたりするのだ。


バイロイト祝祭劇場で、もうひとつ驚いたことに、終演後のカーテンコールの絶大のブラボー歓声と同時に、床をドカドカ踏んで、ブラボーの意思表示をすること。これはじつにすごい音で驚いた。

床を見てみると、古いホールだから木で出来ているのだ。

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これじゃあ、ドカドカ鳴るよな。(笑)

近代の最新ホールじゃ、こんなに鳴らないですよ。彼らは、ここでは床を踏めばデカイ、ドカドカした音がするということを経験上知っているんですよ。だからブラボーの意志表示も木の床でドカドカ鳴ることが伝統で受け継がれている方法なんだと思いました。


初日の座席は、最上階席であった。こんな感じの狭いボックス的なところに押し込まれたような印象だった。よく見ると、観客の服装もカジュアルな人も結構多く、比較的低価格帯の座席なのかな、とも思った。

この最上階席から撮ったホールの内装もアップしておく。

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なんとも、こともあろうか、初日の神々の黄昏の時の座席は、こんな座席であった。(爆笑)

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柱で、舞台が見切れている座席であった。
どうりで簡単に入手できる座席だと思った。

ヨーロッパではこういう座席が普通に存在したりするのだ。つまり他の座席と比較して、極端に値段が安い座席であったり、簡単に手に入ったりするのは、やっぱり甘い話には、罠・毒があるのだという証拠であったりする。

私は、まだ右半分見えるから、まだマシなほうであるが、私の左のおばさんは、もっと最悪である。まったくステージが見えないからである。結局、他のお客さんの勧めで、空席の空いているところに移動して事なきを得ましたが。

このように死角となるデッドエリアというのは、ヨーロッパのコンサートホールでは平気で存在したりする。自分が提案するには、ホール主催側は、自分のホールのデッドエリアを認識して、この座席のチケットは販売しないようにする配慮が必要だと思うのだ。

でも値段を極端に安くしているということは、自分たちでもきちんと認識している、という証でもあるのだが。。。

空調は、悪くて蒸し暑いという定説がずっと、このホールにはあるのだが、自分はまったくそんな感じはしなかった。非常に快適であった。なによりも、私がいた滞在期間は、ものすごい極寒の気候であったのでちょうど良かったのかもしれない。

とにかく、一番驚いた縦のライン(通路)がまったくない座席構造。お客さんは、両端の左右のゲートから入場するしかないので、先に入ったお客さんは、すぐに座らないで、ずっとスタンディングのままで、待っているのも、この特殊の座席構造所以のバイロイト・マナーなのかもしれない。

このような感じ。(最上階席でのひとこま)
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とにかく、憧れのバイロイト祝祭劇場の内装空間を体験出来て、感動すること、一生の思い出になった。

そして、ついに最終章は、このオペラハウスの最大の関心事の独特のピットと、そしてオペラハウスの音響について言及します。


体験!バイロイト祝祭劇場 Vol.1 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場は、おそらく世界で最も特異なオペラハウスである。

そのユニークな設計思想は、作曲家ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているといえる。

バイロイト音楽祭は、ご存知、抽選式の音楽祭で(現在ではインターネットでも買えるようだが。)それにしても応募してから7年くらい経過しないと(この間事務局側は、この人は何年応募してきているのかを、きちんとカウントしている。)当選できない大変チケット入手が困難な音楽祭なのだ。

最近では、NHKでも生放送される機会も多いのだが、やはり祝祭劇場を含め、いまだにつまびらかにされていないという事情もあって、ミステリアスな雰囲気が、たくさんある音楽祭でもある。

ワグネリアンとまではいかなくても、ワーグナーのオペラをずっと愛してきた者にとっては、ぜひ訪問してみたい聖地であった。

バイロイト祝祭劇場は、バイロイト中央駅(Bayreuth Hbf)から徒歩15分位ずっと歩いていくと、丘の上にそびえ立っている。

自分のホテルは、中央駅から結構離れているので、行きは結構タクシーを使ったりしたが、それでも終演後(夜22時位)の足はまったくないので、祝祭劇場から中央駅まで、みんな徒歩で降りてきて、結局ホテルには徒歩で帰還したりした。

丘の上に立っているバイロイト祝祭劇場が目に飛び込んできたときのあの心臓がバクバクと鼓動する感じは、いまだに忘れることはできないだろう。

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左の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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右の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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幕間からの開演15分前に、この場所からファンファーレがおこなわれる。 (次幕が始まるので、座席に戻ってください、という意味の儀式。)

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祝祭劇場自体は、丘の上に立っている感じなので、その丘から下のほうを眺めるとこんな感じで、道路がまっすぐ中央駅に向かっている。

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祭劇場の前は、それなりのスペースの広場になっていて、ここで紳士・淑女らが、歓談などをするのだ。

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そして、祝祭劇場の丘を少し降りたところの前庭には、ワーグナーの頭像がある。

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ここには、おそらくであるが、バイロイト音楽祭で名を馳せた往年のワーグナー歌手のプロフィールなどが、パネリングされているのだ。

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祝祭劇場の右横には、大きなビアレストランが全部で2棟ある。そのうち1棟は、2階立てなので、フロアとしては、室内では3フロアあることになる。

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ここは、幕間ブレイクのときに、観客がいっせいに集まって、ビール、食事などの軽食をする場所なのだ。

なにせ、祝祭劇場は、幕間ブレイクのときは、ホールの中の観客を全部追い出して、中を完全な空席ホールにして、そして扉に鍵をかけてしまい、中に入れないようにしてしまうのだ。(笑)

したがって、ホール内の観客は、ブレイクのときは、全員外に出ないといけない訳で、行き場所としては、この2棟3フロアあるビアレストランの室内か、残りの人は、みんな外で立食休憩という感じなのである。


開演1時間前近くになると、ぞくぞくと紳士・淑女たちがどんどん集まってくる。

久し振りのフォーマルな音楽祭への参加。男性なら燕尾服、タキシード、女性ならドレスなどの正装、その威圧感・存在感は間近で見ていて相当迫力があった。小柄な東洋人、日本人では出せないような大人の雰囲気と言うか、あのオーラは我々には無理だな、と思うことしきり。

また動作もおおらか、ゆったりしていて、小回りの利いてなにかカチャカチャしている我々と違って、やはり根本的に雰囲気・オーラが別世界。

客層は、身だしなみ、外観の雰囲気から、やはり上級階層の方が多いように思われ、年齢層も、かなり高いように見受けられた。バイロイト音楽祭に行けるような方は、やはりワーグナー協会会員であったり、それなりのステータスの方も多いのだろう。

それでは、音楽祭開始前に祝祭劇場の前に集まった紳士・淑女たち、そして幕間ブレイクの様子をじっくりと見てもらい、バイロイト音楽祭の雰囲気を味わってもらおう。

顔が映ってしまっており、肖像権の問題もあるが、顔を映さないように撮るのは不可能であり、外国の方ということもあって、仕方がないのではないか、と思い、掲載します。

やはり音楽祭の雰囲気を伝えるには、このショットはどうしても必要です。

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2016年の海外音楽鑑賞旅行は、バイロイト→ベルギー→ロンドン。 [海外音楽鑑賞旅行]

2016年度も海外音楽鑑賞旅行を実行することになりました。
8/11~8/22まで、バイロイト、ベルギー、ロンドンの3都市を周遊してまいりました。

本来ですと、今年は海外旅行は充電と去年のパリでのトラブルも心の傷が癒えないことから、お休みの予定でしたが、お盆休みの3週間前のある日、突然、神降臨です。(笑)

深夜に突然思いつき、どんどん妄想モードで、あっという間に旅行計画書を作成して、翌日には旅行会社に相談して、実行に進めている自分がいたのです。

やはり音楽の神様は、自分を守ってくれたのか、わずか3週間前で、どこも音楽祭シーズンで、予約満席とも思われる中、エアー、ホテル、鉄道、そして完売プレミアのコンサートチケットも続々と決まってくれる嬉しさ。

そして、結果として、テロ、スリなどのトラブルはいっさいなく、万事計画通りの素晴らしい夏の音楽祭シーズンをヨーロッパで過ごすことができたのです。

今回の発案のきっかけは、バイロイト音楽祭でした。

応募し続けて7年くらい経過しないと当選しない困難を極める抽選式の夏の音楽祭で、これがひょんなことからチケットを入手することができたのです。

ここから自分の大妄想は、始まりました。

バイロイト音楽祭だけでは。。。ということで、他の夏の音楽祭も模索してみました。

いろいろ考える中で、今年は、自分が前職時代にヨーロッパに赴任して生活していた空間のロンドンとベルギーを訪問してみようと考えたのです。

正直言いますと、ロンドンとベルギーはクラシックという分野から見ると、どうしてもクラシックの盛んな国とは言えず、でも、自分の生涯の中で、死ぬ前に、もう一回は、ロンドンとベルギーを訪れてみたいという気持ちもある。

自分が生活していた空間の景観、そして空気を吸いたい、という気持ち。

そうするとクラシックという切り口で考えてみると、コンサートホール&オペラハウス、そしてコンテンツを基準で選んでいては、この2か国はどうしても後回しになって、いつ行けるかわからない。

行くなら、今年しかないと思ったのです。

それで、ロンドンでの夏の音楽祭ということで、BBC Promsとグラインドボーン音楽祭を選択したのです。

ベルギーは、じつは、世界遺産グランプラスで2年に1回開催されるフラワーカーペットのイベントが今年あり、それも今年は、日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたり、花絨毯の模様は、日本をテーマにした「花鳥風月」のデザイン(日本人デザイナー鈴木不二絵さんのデザイン)ということで、ぜひ日本人として、ぜひ現地に、直接観に行きたいと思っていたところでした。

もう音楽とかいっさい抜きです。

じつは1994年にベルギーに住んでいたときに、このフラワーカーペットを体験したことがあるのです。それから25年経過したいま、日本をテーマにした花絨毯、日本人ならぜひ体験したいと思っていました。

ベルギーは、音楽抜きで、このフラワーカーペットが目標でした。

このような旅行をしてまいりました。

それではイベント分野ごとに簡単に感想を述べていくことにします。


● バイロイト音楽祭

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まさしくワーグナーの聖地、バイロイト。簡単には入手できないチケット。このバイロイトの街に入ったときの緊張感。そしてバイロイト祝祭劇場を目の前にした時の感銘は、一生忘れ得ないでしょう。いまでも、心臓がバクバクしていたのを思い出します。

ホールマニアの自分としては、バイロイト祝祭劇場の内装空間や、特に他のオペラハウスとはかなり違う形式のピットに大変興味を持っていて、これを一目見たいと思っていました。またこの異様な形をしているピットから出てくるオケのサウンドはどんなものなのか?が最大の関心事でした。

ところが、このホールが他には例を見ない、かなり特殊な構造になっていて、この課題は大変困難をみることになったのです。

演目は、「神々の黄昏」と「トリスタンとイゾルデ」の2公演を観ました。前者がヤノフスキ、後者がティーレマンが指揮です。ワーグナーに関しては、ヤノフスキとは、自分の音楽人生にとって、ずっと縁のある巨匠で、彼のバイロイト・デビューを現地でじかに観れたことは、大変感慨深いものがありました。一生の想い出になることは間違いないでしょう。


● ベルギー・フラワーカーペット2016

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日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたる今年。フラワーカーペットの絨毯模様は、ペゴニアの花などを駆使して、日本を代表する「花鳥風月」のデザインで飾られたのです。

昼間はもちろん、夜のライトニングされた絨毯模様も、夜の闇の中にくっきり浮かび上がるような感じで、感動も一塩でした。

自分は最終日の8/15に閲覧したのですが、天気も快晴ということで、グランプラスはもう大変な人混みで、まだ、あまり人のいない早朝に花絨毯を写真に収めておいて、本当によかったと思いました。

あまり市街の大きな散策はせずに、ずっとグランプラス周辺、そしてグランプラスにずっと居たというのが実情でした。

● BBC Proms

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夏の音楽祭としては、最大規模のイギリス・ロンドンでおこなわれる音楽祭。ロイヤル・アルバート・ホールに初見参してきました。いわゆるドーム型ですので、生音主義の直接音&間接音のクラシック専門ホールとは違い、PA主導型のサウンドになります。客層もとてもカジュアルで、コンサート自体がとてもリラックスできて、カジュアルな音楽祭という印象を持ちました。こういうクラシックがあってもいいですね。

ここでは、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団で聴きました。アルゲリッチのリストのピアノ協奏曲以外は、ここでも、アンコール含め、全部ワーグナーづくし。(笑)今年の夏は、ワーグナーに浸りなさいという神のお告げなのですね。

● グラインドボーン音楽祭

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ロンドンの郊外で開かれる超セレブなオペラ・フェスティバル。

男性は燕尾服、タキシード、女性はドレスのフォーマル着用のドレスコード。とにかくイギリスの貴族社会風な雰囲気で超セレブ。ロケーションが、イギリスの田園地帯の緑の自然の中にあって、素晴らしい景観の中で、オペラを楽しむという趣旨の音楽祭であることが特徴になります。

地の利が悪くて、ロンドンから鉄道で1時間、そこからさらに送迎バスで、かなりアクセスが大変。

この音楽祭、じつは一番の売りは、本番のオペラというより、幕間ブレイクにあるピクニック・ディナーにあるのです。休憩になると、ホールの前一面に広がる草原の中で、テーブルをセットして、ポーターさんに食事の用意をしてもらって、その大自然の中で野外ディナーを楽しむ。 草原にはときどき羊が放牧されていることもあり、まさに素晴らしい景観の中でピクニック・ディナーを楽しめる、というところにこの音楽祭の大きな特徴、楽しみ方があるようです。

ところが、この日は、早朝からあいにく強い雨に降られ、ピクニック・ディナーの時には、雨は止んでいたのですが、主催側の判断で、大半は、室内でディナーを取る、という方針に変更されていました。

楽しみにしていただけに、本当に残念です。

それでも草原でディナーを取られている方も数名いらっしゃいました。

この日は、今回の旅行の最終日ということで、疲労が相当溜まっていてピークに達していた状態でした。自分でも最悪のコンディションで、オペラ鑑賞にも少なからず影響があったことは否めません。


大枠は、こんな感じの旅行でした。

これ以外に、街の散策など、オフの過ごし方も日記にしていきたいと思います。

それでは、これから個別に詳細に連載をしていきます。

しばらくお付き合いください。

またこの場を借りて、今回の旅行のセットアップに万全を期してくれた、旅行会社のスタッフの方には、本当に感謝する次第であります。この場で厚く御礼を申し上げます。


のだめコンサート.....祝・東京初上陸。 [国内クラシックコンサート・レビュー]

渡欧は、元々なかった企画なので、以前から入れていた企画があって、それと重なって、いまは超多忙。おそらく渡欧前の自分的に最大イベントなのが、この「のだめコンサート」。

ある意味、盛り上がるうえでもいいタイミングになった。

前回、はじめての体験と言うことで、愛知県の春日井市まで遠征してきた。

その結果は、日記にした通り、素晴らしいコンサートで、いままでに体験したことがない感動だった。

自分が、いいと思ったのは、とてもアットホームな雰囲気であること。
普段行っているクラシックコンサートとは、全然雰囲気が違う。

まず客層がとても若い。女性が多い。MCが入りながらの進行なのだが、とても暖かい、手作り感満載というか、心がこもっているコンサートの造りと進行で、客席にいて、ほんわか、する感じなのだ。

ステージの演奏者と観客の距離感がすごい近いですよね。

こういうコンサートは、ちょっといままでに経験ないなーという感じで、とても新鮮だった。
もちろん技術的なレベルも高い。だから、とても不思議な感覚のコンサートなのだ。

NHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さんが、かすがい市民文化財団のメンバーと発起して、企画、運営しているプロジェクトなのだが(詳細な経緯は前回の日記で詳しく説明したと思います。)、今年で10周年記念となる活動なのだ。

セントラル愛知交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団と、春日井はもちろん全国を行脚するという活動も軌道に乗っているみたいで、集客も満員御礼が常、と地道に基盤を作っている。

自分は、前回初体験で、いままでの歴史というのを知らなかったのだが、なんと、今回の東京公演は、のだめコンサートの「東京初進出」なのだそうだ!

その東京初公演は、調布市グリーンホールで開催される。
もう、この日のために、ゲゲゲのまち、ゴローさんのまち、である調布を取材してきたんだから。(笑)

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東京が初進出ってちょっと意外?とも思ったが、これを機会にうまく軌道に乗って、これから東京公演も定期的にやってくれるといいな、と思ってしまう。必ず通わせてもらいますよ。(笑)

今回の記念すべき東京初公演が、これがちょっと特別なのだ!

オーケストラ編成が、「のだめスペシャルオーケストラ」と題して、この1夜限りの特別編成オケで、なんとほとんどN響メンバーで占められる(新日本フィル、メンバーもいらっしゃいます。)超豪華編成なのだ。

こういうときに一堂に集まってくれる、というのも茂木さんの普段の仲間からの信望がいかに厚いか、ということを、示しているのでは、と思う。 
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茂木大輔さん

独奏ソリストは、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番で、前回に引き続き、高橋多佳子さん、モーツァルト オーボエ協奏曲に、これまた驚きのN響オーボエの池田昭子さん(じつは隠れ大ファンです。(^^))、そしてメインディッシュにブラームスの交響曲第1番。 
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高橋多佳子さん(C) Akira Muto

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池田昭子さん

なんと贅沢なんだろう!のだめコンサートに、この布陣!を知ったとき、ホントに驚きました。
東京初公演にかける心意気がよく伝わってくる。

このイベントに関して、いろいろな取材を受けてきたみたいだが、ピアノ雑誌:月刊ショパンでのインタビューを読みたく、買ってみた。

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たぶん、自分にはあまり普段、縁がないと思われる雑誌。(笑)でも新鋭などピアニストの情報がいろいろ掲載されていて、面白く拝読させてもらった。

茂木大輔さん×高橋多佳子さんのインタビュー。
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高橋さんは、前回も紹介した通り、1990年に、あのショパンコンクールで第5位入賞という輝かしい経歴を持ち、現在も第1線の現役ピアニストとしてコンサート、録音などで活躍されている。桐朋学園大学の講師としても後進の育成にも励まれている。

美人なんだけれど、3枚目キャラで、ノリがよくて、みなさんから愛される方ですね。(^^)

なんと、のだめコンサートには、過去20回くらい出演されていて、もうこの企画をずっと支えてきた方なんですね。茂木さんとのコンビは、スゴク似合っていると思います。

この、のだめコンサートは、ちょっと特徴がある。
それは、ステージ背面にスクリーンをかけて、演奏中に投影をおこなうこと。


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曲の構造の説明や、いま演奏している奏者の氏名、独奏者のコメント、のだめの漫画シーン、など演奏中に、かなり細かい時間単位で画面を切り替えていって、それを見ていると、不思議と演奏と相まって、スゴイ感動の相乗効果があって、涙もんなんですよ。(笑)

のだめコンサートで1番驚いたのは、この投影。これは面白い試みだと思いますね。
こういうコンサートは、いままで体験したことがなかったので、驚きました。

その他にも、MCが入って、茂木さんと独奏ソリストさんたちのインタビューが入ったりして、とても楽しいです。

こういうコンサートって、ふつうのクラシック特有のオスマシの雰囲気と違って、アットホームで温かい感じがしてとてもグーです。

私は、前回ですっかり気に入りました。

ぜひ、この東京公演が大成功して、東京でもレギュラー的に公演してくれることを期待したいです。

公演日は、8/6(土)調布市グリーンセンター、いまからでもチケット買えます。楽しいコンサートですので、ぜひ!

詳しくは、公益財団法人 調布市文化・コミュニティ振興財団のこちらのページで。

https://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=4995

.......そして本番当日。

 ゴローさんのまち、調布で、のだめコンサート。。。祝・東京初上陸。あまりに贅沢な顔々と、ボリュームいっぱいのメニューと相成った。

お天気も快晴で、とても気分がいい。

NHK交響楽団首席オーボエ奏者、茂木大輔さんと、かすがい市民文化財団との連携ではじまったこの企画、今年で10周年ということで、いままで全国、累計82回のコンサートを重ねてきた、ということであったが、意外や驚いたことに、東京公演は、今回がはじめて。

記念すべき、その公演に参加できて、光栄でございました。

今回の主催は、調布市文化・コミュニティ振興財団で、場所は、調布市グリーンホール。
以前撮影した時よりも、緑々していて綺麗になった。

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前回の日記では、オールN響(+新日本フィル)選抜と書いたが、今日プログラム冊子を見て、メンバーを確認すると、N響、新日本フィル以外にも、読響、都響、名古屋フィルの方々も参加されていて、改めて茂木さんの人望の厚さを垣間見る思いがした。コンサートマスターはN響の永峰高志氏。

東京初上陸の公演にふさわしい、本当に贅沢な「のだめスペシャルオーケストラ」と相成った。

やっぱり思うのは、普段と違うその客層。圧倒的に若い女性中心。なんか華やかな感じで大変よろしい。やっぱり、「のだめ効果」と言うことで、お堅いイメージがつきまとうクラシックであっても、こういう若い世代の方が積極的にクラシックに興味を持っていただけるのは、すごくいいことではないか、と感じる。

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必ず、楽章間に拍手をしてしまう、ところもなんとも微笑ましい。(笑)わかる~、その気持ち。クラシック曲の楽章って完結しているので、終わった、あの迫力に思わず、拍手してしまう感覚が。。。


今日のホワイエは、東京初公演ということで、華々しかった。

お花が届いていた。(お二人は仲が良いのです。(笑))

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なんともお洒落なお口添えが!春日井公演のときは、なかったような。。

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そして、いよいよコンサート。

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本当に、フランス料理のメインディッシュを、これでもか!これでもか!というくらいゴージャスなメニューで、本当にお腹いっぱいという感じであった。

ずっと通して思ったのは、東京初公演ということで、のだめの核心となる曲を選曲しているのではないか、と感じたこと。

基本は、茂木さんのMCを挟みながらの進行。

最初は、ウィリアム・テルの序曲より「スイス軍の行進」で肩慣らしの後、高橋多佳子さん登場。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番の悲愴、第2楽章。

この曲は、のだめと千秋の最初の出会いのときに、使われた曲で、やはり核心をつく選曲。

もうご存知だろうが、悲愴ソナタは美しすぎる!

自分は、オヤジを亡くしたとき、この曲を盛んに聴いていたこともあって、ブラシーボ効果というか、想い出して、なんかグッとくる感じを抑えきれなかった。

高橋さんの印象は、前回公演と同じ、女性的で繊細タッチなピアニストだと感じた。
今日は、指捌きが見えない座席だけれども、ご本人が普段SNSに投稿する動画を見ると、手、指が非常に綺麗だと思うこと。

そして、大曲のラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番。

茂木さんは、音楽家というのは、自分が音楽を志そうと思う一瞬のその瞬間、というのが人生の中に必ずある、と仰っていて、この曲も、のだめのロケのときに、千秋がこの曲を弾くシーンを撮っているときに、上野樹里さんの心の中に演じる側として、そのようなある種のキッカケを生んだ、とても想い出深いロケだったらしい。

これは、本当に素晴らしかった。この曲独特のちょっと暗めなのだけれど、人の心を惹きつけるようなラフマニノフ特有のロマンティックな旋律。高橋さんのピアノとオケとの競演は見事な作品として、完結していた。ブラボー!


今日はとても贅沢なので、この後に、さらにゴージャスなメニューが続く。

モーツァルトのオーボエ協奏曲。

なんと!N響オーボエ奏者の麗しきマドンナ、池田昭子さん登場。

原作では、オーボエ奏者の黒木くんが吹く曲だが、このロケのときの監修・指導はもちろん、黒木くんの音を実際吹いていたのは、池田さんだったらしい。(驚)

やっぱりみんな関わりというのが、ずっとあるんだね。

池田さんは、やはり格好良かった。

この曲の底抜けに明るい感じが見事に表現されていて、嫋やかなオーボエの音色。
自分は木管の音色に煩いのだが、さすがプロ中のプロ。申し分なかった。

そして休憩を挟んで、後半、ブラームスの交響曲第1番。

もう大曲中の大曲。演奏が素晴らしいのはもちろんだが、投影が、いつもの雰囲気とは違う、ちょっとシリアスで、重みのある内容進行に驚いた。

交響曲受難の時代を生きたブラームスの心の葛藤、そして、ブラームスが、クララ・シューマン(師シューマンの妻)に送った誕生日のはがき。ここに書かれていたアルペンホルンの旋律が、交響曲第1番の第4楽章に登場し、これが交響曲全体を作っている(茂木さんご本人の投稿から)、など、かなり深い内容だった。

投影のシナリオは、茂木さん原作だが、毎回思うが、よくできていると感じる。(演奏中への挿し込みタイミングも含めて。)

アンコールは、ベートーヴェン交響曲第4番の第1楽章と第4楽章の抜粋。

これは、のだめのテーマ曲なので、やはり核心をつく選曲。
これをエンディングに持ってくるのは、東京へのご挨拶なのだ、と思う。

オケ奏者をいっせいに立たせて演奏させて、お笑いをとったり、なかなか印象的なエンディングでした。

最後の投影は、なんか映画のエンディングのタイトルロールを見ている感じ。(笑)

さっき、いままで演奏していた奏者の静止画をキャプチャーして、すぐにこのエンディングに使うなんて、投影スタッフがコンサート進行中に裏で急いでそそくさと作っていたんだね、きっと。

見事でした。

投影は、前回春日井で観た印象より、さらにずっと洗練された流暢な造り・流れになっていたと思います。

いやぁ、アットホームで楽しいコンサートありがとうございます。

終演後のサイン会。手前から、高橋多佳子さん、茂木大輔さん、池田昭子さん。

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この日は、あまりに気分がよかったので、この後、深大寺に足を延ばす。
(もちろんバスで。(笑))
そして湧水さんの美味しいお蕎麦をいただいたのでした。

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茂木大輔の生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会。
8/6(土)14:00~ 調布市グリーンホール

指揮:茂木大輔
ピアノ:高橋多佳子
オーボエ:池田昭子
管弦楽:のだめスペシャルオーケストラ

前半

ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲より、”スイス軍の行進”

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調op.13「悲愴」より第2楽章。
(ピアノ:高橋多佳子)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調op.18 (ピアノ:高橋多佳子)

モーツァルト オーボエ協奏曲 ハ長調K.134 (オーボエ:池田昭子)

後半

ブラームス 交響曲第1番 ハ短調op.68

アンコール

ベートーヴェン 交響曲第7番 第1楽章&第4楽章(抜粋)



軽井沢にて避暑してきました。 [雑感]

事の発端は、数か月前に、あのジョン&ヨーコが愛したホテルである軽井沢万平ホテルから一通のDMが来たことに始まった。

2年前のGWに、このホテルを体験したくて宿泊したことがある。軽井沢をこよなく愛したジョン&ヨーコが定宿して使っていたホテルを体験してみたくて。

軽井沢という緑の囲まれた自然豊かな土地に佇む日本を代表する建築物でもある。

もちろん体験日記を書いた。

そんな経緯があって、自分の住所もDMメーリングリストに入っていたのであろう。

そのDMとは?


なんでも、期間限定(7/15~11/27)で、ベルギーワッフルの老舗「ダンドワ」と初コラボレーション!と題して、特別なコラボレーションワッフルをカフェで出すというお知らせなのだ!

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なんと粋なはからいなんだろう!!

今年は日本&ベルギー友好150周年というセレブレートイヤーなのだが、ベルギーっていまいちマイナー(失礼:笑)なので、このお祝いが周知されていないような、知る人ぞ知る(笑)という感じを昨今抱いていた。

それが、この軽井沢万平ホテルが、ベルギーを取り上げてくれて、こういう洒落たおもてなしをやってくれたのが、たまらなくうれしかった。

これは行かなきゃなぁ。

この老舗「メゾン・ダンドワ」は、1829年にベルギー・ブリュッセルで創業した焼き菓子店なのだそうだ。

このコラボワッフルは、2種類ある。

「和」

和三盆の上品な甘みと、ゆずの香りがアクセントに効いた一品。抹茶のアイスクリームと自家製あんこの絶妙なバランス。

「伝統」

ロイヤルミルクティのアイスクリームと信州りんごのタタン風。

どちらも1500円。

せっかくこんな粋なはからいをしてくれたのなら、ぜひ、その好意を受け止めたいところだが、これを体験するためだけに、軽井沢に行くのも、なにか、もう1品足りない感じ。

もちろん東京から新幹線で、1時間くらいで、往復1万円で行ける、じつは意外と近い街。

でもイベント日記とするなら、もう1品加えたい。(昔、雲場池の紅葉を見たいというだけで、衝動で行ったことがあり、見事に外れた経験がありますが。(笑))

それで、しばらく放っておいたら、偶然、軽井沢大賀ホールで、贔屓にしているジャズシンガーのケイコ・リーさんが、軽井沢ジャズフェスティバルに出演するという情報をつかんで、これだ!という感じで即決。

このときに、このワッフルも体験することにした。

こんな経緯できまったイベントなのでした。

急遽決めたヨーロッパ音楽旅行の準備で大忙しであるが、行かねばなるまい。



ひさしぶり2年振りに体験する軽井沢万平ホテル。

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緑の自然の中に佇む、なんと美しい造型なのだろう。

とても古い建物なので、年末から来年3月に向けて改修休館に入ってしまう。
それも踏まえての訪問となった。

フロントは、相変わらずの暗めの空間。

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そのフロントに面しているところに、カフェがあるのだ。

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室内はこんな感じ。

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あの1番奥にある座席が、ジョンとヨーコ夫妻の定ポジションだったそうだ。
朝早くかけつけたが、先客がいて残念。


でも、なぜか、外のカフェテラスのほうに案内された。
結果的には、こちらのほうが大正解!

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都会の喧騒にいる身としては、もう信じられないくらい、天国にいるような別世界の空間。
天気も快晴で、こんな緑の空間の中で、鳥のさえずりが聴こえたりするのだ!

背後はこんな感じ。

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さっそくオーダー。まず、このコラボワッフルの「伝統」のほうをオーダー。
そしてドリンクには、このホテルにジョンが伝授した(オザワさんというシェフに伝授したと前回聴きました。)、このホテルの定番のロイヤルミルクティを単品で頼む。

そして、この図。(笑)
美しすぎる!

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このいまいる空間とこのメニュー、最高の贅沢ですね。

なんか、その”とき”を楽しむという余裕もなく、あっという間に食べてしまったような気がするが、ワッフルは、もちろん美味しかった。ワッフル自体は、そんなに特別に違うという感じではなかったが、でも、アイスなどのトッピングが、絶妙なバランスで絡んできて、とてもいいアクセントを醸し出していた、と思う。

ロイヤルミルクティは最高だったなぁ。普段あまり飲みませんが、ここのはやはり特別でした。


そそくさとおいとまして、散歩がてらに徒歩で軽井沢大賀ホールに向かう。

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まさに自然の中の別荘地帯。すごい空間にいるな、とつくづく。
森林浴をしながら散歩している感じであった。


そして。。。じつにひさしぶりの軽井沢大賀ホール。
ここも2年ぶりくらいだろうか?

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やっぱり都会のコンサートホールに通い続けている身分としては、このホールは、本当に美しすぎる。本当に自然の中に佇む、という感じで別格の存在感がある。

軽井沢というイメージにぴったりのホールの造型だと思う。

軽井沢大賀ホールの年間のコンサートスケジュールを俯瞰すると、2年以上前は、毎年通っていたので、わかるのだが、年間で1番最高のコンテンツなのは、GWの春の音楽祭。この期間はプロの音楽家、オケなどが集まって贅沢なラインナップになる。

自分もこの春の音楽祭に通ったことがあるのだが、ちょっと残念なのは、春という季節。

緑が乏しくて、まだ自然が成熟していない時期なので、ある意味ちょっとがっかりしたりするのだ。
やっぱり軽井沢という街が1番似合うのは、夏のシーズンだと断言できる。

いくらコンテンツが優秀でも、都会のラインナップを経験できる身としては、あえて軽井沢と言う場所で経験するなら、絶対夏のシーズン方がいい。

夏には、軽井沢国際音楽祭というのがある。

自分も経験したことがあるが、当時は、プロ・アマ合同という広い切り口でのイベントで爽やかで微笑ましい感じのコンサートであった。

軽井沢大賀ホールは、どちらかというと若手演奏家の育成、誰もが気軽に楽しめる安価なチケット代というところにフォーカスをあてていて、商業色が比較的薄い感じがしている。

GWの春の音楽祭のときのみが、都会並みの商業色と言おうか。

そんな軽井沢大賀ホールは、やはり夏が似合う。
緑の自然がまぶしい。

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カフェのあかねやさんも健在。ドリンクが400円で飲める!

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そして大賀ホールの前方は、湖が一面に敷かれていて、この夏のシーズンはあまりにも美しすぎる!

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今回経験するのは、軽井沢ジャズフェスティバル。

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自分は、知らなかった。(ジャズはもちろん好きですが、最近はあまり聴いていません。)

5年前から始まったジャズ祭のようで、軽井沢、そして大賀ホールへの想いが深かったジャズの名プロデューサー 伊藤八十八さんが自分で立ち上げたジャズ祭のようだ。(伊藤さんは2年前に亡くなられたようです。)

出演しているミュージシャンの方のMCでも、しきりに、この伊藤さんの名前を出す方が多く、志半ばで逝ってしまった無念さは慮るところがある。やはりゆかりの多い方が出演されているような感じがした。

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ジャズについては好きだけど門外漢というか偉そうなことは言えないので、控えめにするが、やっぱりジャズは夏が似合うという感じがする。

あの独特のリズム感、スウィング感は、聴いていると、口元がさみしいというか、冷たいビールをくぅ-といきたくなる。(笑) ツマミも。やっぱりクラシックホールで、品行方正の姿勢で聴く音楽じゃないという気がする。

自然と左足がリズムを取っているみたいな感じ。

ジャズなので、PAサウンド。

クラシックのコンサートホールを使ってのPAサウンドというのは初体験かも。
自分は、昔はライブレストランによく通って、そこでジャズを聴いていました。

PAサウンドというのは、野外のドームコンサートというイメージが強くて、

・耳をつんざく大音量で歪まくり。
・音が割れている。
・電気っぽい音

という感じで、ほとんどいいイメージを持っていない。

大賀ホールでは、ステージの両サイドに、こんな感じでSPが置いてあった。ホール内にも小型SPが設置されているかも、だが。

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サウンドの印象は、最初の時は、どうも音の出どころがわかる感じで、せっかくのこの広い空間のホールなのに、両サイドのSPから音が出ているという感じがわかりすぎて違和感があった。

やっぱり”音離れ”というのは必要ですよね。

でも、後半になるにつれて、ミュージシャンのレベルが高くなるにつれて、そういう違和感が消え去った。ふつうにSPからの出どころがわからない感じでいい塩梅だと思った。

音量もすごいケアされていて、耳にこない許容範囲内でよかった。 
歪んでいたり、電気っぽい感じもあまりなく、自分がイメージしているPAサウンドよりもずっと洗練されていて、これはPAエンジニアが優秀なんだな、と感じたところだった。

演奏は、みなさん、すばらしいミュージシャンばかり。うっとりさせてくれたが、感じたのは、やはり外国人ジャズ・バンドって、肉食系サウンドというか骨太というか、ジャズの根底に関わるがっちり感が日本人バンドと比較して、やっぱり違うな、と感じたことだった。

今回のお目当ては、ケイコ・リーさん。 
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名古屋にベースをおくジャズシンガーで、自分は数年前に、彼女のコンサートの追っかけをしていた。(笑)

ブルーノート東京、ビルボードライブ東京、STB139(スィートベージル:いまはなくなってしまいましたが。)、モーションブルーYOKOHAMA、とか、皆勤賞だったりした。(笑)

いわゆる美声とか、という感じではないのだが、かなり個性的な歌い方をする魅力的な歌手だと思っていた。

彼女のCDは結構録音がいいのが多いのだ。拙宅オフ会で、結構一発目のつかみでかける場合が多い。

結構お茶目な感じで、洒落がわかるアーティストだと思う。

もうしばらく聴いていない。

赤いコスチュームで超ミニスカートにかなりドキっ(笑)
相変わらずスゴイ細くてスタイルいいなぁ。

ひさしぶりに聴いた彼女の歌声。エコーがすごいかかってた。(笑)
昔の想い出が一気に戻ってきて、全開モード。
あの頃を思い出してきた。

やっぱり変わってない。

でも歌っている曲は、知らない曲が多かった。(笑)
キーボード(ピアノ)の野力さん、覚えていたよ。まだずっと彼女のパートナーやっていたんだね。

驚いたのは、彼女がMCをやったこと。
彼女は、ふだんはMCをやらない人なのだ。

苦手なのか?、ある意味、プロフェッショナルに徹したいのか、ひたすら演奏、歌い続けてショーを作っていく、そういうシンガーなのだ。過去に追っかけをやっていて、彼女のMCを1回も聴いたことがない。

今回、やはり特別の音楽祭で、みなさんMCやるのに、自分だけという訳にもいかないのだろう。
なかなかよかった。貴重な体験だった。

特に伊藤プロデューサーのことに言及していたときが、ジーンときました。


とにかく夏フェスなので、長い!たくさんのミュージシャンが出演して堂々の4時間半。

なかなか終わらないので、ヤキモキして、いったんホールを抜け出して、駅(ホールに近い。)で帰りの新幹線チケットを延長して、事なきを得たのでした。

いやぁ、中身の濃い大変な1日でした。


PENTATONEの新譜:アラベラ・美歩・シュタインバッハー&モンテカルロ・フィルのヴァイオリン名曲集。 [ディスク・レビュー]

待望のアラベラさんの新譜が届いた。今回もPENTATONEのWEBで購入したので、正式リリース より1か月早く入手してレビューできる。

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いつもであれば、「アラベラさんが新譜のレコーディングに入りました」、というような写真付きの近況報告が、彼女のFB公式ページや、PENTATONE&ポリヒムニアのFB公式ページにアップされるはずなのだが、今回の新作は、それがなかった。

変だなぁ?と思っていたのだが、どうも前作のヴィクトリアホールでの録音(メンデルスゾーン&チャイコフスキーのコンチェルト)とほぼ同時期(2014年9月~10月)に録られたもののようで、録音場所こそ違うが、いわゆる同時期のまとめ録りで、寝かせておいて、時期をずらしてリリースという感じのようだった。

今回のお相手は、ローレンス・フォスター指揮モンテカルロ・フィル。

モナコのこのオケは、自分は、あまり過去に聴いてきたという記憶がなく、どんな演奏をして、どういうオーケストラ・サウンドなのか、イメージがつかめなかった。

でも1853年創立というから、超歴史のあるベテラン・オーケストラで、ヤノフスキ、クライツベルクなどのPENTATONEでもお馴染みの指揮者も芸術監督を務めてきた。今回のローレンス・フォスター氏も1980年から10年間、このオケの芸術監督を務めてきて、今回満を持しての登場だ。

今回は、ヴァイオリン名曲集。 

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ツィゴイネルワイゼン、タイスの瞑想曲、ツィガーヌ~ヴァイオリン名曲集 
アラベラ・美歩・シュタインバッハー、ローレンス・フォスター&モンテカルロ・フィル

http://goo.gl/gCLvBW


アラベラさんは、正直、中堅どころといっていいくらい、キャリアが豊富で、過去に録音してきたライブラリーも、もうほとんどのヴァイオリン作品を録音してきている。

だから、次回は、どんな感じの作品なんだろう?

あと何があるのだろう?という感じだった。

カルメン幻想曲(ワックスマン)、ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)、タイスの瞑想曲(マスネ)、 揚げひばり(ヴォーン・ウィリアムズ)、ツィガーヌ(ラヴェル)といった、もう珠玉の名曲といっていいくらい、ヴァイオリンの堂々たる名曲中の名曲を集めたコンセプチャルなアルバムとなった。

やっぱり、こういうコンセプト・アルバムを出せる、ということ自体、彼女の近年の充実ぶり、ステータスというのがよくうかがい知れる。

アラベラさんは、アルバムの中で、ライナーノーツを寄稿していて、通常ヴァイオリニストのアルバムというと、協奏曲かソナタに重きを置くという選択が多く、このようなヴァイオリンの名曲による小作品というのをターゲットにすることは、なかなか機会がないし、また演奏会で、演奏する機会も少ない。本当に若い頃の研磨の時期に演奏した経験があるだけで、特にカルメン(ワックスマン)のようなサーカス的なテイストの作品を、いまの自分がさらい直すには、自分はあまりに年を取り過ぎている、という葛藤を感じていたそうで、指揮者、ローレンス・フォスター氏から、あのハイフェッツにしても40歳を過ぎてからこの曲をさらったのだよ、という説得にて、彼女は大きく考え直して軌道修正したことは、まさにローレンス・フォスター氏によるところが大きいと謝意を述べている。

こういう奏者の心の葛藤のプロセスを知ると、ますますこの作品の聴き込み、理解度が深いところまで達するように感じる。

まず、録音評から。

1発目の出音から驚いた。カルメンの、例の超有名な「行進曲」の部分なのだが、オケの音の厚み、サウンドの実音に響き、余韻が伴ったみずみずしい潤い、ふっと沈み込む感じのオケの重量感。。。

こりゃいいんじゃないの。(笑)

優秀録音!うれしくなった。1発目の出音が、これだと最高にうれしい。

別に彼女の大ファンだから、ということで、贔屓目に評価している訳でもなく、純粋に素晴らしい録音だと思う。

彼女のヴァイオリンは、どちらかというとマイクから距離感がある感じで捉えられていて、オケとの遠近感が、結構生演奏っぽく、生演奏を観客席で聴いているようなリアルな感じで聴こえる。

ふつうのヴァイオリン協奏曲の録音だと、ヴァイオリンもしっかり前に主張して聴こえ、オケも前に出るような、両方が両立するような感じのオーディオ・ライクに仕立て上げられている録音が多いのだが、今回は、ヴァイオリンが少し引いて遠くに聴こえて、オケが圧倒的にボリュームのあるサウンド、そんな感じに聴こえる。


とにかく魅かれるのが、オケのサウンド。

5.0サラウンド独特の圧倒的なボリューム、重量感があって、ダイナミックレンジが広い、音数が多い、この感覚。

レンジが広く、全体に厚みがあるのは、リアを、補完的な役割ではなくて、全体を鳴らす上で、結構、全体のメイン・サウンドの一部を構築しているように有効に使っているからではないか、と感じた。

録音した時期が、2014年なので、Auro-3Dでの録音ではないと思うのだが、でもそう思っても不思議ではない空間の広さも、さらに感じるのだ。

録音場所は、モンテカルロ、レーニエ3世オーディトリアムで、自分は知らないのだが、録音を聴いている限り、かなり広い空間で録っているようなそんな空間感が確かに感じ取れる。

空間を感じ取れて、それで、オケ・サウンドにボリューム・重量感があるので、かなり自分的にはクル。

マイクセッティングではAuro-3Dは使っていないけど、編集時で、なにやらそういう類(高さ情報を加える)のエンコードをしているんではないだろうか?

音質も従来の温度感高めの質感の柔らかいサウンドと違って、硬質とまではいわないけれど、やや締りがある感じ。

録音スタッフは、編集もミキシング(バランスエンジニア)もエルド・グロート氏。

もうずっと彼女を録ってきている彼女の音を造っている永遠のパートナー。

彼女の作品をずっと聴いてきているが、出すたびに録音がどんどん洗練されてきて、今回が1番洗練されていて、いいんじゃないかな?

そこまで言い切れる。

やっぱり録音・編集技術の日々の進歩が、作品を出す度に、その真価が現れるような気がする。

なによりもヴァイオリン名曲集というコンセプトがとてもいい。誰もが聴いたことのある名曲中の名曲で、聴いていてとても気持ちがいいし、毎日、何回でも飽きなくトレイに乗せたくなる感じ。

彼女のテクも相変わらず素晴らしい。

レガートの効いた美しい旋律の泣かせ方、連続するピツィカートやフラジオレット。聴いていて、ヴァイオリンは「歌う楽器」ということを聴く者に説得させるだけの演奏表現は素晴らしいと思う。

なにか褒めてばかりだが(笑)、あまり気に入らない点が見つからなかった。

今年の9月に来日する予定の彼女だが、この作品を聴いて、尚更、彼女の「ヴィジュアル・クラシック」を堪能できるのが楽しみになった。


ザルツブルクの最大手チケットエージェンシー Polzerの倒産! [雑感]

昨晩の深夜に知った。驚いた。Polzerと言えば、ザルツブルク市内の最大手のチケットエージェンシー(チケット販売業者)で、60年以上の老舗。彼らの最大の顧客は、もちろん世界最大の夏の音楽祭のザルツブルク音楽祭。

この音楽祭のメインパートナーである。

ザルツブルク音楽祭に行ったことのある人、常連さんだったら、このPolzerを知らない人はいないだろうし、必ずここでチケットを購入したことがあるだろう。

なんでもオーストリアでは、先週の金曜日にニュースが流れたらしい。

破綻金額は600万EURO。今年の夏も900人に、ザルツブルク音楽祭のチケットを売っていたらしい。こういう事態になって、発券不可のパニックで、その対策に大わらわ。

ボクは、3年前のザルツブルク音楽祭に行ったときに、このPolzerを利用したことがある。

現地のPolzerでチケットを受け渡ししてもらったので、現地のPolzerに入ったことがあるのだ。
ザルツブルク大聖堂の前にある広場に面したところに立っている。

当時ボクが撮影したPolzerの店構えの写真。
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店内はこんな感じ。
(以下の2枚は、彼らのFBでの公式ページから拝借しています。)

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扱う公演のパンフレットがいっぱい。
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当時のザルツブルク音楽祭では、最大の看板公演だった、人気テノールのヨナス・カウフマンのヴェルディの「ドン・カルロ」。

もうこれは発売と当時に、瞬殺ソールドアウト。ボクは後発だったので、もうその後の、いわゆるプレミアチケットを捜すしかなかった。

ここら辺のチケット争奪大作戦は、当時、日記で連日連載したので、みなさんも記憶にあるだろう。

人気絶頂のカウフマンだから、もう大変だった。プレミアチケットは10万円以上が当たり前の相場だった。なかなかキャンセル待ちが出なくて、ネットにも出なくて、完全にあきらめていたところ、出発の1週間前に、奇跡的にもPolzerに出ていたところを入手できたのだった。値段も、予想外の4万円台での良席。

このPolzerのザルツブルク音楽祭のチケットの売り方って、メインの公演の他に、もう1枚、促進用という感じで、サブの公演とペアで抱き合わせ商法のような感じで売っていたことを思い出した。このドン・カルロも他公演との抱き合わせで購入した記憶がある。(日本の仲介業者に調整してもらった淡い記憶がある。)

これで、天下のザルツブルク音楽祭の最大メインのオペラである「ドン・カルロ」を鑑賞できた。

生で、カウフマンを観れたのも、これが初めてだった。

音楽の神様は、我を見捨ててはいなかった。

そのPolzerが倒産とは!

ザルツブルク音楽祭で、一生メシが食べていける、音楽祭絡みのチケットビジネスって儲かると思っていたから、まさか倒産って驚きの一言だ。

ザルツブルク音楽祭も、年々その神通力が落ちてきていて、ビジネスとしても厳しい一面があるのだろうか。。。そんな余波がPolzerにも及んできたに違いない。

とにかく倒産で発券不可になった債権となったチケットの扱いと顧客に対する対応。
正式なメール配信は来週らしいから混乱あるだろう。

でも、Polzerなくなったら、今後このザルツブルク音楽祭に行きたいときは、どこのエージェンシーを捜すのか、これまた音楽ファンにとっては、頭の痛いところだろう。1番確実なのは、ザルツブルク音楽祭の公式HPで、購入することですかね。もちろん抽選ですが。そして完売公演でプレミアチケットを捜すときは、こういうチケットエージェンシーを捜すしかないのだろうか。細かいことを言い出すと、いろいろノウハウはあるのだが。

う~ん、世も末だ。


ゲゲゲの鬼太郎のまち、調布。 [雑感]

8月ののだめコンサートの東京での初公演の地として調布が選ばれ、その公演に行く予定なので、ちょっと調布のシンボルであるゲゲゲの鬼太郎の銅像の写真を事前に撮影しておこうという軽い気持ちだった。

調布駅の前に立っているものだと楽観していた。

我々にとっても、調布といえばゴローさんのまちである。

漫画家の水木しげるさんのお住まいが調布にあり、調布のまちは、ゲゲゲの鬼太郎のまち、として超有名なのだ。

ずいぶん前だが、水木先生の自伝的ドラマであるNHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でもロケ地としてこの調布は選ばれ、映像に残っている。

自分の目的は、たぶん駅前に立っている銅像を撮るだけ。だから所要時間15分で済むものと思っていた。

いざ行っているとそのようなものはない。通行人に聴いても「さぁ?」。

困った。

さっそくスマホで「ゲゲゲの鬼太郎の銅像」で検索してみる。

すると、そのような銅像があるのではなく、もっと調布散策のようなサイトで、そこのゲゲゲに登場する妖怪たちの置物が街の通りにあることがわかった。

これだな!

急遽目標変更。これを撮影することにした。

さらに調布散策サイトなので、ぜひ足を運ぶべきお寺や食べ物のお店の情報もあり、え~い!時間もたっぷりあるし、このまま調布散策に変更~!(笑)

これも案外簡単に終わるものと思っていたが、ドツボに嵌るきっかけになろうとは!

スマホを見ながら、見知らぬ街を徘徊し始める。

まず、ゲゲゲの妖怪の置物がある通りである「天神通り商店街」。
さっそく鬼太郎がお出迎え。

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ここであろうことか道を間違えて、写真の右のほうに行ってしまった。(正解は左の方の道)

いつまで経ってもゲゲゲの妖怪たちの置物は出てこない。
相当の距離歩いて、不思議に思い、お店の人に聞いたら道を間違えていることが発覚。

しかたなく元に戻る。相当距離があるので、かなり心が折れる。(^^;;
足が棒になった。

ようやく左の方の道を入ると、商店街らしい風景。

ここは布多天神社の表参道になっていて、ここからまっすぐ歩いて奥に進めば、布多天神社がある。
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さっそくゲゲゲの鬼太郎がお迎え。これを撮影したかった!

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商店街は、かなり時代を感じてレトロな雰囲気。

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ここからゲゲゲの妖怪たちのキャラクターがどんどんお出迎えしてくれる。

つぎにねずみ男!
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そして塗り壁。
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さらにねこ娘&一反もめん。楽しい~♪
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このように商店街通りを歩いているとキャラクターたちが一定間隔で並んでいるのだ。(笑)
まさにゲゲゲのまち!

そして商店街のお終いのところに、布多天神社。
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このここ布多天神社は、学問の神さまで名高い菅原道真が祀られていて、調布市のパワースポット神社として、知る人ぞ知る神社。時期になると、受験生や受験生の家族がお参りに。

「調布」という地名の由来となった、歴史ある神社なのだ。

ここ布多天神社は歴史的にもパワースポット的にもすごい場所なのだが、水木しげるさんの「墓場鬼太郎」の中で、神社の奥の雑木林に鬼太郎が住んでいるとされていて、漫画好きっ子の中では「鬼太郎の住んでる場所」として有名なのだそうだ。


さらにここからこれまた調布の有名な寺院である深大寺を目指す。
調布といえば、深大寺!そう!「鬼太郎茶屋」は必須のスポットなのだ!

この布多天神社のお巫女さんに、深大寺への道を尋ねる。

「歩いていくんですか??(驚)調布駅に戻ってバスで行ったほうが。。。」と言われるが、もう1人の巫女さんに地図をコピーしてもらい、男性なら20分位で行けます、と言われ、鵜呑みにして歩いていくことにした。

これが大失敗だったな。深大寺は、絶対調布北口からバスで行くべきです。

地図通り、かなり長時間歩くと、だんだんわからなくなって人に聞いたりして、さらに自分で勘違いして1本道を間違えて、気づかずに長時間歩き続ける。

さすがにまったく気配がないので、お店に入って聞いてみると道を間違えたことに気づく。
この長時間歩いてきたところを、また元に戻る!くぅぅ~。これで今日2回目。心が折れる。

もう足が棒。

しかたなく戻って、今度は正しいのだが、坂道をひたすら昇る。キツイ!
さらにお寺の入り口が分かりにくく、行き過ぎてしまう。

もうなんか疲れたぞ、おじさんは。

やっとお寺の入り口にたどり着いて、中に入るのだが、さらに広いんだな、これが。(笑)
お寺にたどり着くまで、スゴイ歩く。もう限界だぞ。

途中、恵比寿さんを発見。
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さらに深大寺の入り口に向かって歩いていくと(かなり歩く)、ここら辺って、結構お蕎麦屋さんがたくさん乱立しているのだ。


ようやく深大寺に到着。

入った入り口のところに、スポットの「鬼太郎茶屋」を発見。
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ガーン。店はやっているが改装工事中であった。(笑)
ツイていないときはこんなもんだ。

鬼太郎グッズが売っているお店の入り口。
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店内。
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目玉おやじ饅頭とか妖怪かき氷とかある。(笑)
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そして鬼太郎とねずみ男。
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自分はとにかくクタクタなので、鬼太郎カフェで休憩したく。


鬼太郎カフェ。
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自分が頼んだのは、目玉おやじのクリームぜんざい。
真ん中にあるのが、目玉おやじ。(笑)
美味しゅうございました。
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店内に、水木しげるさんの写真。
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店を出ると、鬼太郎キャラ勢ぞろいの看板で出迎え。
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木の上にある巣箱には、鬼太郎&目玉おやじが!
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さて、深大寺に入る前のレトロな出店たち。
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ここが深大寺。なんと新婚夫婦が撮影でいらしていた。
深大寺は、朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」のロケ地となっていて、縁結びとして有名なお寺。

そういうこともあって、こうやって新婚夫婦がいることも多いのでしょう。

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こちらが御祈願、おごまなどのご本尊があるところですかね。
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じつは深大寺は、深大寺そばとして、やはり蕎麦の名地なのだそうだ。
来るときに、たくさんのお蕎麦屋さんがあったのもうなずける。

深大寺門前、深大寺のウラもだが、お蕎麦屋さんが20件ほどあり、どのお店もこの地で長くやっているであろう佇まい。それもそのはず。深大寺周辺は昔から湧水が湧くことで、美味しいお蕎麦を打っていたってという流れがあるかららしい。

どこのお蕎麦屋さんに入ろうか迷ったが、やはりその湧き水を利用しての打ち込み蕎麦ということで「湧水」というお店に。

すごく日本風で品がある。
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結構お蕎麦が出てくるまで、すごい待たされて、やはりいちから打ち込んでいるんだな、と納得。
おススメの「湧水天盛り」に。
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9割蕎麦、こちらで手打ち。そばの香りは、そんなに強くないけれど、のどごしよく、スルスルでウマい。天ぷらはサクサク揚げたて。これはいけるねぇ。松本の蕎麦に負けていないと思うよ。


これで、すべてのミッション・コンプリート。
もちろん帰りはバス。(笑)

お寺の入り口が、すぐ大きなバス停になっているので、わかりやすい。
バスを使うと、あっという間に駅に着いたのでした。
ちなみに、水木しげるさんは昨年お亡くなりになられ、そのお墓がこの調布の覚証寺というお寺さんに存在する。このお墓が、また水木さんらしいというか、鬼太郎とねずみ男が前方に配置されて、妖怪たちに囲まれてお眠りになれているのだ。さぞかし安らかにお眠りになられているのだろう。

 
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(ネットから拝借した写真です。)

そして、のだめコンサート、東京公演が開催される調布市グリーンホールをパチリ。
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しかし、ほんの駅前にあるはずの銅像を撮ろうと思っただけの出来心で調布まで来ましたが、終わってみれば、半日かけての調布観光。(笑)

しかも2回も大きく道を間違えて、足は棒状態。

いま帰宅しても、足がジンジン熱くて、アイシング。たぶん明日は間違いなく筋肉痛だろう、おそらく。(笑)


BISのピアノ録音と、エフゲニー・ズドビンというピアニスト。 [ディスク・レビュー]

DG録音は、ピアノ録音が美しく録れていることが大きな特徴だが、BISの録音も決して負けていないと思う。同じ美しいピアノ録音でも、DG録音とBIS録音では、テイストが違う。

DGサウンドは、いままで何回も書いてきたけれど、芯のある骨格感のあるサウンドが彼らの身上で、硬質で、研ぎ澄まされたようなピアノの音色。鍵盤のタッチの音、弦を叩くハンマーのフェルトの音、弦の響き、響板の響きの音、そしてペダルノイズやブレスなどの演奏ノイズまで聴こえてきそうな漆黒の中のサウンドと言うべきか。

ピアノの音が濃いというか、1音1音に質量感がある、タメの重みの感覚がある、そんな密度感の濃いイメージ。そこに響き&余韻が加わり、じつに美しい。

もちろん盤(録音)によってバラツキもあるが、このピアノを録るセンスは、エミール・ベルリナー・スタジオのエンジニアたちの天性の才能だと思いますね。

いにしえの著名ピアノストから、新鋭ピアニストに至るまで、みんなDGと専属契約を結んでしまうのも、よくわかるような気がする。

BISの録音は、ちょっと趣が違うのだが、これまたピアノの音色がキレイで、自分は大のお気に入り。

BISサウンドは、ワンポイント録音という表現がよく似合う。マイクからの程よい距離感があって聴こえ、ダイナミックレンジが広いこともあって、録音レベルも低め、全体的にクールダウンした温度感低めのサウンド。

でもBISのピアノは、こういう背景のサウンドの中で、これまたじつに美しく鳴る。

クリスタル、透明感がある感じで、こういうBISサウンドの中に妙に溶け込んでいて美しい。

音の質感や濃さという点では、DGほどではないと思うが、でも響きが柔らかくて粒子が細かい上に、音数も豊富なので、聴感上のバランスがとてもいい。

1番の決め手は、やはりピアノをマルチチャンネルで録っているところだと思う。

これが、全体にダイナミックレンジが広くて、サウンドのステージ感も広がって聴こえて、俯瞰している感じ、バランスよく鳴っているように感じる1番の理由だと思う。

これはDG録音にはない魅力ですね。

そんな魅力的なBISのピアノ録音なのだが、BISレーベルが、デビュー以来、ずっと育ててきている若手の男性ピアニストがいる。

私の大のお気に入り。

ノンノンさんは、女性美人ソリストばっかり、追っかけてるんではないの?という言葉も正しいが(笑)、でも意中の男性ソリストも数多いる。彼は、その中の1人。

1980年のロシア・サンクトペテルブルク生まれのピアニスト、エフゲニー・ズドビン。 
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彫の深い端正なマスクで、すらっとしたイケメン。
草食タイプの男性ソリストという感じだろうか。

スカルラッティ・ソナタ集で2005年CDデビューし、ラフマニノフ、メトネル、チャイコフスキー、スクリャービンなどを得意レパートリーとして録音を残してきている。

クラシック界のプロの商業主義的なところに、あまり洗脳されていないように見えるのも、自分にとって魅力なのかもしれない。

2011年に初来日を果たしており、相変わらず、全く気付かずスルー。(笑)
次回はぜひ足を運んでみたいピアニストだ。

実演に接したことがなく、録音でしか彼を知らないが、高度なテクニシャン。高速トリルなど、粒立ちの揃った音色の美しさは絶品だし、見た目のやさ男風に似合わず、たとえばコンチェルトなどで、打鍵もffからppに至るまで、緩急豊かな表現づけ、結構ドラマティックに魅せる。でも、やはり、どことなく端正な弾き方に感じてしまうのは、やはりイメージ通りなのかも。(決してじゃじゃ馬タイプではない。)

とくに静寂でメロウな旋律を弾かせたら、彼の境地、絶品だと思う。

2010年ころからか、ずっと彼のBIS作品を聴いてきて、いい録音だなぁと好印象をずっと抱いていたところ、ここ最近リリースされた2枚が、決定打になって、これはひとつ彼の日記を書かないとダメだと思った訳だ。 


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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 
スドビン、ヴァンスカ&ミネソタ管

http://goo.gl/Y6qKPt


ヴァンスカ&ミネソタ管とのコンビで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集のプロジェクトをやり始め、その一環のアルバム。

これは衝撃だった。じつにピアノの優秀録音そのもの。ズドビンのBISピアノ録音を一言で表現しろ、と言えば、やはりクリスタル、透明感の一言だと思うのだが、その彼のイメージを最初に経験した1枚だった。サウンド全体としては、ソリッド気味で、オケの音ももう少しふくよかな音場感があってもいいかな、とも思ったが、全体的に硬質で締まったサウンドですね。

大変な愛聴盤です。

録音時期:2011年6月 / 2012年5月、6月
録音場所:ミネアポリス、オーケストラ・ホール

音声エンジニア:ジェン・ブラウン(ベートーヴェン)、トーレ・ブリンクマン(モーツァルト)
編集:ジェフリー・ギン
ミキシング:トーレ・ブリンクマン、ロバート・シェフ 



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ピアノ協奏曲第4番、第5番『皇帝』 
スドビン、ヴァンスカ&ミネソタ管弦楽団

http://goo.gl/wJzq2O

これも、ヴァンスカ&ミネソタ管とのコンビで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集のプロジェクトの一環。

これは、ズドビンのコンチェルトものでは最高傑作。先述の3番より、洗練されていると思う。
コンサートホールの空間がよく録れていて、ホールトーンもふんだんに入っていて、なによりオケが発音したときの音場感がすごく豊富。部屋中に拡がる感じ。音質は、3番に比べて、やや柔らかめという感じだけど、自分はこちらのほうが好みかな。オケのスケール感、広大な感じと、ズドビンのクリスタルなピアノが見事に両立して、最高。超ヘビロテです。

ベートーヴェンのコンチェルトの4,5番と言えば定番中の定番で、数多のピアニストの作品を聴いてきたし、CDもたくさん持っているけれど、自分は、やはり「新しい録音」が好きなので、この盤が自己最高。

過去に何回も言及してきたことだけれど、こういう録音を聴くと、過去の名演、名盤というのが、自分にはすごく色褪せたものに感じてしまう。

彼らの名演をそしるつもりはなく 録音された時制を考えれば、実に素晴らしいクオリティの録音だということに異論はない。

だが しかしだ。。。 しかし そのクオリティは 何十年前にすでに明らかに聴きとれた。
今聴いても、何十年前に思った以上のものが 新たには感じられない。

新しい録音には、何十年前には捉えることの出来なかった「音のさま」があって、デジタル再生の世界や新しい録音技術がその可能性を広げてくれる。そういう価値観のほうが、自分はオーディオをやっていく上で、自分の進むべき道なのだと思う。

もちろん趣味の世界ですから、正論はなくて、個人の嗜好は尊重されるべきだとは思いますが。

そんな想いを強くさせてくれる1枚でもある。


録音時期:2009年1月(第4番)、2010年6月(第5番)
録音場所:ミネアポリス・オーケストラ・ホール

音声エンジニア:ハンス・キプファー
編集:エリザベス・ケンパー、マティアス・スピッツバース
ミキシング:ハンス・キプファー、ロバート・シュフ 


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スクリャービン:ピアノ協奏曲、メトネル:ピアノ協奏曲第3番 
スドビン、リットン&ベルゲン・フィル

http://goo.gl/a19IK3

確かスクリャービンの生誕○○周年のセレモニーイヤーに出されたアルバムで、自分の日記でも試聴記を取り上げた。

この作品は、彼のどの作品よりもピアノの音色のクリスタル、透明感が素晴らしくて、なんか編集時に、締めに締め上げたという感じがする音の硬質感で、シビれた作品だった。

ある意味、生演奏よりもオーディオ的快楽に近い作品だと感じた。

スクリャービンを聴くことも普段少ないが、異国情緒たっぷりのちょっとオリエンタルムード漂う感じの旋律が美しく、新鮮だ。

このアルバムは、インターナショナル・クラシック・ミュージック・アワード(ICMA)2016の協奏曲部門を受賞したのだそうだ。

この作品を聴いてからだ。

自分が今まで、単にいい録音だなぁ、と思っていたピアノのBIS録音が、過去分を調べてみると、みんな、このズドビンの作品だということに気づいたのは。

これから、このピアニストを強く意識するようになった。


録音時期:2013年11月
録音場所:ベルゲン、グリーグ・ホール

音声エンジニア:トーレ・ブリンクマン(Take5 Music Production)
編集&ミキシング:マリオン・シュウェーベル


そして、最新作のこの2作。

この2作品を聴いて、あまりに素晴らしく、こうもずっと素晴らしいピアノ録音の作品をずっと世に出し続けてきた彼とBISレーベルの功労は大きいと思った。

ぜひ日記で特集してみたいと思った。 

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メトネル:回想ソナタ、悲劇的ソナタ、『おとぎ話』集、ラフマニノフ:前奏曲集 
スドビン

http://goo.gl/JOiIaM


ズドビンにとってメトネルは得意中の得意の作品で、デビュー以来ずっと事あるごとに自分の作品に取り上げてきている。

静寂でメロウな旋律を弾かせたら。。。と書いたのも、まさにこの作品のことを言っていた。
特に第6トラックの朝の歌、そして第7トラックの悲劇的ソナタにかけての旋律は、まさに垂涎の体験とも言える美しさで圧倒される。

すでに紹介した3枚と比較すると、サウンド的にずいぶん大きな変化がある。

彼のアルバムは、どちらかというと硬質で解像度重視のカチカチともいえるサウンドなのだが、このアルバムからガラ変のイメチェン。

驚いた。

全体にウォームな感じで、音の角がとれているような丸みのあるピアノ・サウンドなのだ。音のディテールなどこだわらない、というか。正直イメージと違って面喰った。

でも空間も広くて、響きもすごい豊富。これは、これでいい録音なのでは、と感じた。

やはりメトネル~ラフマニノフと続くピアノソロの作品集は、その旋律があまりに美しくて、聴いていてとても癒される。

そこが魅力の作品だと思えた。


録音時期:2009年2,6月、2012年4月、2014年7,10,11月
録音場所:イングランド、ブリストル聖ジョージ

音声エンジニア:マリオン・シュウェーベル(Take5 Music Production)
ジェンス・ブラウン (Take5 Music Production)
編集:マリオン・シュウェーベル、ジェンス・ブラウン
ミキシング:マリオン・シュウェーベル 

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スカルラッティ・ソナタ集第2集 
スドビン

http://goo.gl/BvWaud

自分は、スカルラッティ・ソナタがとても好きで、よくホロヴィッツの定番のアルバムを聴いていた。

ホロヴィッツは、このスカルラッティ・ソナタを非常に好んでいて、自分のコンサートのアンコールなどによく弾いていた。

じつは、ズドビンのデビュー作もスカルラッティ・ソナタ。当時はこのデビュー作が大変な話題になったそうだが、今作はその期待の第2集になる。

バロック時代のこの作品を、モダンピアノを使って、そして最新の音響&録音技術を使う、という古楽アプローチのアンチテーゼのような作品作りなのだが、やっぱり自分はこういうアプローチ好きだなぁ。ただでさえ、この曲好きなのに、さらに近代的でハイセンスな雰囲気が漂っているように思ってしまう。

スカルラッティ・ソナタに関しては、「ホロヴィッツの再来」とまで言われているみたいで、ちょっと業界の宣伝入っている文言かな?(笑)とも思うけど、十分その資格ありと思う。




以上、これだけの彼のアルバムを2010年から5年かけて聴いてきたわけだが、BISレーベルにズドビンあり!という存在感が十二分に感じ取れる。

しかしパッケージメディアのSACD、つまりDSD2.822のマルチチャンネルでこれだけのサウンドが堪能できるのだから、自分はハイレゾなんていらないと思うな。(笑)

ゆうあんさんも言っていたが、自分もたぶんハイレゾのDSDマルチチャンネルの音声ファイルなんて、音質的にパッケージメディアには遠く及ばないんじゃないかな、と思う。

パソコン上で動くコンテンツプレイヤーなどが、5chの音声信号をきちんとデコードして位相も合わせて、オーディオに送り込める、そんな精度のいいもんとはとても思えない。現時点ではハードソリューションには遠く及ばないんじゃないかと。

先日の日記で、ストリーミングが主流になりそうだということも書いたが、よく考えると、リアルタイムにデコードしながら構築していくストリーミングだったら、尚更マルチチャンネル伝送・構築は、困難の極みのような気もしてきた・・・。

ここら辺のことは、いま正直あまり深く考えたくないね。


エルムの鐘交響楽団 演奏会 [国内クラシックコンサート・レビュー]

若い学生のときに、十分遊んでおけ、社会人になったらそんな暇なくなるから。と、よく使われる言葉であるが、全く逆だと思う。暇はたくさんあるけれど、知識、人生の経験がない、金がない学生時代にできることなんて、たかが知れている。大人になって、年を取るにつれて、経済的な力がついて、知識、人生経験も増え、価値観というものがわかってきて、このときにやれることのほうが、もう断然面白いに決まっている。

特に経済力があることが、やれることの幅を広げていて、相当大きい要因と思う。

人生年を取るにつれて、若い頃に比べて断然面白いに決まっている。

SNSの友人のつぶやきにあった言葉で、自分はまさにその通り!、自分の人生がそうだ。と偉く感動した一言だった。

そんな中でも、今考えると、自分の学生時代(大学)で悔いが残るとしたら、学生時代にオーケストラに参加するという経験をしなかったことだろうか。。。

小学生から中学生までの間、クラシックピアノを習っていた。当時男の子が習う”習い事”として、とても恥ずかしくて、学校の友人に内緒にしていたし、嫌で嫌でたまらなかった。だから遠い昔だけど、おたまじゃくしは読めるし、音楽の素養はあると思う。(^^;;(笑)

いま、この歳になって、とても悔いが残るのは、音楽の勉強をしてこなかったこと。(というか、する機会がなかったこと。)学生時代より、ずっと理系人間で、社会人でも技術者の人生を歩んできたので(もう引退しましたが。)、きちんと音楽に対峙して勉強した経験がない。

いま考えても、当時に人生に音楽を選択する余地なんて、まったくなかったので、技術の道を選んだのは必然の結果で、今になって悔いることなんてもちろんない。(当時はバブルの時代で、電気・電子関係は、もう引く手あまたの就職事情だったし、正直、音楽の道はちゃんとご飯が食べていける職業なのか???なところもあった。)

クラシック専門になってからも、独学で、自分の感性で聴いてきた。音マニアなので、どちらかというと、音楽・演奏を解析するというより、音を聴いているところがあって、これはオーディオマニアに対して、よく言われる言葉で、「音楽を聴いているんじゃなくて、音を聴いてますよね?」という有名なフレーズがある。

自分はそうだと思うが、別に恥ずかしいこととは思わないし、逆に普通の人にはない「耳の特技」で自慢にさえ思う。

でもここ最近、この特技にプラス、音楽、演奏家側の知識、感性が加わると、鬼に金棒というか、もうすごい人生が豊かになるんではないだろうか?と思うことだ。

本当に、ここ最近ではあるが、音楽を勉強する、ということを、いまからでいいからしてみたいな、と思うことがある。もう人生の晩年ではあるけれど。。。

そんなときに、学生時代にオケに入っていればな~という想いがあったのだ。

ゴローさんは東大にいたときに、学生オケでヴァイオリンをやっていた。そのときに音楽の素養を学んだ。なんの楽器でもいいから、楽器をやれるということは、絶対音楽の素養を養ううえで必要なことと常日頃言っていた。

NHKの音楽プロデューサー、ディレクターになるには、今後、(オーケストラでの)楽器演奏の経験がプロフィールにないとダメ、とまで断言していた。

まぁゴローさんの場合、学生オケに夢中になったあまり、大学時代の成績はみるみるうちに下がり、卒業の時は最下位だった、と自分で言っていましたが。(笑)

そんな話を、ゴローさんから聞いていたので、学生時代にオケに入らなかったことを非常に悔いた訳だ。でも冷静に考えてみると、やはりその当時、そんな発想は微塵もなかったし、たとえあったとしても、楽器を買うお金や、師匠に師事するお金など、ウチは超貧乏な家庭だったので、論外だったと思う。

人生の選択において、いまの自分は必然のなりゆきで、全く後悔などしていない。

前置きが長くなったが、我が母校の北海道大学(通称北大)には、もちろん学生アマチュアオーケストラがあるのだ。そして、その北大を卒業したOBたちが東京都内で集まって、都内でアマチュアオーケストラの活動をしている、という噂を前職時代の同期の友人から聴いていた。



「エルムの鐘交響楽団」


創立は、1994年に初の演奏会ということで、もう22年目に突入で、大体年に2回ペースの演奏会で、今回が33回目になる。

相当昔から活動していたが、これまた自分はつい最近までまったく知らなかった。

約90名の団員のうち、北海道大学交響楽団OBは約3割にすぎず、 大部分はこのオケの「音色にこだわり、アンサンブルを楽しむ」という ポリシーに共感して集まった仲間たち、というのが実情のようだ。

また、読響の元ソロ・コンサートマスターである藤原浜雄氏を招いた「アンサンブル合宿」、金管アンサンブルなど、演奏会以外の活動も活発に行っている。

さらには2013年には、イタリア・ビトント市で特別演奏会を開催した、というから、そういう国際的な活動もやっているとは驚くばかり。

北海道大学には、時を告げるためにエルム(ハルニレのこと)の木に ぶら下げて使っていた「エルムの鐘」というのがある。(確かに私の在学時代にもその存在は知っていた。)

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設立の際、発起人たちの「北のロマンチシズム」を表現したい というこだわりを象徴する名前として、「エルムの鐘交響楽団」とした。

演奏曲目も、北の大地のオーケストラらしく、北欧・ロシアものなどのほか、普段アマチュアが取り上げる事の少ない曲目にも積極的にチャレンジしている。

そんな情報を仕入れていたので、ぜひ我が母校のオケを聴いてみたい、という想いが募って、この日の公演を楽しみにしていた。

アマオケ(アマチュア・オーケストラ)を聴くなんて、いつ以来だろう?

mixiに入会した2009年ころに、オーディオ&クラシックのマイミクの友人と、毎週アマオケの演奏会に通っていたことがある。

懐かしすぎる!それ以来ではないだろうか?

演奏会場は、東京中野にある「なかのZERO」の大ホール。33回の演奏会は、ほとんどここで開催されている。自分は、中野という街は、ほとんど来たことがなくて、縁のない街なのだが、演劇や演芸、マンガ・アニメなどサブカルチャーに至るまで、東京の文化的拠点のひとつといえる街だと思う。

この日、街中を歩いていて、思ったのは、結構商店街や飲食店、居酒屋が多くて、和風な感じの街だなぁ、と思うこと。

彼らの拠点が、この街であり、このホールなのだ。


なかのZERO大ホール

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超驚きだったのは、その集客力!

はっきり申し上げると、「エルムの鐘交響楽団」として、なにか大きなプロモート宣伝を普段しているか?というと全くノーで、自分もほぼ1年前にこの楽団の存在を知って、FBの公式ページを登録したりしていたのでだけれど、広告、プロモートなど全くなし、と言っていい。

自分の事前の予想では、ガラガラの閑古鳥かな~ぐらいに思っていたのだが、ところが、である。
ホール開場前に並ぶ行列が、どんどんみるみるうちにご覧のように長蛇の列。

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結局キャパ1292人の大ホールは、ほぼ満員御礼なのである!(驚)

普段告知、プロモートなどをやらないアマオケで、ここまで集客力があるっというのは、ぶったまげた、と同時に我が母校を誇らしげに思った。

スタッフの人に聞いたら、今回に限らず、数年前から、おかげさまで大盛況なのだそうである。

告知・プロモートなしのアマオケで、ここまで毎回集客力があるということは、やはり北大OB、所縁のある方々が、リピーターになって通っている暖かい支えがあるからなのだろう。

公演チケット代金は1000円。とくに彼らのHPにあるPDFのちらしを持ってきてくれれば、チケットと交換で無料だという。(自分はこれにしました。)

自分の住所などを登録すると、次回の演奏会の案内も定期的に届く。

こういうシステムから、やはりリピーターがきちんとできやすいようになっているのだと思う。
(広告なしで、これだけ満員の大盛況というのも、ここ数年でのこういう地道にリピーターを増やしていったという結果の賜物なのかもしれない。)

でもたったの1000円、もしくはちらしと交換で無料というのは、もうチケット収入での運営なんて、まるで考えていなくて慈善事業のように思えてしまう。(笑)

アマオケは、団員たちは、みんな普段の仕事を持っている人達の集まりで、サブ活動としてオケをやっているに過ぎないのでボランティアのようでもかまわないんだろうな。


ホール開場。

ホワイエ

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そしてホール

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区民ホールという位置づけなので、さほど???と予想していたが、予想以上にしっかりした造りのように思えた。ステージ上空、そしてホール側面などは、音の反射、拡散を思わせる、いわゆる通常の専門クラシックコンサートホールにあるような壁の形状も、らしく存在している。

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面白かったのはデッドニング(吸音)での整音のためと思われるが、こういう布状の垂れ幕があった。(こんなあからさまなのは、初めて見た。(笑)微笑ましく思った。)

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音響も区民ホールとしては、上々で極端な違和感はなかった。

自分は、ほぼ中央列の中央ど真ん中に座った。(オーケストラは、やはり発音のエネルギーバランスを真正面から聴く、というのが持論です。)



開演。

オーケストラの登場の仕方に特徴がある。

「エルムのスタイル」と称していて、ふつうのプロのオケのように、一斉に登場するのではなく、開演前に、事前にステージに奏者が登場するのである。

エルムの鐘交響楽団のこの方法、アメリカのオーケストラにはよくある方法のようで、(「アメリカン・スタイル」と呼ばれている。)各奏者は開演前の好きなタイミングで舞台に上がる。本番の迎え方は人それぞれで、早く出て舞台の空気に馴染んでおきたい、舞台の音を確かめたい人もいれば、ぎりぎりで楽屋でゆるんでいたり、舞台袖で集中力を高める人も・・・・揃っての入場よりも各人、各人が気持ちよく演奏に入るほうを優先する。

このほうが舞台慣れしていないアマチュア奏者にはいいのではないか、ということでこの方式を採用しているのだそうだ。


さて、肝心のオケの印象。

アマチュアとしては水準が非常に高く、気持ちよく聴かせてもらった。

自分の予想以上にレベルが高かった。驚いた。

数年前に、アマオケを聴きまくっていたころに比べると、こんなに上手なオケは当時はいなかった、と思う。

特にこの日のメインディッシュのベルリオーズの「幻想交響曲」なんて、プロに肉薄するくらいのレベル、高揚感で感心した。

でも、そこはアマオケ。。。普段、日頃聴いている演奏と比較すると、どうしても気になってしまう点があって、辛口になってしまい申し訳ないが、それも愛のムチということで、ご容赦願って述べてみたいと思う。

1番気になったのは、管楽器のレベルがいまいち不満。

金管、木管ともに不満が大きかった。

特に金管の音色は厳しいものがあった。プロでさえ、金管が安定しているなんて難しいことなんだから、アマではしかたないかな、と思う。自分はある意味、オーケストラの楽器の中で1番難しいのは、金管楽器だと思っている。プロとの差を1番感じるのもここですよね。ホルン、トロンボーン、トランペットこのあたりの音色だろうか・・・音が外れるということもあるし、やはり肺活量的にというか、音色がプアでつらいものがある。これは全編を通じてそう感じた。

木管に関しては、もちろん吹き損じとかあった訳ではないのだけれど、やはり音色がプア。金管ははっきり上手下手がわかってしまうが、木管はそんなにわかりにくいかな、と普段思っていたのだが、やはり木管の音色もはっきり差が分かった。

色彩豊かな、嫋やかな洗練された音色ではなく、どうしても音色自体に表現、艶がない。
木管好きなので、余計採点が厳しくなって申し訳ない限りだが、気になるのは仕方がない。

でも感心した点は、木管はオケ後部のあの位置にあるにも関わらず、自分の座席にすっ~と通りが良くて、よく見通しく聴こえたことだった。これは驚き。どうしても弦楽器に隠れがちなのだが、かなり見通しが良かったので驚いた。

1番プロに近いと思ったのは、弦楽器群。

オケの大半は、このストリングス・セクションが占めているので、これがダメだと救いようがないのだが、これはじつに素晴らしいと思った。

特に弦の一斉のユニゾンは聴いていて、音の厚み、同時性ともにプロのようだった。敢えて不満を言えば、弦5部は第1,2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後部にコントラバスという布陣だったが、ヴァイオリンのユニゾンが、もうちょっと音量が欲しいな、と思った。もっと大河のように、うねるように聴こえるものだが、やや音量不足気味に。

反面低弦群は素晴らしかった。弦の音色が立っていて、解像度も高い。(ゾリゾリ来る感じ。)

「第1ヴァイオリンが、ステージの左端からセンターまで席を埋め、主旋律を歌い、第2ヴァイオリンやヴィオラが 音楽を内から高揚させるように内声をきっちり表現していて、かつチェロ・バスの低音弦にはちゃんと拡がりと音としてのボディー感がある。」

自分がオーケストラに要求するこの弦楽器の基本がきちんと出来ているように思えた。

あとは、オーケストラ・サウンドの全体の聴こえ方、バランスですね。

管楽器類が落ちるので、全体のオケ・サウンドのバランスが崩れていて、統一感、締まりがない、散漫に聴こえてしまう。

これは仕方がないですね。やっぱりあれだけの大所帯のオケでも、どこかにウィークポイントがあると、全体的にピシっと締まらない。

プロでも、サウンドバランス的に、きちんと統一感あってピシッと聴かせてくれるオケなんて、日によって出来が違うのですから。

でも、もう一回言わせていただくと、アマオケとしては、素晴らしいレベルで、自分が聴いてきた中では最高のレベルと言っても過言ではない。特にメインの幻想交響曲は素晴らしかった!

我が母校OBのオケが、こんなに素晴らしいとは、本当に誇りである。

みんな普段の仕事を別に持っていて、練習時間もそんなに多くは取れないと思われる中、これだけの高水準の演奏を披露してくれるのだから、本当にスゴイとしか言いようがない。

この日誓ったことは、これからこの母校OBオケの演奏会を、今後通い続けていこうと思ったことだ。なんか自分の母校を想う気持ちが、趣味のクラシックを通じてできるなら、幸せなことだと思ったから。

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エルムの鐘交響楽団 第33回演奏会
2016/6/11(土)18:30~21:30
なかのZERO大ホール

指揮:佐々木 新平
管弦楽:エルムの鐘交響楽団


交響詩「レ・プレリュード」フランツ・リスト
小組曲「子供の遊び」ジョルジュ・ビゼー

休憩

幻想交響曲 エクトル・ベルリオーズ

アンコール
グノー「操り人形の葬送行進曲」


「エルムの鐘交響楽団」 
http://boeso.web.fc2.com/



ベルギー・フラワーカーペット、日本に初上陸! [雑感]

2年に1度、ベルギー・ブリュッセルにある世界遺産グランプラスで開催される「フラワーカーペット」。

その年に応じて、テーマが設けられて、それに因んだデザイン画に応じて、色とりどりの花(ベゴニアなど)で、グランプラスの広場を飾る”花の絨毯”を作るのだ。

これがじつに美しい!

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こうやって100人くらいの人が地道に作業をやっている訳です。

(ネットからランダムに拝借しております。)

1970年代後半から始められて、今年で20回目を迎えるそうで、今年のテーマはなんと日本。

今年は、日本・ベルギー友好150周年にあたるそうで、日本にまつわるデザインの花の絨毯がグランプラスに展開される。

今年の本場ベルギーでのフラワーカーペットは、グランプラス広場で、2016年8月12日から15日までの4日間、開催されるそうだ。

いまヨーロッパに在住の方はぜひ行かれるべきだと思う。

また音楽鑑賞旅行、ホール三昧とかに拘っていないで(笑)、このフラワーカーペットを見に行くだけで、ベルギーに行くのも、自分はありだと思う。

日本をテーマにするんだから、絶対行くべき。そうそう何回もあるもんではない、と思う。

自分は、1994年頃にベルギー・ブリュッセルに住んでいたことがあって、このフラワーカーペットを偶然体験したことがある。

フラワーカーペットという名前、イベントを知ったのがつい数年前のことなので(笑)、大昔の1990年代にそんなイベントがあるなんて、もちろん知る由もない。

グランプラスに、ちょいとベルギービールを飲みに行きたい、と夜に思って、行ってみたら、ビックリ!

広場一面に花が飾られていて、うわぁ~なんてキレイなんだろう!と、あのときの衝撃は20年以上経ったいまでも、鮮明に頭に中に刻まれている。

特に黄色の花が圧倒的なエリアを確保していたような覚えがある。一面、黄色のイメージが頭にこびりついている。ずっと、数時間その場にいても全く飽きなかった。

そして翌日の昼間も行ったが、やはり、そこに花の絨毯はあった。

そこで、ひとつ言えることは、やっぱり観るんなら夜が絶対いいと思うことだ。

広場で夜分にライトニングされた花の絨毯は、その場で体験すると、昼間よりもずっと興奮するし、感動すること間違いない!自分の体験も最初、夜だった。

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いまのようにデジカメ、スマホを常時携帯して、すぐさま感動を切り取って、SNSやブログに保管するなんて文化はなかった時代なので、フィルムカメラや、写ルンです、で最初から意識して撮りに行く、という感じ。だからその感動は自分の頭の中にあるだけ。

あと、そのときに体験できなかったのは、絨毯全体の模様のデザインを上から俯瞰する、ということ。

これは近くの建物の中に入って、屋上や上階の部屋から、撮影するしかない。

日本ならともかく、ブリュッセルのグランプラスで、そんな都合よくどこがいい、というのを瞬時にわかるわけがない。(笑)旅行で行かれる方は、事前に調べておいたほうがいいと思う。


今年のブリュッセル・フラワーカーペットは日本がテーマで、「花鳥風月」のテーマに決定したそうだ。その「花鳥風月」をモチーフにした絨毯のデザイン画が発表された。

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和だねぇ。(^^)

美しい!

乃村工藝社の鈴木不二絵デザイナーによるデザインである。

この和のテイストの模様の絨毯が、あのグランプラス広場一面に展開されると思い浮かべるだけで、日本人として興奮ものだ!だから日本人なら、絶対今回行くべきなのだ!

じつは、これだけに収まらない。
日本・ベルギー友好150周年を記念して、このフラワーカーペットが日本にも初上陸するのだ。

それを昨日と今日で見学してきて、日記にしようとずっと計画していた。

日本初上陸のほうは、日本でブリュッセルの魅力を発信する「ブリュッセル・デイズ」と題した期間を設けて、東京の「ブリュッセル・フラワーカーペット」を実現させる、という感じ。

ヴィクトール・オルタに代表されるベルギーのアールヌーボーがテーマ。 つまり、ベルギーは日本をテーマにして、日本はベルギーをテーマにしたフラワーカーペットを作る、ということだと思いました。

デザイン画はこんな感じ。

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六本木ヒルズアリーナ 会場:2016年5月18日~21日  250平方メートル
東京スカイツリータウン 会場:2016年5月18日~22日 450平方メートル

おっ!六本木のほうが1日早く終わる。。。六本木のほうを先に行かなきゃな、とそのときわかっていた。でもエリアの広さを見ると、東京スカイツリーのほうが大きいので、それが妙に頭に残っていて、当日になったらすっかり忘れて、最初に東京スカイツリーに行ってしまいました。(笑)

いよいよ本題の東京でのフラワーカーペットの報告。

まず東京スカイツリー。

開業して4周年らしいが、灯台下暗で自分は訪問したことがなかった。
目の前にして、おぉぉぉ~スゴイという感じ。

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フラワーカーペットはこのスカイツリーのすぐ下にあった。

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混むと嫌なので、早朝1番乗り(10時スタート)で行って撮影した。

地上での自分目線から。ちっちゃいけど、十分に美しい!

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全体を見るとキレイなんだけれど、それを構築している花びらってどんな感じなのか、ズームしてみると。。。

う~ん、地道なんだなぁ。

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そして1番大事なのは、これらの絨毯模様を上から俯瞰して写真を撮ること。ツィッターでの投稿を見ると、結構上からアングルのいい写真の投稿が見られたので、自分もさっそく周辺の建物を物色。

その場で係員か、警備員のような人に聴いてみたら、ショッピングビルとスカイツリーとの連絡通路からが、いいのではないか、とのこと。少し暗色入ったガラス越しだ。

ガラス越しでも結構綺麗に撮れることがわかった。
これが最終版!

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花畑の中に緑色の通路みたいなものがあるのがわかるだろう。これは、実は係の人が花にホースで水を上げるための通路になっているのだ。


ミッション・コンプリート。

つぎに、これまた自分の人生とは程遠い存在である六本木ヒルズ。(笑)
朝1番でかけつけて、係に人に聴いたら、「昨日で終わちゃったよ。撤収しました。」

が~ん。(^^;;

そのときにさっきのことを思い出したのだ。
このときの落胆と言ったら。。。

このままでは引き下がれなく、いろいろ思案を巡っていたら、前の晩に偶然、FBの自分のタイムラインに流れてきたベルギー料理レストラン、ベルジアン・ブラッスリー・コート(Belgian Brasserie Court)さんが投稿した六本木ヒルズでのフラワーカーペットの写真を思い出した。

それをお借りしたい、と思うと同時に、そのお店で、ベルギービールとベルギー料理を堪能したいと思ったのだ。

というのも、その投稿を見ると、そのお店のスタッフたちが、六本木ヒルズに出張サービスで出向いて、フラワーカーペットのお祭りとともにベルギービール&料理を楽しんでもらおうという試みのように自分には思えたから。

だから当初は、六本木ヒルズ会場で、それを楽しめる、と思っていたのだけれど、それがダメになったんだったら、じゃあそのお店まで行っちゃって、じかに楽しんじゃおうと考えた訳である。(笑)

まず六本木ヒルズ会場でのフラワーカーペット。
やっぱり夜のほうが興奮するんだよね。

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なんと!小便小僧もある!ベルギーいっぱい。

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つぎにベルギー料理レストランに行く。銀座店、新宿店など数店舗あるのだが、地理的に詳しい新宿店を選ぶ。

このお店、面白くて、銀座店はアントワープ、新宿店はブルージュ、大手町店がゲント、というようにベルギーのブリュッセル近郊の街の名前が店名に使われているのだ。

新宿店は、新南口の改札を出たところのタカシマヤ・タイムズスクエアの14Fにある。

どうもでいいけど、このタカシマヤに入る前のところの、この”お入り口”というのがうける。いいセンスだ。(笑) 
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お店の外観、内装は、結構雰囲気があって、すごくイイ。
なんか店内にいると、本場のベルギーで食事しているみたいな感じ。

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店員さんは、必ず、語尾にメルシー、とシルブプレをつけていた。

ベルギーは多国籍言語の国なんだけれど、自分の遠い経験からすると、レストランのメニューは、大概がフランス語で書かれていたことを思い出した。

さっそくベルギービール。ビール大国ベルギーの地ビールと言ったら800種類くらいあるらしいけれど、まずは有名どころの4つのビールなら、

ステラ・アルトワ
ヒューガルデン・ホワイト
レフ・ブラウン
ベルビュー・クリーク

だそうだ。

さっそく、いきなりステラ・アルトワとヒューガルデン・ホワイトを連発で頼む。
アルコールに弱いので、もうこれだけで頭ガンガンでクラクラ。でもウマい!

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そしてつぎつぎとベルギー伝統料理をオーダーしていく。

まずムール貝の白ワイン蒸し

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ベルギー料理の定番ですね。20ピースくらい入っている。コツは、ムール貝を全部食べ終わった後の、スープをいただくこと。貝のエキスがたくさん溶け込んでいて、さらにワインの香りが混ざって極上の味!


つぎにシュパーゲル(白アスパラ)。

いま旬なので、もちろんオーダー。仕事の関係上、4~6月にはヨーロッパには行けそうにないので、日本で堪能するしかない。

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だが正直、写真を見ての通り、がっかり。たった2本しかなくて、なんかふにゃふにゃで美味しくない。本場もんは、もっと太くて、食べ応えがあるもんです。


牛ホホ肉のビール煮込み。

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これは最高にウマかったねぇ。今日のメインディッシュと言ってもよかった。
最高でした。じつはこれでハーフサイズ。相当量があるので、フルサイズは気をつけたほうがいい。


ベルギー産フライドポテト。

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定番ですね。ふつうに美味しかったです。


ボイルソーセージ盛り合わせ。

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これもふつうにウマいし、食べ応えがある。


デザートにベルギーワッフル。

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以上、ちょっと食べすぎでしょうか。。。?(^^;;

店内も雰囲気があって、料理もベルギー伝統料理が食べられるし、美味しいと思うので、おススメなのだが、難は、ちょっと値段がお高いところでしょうか。(諭吉さんが飛んでしまいました。)

1品あたりの単価が結構高いので、普段の食事処として使うというよりは、たまにベルギー料理を食べて贅沢したい、というような使い方が最適でしょうかね。

自分は、今日はベルギーいっぱいで、想い出に浸れて楽しかった。
生きている間に、もう1回は必ずベルギーの地を踏みたいと思う。

あの頃、市内に存在した日本料理屋さん、たとえばラーメン屋の「やまと」とか、お寿司屋さんの「三辰」とか、日本食材店とか、いまも存在しているんだろうか。。。


ベルギー・フラワーカーペット 
http://allaboutbelgium.com/flower-carpet-2014-2016/

ベルジアン・ブラッスリー・コート(Belgian Brasserie Court) 
http://www.belgianbrasseriecourt.jp/


エレーヌ・グリモー ピアノ・リサイタル [国内クラシックコンサート・レビュー]

昨日は、エレーヌ・グリモーのピアノ・リサイタルを鑑賞しに、大阪のシンフォニーホールまで行ってきた。新譜の「Water」に伴っての来日で、リサイタルとしては5年振りとのこと。

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彼女の自叙伝を読んだことで、とても不思議な魅力を持つピアニストだとわかって、自分の日記でも力を入れて特集してみた。

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(グリモーのFBページから拝借しております。)


いままでは、知っていてCDも数枚持っているにも関わらず、意外とスルーだったのが、こうやって彼女自身のことを深く知ると、俄然興味が湧いてくる。

やはりクラシック鑑賞は、演奏家、アーティストのことを、よく知ると興味の持ち方が全然違ってくるのだなぁ、ということが、よくわかった一例だった。

前半は新譜から。後半が彼女が敬愛するブラームスのソナタ2番。
前半と後半とでは、全くの別世界だった。(笑)

前半の新譜は、本当に美しいアンビエントな環境音楽のインストゥルメンタルを聴いているみたいで、8曲ノンストップの凄い集中力だった。ラヴェル、リスト、ドビュッシー、ヤナーチェク、べリオ、武満などなど。

確かに、一連の流れを聴いていると、今回の新譜のテーマ「水」のイメージが湧いてきそうな清廉・潔白な感じがする。せせらぎから激流に至るまで、結構、抑揚があるドラマになっていた。

直前になって、前半の曲順を大幅に変更してきたので、最後の最後まで、全体の流れ、シナリオを徹底的に、こだわり抜いたのだと思う。

この前半は、かなり聴いていて美しかった。

後半のブラームスは、彼女の世界ですね。(笑)

ブラームス独特の感性や個性と言ったらいいのか、難しい曲だった。
前半の美しい調べの数々と違い、かなり求道的な旋律で、奏法もダイナミックで、前半とまったく別世界の彼女を観れた感じ。

アンコールは3曲も演奏してくれたが、コンサートを通して感じたことは、どの曲も彼女のイメージカラーにぴったりの選曲をしていて、コンサートの色を自分のカラーで染めていたこと。自分の色をきちんと知っていて、そういうコンサート自体のプロデュースができるのは大事なことだと思う。

グリモーを生で鑑賞した印象。。。

この日は、上が皮のレーザーのようなジャケットと、下が黒のスラックス、というスポーティーなスタイル。

技術的にも安定していて、高度なテクニシャン。ノーミスタッチで完璧な演奏だった。弱音、強打の使い分けが明確で、結構演奏自体に抑揚というかメリハリをつけるタイプのように思えた。

演奏スタイルは、動的というより,むしろ静的な感じで、オーバーアクションなしの正統派スタイル。(ぺダリングも。)

それ以上に、やっぱり、なんと言っても雰囲気がある。

普通の人生とは違う苦労人だけあって、単なる美形ピアニストで収まらない、妖気というか、なんかオーラがあって、”深い” 魅力を持ったアーティストですね。

それが彼女の最大の魅力だと思います。

演奏終了後の聴衆への挨拶も、このホールの観客席全部に行き渡るように、1回転~4方向すべてに丁寧に挨拶していた。

なにより、その細やかな心配りに驚かされたのは、

アンコール曲のレターリングを自分の直筆で書いていることだった。

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(今回の招聘元のFBページから拝借しております。)

今回は座席も計画犯的に、指の見える、ど真ん中の中後方席にしたら、ダイレクト音と響きのマージ具合が素晴らしくて、全体のイメージを俯瞰できる感じで大成功だと思った。シンフォニーホールは、いままで、前方席ばかりだったが、こちらのほうが正解だと思った。

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このホールは、”音響がデッド”という話もあるようだが、自分は関西のホールをあまり経験していないし、このホールも数回しか経験がないので、断言はできないが、決して、そんなに音響が悪いホールとは思えない。

デッドだったら、演奏前にホールに入った暗騒音の瞬間に分かるし、数回の経験しかないけれど、聴いていて、そんなに極端に違和感を感じることもない。これは、関西のホール巡りをしないとあかんな、という感じだろうか。(笑)

あと、残されたのは、東京公演と、Vn/Pfのソナタ形式の公演と2公演。

グリモーの魅力満載になるに違いない。楽しみだ。


エム5邸訪問........そしてオーディオオフ [オーディオ]

ゴローさんは、仕事で自分の作品、たとえばNHKプレミアムシアターで放映予定、もしくはNHKエンタープライズでのBD発売の素材デモ~たとえば小澤征爾さんのサイトウキネンの映像作品など。~をオンセール前にBD-Rに焼いて、よくエム5邸オーディオルームでその作品の完成度合をチェックしていたのだ。

NHKにも編集スタジオはたくさんあるのだが、やはり機材の品質や、モニター室としての広さ、グレードに限界があって、やはり世の中に出す前に、1度、一般家庭の大画面、高音質環境でどう映るのかを確認したい、という意向があって、エム5邸オーディオルームは、その用途に使われていた。(ゴローさんは毎週エム5邸に通っていたときもあったらしい。)

そこでエム5さんのスゴ耳(ゴールデンイヤー)のチェックを受けるのだそうだ。(笑)

ボクも1回だけ、そういう場面に出くわしたことがある。ゴローさんがかなり入れ込んでいたエベーヌ四重奏楽団の番組を作っていたときで、そのデモBD-Rをエム5邸で3人で観て評価した。

そんなエム5邸だが、フロント3本を観ると、L,RがN801なのに、センターが802Dと、センターが1ランク落ちているSPを使っていることに気づくだろう。


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ポリヒムニア・スタジオもまったく同じ布陣で、両サイドがN801なのに、センターがN802と1ランク落としている。これには訳がある。

映画ではなく、音楽のサラウンドをやる場合、5本のSPは全部同じSPを使うことがサラウンドの原則。

そうしないと製作者側がスタジオで意図して作った空間表現を、家庭側で同一条件で聴かないと、それを再現できないから。

でも、このサラウンドシステムは、5.0chサラウンドだけを再生するのではなく、もちろん2chステレオも再生する。そうすると、5.0サラウンドで広大な音場で再生していたものを、2.0ステレオに切り替えたときに、フロント3本が、全部同じランクだと、2.0chにしたときに、ガクッと音場感が落ちてしまう。

なので、2.0ステレオ再生で使うL,Rは少しランクを上のものを使って、Cに1ランク落としたものを使うのだ、とゴローさんに教えてもらったことがある。

エム5邸の場合、さらに2.0ch再生のときに、L,RのSPから音場が広がるため、センターの位置にSPがあるとその妨げになってしまい、そうならないために、ちょっとセンターSPをL,Rに対して、後方に下げていたりするのだ。

同一システムで、5.0サラウンドと2.0ステレオの両立って難しい。(ゴローさんのように全く別のシステムで組む、という考え方もあるけどね。)

でもじつは、もっと迫真に満ちた、ある意味こっちが本音じゃないの?という理由もある。

それは、フロント前方に、801が3本並ぶことのほうが、観た目、スゴイ暑苦しい(笑)というか、そういう美観のセンスの問題のほうが大きいようだ。

でもボクは見つけてしまっただ。(笑)

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O Ganho Do Somというミキシング&マスタリングを専門に行う会社のスタジオ。

確かに、801がずらっと3本は暑苦しいかな。(笑)
でも慣れてくると、それなりに....思えてしまうから、フシギだ。

アビーロード・スタジオの800のフロント3本は、スマートさがあって、こちらのほうがよさげですね。

さて、ようやく本題のオーディオオフの模様。

ボクは大きく3つのお題をエム5邸に持っていった。

①DG SACDの再生。
②3次元立体音響 Auro-3Dの効果。
③ベルリンフィル自主制作レーベルの再生。

エム5さんは、もちろん新進の高音質レーベルから、メジャーレーベルまで万遍なく聴かれるが、とりわけ本人が大好きなレーベルなのがDG(ドイツグラモフォン)。

エム5さんのレーベルのサウンドの好みって、ずばりガチっと骨太というか肉厚というか芯のある「骨格感」のあるサウンドが好きなのだ。エム5さんって男っぽいので、やはりなんかそういう好みってわかるなぁ、という感じ。(笑)

まさにそういうサウンドなのがDG。エム5さんの「DG愛」は、それは、それは、大変深いものがあって、拙宅に来ていただいたときも、そこら辺の話をたくさんしていただいた。

この日のオフ会でも、「PENTATONEも確かにいいんだけれど、温度感が高いというか、全体に柔ら過ぎなんだよね。やっぱりガッシリ実在感のある硬質のサウンドのDGがいいよね。」という話をした。

ボクがDGのSACDを集めようと思ったのも、そこにある。

じつに苦心して集めてきたDG SACDたち。どのトラックをかけるかのセットリストも作成した。

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そうやって万全を期して、乗り込んだんだけれど、ボクが苦労して集めたDG SACDは、結構エム5さん、持ってたりした。(爆笑)

いろいろかけたんだけれど、やっぱり音楽的というより、オーディオ的にエンタメ性があるというか、驚かせる要素があるのは、やっぱりサロネンの「中国の不思議な役人」。

これはやっぱり来るね~。冒頭の曲の低音のグイグイ彫深い音色で押し迫るように鳴ってくる、その迫力。そして「中国の~」での何とも言えないアングラというかアバンギャルドな旋律。こういうのって音楽的というより、やっぱりオーディオ的に来るものがある、という感じ。

あと、いろいろかけました。オッターのシューベルト歌曲集もよかった。あとエム5さんに録音がイイと評判がよかったのは、ガーディナー&フィルハーモニア管の「惑星」の木星(ジュピター)のトラック。これもホントにいい録音です。

DG SACDは、万遍なくかけて楽しんだ。ホントに素晴らしいサウンドでした。

このときに感じたサラウンドの鳴り方で面白かったのは、リアの効果。これはエム5さんに言われてみて、初めて気づいたのだけれど、リアって単に包囲感が出るだけなくて、このリアが加わることで、フロントの3本の鳴り方に厚みが出るというか、フロントに影響が出るもんなんだよ、ということ。

リアの前に立って音を遮ったり、逆に音を通したりすることで、フロント3本の鳴り方がずいぶん違うのが実験でわかったのだ。

これは拙宅じゃあまり意識しなかったんだけれど、エム5邸では、それがよく認識できた。
目から鱗というか、ちょっと驚きました。


お次に、3次元立体音響のAuro-3Dの再生。 
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チャイコフスキー:組曲『白鳥の湖』、ショスタコーヴィチ:組曲『黄金時代』、
ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ、他 

山田和樹&スイス・ロマンド管

http://goo.gl/9Vrd41

じつは、これには伏線があった。

いま考えると、その前に、長時間ずっとDG SACDでいわゆる普通のSACDサラウンドを聴いていたから、そしてその直後にこのAuro-3Dを再生したから、その違いがはっきり認識できたんだと思う。

ある意味ラッキーだったかも?

とにかく再生して出てきた出音の一発目を聴いた瞬間、エム5さんが、「(高さが)ある、ある!」。

ボクが聴いていても、ものすごくハッキリわかった。驚きとともにホッとしたというか、肩の荷が下りた感じ。

ふつうのSACDサラウンドだと、大体SPのツィーターより音場のエリアも含めたちょっと上部辺りを中心に水平に取り巻くように鳴るんだけれど、このAuro-3Dを再生した途端、その高さが、天井に向かって部屋の上位のほうから、そして下端は、いままでの水平エリアに至るまでの、幅広い上下感覚の感じで鳴るのだ。

あきらかに高さがある。

悔しいかな、拙宅ではここまではっきり認識できなくて、高さというより深さ、空間が広いのはわかる、そしてエネルギッシュに鳴ることが両立している、というところまで、だった。それがエム5邸では高さもしっかり認識できるのだ。

やはりある程度再生環境のレベルの差はありますね。

その後、メディア含めて、誰もこのことを話題にした記事を観たことがなかったので、正直持論や自分の印象に自信がなくなってきた訳だ。

1番のキモは、天井SPや対応AVアンプを使って、9.1/11.1/13.1chとかやれば、それは効果あるの当たり前でしょ?(笑)

でも映画館ならともかく、それを(特に天井SP)一般家庭に強いるのは無理があるんじゃないの?ということだった。

だから自分が知りたいのは、ロスレスで、9.1→5.1→2.0に変換できるんなら、その5.1で聴いたとき、つまりいまのふつうのサラウンドシステムで聴いたら、ちゃんと効果がある、高さがあるんですか?ということだった。

これに言及した記事は観たことがない。開発者のインタビューで、「5.1にダウンスケールするときに、高さ情報をどのくらい付加するかは、技術者に任される」、というコメントだけだった。これだと、ふつうのシステムでも効果がある、と読めるのだ。

それを確かめたかった。そして、それが見事に立証された。

ちなみに、2.0ステレオでの効果もtomoさんに確認してもらったところ、きちんと効果があるようだ。

ある意味、この結果は影響は大きい。世の中は、2.0ステレオのマーケットのほうが圧倒的なのだから、2chでも高さを感じ取れるとなると、この録音方法が浸透してこれば、2.0ステレオの音質でも高さを感じ取れる3Dオーディオが可能になる、ということだ。

なんかワクワクしてきた。

そして1番最後は、ベルリンフィルの自主制作レーベルのシューマン交響曲全集。 
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じつは、このCDはウチでは全く鳴らない。

購入当時、自主制作レーベル発足ということで、かなり期待していたのだが、期待を裏切られた感じで、かっ~と頭に血が上り、逆切れ状態の感じで怒りの日記を投稿してしまった。

その後、そのSACDが日本ファン向けということで、発売されたが、確かにCDよりも若干良さげだが、あまり印象は変わらなかった。

これをエム5邸で確認してみたかった。

事前に、エム5さんと、「もし、これで鳴っちゃったら、どうする?(笑)」という感じで笑っていた。

.....が現実となってしまった。(>_<)

なんとエム5邸の2chでは、かなりいい塩梅で鳴ってしまうのだ。
もうこのときの私の青ざめた、冷や汗タラタラと言ったら.......

もちろん万全にすべてが優秀録音という訳でもなく、若干、いままでの印象通り、音場感がやや少なくて、音像型の録音というイメージは、エム5邸でもそうだった。

でもそのつぎにかけたSACDのほうが、ものの見事にその欠点を克服すべく、見違えるように、音場感が豊かになり、潤いのある響きのあるホール感漂う相当いい録音となって化けていた。

SACDのほうが遥かに優れた録音に化けていたのだ。

もうこれには弁解の余地はない。

あえて言い訳をする訳ではないが、拙宅の2chシステムでも、きちんと鳴ってくれる2chソフトは多いのだ。だから、今回鳴らなかったときは、すぐにソフトの録音が悪いせい、と決めつけてしまった。

オーディオマニアの陥りやすい罠として、鳴らなかった場合、それをソフトの録音が悪いせい、にして、自分のシステムを疑うことをしない、ということ。大きな反省点である。

「まず自分のシステムを疑うこと。」

逆切れの投稿を、自分のブログに投稿したのが、2014年7月であるから、ほぼ2年間もの間、ベルリンフィル自主制作レーベルに対して、負のイメージを自分がずっと抱き続け、それがトラウマにもなっていた。

この罪をどうやって償っていこう.....せめての償いとして、「黙秘権を使って、聴かなかったことにしよう」ではなく、きちんとカミングアウトする、ということ。

いみしくも今週末、ベルリンフィルが来日して、彼らの最後の大仕事であるベートーヴェンの交響曲全曲演奏会がサントリーホールで開催される。これよりも前に、きちんとパブリックにしておく、というのが自分の使命だと思った。

もちろん彼ら自主制作レーベルのベートーヴェン交響曲全集も購入している。


最後にオマケとして、映像のほうも楽しんだ。

150インチのスクリーンの大画面で、持参したアラベラ・美歩・シュタインバッハー&NDRの公演の様子を楽しませてもらった。 


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彼女の演奏姿の映像作品としては、この公演がベストの作品だと思っている。

麗しき、愛しのアラベラ・美歩ちゃんのお姿を、150インチの大スクリーンで、しかもサラウンドで観れたことは最高の幸せでした。

以上が、エム5邸オーディオオフの全貌。ホントに楽しかったし、深い議論も多く勉強になりました。

ありがとうございます。

エム5邸オーディオオフをきちんと自分の日記で書くというケジメをつけられて、本当に安堵しました。

最後に、その昔、ゆうあん邸オーディオオフ直後の食事の時に、ゆうあんさんと話をしたことを......

日本全国で、超金持ちで、目が飛び出る様な超ウルトラハイエンドなオーディオ機器を買いそろえているオーディオマニアの人は、結構いるかも、だけど、その中できちんとそれらを調教して、鳴らしきって素晴らしいサウンドを出している人って、はたしてどれくらいいるのかね???

エム5さんのように、オーディオ機器、そして部屋全体を使いながら、サウンドを追い込んでいってあれだけのサウンドを出している人って日本でもほとんどいないんじゃないの?たぶん日本の3本の指の中に入ると思うよ。

.....と話していたことを思い出しました。


エム5邸訪問 [オーディオ]

エム5邸には、いままで7回訪問している。そのうち過去6回は、ゴローさんに誘われて、いっしょに訪問していて、3人でオフ会していた。

「○町においしいトンカツを食べに行きませんか?」といういつもの定型文が携帯メールで来て、ゴローさんの金魚のふんのように、後ろについていった、という感じである。

だからオフ会の主導は、いつもゴローさん&エム5さんで、ボクは見習いADで横にいる感じ(笑)。

そしてそのオフ会の様子は大半がゴローさんが日記に書いていたので自分が書くこともなかった。

残り1回は、ゴローさんが亡くなった後、偲ぶ会を兼ねてエム5邸でオフをやろう、という企画があがって、マイミクさん(Dolonさん、たくみ@深川さん、gfyさん)とで訪問した。

でも、このときも日記は書かなかった。

結局、恐れ多くも、エム5邸に7回も訪問して、1回もオフ会日記を書いたことがない。

今回は、ぜひサシで乗り込んで、じっくりエム5サウンドを堪能、そしていろいろ勉強させてもらって、ぜひ自分の日記にしたい、というのが大きな目的だったのだ。

それが、いつもお世話になっている人への礼儀というものであろう。

前回、訪問させていただいてから、たぶん2年くらいは経つ。

エム5邸も大きく変わった。

リアにB&W N801の導入(ゴローさんの遺言)。そしてGPSクロックの導入。

自分が前回聴いたサウンドからは予想もつかない進化を遂げているはずだ。

エム5さんのサウンドの作り方というのは、ふだんの日記の投稿を読んでもわかるように、第1前提にまずSPから完全に100%の出音を出し尽くす。

(SPからちゃんと音が出ていないのに、ルームアコースティックもあったもんじゃなくて、まずこちらが最優先。)

そして、その後に、SPのポジショニング調整、壁からの1次、2次反射、吸音など、オーディオ機器だけでなく部屋全体を使いながら部屋トータルで自分のサウンドを作り出す、追い込んでいく、というやり方が、エム5さんのやり方なんじゃないかな、と思うのだ。

これって簡単に言うけど、専用のリスニングルームを持っているから、できることで、地方ならいざ知らず、土地代がバカにならない首都圏でこういう素晴らしい環境で聴けるオーディオマニアなんて、どれくらいいるだろう?

みんなマンションのリビングだったり、厳しい制約条件の中でオーディオやっている訳で、ボクは、エム5さんの最大の魅力は、その持っている超弩級の機器群もスゴイけれど、やっぱり部屋なんじゃないかな、というのが自分の意見。

(もちろん全部トータルでマネジメントできる本人の能力が1番なのは当然ですが。)

ゴローさんのオーディオ部屋も、魅力的だけれど、でもある意味、ルームアコースティックという考え方を、最初から切って捨てている考え方のような部屋だった。片側に大きなラックがあるし、ピアノも入っているし。。。

でもこれはゴローさんの考え方・主義なんだよね。

それでいて、奏でる音色が信じられないくらい凄かったりするから、ホントにフシギな人だった。。。

でもエム5さんのオーディオルームは、そのルームアコースティックも完璧なのだ。
きちんとした室内音響理論のもと、エム5さんも、ここにはかなり敏感というか、きちんとした専門的知識を持っていて拘る。実際のところ、エム5邸オーディオルームは、かなりライブな響きで、なにをやっても相当敏感に反応する部屋のように思える。


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フロント3本(L,R=B&W N801,C=B&W 802D)色も黒で統一されていて、まさに和製ポリヒムニア・スタジオ!(ソファに座っていて、このフロント3本の絵ズラを見ているとホントにカッコいいんだ!)



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ゴローさんの遺言で、リアもB&W801Dで揃える。



エム5邸オーディオルームは、故瀬川冬樹先生のIEC規格の室内音響理論(当日その理論が書かれた雑誌を見せてもらいました!)に基づいた設計で、24畳で、高さ3.2m。高さがある部屋を作るために、地面を深く掘って高さを稼いでいる。

ふつうの家庭用のホームシアタールームだと、センターSPが横型なので、スクリーンを視聴目線に下げられるけれど、エム5邸はセンターSPにふつうのフロントSPを使うので、スクリーン(150インチ)を下げたときに、センターSPが隠れないように、上方に吊るす感じになるんですよね。やや上向き目線。そのために天井が高い。

これが究極のサラウンド音声を楽しめて、映像も楽しめるという感じでかなりカッコいい。

(ゴロー邸では、もう天井の高さがふつうなので、スクリーンを下げたときに、もうセンターSPを全部隠しちゃって、最初から4chサラウンドで映像重視というように割り切っていた。)

壁は漆喰塗り。ウィーン楽友協会の壁も漆喰ですね。響きが広帯域に均一で、どこかでピークを持つなどの強調される帯域がないことが特徴。室内音響としては理想の壁質ですかね。実際近くて触ってみたけれど、もっとザラついた肌触りと思ったけれど、意外やツルツルしていた。色はベージュで品格があって部屋全体が明るい感じでいいですね。

天井も相当に頑丈に作っているらしい。

なんか首都圏だったら、この広さなら、ここに人が住めちゃうというか生活できちゃいますよね。(笑)

なんでも過去に2~3回くらい専用オーディオルームを作り直して、3回目にして、ようやくこの現在の部屋に落ちついたのだそうだ。

もしも、もしもだよ、宝くじにでも当たって、ボクも専用リスニングルームを作れるような幸運に恵まれたら、このエム5邸オーディオルームをデッドコピーだな!(笑)

機器群は、送出系は、メインはEMM Labsで、サブにSONYのAVアンプソリューションという布陣。

やはりDSDマルチチャンネルの権威としては、EMMは世界一だろう。エム5さんの話では、やはりEMMは音が厚いというか肉食系サウンドで、自分の趣向に合う感じなのだそう。

それに対して、国産の機器はどうしても音が薄いというか、草食系サウンドで欲求不満でいまひとつ物足りないという感じなのだそうだ。

でもその中でもこのSONYのAVアンプソリューションは、なかなかのサウンドを出してくれて、サブとしては気にっているとのことでした。(実際は、AVアンプをDACとして使っていて、そのアナログ出力をプリに入力する。)

(ボク自身はサラウンドの送出系としてSONYのAVアンプソリューションをメインに使っています。かないまるさんこと金井さんが渾身をこめて設計した物量投入型の初期の頃のAVアンプを使っていて、自分の5.0chサウンドつくりの基軸になっています。)

GPSクロックは、EMMのほうに注入されている。今回は、EMMメインで聴かせてもらった。

そしてエム5さんのパワーはクラッセ。フロント3本にモノ3台、リアにステレオ1台。

ポリヒムニア・スタジオは、同じクラッセでも1台の筐体の中に、5ch分のユニットが入っている特注品なのだそうだ。やはり電源供給の関係(?)もあり、モノでバラバラで調整するより、こういう1台の筐体のほうが理想だ、とポリヒムニアスタッフは言っていたそうである。

そしてオーディオルームではお馴染みの光景である、SPの前の絨毯によるSPの出音の床からの反射(低音域の全体に対する相対量が多すぎてしまう)対策のための吸音。

結構絨毯の生地にもいろいろ拘って整音のさじ加減を調整している。

面白い話を聞かせてもらったのは、ポリヒムニア・スタジオには、こういう床に絨毯という整音スタイルはないんだそうだ。


.....理由は、目の前に、調整卓があるから。

その代わり、両サイドの壁にそのような調音の仕掛けをしていて、それが絨毯の代わりをしているのではないか、ということでした。

さて、前置きが長くなった。

ずばり今回聴いたエム5サウンドの印象のアウトラインは、まず言えるのは、

①この広いキャンバスなのに、サウンド全体に抜群の定位感があること。がっちりこのエアボ リュームを音で埋め尽くしていたこと。

②音像も明晰だけど、やっぱりエム5サウンドの特徴は、部屋全体を使ったグラデーション豊かな空間表現に魅力があること。

③残響の滞空時間、音の空間への消え行くさまが非常に美しいこと。

この3つにまとめられるんじゃないかな、と感じた。

特に②は、ボク対策として(笑)、普段より、かなり内振りセッティングにしていて、直接音が、2次反射音より早くリスポジに到達するようなSPセッティングをしてくれていたようだけれど、なにせ2年ぶりなので、前がどうだったか、覚えていなくて(笑)、昔と比べると、音像編重なのかもしれないけれど、でもボクには、やはり②のようなイメージが大きく印象深かった。

音像も音場もものの見事に両立していた、ということですかね?

あと①では、なんというのかなぁ.....音のエネルギー感がハンパじゃないというか、なんか根本的に拙宅とは大きく電源事情が違うんではないか、と思えるほど、音の迫力が素晴らしかった。これだけエネルギー感が大きくて、定位感抜群、というのもエム5サウンドの大きな特徴ですね。

やっぱりエム5サウンドはスゴイと思いました。

今回、ボクから下記の大きな課題を持っていった。

①DG SACDの再生。
②3次元立体音響 Auro-3Dの効果。
③ベルリンフィル自主制作レーベルの再生。


スマン!(^^;;

今回のオフ会日記は、相当リキを入れて書こうと思っていたので、思わずエム5邸紹介から書き出してしまい、予想を超えて、長文になってしまった。肝心のオフ会日記はここからなのだが。。。

申し訳ないが2部構成に分けさせてくれ!(笑)


 


東京・春・音楽祭 ヤノフスキ&N響 ワーグナー「ジークフリート」演奏会形式 [国内クラシックコンサート・レビュー]

東京春祭ワーグナーシリーズ、ヤノフスキ&N響「ジークフリート」千秋楽。

1日空けてようやく落ち着いて感想を書けるようになった。

終演のときは言葉を失うほど感動した。過去最高だった。

「音楽だけに集中して舞台装置による解釈なしにワーグナーの楽曲の音楽的な質の高さを観客に伝える。」

そういう演奏会形式にこだわってきたヤノフスキの信念を見せつけられたような感じだった。

リング4部作の中では、ジークフリートが1番地味な演目(女声がほとんど出てこない。)という前印象だったのだけれど、一昨年、去年のラインの黄金、ワルキューレと比較して、今年のジークフリートが、それらを超える最高レベルの演奏だったというのも驚きだった。

去年のワルキューレのときも相当感動したんだけれどね。


まず傑出していたのが声楽ソリスト陣。

これが驚異的なレベルの高さ。

やっぱりジークフリート役のアンドレアス・シャーガー。

初日公演のみなさんの評判は異常なまでに高かったのだが、それに全く偽りがなかった。
声質は軽い部類だと思うが、声の張り出し感、歌い回しにキレがあって、観客に伝わってくるアタック感が凄い。

声量も抜群で、ホール空間への定位感もずば抜けていた。なによりも歌うときに、歌のみの表現力だけではなく、演技がキビキビした感じで入っていて、見ていて、聴いていて、小気味よさ、というか爽快感があった。

テノールにとって、ジークフリートという役柄は、全幕ずっと出ずっぱりで、技巧的にももっとも難しい難役。これをシャーガーは、さすがに第2幕はセーブしていたようにも思えたけど(笑)、ものの見事に演じきった。

なんでも彼はオペラッタ歌手だったらしく、ヘンデルテノールへの転身という変り種。
ヘンデルテノール、いけるんじゃないか! 自分にはまったく盲点の歌手だった。

他の声楽ソリスト陣も全員ものすごいレベルが高い。

特にミーメ役のシーゲル氏、個性派で味があって、声質、声量も素晴らしくてジークフリートを喰っていたところもあった。

しかし、よくもまぁこんなにレベルの高い歌手陣を集められたなぁと感心することしきり。


最終局面のジークフリート&ブリュンヒルデの二重唱は、もう芸術の極致と思える美しさで、言葉を失い、息を呑むとはまさにこのことだった。


そしてなによりも、自分が感心したのは、ヤノフスキの指揮、全体のコントロール術。

ヤノフスキの指揮振りは地味というコメントも散見されたが、自分は全くそう思わない。見ていて、とにかく無駄がない,贅肉をいっさいそぎ落としたものスゴイ洗練された棒だと思いますね。

ずっと見ていると、ヤノフスキの指揮には自分のパターン・リズムがあって、棒の右手の使い方、棒を持たない左手の使い方に彼独自の特徴がある。でもそれがオケの流れを流麗に引率していて、全体を巧みにコントロールしているように見えて、スゴイ洗練されているように見えるんですよ。

同業者の指揮者や演奏家などの玄人受けする指揮だと思います。


昨今のパフォーマンスばかりが目立つような中身の薄い指揮者より、これぞ、中身優先の玄人受けのプロの指揮だと確信しますね。

そうしてコンマスのライナー・キュッヒル。これがスゴイ存在感。自分の座席からなのだが、彼の音色がすごいオケをグイグイ引っ張っているのがすごくよくわかる。その昔、メータかムーティか忘れたが、ウィーンフィルの来日公演のときに全く同じ経験をしたことがあった。本当に強力な引率力で、まさにこれぞ、「ザ・コンマス」ですね。


そして、なによりもこの演奏会&サウンドを支えていたのが、N響のみなさん。

連日のヤノフスキの厳しい指導、長時間のリハで精神力ギリギリの思いをして鍛錬してきた日々。それがこの日に実を結んでいた。

みなさんは最高に格好良かった!


去年のワルキューレのときも思わずツィートしたのだけれど、やはりワーグナー演奏を日本の企画、日本の団体で、世界水準と照らし合わせても、これだけレベルの高い演奏を日本で実現できる、聴ける、ということ、これは本当に凄いこと。

まさに日本の誇りと思ってもいいことなのでは、と改めて思いました。

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東京春祭ワーグナー・シリーズVOL.7
「ニュルンベルグの指環」第2日「ジークフリート」

2016.4.10 (日)15:00~20:00  東京文化会館 大ホール

指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークフリート:アンドレアス・シャーガー
ブリュンヒルデ:エリカ・ズンネガルド
さすらい人:エギリス・シリンス
ミーメ:ゲルハルト・シーゲル
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ファーフナー:シム・インスン
エルダ:ヴィーブケ・レームクール
森の鳥:清水理恵

管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲

 曲目:

ワーグナー:舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」第2日「ジークフリート」


立川シネマシティの極上音響上映 [オーディオ]

自分はもちろん映画は昔から大好きなのだが、最近ご無沙汰で、いまは映画1本、最初から最後まで観る体力がない。

映画館の音響は、昔からあまり好きなほうではなく、PA(拡声装置)を通すことが前提のサウンドで、なんかこう電気的な音で、大音量、爆音になるとシステムのDレンジがオーバーになる感じで歪む、というイメージがつきまとって、ちょっと苦手意識が昔からあった。

だったら、映画公開のときはガマンして、Blu-rayやDVDになってから、買うなりレンタルするなりして、ウチで観たほうがずっと安心できる音だと思っていた。

そこに立川シネマシティの「極上音響上映」や「極上爆音上映」という笑える(失礼)キャッチフレーズを知って興味が湧いた。

それもそれだけではなく、小澤サイトウキネンのNHKエンタープライズから出ているBD「幻想&巨人」を上映するというからさらにそれに惹かれた。ゴローさんの渾身作である。

昔、ゴローさんが編集制作用のスタジオとして、二子玉川のマンションの1室を借り切って、そこにオーディオシステムをセッティングしていた。

そこにはじめてお邪魔した時に、まずオフ会の前に、近くのレストランでランチでもしよう、ということで、サシで食べながらお話をした。その中に、この「幻想&巨人」の話が出たのを思い出した。

確かに小澤さんのBDでは、「悲愴」が圧倒的に有名でエポックメイキングだったかもしれないけれど、じつは自分のこれは!、と思う渾身作としては、「幻想&巨人」なんだよね。だから、ノンノンさんにも、ぜひ「幻想&巨人」を観て、聴いてもらいたいと思っているんだよ。

と、かなり強力にプッシュされたことを思い出した。もちろん、その後購入した。

これは、あくまでいま考えた自分の推測なのだけれど、「悲愴」というのは、業界ではじめてBDでオーケストラコンサートを収録するというビッグイベントで、オケはベルリンフィル、映像はNHKが担当して、音声はDGのエミール・ベルリナー・スタジオが担当して、トーンマイスターはライナー・マイヤール氏だった。だからまず成功することが必須だった。

でも「幻想&巨人」は、小澤さん手兵のサイトウ・キネン・オーケストラで、映像、音声ともNHKの自分たちのスタッフで作り上げたものだった。だから本当に自分たちの力だけで作り上げた、ゴローさんが本当の意味で自分の渾身作と力説していたのは、そういうところにあるんじゃないかな、と今考えると思うのだ。

立川市というのは小澤さんと縁のある土地だそうで、その小澤さん生誕80周年を記念して、立川シネマシティで、その「幻想&巨人」を極上音響上映で放映する、ということになった。

なんか、偶然とはいえ、ゴローさんから誘われている気がしてならない。

これは絶対行かないといけない。

ようやく時間を作って、今日実行。

立川シネマシティというのは。立川シネマシティと立川シネマシティ2と二つの映画館からなる。

立川シネマシティ
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立川シネマシティ2
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小澤さん映画を上映するのは、立川シネマシティ2のほうである。

チケット売り場。
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上映フロアであるCフロア。
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やはり自分の最大の関心は、「極上音響上映」と堂々と唄う限り、映画館サウンドとしてどのレベルなのか、いじわる試験じゃないけれど確認したかったのである。

小澤映画は「極上音響上映」で、「極上爆音上映」ではない。

ドキドキしながら入ってみた。
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入ってみて、驚いたのはこれ!
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天井SPじゃないけれど、側面にはサラウンド用のSPが壁に貼りつけられていた。

昨今の3次元立体音響の走りですね。もちろんSP配置自体、Dolby Atmosでもなければ、Auro-3Dでもない。思わず笑ってしまった。

自分は全く知らなかったのであるが、立川シネマシティはふつうの映画館フロアもたくさんあるのだけれど(映画館としては規模はかなり大きい。)、この「極上音響上映」をするフロアは、映画館というよりは音楽ライブ用のSPを備えた音響設備だそうで、さらに日本を代表する音響家によって、この小澤BDを放映するために、綿密な調整をしたそうで(驚)、これまでの映画館の音響の概念を変えるクオリティを実現したのだそうだ。

まさに、「音響のシネマシティ」としてクラシック音楽に挑戦!だそう。

この作品のために、そこまで準備されていたとは!そのことを知って、考えすぎの自惚れかもしれないが、映画サウンドにいいイメージを抱いていなかった自分に、映画館でもここまでできるんですよ!ということをゴローさんの渾身作「幻想&巨人」で証明してくれる、ということなのか、と勝手に思い込み、涙した。

やはり今日来てよかった!

そのSP配置なのだが、

スクリーン下にセンターSP。
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そしてフロントL,Rに相当するのが、スクリーン横の真ん中のポジションに設置されたSP。(写真が暗すぎて、ちょっとSPの存在がわかりにくいですね。)
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家庭用のサラウンドのポジショニングとほぼ同等で違和感はない。


そして、左右両側の壁に3ch分の側面SPが配置されているのだ。
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天井はこんな感じ。
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リアにSPがあったかどうかは、オフの時も館内は暗いので、わからなかった。たぶんあるでしょう。


館内前方の左右の下方側面にはルームチューニング用の調音パネルが設置されていた。デッドニング(吸音)目的なのだろうか。(それともこれもSP?暗くてよくわかりませんでした。)

左前方側面
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右前方側面
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さっそく本編のサウンドの印象について述べよう。

結論からすると、確かにいままでの概念とは違う(いわゆる自分の映画館サウンドのイメージとは違う)垢抜けたサウンドだったと思う。

電気的で滲んでいるようないままでのイメージよりもずっとピュアで、澄んでいる音だと思った。
映画館なのだからPAを通すことは仕方がないにしろ、ロックコンサートで経験するPAサウンドの幻滅さ(ピアノの音色なんて電気を通すと幻滅。)とは縁遠い素晴らしいサウンドだった。

歪曲されず、ちゃんと各々の楽器のイメージに適した音色が出ていたし、オーケストラサウンドとして立派であった。

弦楽器の艶感とか、低弦のゾリゾリ感や拡がりと音としてのボディー感、木管の艶やかさ、金管の圧倒的な咆哮、打楽器の炸裂感など、きちんとオケサウンドに必須の表現ができていた。


昔ゴローさんが、ベルリンフィルのヴァルトビューネを観に行ったとき、野外のPAとは思えない本当にベルリンフィルハーモニーで聴いているかのようなサウンドで、PAエンジニアが優秀だとこうも違うんだなぁ、と感想を言っていたのを思い出した。

自分は中央より数席前方のど真ん中センターで聴いたのだが、やはり左右側面のサラウンドSPの影響もあるのか、全体の包囲感が抜群に素晴らしい。生演奏では、絶対こうは聴こえないオーディオライクなアプローチ。

自分は生は生、オーディオはオーディオという考えの持ち主なので、こういう快感は大歓迎。(生演奏では絶対こういう風~包囲感~には聴こえない。)

いま話題の3次元立体音響も映画館や家庭内で成功すれば、こんな感じなのかなぁというイメージが抱けた。


もうひとつ考えさせられたのは、映画館の音響とはまた別問題で、このソフトの収録技術というか、いわゆるゴロースタッフの卓越した収録。映画館で聴くと新たな発見があるのだ。

まず、今日聴いたサウンドには、自分のウチでは聴こえない音がたくさん聴こえたのだ。(笑)

現場の臨場感を醸し出す、生々しいホール内の暗騒音。

ゴローさんは完全な暗騒音派だった。

ホールの暗騒音が静かに部屋に溶け込むように鳴ってそれから音楽が立ちあがる方が リラックスして音楽に入っていける。

音が空間で混じり合う響きを美味しく捉えるにはある程度マイクを離して 暗騒音が入ってもやむをえない、それより自然な響きを大切にしよう。

そういった考えを重視していて、ゴローソフトには、かなり暗騒音がたっぷり入っているものが多い。

暗騒音や演奏ノイズは 臨場感を高める働きがあって、ピアノ録音でもペダルノイズが入ったものを結構好んで聴いていた。

もうひとつ収録技術で驚いたのは、各楽器の佇まい、定位の問題。

第1/2ヴァイオリンの音色は、きちんと左側のほうから聴こえて、チェロやコントラバスの低弦はきちんと右側から聴こえる。そして打楽器、木管などの遠近感も曇りなく見渡せて、らしく聴こえる。

要はオーケストラの配置にピッタリ合うように編集時できちんと各チャンネルに音が振り分けられているのだ。生演奏で聴いているのと変わらないように。

昔、第1ヴァイオリンはどこから聴こえるべきなのか?というテーマに挑んでおられて、木管を綺麗に浮かび上がらせるために目の前にいる大群の弦楽器群をどうさばいてマイクアレンジをするか、話されていた。

そういうのを感じながら、映像を観ていたら、ゴロースタッフのサイトウキネンを録るときのマイクアレンジは、相当なマルチマイクだということもわかった。(笑)

おびただしい立脚式のピックアップに、天井もふつうのワンポイントではなくて、かなり多数のマイクがぶらさがっていた。

おびただしいマルチマイクで録って、編集時にオケの実際の配置に沿った編集は、なかなか大変だろう、と思った。


これらの問題は、今日映画館の大空間で聴いてみて、はじめて気づかされたことで、驚きだった。

新鮮だった。

敢えて不満を言えば、映像かなぁ。
やはりBDの2K HDの画像を、200~300インチはあろうか、というスクリーン大画面に映すこと自体に無理がある。

解像度が悪くて、画面がざらついていてあきらかにS/Nが悪い。

これは仕方がない。

とにかく今日この映画館に来てよかった。確かに映画館サウンドのイメージが変わった。

ゴローさんからの誘いのように思えた。

終わるときに、スクリーン下部にスタッフの名前が流れるのだが、1番最後に、
”Director Goro Kobayashi”で終わった時は、さすがに泣けた。


世界一美味しい朝食を食べさせてくれる「bills」のリコッタパンケーキ [グルメ]

去年北海道の友人を東京でおもてなしをしたときに、世界一美味しい朝食を食べさせてくれるお店である「bills」に連れていった。

「世界中のセレブに愛される、“世界一の朝食”が食べられるお店。」というキャッチフレーズ。

本店のお台場店まで連れていった。

その他にも横浜店、表参道店、七里ヶ浜店、二子玉川店など合計5店舗あるみたい。

その「おもてなし」のときに私が頼んだのが、「オーガニックスクランブルエッグ w/トースト」。ニューヨークタイムズをはじめとする様々なメディアで、“世界一の卵料理”と評された一品らしくて素晴らしく美味しかった。

友人が頼んだのが、「リコッタパンケーキ w/フレッシュバナナ,ハニーコームバター」。
じつはこれがホントに美味しそうで、友人もウマイ、ウマイを連発していた。自分の頼んだ卵料理より、ずっと、ずっと美味しそうに見えたので、それが忘れられず「よし、後日また食べにこよう!」とそのとき誓ったのであった。

あれから1年経ってしまった。

意を決して、リベンジでこのリコッタパンケーキを食べに、またお台場までやってきた、という訳だ。(笑)

お台場本店は、新橋発のゆりかもめ線で、「お台場海浜公園」で下車。東京湾の絶景を望めるデックス東京ビーチの3階にあり、開放的で明るい雰囲気のお店。

このお店、超人気店らしく都内の店舗だと行列必須なのだそうだが、その他店舗と比較すると、ここ本店は圧倒的に店内が広くて、並ぶことはまずない。行列を避けたいなら、遠いけどこの本店がいいかも。


お台場本店
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朝早い時刻に行ったので、まだお客があまりいません。
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念願のリベンジであるリコッタパンケーキを注文。
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美味しそう~♪

じつは私はアホなので、これにシロップをかけて食べるのだが、その存在を忘れて、そのままシロップをかけずに食べて、う~ん、なにか味がしないパンケーキで、トッピングでついているバナナと上に乗っかっているバターでかろうじて美味しいと思えるかなぁ、などという印象であった。(アホだねぇ。(^^;;)

家に帰ってからその失敗に気づいて、再度チャレンジ来店をして、今度はシロップをかけたら、これこそホントにウマイ!

リコッタチーズがたっぷりと練り込まれたふわふわの生地と、ハニーコームバターの組み合わせ、さらにバナナとの相性も抜群で、セレブを魅了するのもうなずける美味しさである。

シロップで全体に甘みが加えられて、ふわふわのパンケーキの食感が気持ちよく美味しい。それで上に載っているバターが香ばしくて、そして横に備わっているバナナの味とこれがよく合うんだなぁ。

メチャウマ!これは本当に美味しい。

レオナルド・ディカプリオや他のハリウッドスターたちが、撮影の合間に毎日のように足繁くこれを食べたいがために訪れたそうなのだ。

でもそんな逸話もこれを食べた瞬間に納得いくというか、一度食べたら、何回も通って食べたくなるクセになるような美味しさですね。

ここでこれだけ素敵な想いをすると、他店舗はどうなのだろう?と思ってしまい、よし、他店舗も数店行ってみて、これは取材日記にしてみようと思ったのだ。 (笑)

横浜店と表参道店を選んだ。

横浜店は横浜馬車道駅の赤レンガ倉庫内にあるお店である。
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建物の1番端にある。
さすがに横浜だけあって、ここは並ぶ。

横浜店
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ここでもリコッタパンケーキを注文。
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まぁ同じはずなんだけれど、気のせいか、お台場店よりパンケーキの大きさが小さいような感じが.......

やっぱりウマイんだなぁ、ここも。
あっという間に平らげてしまう。

さらに表参道店にも出没。

ここはもう都心中の都心だけあって1番激混みです。長蛇の列で、最低でも20分は待つ。

東京メトロの明治神宮駅前で下車して、地上に上がったところの東急プラザの7Fにある。
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やっぱりここの店内が1番雰囲気があってお洒落ですね。

表参道店
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ここでもリコッタパンケーキを注文。
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もちろん美味しゅうございました、です。


この世界一の朝食レストランのオーナーがビル・グレンジャー氏。 
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「朝食は1日の中で大切な時間でもあります。朝食の時間は、体もマインドも準備したり、リラックスしたり、よく食べて前向きな気持ちで1日をスタートできたりする時間なのです。」

というのが彼の朝食に対するポリシー。

19歳のときにメルボルンからシドニーに移って、食への探求心から研磨の後、1993年にシドニーに1号店、1996年にサリーヒルズに2号店、そして日本のお台場が3号店。瞬く間にどんどん店舗が増えていく。

もちろんリコッタパンケーキやスクランブルエッグだけではなく、その他にも彼独自のいろいろな創作朝食メニューがある。

またこれらの朝食メニューのレシピ本もあるみたい。家庭でも簡単に作れるますよ~、という感じでしょうか。

2000年の頃には、日本にもあったのだから、随分有名だったのでしょうけど、自分が知ったのは、去年友人をおもてなしするときにネットで調べて、はじめてその存在を知った、ぐらいなので、ようやく世間に追いつきました。(笑)

ただ!言えることは、客層が圧倒的に若者中心で、中年の方は全くいませんね。
しかも女性比率が多い。女性同士のカップルか、若い男女カップルのどちらか、です。
あまり1人で行くところではありませんね。(笑)

次回友人をまた、おもてなしするときに、また使わせてもらうことにしよう~♪



生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会 [国内クラシックコンサート・レビュー]

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のだめカンタービレ。

女性漫画誌「Kiss」で連載され大ヒットして、2006年でフジテレビで放映されて、さらに火がついて日本中、クラシックブームの大フィーバー。

さらにテレビの続編として、ヨーロッパ編を描いたバージョンを、映画(実写)で前・後編として放映してこれまた大成功。

クラシックファンの自分は、もちろん全部観てましたとも!(笑)

さすがに漫画誌連載のときは、その存在は知らなかったけれど、フジテレビ放映の時、はじめて観たとき、クラシックを素材にしていたこと自体、すごいびっくりで新鮮だった。

かなり夢中になった。

クラシック音楽は、どちらかというと敷居の高いジャンルで、お高く留まっているとも思われがちなイメージだったのに、この番組のおかげで、ずいぶん市民権を得られたんではないか、と思ったほどだ。

この原作がなぜここまで成功したかというと、自分が思うに、やはりクラシックを一般人の等身大の目線から描いていて、いままでマニア的な存在だったクラシックファンを一気にメジャーなところに連れてきてくれた感じになれたことなのではないか、と思う。

そして原作者の二ノ宮知子さんの作画の前の情報収集、大勉強にもよるところも大きいクラシック音楽の専門性、描画の正確性もきちんと作品に備わっている......

そんなところに大成功の秘密があるのだと思う。


また、このテレビ番組が放映されたのが2006年10月~12月で、自分が前職を退職したのが、2006年3月。

ちょうど1年間無職で浪人していたころで、毎日サンデーの先行きが見えない暗い日々を過ごしていた時期だったので、尚更タイムリーな衝撃で、自分の一生のメモリアルな番組に思えたほどだ。

テレビ番組、映画のDVDは、全部揃えた。
そして、のだめオーケストラによるCDベスト集も買った。

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存在は知らなかったけれど、このテレビ番組で存在を知って、漫画のほうも後追いで揃える。(笑)

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じつは、この”のだめ”に関するイベントで、生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会、というコンサートがあるのだ。

大変失礼な話であるが、自分は存在を知らなかった。(^^;;

当時の”のだめ”の番組作りで、いわゆる取材協力、監修という形で、プロの立場から作者の二ノ宮さんや俳優たちに指導していたNHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さんが主導でおこなっているイベントで、漫画“のだめカンタービレ”の大ファンだった、愛知県春日井市にある「かすがい市民文化財団」のスタッフが、漫画巻末に“取材協力”として名前があった茂木さんに、“のだめ”のコンサート が春日井で出来ないか相談したところから、この音楽会の発端は生まれたのだそうだ。

茂木さんの指揮で、愛知が誇る三大オーケストラ、セントラル愛知交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などで、のだめの曲を、その春日井市民会館で演奏する、というもの。(もちろん全国の各地にも遠征するようです。)

さらに、単なるオーケストラの演奏に終わらず、ステージ背面にスクリーンで、演奏中に、その曲に相当するのだめのシーン描画をすることで効果を高める、という演出もあるらしい。

もう10年も続いているようで、今年が10周年記念公演にあたる。

今回、愛知県春日井市まで、この公演を聴きに行こうと思ったのは、「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番」を演奏する、ということなので。

このラフ3は、自分にとっての勝負曲なのだ。

これは聴きに行くしかあるまい。(^^)

原作では、のだめのライバルのRuiが、千秋の指揮で、この曲を弾いている。(自分の記憶では、Ruiは山田優さんが演技していて、赤いドレス着て弾いていましたね。)

今回、このラフマニノフの3番を演奏してくれるピアニストは高橋多佳子さん。

1990年に、あのショパンコンクールで第5位入賞という輝かしい経歴を持ち、今なお第1線で活躍している素晴らしいピアニストである。

今回の演奏会は、のだめのライバル、Ruiが演奏した曲を中心に送る「Rui's Edition」と呼ばれるもので、このラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のほかに、ラヴェルのピアノ協奏曲、ラヴェルのボレロなど、とても魅力的なプログラムだ。

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じつは、このラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番をテーマに、読み切り版限定ということで、漫画のほうの”のだめカンタービレ”も一夜限りの復活をしているのだ!

例の女性漫画誌「Kiss」で掲載されて、さっそく読んだ。

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5年の時を経て、アラサーになったのだめと千秋。2人はまだ”アレ”をしていないんだそうだ.....(^^;;

茂木さんと高橋さんとはFBで友人になっていただいていることもあって、その応援をしに行く、という意味合いも強い。


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番は、ピアノ協奏曲の中では、最も技巧的に難しい曲と言われていて、これを高橋さんがどのように魅せてくれるか、ホントに楽しみである。

.............。


そして、今日、その、のだめコンサート(生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会)を聴きに、愛知県の春日井市まで行ってきました。

新横浜から名古屋まで2時間くらい。そこからJR中央線で春日井まで出て、そこからバス。
春日井市役所の建物の一角として、春日井市民会館は存在していた。

春日井市民会館

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驚いたのは、客層がすごい若いこと。普段コンサートゴアーである自分の経験からすると、クラシックのコンサートに来る年齢層って大体想像できる。でも今日の客層を観て、ちょっと驚きと言うか、ものすごい若いのだ。しかも女性が多かったような気がする。やはりここら辺はのだめ効果なんですね。

ホワイエ

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今回の公演が10周年を祝う記念公演で、作者の二ノ宮知子さんから花束が届いていました。

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そして過去10年の歩みを表すパネルの展示。
このパネル群を見て、このコンサートの存在を知らなかった自分は、勿体ないというか恥ずかしい限り。(でも近くにいた女の子も、いままで知らなかった、と言っているのが聴こえてきました。)

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ホール内装

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上階席なしで、1階席のみで傾斜がついている。ちょっと気になったのが、ステージの奥行きが狭いこと。大型のオケを入れるには、窮屈そうな感じがしました。

音響は違和感を感じることはなかった。普通にニュートラルです。


まず茂木大輔さんが、MCで、のだめとの関わり、そして今回のRui's Edition/ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番を取り扱うまでの経緯、そしてこの音楽会の歴史(もちろん中心は春日井市だけど、全国に展開していて、北海道、四国、沖縄以外は全部遠征したとのこと。)の説明をされていた。

茂木さん、なかなかスピーチ上手で、観客を笑わすツボを持っていると思います。(笑)

そして、いきなりのメインイベントであるラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番が始まる。

高橋多佳子さん登場。

FB友人の演奏家のコンサートっていつも大緊張。こっちの心臓がバクバクする感じになってしまう。

演奏は、こちらのドキドキしていた心配が無用だったように、素晴らしかった、と思う。
全体的にゆったりとしたテンポで、女性的なアプローチ、雰囲気を持った3番だと思いました。

激しく、しかも叩く鍵盤の数が多いところなど、無理せず、しっかりと着実にという感じのアプローチで、小山実稚恵さんに似ているな、と思った。

難所、見せ場がたくさんあるこの曲は、もちろんその箇所、ツボを自分は熟知しているので、しっかり拝見しましたが、難なくクリアされていて、自分もその部分でのエクスタシーを感じ取れた。

特に第1楽章のカデンツァのところは、いきなり山場という感じで、シビレル感じだったなぁ。

そして最大の自分のツボはコーダに向けてのグルーブ感と、一気加勢に盛り上がり、その頂点で派手な軍楽調の終止に全曲を閉じる部分。もうここを味わいたいがために、いままでのドラマもこの瞬間のためにある、と言ってもいいところで、そこもバッチリ決めてくれた。

本当によかった。終わった後、胸をなでおろした。

今回はラフ3という激しい曲だったのでマスクされているところもありますが、高橋さんは根本は繊細で女性的なタッチのピアニストだと思いました。手の動き、表情を見ていたらそれを感じます。

じつは、この最初の曲のときに、もうひとつの大事な発見があった。

それはステージ背面にあるスクリーンでの描画効果。
自分が、ネットで調べていた時は、単にのだめの漫画のシーンを映す、というくらいの認識であったのだが、これがじつはとんでもない!大変巧妙な心理効果で、もうびっくりしてしまったのである。

のだめの漫画シーンだけでなく、演奏者からのこの曲に対するメッセージ、ラフ3の歴史、そして曲の構造など、これが実に巧妙なのだ。

単に順番に並べて映すんじゃんなくて、ちゃんと曲の進行、旋律に合わせて、どのタイミングで、どのような内容のものを映し出すか、が相当練られているというか、要は演奏者の曲をBGMにしながら、聴衆者が感動できるようにストーリー性を持った挿絵になっているのだ。この挿絵のシナリオを作っている人は、完璧なプロですね。

ラフ3を聴きながら、この一連の挿絵を見ていたら、ふつうのコンサートの演奏を聴いている以上にスゴイ心象効果が増幅されて、自分のこの勝負曲を聴きながら、思わず涙腺が弱くなり、涙が出そうになった。

この演出は素晴らしいですね。

特許出願したほうがいいですよ。(笑)それも自社技術を保護するための特許ではなく、他社から収入を得るための特許戦略として。(笑)

10年前からこの音楽会はやっているのだから、ずっとやっていることなのかもしれませんが、自分は今日はじめて拝見してその心象効果に相当驚きました。今回の演奏会の中で1番印象的だったかもしれない。

後半は、パリ在住でパリ コンセルヴァトワール(パリ音楽院)在学中の岡田奏さんによるラヴェルのピアノ協奏曲。

素晴らしかったですね。

驚いたのは、全身細身の美人にもかかわらず、かなり打鍵が強くパワフルで、男性的な演奏をすること。もちろんラヴェルのコンチェルトということもあるのでしょうが、圧倒されました。

なんかふっとユジャ・ワンのことを思い出してしまいました。
でも第2楽章の情感あふれる美しい旋律は、繊細に歌い上げる。そのあまりに恍惚の美しさで、息を呑む、とはまさにこのことだった。

きちんと両面を持ってますね。将来期待のホープになると確信しました。

最後はボレロで堂々フィナーレ。

中部フィルは、弦楽器がほとんど女性団員というのが相当驚きましたが(前方席の自分から見ると、女性ばかりのオケに見える。(笑))、実力はかなりしっかりしていると思い、在京楽団に決して負けていないと思いました。(mixiの友人も絶賛していた。)


ここまでアットホームでレベルの高い演奏会であるならば、尚更、その知名度をどんどん上げるというところに自分の感心は行ってしまうんだなぁ。(笑)

10年もやっているのだから、自分が知らなかっただけで、有名なのかもしれないけれど.....
ネットで検索すると、きちんと詳しく情報が展開されている。

でもネットってその存在を知らないと、自分から能動的に探しに行かない限り、ヒットしない訳で、できればもっとプッシュサービス的に、もともと存在を知らない人に知らしめる方法を考えると、もっと知名度があがるのに、と思いました。のだめなんだから。(現に自分はのだめファンでもあるにも関わらず、まったく知らなかったので。)

でもふつうのクラシックコンサートとは一味も二味も違う、素晴らしい、楽しいコンサートをありがとう、と言いたいです。


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高橋多佳子さんと茂木大輔さん(指揮)


生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会
2016.3.13 15:00~ 春日井市民会館

指揮:茂木大輔
ピアノ独奏:高橋多佳子、岡田奏
管弦楽:中部フィルハーモニー管弦楽団

ドヴォルザーク チェコ組曲ニ長調作品39より第2曲ポルカ
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ニ短調作品30
~ピアノ:高橋多佳子

ガーシュイン 「アイ・ガット・リズム」
       ~ピアノ:高橋多佳子、岡田奏

ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
     ~ピアノ:岡田奏

ミョー  スカラムーシュよりブラジレイラ
     サックス:片田景子 ピアノ:岡田奏

ラヴェル ボレロ


アラベラ・美歩・シュタインバッハー& N響のチャイコフスキーのコンチェルト [国内クラシックコンサート・レビュー]

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今年で47回目を迎える都民芸術フェスティヴァルの「オーケストラ・シリーズ」。

東京芸術劇場に行ったところ、ポスターに当フェスティヴァルで出演するオーケストラの一覧と演目が書かれていた。

N響、都響、新日本フィル、東響、読響、日本フィルなど蒼々たる在京楽団の名が連なっていて、それぞれが各々独奏ソリストを携えて、魅力的な演目を演奏するようであった。

私が行ったのは、N響&アラベラ・美歩・シュタインバッハーのコンサート。

もちろんアラベラ様のコンサート目当てに知った公演ではあったが、冬の風物詩として有名なこの公演に参加できたことは、本当に光栄だと思う。

この公演のチケットは予想以上に大変な争奪戦で、スタートと同時に2時間位で、即日ソールドアウト。

アラベラ公演は、2年前位は余裕でいい座席を取れたものなのだが、日増しにどんどん知名度が上がってきて、チケットも簡単には取れなくなってきた。

人気が出てくるのはファンとしては嬉しいのだが、チケットが取りにくい、というのも正直困る。
この公演も予想もしなかった大変な争奪戦だったので、やっとネットにつながってとれた座席は、こんな1階席前方の右側の端っこという最悪の座席であった。

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まぁヴァイオリニストと対座して顔の表情が見えるという点ではいいかもだが、音響的にはいかがなものか?という感じである。

今日の演目は、前半はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、そして後半がムソグルスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」だった。

チャイコフスキーのコンチェルトは、もう盛り上がること間違いなしのヴァイオリニストにとって”魅せる”には最高の曲と言っていい。

アラベラ様のチャイコフスキーの演奏姿を見れる、というのがなによりの楽しみ。

この日のドレスは装い新たな新調したピンク色のドレスであった。

いままではどちらかと言うと、緑、青、赤といった全体のシルエットが締まる感じのドレスが多かったのだが、なんか新鮮な感じ。

そして演奏。

やはり圧巻だった。期待を裏切らない素晴らしいパフォーマンスだった!

この曲はチャイコフスキーらしいスラブ調の哀愁を帯びた甘美な旋律が全体に漂っていて、うっとりすると同時に、結構技巧的にも難しくて、奏者にとって魅せる要素の強い曲だと思う。

ある意味パフォーマンス性抜群の曲とも言えて、ヴァイオリン協奏曲としてはわかりやすくて一番受ける曲。

彼女がこの曲をどのように演奏するのか、その姿をぜひ観てみたいという衝動がずっとあった。

いままで観てきた彼女はどちらかというと容姿、奏法双方にて、お嬢さん的でエレガントな奏者というイメージが強かったが、今回はかなりイメージが覆るくらい違って正直驚いた。

全体を通じて、かなり男性的かつ攻撃的な演奏で、弓裁きもかなりアクション付きで派手。

彼女の演奏スタイルの特徴は、立居姿が絵になるというか、美しいところだと思う。

ヴァイオリニストにとって、演奏している最中の姿勢ってある意味、無意識なもので、演技しようとしても、そうそう簡単に演技できる領域のものではないと自分は思うのだ。

でも彼女は鏡の前で練習しているのではないか(笑)(でもふつう奏者はそのように練習している?)と思えるほど、背筋がピンとしていて正統派の立居姿で、ボーイングも美しくて絵になる。

弓裁きに特徴があって、下げ弓した後に空中に放り投げるようなスタイルも自分が考えたアクションなのだと思う。美しく見せるための工夫を普段から意識しているのだろう。

いままではその容姿のイメージから、そのような優雅な立ち振る舞いのイメージが大きかったのであるが、今回はチャイコフスキーの曲調に合わせて、かなりきびきびと引き締まった所作、鋭敏な弓裁きで相当格好良かった。

オーディオで聴く彼女の音色は、やや線が細い弱音表現に長けた奏者というイメージをずっと持っているのだが(体格からしてパワータイプでない)、やはり生演奏は違う。実音に実在感がしっかりあって響きも豊富。

かなり潤いのある音だった。申し分なかった。

演奏解釈はスタンダード、違和感はない。

オーディオでのインテンポな演奏と比較すると、ややテンポ速めで、高速パッセージなど超絶技巧を駆使して、後半になるにつれて、どんどんクレッシェンドしていくその疾走感ぶり、オケもどんどん彼女を煽っているかのような掛け合いで、最後のクライマックスは、まさにその頂点に達するフィニッシュ。

自分は全身に稲妻のような衝撃が走った感覚になった。

”シビレル”という感覚は、まさにこのことを言うのだろう。

どちらかというと控えめな性格で、終演後のパフォーマンスもおとなしい彼女なのだが、さすがにこの曲のこのエンディングの後は、思わず指揮者と両手でハグする興奮ぶりで、心の高揚がよく見てとれた。

このときの観客の歓声と興奮もスゴイものであった。

普段の彼女とは一味も二味も違う面が観れて幸せだった。
やはり演奏する曲によって大きく左右されますね。

休憩を挟んで後半が始まっても、ずっと余韻が続いていた。

後半は、ムソグルスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」。
今度は指揮者とN響を評価しないと。(笑)

指揮者は、チューリッヒ・トーンハーレ管弦楽団の音楽監督&首席指揮者であるリオネル・ブランギエ氏。

若くて有望な指揮者のようだが、指揮振りもどちらかというと随時各セクションへの細かい指示というよりは、もっと大きな全体の流れをコントロールするような指揮で、うまく全体のフレーム作りをしている印象であった。

N響は、自分の座席のせいもあるが、弦が厚くて秀逸だった。

自分のオケ判断は、オケの大半を占めるストリングス・セクションが鳴っていない、痩せている時点でNG。この点、この日は申し分なかった。前方かぶりつきの座席だと木管、金管の遠近感の聴こえ方にちょっと違和感を感じたことはい致し方がないと思うが、この曲の主題の冒頭のトランペットのファンファーレ的な「プロムナード」が安定していたのがなにより安堵。

ラヴェル編曲の効果である色彩感も表現できていたと思うし、フィナーレでの広大なスケール感も申し分なかった。

最悪の座席である右端の前方かぶりつき。

予想していたより楽しめた。

オケの配置が記憶がかなり曖昧なのだが、対向配置で、中央にチェロ、右奥にコントラバスがあったか?自分の座席からだと帯域バランス的に低弦寄りのサウンドに聴こえたことは仕方ない。でも対向ヴァイオリンがいたせいか、予想よりも、そんなに極端ではなかった。

なによりも感動だったのは、シャワーのように大音量を浴びるその感覚。

これはかなり快感。

自分はどちらかというと中後方座席でのホールの響きを感じられ、直接音と一定比率でブレンドされている感覚のサウンドが好みなので、かぶりつきがこんなに快感だとは思わなかった。

なによりも腹にずしっと響いてくるオケのサウンドが重厚感があって、これはいかにもオーマニ向き。かぶりつきの座席を見直すきっかけにもなった。

とにかくアラベラ様のチャイコフスキーのコンチェルトの演奏姿を見てみたい、という夢が叶えられて、最高の日となった。

素敵だった。

このように彼女の生演奏姿を見れるということ.....

これはひとえに、彼女を毎年呼んでくれるN響さんを始め、他の楽団さん、招聘スポンサーさんには本当に感謝しないといけませんね。

アラベラ&N響のタッグは、この後、四国巡礼ツアーに出かけます。

四国には自分のオーディオの友人も多く(現に四国のオーディオ友人達がこのコンサートに行きます!)、そこを巡礼してくれるなんてうれしいことではありませんか!


FBで第2の故郷日本でのコンサートで喜びを表明する
アラベラ嬢と指揮者ブランギエ氏。

アラベラ 美歩 シュタインバッハー 東京公演2016.2.26(2).jpg



すみません、最近カーテンコール撮影をしていないので、ブレて失敗しました。
(国内はなかなか難しいですね。)

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恒例のサイン会。

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都民芸術フェスティヴァル オーケストラシリーズ第47回
2016年2月26日 19:00~ 東京芸術劇場

指揮:リオネル・ブランギエ
ヴァイオリン独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
管弦楽:NHK交響楽団
コンサートマスター:ヴェスコ・エシュケナージ
          
(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団・コンサートマスター)

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

アンコール~
イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番から第3楽章。

休憩

ムスルグスキー(ラヴェル編曲)組曲「展覧会の絵」

アンコール~
ドヴォルザーク スラブ舞曲第1番


ドキュメンタリーOZAWA [クラシック指揮者]

小澤征爾さんがこの夏10年ぶりにタングルウッドに戻ってこられる予定だそうだ。

7/5に小澤さんのスイス国際アカデミーでの弦楽四重奏団を率いて.....
そして7/9にボストン交響楽団とでベートーヴェンのエグモント序曲を演奏されるそう。

その後、学生たちの指導に当たられ2~3週間バークシャーに滞在される予定とも書いてある。

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このニュースを知って、遠い昔に買ってあった「小澤征爾 on DVD BOX」がまだ新品未開封で視聴していないことにふっと気づいたのだった。

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なぜこのBOXを買ったかというと、このように3枚組なのだが、その中の1枚の「ドキュメンタリーOZAWA」。

これをどうしても見たいからだった。

小澤さん50歳のときに作られたドキュメンタリーで、CAMI VIDEO INC.(私は詳しくは知らない。)が制作したもの。それをCBSソニー/NHK、そしてドイツの公共放送であるZDFが版権を持っている、そのような権利関係のドキュメンタリーであった。(このDVD BOX自体は、ソニークラシカルから出ている。)

スタッフ・クルーも当然外国人スタッフで、番組中は小澤さんもすべて英語で話している。

舞台は、アメリカ、マサチューセッツ州のタングルウッド。

小澤さんが29年間にも渡って音楽監督を務めあげたボストン交響楽団が主催するタングルウッド音楽祭。夏の野外音楽祭で、じつはクラシックだけではなく、ジャズ、ポップス、室内楽、現代音楽などじつは総合的な音楽フェスティヴァルなのだ。

演奏会場として5100席の扇型の屋根がついているだけの野外ホールと言っていいクーセヴィツキー・ミュージック・シェッドで演奏される。(最初は小屋という感じだったが、改装されて、だいぶ素晴らしくなったようである。)(以下写真はウィキペディアの写真をお借りしています。) 

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クーセヴィツキー・ミュージック・シェッド
 
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クーセヴィツキー・ミュージック・シェッドの内部

そして1994年にはセイジ・オザワホール(小澤征爾ホール)がこの土地に造られた。 


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小澤征爾ホール
 
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小澤征爾ホールの内部


典型的なシューボックス・タイプで容積もやや小ぶりなので、音響もすこぶる良さそう。
外壁はレンガ、室内は木材をふんだんに使っているのだそうだ。
(写真を見ただけで、どんな音がするか想像できそう。)

サイトウ・キネン・フェスティバル松本が、改名して、セイジ・オザワ松本フェスティバルに変わった時に、記者会見で小澤さんが真っ先に話したことは、このタングルウッドにあるセイジ・オザワホールのことだった。

「建築物含めて、自分の名前を使われることは、なんか墓場を作られている感じで、どうもなぁ(笑)」と仰っていたが、名に恥じぬよう頑張ります、とも仰っていた。

そのときに、このタングルウッドにある小澤ホールの存在を知った。いまこうやって日記を書くために調べて、初めて、その外観、内装を知ったのである。(笑)

非常に評価の高いホールで、数々の建築賞を受賞しているのだそうである。

ネットでいろいろ調べていると、この新しいホールを建てるにあたって、一番多く寄付をした人がそのホールの名前をつける権利があたえられるという流れがあったそうで、このホールはソニーの大賀典雄社長(当時)によって、タングルウッドに一番ふさわしい名前ということで小澤征爾さんの名前が付けられた、ということらしい。(この事実を知って、改めて驚き!)


話をドキュメンタリーに戻すと、内容は、このタングルウッドでの夏の講習会、そして演奏会、また小澤さんの家族ともども毎年の夏、この場所で水入らずで過ごす場面などの小澤さんの素の姿が捉えられている。

昨今の脚色豊かなドラマティックに見せよう的なあざとい作りとは程遠くて、この当時のホントの素撮りに近い感じが返って好感が持てる。

その中で小澤さんが言っていたのは、

「オレはとにかくなにをやってもついていた。斎藤秀雄先生に西洋音楽の基礎を学べた。タングルウッドに来て、いきなりクーセヴィツキー記念賞をもらった。カラヤンの弟子になれた。バーンスタインの助手になれた。とにかくすべてにおいて、オレはついていた。」

なるべくしてなる。持っている人は、やはり持っているのだ。そういう星の元に生まれている、というか。

夏の講習会で指揮を若手に教える。

その聴講生の中に準・メルクル氏の姿もあった。

そうだ!彼もタングルウッドの小澤ゼミ生出身なのだ。

若手への指揮の指導の中で、特にピックアップされていたのが、十束尚宏氏であった。

1982年タングルウッド音楽祭で、クーセヴィツキー賞指揮大賞を受賞。その後、新日本フィルから定期公演デビュー。華麗な経歴を残され、現在に至るが、不詳自分は実演に接したことがない。(不覚)

小澤さんが十束氏を自分の家に呼んで、悩みも含め、腹を割って話し合おうという感じで、家で2人でサシで話すのだが、これがスゴイ迫力なんだ。(笑)

けっして小澤さんはキツイ口調ではないのだけれど、とにかく話す内容が深くて重みがあって、TVの前で見ている自分が説教をされている感覚に陥るくらい。(笑)TVの前にいる自分がビビってしまうくらいだから、目の前にいた十束氏はさぞや。(苦笑)

やっぱり1人で戦ってきた、築き上げてきた、それに裏付けられた話は、深く、重く、説得力があるのだ。

自分は、よく人が書く文章にも例えるのだけれど、美辞麗句、難しい言葉で書き綴られている美文よりも、よっぽどシンプルでズシッと来るような.....小澤さんの言葉はそんな感じ。

「カラヤン、バーンスタインのマネをしようとする人はたくさん知っているけど、ダメなんだよ。カラヤンは、恐ろしいまでに彼独自のユニークなスタイル。バーンスタインにしてもしかり。それは彼らにしかできない。他人がマネしてもできない。結局、自分の道、スタイルは自分が築き上げないとダメなんだよ。」

自分たち一般人は、小澤さんをメディアを通じての姿しか知らない(記者会見、インタビューとか)。

でもカメラが回らないところでは、ボクらが想像できない、音楽家、演奏家たちへの指導は厳しいものがあるんだろうな、と想像する。(真を知る者同士。)

演奏会のシーンでは、ヨーヨー・マ&ボストン響との共演。(ヨーヨー・マ、若いなぁ。)
演奏後、仲良くランチ。話が笑顔で弾む。そんな中で、「東洋人に西洋音楽ができるか?」というテーマになる。2人とも同じ境遇なので、話が深くなる。

そこで、小澤さんが「ちょっとカメラ止めてくれる?」

暗い静止画のあと、場所を変えて、小澤さん、謝罪。でも止めてもらうしかなかった....

小澤さんの自分の人生についてのインタビューは、数年おきのインターバルで行われるのだけれど(最近ではNHKの100年インタビューが印象的でした。)、結局自分の人生なので、小澤さんは同じことを何回も言っているように(笑)どうしても自分には聴こえる。

その中で、「東洋人に西洋音楽ができるか?」というテーマは、もう毎回出てくる内容で、小澤さんが自分の心にずっと持っている一生涯の問題なのだと思える。

演奏会は、その他はルドルフ・ゼルキン(彼の息子であるピーター・ゼルキンは松本のサイトウキネンで聴きました。小澤さん癌療養中の時期でしたが)のベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番、そしてジェシー・ノーマン&エディット・ワイエンスのマーラー2番の「復活」。

そして、小澤さんの人生を語る上で、避けて通れないのが、「N響ボイコット事件」。
これもインタビューで内面を語っていた。画面には、東京文化会館の誰もいないステージで1人立つ小澤さん。

「自分は日本人なのに、日本のやり方を知らなかった。西洋流。出るくぎは打たれる。」
「もう日本ではやらない。自分の道は海外でやるしかない。」とそのとき心に決める。

自分は、小澤さんフリークのように思われているかもしれないが、このボストン響時代の小澤さんは知ってはいても、正直熱心な小澤さんの聴き手とは言えなかった。

ゴローさんと出会って、はじめて小澤さんを強く意識したと言ってもよくて、だからサイトウキネンで小澤さんを観れたのはつい最近ことだった。(それも先日、米グラミー賞を取ったあの作品で!(^^))

ふっとしたニュースで、このドキュメンタリーのことを思い出して、今日1日たっぷり見て、なんともいえない気分。

近い将来、海外音楽鑑賞旅行でアメリカ進出を考えている(笑)自分にとって、ボストン・シンフォニーホールでボストン響を聴くことは小澤さんの人生をトレースするためにも避けられない運命なのだなぁ、とつくづく。

さらに他のDVDの2枚も両方とも小澤&ボストン響の演奏。

特に興味を引いたのは、プラハのスメタナ・ホールでの演奏。

プラハの街、そのもののなんともいえない美しさもさることながら、このホールの美しさ&音響の良さに惚れました。(古い録音なのにその音響の良さが分かる。)

プラハはウィーンに近いので、近い将来ウィーンに行く予定からして、急遽プラハも入れようと思いました。


PENATONEの新譜:山田和樹&スイス・ロマンド管のロシアン・ダンス~Auro-3D技術の印象 [オーディオ]

昨日、そして今日と1日たっぷりと時間をかけて、念願の大音量にして再生してみた...Auro-3Dの印象。

さらにはこの技術について、いままできちんとした資料をまともに読んだことはなかった。(笑)SPから聴こえてくる聴感イメージだけで、つぶやいていた。

今日、サラウンドの技術情報サイトなどで、いろいろ読んでみたが、まだ草創期なのか、概念的なことはわかるけれど、なぜそう聴こえるのか、自分が納得できるレベルまで、掘り下げている文献は皆無だった。

だから読了前後の印象とあまり変わらない。

3次元立体音響とか、3Dサラウンドとか呼ばれているこの技術。読んだ技術情報サイトによると、映画音響では、Dolby社のAtomsやWFS、音楽ではAuro-3D、また2020年の東京オリンピックやアメリカATSC 3.0規格では、22.2CHまでの3Dサラウンドが検討されている、とのこと。

オリンピックが絡んでくると、これは結構ビジネス的にチャンスというかまじめにやらないといけないですね。

家電メーカーにとってオリンピックっていつも大きな商戦だからです。

自分がこの技術を知ったのは、去年の中頃、このサラウンドの技術情報サイトとポリヒムニアのFB投稿記事で、彼らが自分のスタジオをそのように改変している写真を見てからだった。

そして、今回のPENTATONEの新譜で、山田和樹氏&スイス・ロマンドの新譜録音を、スイス・ジュネーヴのヴィクトリアホールでAuro-3Dで録る、と高々に宣言していた。刺激的であった。(笑)

この3Dサラウンドという技術、いままで従来の5.1chなどの水平軸(X軸、Y軸)に音が展開するのに対して、垂直方向(Z軸)にも音の表現ができる、というのがポイント。まさしく3次元の立体空間表現である。

技術情報サイトの図を拝借すると(水平方向はリアが増加の7.1chベースですが。)、

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天井にSPを4ch配置する。

自分はこのシステム図を見たとき、これは一般家庭にはまず普及しないと思った。(笑)対応プリ、パワー、もしくは対応AVアンプのコスト高、さらには天井にSPを設置するということを一般家庭に強いること自体、非現実的だと思ったからである。

やるなら映画館だと思った。(というか映画館しかできないと思った。)

自分の目線から考えると、このビジネスが最初にスムーズに走り出すのは、この3Dサラウンドでエンコードしたコンテンツを現在のサラウンドシステムで聴いたときに(下位互換:上位フォーマットをダウンコンバートして聴くこと))きちんとした効果がわかることだと思った。

ネット記事をみる限り、Auro-3Dであれば、13.5chを現在の5.1/5.0chに落とせるし、さらには2chステレオまで落とせる。そしてその逆でアップコンバートで戻せる(ロスレスなんですかね?)ともいう。

でもどの記事を読んでも、ダウンコンバートしたときに、従来のサラウンドよりも効果があります、と断言しているサイトはどこにもなかった。

自分が1番知りたいのはここ!

もし従来と同品質であるなら、自分はこのフォーマットにまったく興味がない。
非現実的なセッティングをしてまで、やるほどのことはない、というスタンス。

だから自分の耳で確かめるしかなかった。

Atmosは、ご存知Dolby社提唱のフォーマット。それに対してAuro-3Dというのは、それのヨーロッパ版で、ベルギーのAuro Technologies Inc.という会社の提唱しているフォーマット。

Auro-3Dは、音楽の立体音響というイメージで捉えられているみたいだが、そんなことはない。
彼らは映画もエンコードします。

自分にとって刺激的だったのは、ポリヒムニアのスタジオのAuro-3D対応のための改変。

彼らは合計3つのスタジオを持っていて、そのうちBDなどの映像コンテンツを編集するためには、第3スタジオという背面にTVモニターがあるスタジオでやる。

だからAuro-3Dを導入するなら、この第3スタジオになる。

天井SPをセッティング中。

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天井SPにはB&W N805。ひも状のワイヤーで吊るしてます。リアにも2本、合計4本の天井SP。驚いたのは、よく見るとツイーターの位置が逆さまで、805を逆にしていること!

真意のほどは定かではないが、頭にツィーターがあると、ワイヤーを取り付けて吊るせないだけかもしれませんね。(笑)

天井SPは、ちゃんとリスポジの方を向いています。

天井にSPをセッティングする問題点のひとつにSPケーブルの配線がありますね。地上のアンプから壁を這わして天井まで結線するのは、かなり見栄えに問題があります。


自分が思う天井SPの1番の問題点は、ポジショニング調整をどうするか、ということ。フロント2本の調整だけでも、普段自分が聴いているヘビロテディスクを再生して、音像と音場を確認しながら1番いいポイントになるように調整する。2本でも大変なのに、サラウンドの5本は超大変。そこにきて、天井SPはどうやって調整するんですか?(笑)

この写真を見ると、前のベージュのテーブルの中央前に、レーザー光線でSPまでの距離などを測定する器具が見受けられますね?

これでやっているのか、と思いました。要は聴きながら調整するのではなく、距離的に判断してOKを出すみたいな。


そうして完成形。

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そして、今回Auro-3Dで録った作品がこれ。 

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チャイコフスキー:組曲『白鳥の湖』、ショスタコーヴィチ:組曲『黄金時代』、
ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ、他 

山田和樹&スイス・ロマンド管

http://goo.gl/9Vrd41


山田和樹とスイス・ロマンド管弦楽団の「バレエ、劇場、舞踏のための音楽」シリーズ。

彼らは過去に2作品世の中に出しており、注目の今回の第3弾はロシアン・ダンスと題され、チャイコフスキーの組曲『白鳥の湖』、グラズノフの演奏会用ワルツ第1番、第2番 、ショスタコーヴィチのバレエ組曲『黄金時代』、そしてストラヴィンスキーの『若い象のためのサーカス・ポルカ』が収録されている。

もちろんロケーションは、スイス・ジュネーブのヴィクトリアホール。

そのときのAuro-3D収録のためのマイキング。

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下位互換で聴いても効果があるかどうか......結論からずばり言うと、もう大変な効果大なのである。このときの私のホッとしたことと言ったら。

最初小音量で聴いていた分には、やや効果がわかりにくかった。
でも昨日、今日の大音量大会で、それは確信と変わった!

端的にまとめると、

①聴いている空間の容積が、従来よりすごく広く感じる。(捉えている空間が広いこと。)
②音のエネルギッシュ、躍動感と、空間の広さが両立している。

この2点だと思う。

聴く前から準備して考えていたことは、映画の3次元立体音響の聴こえ方は、スクリーンを真正面に観ていて、聴こえる音の左右や上下の移動感が著しく生々しく聴こえることだと思う。

たとえばヘリコプターが地上から発射して、そのまま上空に飛び立つ音は、まさに部屋の真下から真上に動いていくのがより生々しく顕著にわかるのだろう。(うさぎさんかエム5さんがそう言ってましたね。)

つまり映画コンテンツって動的表現なんですよね。

それに対して、音楽、コンサートホールやオーケストラを3次元立体表現したら、どうやって聴こえるの?というテーマをずっと考えていた。彼らは静止体、静的表現なんですよ。

音楽を3次元表現すると、なにを聴いているかというと、その音が伝播するホールの空間を聴いていることになって、その効果の現れ方は、(音の伝わり方と)空間の広さがパラメータになっているのかな、と。

今回、この山田和樹&スイス・ロマンドの新譜のどの曲を聴いても、懐が深い、空間の容積が広いというか、オケの発音が下位に定位していて最初は2階席中央からオケを見下ろして聴いているような感覚があった。オケがジャンと鳴らしきるときに、沈み込む感覚というか深い空間を感じるんですよ。

大音量で聴くと明らかにわかるそのホール空間の容積の広さの表現力。オケの音が立体的に聴こえる。

いままで2次元(X軸、Y軸)で空間を表現してきたのだから、それが高さのZ軸が追加されて3次元で表現できるようになれば、同じ容積を聴いていてもすごく広く聴こえるのは、当たり前なのかなぁ、と思いました。

そして、これは②にもつながることなのだが、先述の写真のマイキングの部分に関するところで、オケを直接録っているメインマイク(これは従来と同じ高さか、あるいはもっと近か目にしてある?)と、さらにその上空にハイトチャンネル(高さ情報)を録るためのマイクがあって、メインマイクでしっかり近かめで、オケの音を捉えて、そして空間、高さをハイトチャンネルのマイクで録っていて、いっしょに再生しているから、オケの音が躍動感があって、それでいて空間も録れているという両方が両立しているのではないかな、と思った訳です。

エム5さんからもらったコメントにもあるように、音源から離れた高所の位置にあるマイクで遅れて来る直接音を録る事、そして、それを高所位置のスピーカーで再生してホールでの遅延音を再生する、上下の位相差を感じさせる。

まさにこれ。

ハイトチャンネルのマイクで録った成分が空間を表現するんだと思います。位相差、遅延分があればそれだけ立体感が得られる感覚になりますよね。

いままで数多のクラシック録音を聴いてきて、自分が掲げていた問題点、テーマが、オンマイクで録ったような音の躍動感とオフマイクで録った空間表現力が両立できないか、ということ。片方を立てれば、片方が立たず、そのトレードオフを編集含めて苦労してきたわけで、

この3次元立体音響のマイキングって、それを解決する方法になっているんではないかな、と思えて仕方ない訳です。

オケのサウンドの輪郭をしっかりキャプチャーするメインマイクと、空間を表現するハイトチャンネルのマイク。

だから②の両方が両立できて、しかも①のように、空間の容積というか表現力が秀逸になるんではないか、と想像した訳。


この仮説が正しいか不明ですが、多数のマイクを使うことで、マイクの干渉とかの問題もあって、我々一般人には想像を逸するところです。

仮にAuro-3Dの技術がこのような目的で開発されていなかったとしても、ポリヒムニアのメンバースタッフがそのように解釈して応用して使っているのだと思いました。

ちなみに上述の写真はステージ上の設定しか映していませんが、リア成分をどうしているかは不明です。リアはリアで専用のアンビエント・マイクをホール後方に設定しているのかも不明。

でもディスクを試聴している分には、リアチャンネルからフロントとは別の音源が流れる、というそのようなチャンネルの振り分けはしていませんでした。今回の録音は、リアはフロントの補完、アンビエントな役割に過ぎないですね。


とにかく下位互換できちんと効果がはっきりとわかる!

①と②。~それも自分がいままで永遠のテーマとして掲げていた問題点を解決できるなんて!

これまでの仮定はあくまで、自分の想像、空想で考えています。素人考えですので、間違っていたらゴメンナサイ。

とにかく最初に理論の詰め込みをしなくてよかった。まっさらな状態で聴いたら、①と②の印象だった、というだけですから。

具体的に今回の新譜では、8~14トラックに①と②の凄みを特に感じましたね。(全トラックと言ってもいいですが。)特に13トラック目の木琴みたいな楽器(なんと言うんだっけ?)が鳴っているときの空間の広さの表現力は鳥肌もんです!


PENATONEは、今後ともサラウンド収録は、すべてAuro-3Dで録っていくことになるんだろうか?
アラベラ様の新譜、そして児玉麻里・児玉桃姉妹の新譜.....

これだけの下位互換力を聴かされたなら、自分はぜひそうして欲しいと望むばかりです。

あえて言わせてもらうなら、Auro-3Dで録っているというロゴというか、冊子へのクレジットが欲しいと思いました。

もし下位互換でなくて、本当に天井SP、対応アンプ含めてやれば、本物はもっとリアルでスゴイはず。

これは、うさぎさんやエム5さんに任せて....拙宅のウサギ小屋&なんちゃってサラウンドじゃ無理ぽ。(笑)


あっ今回の日記は、Auro-3Dについてがメインですので、肝心の山田和樹&スイス・ロマンドの新譜については、あまりコメントできませんでしたが、彼らは相変わらずいい仕事をしています。

それにしても、昨今のヤマカズの引く手あまたで、喧騒曲というかクレージーとも思える(笑)様なフィーバーぶりはスゴイもんです。

追伸:その後、友人からするどいコメントをいただきました。Auro-3D技術では、天井SP含めた13.1/11.1/9.1チャンネル相当分のチャンネル数を記録できる記録メディアが必要になると思います。(もしパッケージメディアでの戦略を考えるなら。)でもSACDって5.1chしか音声を格納できない訳ですから、今回のPENTATONEのAuro-3Dの新譜は、あらかじめダウンコンバートして記録メディアに格納していて、最初から下位互換で聴くことが前提だということに気づきました。

つまりPENTATONEは、Auro-3D技術をマイキング技術として利用して、現状のSACDサラウンドのまま録音のクオリティー(空間の容積拡大、音の躍動感と空間の両立)を上げることを目的としているのだと思うようになりました。

Auro-3Dを完全フルバージョンで対応しようとするなら、次世代の音楽光ディスクの開発を考えないといけない。あるいは手っ取り早いのはネット配信でやる、というのが、そういう容量という障壁もなく青天井にも対応できるのでしょうけど、回線パイプの太さもあってまだまだ厳しいですね。なによりもネット配信は、私は、あまり好きじゃないので。(笑)

やはり、3次元立体音響、3Dサラウンドの技術は、コンシューマのマーケットに馴染む、取り込まれるようになるまでは、いままで上げてきたように問題点が多く、障壁が大きすぎると思います。もっと現実的になるには時間がかかるでしょう。

でも自分は、今回のPENTATONEの試みにあるような従来との互換性システムの中で絶大な効果がある、というアプローチは、すごく現実的でいいと思います。拙宅では、もう完全に下位互換でその効果を楽しむ、ですね。

なので、今後のPENTATONEの新譜でも、このAuro-3D技術のマイキング技術を採用していってほしいと思った次第でした。


エレーヌ・グリモーのディスコグラフィー [ディスク・レビュー]

エレーヌ・グリモーは、フランス人なのだが、彼女が夢中になった作曲家は、ドイツ・ロマン派の作曲家が圧倒的に多く、ラヴェル、ドビュッシーなどの正統派フランス音楽には、さほど興味がないことを本人も明言している。

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所属のレーベルも、デビュー当時は日本のDENONだったりしたが、その後、フランスのワーナー(Erato)などを経由して、DG(ドイツ・グラモフォン)に定着して現在に至る。彼女のディスコグラフィーも圧倒的にDGレーベルの作品だ。

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この現在に至るまでのDG時代の彼女の録音を全作品担当してきているのが、エミール・ベルリナー・スタジオ。DGだから当然だともいえる。

そして、その録音をずっと支えてきた彼女のパートナーが、プロデューサーにシド・マクラクラン、そしてトーンマイスターがシュテファン・フロック、この2人。まさに彼女を録り続けてきて、彼女の音色を作ってきたスタッフ、そしてグリモーが絶大の信頼を寄せるスタッフと言っていいだろう。

トーンマイスターは、たまに1,2作品、ライナー・マイヤール氏であったり、他のメンバーだったりするのだが、ほぼ全作品といっていいほど、シュテファン・フロックが担当している。

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シュテファン・フロックは、エミール・ベルリナー・スタジオの一員として、DG作品でヒラリー・ハーンやラン・ランの録音を担当してきたトーンマイスターである。

その当時市場マーケットにない機器を、独自の自作で作り上げてしまうというほどの技術屋さんでもあった。録音プロデューサー&音声エンジニアとして働く一方で、自分の会社 Direct Out Technologiesという会社を立ち上げ、そこのスタジオの設備を整えることに多くの時間を費やしている、という情報を入手していた。

今回のグリモーのDG最新作、「ウォーター」ではなぜかエミール・ベルリナー・スタジオというクレジットが見つからなかった。でもエンジニア(ポスプロ担当)は、シュテファン・フロックであった。


密度感があって音色の骨格感がしっかりしているのは、やはりDGの伝統サウンドだと思うが、それにも増して、グリモーの一連の作品は、ピアノの音色が煌びやかで、本当に美しい。クリスタル系とでも言おうか.....DGのピアノ録音は綺麗だなぁ、とつくづく思う。

●ウォーター

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エレーヌ・グリモー/ウォーター

http://goo.gl/jYVrne

つい最近発売になったばかりのグリモーの最新アルバム。「Water(水)」に関連するテーマの曲で構成された、いわゆるコンセプト・アルバム。それぞれの楽曲の「つなぎ」として、インド系イギリス人ミュージシャン、ニティン・ソーニーが作曲・録音したアンビエントな7つの「ウォーター=トランジション」を間に挿入するというスタイル。

全体を通して聴いて感じたのは、これは完璧なアンビエント音楽(環境音楽)ですね。それも水を連想させる。

聴いていて精神が安らぐというか、超微小音量でかければ、ヒーリング施設のBGMとして流すのにも適切ではないか、と思わず感じてしまうほど。(激しい曲もあるので、選曲が必要ですが。)

間に挿入されている「ウォーター=トランジション」が、かなり効果絶大で格好いい。

とくに6トラック目!

あまりの格好よさにゾクっとしてしまう。

この「ウォーター=トランジション」、

各楽曲の間をブツぎらないで、スムーズに移行させる役目はもちろんのこと、グリモーが弾くクラシック曲をうまく引き立て、浮かび上がらせるのと同時に、自分自身も格好いい旋律なので、アルバム全体の流れに緩衝があるというかメリハリが出ていると思う。

じつにいいコンビネーションで全体のフレーム、流れを作っているな、と思う。

これは本当に美しい作品。たしかに水の流れを感じ取れる。せせらぎ、から激流に至るまで....自分はかなり気に入りました。

グリモーのフェザータッチとも言えるような弱音捌き。

ピアノは超高速のトリル全開の強打鍵よりも、鍵盤を弱く、しかも安定して弾き続けて、雰囲気を出すことのほうが遥かに難しい、と聴いたこともある。


また曲の抑揚にあわせたppからffまでの緩急のつけかた、スライドのさせ方もじつに流れるようで、結構エモーショナルな弾き方をするピアニストだと思う。


敢えて言えば、録音かなぁ。(やっぱりそこですか。(笑))

ピアノの音色は硬質のクリスタル系で、空間も感じるし、打鍵の響きも豊富で、余韻も美しい。
ただ、あまりに煌びやかで美しすぎて、作っているんじゃないかな、という不自然をちょっと感じてしまう。

ECMレーベルが好んで使う手法であるリバーブをかけているようなそんな印象も受ける。

自分がコンサートホールで普段聴いているピアノの生音は、こんなに煌びやかではないと思う。曲間に入る「ウォーター=トランジション」は電子音楽なので、それとのバランス、つなぎを考慮の上、そのような処理もあるのかな、とも聴いていて考えたりした。(グリモーのピアノは、ニューヨークのパーク街兵器倉庫(!)でのライブレコーディング、「ウォーター=トランジション」はスタジオ録音。)

でも、これは考え過ぎで勘違いかもしれないので、そうでなければゴメンナサイである。リバーブについては、嫌う方もいらっしゃいますが、自分は、極度にかけない、自然さを損なわないのであれば、なんとも思いません。逆に、これぞ生演奏では体験できないオーディオの完成度の高さ、美しさとも思えて、そのほうがいいと思うことも多い。

今回の新作「ウォーター」は、純粋なクラシックの作品というこだわりを持つなら抵抗感を持つ人もいるかもだが、自分は完全なアンビエント音楽として割り切っているので、オーディオ的に非常に美しい作品として完成度がすこぶる高いと思うし、傑作だと断言できます。


●ブラームス ピアノ協奏曲第1番、第2番

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ブラームス ピアノ協奏曲第1番、第2番 
グリモー、ネルソンス&バイエルン放送響、ウィーン・フィル(2CD)

http://goo.gl/saegQf


ブラームスのピアノ協奏曲というのは、じつは、数多のPコンチェルトの中でも、ずっと昔からやや苦手意識のある曲だった。いろいろな録音を聴いてきて、自分の嗜好に合う盤に巡り会えなかったというのも理由かもしれない。

どうも全体として重い感じがして垢抜けしない感じが苦手だった。


でもそんなイメージを払拭してくれたのが、このディスクだった。
グリモーは過去にこの曲を2回録音していて、これは2013年に出された最新盤のほう。

グリモーというピアニストは、独特の雰囲気というか、捉えどころのないホワっとしたイメージで、理詰めではない”感性”のピアニストだと思う。それは容貌だけでなく、彼女のピアノを聴いているとよくわかる。

結構その曲の中で、フレーズの捉え方が柔軟で、テンポや歌い回しなどを彼女が考えているイメージに合わせて大きく変えてくるピアニストだと思う。それがはっきりわかるのが1番。(だから聴いている側では、自分の好みに合わない解釈だと、彼女の演奏を変だと思われる方もいるのかもしれない。)

第2楽章は、まさに恍惚の美しさで、DG録音のピアノが美しいと感じるのは、まさにこの楽章。
ここでは、彼女は、まさに超スローテンポで、弾き方にタメがあって、情感たっぷりに歌い上げる。
1番のこの録音の魅力は、自分はこの第2楽章にある、と思う。

一転して第3楽章では、信じられないような高速ハイウェイで、なにかに急かされているかのように疾走感あふれた演奏をする。彼女のブラームスの対する想い入れは大きく、思うところがあっての抑揚なのだと思うが、彼女は全体を通して1本調子ということは、まずないピアニストですね。

譜面は同じでも、テンポ、抑揚などの強弱のつけかたなど、どう演奏上の解釈をするかは、指揮者、ソリストの領域だと思いますが、クラシックでは1番奥が深いところ。良し悪しの基準は決められないし、議論は深いです。

サウンド的には、2chソフトとしては稀にみる優秀録音だと思うが、1番はミュンヘンのヘルクレスザールでのライブ録音で石造りのホールにしては、オケの音が、ややウォーム系(暖色系)に感じるのがやや不満。ピアノがこれだけ鮮烈ヴヴィッドに録れているのと対照的で、編集でマージすると、ピアノがすごい鮮烈に浮き出て目立つのに対し、背景のオケがイマイチという印象が自分にはある。

でもこれは、おそらく拙宅の貧弱な2chシステムのせいだと思う。(ふだん、まったく2chを研磨してませんので。(^^;;でも研磨してなくても同音源の中で、これだけピアノが綺麗に鳴るんだからオケも同条件なんですけどね。)


●レゾナンス

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エレーヌ・グリモー

リスト:ロ短調ソナタ、ベルク:ソナタ、モーツァルト:ソナタ第8番、
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲

http://goo.gl/7OLgPi


これもピアノの音色が本当に綺麗に録れていますね。ピアノ・ソロとして持っておくなら、この1枚で十分かも?レゾナンス(共鳴)というタイトルのもと、様々なスタイルの音楽をまとめあげる、というコンセプトで、モーツァルト、ベルク、リスト、バルトークという4人の作曲家の作品を集めたもの。どれも美しい旋律で、中には有名な親しみやすい旋律の作品もあって、聴いていてじつに秀逸な1枚だと思う。なぜかグリモーのほんわかムードの雰囲気に、選曲のセンスもあっている感じがする。

とにかくピアノの音色が本当にキレイ。1音1音にタメ、質量感があって芯のある音の濃さ、という表現がイメージに近い表現だろうか。DGのピアノ録音の真骨頂ですね。


●モーツァルト協奏曲第19番、第23番&レチターティーヴォとアリアK.505

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モーツァルト ピアノ協奏曲第19&23番、他 
グリモー&バイエルン放送室内管、エルトマン

http://goo.gl/cU93RD

グリモー初のモーツァルト ピアノ協奏曲のDGへのライブ録音。モーツァルトらしい軽快で優雅な音楽にもグリモーは好感を持っていたようで、待望の録音となった。ここで聴かせる彼女の奏法もモーツァルトのイメージにピッタリ合っていると思うし、いい演奏だと思う。ミュンヘン プリンツレーゲンテン劇場でのライブ録音なのだが、彼女は、独奏だけでなく、なんと弾き振りもやる。ハードカヴァーブック仕様のデラックス盤で、ジャケットもすごくいい。

う~ん、問題は録音なんだなぁ。確かに美録音の部類に入ると思うし、けっして悪くない。でもこの日記を書いている順番で聴いているのだが、前記3枚と比較すると、あきらかに、ピアノの音色の透明感や1音1音のタメ、質量感が劣る。煩い自分には、ちょっとピアノの音色が滲んでいるように聴こえる。オケの音もそう、滲んでいる。そして音の密度感もいまいち。音が薄いのだ。

変だな、と思ってすかさずクレジットを見る。BR Klassikとの共同制作であった。確かにレーベルはDGなのだが、プロデューサーはDGで、録音スタッフは全員BR Klassikメンバー。つまりアルバムのコンセプトはDGがプランニングして、録音、音決めはBR Klassikが担当する。

自分が録音スタッフに煩いのもこういうことがあるから。レーベルごとにサウンドが違うのは、その音作りをしているスタッフが違うからなのだ。個性なんですね。それが今回如実に表れた。

でもこの盤の評価を貶めるは本意ではなく、その差は本当に気づくかどうか、しかも小音量の時はわからなかった。大音量で気づく微差だということ。全体のトータルのバランスではよいセンスのアルバムだと思います。


●ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

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ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番『皇帝』、ピアノ・ソナタ第28番 
グリモー(ピアノ)ユロフスキ&シュターツカペレ・ドレスデン

http://goo.gl/96SjnO

グリモーはドイツ音楽(ロマン派)を主なレパートリーとしてきたことから、このベートーヴェンの作品を出すことで、ベートーヴェン弾きとしても世界に認めさせ、さらにベートーヴェンのピアノ協奏曲の頂点ともいうべき第5番「皇帝」を採り上げることで、自分のキャリア・レパートリーにベートーヴェンを大きな跡を残していくという意味合いが強かった作品だと思う。

一聴すると、皇帝にしてはややライト級な仕上がりなのだが、演奏の解釈は至極スタンダードで、好感が持てる演奏であった。録音も、DGの録音そのもので、音色に厚みがあってピアノが美しい。

録音場所はドレスデンの聖ルカ教会で録ったもので(クラシック録音では名盤生産基地である有名な教会:シュターツカペレ・ドレスデンの録音本拠地としても有名である。)、この教会はもう非常に響きが豊かなことで有名で、録音を聴いたら一発でこの教会ってわかる感じ。

でもこの録音では、意外やマスキングされているというか、それほど豊潤な響きとまでは感じないから不思議だ。響き過ぎない程よいバランス感覚で仕上げられている。作品の全体の出来としても、品性が漂うクオリティの高い作品で、いい作品だと思う。自分はお気に入りです。


●シューマン ピアノ協奏曲、C.シューマン:歌曲集、ブラームス:チェロ・ソナタ第1番

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シューマン:ピアノ協奏曲、ブラームス:チェロ・ソナタ第1番、
C.シューマン:歌曲集、他 

グリモー、サロネン&ドレスデン国立管、オッター、モルク

http://goo.gl/wdgu7a


これもドレスデンの聖ルカ教会で録ったもの。こちらのほうが遥かにこの教会で録った響きの豊かさにふさわしくて、ディスクを再生した途端、部屋にその響きが広がる、そういうありようがこの教会録音にふさわしい作品だと思う。音質は彼女のディスクではめずらしくウォーム系(暖色系)で質感の柔らかいテイストですね。ピアノの音色もやや骨太な感じの美しい音色である。一言でいえば、音場感がとても豊かな録音で、柔らかい音触ですね。2005年の古い録音なので、それなりの鮮度感でもある。


シューマンのピアノ協奏曲は大好きな曲なので、自分の理想の演奏のイメージというのが頭の中に確固としてある。それに比べると、若干彼女のイメージ、テンポの解釈が入っているかな、という印象があった。でもいい作品であった。

さらにこのディスクのいいろことは、シューマンの妻クララの歌曲集が入っていて、それをアンネ=ゾフィー・フォン・オッターが歌っているところだ。この2人の競演が聴けるなんて夢のようだ。オッターの声も若い頃で、相変わらず瑞々しい。

ブラームスのチェロ・ソナタも秀逸。

このアルバムは、自分的にも結構気に入っている。


●バッハ 平均律クラヴィーア曲集

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バッハ 平均律クラヴィーア曲集より、ピアノ協奏曲第1番、編曲集 
グリモー、ドイツ・カンマーフィル

http://goo.gl/njTEoU

グリモーの初のバッハ録音。
ちょっとコンセプト・アルバムの趣向で、「バッハによるピュア作品」vs 「ピアニストによるバッハに捧げた編曲版」という図式で面白い。彼女の奏法は、至極スタンダードな解釈による作品。バッハの世界を忠実に再現できていた。

「平均律クラヴィーア曲集」は、ピアニストにとっては聖書の中の聖書のような存在で、調性に関するものはそこにすべて含まれていて、作曲法の法則もすべて織り込まれている。そのような本質が反映されているCDを作りたかった、というのがグリモーの1番の動機だったようだ。

●クレド

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グリモー&サロネン 「クレド」~ベートーヴェン:テンペスト、合唱幻想曲、
コリリアーノ:オスティナートによるファンタジア、ペルト:クレド

http://goo.gl/S1V7r5

http://goo.gl/NQgl7U


現在SACDは廃盤になっているのだが、このディスクはぜひSACDで聴いてほしいので、アマゾンの中古マーケットプレイスやHMVの中古センターのリンクを貼っておきます。

この作品は、彼女がDGへ移籍した時のデビュー作品になる。

サロネンとスウェーデン交響楽団、そして世界最高水準の合唱軍団であるスウェーデン放送合唱団とで作られた渾身の作品。2003年の録音なのであるが、とても古さを感じない、そのクリアな音と響きは驚かされる。だからぜひSACDで聴いてほしい。

この作品は、我々オーディオ仲間の中で有名なのは、7トラック目。

まさに恐怖のオフ会道場破りのソフトとして、このソフトの存在を知らない人はいないだろう。この7トラック目のまさにカオスといってもいいほどのごちゃごちゃした音の塊を、きちんと鳴らせる人はどれくらいいるだろう?史上最強に鳴らすのが難しいソフトと言ってもよい。これをオフ会で持参して他人の家で鳴らそうとする人は、なんと根性の悪い人と思われるので注意しましょう。(笑)

拙宅はサラウンドで鳴らしているので、幾分、ごちゃごちゃした音の塊も幾分分離して聴こえるかなぁと思うのだが、これを普通の2ch再生で聴いたら、本当に団子状態でつぶれてグチャグチャに聴こえるだろう。まさに道場破りのソフトで、我々オーディオ仲間では最も恐れられているソフトでもある。これはじつはマイヤール氏の作品なのです!!


グリモーのCDとして、真っ先に思い出すのは、じつはこの恐怖のオフ会道場破りの、このソフトであったりするのだ。(笑)


●ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番

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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、『音の絵』から 
エレーヌ・グリモー(p)、アシュケナージ&フィルハーモニア管弦楽団

http://goo.gl/kWW8NU

先日の日記で、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番に対する彼女の想いを知っていただけに、この曲を避けて通ることは絶対できなかった。まさに若い新人の頃の作品なのだが、いま聴いても、とりわけ個性的な解釈という訳でもなくて、極めてふつうの演奏解釈だった。ある意味、他のピアニストの作品と比較しても、そんなに区別がつかないくらい。

綺麗な演奏と言うか、差し障りのない美しい演奏と言うか......
ラフマニノフのロマンティズムは十分香り出ているような美しさは醸し出されていた。

以上、彼女の作品9作品を聴き込んだ。素晴らしい作品の数々。

これらを聴き込んで、エレーヌ・グリモーというピアニストの像は、演奏解釈自体は、そんなに奇をてらうような個性的な解釈をするようなピアニストではないと感じた。

ふつうにスタンダード路線で、聴いていて個性的だとか、違和感とかを感じるものはいっさいなかった。

ただし力任せの力演タイプではなくて、どちらかというと情感的というかエモーショナルな弾き方をするタイプで、冒頭でも書いたように、テンポや歌い回しなどを彼女が考えているイメージに合わせて大きく変えてくる、そういう柔軟性は持っているピアニストだと思う。

また彼女の歴史の変遷を見ると、やはりドイツ・ロマン派の作曲家に傾倒しているのがわかりますね。フランス人なのに、ラヴェル、ドビュッシーなどの正統派フランス音楽には、まったく興味がなさそう。

映像作品でラヴェルのコンチェルトは弾いているようですが、似合うかどうかは別として、そういう浮遊感のあるフランス音楽を弾いている彼女も観てみたい気がします。

今年の5月の来日公演は、大変楽しみである。大阪公演と東京公演のリサイタルのほうにいく予定です。

彼女はデビュー時代のDENONで5枚、そしてワーナー(Erato)時代に6枚、そして現在のDG時代というようにアルバムを出していて、ワーナー時代の6枚は、つい最近2000円くらいの廉価でBOXが出ました。これも若い世代の彼女を知る上では、貴重なアルバムだと思います。

自分の今回の日記では、主にDG時代の作品を取り上げました。

前回の日記、そして今回のディスコグラフィーと、自分で日記にすることで、彼女のことを深く知ることができた、と思います。やっぱりこうやって自分で日記にすることは、そのアーティストを知るうえでは、自分にとってとても大切なプロセスだといつも思う訳です。


アンニュイな魅力のエレーヌ・グリモー [クラシック演奏家]

エレーヌ・グリモーというピアニストは、昔からCDをずっと聴いていて馴染みのあるピアニストではあった。

今年2月に久しぶりの新作を発表し、「ウォーター」というタイトルでDGから発売される。それに伴い、じつに5年振りの日本でのリサイタルも開いてくれるようで、楽しみ。

彼女の容貌や、その全体像から香りでるような、なんともいえないアンニュイなフンイキ......
(以下掲載する写真は、FBでの彼女の公式ページからお借りしております。)

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彼女の生い立ち、そして彼女の人となり、人生観・価値観みたいなものが、いわゆる普通の可愛い女性とは少し違うというか、一線を画した、少し表現が悪いけれど、「ちょっと変わった女性」的な摩訶不思議なところに妙に惹かれるものがある。

そういう意味も含めて、彼女の生い立ち、人となりを本で読んでみたいと、ずっと捜していた。

去年、フィルハーモニー・ド・パリでのCDショップで購入したグリモーの本。

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もちろんフランス語で書かれているので読めないので、記念として買った意味合いが多かった。

でも彼女のことをもっと知りたい.....そんなことから日本での書籍がないか調べた。

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野生のしらべ
エレーヌ・グリモー
北代美代子 訳

http://goo.gl/hEtfDa


内容はグリモーが自分の人生を振り返るもので2003年に書き上げた自叙伝、それを北代美代子さんが和訳されてランダムハウス社から和書として発売されている。彼女の生い立ち、人生観が書かれていて、とても自分にはタイムリーな本に思えた。

これを読了して、彼女の人生を知ったとき、なぜあのような独特のフンイキがあるのかが、理解できたように思えた。偶然ではないのだ。やはり、それ相応の試練の人生を歩んできているからこそ醸し出されるオーラなのだ、ということがわかった。

だが、和訳本にありがちなのだが、1冊丸々読んでみたところ、正直大変読みづらく、わかりにくい。日本語の文章がスムーズでなくて頭に入ってこないのだ。何回も読み返さないと全体が掴めなかった。

彼女のことをもっと、もっと知ってほしい、という一念から、この本の所々の抜粋をして、自分のコメントを少々入れて、パブリックドメインにするにはギリギリいいかな、というレベルの自己判断の元、日記にしてみることにした。

目的は、全体の流れがわかりやすいように、彼女の人生がキャプチャーできるようにまとめること。
そして、この本に興味を持ってもらって一人でも多くの方に読んでもらいたいように誘うこと。

(読んでみて問題あるようでしたらコメント示唆ください。)

彼女のCDも昔から、いろいろ持っていたが、今回のこの日記を書く上でさらに買い増して、このような布陣で臨む。

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グリモーは、フランスのエクス=アン=プロヴァンスの生まれ。

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小さいころから、言うことを聞かない、「ひとりの友達もつくらず」「人と違って」いた。左右対称性に異常にこだわる、という病気でもあって、自傷行為まで見せるようになって、心配した母親がその有り余るエネルギーをピアノに向かわせたところから、彼女とピアノとの出会いが始まる。

左右対称性の異常は、体の一部に傷がついた場合は、必ずその反対側にも傷をつけたいという欲望を感じるようになるし、自分の領土も同じように左右対称に整理されている必要があった。

勉強机の上では本の両側に同じ数の鉛筆がなければならず、本はノートの周りに同じ距離をとって並べなければならなかった。片方の靴ひもが反対側ときっちり同じになるまで結んでは、ほどきを繰り返したり.....

この対称性への強迫観念は自傷行為にまで到り、両親を悲しませ、音楽学校、ピアノに向かわせようとする。

もうこの頃からふつうではない、彼女独自の「人と違った」世界が広がっていた。

「人と違う」ことを生きることは、たとえばグリモーにとって小学校に通うこと自体、耐えがたい苦痛であって、それを救ったのが彼女が音楽的才能に恵まれていたということ。

ピアノを通じて、自己実現の手段、自分のありうる場所を見つけるようになれた、ということだった。

1982年13歳でパリ国立高等音楽院に入学して、その才能を開花させるものの、必ずしも順調ではなかったようだ。

入学試験はショパンのピアノソナタ第2番&第3番の第1楽章。この頃からグリモーは、ショパンに対して自然と通じ合うものを感じていたようだ。大いなるエレガンスと究極の洗練を持つ、そしてなによりも自分の感性に溶け込んでくる、と言っている。

そうして、もう一人尊敬している音楽家、ピアニストとして彼女が挙げているのがコルトー。その創意と音楽性、そしてある意味での完璧さの欠如。~ダンディの襟元でほどけたネクタイのように~とつねに称賛していた。コルトー版での指使いとペダルがきわめて錯誤的とも......

15歳になったときに録音、つまりCDを出すチャンスに恵まれる。彼女自身が望み選んだ作曲家がラフマニノフ。

グリモーは、もともとラフマニノフの音楽が、そしてそのピアノ協奏曲のなかではとりわけ一番身近に感じた「第二番」が好きだったようだ。たとえば、初めのフレーズですべてが語られてしまう「第三番」とは正反対に、「第二番」には冗長さという欠点がまったくない、と言い切っている。

自分は「第二番」より圧倒的に「第三番」派なので(笑)、そういう嗜好、考え方もあるんだな、と考えさせられた。自分は、第三番のあの初めのフレーズが全体を貫く共通主題になっていて、全体の統一感・様式美を決めている......そういう部分が特に好きなので、グリモーの考え方とは全く逆なのである。


ラフマニノフの音楽は当時の音楽語法に逆行していて、さまざまな分野で「革命」そのものが時代の流れであったとき、同時代のラヴェルやバルトークが組み込まれることになる動きが誕生していた、まさに、そういうご時世に、ラフマニノフは変わることなくロシア・ロマン主義に執着し、チャイコフスキーがその名を高らしめた音楽形式に忠実だった。

彼女は、このピアノ協奏曲「第二番」について、もう巷では有名なラフマニノフが交響曲第1番で大失敗してノイローゼになって、この曲で復活するまでの経緯を事細かく説明して、その感動をこの本で我々に伝えようとしていた。彼女のこの曲に対する情熱と言うのがひしひしと伝わってくる。

彼女の最初のCDはアムステルダムで録音された。

16歳以降になってから、ブラームスに傾倒。周囲からはイメージに似合わないと随分反対されたみたいだが、彼女のブラームス愛は相当のもので、どうしてもレパートリーとして加えたいと願うようになる。


ブラームスのどのような作品を聴いても、彼女にとって「知っている」という感覚を持つらしく、なにか自分のために書かれているように感じる....自分の感動の揺らぎに正確に対応しているという感覚.....そういう信じられないような親近感を持つらしい。

この本に書いてあるグリモーの「ブラームス讃」は、もう本当にとりとめもないくらい、何ページも費やして、そして限りなく熱く語れているのだ。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番、第2番もすばらしい作品としてCDとして完成させている。こうしてみると彼女は、15歳にしてはじめてCD録音をしてからおよそ20作品ほどの録音を世に送ってきているのだが、自分の想いのたけの作品を着実に録音という形で世に送ってきているのだということが実感できる。(このあたりの作品の解析は、次回の日記で試みます。)

このように自分の存在感、自己表現として音楽、ピアノの道を歩むものの、「自分の音を見つけ出す」ために悩み、フランスの伝統的な音楽界が自分に課してくるステレオタイプのイメージに随分苦しめられたようで、このままここにいても、という閉塞感から、パリ音楽院を離脱して、アメリカ移住を決心する。

でもその前に、1980年代の終わりごろに、マネージャーとの出会いも含め、国外でリサイタルを開けるようになったころの話を書かないといけない。ドイツ、スイス、日本、ロンドンなどなど。グリモーは空港が持つあの独特の雰囲気が大好きのようだった。

これは私もそう。毎年、海外音楽鑑賞旅行に出かけるときの、出発するときの羽田や成田のあの雰囲気、とてつもなくワクワクして、これから始まるちょっとした冒険に心踊るような子供のような感覚....とりとめもなく大好きである。

グリモーは、この時期に人生を決定する大事な出会いをする。

マルタ・アルゲリッチ。

マルタは、その通り道ですべてを押しつぶして進む力であり、絶対的に君臨する生の躍動である。
内面のできごとを全的に感じ取る。風のような女性だ。

彼女とのパートナーでもあったギドン・クレーメルとも大きなパートナーになってもらい、彼女がパリを離れるときにマンションを貸してくれたりしている。

マルタは、まわりに集まる若い音楽家の群れを、考えられないような寛大さで養っていたという。(笑)

そういう中間の過渡期を経て、グリモーはアメリカでのコンサート・ツアーの話を持ちかけられる。
このときは彼女は英語はまだ話せなかったようだ。

このアメリカツアーのときに、もう自分は帰らない、という決心をする。

パリで扉に鍵をかけ、ジーンズを二本ばかりと洗面用具入れ、旅費の代わりに数冊の本をスーツケースに投げ込み、そうしたあと、すぐにフロリダ州の州都タラハシーの住民になっていた。

森林におおわれた平らな田園地帯にある恐ろしく退屈な町。

そこでグリモーが引っ越してきたことに町の人は気づき、自然の外でホームパーティを開いてくれた。

そのとき、「気をつけたほうがいい。あそこには男が住んでいる。ベトナムの帰還兵だ。頭がちょっとおかしい。危険なやつだと思われている。」と言われる。

そして数日後に深夜に眠れなくて譜読みとかするとますます目が冴える、そして深夜の闇の中に散歩に出かける。

その瞬間、グリモーは、初めてそれを見た。

犬の姿をしている。でも瞬間的に犬ではないとわかる。
闇の中でその動物は鋭い眼光で、グリモーを見た。彼女の全身に震えが走った。

その後方に男が立っていた。町の人に教えてもらっていた危険な男、ベトナムの帰還兵だった。

2人は立ち話をして、その男はおもむろに自己紹介をする。グリモーがクラシックの音楽家であることを告白すると、自分もクラシック音楽が大好きで、レコードをたくさん持っている。好きな時に聴きにこればいい。

グリモーは、この誘いをちょっと荒っぽいと思ったらしいが(笑)、その動物は?と聞き返す。

これは狼だ。これがグリモーの狼とのはじめての対面。

狼は、柔らかな足取りで、彼女に近づいてきて、左手の臭いを嗅ぐ。
すると狼は、自分のほうからグリモーの手のひらに頭を、そのあと、肩をこすりつけた。
その瞬間は彼女は全身に電流が走る、電光のような火花を感じる。

そうすると狼は、仰向けになって横たわると、グリモーにお腹を見せた。

男は、「こんなのははじめて見た。自分に対してもこんな姿を見せることは滅多にない。」

最初の初対面で、グリモーは狼との運命の結びつきを感じ取る。

狼の社会~群れ~は人間社会と奇妙に似ている。それは体育会系の民主主義で、他の個体からリーダーと認められたものは、力、速さ、狩りの腕前だけで支配するのでなく、大きな部分を心理的影響力に依存している、と言われている。

この男との出会いから、グリモーはこの狼と恋に落ちてしまった。
この狼と会いたいがために、何回も訪れて、何時間もいっしょに過ごした。
狼からの愛情の交換は強烈で豊かだった。

不意に襲い掛かってくることもある。

狼のほうから愛情表現をされ通じるものを、狼は彼女の中に見出したのだ、と思う。双方にとって運命の出会いですね。

狼といっしょに過ごすことで、お互いどんどん相通じるものを感じ合う。
それからというもののグリモーは、狼に会いたいがためにしょっちゅうその男の家を訪ねる。

愛情という点について、狼はグリモーの人生の中でもっとも重要な存在になる。

これをきっかけにグリモーは動物行動学の勉強を始める。
さまざまな講演に出席する。アメリカ国内を歩き回り、専門家が狼の生態と行動を研究している保護区を訪ねたりした。

音楽、ピアノの割く時間は当然減らすことになる。レパートリーの幅を広げず、同じ曲の追及。注意を室内楽に集中した。

グリモーは、狼の行動学、研究そして自然復帰とだけを目的とする財団と公園を創設したかった。
狼の群れを住まわせる土地を買うために、コンサート出演料のすべてを貯金した。

そこでまず目的を達するために、いったんこの男と狼と分かれ、ひとりニューヨークに出る。ひとりゼロからの出発。五番街にバッグを下ろす。

目的の資本金に手をつけないがために、厳しい食生活、貧困の生活の一途。
電話帳を片手に政府機関を訪ね、コンサート用のステージ衣装のほかは、たった一枚しかなかった着替えを洗濯をするためのコインランドリーを探したりした。

3年。ようやく落ち着いてきたのが1997年。

自ら望んだ不安定な生活を両親に知らせることもなく、極秘に暮らした。
まさにバヴァロッティとヨーヨーマくらいしかクラシックの音楽家は知られていないクラシック不毛の土地。

ピアノの練習の条件がこれほど厳しいことはなかった。
まず、自分のピアノがなかった。

練習したいときは、五十七番街のスタンウェイ社にいくか、お金を払って2,3時間ピアノを借りた。

ようやく2001年にはじめてコンサート・ピアノ、スタインウェイDの所有者となった。

でもグリモーには狼たちがいて、音楽があった。

来る日も来る日も狼の囲い用の土地を探すために懸命になった。そんなある日、不動産屋から連絡があって、ついにグリモーにとっての天国の土地を見つけてくれた。

地元当局との果てしない交渉の結果、「ニューヨーク・ウルフ・センター」を設立。

30名ほどの従業員を雇用。(現在はわかりませんが。)最初の狼数匹を収容した。
センター設立後は、1999年に750名の子供が、2002年には8500人が訪れるようになった。

グリモーの最大の楽しみにしていることのひとつは、夜、囲いの狼たちのそばで音楽の研究をすること。

そして、コンサートの出演料はすべて、この施設の運営費、狼の養育費に充てられ、それが尽きてくると、またコンサート遠征に出かける、という毎日。

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なんと野性的なんだろう!彼女の野性的で摩訶不思議なオーラがいっぱいなのは、このような人生を歩んできているからなのだ。

表面的な生き方をするだけでは絶対得られない、修羅場の人生を歩んできたからこそ得られる”本物”の凄み。

この彼女の人生を書き綴った(彼女自身の独白本)、この「野生のしらべ」という本は、もっともっと詳しく内省的に彼女の心情描写を綿密に描いています。


自分は、それを何回も読んで全体のシナリオが見えるレベルで掻い摘んでいるに過ぎなくて(パブリックにできるギリギリのレベルという自己判断ですが.....)、5月の彼女のリサイタルの前に、ぜひ読んでもらいたい本と思ってこの日記にしました。この本を読み終わったとき、ほんとうに感動してしまい、ぜひこの感動を伝えたいとただそれだけを思っただけ。

またこういう人生の変遷の歴史を知りつつ、一連の彼女のCDを聴き込むと、よりエレーヌ・グリモーというピアニストの真髄がわかるような気がしました。

自分もグリモーのことは、プロフィール欄に書かれている表向きのことくらいしか見識がなかったので、この本を読んで、彼女の数奇な人生に本当に感動した次第なのです。

海外への音楽鑑賞旅行も、なにもヨーロッパだけに限ったことではなくて、アメリカもぜひ訪問したい夢があります。(ヨーロッパには、数えきれないくらい、何回も行っているのだが、アメリカには、なぜか縁がなく、生涯にかけて1回も訪れたことがないのです。)

そのときコンサートホールやオペラハウスだけでなく、番外編として、このグリモーの「ニューヨーク・ウルフ・センター」をぜひ訪問してみたい!

次回の日記では、彼女のディスコグラフィーを聴きこんでの試聴記を予定しています。ここで説明してきた彼女の作曲家の嗜好をそのまま録音として作品化してきた、その変遷の歴史、彼女の音楽観を理解しつつ聴き込む訳です。

つくづく思うのは、クラシック録音の王道のDGレーベルのピアノの録音がじつに美しいと感じることです!!!

【参考文献】グリモー、『野生のしらべ』、北代美和子訳、平成16年、ランダムハウス、2004年


DG SACDのシューベルト歌曲集 [ディスク・レビュー]

先日日記にしたDG SACD特集で、その作品の大半が、2人のトーンマイスターによって作られていたことをあらためて発見し、しっかりと書きとめた。

現に取り上げた作品のクレジットを見た場合、トーンマイスターそして、編集、ミキシングとして名を連ねていたのは大半がこの2人だった。

1990~2000年代のドイツ・グラモフォンの技術センターだったハノーヴァーのエミール・ベルリナー・スタジオに 2人のエース、トーンマイスターがいて、 それが、ライナー・マイヤール氏とウルリッヒ・ヴィッテ氏。

まさにDGの黄金期の作品は、この2人によって作られてきたといっていい。

ヴィッテ氏は、サウンド的にはギュンター・ヘルマンスの後継者といった存在で、いかにもDGという王道を行く、密度感があって中間色のグラディエーションが濃厚、それでいて肌触りの自然なオーケストラ録音をものにしていた。

一方でマイヤール氏は、DGに新しい風をもたらした。

彼の代表作は ブーレーズ指揮ウィーンフィルのマーラー3番やガーディナー指揮のホルスト「惑星」(これは先日の日記の後に、ついに最近ようやく入手できました。)などで、とても瑞々しく色彩的に鮮やかで かつダイナミックな録音を身上としていた。

先日の日記で取り上げた作品も大半がこの2人の作品で、特にマイヤール氏の作品が非常に多かった。

その一連を聴いて、マイヤール氏は大編成のオーケストラをさばく仕事人というイメージをこれまで持っていたが、そんな作品の中で、歌曲集というちょっと一風彼らしくないというか、大技というよりも、高貴な品位で漂いながら、熱いパッションもどんどん伝わってくる、そんな作品に出会った。

DG SACDの日記を書いてから、このディスクに知り合って、すごいヘビロテになってしまい、まさに虜になってしまい毎日聴いている。ちょっと嵌っていてうれしい気分なので日記にしてみたくなった。


歌曲王シューベルトの歌曲「魔王」。

シューベルト「魔王」は、高熱にうなされたときにみる悪夢のような内容で お父さんと幼い子供、そして魔王という3人のキャラクターを 一人で歌い演じ分けるという趣向である。激しい嵐が 木々を叩きつけるような短調の激しい曲調で進んでゆく。

でもその中で「魔王」の歌うところだけが長調で夢見るように美しいのが驚きで心惹かれるのだ。

なんか全体のバランス、曲調として、すごく両極端なところがあるのだけれど、すごく面白い。


この「魔王」をオーケストラ伴奏に編曲した録音がある。

幻想交響曲で知られるベルリオーズが編曲したものとドイツ後期ロマン派のマックス・レーガーが編曲したものと2種類ある。 それぞれ個性があって実に面白い。  


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シューベルト歌曲集
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター/トーマス・クアストフ
アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団

http://goo.gl/4mUb7w



今回偶然にもDG SACD収集の旅で発見できたこのディスクでは、2枚組になっていて、オーケストラが劇的に鳴って派手なベルリオーズ編曲を メゾ・ソプラノのアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが、そして重厚なレーガー編曲を バス・バリトンのトーマス・クアストフが歌っている。

今回発見したDG SACDのこのディスクは、この両ヴァージョンを素晴らしい歌手2人で歌い分けているという、とてつもなく貴重な作品であることがわかったのだ。アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団によるオーケストラ伴奏である。


録音も本当に素晴らしい。
オッターの声なんて、彼女らしい瑞々しい気品のあって張りのある歌声(さらに若い頃だし。(笑))が、じつに綺麗に録れていて、素晴らしい録音だと思う。

いま自分が集めてきたDG SACDの中で、このディスク、ヘビロテ・ディスクとして毎日聴いているのだ。

残念ながら現在廃盤なのだが、上記のリンク先では、中古品で10000円、そして新品であれば30000円くらいのプレミアが付いているが、中古マーケットプレイスで売っているようだ。これだけの高値を払っても、この2バージョン編曲の「魔王」をDG SACDで聴けるなら、自分はお安いと思います。(悪魔のささやき)

人生で500曲あまりの歌曲を作曲した歌曲王シューベルトの作品の中でも、この「魔王」は自分が数聴いた作品の中でもとりわけお気に入りであったりする。


最近の録音では、PENTATONEにて、実力派テノール歌手、クリスティアン・エルスナーがシューベルトの歌曲集を録音して、この「魔王」を録音している。彼が歌うのはレーガー編曲。というかこのアルバムに収録してあるシューベルト歌曲集は、ほとんどがレーガー編曲のオーケストラ伴奏である。ヤノフスキ&ベルリン放送響が伴奏をつとめている。 

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シューベルト歌曲集~レーガー、ヴェーベルン編曲による管弦楽伴奏版 
エルスナー、ヤノフスキ&ベルリン放送響

http://goo.gl/xFn9LT

こちらはトーンマイスターはジャン・マリー・ヘーセン氏の作品なのだが、さすが最新のサラウンドだけあって、じつに洗練されていて、柔らかい質感、解像度が高く細やかで、音が濃いというか情報量が豊富で、本当に最新の録音技術という感じですね。

こちらも素晴らしい録音です。

シューベルトの歌曲をこれだけのクオリティの高い録音で聴けるのだから、こちらも絶対持っておくべき1枚だと思います。

いやぁ、やっぱり自分は歌曲というジャンルが本当に好きだなぁ、とつくづく......


Channel Classicsの新譜:古楽の世界への誘い。 [ディスク・レビュー]

1年のうちで最も忙しいこの時期をなんとか乗り越えられそうだ。その合間を縫っての休日のオーディオタイム。

正月に1度聴いていたが、オランダの高音質レーベル Channel Classicsの新譜を3枚、今日じっくり聴きこんでみた。

正月にも感じていたが、3枚ともじつに素晴らしい優秀録音。いわゆるガツン系ではなくて、癒し系室内楽の様相で、疲れ切った頭と体を十二分に癒してくれた。

ジャレット・サックス率いるこのレーベルも順調のようで、新譜の回転率が速い印象を受ける。
レーベルのサウンドというのは、およそイメージが決まっているものだが、この3枚は、各々でその印象が違っていて、じつに興味深かった。同じレーベル、スタッフの作品とは思えなかった。 

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メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第1番、第2番 
ハムレット・ピアノ・トリオ

http://goo.gl/4ZW6eE

2011年に結成された、ピアノ:パオロ・ジャコメッティ、ヴァイオリン(アムステルダム・シンフォニエッタの音楽監督!):カンディダ・トンプソン、チェロ:クセニア・ヤンコヴィチによるアンサンブル 「ハムレット・ピアノ・トリオ」による演奏。

メンデルスゾーン時代のサウンドを再現するべく、エドウィン・ベウンク・コレクションのエラール・ピアノとガット弦を使用している(東京エムプラス情報 on HMV)とのことで、ピリオド・アプローチ。


オランダは、まさに古楽王国で、Channel Classicsというレーベルも過去からずっとピリオド楽器による古楽演奏の録音を多く取り入れてきている。(レイチェル・ポジャーなんか代表格。彼らのひとつのレーベル・カラーですね。)

またエラール・ピアノを取り入れることは、ピアノの達人でもあったメンデルスゾーンへのオマージュの意味合いもあるのだろうか。

今回の作品もその王道のアプローチの一環なのだと思えた。

メンデルスゾーンは初期ロマン派の作曲家で、明るい旋律の曲が圧倒的に多いイメージがあるが、このピアノ三重奏曲は、短調で書かれていることもあって、明るいながらもどこか影がある、その両面が垣間見えるバランス感覚が絶妙。

ピアノ三重奏曲、四重奏曲、そして五重奏曲と名曲を書き綴った室内楽の王、シューマンを持ってして、「ベートーヴェン以来、もっとも偉大なピアノ三重奏曲」と言わしめた、このメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲。

すべての役者がそろった。

聴いてみて、じつに素晴らしい作品、演奏で、そして録音でもあった。
エラール・ピアノの音色は、表現が悪くて申し訳ないが、モダンピアノと比較して、ヌケ感が悪い、”こもり”気味の音色に聴こえたことは確かだが、でもこの音色でないと表現できない世界が、そこにあることが感じ取れた。

逆にこれがモダンピアノであったなら、華やか過ぎて、このディスクに収められている世界の表現、味は出せなかっただろう。

自分は古楽の世界、よさは、あまりよくわかっていない人なのだが、ピリオド楽器を使わないと表現できない当時の演奏形態の醸し出す雰囲気の価値観は間違いなくあると思う。それが古楽を理解できるかどうかの分かれ道ですね。

そのように肯定的に思えたのもChannel Classicsの録音技術の素晴らしさによるところも大きい。

自分が普段思うこのレーベルのサウンドの特徴は、各楽器のエネルギー感が大きくて、前へ前へ主張するような音の出方をすること。

で、空間もはっきり認識できて、この双方を両立するって、結構録る側の人からすると難しいのではないかなぁと思う。

クレジットには、録音も編集もすべてジャレット・サックス1人になっている。本当に1人でやっているのか、はたまた、共同でやっているのだけれど、クレジットは自分1人だけというワンマン体制なのか(笑)不明だが、彼じゃないと作れないサウンドですね。

ヴァイオリンはリアから、ピアノとチェロはフロントから、というチャンネル配分で、心地よい立体感、包まれ感があって素晴らしい。

いい録音ですね。

録音セッションは、2014年にオランダのヒルヴェルサムのMCOスタジオで行われている。このスタジオはオランダでは超有名なスタジオで、自分もこのスタジオでの録音をたくさん持っているが、ぜひ中を見てみたいと思っていたら、冊子の中にその模様があった。

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とてもシンプルですね。


クレジットでもうひとつ興味深かったのは、Channel Classicsのマスタリング・スタジオのスピーカーが、Grimm Audioのものを使っていたこと。

つい最近も、アムステルダム・コンセルトヘボウの屋根裏部屋のポリヒムニアの編集ルームも、B&W N805を使っていたのを、このGrimm Audioに変えている。いまヨーロッパのクラシック・レーベルでは、このブランドがトレンドなのでしょうか? 

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ドヴィエンヌ フルート四重奏曲集、ファゴット四重奏曲集 
ムジカ・レアーレ(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団員)

http://goo.gl/XEySCB


18世紀フランスで活躍したフルート奏者、作曲家のフランソワ・ドヴィエンヌの木管(フルート、ファゴット)をフィーチャリングした四重奏曲。

このレーベルでは定期的に、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のメンバーによる室内楽作品を録音しており、今回も「ムジカ・レアーレ」というRCOメンバーによる室内楽楽団による作品。

これも素晴らしかった。

ドヴィエンヌという作曲家の作品は、あまり聴いたことがないのだが、数多くの管楽器作品を残しているようで、今回聴いた印象は、誰もが親しみやすい非常に万人受けする優しい旋律を書く人で、これが木管の嫋やかな音色とよく合って、木管好きの自分には、堪らない魅力な作品である。

録音は、さきほどの作品とは違っていて、楽器そのものが遠くに感じる、全体を俯瞰する感じで、なんだか、かなりBISっぽい。(笑)

同じレーベル、スタッフとは思えないテイストで、こんなに違うんだなぁと感じいることが多かった。この作品を録るなら確かにこのような感じがいいですね。

その取り扱う作品に応じて、どのような録音スタイルがいいのか、柔軟に変えられる、そういうところが優秀でいいですね。 

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細川俊夫:ヴェネツィアの歌う庭、ヴィヴァルディ:協奏曲集~海の嵐、夜、ごしきひわ、他 
シュヴァルツァー(リコーダー)、オランダ・バロック

http://goo.gl/gQJPIW


世界での活躍が著しい日本の現代音楽作曲家、細川俊夫さんの作品を、ヴィヴァルディの作品と交互に聴くというコンセプトの作品。細川さんの作品をこのレーベルで聴くとは、夢にも思いませんでした。(笑)

オランダ古楽界の若き精鋭集団オランダ・バロック(元オランダ・バロック協会)による演奏。オランダ・バロックは、このレーベルでは、ソリストと共演する形で、アルバムを作るというのが多いですね。

今回の作品は、世界最高のリコーダー奏者の一人、イェレミアス・シュヴァルツァーとの共演。

このシュヴァルツァーの委嘱により作曲された細川さんの「ヴェネツィアの歌う庭」は、ヴィヴァルディの4つのリコーダー協奏曲と交互に演奏するために作られた5つの小品で、日本でも2014年に演奏されているそうである。(東京エムプラス情報 on HMV)

これが聴いてびっくり!

作品の素晴らしさは、言うまでもないが、特に録音の素晴らしさに驚いてしまった。このレーベルで聴いてきた作品の中ではトップクラスに入る出来で(というか自分好みというまでですが。)、特に細川さんの曲のときでは、静謐な広い空間の中で、平皿に盛った水面に水滴がポタリと落ちるときに感じるような生生しい音表現には鳥肌が立ってしまった。

武満さんのディスクでもよく感じることなのですが、現代音楽というジャンルは、音楽として聴くには難しい面もありますが、オーディオ的に美味しい音の世界というか、隙間、空間を感じる広いキャンパスの中で、スコーンと抜けるような急峻な立上がり、立下りのある音の連続で、鋭利というか、なんかカミソリのような感じがして、ゾクゾクする感じが堪りませんね。

そういう面で、自分にはとても美味しい世界。

とにかくびっくりしました。

古楽には、苦手意識があった自分ではありますが、この3枚を聴いて、より身近なものに感じたことは確かです。

仕事で超多忙な日々を送っていた、つかの間の休日、いい過ごし方ができました。


ウィーン楽友協会の音響の秘密。 [コンサートホール&オペラハウス]

元旦の昨日、ウィーンフィルのニュー・イヤー・コンサートを鑑賞した。
毎年お決まりの儀式で、ややマンネリというか新鮮味がないことも確か。

でも年末年始でマンションに誰もいないという電源事情の良さからなのか、じつに素晴らしいサウンドで鳴って驚いた。自分の経験から、TVの映像機器を通した音は、どうしても本場のホールで聴いたときの音と比べて、信じられないくらい劣化するというか、あの感動を蘇らせることは不可能。

でも、それを差し引いたとしても、じつに素晴らしかった。

今年はサントリーホールが開幕30周年記念ということで、華々しいコンサート、催しごとが計画されている。サントリーと提携関係にあるウィーンも必然と関係してきて、今年は結構ウィーン色が強い年なのでは、と勝手に推測している。秋にはウィーンフィルが来日してくれて、そこで小澤さんが振るという嬉しいサプライズもある。

自分も今年はウィーンに行く予定であったが、いろいろ事情があって、どうするか悩んでいるところである。やっぱり物事にはタイミングというものがあって、旬な時に行くのが鮮度があっていいですね。

日本の楽団さんやソリストの演奏家の方々も今年はウィーン楽友協会で演奏されることも多いようである。そこで、この正月休みのあり余る時間を利用して、このホールについて、いままで自分が文献を読んでいろいろ勉強してきた内容、国内SNSでオーディオ仲間と議論しつくしてきた内容を整理してまとめてみたい、と思い、それを自分からのオマージュ、そして自分としてのふんぎりという形で日記にしてみたいと思ったのである。

まさに理論武装の頭でっかち状態(笑)で、実際自分の耳で聴いたときは、またそれプラスアルファということで印象が追加されるのだろう。

(ウィーンフィルのFB公式ページから拝借しております。)

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ウィーン楽友協会(ムジークフェライン)に関しては、建築音響学(建物内で音の伝搬について取り扱う学問)の中では、長らく世界最高の音響と称されていて、それはレオ・L・ベネラクという音響学者が著した書籍にそのからくり理論が書いてある。ベネラク氏の著書は、コンサートホール&オペラハウスの音響学を学んでいく上では、いわゆるバイブルの本で、そこを志す人であるならば、誰もが知っている、そして読んでいる書籍なのだ。

ウィーン楽友協会は、いわゆるシューボックスという形状スタイルで、直方体の形状で、ステージ上の発音体が360度無指向に発する音を、ステージ左右側方の壁、そしてステージ背面の壁、そして天井、床などですぐに反射して、客席に音を返すようにできている。(初期反射音、1次反射)

さらに直方体なので、両側の壁、天井、床などがそれぞれ平行面で存在するので、反射を何回も繰り返し、響きが非常に豊かに聴こえる。(2次,3次などの高次反射)

さらにこのホールは木部むき出しの椅子もその反射に一役買っていて、まさに響きに囲まれている感覚に陥るのは、そういう構造そのものに理由がある。シューボックスの音響は音が濃い、というのはそういうところが1番の大きな要因ですね。

家庭用のオーディオルーム(専用リスニングルーム)は、やはりこのシューボックスのような直方体が基本。そういった意味で、オーディオルームの室内音響理論の原点にあるのが、このシューボックスのコンサートホールなのだと思う。

でも直方体ならではの問題点、フラッタエコー(泣き竜現象)、定在波の問題などもいろいろあって、一長一短ですね。

ウィーン楽友協会は、サイズ的に縦長(横幅たったの19m)のホールで、容積的には1680人の収容人数で狭い部類に入る。ステージ上からの直接音に対して、壁からの反射音に時間差が小さいことは、このホールの横幅の狭さが要因だと思われる。直接音に対して、反射音の時間差が大きいと(つまり分離しているというか、時間的に十分すぎるくらい音が遅れてくると)、いわゆるエコーという感じで、返って、人の耳には煩わしく聴こえてしまう。あと反射音のエネルギー自体も観客席に届くまでに減衰してしまいますね。

人間の耳に快感で聴こえるのは、直接音と反射音の時間差が小さいほうがいいのである。(でも、これも、そのそれぞれのホールで聴くときの聴感バランス次第で感じることなので一義的にそうだ!とは言えないと自分は思いますが....)

シューボックスの欠点は、観客収容人数の少なさですね。縦長の直方体ですから、大人数を収容できないし、特に昔のホールでは、後方に行くにつれて傾斜をつけていないので、後方席の人は前の人がじゃまで、ステージが見えにくいと思います。

現在のホール事情で、大ホールとしてシューボックス型というのは、もうあり得ないのではないでしょうか?(室内楽ホールとしてなら、シューボックスはありです。)

いまの時代は大人数を収容出来て、ステージと観客全員が一体感を得られるワインヤード/アリーナ型が主流だと思います。(観客と一体感を得れらるのが、ワインヤードの一番のメリットですね。)

反面、ワインヤードは反射面の壁が遠いので、反射という恩恵を得るのが難しくて(あと観客が音を吸ってしまう。)、直接音主体で、音が薄くなる傾向で、音響的にデメリットがあります。それを「反響板」という存在、そしてホールの形状の工夫で補っているのだと思います。

ベルリンフィルハーモニーやサントリーホールのような昔のワインヤードのホールは、反響板は、ステージの上空にしか存在しません。でも最近のアリーナ型のホールは(最近行ったパリのフィルハーモニー)、ホールの観客席全体の上空を円周上にぐるっと反響板が取り巻いています。なので、ステージ近辺だけでなく、観客席全体に音が行くように工夫されているのです。

日本のミューザ川崎もそうですね。

天井の中心にある反響板を、やはりドーナッツ状に同様の反響板が円周上に取り巻いている。(ステージ前方だけではなく、ホールの客席全体をカバーするように。)そしてらせん状に見えた客席下部にある白い反響板もよく見ると、その下に位置する客席に音を返すようになっているのだと思う。

ステージを取り巻いている反響板も同様。とにかく、あの広いキャンパスの中で、つねにステージ上の音、そしてそれがホール空間を漂うときに、それをいかに客席にその音を返すか、という工夫が随所にされているのが、あのホールの音響の特徴なのだと、思います。(あくまで自分の想像の域です。)

アリーナ型は、ロックのコンサートのように観客との一体感を大切にしつつ、音響面でのデメリットをこのように補っていって、素晴らしい音響を作り出す、というソリューションなのだと思います。

大昔のホール形式であるシューボックスとは、なにからなにまで考え方が違いますね。

ウィーン楽友協会に話を戻しましょう。

このホールのもうひとつの大きな特徴は、平行面の壁、および天井に施されている音の拡散を狙った凹凸。側方の壁であれば、女性像の彫刻。天井であれば、優麗壮美な天井画の数々。

これらは音の拡散、滑らかさを作り出しています。

ヨーロッパのホールの特徴は、この華麗な彫刻が一番の特徴だと思う。
大昔の建設当時に、音の拡散なんて発想があったかどうかはわからないが、このような神秘的な彫刻はヨーロッパならではで、ヨーロッパであれば、どこの国のホールでも共通に見受けることが出来る。(キリスト教などの宗教に関連するところがありますかね。)これがじつは結果として煌びやかな音響を生み出しているなんて偶然は、やはり奇跡的なミステリーというか、自分がヨーロッパのホールに憧れている一番のミステリーだったりする。

現在のホールでは、さすがにこのようなヨーロッパ調の彫刻を施すことはできないので、武骨な形デザインではあるけれど、意識的に壁面に凹凸を作っているホールを結構見受ける。こういう凹凸を意識的に作ることは、ホールの内装美デザインとのトレードオフになるので、難しい選択ですね。

そして響きの質。

これは反射させる壁質によるところが大きいと思います。
楽友協会の壁は漆喰。(家庭用オーディオルームの室内音響理論もピンキリでいろいろありますが、自分がこれっ!と思っているものは、壁の材質に漆喰を使っています。)響きが広帯域に均一で、どこかでピークを持つなどの強調される帯域がないことが特徴。高域は、その可聴帯域外の高域に向かって、ブロードに自然に減衰していく。これがオーディオ的には音の粒子が細かく、滑らかな印象を与えるのだと思います。漆喰のザラッとした風合いが,抑え気味に音の艶を調節して滑らかさを出すと言われているようです。

あと、これはレオ・L・ベネラク氏の文献に書かれていて、なるほどと思ったのは、この楽友協会のホールのみに存在すると思われるホール上部に装着されている採光窓の存在。

「低音が豊かで,ヌケ感が良く,空気の塊がホールの中を弾むようである。」

低音に関しては,上部の採光窓がヌケ感に寄与している、という見解を示している研究者は他におらず、このベネラク氏特有の理論だそうです。 低音は堅固な壁面で覆われているとこもり気味になるのだが,窓などで弱い面があるとそこから低音の圧力が逃げて行きヌケ感が改善される。 楽友協会で、低音に関し量感とヌケ感を両立させているところも大きな特徴であると言えます。

(よく防音でガチガチに固めてしまうオーディオルームより、和室などのある程度音が外に抜ける構造のほうが音が抜群にいい、と言われているのにも共通していると思います。)

あと、エージング(経年変化)も絶対に避けては通れないファクターですね。
ヴァイオリンのストラド(ストラディバリウス)などの名楽器の音色が、現在、懸命になってCG CADを使ったりしてまるっきり同じく模倣して作ったとしても、決して同じ音色を出せないのが、このエージングによるものです。ヴァイオリンの中の胴体の部分でこの音色を決めているところのパーツがあって、そこも含めて、いわゆる17〇〇年製とかいう何百年という経年を辿っている訳で、そうすることで熟するというか、発酵するというか、それが原因で信じられない恍惚な音色が出るのだと思います。

これはコンサートホールにも同じことが言えて、ホールを作っている材質などが何百年という経年変化で、熟していき、そこで発する、反射される音は、絶対近代建設で発せられる音では永遠にマネのできない異次元の世界なのだと思います。

これは楽友協会の音響の秘密の中で一番大きな要素かもしれません。

そして、これはオーディオ仲間が実際ムジークフェラインを体験した時に、言っていた感想で、大変参考になった意見があります。

「じつは1番の”きも”は体育館のようにドカドカ鳴る木の床だったりする!」

観客席の床から階段、さらにステージの上までも全部木の床。つまり床振動で全体を鳴らすようにするため、ステージ上でオケが音を出した瞬間、音圧が上がった時に、床が木でホール全体を通して連なっているのでどっと盛大に鳴り、つまり音が化けるように出来ている。(床振動って大切で固い床ではダメなんですね。オーディオルームの床造りと同じです。)
いわゆる”ハコ鳴り”というやつでハコ(ホール)全体が鳴っているように感じる。

「ホールは楽器です。」という名文句はここから来ているのだと思う。

このホール全体が楽器のようにいっせいに共鳴して鳴るように聴こえる現象はムジークフェライン特有なのかもしれません。

この意見が一番自分には的を得た、このホールの魅力をグサッと刺した感想だったように思える。


レオ・L・ベネラク氏によるウィーン楽友協会の音響の秘訣として、つぎの

・比較的小さな寸法であること。
・不規則な内部の表面。

であることを挙げている。

反面、このホールの欠点と言えるところは、

・響きが豊か過ぎて、直接音の音像が埋没気味というか、細かい楽器のテクニックや音色が、その響きの中に埋没して聴こえないこと。音符の数や楽器の数が多くなっていくと、美しいハーモニーの中に個々の音は埋没してしまう、ということ。

・そしてホールの容積が小さいので、トゥッティなどのいっせいの大音量のときに、音が飽和してしまう、ということ。


コンサートホールの音響特性、響きは、そこのレジデンスオーケストラが1番良く分かっていて、自分たちが実際弾いてみたときに、どのように響いて聴こえるか、などを自分が演奏しながら直に感じ取れる。

そういう意味演奏者が一番そのホールの響きを理解できていて(いくら理論づめで能書きを垂れてもダメな訳であって、直に耳で聴いた印象が1番ということです!)、遠征で行ったオケは、そのホールに合わせて、急いでベストな演奏方法を模索するし、レジデンスオーケストラであれば自分のホームの音響を知り尽くしているので、どう弾けば最高のオーケストラ・サウンドが醸し出されるのか、わかっていて、それに応じた演奏方法などを身に着けていると思うのである。

ここまで頭でっかちで理論武装しているより、実際行って聴けよ!(笑)ということでもありますが、昨晩のウィーンフィルのニューイヤーコンサートのTVから出てくる音があまりに素晴らしかったので、この日記を初年度1発目の日記として取り上げようと思ったのです。

放映もサラウンドで放映されているのがいいですね。(というか当然です。)

我々が左右ふたつの耳で聴いている日常の現実音はサラウンドなのです。2CHじゃない、様々な方向、距離から音が聞こえてくる。ところが、その気になって注意して耳をすまさなければサラウンドしてるという感覚がない。ものすごく自然。それが理想なのだと思います。


2016年 謹賀新年 [雑感]

あけましておめでとうございます。

昨年は、拙稿にお付き合いいただき、ありがとうございました。

このブログを開設したのが、2012年末で、それから3年経ち、頻繁に投稿することはさすがに無理ですが、なんとか滞ることなく続けてこれたと思います。

当初は、海外音楽鑑賞旅行で撮影してきた現地の情報を、旅行会社のスタッフの方々にシェアしたい、という目的で始めたのですが、それが段々テリトリーが広がってきて、自分の趣味に関するものなど幅広いテーマを投稿するようになりました。(内容もマニアックで病気とも思われる投稿も多くなってきて、引かれることも多いと思い(苦笑)、申し訳ないと思っております。)

年末年始は、帰省せずに東京におりました。

大晦日の昨晩は、人生ではじめて外で過ごすという経験で、サントリーホールでのウィーン・フォルクスオーパーのジルベスターコンサートを体験してきました。年越しのカウントダウンを家の外で過ごすというのはエキサイティングでした。

ウィーンのオペラッタを上手に時間内に収まるように、そしてわかりやすいように、「ショー」として作り上げていたのは感心しました。

十分楽しめましたし、一生の思い出ですね。

今年は、まだ大きな指針を決めておりませんが、例年と変わらないと思います。
クラシックコンサート、オペラ通い、オーディオ、そしてグルメ、そのようなところくらいしか取り柄のない自分ですので、今年も趣味人として、全うしていきたいと思っております。

(もちろん生活の基本軸になる仕事は別軸で頑張ることはもちろんです。)

でも、長いスパンの人生と同じで、なにが起こるかわかりませんね。

当ブログ、本年もよろしくご愛読のほどをお願い申し上げます。

昨年末に訪れた創作フレンチのプリミエアベニューさんに造っていただいた特製お節です。

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プルミエアベニュー [グルメ]

ちょっと早いですが、昨晩お洒落なクリスマスディナーを楽しんできました。

じつに3~4年ぶりに会う友人で、クラシック、オーディオ仲間でもないので、ふだんのSNSでの交流もなくて音信不通で、どうしているのかな、と思い、誘ってみた訳です。

かなり太っていましたが、元気そうでなりより。

最初久し振りに会う緊張なのか、話していてどうも別人みたいに感じましたが、3時間後には、あぁやっぱり昔のまんま、という感じに感覚が戻ってきてホッとしました。

レストランは、プルミエアベニューを選びました。
もう我々のオーディオ仲間の中では、結束の場所というか、大切な思い出のレストラン。
ゴローさんが生前こよなく愛し、足繁く通ったお店である。

以前は川崎の高津にあって、ボクがゴローさんに仲間と一緒に招待してもらいお店に来店したのが、この高津時代。その後も何度もいっしょに足を運んだ。

そしてゴローさんご逝去の後、お店のブログである”ぷるぷるのブログ”で小林悟朗さんのご逝去ということで追悼の記事を投稿してくださった。

そしていまは武蔵溝の口に移転して再出発。

毎年ではないけど、IASJ(東京インターナショナルオーディオショウ)のある時期に、オーディオ仲間がみんな一堂に集まって、「ゴローさんを偲ぶ会」というのを、このレストランでやる、というのがみんなの絆を確かめるみたいな感じで執り行われる。

小林家からご遺影をお借りして、いっしょに参加してもらう意味で椅子に置いて、エム5さんの献杯で始まって、みんなで深い話をする。(笑)

今回、このレストランを選んだのは、自分の日記で取り上げてみたくて、その存在をつまびらかにしたい、という感じでしょうか。

高津時代に比べて、武蔵溝の口のほうが店内が明るくなった、というか、かなり洗練されましたね。

じつに久しぶりに行くので、お昼に下見に行きました。(まだ準備中。)

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高津時代から、つねに満杯の人気ぶりで、予約必須の感じですね。いつも感心するのは、シェフなどのお店の人たちがスゴイ若くて、これまたとても丁寧で物腰が柔らかいお客に対する接客。なんか自分のような下衆な世界の人間とはちょっと違う感じで恐縮してしまいます。

各地から旬な素材を取り寄せて、できればオーダーメイドのような感じでお客様の好みに合わせてコースをアレンジしてくれる。(もちろん定番のメニューもあります。でも事前に連絡するのが、お店の人にとっていきなりではなくて準備する上でいいと思います。)

出てくるメニューを見て毎回驚かされるのが、料理に対する人一倍の情熱があり、アイデアやセンスがあること。

一品一品に 素材を活かす発想から生まれたオリジナリティがあり、さらに見た目で楽しませる心遣いが食べる前の期待を高め、 そして口にしたときに快い驚きがある! 若いながらフランス料理のツボを見事に押えていると 感心してしまう。

もうジャンル的には”フランス創作料理”ですね。

とにかく見た目が素晴らしく美しいのですよね。
使っている食器はもちろん、その盛り付け含めて、とてもセンスがあってお洒落。

それでいて、もっと驚くのが、お店の雰囲気が、フランス料理にありがちな、”かしこまった”ところがなくて、すごくカジュアルだ、ということ!

来客するお客さんの格好をみたら、一目瞭然。ドレスコードなんてまったくなくて、みんなすごい平装というか、すごいカジュアル。

自分は、そのことを知っていたので、この日もごく普通の格好をしていったのだけれど、友人に知らせていなくて、友人は、お店のHPの美しい創作料理の写真をみて、かしこまったお店と勘違いして、正装してきてくれたのでした。申し訳なかったです。

この日は、クリスマスディナーということで、少しオーダーメイドで工夫をしてもらいました。

では、その素晴らしい創作料理をご紹介。
若いお店の人のホントに流暢な説明で、頭に覚えていられなくて右から左へ行ってしまいそうなのですが(笑)、最初から日記にする予定だったので、メモの用意をして必至にメモりました。かなりあやふやですが、ご了承を。

まず最近解禁になったボジョレヌーボーを堪能。
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甘くておいしかったです。

まず前菜が続きます。

かぶとババロア、生うにを添えたもの。
不思議なテイストです。
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バジルとオレダノオリーブオイルとパン。
これは美味しかったですね。パンにオリーブオイルをつけて食べるのがこんなに香ばしくて美味しいとは!

ズワイガニと生ハム&野菜のケーキ。
これは高津時代からよく知っていたメニューで、懐かしさいっぱい。このお店の看板メニューですね。見た目が、あまりに美しい!
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フォァグラ・キンカン・テリーヌ
自分がぜひフォアグラを、ということでお願いした一品。
友人は、はじめてフォアグラを食べるらしく、これがフォアグラかぁと感動していました。
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キントキニンジン・ポタージュ&ボラの白子を添えて。
今回食べた素晴らしい創作料理の数々は、普段あまりいい食生活をしていない自分にとって、食べたことがない不思議な、そして絶品の味ばかりなのですが、こ~れは、特にこの世のものとは思えない素晴らしい味でしたね。
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ボタンエビスープ
まろやかな不思議な味。
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そしていよいよメインディッシュ。まずお魚。
かんだい、ムール貝、こぶだいのメス。
お魚が少し上品な感じで塩味のアクセントがあってじつに美味しい!
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つぎにこれまたメインディッシュのお肉。
宮崎牛とトリュフのソース添え。そしてシャンピオン添えも。

毎度フランス料理を食す度に、このトリュフのソースがもうこの世のものとは思えないくらい、香ばしいと思うおいしさで、この日もこのトリュフのソースをぜひ、ということでお肉にアレンジしてくれたのでした。
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そして駿河湾サクラエビの炊き込みゴハン。
これはあのエビの強烈な塩味というか、それがご飯とよく合って美味しかった!
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そして最後にデザート。ホンダンショコラ&ムース。
これもいままで食べたことのない味というかこの世のものとは思えなかった。
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こうしてみると、素材そのものは、たとえばけっして超高級な素材という訳でもないのだけれど、その発想、アイデアから成るオリジナリティが素晴らしいのですよね。お店の雰囲気もとてもカジュアルで親しみやすくて、こういう若いシェフによる情熱、工夫のある創作料理。


友人はたいそう感動してくれました。
いいおもてなしができたと思います。

今年の年末・年始は、北海道に帰省しないで東京の自宅で過ごすつもりですが、年越しの信州鴨南蛮そば、と正月のおせち料理は、このプルミエアベニューが作るオリジナルのものをオーダーしているのです。

大晦日の日に取りに行きます。

とてもいいクリスマスディナーを過ごせたと思います。

プルミエアベニュー    
http://r.gnavi.co.jp/a881902/

プリミエアベニューのブログ。「ぷるぷるのブログ」  
http://ameblo.jp/a881900/


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