So-net無料ブログ作成
前の30件 | -

銀座線レトロ 特別仕様車に遭遇しました。 [雑感]

2~3年前にも偶然遭遇したことがあるのだ。でもそのときは、銀座線にそういうレトロ仕様の車両があることを知らず、「あれ~これなんだろう?珍しい。」というくらいの気持ちで写真を撮らなかった。

後日、銀座線のレトロ、1000系の特別仕様車であることを知って、とても悔しい気持ちになった。

その後、銀座線に行って、「特別仕様車に乗りたいのだけれど、いつ走っているか運行時間知りたいのですが?」と駅員さんに聞いたのだが、「いやぁ、運行時間を教えてしまうと、鉄道マニア(鉄ちゃん)含めて、殺到しちゃうので、いっさい秘密なんです。」ということだった。

乗れるかどうかは、まさに運に任せるしかないのである。

だったら、銀座線ホームでずっと待っていて、レトロ仕様車が来るまで、待っていればいいじゃんか、と思ったが、最初の1~2本で、もうこれでは日が暮れるというか、やってられん、という感じで、すぐに諦めた。

もう運に任せるしかないのだ。

自分が銀座線を利用するのは、日本橋の京都銀閣寺ますたにラーメンを食べに行くときと、外苑前の世界の朝食のお店に行くときくらい。月1回くらいの利用だろうか。。。

これでは、いったいつ遭遇できるか・・・ほとんど諦めで、そのことも忘れかけていた。



ここで、銀座線レトロ 1000系特別仕様車のことについて、まずは説明してみよう。

去年の2017年は銀座線が開業してからちょうど90周年にあたる。
それに合わせて、当時運行された特別な列車に乗りつつ、銀座線の歴史を振り返ってもらいましょうというイベントを催した。

“地下鉄開通90周年記念イベント「TOKYO METRO 90 Days FES!」スペシャル企画『銀座線タイムスリップ』”という、長~いイベント名。(笑)

このイベントの様子の記事が、こちらの電子ニュースで掲載された。
詳しくは、こちらに記載されているので、ご覧ください。

https://getnavi.jp/vehicles/211909/


ここでも、その記事の中から一部を抜粋して、この日記でも紹介してみる。

20171221-i03-3[1].jpg

運転士と車掌はレプリカ制服を着て乗務。臨時列車では当時の乗客の服装を再現した添乗員も同乗してイベントを盛り上げた


90周年を記念した「銀座線タイムスリップ」の臨時イベント列車。
使われたのは1000系特別仕様車だった。現在、銀座線には1000系6両編成40本が走っている。
そのうち2本のみが、特別な造りとなっている。

つまり確率1/20、5%ということなんだな。

20171221-i03-4[1].jpg

1000系特別仕様車

1000系特別仕様車は地下鉄90周年に合わせてレトロなイメージを強め造られた車両。通常車両と異なり、前照灯を2灯から1灯に、内装は木製色を強調、銀座線を最初に走った1000形をイメージした造りが各所に取り入れられた。

また天井灯はLED照明ながら、光の色が変更できるようになっている。さらにほかの1000系には無い予備灯(非常灯)があえて付けられた。今回のイベント列車では、この予備灯が生かされたのである。

20171221-i03-5[1].jpg

車内の内装は木製色の化粧板をメインに。座席も通常車両の煉瓦柄に対して緑色のシートモケット、手すりは真鍮色とされている。


今回のイベント列車への一般の応募者数は4090人。その中の45組90名が晴れて乗車できた。倍率はなんと45倍強! 人気の高さがうかがえた。

きっと熱心な鉄道ファンが多いのだろう、と思って乗車してみると、女性の参加者がかなり多かった。やはり銀座線好きな人には男女、また鉄道ファンに関わらず、ということなのかも知れない。

20171221-i03-8[1].jpg

イベント列車として使われる1000系特別仕様車が検修庫内に停まる。ふだんは使われない階段と先頭部の非常用トビラから入るという“旅の始まり”も参加者の心をくすぐった。


駅に入る手前の、ポイントを通過する時に、車内の照明が消えて一瞬、真っ暗に。点いているのは車内の非常灯のみ。古い銀座線では“当たり前”だった光景が、四半世紀ぶり、2017年12月17日に運行された臨時イベント列車で再現された。

20171221-i03-1[1].jpg

前述したように1000系特別仕様車は車内に予備灯が付けられている。イベント列車では、この予備灯を生かしての、古い銀座線車両のイメージが再現された。

20171221-i03-12[1].jpg

浅草駅~渋谷駅間は照明がLEDモードから、やや赤みがかったレトロモードに切り替えられた。



さて今回のイベント列車内の催しとして注目されたのが「予備灯の点灯」。1984(昭和59)年に走り始めた01系電車が登場するまでは、車内の照明が消え予備灯(非常灯)が一定の箇所で点灯した。銀座線の車両がすべて01系となる1990年代までは銀座線に乗ったならば、いつでもこの一瞬、室内灯が消え、予備灯が付くという現象を体験できたわけだ。なぜ、01系以前の車両は予備灯がついたのだろうか。

20171221-i03-13[1].jpg

浅草駅から渋谷駅にかけて予備灯が計14回点灯された。点灯した場所は、ほぼ古い車両と同じ場所で起こるように“設定”された。


東京メトロの路線の中で銀座線と丸ノ内線のみサードレール方式(第三軌条集電方式)を採用している。サードレール方式とは、レールに平行した3本目のレールに電気を流し、そこからコレクターシューによって、集電して電車を動かす方式のこと。

このサードレールは、ポイントなどで、途切れる区間が一部にあり、集電ができないところでは、バッテリーの電源を生かして予備灯(非常灯)が点灯する仕組みになっていた。現在の01系以降は、集電できない区間も、室内灯が切れないシステムに変更されている。

20171221-i03-14[1].jpg

銀座線1000系の台車に付くコレクターシュー(矢印部分)。この装置でサードレールから集電して電車が走る。

20171221-i03-15[1].jpg

レールに平行して設けられるサードレール(矢印のレール)。ここに電気が流されていて、コレクターシューをすって集電する。


20171226-i01-10[1].jpg

イベントでは、レトロ制服に身をつつんだ乗務員との記念撮影タイムも用意され、特製の額縁を持ちつつ記念撮影に興じる人も多く見られた。

いーなー、いーなー。すごい競争率だけど、ぜひ自分も参加してみたかった。



さて、ここからが自分の体験談。

日本橋の京都銀閣寺ますたにラーメンを、久しぶりに食べに行きたいなーなんて思って銀座線を渋谷から乗った時のこと。改札を通った時に、目の前にある銀座線の車内を何気なく見ると、このレトロの木目調ではないか!

うわぁ!これは大変!と思い、急いで車内に飛び込んだ。

感動!2年ぶりに遭遇できた銀座線レトロの特別仕様車。

感無量だった。

もう、もちろん夢中で写真を撮りまくった。

まさか、こんな偶然に遭遇するとは思ってもいなかったので、そのときコンデジは持っていなかったので、仕方なくスマホのカメラで。

自分が遭遇した銀座線レトロ 1000系特別仕様車。
写真撮りながら、もうドキドキの頂点だった。
乗車している方々は、いたって冷静で普通なんだが、このことがいかにスゴイことなのか、わかってんのかな?(笑)

DSC_0281.JPG

こちらが、ふだん乗っている銀座線の車両。(笑)ときめき度が雲泥の違いだ。(笑)

DSC_0327.JPG

ちゃんと室内予備灯もありました。(笑)
DSC_0283.JPG


ただ、特別イベントのときは、車内消灯、そして予備灯点灯というシーンを再現したけれど、今回はイベントではないので、そういう心配り、配慮はなし。


車内を夢中で撮影した写真を、ちょっと紹介してみる。

DSC_0279.JPG
                                                    

DSC_0296.JPG

                                                   

DSC_0293.JPG

                                                   

DSC_0294.JPG                                                 

                                                     
この写真が、銀座線が開通したばかりに走った「東京地下鉄道1000形」と、今回の「銀座線 1000系 特別仕様車」の比較。今回の特別仕様車は、この最初の東京地下鉄道1000形を模して造られたのだ。


DSC_0289.JPG

車両間の扉。各車両を隔てるガラス戸にはパンダや雷門など、銀座線に縁が深いイラストシールが貼られていた。

DSC_0292.JPG

このつり革も、昔の東京地下鉄道1000形では、思いっきり外側に曲がっていて、それをつかむと正常の位置になる仕掛けだったよう。いまみたいに最初から下にぶら下がっているわけではなかった。


DSC_0300.JPG

                                                      

DSC_0298.JPG
                                                                                                                                                       
下車して、銀座線 1000系 特別仕様車を外から撮る。

いまは、みんな投身自殺対策のセキュリティガードがホームに付いているので、車両全体の外観の写真を撮るのが難しくなった。

DSC_0302.JPG
                                                     
DSC_0304.JPG


いやぁ、興奮でラッキーな日でした。
5%の確率に遭遇するとは!

江ノ電をきっかけに、だんだん鉄ちゃんの気持ちがよくわかるようになりました。
自分もなんかドキドキして楽しい。(笑)

いま乗ってみたいのは、松本行きのスーパーあずさの新車両。
2018年春には、全「スーパーあずさ」が、E353系になる。

171223_e353_01[1].jpg


むかしは、小澤さんのサイトウキネンを観るために、毎年のように夏の音楽祭のシーズンになると、松本に出かけていた。そのとき、必ずスーパーあずさに乗るんだが、これが見違えるようにモダンな最新車両になった。

鉄道の世界は楽しい!(^^)







nice!(1)  コメント(0) 

体験! サマランカホール [コンサートホール&オペラハウス]

「このホールは、ヨーロッパのホールの響きがする!」


仲道郁代さん、田中彩子さん、そして近藤嘉宏さん、宮谷理香さん、菊地裕介さん、松本和将さんの4人のピアニストによるピアノ共演コンサート。。。など、このホールで演奏した演奏家、歌手の方々が、みな異句同音にそう発言する。

この発言を聴いて、コンサートホール愛好家の自分にとって、かなりそそられるというか、自分のアンテナにビビッと来る感じで、居ても立ってもいられなく、これはぜひ訪問してみようとすぐに思い立った。

素晴らしいホールがあれば、海外、国内問わず馳せ参じる、である。

内装写真を見ても、とても品格があって、これ見よがしの音響操作の人工的な仕掛けはまったくない自然な佇まいが、さらに自分の好感度を上げた。見た目にも雰囲気的に確かにヨーロッパのホールのテイスト。とてもとても自然な空間。


サマランカホールというのは、岐阜県にある。
1994年に開場した。もう24年の歴史がある。


その名は、スペインのサラマンカ(Salamanca)市に由来している。

サラマンカ市は、ポルトガルとの国境に近くにあるカスティーリャ・イ・レオン州サラマンカ県の県都で、現存するスペイン最古の大学ともいわれるサラマンカ大学のある街。

旧市街全体が世界遺産に登録されている歴史的な都市なのである。

市中心部にあるサラマンカ大聖堂には、「鳴らずのオルガン」と呼ばれていたルネサンス期の古いパイプオルガンがあった。

まさに世界最古のオルガン。

天使のオルガンとも言われている。

650x_10494982[1].jpg



そのオルガンの修復を岐阜県白川町のオルガン製作者 辻宏氏が申し出て、その事業に岐阜県も協力をしたのだ。

修復への道のりは決して平坦なものではなかった。

辻氏が修復したいと思っていても、本国スペインでは、大事な国宝のオルガンの修復を外国人に任せられないと断られた。

交渉の末、許可が下りるものの、費用は自己負担。
大きな壁となって立ちはだかった。


その大きな後ろ盾に、現在の天皇陛下・皇后美智子さまが関心を寄せ、特に美智子さまの存在は大きく、力添えになっていただき、大きな流れになって変わった。

美智子さまは、「多くの人の力で修復が実現したほうがいい。」と提案。

チャリティーコンサートが開催されることになった。
美智子さまは出席できなくなった代わりに、10枚分のチケットを購入。

コンサートは大成功。

財界の協力もあり、集まった資金は3000万円以上。

これをもとに修復がはじまった。


辻氏の目的は、オルガンの音色を改良しないこと。昔の音色をそのまま復活させること。

最初、この巨大なオルガンのどこが故障なのか、さっぱりわからなく、ついには、この世界最古のオルガンを分解する、という方法を提案した。これだけ古いものを分解したら、元に戻るかどうかもわからない。危険なカケでもあった。

そして、決して部品を新しいものを使うのではなく、その昔の部品をそのまま使うこと。

オルガン修復に8ヶ月かかった。


img_5[1].jpg


修復中のオルガン




1990年3月25日。 

いよいよオルガン復活の瞬間の日。

スペイン国営放送が、全国一挙放送。

スペイン国民、そしてその群衆の中に辻氏も入って、固唾を飲んで見守っている。

「鳴かずのオルガン」から見事なオルガンの音色を奏でた。

サラマンカ市民に大きな感動を与えた。

そのときの辻さんの様子を、隣にいた奥様紀子さんがこう語っている。
「顔色が変わり、黙り込んでしまった。言葉では言い表せない、深く語るものを感じたようだった。」

まさに許可に10年の月日を要し、皇后さま支援のもと、世界で日本人が大きな偉業を成し遂げた瞬間であった。

天使のオルガンは、地元の人から、日本人のオルガンと呼ばれるまでになった。

2013年6月13日にスペイン訪問中の皇太子さまも、このサラマンカ大聖堂を訪問して、このパイプオルガンの演奏を楽しまれたようだ。

img_3_m[1].jpg



そしてその6年後、辻氏がサラマンカホールのために、このサマランカの大聖堂オルガンの特徴をとり入れたパイプオルガンを建造したのだ。

このホールがサラマンカの名をいただいていることは、まさにスペインと日本の友好の証でもあるのだ。


新横浜から名古屋まで、新幹線。さらに岐阜まではJR東海道本線。岐阜駅からバスに乗る。
OKBふれあい会館の中にサマランカホールはある。

フロントからとても雰囲気がある。

DSC02077.JPG



今日は、日本が誇る世界的なメゾ・ソプラノである藤村実穂子さんのリサイタル。

DSC02076.JPG


ホワイエは、とても素敵だ。赤い絨毯に、端のらせん階段が、とても視覚的にも素敵な印象を植え付ける。

DSC02111.JPG
                                                                                                                                              
                                                                                                                                                  
DSC02105.JPG

そしてなんといっても、最高に、印象的なのは、ホワイエ2階の3つの客席扉にレリーフが設置されていること。

DSC02110.JPG



これは世界最古の大学、サラマンカ大学(中央)と、サラマンカ大聖堂(左右)のレリーフを模したもの。石材に現地のビジャマジョール石を用い、スペインの職人によって三年かけられて作られたそうだ。


真ん中の中央のサラマンカ大学レリーフのレプリカは、唐草模様の中に隠れている多くの動物たちや、翼をもった女性、どくろなどが彫られている。さながら我々の世界のよう。レリーフの中には一匹のカエルが彫られており、このカエルを見つけられたら幸運に巡り合える、といわれている。

帰京してから気がつきました。(笑)

そして左右のサラマンカ大聖堂レリーフのレプリカは、さまざまな楽器を持った人が点在し、音楽のある幸福な世界が表現されている。


各々のレリーフに、ホールへの扉があるのだ。なんとも素敵で雰囲気ある。

DSC02112.JPG




そしてホール内に潜入。目の前一面にホール空間が現れる。
いつもこの瞬間が、ホール愛好家の自分は逝ってしまう感覚になるときだ。

入った瞬間、なんともいえない全体がブラウンの色彩で身をまとった素晴らしい風景が目の前に現れた。

思わず「これは美しい!」と息を呑んで叫んでしまった。


DSC02081.JPG



自分がいままで日本のホールでは体験したことのない、極めて美しい、品格の極致を纏ったホール内装空間だった。

実際の公式HPの写真を見ていても十分に美しいのだが、でも実際のそのリアル空間に自分の身を置いたときのほうが、その美しさは数段上だと思う。

やっぱり撮像素子を通した画像と、じかに自分の目に入ってくる画像では、全然迫真の度合い、迫ってくるような感覚が違う。写真じゃあの美しさはわからないと思う。

美しいといっても、いわゆる成金趣味的なキラキラする装飾ではなく、全体が木目調のブラウン系で統一されていて、とてもシックで品格のある上品な装いなのだ。これはまさに大人の美しさですね。

オーク(楢)をふんだんに使っているそうで、全体に柔らかな空気感を感じる、そんな内装空間なのだ。木目調ベースというのは、人間の五感、とくに視覚にとても優しい感覚をもたらすそうであるから、この品格の高さは、そのようなところから来ているのだろう。

そして近代のホール音響設計で必須な反射音の拡散を狙った凹凸などの人工的な音響の仕掛けがまったく見当たらないこと。極めてごく自然な建物としてのシンプルな内装デザイン。これがその美しさに拍車をかけているのではないだろうか。


初めから、コンサートの間、そして終演でホールを去るまで、座席に座っていながら、この美しい空間に、心ときめいて、ずっとドキドキして、キョロキョロしながら常に心ここにあらずだった。


なんと素敵なホールなんだろう!

日本のホールの中では1番美しいホールだと思う。


これが、辻氏がサラマンカ大聖堂のオルガンを模して建造したパイプオルガン。まさにその姿は、サラマンカ大聖堂のオルガンと全く同じだ。願わくば、このオルガンの音色もぜひ聴きたかった!

DSC02095.JPG
                                                                                                                                               
                                                                                                                                                  
DSC02092.JPG         
                                                                                                                                                  
                                                                                                                                                  
DSC02085.JPG
                                                                                                                                                  
                                                                                                                                                  
DSC02086.JPG
                                                                                                                                                 
                                                                                                                                                 
DSC02114.JPG
                                                                                                                                                   
                                                                                                                                                   
DSC02103.JPG
                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                     
DSC02098.JPG
                                                                                                                                                                              
708席というどちらかというと小編成、室内楽向きのホール規模で、残響2.1秒(空席時)という十分すぎる豊潤な響き。天井は高い。

実際自分の耳で聴いた音響の印象は、これまたじつに素晴らしく感銘。まさに驚愕の一言だった。

ホールの音響って、もう一番最初の出音ですべてがわかってしまう。そこから何時間聴いていても印象が変わることはほぼない。最初がすべての判断のときなのだ。

藤村実穂子さんのリサイタルなので、発音体は、藤村さんの声とピアノのみ。

最初のピアノの音で、どちらかというと柔らかな質感の音色で、木独特の響きだな、と感じた。
でもpppなどの超弱音な表現でも、その音の余韻の漂いかたなどじつに美しい。
響きの滞空時間がとても長いのだ。

ホールの遮音性能、いわゆるホールの静けさという点でも素晴らしいので、それが伏線となって、このような繊細な音色の余韻の漂い方、響きの滞空時間の長さを感じ取れたりするのだろう。

そして一番驚いたのは、藤村さんが発声したとき。

これがじつに美しく驚嘆であった。声色の音色そのものがその音像がとても明晰でクリア。そこにとても豊かな響きが追従する感じで、いわゆる音がとてもとても”濃い”のだ。

この瞬間、うわぁ!これは素晴らしい響きのホールだと確信した!

同時にホッとして、もう嬉しくなってずっとドキドキしながら、聴きながら恍惚の幸せをかみしめていた。

残響感はとてもあるのだが、けっして長い響きというより、むしろ響きの長さとしては、中庸の部類ではないか。響きの長さというより、その響きの量自体が多いのだと思う。

豊かだけれどもほどよい響きが、しっかりと直接音を強化している、という表現が一番ぴったりくる感じ。それが音がとても濃く感じる原因なのかも、と思う。

実音(直接音)に対して、響きがほどよい時間遅れで分離している感じなので、そのため立体感を感じるのもその特徴のひとつ。

ホールの容積としては小ぶりの部類だと思うのだが、直接音の到来に対して、間接音の到来の遅れ差分が、そういう分離感覚を感じさせるくらいの適切な容積だということなんだろう。

とにかく音の芯がしっかりしていて、音が濃い!
この表現に尽きる!

音響の超素晴らしいホールとしては、松本市音楽文化ホールもそうであったが、ここはいわゆる完全な石のホールの響き。硬質で溢れんばかりの豊かな響きという感じだったが、このサマランカホールは、もっと木質の暖色系の音色で、響きも豊富で美しく、音が濃い。上質な響きという表現が適切だと思う。


いやあ、じつに素晴らしい響きのホール。
まさにヨーロッパのホールの響き、そのものだと思います。



今回のコンサートは、日本が誇る世界的なメゾ・ソプラノ 藤村実穂子さんのリサイタル。

藤村実穂子.jpg

「藤村実穂子 リーダーアーベントⅤ」と呼ばれる日本リサイタルツアーの中の1公演。

全国7ホールを回る中で、ここサラマンカホールでも行われた。


この座席から拝聴させていただきました。

DSC02093.JPG


シューベルト、ワーグナー、ブラームス、そしてマーラーといったドイツ音楽作曲者によるドイツ歌曲をうたう、というコンサートだ。

自分は、藤村さんとは不思議と縁があって、はじめてルツェルン音楽祭にいったとき、KKLでアバド&ルツェルン祝祭管弦楽団のコンサートを体験した時、そのとき独唱として藤村さんを体験した。そして事あるごとに、縁があって藤村さんの歌に接することができてきたと感じている。

でもこうやって藤村さん独自のリサイタルという感じで、体験するのは初めてではないだろうか。

この日。もう自分のような者がコメントをすること自体、恐れ多いような完璧な表現力。
まさに魂がこもっている、気が入っている、その渾身のど迫力に度肝を抜かれた。

なんというのかな、聴衆者に息をさせることすら許さない極度の緊張感をこちらに強いてくるというのか、まさに凛とした、辺りを払う威厳とともにピンとした空気が張り詰める、そういった藤村さんのまさに真剣勝負そのものが、聴衆に強烈に伝わってくるのだ。

こういういわゆる”気”をこちらにこれだけ感じさせる歌手って、はたしてどれくらいいるだろうか?世界の藤村として名を馳せるだけのことはある、世界が認める力は、やはりとても奥が深く、藤村さんを、まさしく求道者のような存在に仕立て上げているだけのことはあると感じました。

凄すぎた。。。

最後のアンコールのマーラー交響曲第2番「復活」での原初の光を歌ったときには、感受性豊かな自分は、不覚にも涙がでて、頬を濡らした。



「ヨーロッパのホールの響きがする!」

このサマランカホールをそう表現したのは、田中彩子さんの発言が自分にとって最初のきっかけだった。

田中彩子さんは、ウィーン在住でヨーロッパで活躍、まさに絶世の美女、そして超高音域のコロラトゥーラ歌手として類まれな声質を持った、まさに天は二物を与えた歌手、日本期待のホープですね。

まさにヨーロッパにいるからこそ、その発言もリアルで真実味な響きに聴こえる。

26814825_1525362407577669_8986581329327053288_n[1].jpg


自分は、まだ彼女のコンサートを経験したことはないのだけれど、みなさんのコンサート評を読むと、なんか「不思議ちゃんトーク」(笑)らしく、その美貌とトークのギャップがあまりにかけ離れているらしい。(笑)

なんか業界が、その美貌ゆえにお高くとまって見えないように・・・という意図もあってそういうイメージ操作している、という噂もあるけれど、あまり弄らないほうがいいと思うな。以前情熱大陸で拝見した時は、とても飾らないサッパリした人柄の印象でした。あの素の姿でいいんじゃない?



田中彩子さんの最近発売になった2'ndアルバム。 

519[1].jpg


『ウィーンの調べ~華麗なるコロラトゥーラ2』 
田中彩子、加藤昌則

https://goo.gl/aa5MdZ


こちらのアルバムが、まさにこのサマランカホールで録音されたアルバムなのだ。

17991171_1267805773333335_1389684017295766238_n[1].jpg


そのサマランカホールでの収録のときの演奏陣やスタッフ陣集めての記念撮影。
(C)田中彩子FB公式ページ


その後、このアルバム発売とかねて、日本でリサイタルツアーをやって、このサマランカホールでもその美声を披露した。

このアルバムを聴いただけで、このホールが、じつに濡れたような艶やかな質感で、とても豊かな響きを持ったホールであることがよくわかる。



さっそくこの田中彩子さんの新譜を聴いた。

「ウィーンの調べ」というタイトルで、心あらわれるアヴェ・マリアから、華やぎに満ちたウインナ・ワルツまで、まさにこれぞウィーンといったような数々の名曲が収められている。

聴いていて、じつにうっとりする美しい歌声に美しい旋律の調べの数々。

素晴らしい!!!

田中さんの歌は、かなり音高の高いキーで歌っているように思え、その高さで、華麗に音階を移り渡っていくその歌いまわしに圧倒される。まず印象深かったのが、やはり生まれながらして兼ねそなえている天性の声質、と思ったこと。

素晴らしいですね。

期待を裏切らなかったです。

声質の印象は、声量や声の線は細い部類だと思うが、透明感がある。
天使の声、エンジェルボイス、それにガラス細工のように繊細で、触れると壊れそうな優雅な装い。

そんな印象・・・。

自分のオペラ鑑賞歴はたいしことないけれど、でも旬な歌手、まさにベテランの域に達した歌手の歌をそれなりの数かなり聴いて来たつもりである。

それと比較すると、まだまだと思うところもある。

声質の才能は申し分ないけど、歌の技術面では自分が思うには、歌手としての完成域にはまだまだの印象。聴いていると技術的にまだまだ伸びしろ、たくさんありすぎるくらい。まだまだ。

歌いまわしや、音楽的なフレーズ感のセンス、歌への表情、感情の表現、深みなどまだまだ伸びしろある!いまはまだ、持って生まれた恵まれた声質の才能だけで歌っているところもあると言えるのではないだろうか。

藤村実穂子さんのリサイタルの張り詰める空気、迫真の表現を経験したからこそ、そういう想いをさらに強く感じてしまった。


彼女は師事している人に、オペラをやらずにリサイタル歌手として生きていけ、とのアドバイスを遵守している。

確かに声量や声の線の細さから、それも納得だけど、でも自分は一生涯歌手として生きていくなら、これからもオペラは経験したほうがいいと思う。

歌への表情、感情の表現、深みなど違ってくるはず。歌手の場合、やはり経験ってどうしても自分の歌への血となり肉となり、成熟度に必要ですね。

天からの授かりものである声を壊さないように、自分の声に合わない役は歌わないというオペラ界の鉄則を守りながらも、いろいろな役柄を歌っていくことで、その表現の幅はいまよりぐっと広がるはず。


だってまだ若いよ。歌手人生始まったばかり。これからだよ。これからいろんな歌、役を経験して、経験を積んでいけば、40~60歳になれば、自分的に達観することができて、まさに歌の世界を極められるはず。

これだけの美貌、そして類稀な声質、まさに天は二物を与えた感あって、間違いなく日本の至宝って言っていい。

日本のメディアも彼女を日本を背負っていく看板スターとして育てていくことはすでに既定路線であること間違いなしだ。

本当に期待しています。頑張ってください。

ただこれだけは確実に言えることは、彼女が歌手の世界で王道を極める年代に到達した時は、自分はもうこの世にはいないということだ。

これは間違いない(笑)


まさに田中彩子さんの発言がきっかけで、気になり始めた岐阜のサマランカホール。

まさに自分の期待を裏切らない、どころか、さらにその遥か上をいく、実に素晴らしいホールであった。

その素晴らしい響き、そして稀に見る美しい内装空間、まさに日本一の音楽堂だといえよう。









nice!(1)  コメント(0) 

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番のサラウンド録音 [ディスク・レビュー]

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番という曲は、ピアノ協奏曲の中でも、もっとも技巧的に難しく弾くのが困難な曲と言われている。それは、この曲に限らず、作曲者ラフマニノフの手の大きさが人並み外れて大きいことに起因する。彼がふつうに届く鍵盤の間隔も、普通のピアニストにとっては、かなり肉体的限界への挑戦となるのだ。


その作品群の中でも、このピアノ協奏曲第3番は、その肉体的限界に加えて、とりわけその音数の多さ(譜面上の音符の数)、そして大変な技巧を極めた曲なのだ。


昔からこの曲を弾けるピアニスト、録音として残してきているピアニストは極めて少なく、オーディオファンとしては、悲しい想いをしてきた。ラフマニノフのピアノ協奏曲としては、2番のほうが出世作として有名なのかもしれないが、自分は断然3番のほうが好きである。


自分のこの曲に対する昔から抱えている悩みとして、自分のイメージする理想の演奏の録音に巡り会えることが極めて少ないことなのだ。ただでさえ録音が少ないのに、その中で、さらに自分が思い描く理想の演奏である録音は、皆無だった。


自分の経験からすると、クラシックファンにとって、その曲を覚えた演奏家の演奏が、いつまでも自分の頭の中のリファレンスとして残るもので、それを超える演奏に出会えるのは、なかなか難しい。


自分が、この曲でリファレンスとしているのは、この音源。


264[1].jpg


チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 
マルタ・アルゲリッチ




演奏としては、アルゲリッチらしい強打腱で乱暴で突っ走る感のある演奏で、緩急はあまりなく一本調子のところもある。第1楽章のカデンツアもない。これより名演奏なものも実際多いだろう。でもこの演奏が、自分のこの曲についてのリファレンスなのだ。ラフ3の興奮処、魅せ場は、これを基準にしている。


こればかりは個人の感性によるところが大きい。


この盤は、1980年の古い録音。新しい録音で、優秀な演奏の録音をずっと探し続けてきているのだが、これは!というのになかなか巡り会えないのだ。


また自分がクラシックの音源を聴く場合は、必ず演奏とそして録音の良さという2点から選ぶのが筋でもある。オーディオファンであるので、録音の良さは必須条件で、やはり録音のよくない音源は、自分の愛聴盤として挙げられないのである。


でも、このラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番だけは別。


演奏第1主義。


この曲に関しては、まずその演奏解釈が第1優先なのだ。

この曲は、このような演奏であれば、まさに感動する、自分のツボに嵌る、という理想の演奏体系・造形が自分の中にすでに構築されている。そう言い切れるだけ、実演含め、この曲の演奏に触れてきた。


これは自分がとても不思議に感じていることなのだけれど、この曲は、CD/SACDなどのオーディオ音源よりも、実演含めた映像素材のほうが、とても感動するのだ。これがどうしてなのか?自分でも説明できない。


自分がいままでこの曲で大感動したのは、ほとんど映像素材といっていい。


まずここから入った。


「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番」・・・この曲をひとことでイメージづけするのなら、


「ダイナミズムと甘美な旋律が融合した音の絵巻物語」


まずダイナミックでないといけない。40分強あるこの曲は、いわゆる旋律の流れとしてきちんとした筋書があって、その要所要所に魅せるための決め処のテクニックの披露、随所にはめ込まれている甘美な旋律の流れなどがある。第1楽章のカデンツアや、第2楽章の華麗なトリルの部分などなど、そのそれぞれの名所は、全体のフレームを華麗に魅せるために要所要所に散りばめられている布石となっているのだ。


そしてこの曲で私が最も興奮するところ、終盤のエンディングにかけてのグルーブ感、テンポを上げて 一気に盛り上がり、その頂点で派手な軍楽調の終止に全曲を閉じる部分。 この賑やかな軍楽的な終結は「ラフマニノフ終止」と呼ばれているもので、この部分で私はいつも体全体に稲妻のようなゾクっとくるのを感じるのが快感なのだ。この部分の感動を味わいたくて、最初からずっと聴いているみたいな.....


このラフマニノフ終止に至る劇的な感動は、まさにその間に仕込まれた数々の決め処の見せ場があるからこそ、生きてくると思うのだ。このエンディングで、40分強という長大でロマンティックな旋律で綴られた音の絵巻物語を、このフィニッシュで一瞬にして完結させてしまう圧巻のその瞬間! このラストの瞬間を聴いたと同時に、いままでの布石が走馬灯のように頭の中を駆け巡り、その余韻の素晴らしさ、そして楽曲を弾ききった達成感、その長い壮大なドラマが完結したような興奮が一気に最高潮ヴォルテージに達する。


まさに音の絵巻物語なのだ。


そういう感動のメカニズムを達成するには、演奏する側に必要な要素は、まず躍動感&パワー、そしてダイナミズム。ダイナミズムがあるからこそ、弱音表現などの緩急の差も生きてくる。


この曲の華麗でダイナミックな演奏は、やはり映像素材などの映像付きで鑑賞すると感動の度合いが違うと感じるのは、そこなのかもしれない。それがCDではなかなか自分の琴線に触れる作品に出会えないのに、映像ソフトではこのように感動作品に出会えるという理由なのかと思ってしまう。この曲は視覚効果というか、速射砲のような運指、体全体を激しく揺らすダイナミックな演奏風景を観ながら聴くという眼・耳の両方からの相乗効果で、脳に与える刺激が何倍にも膨れ上がる、ということ。


また、2番は、どちらかというとオーケストラが先に走って、それにピアノが追随していくスタイルなのだが、3番は、全く逆。ピアノがつねに先を走ってオーケストラを誘導する。そういう意味でも、ピアニストにとって、つねに見せる要素の強い曲と言えるのだと思っている。


これが、この曲が実演、映像ソフトなど映像から入る作品に向いていると思う理由なのである。

そういうことを考えると、やはりこの曲は、男性ピアニストに有利な曲であることは仕方がないことなのだろう。


自分がこの曲で感動していた演奏としては、2004年のゲルギエフ&ウィーンフィルのサントリーホールでの来日公演。イエフィム・ブロンフマンをソリストに迎えてのこの曲の演奏は、観ていて鳥肌が立った。まさに近代稀にみる名演奏という評判に相応しい名演であった。


m_25940505_1825453179_222small5B15D[1].jpg




そして、ロシアのピアニスト、デニス・マツーエフ。


m_25940505_1825453180_238small5B15D[1].jpg


まさに叩いて叩いて叩きまくる。その圧倒的な力技の奏法に、演奏中にピアノの位置がずれてしまう(笑)、というくらい凄いダイナミズムの代表のようなピアニストなのだが、この人のこの曲の演奏もじつに素晴らしいものがあった。ベルリン・フィルのDCH(Digital Concert Hall)で出会った(2010年か2011年の定期公演の演奏)。ゲルギエフ/ベルリン・フィルとの競演で、ベルリンフィルハーモニーでこの曲を披露していたが、まさに圧巻だった。


このマツーエフは元々乱暴な弾き方をするピアニストで、凄い荒々しい演奏なのだが、これがこの曲と妙にマッチしていて、じつに鳥肌もので素晴らしいと思った。この曲には、やはりパワー&ダイナミズムが必要不可欠なのだな、と改めて考えさせられた。


この曲を聴衆に対して感動させるには、こうだ!というようなお手本のような演奏だと思う。
いまでもアーカイブで観れると思うので、ぜひご覧になってほしい。自分がラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番で理想とする演奏がそこにある。


マツーエフのこの曲は実演にも接したことがある。ゲルギエフ&マリインスキーの公演でサントリーホールで聴いた。期待を裏切らない素晴らしい演奏だった。


こうしてみると、ラフマニノフはロシアの作曲家。ロシア人指揮者のゲルギエフがこのような優秀なラフマニノフ弾きを育て、次々と世に送り出すのが上手なのは、もう彼らロシア人からするとロシア音楽を背負っていく宿命みたいなものなのだろう。


確かに男性ピアニスト有利な曲ではあるが、女性ピアニストでも素晴らしいラフマニノフ弾きがいる。


我らが小山実稚恵さんだ。


m_25940505_1825453177_200small5B15D[1].jpg


小山実稚恵さんは学生時代より特に3番がお気に入りで、この曲を聴かないと寝れないというくらい好きであり、その後ピアニストとしての夢をかなえた。


日本でこの曲を初演したのはまさに小山さんなのだ。(ちなみに指揮は小泉和裕さん。)
そして小山さんは日本一のラフマニノフ弾きとしての評価を不動のものとしている。
 
ご本人がもっとも好きだという曲だけあって、この曲には特別の思い入れがあるようで、国内で頻繁にこの曲の演奏会を開いてくれる。この曲が大好きな私にとって生演奏を聴こうと思ったら、必然と小山さんの演奏会に出かけることになる。

小山さんのこの曲の公演は、もう軽く10回~20回くらいは行っていると思う。


つい最近新しいところでは、小山さんのデビュー30周年記念コンサートでサントリーホールで、この曲を演奏してくれた。自分は、そのとき聴いて大感動した。


小山さんのラフ3は、女性ピアニストならではの解釈で、とても柔らかい女性的な表現でありながら、肝心の緩急の部分、要所要所の魅せる部分、全体のロマンティックな流れなど申し分なかった。まさに日本でのこの曲の第1人者である。


序章は、長くなってしまったが、ここからが本番である。(笑)


この曲に対するこだわりがあまりに強すぎるため、長いこと自分のこれは!と思える音源に出会えなかったのだが、BISの新譜で、なんとこの曲のSACD5.0サラウンド録音がでた。



097[1].jpg


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、第3番 
エフゲニー・スドビン、サカリ・オラモ&BBC交響楽団



1980年生まれのロシア・サンクトペテルブルク生まれのピアニスト、エフゲニー・ズドビン。
BISレーベルが、デビュー以来、ずっと育ててきている若手の男性ピアニストだ。


1912490_10151927106181863_1791452699_n5B15D[1].jpg



この人のBISの新譜は、いままで必ず自分の日記で紹介してきた。
ラフマニノフ、メトネル、スクリャービン、チャイコフスキーなどを得意レパートリーとして録音を残してきている。最近ではベートーヴェンのコンチェルトやスカルラッティ・ソナタを日記で取り上げた。


とにかくこの人の演奏、録音は外れがないのだ。
いままで期待を裏切られたことがない。

素晴らしい演奏に、素晴らしい録音。


このズドビンが、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番。
そしてBIS録音。SACDの5.0サラウンド録音。

全てが揃った。

相当心ときめいた。


ラフ3のサラウンド録音は、いままでないことはなかったが、自分の好みではなかった。

ついに自分の本懐が遂げられる時がやってきた!


新譜の封を切って、トレイに乗せて、ドキドキしながら聴く。

・・・以下沈黙。(苦笑)


やっぱりそう世の中簡単にうまくいくことってないんだなぁ。
期待していたズドビンのラフ3は、自分の理想としていた演奏とは程遠いものであった。


要所要所での決め処、魅せ処が、まったく自分の理想とかけ離れていて、全体のスケッチ、絵巻物語のようなストーリーが描けていないような感じがした。(描けていないと言ったら言い過ぎかもだが、自分の理想とあきらかに違う。)


確かに全体としては無難にまとまって演奏しているのかもしれないが、自分はこの要所要所での決め処の甘さが許せなかった。ここが甘いと全体の骨組み、そして最後のシャットダウンに至るときの壮大な余韻の感動が弱くなってしまう。終焉に向けて一気にエネルギーをぶつけていく瞬発力を養うためには、それまでの間の壮大なドラマの描き方がとても大切なプロセスになると思うのだ。録音はBISなのでいいのだが、自分にはやはり演奏解釈という点で、そこが残念賞であった。


いままで裏切られたことのなかったズドビンでさえを持っても、満足できない自分。

この曲に対するこだわりは、もうほとんど病気なのかもしれない。


返って、2番のほうがとてもいい演奏であった。自分は2番は合格点。

アルバムとしてのトータルバランスとしては優秀でいい録音作品の部類なのだと思う。

3番に対する自分のこだわりが邪魔をしているだけ・・・


ラフマニノフの曲風は、よくロマンティック、メランコリック、映画音楽のようだ、.....とか言われるが、確かに、うっとりするような華麗・甘美なメロディの調べは、いにしえのクラシック作曲家達の曲風とは一線を画している彼独特の旋律のように感じる。

また、ラフマニノフは 映画音楽のようだといわれるけど、映画音楽のほうが彼の作品を参考にしたわけで、ギリギリのところでポップスに行かない、そういうひとつのクラシックとしての敷居の高さを守っている、そういうすごい才能があると思う。

 


そんなラフマニノフの作品は、いまから40年ほど前までは、「鐘の前奏曲」とピアノ協奏曲第2番が良く知られていて、さらに交響曲第2番やパガニーニ狂詩曲がコンサート・プログラムに徐々に取り上げられるようになって来たかな・・・ といった状況だった。


だからラフマニノフといえば、大ピアニストで作曲もした人というのが大方の音楽ファンの認識だったと思う。しかし ここ40年で状況は大きく変わった。


・3曲の交響曲 管弦楽曲
・ピアノ協奏曲
・室内楽曲
・ピアノ独奏曲
・声楽曲・オペラ


作曲家ラフマニノフの全貌が レコード音楽を中心に明らかになったと言える。
そうしてみると 単にピアニストの余技どころではなく、グリーグ、シベリウスあたりと堂々と肩を並べるべき大作曲家であるというように認識も変わって来た。そして 何よりもラフマニノフの音楽に特有の先が見えないようなメランコリックな雰囲気が 今の時代にフィットしている感じがする。 


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番。


自分にとって、この曲に対する音源探しの旅はこれからも続くのだろう。

今回の件で、いったいいつになったら本懐を遂げられるのだろう?と想うことしきりだ。





nice!(0)  コメント(0) 

世界の朝食を食べさせてくれるお店 ポーランドの朝ごはん [グルメ]

ポーランドといえばショパン。

ショパンの心臓は、ワルシャワの聖十字架教会に埋葬されている。 

ショパン心臓教会.jpg


彼の意向により、1849年に姉によってポーランドに持ち帰られたものだ。

教会の石柱には「あなたの宝の場所にあなたの心がある(マタイ伝)」と記されている。
なお、遺体はフランス・パリのPere Lachaise墓地に埋葬されている。

1964512186_126[1].jpg



1795年のロシア、プロシア、オーストリアによる第3次ポーランド分割のあと、1830-31年にポーランド騒乱が起きる。

ショパンは父親の故国であるフランスに移住。ロシアのパスポートを取得することを拒否したため、その後、故国ポーランドの地を踏むことはなかった。

ホームシックに苦しみ、ポーランドの独立を夢見ていたショパン。

「騒乱はショパンの人生を引き裂くドラマだった」。

そんなショパンの音楽は、ポーランドの自由を 獲得するための長い闘争のシンボルとなった。



クラシック音楽を愛する末席の者としては、一度は行ってみたい国だが、いろいろ予定が立て込んでいて、優先度考えると行けるのは、いったいいつのことになるのかなぁという感じはする。

自分にとって遠い国だ。


そんなポーランドの朝ごはん。

DSC02063.JPG



りんごの生産がヨーロッパで一番のポーランドでは、そのまま食べるのはもちろん、デザートや料理にりんごをたくさん使う。朝ごはんには、りんごが入った「ラツーシュキ」というパンケーキを食べるのだそうだ。

左手前のがそのりんごのパンケーキ「ラツーシュキ」。

甘いりんごの香りがとても豊潤で、食感はそんなにボリュームはないけれど、こんがり焼き上がって暖かくて、とても美味しい。

その右にあるのが、いまでは主食といえるほど、食べられるじゃがいものパンケーキ「プラツキ」。

アメリカ大陸から西欧を経てポーランドに伝わってきたじゃがいもは、それほど昔から食べられていたわけではないのだが、今では主食といえるほど食べられているのだそうだ。上にちょこんと乗っているのがサワークリーム。

じゃがいもなので、無味無臭といえばそうなのだが、上のサワークリームが程よいアクセントになっていて、全体として爽やかで、食べ応えのある食感。


これが主食なんですね。朝ごはんというより、3時のおやつを食べているみたいだ。(笑)


その上に、ポーランドのソーセージ「キエウバサ」。ちょっとスパイスの効いた味付けのソーセージ。ソーセージなので、馴染みもあって、とても美味しい。

その横に、トマトなどが入っているスクランブルエッグ。トマトの味がとても強烈だった。卵の味を強烈に上回っていた。

そしてラディッシュとネギの入った白チーズの「トゥファルグ」。これはあきらかにヨーロッパ・テイストな食べ物ですね。白チーズがベースなので、とてもデザート的な食感なのだが、日本人にとってはあまり馴染みのない、いかにもヨーロッパ的だなぁ、と感じる1品であった。


以上が、ポーランドの朝ごはんとして定番メニューである1品をワンプレートにしたもの。



今回は、ちょっと奮発してサイドメニューも頼んでみた。

水餃子のような「ピエロギ」。

DSC02066.JPG


日本の餃子のように中にしっかりと餡が入っているわけではなく、外皮の餃子がとても皮が厚く、皮の塊を食べているような感じであった。でも上に乗っているクリームや、独特な味付けのトッピングによって、とてもフルーティーに感じて、これは一種のデザートですね。



そして、ポーランドの伝統的なスープの「ジュレック」。

DSC02069.JPG



これは、とても不思議な味!!!

いままで1度も経験したことのない、とても不思議な味なのだ。どうやって表現すればいいのかな?とずっと思いながら飲んでいた。(笑)

敢えて言えば、チーズの味に近いといえばいいのかな?このスープは結構印象的でショッキングな味でした。ポーランドの朝ごはんを頼んだら、このポーランド伝統のスープ「ジュレック」も頼むことは絶対お薦めです。



ポーランドの朝ごはんは、いわゆるとてもヨーロッパ的な朝ごはんだと思いました。

素敵でした。

このお店は、その特徴柄、とても外国のお客さんが多いのだが、外国人って、本当に食事の時は、よくお喋りをして食べている。本当にお喋りが大好き。自分の耳に馴染みのない発音の言葉なので、ポーランド人だったかも?

本当に一生懸命、お喋りしているのだ。なんかお喋りというより議論しているみたいな・・・
外国人にとって、食事をしながらお話をするのって、ひとつの慣習というか、マナーみたいなものなのかも。

食事にたっぷり時間をかけて、たくさんお喋りをしながら、豊かなひとときを過ごす。
それが彼らの食事に対するごく普通な考え方、幼少な時から身についたマナーなんですよ。

間違っても、日本のような立ち喰い〇〇のような習慣はいつまで経っても理解されない文化なのでしょう。(笑)


ふっと、自分が海外へ旅行を行ってレストランに入ったりすると、やっぱり外国人の方は、食べながら、本当に一生懸命喋っている。そんな風景を見ながら、お喋りするのが、本当に大好きだよなぁ、民族性なんだろうなーと毎度のことながら感じていた。

そんなことを、ふっと思い出しました。(笑)





nice!(0)  コメント(0) 

イザイ音楽祭ジャパン 2018 [クラシック演奏会]

今年は、ベルギーの作曲家&ヴァイオリニストのイザイの生誕160周年にあたる。

イザイ-2.jpg


去年日本イザイ協会主催による初のイザイに纏わるコンサートが開催され、参加させていただき大変感銘を受けた。

今年は、その日本イザイ協会主催による第2弾のコンサートと、そしてこの生誕160周年ということもかねて、大きなイヴェントを開催する。


イザイ音楽祭ジャパン 2018


との冠で東京・福岡でイザイの曲の演奏会が開催されるのだ。

去年の2017年の9月に4日間に渡って、イザイを特集した国際音楽祭がベルギーのクノッケ・ヘイストで開催された。

いわゆるイザイ国際音楽祭(Ysaye's Knokke)。イザイに纏わる音楽祭としては初めての試みでもあった。


クノッケで開かれる音楽祭.jpg
(C)日本イザイ協会FB公式ページ


この音楽祭の芸術監督が、世界的ヴァイオリニストのフィリップ・グラファン。 

イザイ音楽祭の芸術監督.jpg


彼は、イザイの孫弟子(イザイの弟子、ヨーゼフ・ギンゴルド氏、フィリップ・ヒルショーン氏に師事。)にあたり、これまでに、モーツアルトからブリティンまで、幅広いレパートリーによるCDをリリース。

40曲近いヴァイオリン協奏曲、原典版や忘れられた作品の発掘、珍しい作品のCDも数多い。
ショーソン「詩曲」の室内楽版、またその「詩曲」のイザイが書き換えたバージョン、イザイのカデンツァによるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、フォーレのヴァイオリン協奏曲、BBC Proms にてライブ録音したコレッジ ・ティラーのヴァイオリン協奏曲などがある。

また既存の作曲家との活動、様々なジャンルのアーティストとのコラボレーションの企画にも積極的で、その一方でソリストとして世界のオーケストラとの共演など。。。

自分が思うに、いわゆる普通の音楽家というよりは、かなりユニークで個性的、そしてアイデアマンというか、型にとらわれないマルチな才能、ビジネスマンとしての才能を持った演奏家の方だと感じた。

現在 パリ国立高等音楽院、ブリュッセル王立音楽院教授。

2017年から、イザイが過ごしたベルギーの避暑地クノッケにて「Ysaye's Knokke」国際音楽祭を創立、芸術監督を務めている。

まさに、このイザイ国際音楽祭の創立者で、イザイの存在を世界に知らしめていこうという旗頭のキーパーソンといってもいい存在なのだ。




そのイザイ国際音楽祭の日本バージョンである「イザイ音楽祭ジャパン2018」が実現するのだそうだ。まさに、このイザイ生誕160周年の今年を祝うには相応しい。素晴らしい!!!


「イザイ音楽祭ジャパン」は、ベルギーのイザイ国際音楽祭(Ysaye's Knokke)の姉妹音楽祭として2018年10月に東京と福岡で開催。

ベルギー王国大使館および在福岡ベルギー王国名誉領事館による支援と、音楽監督フィリップ・グラファンと日本人演奏家たちの協力のもとに実現する音楽祭なのだ。



イザイ音楽祭ジャパン2018 生誕160周年記念

主催:日本イザイ協会 Ysaye Society of Japan
共催:ベルギー王国大使館 Embassy of Belgium in Japan


2018年10月18日:コンサート FFGホール(福岡銀行本店ホール)/19時開演
2018年10月20日:コンサート 東京文化会館小ホール/19時開演
2018年10月21日:マスタークラス
2018年10月22日:講演&パネルディスカッション


●プログラム(福岡公演&東京公演)

① イザイ :無伴奏ソナタ op.27-5
      ヴァイオリンソロと弦楽四重奏編曲版
★日本初演

② イザイ:冬の歌 op. 15 ヴァイオリンとピアノ

③ イザイ:瞑想曲 No.5, op.16 チェロとピアノ ★日本初演

④ ショーソン:詩曲 op.25 ヴァイオリンソロ+弦楽四重奏+ピアノ ★日本初演

<< 休憩 >>

⑤イザイ: 序奏  ★日本初演 ヴィオラソロ  ヴュータン:奇想曲  ヴィオラソロ

⑥ ドビュッシー:弦楽四重奏曲 op.15


まさにイザイつくし、と言っていいプログラムで、その中でなんと4曲も日本初演の曲! 日本では、イザイと言えば、無伴奏ヴァイオリンソナタぐらいしか知名度がないと思われる中で、とても貴重な体験のコンサートではないか、と思う。

出演演奏家は現時点では、音楽監督のフィリップ・グラファン氏、今井信子さん(ヴィオラ)、加藤知子さん(ヴァイオリン)、小林美恵さん(ヴァイオリン)、岡本侑也さん(チェロ)、水本桂さん(ピアノ)などが予定されている。

岡本くんは、つい去年のエリザーベト王妃国際コンクール2017で、堂々の2位とイザイ賞を受賞したいままさに旬な演奏家です。(笑) 


またコンサート以外にも、マスタークラスと講演&パネルディスカッションがあるようで、マスタークラスは、芸術監督フィリップ・グラファン氏によっておこなわれるもの。応募資格や予備審査などがあるようなので、事前に注意されたし。


講演、パネルディスカッションのほうは、イザイの研究家ミッシェル・ストッケヘム、イザイの孫弟子・石井志都子、フィリップ・グラファンそして作曲家・酒井健治が様々な見地でイザイの音楽について意見を交わし、エピソードが語り継がれていくもののようだ。


まだ自分は知り合ったばかりで偉そうなことを言える立場ではないけれど、いままで自分が直感で感じることは、この日本イザイ協会主催のコンサートにいえることは、真にイザイのことを知ってほしい、普及させていきたい、というところに、その志があって、かなり硬派で質の高い、志の高いところに公演の趣旨があるように肌合いで感じる。

去年の日本イザイ協会主催第1弾コンサートの時に配布されたプログラムノートを拝見させてもらったときにもそれを感じた。作曲家で日本イザイ協会顧問の小森俊明さんの投稿を拝読させてもらったのだが、そこにはイザイの曲の調性の特徴や、その作曲手法など、かなり専門的な内容に驚き、イザイの曲の難しさをヒシヒシと感じざるを得なかった。

もともと日本イザイ協会の発足のきっかけがそうなのであるから、ある意味当たり前と言えば当たり前なのだが、その初志貫徹というかその通りに歩まれていることに敬服の念を抱かざるを得ない。

やっぱりクラシック業界といえども、そこは売れてなんぼの商業主義色・スター主義の濃いコンサートがどうしても前線を占めるのは仕方がないところ。

現に自分が通っているコンサートは大半がそうだ。

そういうコンサートと、やはりちょっと肌触り、毛色がかなり違うような・・・なんか直感でそう感じるのだ。まだ、ビジネスとして始めたばかり、これからどう変わっていくか、が楽しみですね。


そのイザイ音楽祭ジャパン2018の公式ホームページが正式に立ち上がった。

イザイ音楽祭ジャパン  https://ysayemusicfestivaljapan5.webnode.jp/

まだ立ち上がったばかりなので、これからどんどん情報が更新アップされて行く予定です。



イザイ音楽祭ジャパンのチケット入手ですが、こちらです。


先行発売 2月1日 

前売3,000円(コンサート2公演とも全自由席) 

郵便振替口座「01790-4-128453 日本イザイ協会」に送金ください。
両公演共、郵便振替用紙の振込受領書を受付にお持ち下さい。それを見せて頂ければご入場頂けます。


問い合わせ:090-7467-4051


一般般発売 2月15日

前売3,000円(コンサート2公演とも全自由席)

下記の窓口でお買い求めください。

 ■ チケットぴあ  電話 0570-02-9999 ・Pコード:107388 ・興行コード:1803693

 ■ 東京文化会館チケットセンター 電話 03-5685-0650


詳しくは、イザイ音楽祭ジャパンの公式ページをご覧ください。






nice!(0)  コメント(0) 

エディット・マティスの芸術 [ディスク・レビュー]

スイスの歌姫である我が永遠のディーヴァ、エディット・マティスの初のベスト作品集、素晴らしい!マティスのすべて、そして彼女の魅力が余すことなく詰め込まれている。限定盤なので、完売とともに廃盤になる。急いだほうがいい。予想していた以上に素晴らしかった!

マティスが活躍した1960~1982年の録音なので、古い録音なのだが、録音もじつに素晴らしいのだ。少なくとも我がステレオ2chシステムでは、かなりのハイレベルで鳴る。そのクオリティの高さに驚愕した。

自分の永年のマティスへの想いを遂げることができた、と思う。 

601[1].jpg



エディト・マティスの芸術(7CD)

https://goo.gl/tSvfmr


2018年2月11日に80歳の誕生日を迎えるマティスだが、そのセレモニー・アルバムとして企画された。彼女が生涯にわたって録音を重ねてきたオペラ、オラトリオ、そして晩年の歌曲を、すべてと言っていいくらい全部盛り込まれている。

オペラ、オラトリオの部分は、もちろんマティスが歌っている部分の抜粋になる。

全7枚をじっくり聴き込むこと繰り返し数回、マティスのすべてを理解できた。永年の彼女に対する想いの自分の溜飲は十分に下げたかな、という気はした。


マティスは、1960~1990年代に活躍したソプラノで、ドイツ圏のソプラノとしてはトップクラスの美貌、それもどちらかといえば愛嬌のあるルックスが大きな魅力で、初来日時の人気ぶりは今なお語り草になっている。

「とにかくキュートで可愛い!」というのが当時のマティスの大きなインパクト。
若いときはもちろんのこと、歳を重ねていってもその可愛らしさは、相応で兼ね備えているから、まさに理想的な歳のとり方かも?

もちろん自分はリアルタイム世代を知らないので、後世に知ってずっと憧れていた、そんなディーヴァだった。

25552228_10155141185600857_7280434861141426764_n[1].jpg
                                                   
                                                       
26167902_10155162532240857_1313934975516700436_n[1].jpg
                                                     
                                                     

マティスのずばり得意とした分野は、ドイツ歌曲や宗教音楽、モーツァルトを中心としたドイツ・オペラの世界。

今回、彼女の作品を、全部聴き込んで、マティスの声質、歌などの「マティスの世界」はこれだ! というものを捉えることができた。




オペラの世界では、ソプラノには大きく、スブレット、リリック、ドラマティックの3つのカテゴリーに分けられるのだそうだ。

スブレットは、柔らかくしなやかな声で、ある程度の高音域が充実し、中音域をよく出せること。優れた言語能力(特にドイツ語)と演技力だけでなく、繊細な体つきと外見が要求される。歌手は若い少女の外見、生き生きとした性格でなければならない。


それに対して、リリックというのは、非常に柔軟で、明るい響き、敏捷性のある声であること。高音域や早いコロラトゥーラを歌う能力があること。

要求される性格はスブレットと大差はない。リリックがスブレットと異なることは、高音が歌えるかどうか、早いコロラトゥーラのパッセージを歌えるかどうか、そしてより明るい音色を持つかということである。

リリックな声を持つ歌手は、イタリアオペラの暖かい響きと美しいレガートラインを歌うのに適していて、外見はより柔らかく女性的であることなどが代表格。


最後に、ドラマティック・コロラトゥーラ。

高音域も充実した、柔軟で、かつ気品ある叙情的な線を描ける声であること。リリックよりもパワフルで、リリックよりも幅広い音域を伴うコロラトゥーラを歌い、劇的な感情を噴出させる能力をもつ必要がある。またこの声は、コロラトゥーラでも重めの音楽を含むイタリア語によるオペラの役を歌うことが要求されることが多く、リリック・コロラトゥーラより豊かな声量が必要。

性格のタイプはリリックソプラノやスブレットに代表されるものに比べ、より高貴な人物として描かれることが多い、のだそうだ。

ドラマティックは、まさにメタリックな響きでかつ気品ある歌声が条件。歌だけではなく、舞台を支配できるような見た目の魅力も要求される。



マティスは、この中では、リリック・ソプラノと呼ばれる範疇に入る歌手と言われている。

ずばりマティスの声質、歌い方は、声に硬質な芯があって、明暗をはっきりさせた、まさに「楷書風」の歌い方なのだ。

そして、とても品格がある。声の響き方に、孤高の気品の高さが漂う感じ。

確かに、なによりも明るい響きがある。

そして思うことは、非常に古風な歌い方だということ。現代のオペラ歌手の歌い方で、このような歌い方をする人はいない。昔の時代の歌手の雰囲気がある。これが自分が抱いたマティスへの率直な印象。

そう感じてしまうのは自分が近年体験してきているオペラのスター歌手というのは、まさにホールを圧するかのような巨大な声量で、圧倒的な存在感を示すというタイプの歌手が多く、上のジャンル分けでいうと、ドラマティックの部類だからなのだと思う。

つまりイタリア・オペラのプッチーニやヴェルディといった華やかさ、ワーグナーのような力強さのような持ち味って、まさに、このドラマティック・ソプラノなのだと思う。



マティスは、明らかに違う。

もっと軽い感じで、明るい響きを持った声質、そして、とても古風で気品のある「楷書風」の歌い方。。。それがマティスなのだ。ドイツ語のかっちりした響きとぴったり合致する印象がありますね。

ただ、インタビューで彼女は、コロラトゥーラは歌えない、と言っているし、彼女の作品の中では、そのような技巧を聴くことはない。

マティスは、強力な個性は感じさせはしないものの、澄んだ美声を持つリリック・ソプラノで、技巧的にも長け、舞台での演技力も、歌の演出力も大変優れている。

オペラでのレパートリーの中心は、やはりモーツァルトで、スザンナ、マルツェリーナ、デスピーナなど。ほかにエンヒェン、アンナ、ライヒなど、リリックの役は数多く歌っている。
                                                       

                                                      
24909789_10155114427290857_6293726926418721308_n[1].jpg

                                                     

                                                     

26169615_10155175274060857_4497081703454313632_n[1].jpg

                                                    

                                                       
ここで、マティスの歌手としての経歴を紹介してみる。(マティスの経歴については、ネットで調べても、きちんと書かれているのは、ほとんど皆無で、東京文化会館音楽資料室で調べてきました。それを紹介します。とても貴重な資料だと思います。)


エディット・マティスは、1938年2月11日に、スイスのルツェルンで生まれた。
ルツェルンの音楽院で学び、チューリッヒの音楽教育家エリーザベト・ボスハルトに声楽を師事した。1959年に、ケルン歌劇場と契約。ケルンでの活躍で、しだいにマティスの名は知られるようになる。

1960年にザルツブルク音楽祭に初出演。この年からドイツ各地の歌劇場に客演する。

1962年には、グラインドボーン音楽祭の「フィガロの結婚」に出演。
ハンブルク、ミュンヘン、ウィーンの国立歌劇場でも歌って成功を収めた。

1963年までケルン歌劇場のメンバーだったが、1960~1972年の間は、ハンブルク国立歌劇場にも属し、1963年からベルリン・ドイツ・オペラと客演契約を結んでいる。

1970年ニューヨークのメトロポリタン歌劇場に「魔笛」のパミーナを歌って初出演し、同じ年ロンドンのコヴェントガーデン王立歌劇場にも出演した。

指揮者、ピアニストのベルンハルト・クレーと結婚し、ロンドンを本拠地に、世界各地で歌っている。

ザルツブルクで1月に開催されるモーツァルト祭の常連でもあり、ここで初期モーツァルト・オペラの上演に参加して高い評価を得ている。オペラのほか、リサイタル歌手、歌曲の歌手としてもさかんな活動を行っている。

初来日は1963年。ベルリン・ドイツ・オペラのメンバーとしてだった。
このときはベーム指揮「フィガロの結婚」でケルビーノを歌って評判にもなっている。
テノールのペーター・シュライアーと組んでの二重唱は、各地で好評を博し、レコード録音もされた。




マティスの録音については、自分は、少し誤解していたところがあったようだ。
自分は、彼女の録音は軒並み廃盤が多くて入手が困難という認識をずっと持っていたのだが、じっくり調べてみると、いわゆるオペラ、宗教曲、オラトリオの一員として歌っているものは多く、オンラインのタイトル表示から、それに気が付かないということだけのようだった。


今回ベスト作品集を聴いてみて、思ったこと。

マティスは確かに、オペラ、宗教曲、オラトリオとしてキャリアをスタートさせたが、彼女の声、歌の表現を十分に堪能できて、自分が魅かれるほうは、晩年に演奏会活動、録音をスタートさせたリート歌曲の世界のほうではないか、と思ったことだ。

マティスは、リート歌曲の世界では、モーツァルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフを残している。これがどれもじつに秀逸。


特に今回のベスト作品集では、ヴォルフの「イタリア歌曲集」が盛り込まれていて、CDとしては初販売なのだそうだ。大変貴重な音源。




自分がマティスの存在を知って、彼女に魅かれたのは、シューマンの「女の愛と生涯」。
「詩人の恋」と並んで、シューマンの2大連作歌曲でもある。

この「女の愛と生涯」。男性と出会い・恋心・異性と結ばれる不安・結婚・出産・死別・・・と順当に進行する内容で、「詩人の恋」のようなドラマティックな展開がない。しかし一方で童話作家の故佐野洋子さん風に言えば「ふつうがえらい」的なストーリーであって、平凡な中にあるささいなときめきやドラマを描いているのだ。

そういう魅力が、自分にとって、詩人の恋には負けていない、シューマンの連作歌曲集の中でもとても気になる歌曲のひとつになっている。

特に「わたしの指の指輪よ」。この旋律の美しさには涙する。最も有名な旋律で、この美しさに心揺さぶられない人などいないだろう。

この「女の愛と生涯」で、自分がこれだ、と思える録音になかなか巡り会えなかったのだが、ゴローさんの日記で、マティス盤を知った。 

3db982514a91a79f94b47d49b49a6f755B15D[1].jpg

これを入手するのは、じつに困難を極めた。全集の中の1枚という位置づけで、単盤では売られていない代物だし、しかもいまは廃盤だ。

それを必死な想いで中古市場で見つけた。

そんなお宝盤なのであるが、それが今回のベスト盤では、この「女の愛と生涯」、全曲入っているのだ!!!

もうこれだけで、絶対買いなのだ!
もうお宝盤ではないのだ!


このベスト集をみなさんにお勧めするのも、ずばり、この歌曲を聴いてほしいからだ。
マティスが歌う「女の愛と生涯」。まさに自分の追い求めていたこの歌の理想の表現の世界。

今回改めて聴いてみたが、やっぱりじつに素晴らしい。


そしてモーツァルト歌曲集。

マティスってやっぱりモーツァルトの人なんだなーとつくづく思わさせてくれる作品。
モーツァルトを歌っているときの彼女は、まさに活き活きとしていて、彼女の1番いい面を聴いている感覚になる。

ただ、今回のベスト作品集では、このモーツァルト歌曲集の入っている曲が少なくて、ちょっと不満。

ぜひ単盤で、こちらのほうも購入することをお勧めしたい。
素晴らしいの一言です。これぞ、マティスの世界!と呼べる録音だと思います。
この盤が、一番マティスらしいと思います。 


058[1].jpg


モーツァルト歌曲集 
マティス、クレー、越智敬


https://goo.gl/22ASAB


マティスのモーツァルトと言えば、こちらもぜひお薦めしたい単盤。
こちらもベスト作品集の中には、あまり入っていないので、単盤購入としてお勧めしたい。

宗教曲もマティスの得意なレパートリーだったのだが、モーツァルトの宗教曲の傑作といっていいミサ曲のなかで最も広く知られる『戴冠ミサ』、華やかな声の動きが際立つ「アレルヤ」で有名なモテットなどの4曲。

これがじつにいい。素晴らしい録音。自分の愛聴盤です。 

349[2].jpg



戴冠ミサ、エクスルターテ・ユビラーテ、他 
マティス、クーベリック&バイエルン放送響、クレー&シュターツカペレ・ドレスデン、他


https://goo.gl/Pktu5U




今回のベスト作品集では、バッハのカンタータや『マタイ受難曲』などの宗教曲、『フィデリオ』『ばらの騎士』、有名なカール・ベームとのモーツァルト、カルロス・クライバーとの伝説の『魔弾の射手』録音、そして我らが小澤征爾さんともベルリオーズの『ファウストの劫罰』の録音を残しているのだ。


本当にお宝限定盤なのだ。

今回このベスト作品集を聴いて、ようやく長い間、霧に包まれていたエディット・マティスの世界がわかったと言えるかもしれない。

リアルタイム世代を知らないだけに、余計に憧憬の念が強かった。



最後に録音評。

オーディオにとってソプラノなどの女声再生って、ほんとうに難しい。
マティスの声は、オーディオ再生するには非常に難しい、ということを申し上げておきたい。

彼女の声質は、とても硬質で芯があるので、強唱のときに、かなり耳にキツく感じるのだ。
ボリュームコントロールがとても大切になる。

近代のオペラ歌手のアルバムは、どんなにボリュームを上げていても、強唱のときにうるさく感じることはあまりないのだが、マティスはかなりキツイ。

普段聴いているVOL設定で聴いていると、隣接の住人からクレームをもらうこと多々だし、自分でも聴いていて、かなり耳にキツイと感じることが多い。

昔の録音なので、ダイナミックレンジがあまり広くないのか、とも思うが、うまくボリュームコントロールして聴くことが大切。

録音自体は、じつに素晴らしいです。声の響きかた、S/Nなどの音のクリア感、鮮度感など、古い時代の録音とはとても思えないくらい。

拙宅のステレオ2ch再生でもじつによく鳴ってくれます。


なんか本懐を遂げた感じです。(笑)







nice!(0)  コメント(0) 

体験!鎌倉芸術館 [コンサートホール&オペラハウス]

いま鎌倉マイブーム。

鎌倉芸術館は、鎌倉市大船にある芸術施設。てっきり初体験だと思っていたら、中に入ってホワイエ空間を見たら、7~8年前にマイミクさんと訪れたことのあるホールだった。

自分はこのホールを訪問したことを、ずっと長い間、神奈川県立音楽堂に行ったものと勘違いしていた。(笑)去年、その神奈川県立音楽堂にハーゲンSQのコンサートに行ったとき、どうりでなんか記憶と違う見覚えのない空間だな、と思った訳だ。(笑)

DSC02014.JPG
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               
DSC02019.JPG


芸術施設なので、大ホール、小ホールだけでなく、展示ギャラリーや集会室とかリハーサル室もある総合施設。

1993年開館というから、25周年の由緒ある建築物。

展示ギャラリーでは、鎌倉市が誇る国際的な彫刻家 高田博厚さんの没30年記念展示会が開かれていた。

DSC02024.JPG
                                                                                                                                                       
施設そのものが、吹き抜け構造になっていて、この図を見たときにピンときた。7~8年眠っていた記憶が一気に蘇った。竹林がその背を固定するための仕掛けがあるものの、じつに美しい和の空間。

DSC02022.JPG
                                                                                                                                                    
                                                                                                                                                     
DSC02049.JPG
                                                                                                                                                        
                                                                                                                                                         
ということは、ここの大ホールは経験あるはずなのだが、これに関してはまったく記憶にないというか思い出せない。なので、今日が初体験な気持ちと言っていい。

DSC02028.JPG
                                                                                                                                                      
                                                                                                                                                      
DSC02042.JPG
                                                                                                                                                       
                                                                                                                                                       
DSC02031.JPG
                                                                                                                                                       
                                                                                                                                                       
DSC02040.JPG
                                                                                                                                                        
                                                                                                                                                         
1500席の多目的ホール。

シューボックスの基本形なのだが、厳密なシューボックスではなく、ステージ後方から放射状に広がるように開口の形になっていて、音の広がりという点でスムース。

音の反射構造も、ステージ奥から天井にかけて真正面をまっすぐ貫くように白い反響板構造が走っている。側方壁もその反射音の恩恵が十分に得られるような角度になっていた。

前方奥からの直線方向と、側方からの反射音ということで、響きが豊かな空間という感じでしょうかね。

公式HPにある自走式自立三連型の音響反射板という意味が、ちょっとわからなかった。

驚いたのは、天井がすごく高いこと。
天井の高いホールは音のヌケ感もよく、近代の音響のいいホールでは必須条件ですかね。

実際自分の耳で聴いた音響の印象は、天井が高くて容積広いということもあって、小編成で、その大空間を音で埋めるのはちと大変、という感じもしないでもなかったが、なかなか素晴らしかった。弦楽器のコンサートだったが、弦の音色が嫋やかで、分厚い響き、残響感も豊富だった。

音の質感は、暖かい感じの音色ですね。



素晴らしいホール!


鎌倉芸術館は、去年大規模な改修メンテナンスで、1月~9月の9か月間、休館だった。

大掛かりな機器・機構類の修繕・更新や内装等の傷みの修復などが主だが、1番大変だったのが、東日本大震災後に、国が天井落下防止の基準を厳しくし、面積で200㎡超かつ高さ6m超の天井が「特定天井」と定義されて耐震強化を義務付けられたこと。

それで大規模な改修を迫られた。

そして去年の10月にリニューアルオープン。

見た感じ、聴いた感じですぐにその違いが分かるのは、照明が明るくなったとか、音響も素晴らしくなったとか。1番はっきりわかるのは、この座席の背もたれの色だそうだ。

座席シートの全面張替。明るい新しい色に。

DSC02032.JPG



座席はホールの表面積を大きく占めるので、座席シーツ張替は音響面ですごいチャレンジングだ。




この鎌倉芸術館にホール専属の弦楽アンサンブルが存在する。
第一線で活躍するソリスト、室内楽奏者が集う「鎌倉芸術館ゾリステン」。

この日は、「新春コンサート」と題して、この弦楽アンサンブルが1年半ぶりに帰ってくる。
今日演奏するのは、1992年の第1回結成記念コンサートと同じプログラム!


26907053_2358418137517360_206035085415283222_n[1].jpg
                                                                                                                                                         

                                                                                                                                                        
                                                                                                                                                    
リーダーは徳永二男さん。

その蒼蒼たるメンバーは、

ヴァイオリン:礒絵里子、漆原朝子、漆原啓子、川田知子、小林美樹、徳永二男、
       藤原浜雄、三浦章宏
ヴィオラ:川崎和憲、川本嘉子
チェロ:古川展生、向山佳絵子
コントラバス:吉田秀
チェンバロ:小森谷裕子


凄すぎる!

まさに贅沢な極みを尽くした感。女性陣は、黒ではなくカラフルな色のドレスを身にまとい、美しかった。

モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲、そしてチャイコフスキー:弦楽セレナードの3曲。

まさにこれぞ名曲コンサートと言ってもいい王道のプログラム。
聴いていて、本当に楽しい。名曲と言われる所以が納得できる。

とても贅沢なひとときだと思った。

名手たちのバランスのとれた美しいアンサンブルは、素晴らしいのひとことだが、やはりヴィジュアル的に、これだけの名手が揃って演奏しているさまは、なんともゴージャスで、贅を尽くした限りだと思う。

自分の座席からは、特に徳永さんの弦の音が、際立って聴こえて、他の奏者をグイグイ引っ張っていて、まさにこれぞコンマス!という感じで頼もしく思えた。

これはどこかで観たことがある風景。そう!東京春祭のN響ワーグナーのゲストコンマスのライナー・キュッヒル氏を観ている・・・

まさにあのときと同じ感覚だ。


後半の最後のチャイコフスキーの弦楽セレナーデ、通称「弦セレ」。

小澤さんの18番の名曲だが、この曲は本当にいい曲。あの卓越したじつにセンスのいいメロディ。「弦のうねり」が独特の味わいを出していますね。この曲を聴いていると、指揮をしながら、決め処で、唸り声を出す小澤さんを思い出します。(笑)

本当に新春に聴くにふさわしい贅沢なコンサートでした。

この日は、このメンバーの中で注目していたソリストがいた。


礒絵里子さん 

19366102_1412190088869554_7875968548905617874_n[2].jpg


江藤俊哉氏に師事し桐朋学園大学卒業後、その才能を高く評価したI.オイストラフ氏に招かれ、文化庁芸術家在外派遣研修員としてブリュッセル王立音楽院に留学。

数多くの世界のコンクール入賞、そしてソリストとして国内、海外のオーケストラとの競演など輝かしい活躍を現在も続けられている。

鎌倉在住。

ベルギーに鎌倉。。。これはきっと縁があるに違いない。(笑)


礒絵里子さんは、昔、ステレオサウンドの「音のたまもの」でゴローさんの取材を受けた記事を読んだことがあって、「暮らしの中心にいつもオーディオがある」というタイトルの記事はとても印象的だった。


m_DSC03416[1].jpg


女性でありながら、リビングで静電コンデンサー型の平面SPを使っているのは驚きであった。このタイプのSPは正直見た目のインパクトが相当強い。コンデンサー型SPなんて男性マニアでもあまり使っている人いないのに、当時かなりマニアックな方だなぁと思って読んでいくと、じつは旦那さまの買い物だそうで(笑)夫婦いっしょに楽しまれているとのことであった。(なぜかちょっと安心 )


「暮らしの中心につねにオーディオがあって、夫婦で楽しまれる。」


ある意味理想ではないか?と思って、この記事がとてもインパクト強かった。
この記事は、2012年のステサンなので、いまはひょっとしたら、機器ラインナップも変わっているかもだけど・・・。

礒絵里子さんと同年代、同期の演奏家の方々も知っている方とても多いので、一度実演に接してみたいと思っていた。

自分の記憶では、いままで礒さんのコンサートは聴いたことがないと思う。

それで、この日は注目していたのでした。
実演に接することが出来てとてもよかったです。


これからも機会があれば足を運びたいですね。




鎌倉マイブーム。ただいま街道驀進中。

鎌倉の麻婆豆腐専門店「かかん」のマーボ。一回食べたらホントに病みつきで、あれから3回以上は楽勝で通っていて、お店の人にすっかり顔を覚えられ、感謝の言葉をかけてもらいました。
本当に美味しいと思うよ。



そして、映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」。

なんと3回通いました。(笑)

映画館で同じ映画を3回も観ることなんて人生初めてのことかも。

まさにほっこりファンタジーの世界で、人の心の温かみがしみじみと伝わってくるような・・・そしてなんとも言えない仏教観、死生観が描かれていて、考えさせられるのです。

じつによくできたいい映画。

3回見ても、必ず同じ場所で泣きます。(笑)

音楽もじつに素晴らしいんだな。サウンドトラック、秀逸。そして宇多田ヒカルの主題歌も!

この映画、今年の日本アカデミー大賞間違いなし!!!





nice!(0)  コメント(0) 

世界の朝食を食べさせてくれるお店 台湾の朝ごはん [グルメ]

この取材をはじめてから1年経つのだが、今回が1番美味しいかもしれない!いや表現がよくない。1番日本人の味覚に合うと言ったほうがいい。

これはウマい!

台湾って親日国家なので、日本料理のお店も現地にいっぱいあって、人気だと聞くし。日本人として、やっぱり美味しいと思う味付けもそういうところから来ているのかな?とも思ったり。

すごく美味しかった。もう1回行って食べてみたい感じ。

自分は台湾には1回も行ったことがない。かねがねより、ぜひ行ってみたいと思ってはいるのだが。。。

台湾では朝食は外で食べるという文化があり、街には朝食店が数多くあるらしい。

ホテルの朝食はスルーして朝食店に駆けつける観光客も急増中とか。それだけ、台湾の朝ごはんってひとつのブランドというか定番カルチャーなんですね。

街にたくさん並んだ朝食店の中で、人それぞれ好みの朝ごはんを食べるのだが、今回は、そんな中で、1番人気の3品を1プレートに収めた台湾の朝ごはん。

DSC02001.JPG



右上にあるのが、飯団(ファントワン)。餅米で握った具だくさんのおにぎり。
そして左上にあるのが、豆乳スープの鹹豆漿(シェンドウジャン)。
手前にあるのが、玉子焼きの蛋餅(ダンピン)。



まずおにぎりから。もち米なので、とても食べ応えがあって、美味しい。中には、揚げ物の薄い感じのものや青菜などが入っている。もち米のもっちり感と揚げ物の香ばしさ、そして青菜のさっぱり感がアクセントになって、かなり食べ応えを感じて、美味しい。日本人の味覚に合う。

そしてつぎに玉子焼きをいただく。
これまたウマいんだなぁ。見た感じでわかるように、すごいモチモチした食感で、卵というよりは、薄い皮状の餅を食べている感じ。上にかかっているタレがなんか日本の醤油のような味で、これまたウマい。中にもそぼろ状の肉のような具材が入っていて、香ばしさもあって食べ応えもかなりある。3品の中でも、この玉子焼きが1番美味しいと思った。

最後に豆乳スープ。
これはクリーミーで、いろいろな具材が入っていて、これまたとても美味しい。単なる豆乳だけでなくて、いろいろな具材が入っているところが、ちょっとした贅沢なスープという装いを出していると思う。


この3品の中でも、玉子焼きと豆乳スープは、台湾朝ごはんの超定番みたいですね。

今回美味しいと思ったことの1番の理由は、やはり”食べ応え”がある、と感じたこと。「食べたー!」ってな感じで、満足感、満腹感を感じたことだったのではないか、と思った。

いままでの世界の朝ごはんは、やはり日本人の味覚とは違う、別世界の各国独特の味覚感があって、なんか自分には健康食みたいな感じがして、「食べたー」という感じにはとてもならなかった。現にお店を出てから、まだ足らないので、別のお店に入って、さらにもう1食ってな感じで、満腹感を癒していたことも事実。

今回の台湾の朝ごはんは、やはり食べているときも、食べ終わったときも、すごい満腹感、「食ったー!」感覚があって、これが、味以上に、美味しいと感じたことの1番の原因かもしれない。

健康食ブームのタニタ食堂が、路線変更で、高級食を出すようになったのも、やはり健康にいいカロリーの少ない食事は大切なのはわかるけれど、やはり人間って生き物は、体にはよくない油成分、塩っけがある食事のほうが美味しいと感じるし、まず美味しい、食べ応えがあると感じることが、人間の食事への欲求なのだというニーズがわかって、そういった条件下で、カロリーを抑えていく、というところに着目し、戦略変更していったことなのだと思いました。

やはり人間って、せっかく外食するなら、贅沢で、美味しいものを食べたい、と感じる生き物ですからね。






nice!(0)  コメント(0) 

PENTATONEの新契約 [オーディオ]

2人のビッグ・アーティストと契約。ビッグ・ニュース!数年前までは、オーディオマニア向けの小さなマイナーレーベルという認識だったけれど、近年の躍進ぶりは驚くばかり。

1人目は、マグダレーナ・コジェナー。ご存知サイモン・ラトルの奥さん。

コジェナー契約.jpg


バロックから現代音楽まで幅広く歌えるメッゾ・ソプラノ。ラトルと結婚してからは、ベルリンフィルの独唱ソリストとして呼ばれることが多い。

録音も、旦那様関係が多く、DG,EMIから数多くリリースされている。

PENTATONEとは長期間の契約を結んだそうだ。複数枚のアルバムがリリースされる予定。

自分はコジェナーは、ベルリンフィルのDVDやBlu-rayでよく拝見していた。
旦那さまのラトル&ベルリンフィルのマタイ受難曲のBDでの彼女の熱唱、熱演はすごく良かったと記憶している。

でもCDとしてオーディオの対象として聴いたことはないのだ。

いままでは、DG,EMIやARCHIVEの多数のレーベルからアルバムをかなりリリースしているようだ。なぜ、彼女のような大物がPENTATONEなの?という素朴な疑問も湧くのだが(笑)、このニュースリリースを聞いて、ドキッとしたことは事実。やるな~という感じ。

これをいい機会に、彼女の歌をオーディオの対象として聴いてみよう。
5.0サラウンドで聴けるのだから、とても魅力的だ。

なんといっても美人で映える存在、スターのオーラありますよね。
語学力がマルチリンガルで堪能で、オペラ界ではうるさいディクション(発音)も素晴らしいそうだ。


2人目が、いま売り出し中のアメリカの若手チェリスト、アリサ・ワイラースタイン。これまたビックリポンのニュース!


アリサ ワイラースタイン契約2.jpg
                                                    
                                                    
26198320_10157299621137293_2712003781510870697_o[2].jpg
                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                        
乗りに乗っている将来有望株の若手1番手で、DECCAの看板スターでもあるのに、なんでPENTATONEなの?(笑)という驚き。

multi-album dealとあるから、これも数枚リリースの契約のようだ。

今回の新譜は、今年8月にリリース予定で、ウィーン楽派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン)と、新ウィーン楽派(ベルク、シェーンベルク)などの曲を取り上げ、ハイドンの2つのコンチェルトとシェーンベルクの曲の3曲構成の予定。

なんでもノルウエーの弦楽室内合奏団のTrondheim Soloistsのメンバーとしての契約を結んで、今回の録音は、その最初のコラボの一環のようだ。

じつは、彼女も自分はCDとしてオーディオの対象としてじっくり聴いたことがないのだ。

でも、2011年のイギリスで開かれたベルリンフィルのヨーロッパコンサートでの録画が超印象的で、それを何回も何回も擦り切れるくらい観ていた記憶がある。

このヨーロッパコンサートのとき、彼女は、まだ無名の新人で、そのときの指揮だったバレンボイムが、自分のかつての奥さんであったジャクリーヌ・デユ・プレに相通じるものを感じての大抜擢という舞台裏だったと記憶している。

眩しい赤いドレスを着て、強者のベルリンフィルに対して一歩も後を引かない堂々とした熱演に、自分はくぎ付けになった。

何回も何回も繰り返し観た。素晴らしい新人が出てきたなーとたいそう感心したのだ。

それから7年経過した訳だが、彼女のCDは買ってないけれど、その大活躍ぶりは、メディアを通じてよく知っていた。だから今回の契約成立のニュースは心底驚いたし、久し振りに彼女の存在を認識した。

これもいい機会だから、5.0サラウンドで堪能してみるか?(笑)

弦楽合奏団で、優秀録音でさらにサラウンドであれば、その弦の音色の立ち具合など、楽しめるに違いない。

高音質が売りのオーディオマニア向けのマイナーレーベルだったPENTATONEも、いまやその抱えるアーティスト陣はとてもスター性を兼ね備えた有望株ばかり。アーティスト陣が豊富だとレーベルのイメージも明るくなりますよね。

やぱりレーベルは、単に技術志向だけじゃダメだと思います。

「音が良ければ、売れなくてもいい」では、あまりに寂しいものがある。

優秀な技術スタッフだけではなく、それを支えバックアップしてビジネス基盤を作る優秀なプロデューサーがレコード会社にはやっぱり重要なんだということを認識しました。


nice!(0)  コメント(2) 

よこすか海軍カレー [グルメ]

カレーの街よこすか。

ここの「よこすか海軍カレー」を1度でいいから食べてみたい。それが目的で横須賀まで出かけてきた。

現在も海上自衛隊では、毎週金曜日の昼はカレーライスを食べる習慣になっている。長い海上勤務では外の景色は殆ど変わらず、交代勤務で曜日感覚も薄れることから、同じ曜日に同じメニューを食べることで感覚を呼び戻すためらしい。

海軍カレーというのは、大日本帝国海軍の糧食に由来するカレーライスのこと。

特徴はカレーに小麦粉を炒めて作ったルーを使うことで、一般的に日本のカレーライスと言う場合、この海軍カレーに類するものらしい。

帝国海軍の流れを汲む海上自衛隊のカレーライスは、副食として、サラダ、牛乳、ゆで卵などが付けられるのだ。

カレーライスだけでは不足するカルシウムと葉酸を補うため、牛乳でカルシウムを、サラダで葉酸を補充、さらにタンパク質補強に卵ってな感じ。

いまは、各艦艇・部署ごとに先任者から独自の秘伝レシピが伝えられているため(笑)、作られるカレーは艦艇・部署ごとに異なり、単一の味・レシピは存在しないそうだ。

海上自衛隊カレーには各部隊、各艦艇で独特の隠し味があって、赤ワイン、ミロ、茹で小豆、インスタントコーヒー、コカコーラ、チョコレート、ブルーベリージャム等さまざま。

自衛隊艦隊の所属を自衛官が決めるきっかけを、そこに供されるカレーライスの美味しさに求めるという内輪話もあるくらいなのだ。(笑)

それだけ海軍にとってカレーって大きな存在で、歴史がある。

自分も今回勉強してみて、え〜そうなの?そうなの?という感じで、海軍とカレーの深い関係に驚いた。海軍がカレーに入れ込むその奥の深さというのは、やはり代々の歴史がある、という自負とともに自分たちもかなり意識あるんだろうと思う。

一般家庭が食す普通のカレーライスよりももっともっと手の込んだ一流レベルのカレーライス、それが海軍カレーなのだ。


海軍カレーにも、「よこすか海軍カレー」、「大湊海自カレー」、「呉海自カレー」の3種類存在する。


大湊海自カレーは、青森県むつ市の艦隊のカレー。呉海自カレーは、広島県呉市の艦隊のカレー。そして我が首都圏といえば、横須賀市の「よこすか海軍カレー」だ。


横須賀市は「カレーの街」宣言をして、海軍割烹術参考書のレシピを導入している店舗を「よこすか海軍カレー」の名称を使用できる店舗として認定する、という許可制をとっている。


つまり「よこすか海軍カレー」を名乗るには、きちんとその伝統あるレシピに基づいて、その通りに作るお店でないと名乗れないのだ。

横須賀に行くには、京浜急行を使うので、京急とコラボして、海軍カレーで街おこしをしていて、「カレーの街よこすか」をキャンペーンしているわけ。

横須賀市は、カレーライスは横須賀から全国に広がったと捉えている節があって、そういう自負があるのだ。

ここで、カレーの街よこすか加盟店公式WEBサイト「カレーの街 よこすか」の掲載情報をもとに展開して、よこすか海軍カレーの真髄、カレーの街 よこすかの街おこしについての歴史などを追及してみたいと思う。


以下の記載は、この公式HPによるものです。


 カレーの街よこすか加盟店公式WEBサイト「カレーの街 よこすか」




●よこすか海軍カレー 5原則

その1.「海軍割烹術参考書」(明治41年)のレシピをもとに現代に復元したカレーです。
その2. 原則として、横須賀市内でしか提供できません。
その3. 必ずサラダと牛乳をセットにして提供しています。
その4. よこすか海軍カレーは「ご当地グルメ」です。B級グルメではありません。
その5. カレーの街よこすかの認定店だけが名称使用を許可されています。


これが大原則。よこすか海軍カレーのすべてがここに書かれている。これがすべてと言っていい。

この商標ブランド「よこすか海軍カレー」が生まれたのは、いまから20年前の平成10年に海上自衛隊地方総監の退官を前にしたお別れパーティーの席上で、総監が、

「呉市と舞鶴市では、両市が本家争いをするなど、肉じゃがを“まちおこし”に繋げているが、カレーライスが庶民の食卓に普及したのは海軍のカレーにルーツがあるので、海軍の街である横須賀でカレー発信の地として、“カレー”を地域の活性化に利用してみては」

という趣旨の話をしたのがきっかけだったのだ。

つまり、横須賀市を「カレーの街」として街おこしする提案からすべてが始まった。

いまのカレーライスがそのルーツが海軍のカレーにあることは、知る人ぞ知る密かなる常識だったんですね。

なにげなく存在しているのではなく、きちんとこういう計画的なことがあったからこそ、現在があるということ。

この発言をきっかけに、横須賀市役所、横須賀商工会議所、海上自衛隊の3者で調査、検討がはじめられ、旧日本海軍で提供されていたカレーを現代に再現する方針が決定した。

そして翌年、平成11年5月20日、横須賀市は「カレーの街宣言」。そして「カレーの街よこすか推進委員会」が発足した。


カレーの街おこし1.jpg



当時日本海軍で調理されていた軍隊食のレシピが記されている「海軍割烹術参考書」(明治41年発行)に記載のある「カレイライス」の作り方をもとにして、現代に復元したカレーを“よこすか海軍カレー”とすることが定められた。

(平成12年には「よこすか海軍カレー」の商標登録も認められる!)


レシピ.jpg


当時は“カレールウ”などという製品はなかったので、日本海軍のカレーは、牛脂と小麦粉・カレー粉から作る「手作りカレー」。

具材には人参、タマネギ、ジャガイモ、牛肉または鶏肉を使用していたので、見た目には現代のカレーに近いものだったようだ。 また、豚肉および豚脂(ラード)は使わないので、現代の私たちからすると“あっさりとした昔懐かしい味”のカレーだったようである。


海軍割烹術参考書のレシピをもとに、現代に復元したカレーが「よこすか海軍カレー」。

だからお店として「よこすか海軍カレー」を名乗ろうとするならば、この原則的なルールを守らないといけない。

認可制のビジネスなのだ。

この基本原則を守りながらも、各店舗では特徴を生かした味の海軍カレーを提供していて、45店(平成28年9月現在)のカレーが「よこすか海軍カレー」として認定されているそうだ。

カレーの街よこすかでは、「よこすか海軍カレー」は、栄養バランスを考慮し、サラダと牛乳を必ず添えることが提供の際のルールとなっている。

よこすか海軍カレーを食べられるお店は、京急本線の横須賀中央駅から汐入駅の間に集中して存在しているようだ。


 
現在のカレーが日本海軍の軍隊食だったカレーがルーツであることがわかったが、さらにもっとそのルーツを掘り下げていくと、「横須賀がカレー発信の地」であることには、もっと深い事情があることがわかった。


ずばりカレーって、イギリス海軍で提供されていたカレー風味のシチューがルーツなんです。
それに小麦粉でとろみを付けて、ライスにかけたメニューを日本の軍隊食に取り入れたのが、その始まり・・・(そこら辺の深い事情は、先述のHPに詳しく掲載されているので、そちらを参照願いたい。)



それ以来、海軍自衛隊では、毎週金曜日にはカレーライスを食べる習慣がある。


金曜はカレーの日.jpg


 
長い海上勤務・遠洋航海では、外洋の景色が変わらず、決まった曜日に勤務が休みとなるわけでないため、曜日感覚がなくなってしまう。これを防ぐため、金曜日に各艦船の調理員が腕によりをかけた美味しいカレーライスを提供する習慣が生まれたのだ。

現在、この習慣は船上勤務に限らず全ての部署に広がり、金曜日にはカレーが必ずメニューに組み込まれるようになったそうだ。

そこから始まっていまでは、「カレーの街よこすか」では“金曜日はカレーの日”として、金曜日にカレーを食べることを推奨している。

カレーの街よこすか認定店でも、金曜日に大盛りサービス、半額サービス、割引サービスなどを行う店舗が多数あるとか。(笑)


こういう海軍カレーの歴史は、今尚、現在に脈々と受け継がれている。

ここまでが、長かったが、よこすか海軍カレーとはなにか?カレーの街 よこすかの街おこしに関する情報である。




この「よこすか海軍カレー」の認可を受けている、その通りの艦隊で代々伝わる秘伝のレシピで作ってくれるカレーのお店に行ってきた。

ネットでちょちょっとググるとゾロゾロと出てくる。

自分が選んだのは、汐入にあるお店。横浜から京急で1本。結構遠くて30分位かかる。汐入駅の改札を出たら、すぐに右折して、徒歩1分位のところのベイスクエアよこすか二番館の1階。要は駅の改札を出たらすぐに見えるファミリーマートのすぐ横にある。

よこすか芸術劇場(オペラハウスみたいなコンサートホール)もこのすぐ近くにありましたね。

DSC01970.JPG


CAFE ORIGINAL BASE 〜カフェ・オリジナル・ベース

https://goo.gl/LW1HqV


もちろん伝統のレシピに準ずるんだろうけれど、ちょっとオリジナリティがあって、「海軍カレーに対する新しいアプローチ」・・・ 

できあがったのは、護衛艦の上で長年カレーを食べ続けてきた現役のキャプテンさえも絶賛する逸品!!とあるから、そのまんまの海軍カレーではないのかもしれない。


店内はすごくお洒落。
壁の飾りが、・・・らしい。。。(笑)

DSC01967.JPG


でも本当に狭くて小さなお店。カウンター&テーブルで、16名くらいかな?

さて、メニューには、海軍カレーと海軍自衛隊カレーの2種類あったのだが、まずは海軍カレーにした。


これが、よこすか海軍カレー。

DSC01968.JPG



カレーライス、牛乳、サラダの3点セットなのだが、このお店では、牛乳は強制的ではなく、単にドリンクを選べるという自由度。

選択肢の中には牛乳はあったと思う。このことを勉強していれば、牛乳にしておけばよかった。(笑)自分はウーロン茶を選んだ。

カレーの上に、バジルが散らしてあり、あの独特のいい香りがする。

さっそく食す。

とても甘口で美味しい。一見普段食べている普通のカレーの域は大きく超えるとは思わないけれど、でも隠し味的にちょっと果実的なフルーティーな香りがあって、とてもコクがあって濃厚な味だった。

かなり美味しいです!


単純なあの単一のカレーの味ではない。結構複雑な隠し味がたくさん混ざっている、とても深い味。高級なカレーの味ですね。

写真を見てもらえばわかると思うが、カレーの肌状がツルツル液体状じゃなくて、ブツブツ状なので、やはり手の込んだいろいろなものが入っているに違いない。お肉は豚肉ではなく牛肉だったと思った。

本当に美味しいです。

海軍カレーにつきもののサラダも食してみた。これがまたかなり美味しいのだ。
ドレッシングがとてもいままで経験のないような不思議なすごくいい香りで、これはウマい。

いやぁ、とてもすばらしい「よこすか海軍カレー」を堪能させていただきました。

ここまで来たら、せっかくだから、港に着いている艦隊の様子でも写真に納めればいいなーという軽い気持ちで、お店の人に聞いてみた。

そうしたら、この汐入って港にすぐ近くで、「軍港めぐり」ができるスポットがあるそうなのだ。

なんというラッキー!

お店から、本当に歩いてすぐ。


おー!よこすか〜。萌える〜。(^^)

DSC01977.JPG


艦隊だけでなく、黒い潜水艦も見える。
右に見える白い建物が第3ドッグ。その横に、第2ドッグ、第1ドッグと林立している。
                                                                                                                                                      
                                                                                                                                                    
                                                                                                                                                      
DSC01985.JPG
                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                   
DSC01993.JPG
                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                 
DSC01995.JPG
                                                                                                                                                   
                                                                                                                                                      
DSC01987.JPG
                                                                                                                                                      
                                                                                                                                                       
別にミリタリーオタクではないけれど、間近で観ると、かなりクルというか圧倒される!


軍港めぐりできるように、このように海岸沿いに散策道が出来ているのだ。

DSC01980.JPG


ご覧のようにかもめがたくさん空をす〜っという感じで飛んでいて、とても海らしい。

DSC01990.JPG



このような大砲のオブジェもあって、「鎮魂」とあって意味深げ。

DSC01999.JPG



自分は、首都圏に上京してから30年、このように横須賀周辺の軍港を実際目にしたのははじめての体験。

かなり興奮したともに、なんかこう恐怖感みたいなゾクゾクっとする、そういうシルエットだよね、こういう絵柄。(笑)

もともとは「よこすか海軍カレー」を食べてみたい、という理由から、この汐入を選んだのだが、このように偶然にも軍港めぐりもできて本当によかった。

願わくば、このような艦隊が稼働することがない平和を祈りながら、街を後にした。









nice!(1)  コメント(0) 

DG祝120周年 カラヤンボックス [オーディオ]

カラヤンは、DGに生涯330枚のLPの録音を残した。


カラヤンが残した1番の功績と言ったら、アナログレコードで一般大衆にクラシックを啓蒙したこと。まさにクラシックを大衆文化にした人だった。それまで、クラシックって一般大衆にとって敷居が高かったし、ごく限られた階層の人々の娯楽で、また楽しめる音源も少なかった。


DGビジネスを支えてきたのも、このカラヤンの膨大な録音であったことは言うまでもない。


自分はそれまで単盤でカラヤンの録音をずっと集めてきたのだが、2008年にカラヤン生誕100周年という一大イヴェントがあって、ボックスものが一斉に発売された。そのときダブりは覚悟の上、このボックスものを片っ端から買いあさって、コレクターした。大変な出費だった。たぶんかけた費用総額50万は軽く超えていたと思う。あれから10年経って、今年2018年にカラヤンの生誕110周年記念。例によって、またカラヤン・ボックスが発売された。


794[1].jpg



ヘルベルト・フォン・カラヤン DG、DECCA録音全集
(330CD+24DVD+2ブルーレイ・オーディオ)




値段が10万円ってずいぶん安くなったもの。びっくり。10年前は、DG全集だけで、30万はした。今回のボックスは、DG全集だけでなく、DECCA録音も網羅されていて、さらに映像ソフト全集も網羅されている。これで10万で売るというのは、やっぱり10年前に比べて、すごい進歩があると思う。


カラヤンBOX.jpg



自分が感心したのは、CDを収める紙ジャケが全部、1枚1枚、当時のLP時代のオリジナルジャケットをちゃんと踏襲していること。これは嬉しい心配り。自分が買ったDG全集300枚セットは、全部同じ絵柄だった。さらに10年前にもついていた木製のラックも、今回も常設されている。


こういうカラヤンボックスは、もう区切りのいい年度に渡って、毎回発売されるいわゆる定番ビジネス。これからも120,130,140・・・ってな感じで、10年サイクルくらい(あるいは5年サイクルでもやるかな?)で繰り返されるキラービジネスなんだと思う。


ボックスの魅力とは何なのか?


それはやはりその演奏家、音楽家の全ての作品が網羅されている、それを購入することで、達成感を得る一種の音楽ソフトマニアのコレクター癖をくすぐるような感覚なのかな?と思う。


はっきり言って、こういうボックスもんを買っておくと安心しますよね。
その指揮者、演奏家に対する征服感というか・・・。


逆に演奏家側や製作者側からしても、たとえばベートーヴェンの交響曲全集など、全集を録音して発売することは、ひとつの大きなイベントで、その作曲家に対する克服感、達成感などがあるんだと思うのです。コンサートならいわゆるチクルス(全曲演奏会)。


ところが最近思うのは、こういうボックスもんを買っても普段聴かないのだ。
ボックスを取り出して聴く、というのはなぜか気が重い。


やっぱり普段聴きやすいのは単盤のもの。単盤のほうが、その盤に対する印象度や思い入れが深く印象に残りやすい。だから棚の膨大なソフトからアクセスする頻度が多いのは、やはり単盤のものが圧倒的に多い。ボックスはいわゆる百科事典的な使い方で、この演奏家のこの年代の録音が聴きたいなどのときにとても重宝するのではないか、と思うのです。


でも全集やBOX-CDの場合、その目的の盤を探し出すのが大変。

必ず冊子として入っている目次を見ないとどのCDなのかアクセスできない。 
今回発売されたカラヤンボックスは、ここら辺のアクセスの問題は、どこまで改善されているのだろうか?結局普段気軽に聴くというのではなく、百科事典的な役割になってしまうのは、まさにここがネックですね。




DSC01951.JPG


この写真は、10年前の2008年に購入した一連のカラヤンボックス。

一番下の木製ラックに入っているのがDG全集ボックス。300枚は超える大全集で、当時30万はした。当時カラヤンは単盤でも結構持っていたので、ダブりになるし、買うかどうか、相当悩んだのだけれど、やっぱり全部揃えるというコレクター魂に負けてしまった。


その上が、カラヤンの映像ボックス。ソニーのカラヤンの遺産シリーズですね。カラヤン&ベルリンフィルの映像素材が全部コレクターされている。


その上が、EMI全集。これもEMIでの録音音源を集めたボックス。
あと写真に写っていないけれど、DECCA録音集ボックスもある。


カラヤンの映像ボックスは、「カラヤンの遺産」シリーズを収めたもの。
こんなお洒落なボックス仕様だった。(なんと指揮棒もついている!)


25940505_2026303130_254large[1].jpg


これも一通り観たが、やっぱり思うのは、カラヤンって映像ソフトのセンスはまったくないな、ということ。(笑)


これは業界一般に言われている定説なのだが、カラヤンの造った映像ソフトは、かなりつまらないのだ。見ていて、まったく面白くない。カラヤンは、指揮者&音楽家にとっては珍しいくらいの技術マニアで、自分の映像素材を後世に残すべく、その記録媒体の技術動向には相当関心を持っていた。当時のビデオディスク(後のレーザーディスク)の行く末に深い関心を寄せていた。


もちろん他人に任せっきりにする人ではないので、自分が、その撮影時点からその映像作りに口を挟むどころか自分が主導でやっていく。ザルツブルクの自宅の地下室に編集室があって、そこでカラヤンは自分の映像素材の編集作業をしていたのだ。なんでもソニーの機材でびっしり固められていて、それを大賀典雄さんに見せて自慢したとかの逸話も残っている。


ずばりカラヤンの創るオーケストラ映像というのは、作られた映像なのだ。
プロモビデオみたいな感じで、かなり人工的で意識的に作られた演奏画像。
スタジオを借り切って、もしくはコンサートホールで観客を入れず、一糸の乱れも許さないような画一的なプロモビデオ。


これは観ている立場からすると、一回観たら飽きてしまう、というか、かなりつまらない。


オーケストラ映像というのは、いわゆるライブ収録、録音が、臨場感、いわゆるライブ感があって面白い訳であって、現在昨今のオーケストラ映像は、100%こちらだ。


でもカラヤンは、このライブ映像が大嫌いだった。
「あんな雑な映像のどこがいいんだ?」
というのが、彼の常日頃の発言で、彼のオーケストラ映像に対する考え方。


上のカラヤンの「カラヤンの遺産」ボックスに納められている膨大な映像素材は、ほとんどこのプロモビデオ的な撮影手法によるもので、正直つまんない&飽きてしまう映像そのものの集まりだった。


唯一数点の映像素材のみがライブ収録されているものがあって、特にベルリンフィル創立100周年記念コンサートということで、ベルリンフィルハーモニーで開催された「ベートーヴェン交響曲第3番(英雄)」の演奏、これは最高の出来だった。


自分が観てきた英雄のライブ演奏の中でも3本の指に入る屈指の作品で、まさにこれぞカラヤン&ベルリンフィルといった演奏。シュバルベ&ブランディス&シュピラーといったカラヤン黄金時代を支えてきたコンマス3人体制に、まさに女人禁制だった時代のオーケストラの独特の世界を描き出していた。


このカラヤンの遺産の映像素材は、カラヤン×大賀さんの商談により、ソニーが版権を取って、ソニーから出された。でも商品化されるまで時間が結構かかって、いつまでも商品化されないので、業を煮やしたエリエッテ夫人から、いつになったら商品化されるのだ?というお手紙をソニーにいただいた、という話を友人から聞いたことがある。


大賀さんが後世に、ザルツブルクにあるカラヤンのお墓詣りをしたときに語っていたことで印象深かったのは、「残念なのは、カラヤン先生は、ハイビジョンという存在を知らずして亡くなられた。もしそれまでにご存命であったならば、ハイビジョンでもう一回ベートーヴェンの交響曲全集を撮ろうと仰ったに違いない。」と述べられたことだった。


ということで、このカラヤンの遺産ボックスは、1回見たらあとは、お蔵入りという感じなのだが、たとえば、カラヤン体制を大いに揺るがせたザビーネ・マイヤー事件で、試用期間中のマイヤーが、クラリネットを当時のベルリンフィルで吹いている姿なんかが写っていたりして(アルプス交響曲)、そんなときに、どれどれ、という感じで引っ張り出してきて見ている、という感じだろうか。


いまじゃオーケストラに女性団員は不可欠で、ビジュアル的にも華があるのだが、当時は閉鎖的な男性社会のオーケストラに一風を吹き込んだ事件だった。ザビーネ・マイヤーはご存知美人だし、マントみたいなものを着ていて、それを払う姿がすごい格好いいという当時の話だった。


カラヤンの映像では、こんな素材も当時の2008年に発売された。

カラヤン&ベルリンフィルの初の映像素材で、クルーゾーによって撮られた映像。


DSC01958.JPG


「カラヤン/クルーゾー指揮の芸術」というタイトルで発売されたDVDだが、モノクロだが、とても貴重な素材だと思う。確かに当時のオーケストラ撮影は、プロモビデオ的な撮り方なのだけれど、これはカラヤン初の映像作品ということで、とても存在価値があった。


これも2008年のアニバーサリー・イヤーに発売されたレアなボックスで、NHKアーカイブスの中に残っていたNHKが撮ったカラヤン&ベルリンフィルの当時の映像素材をパッケージ化したDVD。これはとてもレアで貴重な作品だ。


DSC01960.JPG



カラヤンが、1950年代にベルリンフィルやウィーンフィルと初来日した模様とか、ドレスリハーサルの模様とか。ちょっと普通の作品ではありえないような貴重な映像が残されている。それこそ当時のオーケストラコンサートホールだった日比谷公会堂や普門館での公演。また大学のオケへの指導も実現して、その映像とか、これは本当にレアで貴重な映像素材だと思う。


このようにカラヤンっていう人は、まさに音源、映像素材の宝庫のような人なので、何年かおきに、こうやってボックスビジネスが循環して起こるのは当然のことだし、それはそれでいいのではないか、と思う。


ストリーミングやダウンロードの台頭で、劣勢に追いやられている物理メディアだけれども、こういうボックスビジネスは、まだまだ彼らの有利なビジネス・エリアだと思うし。


カラヤンは、まさにベルリンフィルのシェフとして35年も在籍していた訳であって、大きく60年代、70年代、80年代と3つの時期に分けることが出来ると思う。自分は、その中で、やはり70年代が最強で絶頂期の時期だと思う。60年代はやや青臭さが残るし、80年代は、もう体も動かなくなってきて、枯れてきた時代。やはり70年代の彼らが、演奏、サウンド、そしてヴィジュアル的にも最高の時期だったのではと思っています。


そんな音源の宝庫のDGだが、自分はカラヤンだけでなく、アバドやポリーニとかたくさん保有しています。まさにDGならではのビジネスですね。


今年はバーンスタインの生誕100周年でもあるので、バーンスタインのが出たら買うかもしれない。


と言っていたら、出てしまった。バーンスタインのボックス。(笑)


399[1].jpg


レナード・バーンスタイン/DG&DECCA録音全集
(121CD+36DVD+1ブルーレイ・オーディオ)

https://goo.gl/vctaEF


バーンスタインBOX.jpg




ベートーヴェンの交響曲全集はもちろんのこと、マーラーの交響曲全集も網羅されている。
自分は、マーラーはバーンスタイン音源、映像で勉強したと言ってもいい。
クラシック界で、マーラーを1番最初に、商業的に成功に導いたのはバーンスタインなのだ。

DVD36枚組はバーンスタインがユニテルに行ったライヴ収録。

まさに盛沢山。

カラヤン、バーンスタインは、まさにDGに莫大的な売り上げセールスを呼び込んだ二代横綱であることは間違いない。そんな彼らが、今年生誕110周年、100周年というのだから、本当に奇遇な1年だと思う。

まさに今年は、DGにアニバーサリーイヤーにふさわしいお祭りイヤーになりそうな予感ですね。



じつは自分が持っているコレクション中には、さらにアバドのDGボックスもあったりするのだ。(笑)




DSC01956.JPG






nice!(0)  コメント(0) 

Deusche Grammophoneの120年の歴史 [オーディオ]

イエローレーベル。


演奏家、我々のような聴衆などクラシックを志す者であれば、誰もが親しみと崇拝の念を抱くクラシック・レーベルの王様的存在。

世界No.1のクラシック・レーベル。 

11070237_10153152497950857_1197607976509134195_n[1].jpg

今年2018年で、創立120周年を迎えるそうだ。

現在Deusche Grammophone(以下DG)は、ユニバーサル・ミュージックの傘下に入っており、新たに「ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト」を立ち上げて、このアニバーサリー・イヤーを徹底的に盛り上げようという計画。

自分も微力ながら、このお祭りを下支えしながら盛り上げるのをお助けできればと思っていたりする。

自分のようなオーディオファンからすると、DGのサウンドというのは、まさにクラシック王道の極みのサウンドで、分厚くて、骨格感のしっかりした硬派なサウンド。クラシック・ファンのオーディオマニアであれば、このDGの録音を鳴らせない時点で、もう失格だと思うのである。あと、このレーベルはピアノの音が本当に綺麗に録れていますね。優秀で旬なピアニストがみんなDGと契約するのは、そんなところもあるのかな、と思います。

DGの歴史というのは、数々の著名な演奏家の作品を世に送り出してきた以上に、この録音技術の開発の歴史と言ってもいい。

特にアナログレコードは彼らが開発したもので、それの歴史と言っても過言ではない。

そして、最近に至ってはストリーミング技術にも積極的に取り組んでいて、今回自分も、その事実を新たに知ったところが多いので、ぜひ勉強して、近日中に日記にしてみたい。

以前、DGのSACDを徹底的に特集した時に、このDGサウンドを作り出しているエミール・ベルリナー・スタジオ(Emil Berliner Studios)を紹介した。自分自身、ずいぶんこのスタジオの録音にはお世話になっていて、ライナー・マイヤール氏をはじめ、トーンマイスター達には親しみと尊敬の念を抱いている。 


423899_316651781727172_1107422723_n[1].jpg



25940505_2115236902_124large[1].jpg



img-gr_regie12_01[1].jpg




img-gr_regie12_02[1].jpg


彼らは、当時はDGのお膝元であるハノーファーに研究所を持っていて、そこで録音技術の研究などをやっていた。そこから彼らは、レーベルから独立して録音制作会社として1人立ちする。ロケーションもハノーファーからベルリンに移る。

今の世の中、録音制作会社は、外注企業が基本なのだ。レーベル内部にそういう組織体はいまや持たないのが普通である。

エミール・ベルリナー・スタジオは独立して、現在では、DGだけでなく、EratoやSONYなどいろいろなレーベルの録音、マスタリングを受け持っている。

ポリヒムニアがPENTATONEやRCO LiveそしてDECCAの録音を受け持っていたり、そしてBISに対するTake5 Productionなどの関係と同じように。

残念ながらDGはSACDから早々に撤退した。エミール・ベルリナー・スタジオのHPを覗き込んで、彼らのスタジオの機材リストを見てみると、確かにDSDの信号処理に関わりそうなものは現時点ではないような感じがする。

でも自分の妄想レベルでは、これからの時代に合った形で、DSDに関わってくるのでは、と勝手に妄想しています。(笑)

このような技術面からのアプローチは、詳らかになった時点で、自分も徐々に日記に取り上げていこう。


さて、元に戻って、DGが歩んできた120年。


ユニバーサル・ミュージックのHPのところに、このDGの120年の歴史を特集した記念サイトがめでたくオープンしたのだ。ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト~ドイツ・グラモフォンの歴史のページで、ここにDGのすべてが書かれている! 


このドイツ・グラモフォンの歴史のページは、もちろん原典は、ドイツ現地のDGのHPにあるものを、ユニバーサル・ミュージック・ジャパンが日本語に和訳したもののようだ。

DGのすべてを知りたい方は、ぜひこのホームページを訪問してください。



ドイツ・グラモフォン120周年記念サイト

http://www.universal-music.co.jp/classics/dg120/



この歴史を俯瞰しただけでわかることは、如何に彼らがアナログレコードの制作技術を育んできて、そしてクラシック業界を支えてきた数多のビッグ・アーティスト達をたくさん世に送り出してきたか、ということだ。


まさに世界一のクラシック・レーベル!!!


自分としては、このDGがストリーミングに触手を伸ばしてきているところを、もう少し調べてみたい。いろいろ自分が理解できたところを日記にしてみたい。


このDG祝120周年である今年だが、カラヤンの生誕110周年やバーンスタインの生誕100周年にもあたるそうで、記念BOXなどにぎやかになりそうである。他にもいろいろイヴェント目白押しで、なにかトピックスがあるたびに、私の方でも日記で取り上げて盛り上げていきたいです。


なんだか華やかな1年になりそう。。。(^^)





nice!(0)  コメント(0) 

謹賀新年2018 [雑感]

あけましておめでとうございます。


昨年は、拙ブログを読んでいただき、ありがとうございました。
年が明けまして、心機一転、気持ちを新たに切り替えてこの日に臨んでいます。


昨年は、おそらくここ5年~10年にかけて、最も最悪のリズムで全く想定外の年でありました。
人生長年やっていると、こういう年も必ず巡ってくる、と実感しています。
よく我慢して耐えた(笑)、と自分を誉めてあげたいです。


去年の年初は、希望に満ち満ちて、そして不安のスタートでしたが、予想外の展開に、自分の不甲斐なさ、そしてこの怒りをどこに持っていけばいいのか、そのやり場もなく、毎日巨大なストレスと戦っていた、という日々だったと思います。


そういう経緯もあり、今年は、どのように臨むか、ということを考えた場合、やはり自分で考えた道なりを進んでいくことが、誰のせいでもなく、自分の責任下において後悔しないことなのではないか、と思いました。


確固たる目標は数年先にあります。


その目標に向けて、今年はその準備期間として捉え、地道に生活をしていくことと誓いました。

クラシック演奏会、オーディオについてもそんなスタンスです。


いろいろ思うところがあり、正直なんでもガムシャラに演奏会に行きまくる、というのは、すでに自分の場合、もうそういうステージは卒業しているのではないか、と思うのです。


少なくとも、ここ5年間の間、自分の運命で結ばれている、繋がっていると思われる、どうしてもここは自分が押さえておかないといけないと思われる演奏家の公演は、すでに網羅したのではないか、と思います。


もう上がりの状態・・・今後は、自分のアンテナにビビッとくる、自分の運命に関わるコンサートのみをより賢明に吟味選択していくことになるだろうと思います。


量より質ですね。


数年先の目標に向けて、支出は抑えたい訳です。


そう考えると、国内オケ主導で、外来オケは正直ないかな?という予想。
やはりコストが高いのが理由です。通う公演数も少なくなると思います。


オーディオについては、これも去年想像以上に大変な出費をして、PCオーディオのシステムを構築しましたので、これも上がりです。オーディオは金かけだしたらキリがないので、見切りをつけないと。。。


次々に魅力のある新製品が出てきて誘惑すると思いますが、彼らの言う通りにしていたら破産してしまいます。毎日、物欲との闘いになりますね。


去年の大失敗を鑑みて、やはり自分の感性を信じて、自分の想うところを進む、という生き方しか、いまは考えられません。


突然ふっと頭に浮かんだり、夜中に突然発作を起こしたかのように、なにかのテーマについて日記に書き留めたい、と思う衝動は、正直自分でもまったく予知できない現象なのです。意識してできることではなく、全く無意識、予測不能なことなのです。


それが周りの事象とシンクロするように見える、思えるのは、これはもう仕方がない。
自分ではどうしようもできない。


それを意識し始めたのが、2016/1/14。いまから2年前です。(ちゃんとメモってある。)突然降臨したかのような意識になり、世界中が回っているような感じで、なんかヤク(覚醒剤)をやるとこんな感じになるのかな、という変な感覚。最初は気持ち悪くて仕方がなく、誰にも相談できずに悶々と過ごしていた訳です。


2年も付き合ってると、だいぶ慣れてきて、逆に楽しんで付き合えるような気分にまで成長できました。

こればかりは自分の力ではどうしようもなく、なるようにしかならないのです。


なので、今後も自分の感性を信じて、進んでいくしかないのかな、と去年の大失敗を経験して、強く確信している次第なのです。


そういう訳で、結論としては、今年は、欲とか、大きな目標を立てずに、無事毎日が平穏に生活できますように、というところに主眼を置いています。


数年先の目標で爆発できればいいのです。


毎日、トラブルなく生活できることの有難みを去年十分に知りましたので。


まっ、今年は大きな夢はありませんけど、ただ1人暮らしでいうのもなんですが・・・もう少しプライベートな空間が欲しい(ボソ)ってなところでしょうか?


DSC01945.JPG



DSC01947.JPG




初詣は、いつもお世話になっている川崎大師に行ってきました。
こんなに賑わっていました。


天気は快晴。とても気持ちのいい年始スタートとなりました。


よい年でありますように。








nice!(1)  コメント(0) 

一期一会 [国内クラシックコンサート・レビュー]

今年は、事情があって、十分なコンサート通いができなかった。年間後半など、行きたい公演はたくさんあったのだけれど、最初からしっかり計画が立てれなくて諦めていたりした。本当に残念。

行けた演奏会は、ほとんどなかったと思うが、でもその中でも、自分の一生の想い出に残る公演に立ち会うことはできた。

やはり音楽の神様は、最後には自分を救ってくれた。

生演奏会って水もの。

生演奏かオーディオかの議論は、自分にとっては、もはや食傷気味のテーマであるけれど、そこで達観したひとつの結論。

生演奏会は、出来不出来の差が多く、感動したり、がっかりしたり、その繰り返しなのだ。

でも感動した時のあの興奮の極みは、オーディオでは味わえない。「あの日、あのとき、あの瞬間」に立ち会えているという想いが、その感動の強さを際立たせる。

長年、生演奏通いをしていると、「一期一会」の体験をすることがあるのだ。

長年通っていて、これだけの感動を体験できるコンサートは、もう二度と経験できないんではないか?水ものの生演奏だったら尚更。。。そんな感じ。


自分の一生の中で、この一期一会の体験をいかに多く体験するか、期待してはがっかりして、たまに出会って・・・それの繰り返し。

十分なコンサート通いができなかった今年の中で、まさにその一期一会の公演に出会うことができた。

そう胸を張って言えるのが、

9月18日(月)のサントリホールで開かれた

第46回サントリー音楽賞受賞記念コンサートの広上淳一さんと京響こと京都市交響楽団のラフマニノフの2番。

m_DSC01506[1].jpg




まさに空前絶後の超弩級の名演だった!

ここ数年で、もっとも心揺さぶられた演奏だったと言っていい。

ロシア・ロマンティシズムの極致にあり、その次から次へと繰り出される甘い旋律に呼吸をしているのを忘れるかのような気持ちよさとその陶酔感。

これだけ完璧な演奏を聴いた経験はなかった。在京楽団はもとより、外来オケより数段上だし、この日の出来は、人に感動を与えるという側面では、ベルリンフィルやウィーンフィルよりも遥かに上だった、とも思えた。

その日、その瞬時が生み出した奇跡の瞬間、神業なのだと今思えばそう感じる。

まさに神、降臨!そんな感じだったのだ。

オーケストラの演奏でこれだけ人の心を感動させることが可能なものなのか、そんな永遠のテーマを自分の心に訴求してくるような、公演後、何時間、何日経過してもその興奮と震えが止まらなく、いつまでもあの旋律が頭の中をずっとループしているようなそんな現象。

たぶん今後も一生出会えないほどの名演、まさにこれこそ一期一会の体験だと言えるのではないか、と思った。

今年度の統括として、この日の公演、広上さん&京響のメンバーのみなさんに、今年のノンノン大賞を授与さしあげたいと思います。(笑)


そんな広上さんと京響であるが、今年の3月の春の京都でも、地元の京都コンサートホールで体験することが出来た。京響創立60周年記念を祝するコンサートで、滅多に演奏される機会のないマーラーの8番「千人の交響曲」。

土壇場になって、歌手がドタキャンしたり、傷もあったりしたが、見事ピンチヒッターがそのリカバリー。

素晴らしい公演だった!

その公演の模様が、12月31日 大晦日の日に放映されます。

12月31日(日)8:00AM~9:30AM  BSフジ 京都市交響楽団「千人の交響曲」


私は最前列のかぶりつきで聴いていました。(笑)
広上さんが京響を振る、という図式を観れた記念すべき公演でした。

ぜひ録画です!
ご覧になってください!





nice!(0)  コメント(0) 

鎌倉は夜がおいしい。 [グルメ]

時間の短さを感じさせないゆったりとした鎌倉時間。

土日はもちろん平日でも観光客で賑わう。日中は激混みだ。
鎌倉に新鮮さを求めるなら、夜を狙え。

夜の鎌倉の愉しさを知ったら、もう後戻りはできない。
鎌倉は夜がおいしい。。。


そんな夜の部を探検するのが、今回の目的なのだが、その前に、前回の初の鎌倉散策で回れなかったところに足を延ばす。計2日に渡って街の景観を楽しんできた。

まずは北鎌倉。ここは、鎌倉きっての観光名寺が軒並んでいて、絶対おすすめ。

いつも観光客で大混雑。この日は、紅葉も終盤に差し掛かっていたとはいえ、やはり大変な人混みだった。

目指すのは、明月院。ここには「円窓」という絶景の超有名な撮影ショットがあって、ここの写真をぜひ自分のカメラに収めたいと思っていた。

でも。。。やっぱり思った通りこの大行列なんだな。(笑)

DSC01573.JPG



そうしてようやく念願の自分の順番。

DSC01577.JPG



う~ん、やや不満。SNSの鎌倉ファンサイトに登録しているんだが、みんなホントにすごい上手。
どうやって撮っているんだろ?

みなさんのようにはビシッと構図が決まって綺麗に撮れなかった。大行列なんで、自分の撮影の順番が来たら、焦るんだよね。早く終わらないと、という感じで。(笑)

ここのショットは、鎌倉随一の有名処なのでぜひお薦めです。やはり紅葉のときと新緑のときですかね。あと、ここの明月院は、アジサイの寺としても有名で、アジサイの季節にもぜひ再度訪問したいと思っています。

そして鎌倉に着いて、久しぶりの江ノ電。

DSC01581.JPG



相変わらず超人気。とても混んでいました。

鎌倉駅の江ノ電乗り場では、こんな「江ノ電フォトコンテスト」の応募写真が展示されていました。

DSC01885.JPG



最優秀作品はこちら。

DSC01883.JPG


みんなこんな感じで、江ノ電のいろんなショットを一生懸命撮影するんですよね。
なんかこのユル~イ感じが、とても鎌倉的でいいです。(笑)



今回は、この江ノ電について目的があった。
それは「タンコロ」を見にいくこと。

タンコロというのは、江ノ電の100形電車のことで、1両単位(単行)で使用されたため、「タンコロ」と呼ばれていた。

1929年に導入されて、1980年に廃車になった。

1280px-Enoden100tankoro[1].jpg


タンコロ~江ノ電100形107号 (1980年12月26日撮影)

もちろんいまは乗れないけれど、このタンコロが保管されている場所があると知って、そこを見にいこうとしたのだ。

鎌倉の江ノ電乗り場で駅員さんに、そのことを聞くと「タンコロ?」といぶかしげな表情をされ、「タンコロはもう運行してません。」と言われたのだが、すぐに事情をわかってもらい、「あ~、それだったら、和田塚降りて、鎌倉由比ガ浜の公園に保存されていますよ。」と教えてくれた。

さっそく鎌倉由比ガ浜公園に直行。

あった!江ノ電タンコロ。

DSC01595.JPG


ここに保管されているのは、100形の107号。
別に自分は鉄ちゃんではないけれど、感慨深いなー。

DSC01584.JPG


DSC01586.JPG


中にも入れる。木造ですね。歴史を感じます。
当時はマイクなどなかったので、車掌さんも車内で地声の大声で停車駅名を言わないといけなかった。

DSC01587.JPG



運転席。

DSC01590.JPG



いま公開されている映画 「DESTINY 鎌倉ものがたり」で、じつは、このタンコロがとても大切な役割を果たしているのだ。現世と黄泉国(よみのくに)との間を三途の川を渡って行き来する乗り物として、この江ノ電タンコロが使われているのだ!

いま大人気の江ノ電のルーツはここにあった。

そして近くの由比ガ浜を軽く散歩。


DSC01597.JPG

この鎌倉の由比ガ浜海岸は、鎌倉時代、静御前のお腹の中には義経の子供が宿っており、もし、その子が女の子であればそのまま生かす、もし男の子であれば、亡きものとする、と頼朝が決めた。自分が平家の情けで生かされたおかげで、いまこうやって平家打倒を実現した手前、そう考えるもの当然と言えば当然であった。

頼朝・政子の前で舞を奉じた静御前は、その後に男の子を産み、約束通り、この由比ガ浜の海岸の砂浜の中に、その子は葬られたのだ。

この海岸には、義経の子の魂がいる、とそのとき感慨深げに考えてしまった。


同じ江ノ電でもこんな車両とも遭遇しました。江ノ電10形電車。オリエント急行を模したと言われている。

縁起がいい!

DSC01628.JPG




そして向かう次の場所は、鎌倉高校前。

なぜ、ここなのか、というと、この鎌倉高校前のこの踏切が絶好の観光スポットになっているのだ。

DSC01867.JPG



SNSの鎌倉ファンサイトでも、この踏切をちょうど通る瞬間の江ノ電の写真を撮るのが、ひとつのお決まり事で、有名ショットみたいで、たくさん投稿されているのだ。

もう有名スポットなので、こんなにいっぱいの人。

DSC01614.JPG



でもみんな中国人か韓国人。(笑)日本語はほとんど聞こえてこなかった。
日本人の老夫婦が自分に訪ねてきて、なんでここにそんなに人が集まるの?ってな感じで聞いてきた。

やっぱりふつうの踏切だから、みんな不思議に思うに違いない。

あとで、知ったことだが、バスケットボールの漫画のスラムダンクで、この踏切や鎌倉高校が舞台になっていて大人気なんだそうだ。この漫画、いま台湾でも大人気。ふ~ん、知らなかった。(^^;;

鎌倉高校は、この踏切の坂をずっと登ったところにあるのだが、校門が閉ざされていて、関係部外者は進入禁止&撮影禁止みたいな警告の札が立っていたので、さっさと帰ってきました。やはり漫画人気で、観光、撮影目的でいっぱい人が集まるからでしょうね。

さて、この踏切を通る江ノ電の撮影。鎌倉ファンサイトの投稿写真は、みんなすごい上手。あんなに上手に撮れない。

両サイドから来るのを撮影してみました。これで勘弁してください。(笑)

DSC01620.JPG


DSC01619.JPG



そのまま江ノ電で移動して、長谷駅で降りて、力餅家というお店に寄ってみた。

DSC01923.JPG


ここは300年の歴史を持つ老舗。
ここの権五郎力餅というのは、まさに鎌倉スィーツって言ってもよい有名な和菓子なのだ。

DSC01918.JPG


権五郎景正は実在した武士で近くの御霊神社に祀られている。

その昔、戦で右目を射抜かれた16歳の景正は、矢を折り取って射返し、敵に反撃。
目に折れ残った矢を抜こうと、仲間が顔に足をかけると…

矢にあたって死ぬのは本望だがお前に踏まれるのは許さない。

お前を仇として刺し違えて死ぬ…

武士のたけだけしさがイメージされる。


そんな権五郎景正をイメージした和菓子を代々店主があみ出したのが、この「力餅」。


さっそく購入。

なぜか、ミューザ川崎ホワイエで食す・・・ナゾ(笑)。
1人で16個は多すぎたか?(^^;;

DSC01927.JPG



翌日には餅部分の水分がアンに吸収されカチカチになる。
残さずに当日に食すべし!なのだ。

まっスッキリした甘みで餅は噛み応えがある。なんか小型のオハギを食べているみたいな感じ。



鎌倉に戻って、鶴岡八幡宮。紅葉はもう終わっていたみたいなので、ここからのショットで。

DSC01896.JPG


ここら周辺に来た目的は別にあった。

DSC01642.JPG

源頼朝のお墓。まさに日本史の歴史上人物の中での自分のヒーロー。NHK大河ドラマ「草燃える」の石坂浩二さん演じる頼朝に憧れ、相当嵌り込んだ。まさに時代の英雄のお墓にしては、いたって地味な装い。

この墓前を前にして、いま自分がいろいろ想うことを伝えました。


頼朝は落馬して亡くなった、というのが歴史の事実とされているが、自分はこの説に疑問を持っている。落馬したくらいで、ふつう人間って死ぬか?

自分は、真の死因は、脳卒中か脳溢血かと思っている。乗馬中に突然襲ってそのまま意識を失って落馬したものだと思う。当時の医学ではそれが解明できなかったので、単に落馬ということになっているに違いない。

大河ドラマ「草燃える」でも、そこら辺は考慮されていて、あの瞬間の描写は、明らかに脳卒中という感じだった。




鶴岡八幡宮&頼朝の墓から鎌倉駅に帰る徒歩の途中。とても素敵な茶屋の遭遇。思わずパチリ。こういう和の雰囲気最高だなー。

DSC01644.JPG


ここら辺で晩御飯の時間になり、おなかが空いてきた。前回食べることができなかった「生しらす丼」をいただくことに。鎌倉&江ノ島は湘南しらすが名産。

DSC01645.JPG


DSC01648.JPG



正直、生のしらすは、無味無臭という感じで、美味しいとかそういう感覚はまったくなし。(笑)
味は、それに添えるショウガと、醤油の味で決まると言っていい。

まっ、でも、鎌倉にきて、しらす丼を食べることができた!ということだけで、満足するべきですね。

日が暮れても、これからぜひ行くところがあった。


着いて、この行列を見た瞬間、去年の京都の紅葉狩りのことを思い出してしまった。

DSC01649.JPG


ここ長谷寺でした。

DSC01680.JPG



長谷寺のライトアップというのも紅葉の季節では、ひとつの大きなイヴェント。

入って、すぐに広がるこの光景。

DSC01676.JPG



そして有名な良縁地蔵も迎えてくれました。この歳になってもよい縁に恵まれますようにってか?(笑)

DSC01654.JPG



なんと幻想的な風景なんだ!!!

DSC01674.JPG



そして長谷寺のライトアップの本命。これで余は満足です。

DSC01659.JPG



さて、日にちを改めて、再度鎌倉を訪問。ここからが今回の日記の本命。

「鎌倉は夜がおいしい。」


日没とともにはじまる、大人のための、おいしい鎌倉時間である。

地元の人が通う深夜食堂から話題の新店まで、なにも小奇麗でオシャレなのがすべてじゃない。
こういう庶民的なところも十分味わいがあって、鎌倉的なのだ。


まず、地元の人に愛される“喫茶食堂” 「ほいほい」。

DSC01915.JPG



創業は昭和44年だそうだ。夫婦がきりもりするお店は、なんと、昼から深夜まで通しで営業。
いかにも昭和時代の店内の雰囲気。

DSC01876.JPG


ボリューム満点の手作り洋食メニューは、男性を中心とした、食いしん坊でわんぱくな胃袋をもつ鎌倉の人たちに愛されている。


自分は、これからの季節にぴったりな「鍋やきうどん」を注文した。

DSC01881.JPG


IMG_5301-1024x683[1].jpg


これは美味しい!体が暖まるし、さっぱり仕上げの上品な味。麺に腰があってダシも醤油ベースで薄口だ。


「ほいほい」

https://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140402/14023549/



もちろんこのお店で終わるつもりは毛頭なかった。
ハシゴするべし!

昨年(2016年)にオープンした本格麻婆豆腐の専門店「かかん」。

DSC01908.JPG



鉄鍋で提供される、絶妙な旨み&辛みの麻婆豆腐は、季節を問わず締めに食べたくなる。

かかんの本格麻婆豆腐は、小900円、中1,200円、大1,780円の3種を用意。ライスは、小200円、大盛り300円。〆の邦栄堂の中華麺 400円。

大で、大体2人前。でも自分のような大喰らいには、大くらいがちょうどいい。
店員さんが心配するのをよそ目に迷わず大を注文。
こんなん感じが出てきました。

DSC01905.JPG


IMG_5469-1024x683[1].jpg


こ~れは最高にウマい!

麻婆豆腐は大好物なんだが、ここのは本当に美味しい。

比較したりしたら悪いけれど、あの天下の陳健一さんの四川麻婆豆腐より、こちらのほうが安いし、そのCPに合う感じで庶民的な味ですごく美味しいと感じた。こちらは甘口ですね。とにかく本当に美味しい!

なんか通い詰めてしまいそうだ。(笑)
ここの麻婆豆腐はホントにおススメです。

ご飯で食べるのもいいが、さらにおススメなのが 「〆の邦栄堂の中華麺」との合わせ。
もっちりとした存在感のある麺と、麻婆豆腐が絡みあい、ついつい、最後の一滴まで食べ尽くしたくなること必至。

IMG_5488-1024x683[1].jpg


とにかく麻婆豆腐好きには堪らないお店だと思います。

麻婆豆腐は別腹、と新たな気付きを得ずにはいられない、そんなとびきりの満足感ってな感じでした。


「かかん 鎌倉本店」

https://tabelog.com/kanagawa/A1404/A140402/14067477/


最後に鎌倉つながりで、鎌倉を題材にした映画がいま絶賛公開中だ。
自分もさっそく初日公開とともに観てきた。


8d4ad554a766fa50[1].jpg


「DESTINY 鎌倉ものがたり」

古都鎌倉を題材にした西岸良平さんの漫画(30年間も連載されている)を実写映画化したもので、堺雅人&高畑充希、主演。

内容は、まさにほっこりファンタジー。心温まる素敵な映画だ。

ほっこり、というのがホントにすごいぴったり合う感じで。あまりに素敵すぎ。そしてつい心に染み入る感じ。自分は50歳過ぎるともう涙腺弱いんだな。涙腺決壊。もう終盤では泣けて泣けて仕方がなかった。

とてもいい映画。久し振りにいい映画を観たと思いました。

もう悔いはない。あとはアジサイの季節にもう一回鎌倉を訪れるつもり。

去年日本最高の古都である京都を3回に渡って十分に堪能できたけれど、京都はやはり遠い。
新幹線代、宿泊ホテル代となると、かなりの高額な旅費になってしまう。

自分が住んでいるこの首都圏で日帰りできる近場で、こんな素敵で歴史ある古都、日本の和が感じ取れる街があるんだから。

もうここまでくると、自分の中では、いまやすっかり鎌倉がマイブームなのです。(笑)






nice!(0)  コメント(2) 

神戸松陰女子学院大学チャペル [教会]

7年前くらいだろうか、なぜクラシック音楽家は教会で録音するのか?というテーマで日記を投稿したことがあって、教会録音、教会音響の魅力について書いたのだが、そのときにたくさんのコメントをいただいた。

ヨーロッパにはそれこそ星の数ほどたくさんの教会が存在するのだが、それはキリスト教という信仰の土台、礎がそこにある訳で、ある意味当然なのだが、そういう基盤がない日本で、クラシックの演奏や録音が、その教会で演奏される、という事象は、なかなか難しいことではないか、と思う。

いまの録音事情は、コンサートホールを使ってのセッション録音、ライブ録音というのが圧倒的で、教会録音をしようとした場合、本場ヨーロッパまで遠征して録音する、ということも多いだろう。

教会で録音された作品は、やはりその響きの豊潤さ、美しさ、残響時間の長さなど独特の美しさがある。

ヨーロッパの果てしもなく天井の高い教会で、それに比例する残響時間の長さたっぷり、そんな教会独特のサウンドである。 

自分の将来の夢に、録音によく使用されるヨーロッパの教会巡りをしたい、というのがある。美しいだけの教会であれば、ヨーロッパならそれこそ無数にある。それじゃだめなのだ。昔から名盤生産基地として名高い、レーベルがよく使うそのような教会にこだわりたい。

ピンキリの教会の中で、そういう教会は、やはりその音響条件などセッション録音するのに録音スタッフ側からすると好都合な要素が必ずどこかにあるはずだと思う。

ベルリンのベルリン・イエス・キリスト教会やドレスデンの聖ルカ教会など、各レーベルがお決まりに使う教会って必ずある。

最近興味が急上昇なのは、諏訪内晶子さんの作品で良く使われているパリのノートルダム・デュ・リバン教会。この教会は、1960年代からエラート・レーベルの録音で使われてきた音響の良い教会で低音に外の車のノイズなのか暗騒音があるが 柔らかくぬくもりのあるような響きが特徴的。5年前にパリに行ったときに、ぜひ寄ってみたいと計画したのだが、礼拝や演奏会などがないと一般公開しないなど、なかなかタイミングが合わなくて難しい。

そういうクラシック録音、演奏などが可能な教会を日本国内で探すとなると、なかなか難しい。

そこでこの神戸松陰女子学院大学チャペルの存在を知った。その頃からぜひ行きたいとずっと思っていたのだが、なにせ神戸にあるので月日がどんどん経過して今に至っていた。

2014年にライプツィヒを訪問して、バッハに纏わる旅行ができた。そのとき、否が応でも鈴木雅明氏&BCJ(バッハ・コレギュウム・ジャパン)を聴く機会が多くなり、そうするとこの神戸松陰女子学院大学チャペルという教会は、彼らBCJの国内での本拠地の教会でもある。(この教会で、もう200回以上の演奏をしている!)

まさに機は熟した、という感じで、この教会で彼らの演奏を聴く、という大義名分が出来て、このタイミング、ということになった次第。 


この日記は、2014年に神戸松陰女子学院チャペルを訪問して、鈴木雅明氏&BCJのコンサートを体験した時に書いた日記である。mixiのほうでは、その当時に書いてアップしたのだが、これをブログのほうに移植したいと思い、現在、この日記を書いている。当時のことを想いを馳せながら、この教会の魅力について迫ってみたいと思う。

ホテルは新大阪にとったのだが、そこから御堂筋線で、大阪梅田に出て、そこから阪急神戸線を使って阪急六甲駅に行く。


教会はここにある。六甲駅から結構歩く。15分くらいだろうか。
厳しかったのは、ずっと心臓破りの坂を山側に登っていくことだ。教会は標高の高いところにある。これはかなりキツかった。歩いているうちに足が棒になる感じ。

そしてようやく教会に到着。
教会は、神戸松陰女子学院大学の女子大の中のひとつの礼拝などをおこなう教会という位置づけの施設で立っている。

つまりチャペルは学校や施設内などに建てられている礼拝堂のこと。

だからこの女子大のキャンパスの中にあるのだ。

この大学は、キリスト教主義のミッションスクールで私立大学の女子大。
キャンパスは、レンガ色の美しい山の手キャンパスという感じで、本当に清楚で美しいキャンパスであった。

歩いていく内に大学に遭遇。
25940505_2121724104_153large[1].jpg
                                                                                                                                           
ゲートはクリスマスモード。
25940505_2121724102_123large[1].jpg


そこで、守衛さんの窓口(写真の右側です。)がいて、

ノンノン「BCJの公演に来たのですけど、チャペルってどこですか?」

守衛さん「その目の前にあるそこだよ。でも公演は3時からだよ。(驚)」

そう!相変わらず、1番乗りにしないと気が済まない性格で、大学についたのは12時くらい。(爆笑)

ノンノン「中で待っていてもいいですか?椅子とかもあるし。」

守衛さん「いやぁぁ、ここは基本は女子大なんで、中を男性がフラフラしていると不審者みたいでまずいんだよねぇ。」

ノンノン「はぁぁぁ?」

教会の前で待っていようと思っていたが、全く思いもよらないアクシデントであった。写真撮影だけ許可をもらって、あとは結局大学の前のマンションの駐車場のところのタイヤを止めるレンガのところに腰かけて、時間をつぶしていた。

それでは写真撮影したものをご覧にいれよう。誰もいないショットで貴重である。(いつもそのために1番乗りするのだ。(笑))

これがチャペル(教会)。
25940505_2121724105_220large[1].jpg
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
25940505_2121724107_50large[1].jpg                     

25940505_2121724108_211large[1].jpg
ここがゲート。なにか美しい品がありますねぇ。

25940505_2121724089_22large[1].jpg
ヨーロッパの教会にありがちな壮麗華美な外装デザインと違って、どこかベルリン・イエス・キリスト教会のようなプロテスタント系のシンプルなデザインがよい。

右側に建っている塔の上部をご覧いただきたい。
25940505_2121724096_162large[1].jpg


これはカリヨンと呼ばれているもので、14個の鐘がコンピューター制御でオルガン曲や聖歌などを奏でるのだ。

ついでに大学のキャンパスもご紹介しよう。
キャンパスは大きすぎて、フレームの中にうまく入らなくて、構図がいまいちなのだが、ご勘弁願いたい。

チャペルの色もそうだけれど、キャンパス自体も全く同じレンガ色で統一されていて、全体のシルエットとして清潔感があってとても美しいキャンパスだ。

25940505_2121724099_68large[1].jpg
                                                                                                                                                                                 

25940505_2121724101_145large[1].jpg
                                                                                                                                                                                                        

25940505_2121724097_162large[1].jpg                                                   
                                                                                                                                                                                        
25940505_2121731554_233large[1].jpg
                                                                                                                                                       
ここが食堂みたい。
25940505_2121724090_50large[1].jpg
                                                                                                                                                      
なぜか、その前のベンチに熊さんが....
25940505_2121724093_192large[1].jpg
                                                                                                                                                    
教会の前は休憩できるようになっていて、こんなスペースが。
25940505_2121724095_178large[1].jpg
                                                                                                                                                        
この頃になるとBCJのメンバーが続々とキャンパス入り。そしてチャペル内で、リハーサルを開始した。鈴木雅明氏や、優人氏の姿も見えた。否が応でも緊張感が湧いてくる。

そしていよいよ開場の時間になって、教会の中に入る。
25940505_2121724082_198large[1].jpg


25940505_2121724085_182large[1].jpg
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    
25940505_2121724084_231large[1].jpg
                                                                                                                                                         

25940505_2121724078_47large[1].jpg
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
25940505_2121726215_113large[1].jpg
                                                                                                                                                    
椅子はこんな感じ。
25940505_2121724080_146large[1].jpg
                                                                                                                                                       
                                                                                                                                                         
礼拝堂の祭壇の上方部にステンドガラスが配置されている。姫路在住の立花江津子さんによる作品で、祭壇上部に「復活のキリスト」があって、それに向かって、礼拝堂を一周してその絵巻が展開される。

これが「復活のイエス・キリスト」
25940505_2121724081_225large[1].jpg
                                                                                                                                                          
                                                                                                                                                      
こちらが礼拝堂の後方に設置されているパイプオルガン。18世紀パイプオルガンの響きを再現したい、ということで、フランス・クラシック・オルガンが選ばれている。

25940505_2121724086_145large[1].jpg
                                                                                                                                                         
                                                                                                                                                         
このオルガン建造家としてフランス人のマルク・ガルニエ氏が選ばれて設計に携わっているようだ。(東京芸術大の奏楽堂もこの人のデザイン!)

そもそもこの教会の設計時にヨーロッパの有名教会(約90箇所!)の現地調査をおこなって、チャペルの音響設計をおこなった、というから筋金入りだ。このガルニエ氏と竹中工務店が施工の中心メンバー。

写真を見てもわかるようにチャペル自体の形状は、パイプオルガンの音が天から降り注ぐように反射音の流れをコントロールするように形作られている(特に天井)。天井で拡散された音が適度な時間遅れで聴衆に届くように。

またオルガンって、超低域の低い低音から高音まで広帯域の音を発生するので、この容積のタテ・ヨコ・タカサ比次第で、低音のこもり、というか共鳴が起こる問題があって、それを解決できるように寸法比を決めているそうだ。

この教会内部に入った時に特に面白いと思ったのは、写真を見ても分かるように、天井から側壁にかけて棒状のものが放射状に配置されているデザイン。

これは切り妻型の天井というもので、オルガンからの反射音を拡散させるもの。こういうデザインの内装の教会を観たのははじめてだ。

同様に写真を見てほしいのだが、その切り妻型の棒が側壁に設置しているところの表面がザラザラしているのがわかるだろう。

教会音響のポイントは、低音域の残響特性がほぼ平坦で、いかにブーミーな低音の響きを抑えている仕掛けをしているところにある。

そういう教会は概して音響が素晴らしいのだ。

ヨーロッパの教会に多くみられる高い天井に嵌め込まれたステンドグラスや木部などがそういう役割を果たしている。

この教会のこの側壁部分のザラザラ部分のスリットは、そういう問題を解決する低音域吸収や残響調整用のレゾネーターとしての仕掛けになっているところだ。

こうしてみるとヨーロッパの教会の構造を研究し尽くして、その工夫がこの礼拝堂に隅々まで行き届いているのがよくわかる。

実際自分の耳で聴いてみた印象は、まず空間の暗騒音は、澄み切った感じの空気感で静寂そのもの、S/Nが良さそうな感じだ。非常にライブな空間で、残響時間は3秒はあるだろう、という感じだったが、実データは満席時で、2.6秒だそうだ。

特に声楽関連の響きはじつに重厚感があって、素晴らしくて、その合唱の声の厚みは、バロック時代の古楽器の音色を遥かに圧倒していた。自分は、ここに一番感動した。

既述のように音響設計の工夫もあって、音色の帯域バランスも偏りがなくて、空間を長い時間漂うその響きはじつに美しい。


さて、こんな素晴らしい教会で、鈴木雅明氏&BCJのチャペルコンサート。
今回が第232回目の演奏会ということで、この教会を育んできた人たちと言えるだろう。

今回の演目は、17世紀に大きく開花したイタリア音楽の様式をドイツに持ち帰り、ドイツをヨーロッパ音楽の主流へと導いたハインリヒ・シュッツのダビデ詩集歌集からの演目。

演奏をする前に、必ず鈴木氏自身がMCをするというスタイルで、観客との距離感がすごく近くてアットホーム的な雰囲気でよかったと思う。
25940505_2121724079_54large[1].jpg

演奏のレベルも高く、素晴らしいの一言。何回も言っているが、その圧倒的なパートを占める声楽の部分が、じつに素晴らしくて感動であった。

2014年当時想っていたことは、鈴木雅明&BCJという演奏家は、実際長年に渡って彼らが成し得てきたその実際の業績に対して、日本内での評価が十分ではないというか、過小評価ではないか、ということだった。逆に海外での彼らの評価は高い。

でも前言撤回、いまでは十分な国内での高評価を受けていると思うし、BISレーベルとの長年の大作の「教会カンタータ全集」の完成もあってバッハ演奏のひとつの頂点を極めた。そこからさらに邁進を続けている彼らの姿は求道的でもある。
 


この教会カンタータ全集の録音の全録音をしたのも、この教会。この教会なくして、この大作は生まれていなかった、と思うと、やはり一生に一度は、この教会でのチャペルコンサートを経験できたことは、垂涎の経験だったと思う。

 







nice!(0)  コメント(0) 

エディット・マティスの近況 [オペラ歌手]

スイスの歌姫である我が永遠のディーヴァ、エディット・マティスの初のベスト作品集がDGからCD7枚組として発売される。来年の2月11日に80歳の誕生日を迎え、それに合わせて記念発売だ。

これは嬉しいこと極まりない。
久々の自分にとってのビッグニュース!

マティスは、1960~1990年代に活躍したソプラノで、ドイツ圏のソプラノとしてはトップクラスの美貌、それもどちらかといえば愛嬌のあるルックスが大きな魅力で、初来日時の人気ぶりは今なお語り草になっている。


「とにかくキュートで可愛い!」というのが当時のマティスの大きなインパクト。


若いときはもちろんのこと、歳を重ねていってもその可愛らしさは、相応で兼ね備えているから、まさに理想的な歳のとり方かも?

彼女の声質もとても清澄なところに特徴があって、歌い方も新鮮で、新風を巻き込んだと言って過言ではない。 

220px-Edith_Mathis_1969[1].jpg

1969年当時のエディット・マティス

もちろん自分はリアルタイム世代を知らないので、後世に知ってずっと憧れていた、そんなディーヴァだった。


1938年にルツェルンに生まれ、ルツェルンの音楽大学とチューリッヒの音楽大学で学び、ドイツ語圏を代表するソプラノ。

在学中の1956年にモーツァルトの歌劇「魔笛」でデビュー。レパートリーは、やはりモーツァルトが中心で、ほとんどの役を歌っている。その他にもバッハを始め宗教曲を得意としている。


マティスのずばり得意とした分野は、ドイツ歌曲や宗教音楽、モーツァルトを中心としたドイツ・オペラの世界。

そこには、イタリア・オペラのプッチーニやヴェルディといった華やかさ、ワーグナーのような力強さのような持ち味はないかもしれない。

そういった点で、メジャーで派手というイメージの歌手ではない。

確かに、いまどきのオペラ歌手のような圧倒的な声量&声色コントロールで、観客を魅せて圧倒させる、というようなこれ見よがしのパフォーマンスはないかもしれない。(たとえば彼女自身、コロラトゥーラは歌えないと言っている。)

でもマティスには、その当時の古き良き時代の奥ゆかしさの魅力がありますね。なんでもウマければいい、というものではないと思います。その当時の時代ならではの品格があると思う。

声に硬質な芯があり、明暗をはっきりさせた楷書風の歌い方なので、ドイツ語のかっちりした響きとぴったり合致する印象があります。テンポを過剰に動かしたり、これ見よがしに技巧をひけらかしたりすることは皆無で、作品そのものを誠実に再現する。


そして40代のマティスはオペラを卒業し、ドイツ・リート(歌曲)をよく歌うようになる。

50歳を過ぎてから歌唱法が変わり、声も表情も明るくなっていく。齢を重ねて声が衰えるどころか、ますます美しくなっているのである。

リートを歌うことの重要性については、マティスは、かつてインタビューでこのようなことを言っていた。

「それと重要なことは、私がリートやオラトリオを非常にたくさん歌ってきたことです。オペラだけの歌手は安定した声のフォルムを維持することが難しいのですが、コンサートで歌うことによって矯正できるのが、大きなメリットです。リートでは、いかに大声で歌いまくるかというのではなく、声楽的にも、解釈においても芸術的な洗練ということをつねに意識しないといけないからです。リートはピアノ伴奏だけではなく、オーケストラ伴奏の場合でも事情は同じです。オラトリオ、カンタータもきちんとしたテクニックの詰めが要求されますからね。」

自分は、この晩年のリートを歌っていた頃のマティスの声が最高に輝いていて、ますます彼女の魅力を大きなものにしていたように思う。

心に浸み入ってくるような深い味わいのシューマンや、ブラームスといった作曲家の歌を聞かせてくれる、そんなリートの奥の深い世界を表現できる、そんな歌手だったと思います。

インタビューを受けるマティスは、語彙が豊富で、明晰な表現、豊かな経験に基づいた話の芯がしっかりしている感じで非常に聡明な女性のような印象を受けます。



以前にも日記にしたかもしれないが、自分にとって、マティスを永遠のアイドルとならしめたものは、シューマンの「女の愛と生涯」。 

3db982514a91a79f94b47d49b49a6f755B15D[1].jpg




いまは廃盤で、ほとんど中古市場でも目にすることのない大変なプレミア盤。
この「女の愛と生涯」で、これは!という感じで自分の感性を満たしてくれる決定盤はなかなかお目にかかったことがなく、ゴローさんの日記でマティスの存在を知った。

ただこの盤は、全集の中の1枚として組み込まれていて、単売では売られていないものだった。
これを入手するのが大変だった。中古で探し回った。世界のアマゾンや中古ディスク店など。

そうしてようやく見つけた!米アマゾンにあったし、御茶ノ水のディスクユニオンの棚で偶然見つけたときは、思わず手が震えた。

恐る恐るトレイに乗せて出てきた声は、それはそれは、心に浸み入ってくるような深い味わいの妖艶な声で、この曲にかける自分の長年の想いを遂げた気分になったし、十分に満足させてくれた。

いまも宝物である。

それからマティスのディスクを買い漁ろうと、いろいろ調べてみるのだが、これが不思議なことに、じつはほとんどあまり存在しないのだ。いままでの劇場出演の経歴の多さから比較すると、録音が圧倒的に少ないと思う。

ほとんどが廃盤という形で、ほとんど手に入らなかったものが多く残念な想いをしていた。



エディット・マティスは、リートの録音があまり多くなく、一般的にはオペラのスブレット役や宗教曲の歌手というイメージがある。でも彼女はアーメリングやアーリーン・オージェ、ルチア・ポップ、バーバラ・ボニーなどと並び、歌曲演奏の叙情的な側面の魅力を最も開花させたリート歌手とも言われているのだ。

正統派ドイツ・リートにおいて彼女の存在はとてつもなく大きい。

リート歌曲で残されている録音は、このシューマン&ブラームスの歌曲集のみ。(あとはモーツァルトの歌曲集があるかな?) 


904[2].jpg

シューマン:歌曲集、ブラームス:歌曲集 
マティス、ワイス


https://goo.gl/tmF9jS

これがじつに最高!

録音当時50台後半とは思われるのだが、彼女の声の美しさはキープされていて、高音から低音まで表現にほとんど無理はない。マティスの魅力が存分に味わえる。



自分の最高の愛聴盤なのだ。このシューマン&ブラームスの歌曲集と、シューマンの「女の愛と生涯」を、NASに格納して、PCオーディオとして、流し再生してよく聴いている。


そうやってマティスのCDが欲しいなぁとずっと恋焦がれていたときに、このビッグニュース!

これは、まさに最高の自分へのプレゼント! 

601[1].jpg



Mathis CD.jpg

 

エディト・マティスの芸術(7CD)

https://goo.gl/tSvfmr


マティスの1960年代から1982年までの録音を網羅したもので、バッハのカンタータの抜粋と「マタイ受難曲」(カール・リヒター指揮)、「フィデリオ」「ばらの騎士」、有名なカール・ベームとのモーツァルト、カルロス・クライバーとの伝説の「魔弾の射手」録音、小澤征爾とのベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ヘンツェの1965年のオペラ「若き貴族」で演じた役など、すべて網羅!

クリストフ・エッシェンバッハとのシューマンの歌曲の全曲録音も含まれているし、また、カール・エンゲルのピアノ伴奏によるヴォルフの「イタリア歌曲集」(抜粋)はCD初発売!


この収録曲のリストを見たら、長年マティスのCDが欲しかったのに、入手できなかったファンにとっては、涙が出て止まらないといったところだろうか。

もう最高のお宝集となること間違いなしだ。

入手したら、じっくり聴き込んで、改めてレビューの日記を書きたいと思っている。


マティスのプロフィールの書かれたサイトの画像を見るとどれもかわいい。
若い頃の写真もかわいいけど、年をとってもかわいいのだ。


マティスは、やっぱり「キュートで可愛い!」。



美しい歌声と恵まれた容姿。自分はもちろんリアルタイム世代を知らないので、こうやって後で振り返って調べて知るだけなのだけど、全盛期の頃に、そのキュートな愛くるしさで人気を博したことが、その写真やYouTubeの画像を見てもとてもよく理解できるのだ。


ちょっとその写真を、ネットからの拾い絵だけれど、オンパレードしてアップしてみよう。

来日した時のソプラノ・リサイタルかな?日本語の字幕が。

14f26c6aab9b1f92c22db3cacfe220e3[1].jpg


マーラー4番のソリスト・バーンスタイン指揮ですね。
マティスはカラヤンともマラ4をやってます。このときカラヤンが指揮を間違えたことは有名な話です。

e0022175_20365753[1].jpg
                                                     
                                                      
e0022175_20495371[1].jpg

                                                      

マティスの18番のモーツァルト、フィガロの結婚ですね。
                                                       
e0022175_1025186[1].jpg
                                                       
                                                       
o0171024013805519115[1].jpg
                                                        
                                                       
                                                       
そして晩年ですね。CDのジャケットになってしまいますが、でも歳を重ねてもその上品さが滲み出てきます。
                                                       
62c410b4f94dc7f016f6a0766dd2fbd0[1].jpg
                                                       
                                                       
XAT-1245249394[1].jpg
                                                       
                                                       
200x_P2_G1126547W[1].JPG
                                                       
                                                       
51r3kGVxG1L._SL500_SX355_[1].jpg
                                                       
                                                       
これは、また逆戻りで、1番若い写真ではないかな?
                                                       
25293_5[1].jpg
                                                       
                                                       
そんなマティスに大きな悩みがあって、歯並びが悪かったのだそうだ。(笑)
こればっかりはねぇ。彼女なりに大いに悩んでいたのであろう。
映像などで顔のアップが映ったりすると、前歯を極力見せないように歌っていたりしていたそうだ。(本当かどうか不明だが。(笑))

それでも50歳過ぎてから、歯の矯正をおこなったようにも思える。
上の画像が、40代の頃。下の画像が54歳のときだそうだ。
(ネットからの情報なので、確かではありません。あしからず。)
                                                       
20100221223026[1].jpg
                                                       
                                                         
20100221223027[1].jpg
                                                      
それでは、今度は動画のYou Tubeで!
なんか可愛くて美声でアイドルみたいです。

モーツァルトのフィガロの結婚

                                                      


                                                              

そしてバーンスタインのマーラー4番でのソリスト。   

                                                       


                                                               

魔弾の射手 ウエーバー

                                                        


                                                            

また得意の18番のモーツァルトで魔笛です。この演目でオペラ界デビューです。  

                                                       


                                                         

そして晩年でオペラからリートに軸足を移しての映像。R.シュトラウスの歌曲。1991年の映像です。 

                                                       


                                                      

                                                      

現在80歳になろうとしている。いまはどうされているのだろうか。。。?
あの可愛らしい容姿はどんな感じになっているのだろうか?

ネットでググってみると、2009年から2014年にかけて、日本には、公開のプライベートレッスンという形で未来の日本の歌手たちの歌のレッスンをしているニュースが散見された。

そこには、なんと2014年のマティスの近影が映っていた!
(「お耳ざわりですか? 伴奏者 石井里乃の回想さん」のブログから拝借させていただいております。歌手がご職業の方なんでしょうかね?)

e0119516_23194314[1].jpg

なんと!あの頃のキュートな若々しさは決して輝きを失っていなかった。
あの頃の面影は十分にうかがえた!


いろいろなレッスンでのマティスの教えをピックアップしてみる。

マティスが受講者たちによく言っていたのは、フレーズがどこに向かっているのかを意識して歌うようにということ。つまり、1つのフレーズの中ですべての言葉が同等に重要なわけではない、大切に歌う目的地を目指してアーチを描くように(マティスは"Bogen"という言葉をよく使っていた)歌いなさいというのだ。


「そこでブレスを入れてもいいけれど、本当は入れずに歌う方がもっといいのではないか」「私だったらこう歌うけれど、そうしなければならないということではなく、最終的にあなた自身の歌い方を見つけてください」とも言っていた。

歌手の基本的な弱点を修正すると共に、歌い方を強制するのではなく、こういう方法もありますよとヒントを与えるという穏やかで真摯なマティスの姿勢。

う~ん、ある到達点&頂きに達した人でないと、すんなり出てこない悟りのお言葉・・・素晴らしいのひとことです。


グルベローヴァも70歳で衰えたなどと散々に言われながらも、現役で頑張ってくれているんだから、マティスも80歳でサプライズでステージに立って歌ってくれないかしら?と思ったり。



さきほどの近影を伺うと、決してステージに立っても華は失われていないと強く確信しますよ、ホントに。



どんなに衰えてもファンは嬉しいもんなんです。





nice!(0)  コメント(0) 

日本イザイ協会 [クラシック作曲家]

自分はイザイの熱心な聴き手とは言えなかった。縁があって、日本イザイ協会の存在を知って、協会主催のコンサートに招待をいただき、先日の土曜日に伺った。

素晴らしかった。

超絶技巧のイザイらしい超難関な曲で、演奏者の方々がじつに大変のように感じた。

見ていて、本当に息をするのを忘れてしまうかのような切羽詰まるような熱演だった。

コンサートのほうは、後述に。

イザイのイメージはヴァイオリニスト&作曲家で、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを強く意識した「無伴奏ヴァイオリンソナタ」がよく演奏され、エリザベート国際王妃音楽コンクールの課題の常連である、ということ。


そう!イザイはベルギーの作曲家なのだ。

イザイ肖像画.jpg



自分の運命の中で、やはりどうしても避けられない、縁のある作曲家なのかな?という意識し始めたのがつい最近のこと。


そこでイザイのことをいろいろ調べてみると、とても興味深いことの連続で、設立されてまだ間もない日本イザイ協会の地道な活動&広報活動に心打たれた。


イザイの曲を聴いたのは、自分でも稀にしかなくて、最近ではアリーナ・イブラギモヴァのイザイの無伴奏ソナタ。

イブラギモヴァは、ご存知、バッハの無伴奏でブレークした人なので、バッハを取り上げたなら、その延長線上にあるイザイの無伴奏を取り上げるのも必然だったと思える。

素晴らしい演奏と超絶優秀録音だった。

彼女の演奏を聴いていても、イザイの曲は、かなり演奏するのが難しいストイックな印象を持っていた。

そんなイザイだが、ちょっと自分のためと紹介もかねて、簡単だが略歴を書いてみる。




ベルギーのヴァイオリニスト&作曲家(指揮者)。


幼少時にヴァイオリンの教育を受けて、ベルギーのリエージュ音楽院に進む。音楽院卒業後、ベンヤミン・ビルゼの楽団(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の前身)においてコンサートマスターを務めるかたわらソリストとして演奏活動を行う。

その後、自分の冠の弦楽四重奏団を設立したり、そして指揮者としても活動した。(シンシナティ交響楽団)

晩年、ブリュッセル音楽院の教授に就任。後進の指導に力を入れた。

没後の1937年からはイザイを記念した「イザイ国際コンクール」が開催され、これがあの有名なエリザベート王妃国際音楽コンクールの前身となった。



イザイは、ベルギーのクラシック音楽界の英雄なのだ。



演奏家としては、イザイというと、とにかく”超絶技巧”といった高い技術と説得力のある表現で有名な演奏家で、作曲家としてもヴァイオリンの作品を中心に残している。

エリザーベト国際王妃音楽コンクールの常連とはいえ、このコンクールで弾かれる「無伴奏」を除いては、未だに演奏機会は少なくて、作品の演奏がおしなべて困難であることもあって作曲活動の全貌は明らかになっておらず、いまだに全集の編纂すらない。


そういった背景もあって、イザイの知名度は、世間一般的には、そう高くはないかもしれないけれど、そんな彼の活動を地道に世に広めていこうという団体が現れた。


北九州出身、在住のピアニストの永田郁代さんが2010年に「日本イザイ協会」を設立した。

協会の本部は北九州にある。そして会長として多彩な活動に奔走している。


「もっとイザイが演奏され、身近に感じられるようになってほしい」と考え、その素地を築くためにこぎ出した。


活動の柱のひとつが演奏会。


地元北九州をはじめ、ブリュッセルとの交流など。若手の演奏家がイザイを演奏する機会もふんだんに与える。そして先日のコンサートでもわかるように関東にも進出!

日本イザイ協会のサイトやページなどを閲覧してみると、今年だけでも、その活動はとても魅力的だ。


イザイの学んだリエージュ王立音楽院図書館を訪問して、イザイの自筆譜の数々が所蔵されていることを報告。その自筆譜複写、イザイによる奏法説明、エチュードなどを協会HPにアップロード。


リエージュ王立音楽院.jpg
(C)日本イザイ協会FB公式ページ



また9月には4日間に渡って、イザイを特集した国際音楽祭がベルギーのクノック・ヘイストで開催された。

音楽ディレクターはヴァイオリニスト・フィリップグラファン。

イザイの弟子ジョセフ・ギンゴールドの弟子で、孫弟子となる彼は、内容の違う1日2回コンサートとマスタークラスをおこなって、感動的な演奏で全ての聴衆を魅了したそうだ。そんなリアルな現場レポートを写真付きで日々アップしていた。


イザイ国際音楽祭.jpg
(C)日本イザイ協会FB公式ページ


秘密のベールに包まれたイザイの情報を、こうやって現地ベルギーに赴いて、生まれ育ち活躍したその地から直に取得して、貴重で生々しい情報を報告する、そんな組織など、いままでになかったであろう。協会としての存在価値、存分にフル回転している。


特に自分が、興味を惹かれたのは、イザイの自筆譜。


イザイの自筆譜.jpg
(C)日本イザイ協会FB公式ページ



ピアニストの永田さんがイザイにのめり込むようになったきっかけが、2010年に東京で企画したショパン200周年記念公演。

ピアノ曲で有名なショパンだが、永田さんは趣向を変えてみて、室内楽作品を演奏できないか、考えた。

適切な曲がなかなか見つからず、母校の桐朋学園大の同窓会などを通じて、ほうぼう探したところ、米議会図書館に、ショパンの「バラード第1番」をヴァイオリンとピアノの二重奏に編曲した楽譜が残されているのが分かった。


その編曲者こそ、イザイだった。


イザイによる自筆譜は、判読不能な箇所も多く、すぐ演奏に使える状態ではなかった。

それを永田さんは校訂作業を進め、手がかりを求めてイザイの遺族に会うなど手を尽くすうちに、魅力あると確信してのめり込んでしまったらしい。


「個人でいくら叫ぶよりも、組織を作って普及させるのが、1番の道。」

と協会設立に至った。


協会の役員の名前を拝見すると、さすがスゴイ。
永田さんへの信頼関係の深さ、そして血と汗の努力の結晶の跡がうかがえる。

名誉顧問としてイザイの遺族。そして自筆譜校訂に携わった徳永二男さん。その他、自分が存じ上げている演奏家の方を拾ってみても、木野雅之さん、小林美恵さん、渡辺玲子さん、江口玲さん、三舩優子さん、川本嘉子さんなど蒼々たるメンバーが顧問として名を連ねている。(もちろん小森俊明さんなどイザイ研究に造詣の深い見識者の方々なども多数。)

そんなつい最近設立されて間もない日本イザイ協会の存在、活動を知って、知名度があまりない、世間のみなさんがまだあまり着目していない、そこに、これからの可能性、開拓心を強く感じたのである。

先日行ってきたその日本イザイ協会主催のコンサート。

日本イザイ協会特別企画第1弾として、「向山佳絵子+伊藤悠貴 チェロ DUO リサイタル」が、かつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールで開催された。

コンサート.jpg



ここのホールははじめて体験したが、とても品格のあるセンスのいいホールだと思った。
内装空間がとても美しい。響き過ぎでもなく、デッドでもなく、中庸な趣きの室内楽向きのホールだと思った。

DSC01851.JPG

イザイは、ヴァイオリンだけでなく、幼少の頃は、チェロも習っていた。今回はそんなイザイのチェロに纏わる演奏会であった。

バッハ、イザイの無伴奏チェロの曲の定番はもちろん、バリエール、ポッパー、そしてパガニーニのモーゼ幻想曲など、ほとんどあまり耳にしたことのなかった無伴奏チェロの曲を聴けたのは貴重な体験だった。

選曲は、向山さん中心に進められたようだが、特に最後のパガニーニの曲は、ウルトラ超難関の超絶技巧の曲をチェロ2本で奏でる、という思わず唸らされる、見ていて、本当に心臓が痛くなる感じで、ブラボーの一言。まさに演奏者泣かせの曲だった!

向山さんがスゴイのはもちろんのことだが、伊藤悠貴さんの演奏をはじめて拝見した。

向山&伊藤Vol.2.jpg



輝かしいプロフィールに、女性に人気の出そうなイケメンで、スピーチを聞いてもとてもナイスガイ、言うことなし(笑)。

そして演奏も切れ味があって弾力性のあるパワフルな演奏スタイル。来年2018年にはロンドンのウィグモアホールでのリサイタル・デビューが決まっているそうだ。

期待のスターですね。


来年は、イザイ生誕160年。素晴らしい記念行事イヴェントも期待できそう。

来年も東京文化会館の小ホールで、この日本イザイ協会特別企画第2弾のコンサートが決まっているそうである。さらに本格的なイザイのコンサートになる。楽しみである。

自分にとって、予想もしなかった出会いであるが、これをきっかけに注目、勉強していきたい作曲家と思ったのである。


日本イザイ協会は、HPやFBの公式ページで拝見することが出来ます。


日本イザイ協会  http://ysayejapan.com/








nice!(1)  コメント(0) 

世界の朝食を食べさせてくれるお店 フィンランドの朝ごはん [グルメ]

フィンランドはサンタクロースが住む国。いまの季節にぴったりだ。ちょうどその絶好のタイミングでフィンランドの朝ごはんを特集してくれた。またフィンランドは、ムーミン発祥の国でもある。自分にぴったりだ。(笑)

ムーミンに出てくる彼女であるノンノンからハンドルネームをもらった。(いまはノンノンではなくフローレンらしい。)

飯能にムーミンパークセンターができるらしいので、ちょっと冷やかしに行ってみたいと思っている。

フィンランドの夏は短く白夜となって夜遅くまで明るく、逆に冬は長くて一日のほとんどが夜になる。短い夏を出来るだけ楽しむ、そして長い冬を快適に過ごす、というのがフィンランドの人たちの生活の知恵だそうだ。

そんなフィンランド人の朝ごはんを紹介する。

DSC01855.JPG


寒くて小麦がよく育たないため、寒さに強いライ麦が作られていて、朝ごはんにはライ麦で作ったパンを数種類食べる。

今回の朝ごはんの主食は、「カルヤラン・ピーラッカ」。フィンランド人の国民食なんだそうだ。
写真の一番目立つ2枚からなるもので、ミルク粥をライ麦の生地で包んだパイに卵とバターで作るムナボイをのせていただく。

ミルク粥はほぼ無味、ライ麦の生地パイは固くて、その上に乗っている卵とバターから成るムナボイが唯一の味付けアクセントになっている感じ。日本人の味覚からすると、とても不思議な食感。



この連載をやってきて、もうだいぶ経つけれど、思うのは、やはり日本人が美味しいと思う舌の味覚と世界の国々の人の舌の味覚と随分違うもんだよなぁ、と感じること。

自分の好みに合わないからと言って、美味しくないとは書けないし、そこは舌の価値観&慣習の問題。”不思議な食感”としか書きようがない。

やっぱり塩味、脂っけ、化学調味料、そして日本の調味料キラーと言っていい”醤油”。こういう濃い味を美味しいと思っている国民性なので、こうやって世界の朝ごはんを食べてきて思うのは、みんな自然食、自然の味付けで健康食だという印象が多いかなぁ。世界の朝ごはんは、カロリーは随分低いんじゃないかな、と思うよ。


ワンプレートには、その他に、クリスマスシーズンによく食べられるビーツと根菜のサラダの「ロソッリ」やサーモンの塩漬けやチーズが盛り合わせられた。これは普通に美味しかった。


そしてフィンランドのデザート、「パンヌカック」。

DSC01860.JPG



これは激うま!だった。

オーブンで焼いて作る四角いフィンランドのパンケーキで、ベリージャムとホイップクリームつき。
パンケーキはホワホワでスポンジケーキみたいで、それとジャム&クリームの相性が抜群。

これは最高でしたね。


フィンランドは、音楽旅行ではなく、ぜひ観光だけで行ってみたい国。
やっぱり夏が素敵かな~。

そんな想いを馳せるひとときであった。





nice!(0)  コメント(0) 

早稲田大学 1ビット研究会 [オーディオ]

早稲田大学で、年2回開催される「1ビット研究会」。

今回で16回目ということなので、8年目ということだと、スタートは2009年ということになる。意外と新しい歴史なんですね。

今は教授の職を定年退官されたのだが、早稲田大学でデルタシグマ(ΔΣ)を含むさまざまな研究をしている山崎芳男先生という方がいらっしゃる。その山崎先生が早稲田大学を中心として、「1ビットオーディオ研究会」という組織を作った。

この「1ビットオーディオ研究会」は、年に2回「1ビット研究会」という研究発表会を開いていて、一般の人も聴講できる。

発表会に「オーディオ」の文字が入らないのは、現在の1bit(ΔΣとその他の1bit技術を含む)技術はオーディオに限らず、組み込みマイコンのA-Dコンバータや、電波の変調など様々な分野に応用されているからだ。


この日も、山崎先生はパネラーとして登場された。

どのパネラーの方も、必ず山崎先生のことに言及して、敬意を表する感じなので、最初、山崎先生って何者?(笑)という感じで、後で帰ったらネットで調べてみようと思い、そういうことだ、ということを認識できた。

この世界、いかに自分が狭い世界、見識なんだろう、ということだ。(笑)

今日開かれたのは、早稲田大学 理工学部の西早稲田キャンパス 55館。

DSC01682.JPG



ちょっと話しかけてみたが、大学生って、本当に初々しいし、世間の荒波を生きてきた自分にとっては、なんと純粋な生き物なんだろう?と思った。話したら、わかるのだ。社会に出て30年生きてきたのは伊達ではないと思ったよ。(笑)

会場は、第1会議室。

DSC01689.JPG




きちんとデモの準備もされていて、否が応でも期待が高まる。

プリもパワーもアキュフェーズだ。プリの上に、USB-DACがちょこんと乗っている。1bit再生で使うDAC。DSD11.2MHzまで対応できるRMEのADI-2 ProというDAC。いま個人的に、もうひとつ欲しいDACなのだ。


1ビットオーディオに関しては、自分の頭は前職時代に接していた1992~1999年あたりの技術でまったく止まっているので(笑)、その後世の中どのように変わっているのだろう?ということで興味津々だった。

正直、1ビット信号処理そのものの進歩というよりは、その世界はあくまで変わっていなくて、その1ビットを応用利用した研究、製品紹介など、どちらかというと応用分野が盛んなのかな、という印象を抱いた。


13:00~18:00という長丁場であったが、受けてみた印象は、全然ハードでなく、かなり面白かった。時間が経つのがあっという間だった。

これなら年2回なら定期的に受講してもいいな、という印象だった。

今日の発表テーマは、下記の通り。


(1) 国内オーディオ市場の現状とハイレゾを含むオーディオ協会の考え方
  校條亮治 (一般社団法人 日本オーディオ協会 会長)

(2) 高速1ビット伝送技術の応用 ~リアルタイム伝送と J アラート~
  山﨑芳男 (早稲田大学名誉教授 / 東京都市大学教授)

(3)「PrimeSeat」における世界初 11.2MHz / 1bit ライブストリーミング配信
  大石耕史 (株式会社コルグ 執行役員 / 技術開発部 部長)
  冨米野孝徳 (株式会社インターネットイニシアティブ 経営企画本部 配信事業推進部 担当部長)
  西尾文孝 (同社 経営企画本部 配信事業推進部)

(4) 高速 1bit 信号を用いた大規模三次元音場再現システムと身体的音空間知覚研究
  池田雄介 (東京電機大学)、山中悠勢・久世大 (元早稲田大学)、竹内大起・及川靖広 

(5) 津田塾大学&早稲田大学で教えている音楽理論の面白さと、新レーベル設立について
  麻倉怜士 (オーディオビジュアル評論家、津田塾大学 / 早稲田大学講師)


自分は、(3),(5)狙いだった。(4)が学術的に基礎研究分野という感じでためになるかな、という期待だった。しかし予想を超えて全部面白かった。

では、(3),(5)を中心に各テーマについて、簡単に印象も踏まえて述べてみようと思う。

(1) 国内オーディオ市場の現状とハイレゾを含むオーディオ協会の考え方

マーケティングの話ですね。こういう話に接する機会もあまりないので、いま世の中がどのようなマーケット市場になっているのか、ハイレゾという切り口で説明するのは面白かった。

自分は正直オーディオ協会というところは、お役所的な感じで、あまりいい感じを持っていないのであるが(やっぱりこの世界は、現場が重要。)、こういうまとめ的見解では、彼らの存在意義、長所が際立つと思いました。

校條会長自ら登壇された。

いまのオーディオマーケット。

* ヘッドフォン、イヤフォンのインナーカテゴリーは成長したが、正直頭打ち状態。
* 据え置き型カテゴリーは、一定化しているが、CDプレーヤーは終息方向。
* アナログプレーヤーは急激に伸びていて、マスコミによるアナログブームという報道もあるが、
 正直コンテンツ不足の感否めない。意外に伸び悩み。

 新譜が少ないし、まっ国内でもプレス工場も少ないしね。(ソニーがアナログプレスを開始した
 ニュースがありました。)

* カーオーディオのマーケットはデカい。5411億。車の中って意外とオーディオマニアの視聴室に
 なっている。

* ライブ(演奏会)は、この10年間全く落ちていない。ライブは絶好調。

* ハイレゾの定義について。

オーディオ協会として、2014年6月にハイレゾ世界発信をした。

最初、CDより上のスペックはみんなハイレゾで、なんじゃそれ?(笑)という感じだったが、いまは大分その行先が固まりつつある。

次世代デジタルオーディオのスペックとして、192/24でやれ!でも96/24でも可とする、だそうだ。ダイナミックレンジを決める値である量子化ビット数は、もう16bitはあり得なくて、24bitは必須条件。

でもプロユースの世界では、もう32bitの時代が着々と来ているんですけどね。

ハイレゾで良い音を求めるには、録音(マイクの性能含め。)から見直さないといけない。→当然です!

自分はオーディオマニアの端くれだが、昔から、Hi-Fiという言葉は、かなり違和感、抵抗感があった。古臭い言葉という感覚がして、時代遅れのような感じがするのだ。オールドファンの方は、いまだにHi-Fiという言葉をよく使われる。(ゴローさんも使っていた。(笑))

その「Hi-Fiの定義」というのは、オルソン博士によって作られたものなんですね。初めて知りました。
 
予想以上に面白かったです。こういうオーディオのマーケティング情報は定期的に聴きたいですね。でも車載機器メーカーに勤めている者からすると、カーオーディオのマスがデカいというのは意外。ウチの社内の常識では、ナビは、まだ余地はあるが、カーオーディオは安定期でもうやることがなくて、成長が見込めない分野という認識なんですけどね???



(2) 高速1ビット伝送技術の応用 ~リアルタイム伝送と J アラート~

山崎先生登壇。(笑)

昨今の北朝鮮問題で、現実味を帯びてきた弾道ミサイル問題。Jアラートの存在は、ニュースで知っていたが、実際どんな音なのか?は聴いたことがなかった。(ニュースではやっていたみたい。)

まずその音を聴かせてもらった。

なんとも不気味で、不快で異様な音。

この告知音、警告音であるJアラートに1bitを導入したのだそうだ。
KDDIのサーバーを介したリアルタイム伝送実験に成功したそうだ。(東京~ハワイ)

このJアラートの音って、じつは様々な周波数の音の複合音(いわゆる和音)で成り立っているんですね。

要は、一般市民の聴覚能力って、年齢によって、様々な周波数帯域を持つので、その全員に音が行き渡るように、いろんな周波数の音を混ぜている。

基本波形は、のこぎり波、三角波、そして矩形波、これらを1bitにして、様々な周波数の音を加算して作る。

1bitの波形は、まったく驚かないのだが、それをいままで静止画で見ていた訳で、実際PCの画面上で、横方向にそのパルス幅がリアルタイムで変わっていく瞬間、つまり動いている1bitの波形を観たときは、ちょっと感動しました。(笑)



(3)「PrimeSeat」における世界初 11.2MHz / 1bit ライブストリーミング配信


自分にとっての今日のメインテーマ。もうメディアを通じて内容は、よく知っていたので、特に新しいニュースはなし。まっ1ビット研究会の場での確認会の意味もありましたね。



奥のほうから西尾さん、大石さん

DSC01726.JPG

右から冨米野さん、大石さん
                                                       
DSC01743.JPG


この方々は、まさにこのプロジェクトのキーパーソンなのだ!

ベルリンフィルハーモニーで開かれるベルリンフィルの演奏会を、DSD 1bitで配信しようというプロジェクト。IIJの配信ネットワークを使う。

IIJは、日本の総合的なネットワークソリューション提供会社の先駆者だが、現IIJ会長の鈴木幸一さんは、いまやすっかり上野の春の風物詩となっている東京・春・音楽祭を自分のポケットマネーで開いたこの音楽祭の創始者でもあるのだ。

クラシック音楽への造形も深く、毎年の東京春祭の企画にも参画している。

いままでは、DSD5.6Mで配信していたが、今回のセールスポイントは、世界初のDSD11.2Mでのライブストリーミング配信。最低限でも25Mbps、安定再生で、50Mbpsのビットレートが必要なブロードバンド・サービスで、IIJのネットワークをふんだんに使う。


これが、そのシステム図。

IIJ Platform.jpg



ベルリンフィルハーモニーでの演奏データを、いったんロンドンにあるIIJの支社に送る。ロンドン~日本の間には、IIJのぶ太っといバックボーンネットワークがあって、この部分は、IIJとしては、いろいろ細工をし易いということもあって、ここを使う。

だからベルリンからいったんロンドンに送って、そこから日本に送るというネットワーク。

このベルリンからの演奏データをインターネット形式に変換するエンコーダ(PrimeSeat  Broadcaster)を今回新規開発した(KORG開発)。

このDSD11.2M配信の技術のポイントは、次の3つにある。

1.エンコーダ(PrimeSeat Broadcaster)
2.プレーヤ(PrimeSeat)
3.IIJ配信ネットワーク

工夫したポイントとしては、11.2Mのストリームだけではなく、5.6MやPCM 96/24のストリームも作って、その3本の複合ストリームを提供できるようにしたこと。

さっそく、DSD11.2Mのライブストリーミング配信の音を聴かせてもらう。
ハイティンク指揮ベルリンフィルで、ブルックナー9番。


う~ん、確かにワンポイントで録った典型的な音の聴こえ方がする。
指揮者のちょうどすぐ後方にワンポイント・ステレオマイクを配置して、そこから全体を俯瞰したような聴こえ方。

だから木管以降の金管や打楽器は音が遠い。

いやその部分だけではなく、全体的に、やはり音が遠い感じがする。
定位感が乏しいというか、フラフラしている感じで重厚感・安定感がない。

これは普段、自分の聴くオーディオのクラシックの音が、典型的なマルチマイクのセッション録音でエンジニアが十分に調理をし尽した録音が多いからなのだと思う。

その差がはっきり分かる。

DSDライブストリーミングは、

ワンポイント録音。
ミキシングなどの調理はいっさいなし。

を基本としている文字通りリアルなライブストリーミングなのだ。

だから聴いていると、とても薄化粧のサウンドのように聴こえる。普段自分が聴いている音がいかにきっちり空間バランスがとれた厚化粧のサウンドであるか!

DSD11.2Mであるが故の鮮度感やリアルな気配感の向上は確かに感じられる。
大きな躍進ですね。


自分は、かねてよりじつはこのライブストリーミングで大きな疑問点があった。
ふだん自宅で、このPrimeSeatを聴いているときに、それは感じることであった。

それはPrimeSeatのハイレゾストリーミング音源には、ベルリンフィルアワーと言って、ベルリンフィルから提供されている定期公演の音源と、アムステルダム・コンセルトヘボウで演奏されているRCO(ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団)の定期演奏会の音源がある。

ベルリンフィルのほうは、彼らの自主組織であるベルリンフィル・メディアがやっていて、RCOのほうはポリヒムニアがやっている。

ベルリンフィルの音源のほうは、PCM 48/24、RCOのほうは、DSD5.6M で聴いている。

どうもベルリンフィルの音源のほうが、鮮度感も高く、音がすごい良く感じるのだ。やたらと音がいい、という感じ。PCM 48/24なのに、ここまでよく聴こえるとは!という感じだった。特にホール内の暗騒音の聴こえ方が全然違った。定位感もこちらのほうが抜群にある。

これは日記でも公開せず、自分の中で永らく伏せていた事実だった。その理由は、自分でその違いを理論づけることができなかったから。

でもこの日、彼らのプレゼンを聴いて、その原因が理解できたのだ。


それは、この部分だった。

Digital Concert Hall用音声(デジタルコンサートホール用音声)

ステージ上に配置された約60本のマイク(具体的には天井から60本を吊るしている)の位置を調整して、デジタルコンソールでミックスして制作。 ~HD映像とのマッチングを意識したクリアな音像と定位


PrimeSeat用音声

1F客席最前列上方に設置した1対の無指向性マイク(ゼンハイザーMKH8020)のみを用い、マイクの位置、間隔、角度を調整しダイレクト収録。 ~コンサート会場の空気感と音場の再現。


これですべてがわかったような気がした。

DCHの音は、マルチマイクでエンジニアによる調理の音なのだ。PrimeSeatは純粋なワンポイントで、調理いっさいなしの音。

PrimeSeatのベルリンフィルアワーの音源は、元々はDCHの音源を、PirmeSeat用のPCM 48/24のストリームとして音源を作り直しているのだ。

だからベルリンフィルの音源を聴くと、やたらと音がよく感じるのは、マルチマイクで調理された音を聴いているからなのだと思った。RCOの音源のほうは、純粋なPrimeSeat用に造ったワンポイント録音、調理なしの音なのだ。

そこに差があった。ようやく自分が永らく伏せていた事実を理由づけることが出来た。納得いった!

これは別にマルチマイク・調理あり、がいい、ワンポイント・調理なし、がいい、という優越論の話をしているのではない。もうこれらの手法がそれぞれで、異なった価値観を持っているということ。優劣の次元の話ではないのだ。(好き嫌いはあるかもしれない。)

だから、ふだん自分が聴いているのは、マルチマイク・調理あり、の音が圧倒的なので、そこに親近感がわいただけに過ぎない、ということだけだと思った。

PrimeSeatのDSDライブストリーミングは、やはりコンサート会場の雰囲気、ライブ感を感じてもらおう、というところに主眼があるので、そこに彼らの目的があって、それが十二分に達成されているレベルだと感じることしきりなのだ。

こちらが、今回のIIJ配信システム、エンコーダ(PrimeSeat Broadcaster)、プレーヤ(PrimeSeat)のデモ機の展示。

DSC01784.JPG



あくまで、これは勝手な自分の妄想に過ぎないけれど、彼らは近い将来、スゴイことをやってのけて、公表をすると確信しています。

お楽しみに!(笑)



(4) 高速 1bit 信号を用いた大規模三次元音場再現システムと身体的音空間知覚研究

この分野は、1番学会らしいアカデミックな内容だということで、期待していた。
ただ、どうなのかなぁ?プレゼンターが、ちょっと不慣れな感じ。プレゼン資料の作り方がイマイチ洗練されていない。やたらと文字が多いし。

絵や図を多く使って、なるべく文字を使わない。一見みただけでわかりやすく!というプレゼンの基本が成り立っていないような気がした。

自分のような社会人生活30年もやっている社会人からすると、こういうプレゼン資料は、完璧NG!という感じだった。

内容は、SPを高速1bit信号で、直接駆動すること。それをかなり膨大なマルチチャンネル数のSPを配置して、3次元の音場を作ろうという内容だと理解した。

まだ、お金がかかり過ぎて、商品化レベルまで落とし込めていない現実的でない基礎開発レベルのテーマだと感じた。



(5) 津田塾大学&早稲田大学で教えている音楽理論の面白さと、新レーベル設立について

AV評論家 麻倉怜士さんの講義。

DSC01810.JPG



まさに引く手あまたの超人気者で、毎日世界中を飛び回っている麻倉さんだが、いままでの技術論的なテーマではなく、ちょっと変わった毛色の内容を披露してくれた。

それは、「音階、調、コード進行」についての音楽理論についての紹介。
これは普段、麻倉さんが勤めている津田塾大学や早稲田大学で教えている内容でもある。

特に今年に入ってから、1月から6月に渡って、「ビートルズのコード進行」について研究をなされていて、それも紹介してくれたのだが、その見識の深さには舌を巻いた。

いろんな音階、調性、転調、そしてコード進行の話をしてくれるのだが、その説明には、電子オルガンを実際自分で弾いてみて、説明する、という手法。

心底、驚いたのは、麻倉さんのピアノのレベルがかなり高いということ!
かなりの腕前!うまいなぁー、やるなーという感じで、驚いてしまった。

これだけうまいと、このテーマの説明にも説得力が出ますよね。

そうして、もうひとつのニュースとして、ついに自分のレーベルである「UAレコード」を設立する、ということ。

目的は、「厳選した演奏家のパフォーマンスを、最上段のクオリティにて音楽制作すること」なのだが、それは表向きの建前。

ぶっちゃけ本音トークは、オーディオ評論家をやるからには、結局自分の音源を持たないとダメということ。このSPは低域が足りないと言ったら、そのリファレンスの音源を自分が持っていないといけない。

どうも本音はそこにあるようだ。

コンプレッサーやりません。
イコライザーかけません。
継ぎ接ぎしません。
一発録り。

これがモットーだそうです。(笑)

さっそく近日中に発売される第1段のデモディスクを聴かせてもらったが、なかなかのレベルであった。高域を強調したヴァージョン、低域を強調したヴァージョン、そしてこれに落ち着きました、ってな感じでデモしていました。

でも、偉いと思います。普段毎日、超多忙な身でありながら、自分のリファレンスの音源を持つべく、自分の新設のレーベルまで作っっちゃうというのは、行動力抜群だと思います。

頑張ってください!


以上が、1ビット研究会初体験の内容。なかなか内容も充実して、面白かった。

あっという間の5時間だった。

まっこれに味をしめて、次回も楽しそうであったら、参加してみたいですね。






nice!(0)  コメント(0) 

ひふみんを侮るな! [雑感]

将棋の加藤一二三さん、引退後、いまや「ひふみん」と呼ばれて、すっかりシニアタレント扱い。(笑)


1152109_C8KHT6qUQAAsjni[1].jpg


確かに加藤さんは、真面目で、寡黙な棋士達の集まりである将棋界では、昔から、ちょっと変わった人という感じもあり、ある意味「キャラが立つ」存在で、引退後にそういうところに着目して、いわゆる業界向きではないか、ということで、そのキャラをいい方向に強調しようというメディア業界の意図が見え隠れするように自分には思える。


将棋界の歴史で、もっとも現役生活が長かった功労者でもあり、その輝かしい戦歴もさることながら、ちょうどそのときに話題の藤井聡太四段の登場で、自身の引退とも重なり、新旧世代の交代を大きく、国民の眼に植え付けるタイミングの良さもあったのだろう。


でも自分には、いまの加藤さんの姿は、とても信じられないんだよなぁ。


加藤さん自身、たぶん意識しているところもあるはずで、そういう自分のイメージを意識的に作るような演技をしているように思えて、見てて正直痛々しいのだ。(笑)


当時から変わった人だったけれど、いまのCMで見たり、はたまた「ひふみんアイ」でCDデビューとか、いわゆる面白オジサンキャラで必死に自分を売り出す姿を見ていると、とても自分には痛々しい。


いまの人は、じつは加藤さんは、本当はじつにスゴイ人だったんだ、ということを、どこまで知っているのかなぁ?と思ったりするのだ。加藤さんの過去を知らないいまの人が、いまのキャラを見て、とても優しくて、かわいい老人キャラってな感じで、見ているんだろうなぁ・・・とか。


また引退後、自分を支えてきた家族への感謝を第一にした美談などで、優しい性格(これは昔から一貫した素晴らしいところです。)などがそのキャラ作りに拍車をかける。



人間ならば、誰しも人生のうちで最も活躍する、最大に輝いている、ある意味尖っている時期というのがあって、それを過ぎた後の、晩年の自分の立ち位置、イメージ造りというのは、やはり人生設計で考えていかないといけないところ。


いまの加藤さんを観ると、そんな人生の刹那を感じたりする。

もちろん、まだ始まったばかり。このイメージ作り、大成功で、華開くかもしれない。


自分も、それを願っている。


自分は小学生の頃から、将棋を嗜んでいたので、将棋界の変遷の歴史はよく知ってきているつもり。


自分の加藤さんのイメージといえば、まさにこの写真の頃。


03katoumeijinn[1].jpg




将棋界は、自分が物心ついたときは、升田幸三×大山康晴時代から、そして中原誠×米長邦雄の時代に差し掛かる時代。まさに大山時代から中原時代に移り変わる時代だった。


自分の世代では、升田×大山時代は、ちょっと昔の人で、自分のリアルタイム世代といえば、中原×米長時代だった。


中原誠名人の大ファンだった。


中原誠、大山康晴、米長邦雄、そしてそこに加藤一二三が入ってくる、という力関係の図式だった。

自分にとって、加藤さんの存在が圧倒的に輝いて見えたときは、中原名人が名人戦九連覇を成し遂げて、十連覇を成し遂げるか、というときに、当時の加藤一二三十段が挑戦者になり、名人戦史上稀にみる大激戦名勝負を繰り広げ、中原さんの十連覇を阻止したときだった。


名人位といったら、中原さんしかとてもイメージ湧かなくて、九年間もそうだったので、そこに加藤一二三名人誕生になったときは、かなり違和感と悔しい思いをしたことがある。


中原ファンとしては、加藤さんの存在は忘れようにも忘れられない人だったのだ。


名人戦というのは、普通七番勝負、先に四勝したほうが勝ちだ。でもこの戦いは持将棋に千日手2回と決着がつかない戦いが3回もあって、全部で十戦も戦ったのだ。名人戦のようなタイトル戦は、普通は旅館などを貸し切ってやるものなのだが、ここまでもつれるとは誰も思わず、旅館の予約が出来ず、最終戦は、ふつうの将棋会館でやる羽目になったのだ。(笑)


その最終戦も深夜におよぶ大激戦で、最後に加藤さんが中原さんの玉の詰みを発見した時は、思わず「ひゃあー」という寄声を上げたことは有名な話だ。


その大激戦だったその中原×加藤の第40期名人戦。


中原名人加藤十段.jpg


1982年だったから、自分が高校3年生のときだったな。いまから35年前。鮮明に覚えているよ。

加藤さんがまさに勝負師として最高に輝いていたとき。


そんな時代を知っているからこそ、昨今の「ひふみん」ブームで、ある意味作られたイメージ作りに、自分は違和感を覚えるし、そんな演技している加藤さんを観ると、まさに痛々しいのだ。(笑)

 


でも思うのは、加藤さんの心の中には、やはり勝負師として生きてきたうえで、ここは引けないボーダーラインというのは必ずあるのではないか、と思うこと。


ひふみんキャラを演じていても、その線引きは絶対あるはずと自分は確信している。


「9」という数字は、つくづく因縁のある不吉な数字なんだな、と思ったのもそのとき。
この中原名人の十連覇ならず、そしてONこと王・長嶋の巨人10連覇ならず。そして後世知ったことだが、クラシックの世界でもベートーヴェンやマーラーのように第9番まで交響曲を作曲して、第10番を作曲しようとすると、みんな命を落としてしまう、この数奇な運命。


「9」という数字には、なにか強いそのような運命が隠されているんだな、とつくづく思う次第である。


加藤さんの棋歴はすぐに調べればわかるし、将棋にあまりに興味のない人はチンプンカンプンだと思うが、とにかく加藤さんはスゴイ人だったのだ。


その全盛期をリアルタイムの同世代に生きてきた自分からすると声を大にしてそう言いたい。


中原時代から谷川浩司、そしていまの羽生善治あたりからはもう完全に感情移入できなくなった。
そして将棋界から疎遠になった。


この感情移入できない、というのは重要なポイントで経年になるにつれて、避けられないことだと思っている。人間って、自分のもっとも感情移入できた時代のヒーローがいて、それが経年で、つぎからつぎへと新しい世代のヒーローが出ても感情移入できないのだ。自分の時代のヒーローを超えることはない。


いまの自分のクラシック演奏家やオーケストラについても言えるかもしれない。現在縁があって知り合えた演奏家の方々は、自分の運命の中で不可避の赤い糸で結ばれていて、なるべくしてなって知り合えた訳で、それを超えることはないと思う。


アラベラさん!とか追っかけしているけど、クラシック業界も世代交代が進んでいき、どんどん出てくる若い世代にどうしても自分の感情が追いついていけない、そんな自分を感じるのである。


自分が感情移入した時期のスターはその後超えられないものなのだ。

歳なんだ、と感じるとき。


音楽評論家の方は、そういう点で、大変な稼業だと思います。(笑)


加藤一二三さんは、クラシックについても造詣が深いようで、最近、クラシック関係でインタビューを受けることも多く、自分の視野にちょくちょく入ってくるようになった。まさかあの頃の加藤さんが 数十年後に、自分の目の前に、クラシックという切り口で現れるとは思いもよりませんでした。


「ひふみん」のイメージでもいいです。(笑)


見事に華開いて、第2の人生を謳歌され、今後もご活躍されることをお祈りしたいです。







nice!(0)  コメント(0) 

ソリストと指揮者との運命の絆 [クラシック雑感]

昨日、そして今日とウィーン楽友協会で、アルゲリッチがウィーンフィルと初の共演を果たし、話題になっている。

アルゲリッチほどのピアノ界の巨星、大御所が、ウィーンフィル(そしてウィーン楽友協会も?)と初共演ということ自体、なんか信じられないというか、えーそうだったの?とみんな信じられないと言う巷の評判。

指揮はバレンボイム。リストのピアノ協奏曲を披露したそうだ。

ウィーンフィル相手に、さらにこのビッグな顔ぶれで、チケットは高騰して20万とか、信じられない闇の取引もあったらしい。

アルゲリッチは、日本でも小澤さんと水戸室とで夢のようなコラボを果たしたばかり。なんか、夢の共演づいていますね。

自分は、アルゲリッチの生粋の大ファンだし、クラシックピアノとしての入門も彼女だったので、このニュースは取り分け感無量の一言に尽きる。

去年自分は、バレンボイム&アルゲリッチの共演を、イギリスの夏の音楽祭、BBC Promsで体験でき、自分の一生の想い出に刻み込んだ。

まさに一期一会の体験とはこのこと。

ウィーンでの饗宴の様子。FBから写真をお借りする。
まさに花の饗宴という感じで、華やかさいっぱい。自分のことのように嬉しい。

23826338_1522305351180602_835513912477608485_o[2].jpg
                                                  
                                                     
                                                     
23845665_1522305517847252_6346066847202292396_o[1].jpg
                                                     
                                                     
                                                     
24068435_1522305367847267_2432873081573963957_o[1].jpg
                                                    
                                                    
                                                   
ここで、やっぱり考えさせられるのは、ソリストにとって、自分の演奏家人生の中で、こういうチャンスをモノにできるというのは、やはり指揮者からの信頼、運命のような絆があって、はじめて実現できることなんだろうな、と思うこと。

これってクラシックを嗜む人であれば、当たり前の常識みたいなことかもしれないけれど、敢えて、ここで取り上げてみる。

1941年生まれのアルゲリッチと1942年生まれのバレンボイムは2人ともブエノスアイレス出身。ともに幼少より才能を発揮し、瞬く間に世界的スターとなり、現在まで常に第一線を走ってきた本物の大家。

お互い心の通い合った大物パートナー同士。

過去何度もそのビッグカップルで共演をして話題をさらってきた。

今回のアルゲリッチのウィーンフィルとの初共演が実現できたのも、指揮者がバレンボイムだから、というのは誰もが必然で自明なこと。

バレンボイムが彼女の演奏家人生の中でそのような大きなプレゼントをしたかったことは、十分に慮れる。

人との出会い、運命の絆って、自分で意識しても実現できることではなくて、こればかりは本当に天からの授かりものというか、運命としかいいようがない。



でもその裏には、じつはビッグマネーが動いているとか、ビジネスが動いているのは、当然のことだけど、そのことを深く言及したら、下衆で、ダークなイメージがつきまとうので、ここではやめときましょうね。(笑)

古い話で恐縮だが、カラヤンが手兵ベルリンフィルでコンチェルトを録音するとき、または演奏会を開くときは、ピアノはワイセンベルグ、ヴァイオリンはムターとか、ある意味決まっていた。そこにはカラヤンが認めたソリストという大きな名誉、使命みたいなものがあった。

アバド時代になって、ピアノではポリーニやアルゲリッチが盟友として待遇され、数多くの録音や演奏会を開いた。

ラトル以降新しい時代になって、それこそ、ソリストは多彩になった気はするけれど、でもそこには、そのときに客演する指揮者と所縁の深いソリストが選ばれるという方程式は崩れていないと思う。

指揮者もソリストもお互いあ・うんの呼吸が合う、お互いをよく知り尽くした仲でやりたい、というのは、当然あることですよね。

演奏家は、如何に多くの指揮者と知り合って、そういう運命の相手を見つけることができるか?

厳しい世界だ。

我がアラベラさんは?と言ったら、それこそ母国のドイツを中心にいろいろワールドワイドにツアーを廻って、いろいろな指揮者とペアを組んでいるが、大舞台のチャンスとなると、彼女の場合は、やはりヤノフスキかな、と思うんですよね。

アラベラ&ヤノフスキ.jpg



ヤノフスキは、ベルリンフィルに時々客演しているみたいだから、ぜひ彼女を呼んでほしい。(笑)

ウィーンフィルとヤノフスキというのは、あまり結びつかない気がするけど、まぁこれは難しいかなー。まっいろいろ妄想するのでした。。。

いずれにせよ、人間誰でも社会生活をする上で人との出会いが運命を決めることは、自明なことだけれど、それはクラシックの世界でも十分当て嵌まることなのだ、と実感したわけです。






nice!(0)  コメント(0) 

オーディオのちょいと気になる投稿。 [オーディオ]

FBのオーディオサイトで、ちょっと気になる投稿があったので日記にしてみる。 (写真ちょいとお借りしますね。)

1999年のSONYのSACDフォーマット発表時のフラグシップ旗艦機であるSCD-1/TA-E1/TA-N1/SS-1EDのフルセット。

合計400万。

23847405_806111582925114_2197761002183735864_o[2].jpg



憧れた!

オーディオって男のロマンだと思った。

当時はとても買えなかったけれど、あれから10年後に中古市場に出始めて買える値段になった。

結局265万かかって揃えた。(^^;;

いまじゃ考えられん。当時は金持ってたんだな。

ソニーがプリ・パワーというセパレートタイプのアンプを開発したのは、おそらくこれが最初で最後。

パワーのTA-N1は故長岡鉄男先生の愛機として有名だった。

23916739_806107276258878_545268615872001420_o[1].jpg



中は、こんな感じ。これぞオーディオという巨大ケミコン。まさに物量投資型設計。

23755609_806107319592207_6034535338142193803_n[1].jpg




プレーヤートランスポートのSCD-1は、ベストセラーのスタンダード名機となった。
固定光学ピックアップ方式の珍しい方式でお金かかっていた。

23847420_806108412925431_5714076637652132726_o[1].jpg


スタビライザー装着の贅沢さ。スライド式の開閉スピードが重々しくて高級感ある。
でもピックアップがすぐに不調で読み取り不良になることで有名で自分も何回取り替えたことか!(笑)

24059456_806108602925412_5476513659986626888_o[1].jpg



なんというのかなぁ、フォルムが美しいというか、このフルセットには、何とも言えない高級感が漂っていて、これぞハイエンドオーディオというものだと思った。

最近のハイレゾ機器に見られるような安っぽさを見ると、この時代に育った自分としては萌えないんだよねぇー。オーディオ機器ってやっぱりデザイン、フォルムってすごく大事。

そして、なんといっても、フルシステムの中でもっとも入手しずらかったのが、このスピーカーのSS-1ED。

定価210万!

日本に15台しかないと言われている。中古市場でも滅多に出なかった。ショーで見るぐらいしか縁がないと言われたSPだった。


23795653_806110029591936_7499060233478591277_n[1].jpg



中の構造は、こんなになっていたのか!ウレタンが生々しい。

これを自分はあるオーディオの友人から、喫茶店でそのまま置きっぱなしになっていて普段も鳴らされていないようで、死蔵でインテリアと化しているようだから、売ってくれないかどうか商談してみる、と言われ、回答は翌日。

もう天にも昇るような気持ちで、ドキドキして待っていた。あんなに胸ときめいたことってなかったんじゃないかな?

そして商談成立の電話がかかってきたときは、もう昇天の気持ち。日本に15台しかないSPで、それを入手できる。

確か140万で買った。

他のSCD-1/TA-E1/TA-N1はすでに中古入手済みで、残るはこのSS-1ED待ちという状態だった。

代替えで、B&W Nautilus 803で、このソニーのシステムを鳴らしていたのだ。


なんとかこの稀なSS-1EDを入手できないものか?


毎日国内、海外のネットを睨めっこしていた毎日だった。

SS-1EDが配達される日、もうドキドキ。(笑)部屋に運ばれて、毛布を取られて、その姿を見たときは、あんな最高で、ときめく気持ちは、今後もそうないだろう。

SACD神話を裏付けるてっぺんに、スーパーツィーター付きで、100KHz再生可能。

ふつうSPって、30KHzまでが普通。高くて50KHzがせいぜいなもんだ。100KHzうたっているSPは、このSS-1ED以降いまでも聴いたことがない。

でも先だって、ダイナミックレンジの日記を書いたとき、DSDの信号処理って、ノイズシェーピングで、帯域内ノイズを高域に押しやっているので、50KHz以降はノイズの姥捨て山状態だということを書いたばかりだから複雑な心境。

自分も当時は、このSACD神話の広大帯域再生に騙されていた。(笑)

日本に15台しかない、このSS-1ED、そしてこのソニーの初代フラグシップ旗艦機フルセットの音をじっくり長期間に渡って聴いたことのあるオーディオマニアはそうそういないだろう。(笑)

みんなデモのブースなんかでちょい聴きくらいしかないはず。

自分は類まれな貴重な経験の持ち主かもしれない。

なんか記憶によると、インターコネクトやSPのケーブルは、PADの高級ケーブルを使っていたはずだった。SS-1EDはスパイク装着の3点支持。


ずばりサウンドは、というと、中域がガッチリした典型的なピラミッドバランス型のような感じだった。音の芯がとてもぶっ太くて、中域から低域の土台感がしっかりした感じのサウンド。量感の出るサウンドだった。

クラシックというより、ジャズやポップスのほうがいい感じもした。でも毎日クラシックをそれで聴いていた。

STW付きで、100KHz再生を唄っているほど、高域の伸びやかさはあまり感じなかったかな?
まぁ当時の自分のスキルの足りなさもあって、十分調教できていなかった、鳴らしきれなかったというのもあるだろう。

信じられないことに、同じ部屋にいまのB&W Signature 800のシステムも入れていたのだが(笑)、B&Wの音のほうが繊細さというか、解像度が高いような気がした。同じ部屋で同じソースで聴き比べしてるんだから間違いない。逆にB&Wでは量感が足りないと思った。

でもB&Wのほうは、あれから10年鳴らし続けてエージングして、だいぶ自分の好みのサウンドになってきた。Signature 800は本当に気難しいモニターSPです。

でも最近の新しいSPは、あまりに買ったときから簡単に鳴っちゃって逆に面白くないよね。(笑)

SS-1EDとSignature 800とでは、まさに正反対のサウンド。

その後、同じ部屋に2セットは、やはりサウンド調教的に無理と感じて、ソニーのフルセットのほうは売却した。

SS-1EDは珍しいSPなので、売るときはゴローさんが一声かけてね、と言われたので、そうしたら、ちょうど二子玉川別室で、DAITONEのDS-8000を鳴らし始めたときだったので、縁がなかったということになった。

その後、オークションは面倒だし、売れるまで時間がかかるので、御茶ノ水のオーディオユニオンで売却したら、それをゴローさんが発見。(笑)

なんだー!オークションで高く売るつもりだろうから、やめとこうと判断したのに、中古ショップで安く売っちゃうんだったらーあーなんだぁー!ってな感じで、残念がられていた。


結局何年保持していたかな? 4~5年くらいだろうか? でもいまでもそのサウンドはしっかり脳裏に焼き付いている。もう一回、調教してみたい気もする。

このフルシステムの音を長期間に渡って聴いたことのあるオーディオマニアは、日本でもほとんどいないと思う。



さて、もうひとつの投稿。

B&Wから801シリーズが姿を消えてから何年経つだろうか?

あまりに鳴らすのが難しすぎて、一般のオーディオマニアの手には負えないSPだから、とか、いろいろその理由の噂は飛び交った。

Matrix時代の801をはじめ、スタジオのモニターSPとしては、いわゆるプロユースの領域では、このクラシックな801をモニターの基準にしているスタジオは多い。

モニターSPというのは、ふつうの一般家庭で使われるリスニングSPとは、やはり区別される。鑑賞の場合なら、”ジャズっぽく聴こえる””クラシックっぽく聴こえる”などの色の付いたサウンドの鳴らし方をする設計も多い。

でもスタジオで使う用途は、エンジニアが正しく作業できないといけないので、正しく再生されるSPでないといけない。

つまり、周波数特性がフラットであることが大前提。

あと定位の分かりやすさ。これもコンソールで振り分ける作業をするうえで大切な要素ですね。

そんなNautilus 801を5本使ってサラウンドを組んでいる写真が投稿された。(笑)

すっげー!(笑)

21034558_806081702928102_4553679155800103412_n[1].jpg

                                                                                                                                             

                                                                                                                                                

                                                                                                                                                 

23755694_806081646261441_7836537060011660120_n[2].jpg

                                                                                                                                                

                                                                                                                                                

                                                                                                                                              

23843530_806081649594774_7107501480297150930_n[1].jpg

                                                                                                                                                

                                                                                                                                                   

                                                                                                                                                   

23844954_806081642928108_4675315919870165316_n[1].jpg


                                                                                                                                                    

                                                                                                                                                   


801が前に3本ある姿は、あまりに武骨でスゴイ。センターが802くらいが、美しいバランスが取れていると思うが。。。

どういうジャンルの音楽をミキシングするスタジオなんでしょうね。


世の中って面白い!








nice!(0)  コメント(2) 

池田昭子さんのオーボエ作品集 [ディスク・レビュー]

N響の華であって日本を代表するオーボエ奏者の池田昭子さんの7枚目のソロアルバム。

以前にも自分の日記で何回も特集したが、木管奏者、とりわけオーボエ奏者が自分のソロ作品集を出せるって、まさに華形スターの証拠なのだと思う。

自分は取り分けオーボエのソロ作品集には目がなくて、世界のオーケストラの首席オーボエ奏者が出すオーボエ・ソロのアルバムは、かなりコレクターしてきている。

特に、バッハ、モーツァルトのオーボエ作品集を録音するのは、ひとつの登竜門というか、晴れ舞台、一流の証のような気がする。普段は超一流オケの首席オーボエ奏者という立場で演奏し、その一方でソリストとして、このバッハ、モーツァルトを出すというのは選ばれし者だけが得られる特権のように見えてしまうのだ。

自分にとって、このバッハ、モーツァルトのオーボエ作品集で最初に虜になったのは、ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者のアルブレヒト・マイヤー氏の作品。そしてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席オーボエ奏者アレクセイ・オグリンチュク氏の作品。本当に擦れきれるほど聴いた愛聴盤。

特に、バッハのオーボエ作品というジャンルは、オーボエ奏者にとって、ひとつの定番なのかな、と常々感じていた。ホリガー、ウトキン、ボイド、マイヤーなど 名だたる名手が同じような選曲のアルバムを作っている。


池田昭子さんは、N響の定期公演をはじめ、今まで、いろいろな実演に接してきたことはもちろんのこと、NHKでN響が登場する様々なTV番組でも拝見することも多く、とても親近感がある。 

m_ikedaweb5B15D[1].jpg



ご存知美人で、清楚な感じで、まさに華がある奏者。
もう隠れ大ファンと言っていい。(別に隠れる必要はありませんが。(笑))

美人奏者といっても、いわゆるギラギラしたこちらにグイグイ主張してくるような熱いタイプではなく、どちらかというと控えめで、涼しい感じの1歩引いた和風美人の佇まいが、なんとも魅力的だ。

自分とはひと回りも違うんですね。

ちょうど自分が前職時代で、人生の壁にぶつかり、暗黒の時代を過ごしていた1997年に、颯爽とクラシック業界に登場した。いま振り返ってみると、なんか自分の人生の明暗と入れ替わりというか、新しい時代の幕開けみたいな感じの存在のように思える。


東京藝術大学卒業。(1997年)
卒業時に、皇居内桃華楽堂にて御前演奏を行う。
1996年にオーボエコンクール第1位。(日本管打楽器コンクールなど)
1997~2002年 東京交響楽団在籍。
2000~2003年 ドイツ、ミュンヘンのリヒャルト・シュトラウス音楽院に留学。
2004年に、NHK交響楽団に入団。


まさに留学で、ミュンヘン在住でいらっしゃった2000~2003年は、その頃自分はというと、大病を患って、あえなく3年間会社を休職。いったん北海道の実家の親元に戻って、療養生活をしていた人生で最悪の暗黒の3年間だったのだ。(笑)

クラシックどころではなかった。

だから池田さんの活躍を認識するようになったのは、やはりN響に入団してからの活躍がメインになる。

N響ではオーボエが本職だが、じつはイングリッシュホルンの奏者としても、有名なのだ。

自分の記憶では、確かNHKの番組で、ダッタン人の踊りのあの異国情緒溢れるなんとも切ないメロディを、イングリッシュホルンで朗々と歌い上げていたのは、確か池田さんだったと思う。はっきり脳裏に刻まれている。


「のだめカンタービレ」のテレビドラマ版では、あのオーボエ黒木くんの吹き替えをやっていたのも、じつは池田さんだったそうだ。

N響首席オーボエ奏者の茂木大輔さん主催の「のだめコンサート」の東京初進出。
調布で開催されたが、自分ももちろん馳せ参じた。
オールN響メンバーという豪華なオケ編成で、池田昭子さんもソリストとして登場。

もちろん黒木くんの吹き替えでやったモーツァルトのオーボエ協奏曲をソリストとして演奏されていた。

なんかつい最近のような気がするよ。(笑)

終演後のサイン会。
手前から、高橋多佳子さん、茂木大輔さん、そして池田昭子さん。

m_DSC04866[1].jpg




前置きが長くなった。

そんな池田さんの3年振りの7作目のソロ最新作。
まさにオーボエ・ソロ作品集が大好物の自分を十分に満足させてくれる大傑作と相成った。 


886[1].jpg



池田昭子: Partita For Oboe Solo-j.s.bach, C.p.e.bach, Telemann


https://goo.gl/SkmEXJ


J.SバッハとC.P.Eバッハの親子やテレマンの無伴奏作品を収めた「パルティータ~無伴奏オーボエ作品集~」。オリジナルはフルート向け作品だそうだが、オーボエとしてフューチャリングされた作風もとても魅力的。

どれもバロック時代の作品だが、ご本人のインタビューでは、「自分はもともとモダン楽器の奏者。バロック時代の古楽奏法を学んでいる訳ではないので、それを下手にマネしても中途半端。自分なりに信じてモダン・オーボエとしてインスピレーションで演奏しています。」とのこと。


古楽様式に関しては尊重しつつも、やや苦手意識もある自分ではあるが、このアルバムを一聴して、思ったのは、純粋に美しい音楽として楽しめて、彼女の芯のしっかりとした音色で見事にその旋律を描き切っているということ。

そこに古楽もモダンも関係ないような・・・そんな卓越した次元の高さを感じる。


確かにバッハやテレマンの曲の旋律は、古典派でもないし、後期ロマン派でもなくて、やはりそれはバロック音楽そのもののメロディの音楽なんだけれど、聴いていて、それをあまり意識しないこと。オーボエの暖かい色彩に富んだ音色で、彼女のオーボエは芯が太くて安定している、そんな音色で奏でられる曲は聴いていて最高に気持ちの良い音楽だった。


音楽的にかなり楽しめる1枚だと思いました。

そして録音評であるが、これがちょっと驚きだった。自分は、かなり例によって(笑)、ここに反応してしまった。


レーベルがマイスター・ミュージック。


不勉強ながら存じ上げなかったので、調べてみたら大変なことを知った。

ヨーロッパにおいて、クラシック音楽の正式な録音を許可された、日本人初のディプロム・トーンマイスターによるレーベルなのだそうだ。

このマイスター・ミュージック、1993年に設立。このレーベルを立ち上げた平井義也氏は「トーンマイスター(Tonmeister)」というドイツの国家資格を日本人で初めて取得した人なのだ。

トーンマイスターに関しては、もう何回も日記で取り上げてきたので、今更深くは言及しないが、まさにドイツで始まった教育制度で、単に録音技術だけではなく、音楽学、作曲法、音響工学、電子工学などを総合的に教育される音の職人のこと。


日本で現在レコーディングエンジニアをやっている人で、このトーンマイスターの資格を持っている人は、じつは皆無なのだそうだが、平井さんは、その資格をきちんと取得した日本でも希有な職人なのだ。1970年代にデトモルト音楽大学に留学して理想論からピアノ、チューバなどの実技までをこなすと同時に、ドイツ各地でカール・ベームやカール・リヒターらの録音現場に立ち会う生活を送った。そしてこの資格を見事に取得したのだ。


マイスター平井さんの存在は、確かに昔、マイミク友人さんにコメントで指摘されて、その存在は記憶にあった。でもこうやって自分で学んでみて、”いまこのとき”に初めてその存在をしっかり理解でき認識できた。(笑)


世の中ってそういうもんだよな。


そのマイスター平井さんの録音のこだわりは、「シンプル」であること。

ちょうどコンサート・ホールの一番いい席で体験するような自然な音場を再現するために、まず、2本のマイクを1か所に立てるワンポイント録音を採用する。

収録する作曲家にふさわしい「響き」に演奏家の「個性」、そして楽器ごとの「バランス」などを勘案し、全てを満たした「一点」を広いホールの空間から探し出すという至難の業。

そこで生かされるのが、トーンマイスターとしての平井の鋭い耳と、経験と、なにより感性なのだそうだ。

更に、マイクにもこだわる。トランジスタ・マイクが録音現場の主流となっている中、ナチュラルで、奥行きのある音を求めて、マイスター平井は真空管マイクを使用。スウェーデン人、デットリック・デ・ゲアールが作る、世界で数組しかないというそのマイクは、高さ27cm、重さ2.2kgという世界一の大きさを誇る。

book02[1].jpg



これが平井さんの録音の秘密を生む必須アイテムなのだ。

今回の池田さんのアルバムは、大田区民センターの音楽ホールで収録されているのだが、池田さんは、このマイクの前で吹いていたに違いない。(笑)

マスタリングの部分も拘りがあって、編集が済んだハードディスクから直接CDの原盤を作る、ダイレクト・カッティング方式で臨場感のあるサウンドを作るのがポリシー。でもこれは確かにそうなんだけれど、実際は大量マスタリングなどでは、大量生産に向いていないしコストも高くつく。

今回のクレジットを見ると、制振合金「M2052」によるマスターディスクを使用してのカッティングとある。

日本で唯一のトーンマイスターの資格を持つマイスター平井さん、そして拘りのある真空管マイク、そしてダイレクトカッティング。

マイスターミュージックというレーベルは、こんなに高音質に拘りに拘りぬいたレーベルだったのだ。

池田昭子さんは、過去7枚のソロアルバムは、すべてこのマイスターミュージックからリリースしている。

オーディオファイルの自分にとって、この部分は相当反応してしまった。

じゃあ自分が聴いたそのサウンドの印象はどうなのか?


それは確かにいままでのオーボエ・ソロ作品集では聴いたことのない、ある意味変わったサウンドであった。自分はいままで体験したことがないと言える。

まず、オーボエの録音レベル、音圧が異常に高い。
再生した途端、自分は思わず、プリのVOLを普段聴いているポジションから10dB下げたくらいだ。

かなり近接的な録音で、オーボエの音が前へ前へ出るという感じのエネルギー感溢れるサウンド。オーボエの録り方でこのように聴こえる作品は珍しいな、聴いたことないな、と思った。


オーボエ・ソロ作品に多いのは、背景の空間をある程度広めに認識させて、オーボエをややオフマイク気味に録って遠近感を出させるようなサウンドが多いのだけれど、池田さんの作品は、空間はさほど主張せずに、どちらかというとオンマイク気味で、その音圧、録音レベルが高いという感じ。コンサートホールの最前列やかなり前方の至近距離で聴いている感じで、オーボエの音がかなり強調されているような印象を受ける。


それで、驚くのは、その解像度の高さ。池田さんの息継ぎの音がはっきり聴こえるのが驚きなのだ。かなり生々しく聴こえる。これは例の真空管マイクの解像度が高いことを意味している。

ピアノのペダルノイズが聴こえたりとか、演奏者のブレスが聴こえたりとか、いわゆる演奏ノイズが聴こえるのは、自分のオーディオシステムの解像度の高さを試されているみたいなのだが、この部分には、ひたすら驚いた。

演奏に集中できなくなるほど目立つのも困りものだが、こういう暗騒音、演奏ノイズというのは、演奏にある程度の臨場感を与える上でもとても効果的で、自分は肯定派だ。

非常に解像度の高い一種特徴のある優秀録音だと思った。マイスター平井の作風ですね。他の小編成の室内楽でも聴いてみたいです。

素晴らしい録音だと思う。ただのCDです。もうこういう次元だと、SACDだから、とか、ハイレゾだから、とかのスペックって関係ないとつくづく思う。やはり”録音がいい”、というのは収録、編集のステージのところで決まっちゃうもので、ここの段階が高い水準のものは、ユーザへ届けるスペックなんて、どれを使おうが関係なくて、みんないい録音に感じるというのは真実の定説なんだな、ということをますます意を強くした。

せっかくの池田さんのディスクレビューなのに、結局また自分のテレトリーで話をして申し訳なかったですが、どうしてもここに反応せざるを得ず、オーディオマニアのオーディオマインドをくすぐるじつに秀逸な録音に仕上がっているディスクだと思う。


これはぜひお薦めです!






nice!(0)  コメント(0) 

残響7秒! 東京カテドラル聖マリア大聖堂 [教会]

東京にもこのようなところがあったんですね。知らなかった。SNSの投稿で知りました。さっそく自分も体験してきました。東京の目白駅からバスに乗るので決して地の利はいいとは言えない。

「東京カテドラル聖マリア大聖堂」は世界に名を馳せる丹下健三作品の代表とも言える建築のひとつ。国内でどうして見ておかないといけない名建築のひとつとか。

25e055d863385a41d2bf0c902c0d71c3d10efdae[1].jpg



まさに圧倒される大空間。

DSC01553.JPG
                                                     
                                                     
DSC01557.JPG
                                                    
                                                      
DSC01559.JPG


壁面は、コンクリート打ちっぱなしの反射オンリーのすごい世界。
三角錐の特殊の形をしている。

構造は東京大学坪井研究室により、音響設計は石井研究室にておこなわれた。
その特殊な内部形状から、特に残響時間の計算結果には特に苦労されたそうな。

当初設計では残響時間がなんと20秒。(笑)

これでは音楽はもとより、司教の言葉も参列者に明瞭に伝わらない。

そこでいろいろ工夫をおこなった。

DSC01555.JPG



このように三角錐の天井には、明らかに吸音材と思えるクッション性のものが敷き詰められており、天窓の役割を果たすそうだ。自分は夜間に行ったのでわからないが、昼間だとこの天窓から陽が挿し込むのだろう。

SPも壁面に所々に埋め込まれており、司教のスピーチはPAを使うので、そのために使用される。


これで、現在の残響時間が7秒!

世界の音響のいいコンサートホールとよばれるホール空間で、残響時間は2秒がスタンダード。

残響時間が7秒というのは、自分が数多経験してきた空間では想像できない値だった。相当響きが混濁している空間に違いない。だってこのぐらい長ければ、残響が消えないうちに次の発音がどんどん重なる訳で、混濁必至だと思った。

こういうところで、音楽会などの演奏会を開いたら、演奏者は残響&響きと自分が出す音量バランスとの兼ね合いを相当意識しないと、かなり難しい音響空間なんだろう、ということが容易に推測できた。

ちょっと経験するのが怖い感じがした。

自分が経験したのは、「オルガン メディテーション」というミサの一種で、司教の言葉、福音書をみんなで朗読しながら、一緒に歌い、そしてオルガン演奏で瞑想に浸るというもの。

ミサは、圧倒的に8割から9割方女性信者で、大聖堂が満員になるほどの大盛況だった。

DSC01563.JPG



なんか、こういう空間を経験すると、3年前に訪れたライプツィヒのトーマス教会やニコライ教会の礼拝(カンタータ礼拝)を、思い出した。

もうそっくりだ。(笑)

現地の地に根付いた礼拝という儀式は、日本では経験できないことで、まさにキリスト教に基づいたヨーロッパ市民の日常生活。礼拝ってなんと音楽に富んでいるんだろう。。。そんなことを体験した3年前だったが、まさにそれを思い出した。


オルガンは、大聖堂の背面にある。
2004年に設置された新しいオルガン「マショーニ・オルガン」。

DSC01554.JPG



ヨーロッパの教会は、オルガンは、教会の背面の天井近くに存在するのが普通だ。
ここの大聖堂もいかにもヨーロッパ風な造りだと感じた。



さて、自分が感じたその音響空間の印象はどうだったか?

あくまでオルガンの音色だけの印象だが、そんなに思ったほどの混濁空間ではなかった。
というか、どちらかというと、極めてノーマルに近い音響で、確かにライブではあるが、残響7秒というのはどうなの?というレヴェルだと感じた。

せいぜい残響3~4秒くらいの空間ではないだろうか?

ちょっと拍子抜けした印象だった。
音質は確かに石造りのピンと張り詰めた硬質な響きだということは感じた。

でも、この程度の音響空間なら、教会や大聖堂なら、極めて普通の部類だと思った。

あたりをグルグル見回していろいろ考察してみると、やはり天井が決して高くないと思ったこと。ある意味低い部類に思える。大聖堂としては、容積もそんなに広いほうではないと思う。

天井にす~っと突き抜けていくような音のヌケ感というのを感じないのは、そこが原因なのかな?とも感じた。2Lのソフトで、映っていた大聖堂の空間のほうがスゴイ広い空間だし、天井もとめどもなく高く、突き抜ける高さがある。(残響時間の長さは容積に起因します。)

オルガンの演奏も聴いたのだが、どうも分厚い低音の量感みたいなものも感じず、やや欲求不満だった。これはたぶん演奏の演目によるものだと思う。「瞑想」がテーマなので、そのような乱暴な曲は選ばないだろう。

大聖堂内には開始時間より2時間近く早く入ったのであるが、そこで調音やリハーサルをやっていたときに聴いたときは、凄かったのだ!

まさにオルガンのあの分厚い音の洪水に、自分が包まれるような感じがして、「おー!これは来るなー!」と相当期待していたのだ。

でも本番の音楽は大人しかった。(笑)

ということで、ちょっと梯子を外された感じの印象だったが、でもこれはオルガンの「瞑想」テーマに合った演目だけで判断してはいけない。ふつうの演奏会では、きっともっと、とても魅力的な音響空間、それこそ噂の名評判に合った体験ができるのだと思う。

第一音響空間を経験するだけが目的の不信者(笑)ではなく、きちんとミサを経験すること自体が、ここに来ているみなさんの本来の目的なのだから。


この東京カテドラル聖マリア大聖堂で、12/4の素敵なクリスマス・コンサートが開催される予定です。本来なら、こちらを目指したかったのですが、それまで待てませんでした。

2017hopewith[1].jpg



アヴェマリアやクリスマス・キャロルなどのクリスマスムード一色の素敵なコンサートです。
まさにこの内装空間の神々しい雰囲気にピッタリだと想像します。この空間では、きっと素晴らしいコンサートになるはず!


ぜひ体験してみてください!







nice!(0)  コメント(0) 

永田音響設計の豊田泰久さん [音響設計]

永田音響設計の豊田泰久さんについては、もういまや「時代の寵児」的な扱いでメディアで取り上げられていて、もうその生い立ちから、音響設計という仕事に関してまで幅広く触れられている。もう今更、一般庶民の自分が言及することなんて、恐れ多いというか、もうほとんど言うことはない。 

toyota01[1].jpg



でもコンサートホールのことが好きで好きで、愛してきた自分。


取り分け、「コンサートホールの音響」の考え方について極めて関心が高く、本当に我流、独学でいろいろ研究してきた。

国内のホールでは満足できず、ぜひ海外のコンサートホールやオペラハウスを経験したい、ということで、長年実践にも移してきた。

そして先だって、「コンサートホールの音響のしくみと評価」という全7編に渡る自分の総決算の日記を書いた。

ある意味、この日記の連載で、自分の溜飲は十分に下げたかな、という気はした。
専門家の方からすると、この内容が正しいかどうかは本当にお恥ずかしい限りなのだが、とにかく自分が長年やってきたことのひとつの区切りをつけた意味合いが大きかったのでは、と感じている。

そういう経緯があるので、自分の日記で、どのような形でもいいから、豊田さんのことを、自分独自の興味ある視点、観点から、日記のテーマとして取り上げてみるのが、ひとつの礼儀、マナーなのかな、という気がしていた。


もうすでにいろいろな記事が出回っているので、ありふれた内容の紹介は避けたい。
豊田さんのインタビューで、自分のアンテナにビビッと引っかかったところ、名言を抜粋して、自分のコメントを添えて、ちょっと自分のカラーを出してみる。。。そんな程度の感じ。

豊田さんのいままでのインタビューを読んでいると、やはり一般市民向けということもあるし、あと自分の仕事についてのノウハウに関することはあまり口外しない、ということもあるのか、自分にとっては表面的で、正直かなり物足りなく感じることも多い。(笑)




豊田泰久という人物の存在を知ったのは、いまから4~5年前くらい。

ネットやSNSにインタビューが掲載されていて、それを読んで、へぇー自分がよく経験しているホールの音響設計は、みんな豊田さんがやっていたんだな?という驚きだった。いまみたいな寵児的扱いでなくややマイナーで、この分野に自分は拘りがあるので、ちょっと気になる人ではあった。(笑)

永田音響設計の従業員は20名しかいないそうだ。少数精鋭なんですね。驚きでした。



豊田さんがメジャーとなるきっかけになった出世作は、1986年のサントリーホール。

Japan-Shaping-Sound_Tomi-625x378[1].jpg



当時は、コンピュータなどなかった時代なので、コンピュータシュミレーションによる反射音のパターン解析など、じつに膨大な計算量を手作業で行なわなければならなかったとか。

自分は、まず、ずばりコンサートホールの「音響設計」ってどういう仕事なの?という大きな疑問があった。

いまでこそ豊田さん人気で、脚光を浴びてカッコいい響きもある「音響設計」という仕事。

建築音響という学問は、自分もコンサートホールやその音響の仕組みを知りたくて、ずいぶん専門書を買い込んだのだけれど、でもそこはまさに数学、物理学の数式の世界。そんな華やかな世界とは程遠いじつに地味で大変な世界なのだ。

コンピュータシュミレーションの出現は、この世界に大きな革命をもたらした、と言っていいと思う。


自分の友人に、建築音響関係の仕事に携わっていた方がいて、昔、その方から簡単だけれど話を聞いたことがある。昔に聞いた話なので、記憶が曖昧で申し訳ないが、こんな感じだったと思う。

コンサートホールを設計&建設するということは、まずスポンサーというか興行主がいて、この方たちがどのようなコンサートホールにしたいのか、しいてはどのような内装空間にしたいのか、指針を立てる。

もっとも大事で大きなポイントとしては、とどのつまり、どういう音楽ビジネスをやるホールにしたいのか?というビジネス面からの考察がまず最初に来る。

つまりこれを大枠として、まず決める。とにかくこの方々の意見がまずは1番影響力が大きい、と聞いた。

なにせスポンサーなのだから。


そこに施工主&設計事務所が絡んでいって、その内装空間のデザイン設計をさらに細かく詰めていくのだという。

こういうホールの建築というのは、まさに行政も絡んできて、本当に大変なBIG Project。普段の自分の日常の世界では想像もつかない。

もちろん自分は建築は門外漢なのだが、音楽ホール設計ならではの専門の設計ポイントが絶対あるはず。

どういうホール形式にして、ステージをどこに配置して、観客席をどう配置して、その観客席からのステージの見え方(SightLine~視覚線)をどうするのか?ステージ床下の構造・・・などなど、まさに音楽ホールならではの専門的スキルポイントが数多あるはず。

音響設計というのは、その後に来るものなのだ。

まず、ホールの音楽ビジネス形態、そしてホールの内装空間デザインの大枠コンセプトが決まらないといけない。

豊田さんのインタビューで、「音響設計の仕事は、突き詰めると、部屋の形と材料を決めること」と断言している。建物そのものを設計する建築家と相談しながら、どういう形状の反響板や反響壁をどこに置くかなどを考える。

最近は、反響板の形や材質もさまざま。

ハンブルグのエルプフィルハーモニーのあらゆる壁面には、ホワイトスキンと呼ばれるこんな貝殻状の凹凸がある。反射音をホール内に均一密度分布で拡散させるのが目的。これも音響設計の大事な役割。

073[1].jpg



ホールの音響って、どこで決まるファクターなのか?

ホールの形状、壁、天井、床の材質、容積、反響板の設置、こういったところで、ホールの音響って決まるはず。

そうすると、プロセスとしては1番最後に来るものとはいえ、内装空間のデザインを考えていくのと同時に、こういった条件を設計事務所の方々と議論しながら、進めていく。


音楽のコンサートホールにとって、音響は命。この音響面という立場から、施工主&設計事務所と協議を進めながら、内装空間を仕上げていく仕事が音響設計なのだろう。


もちろん容積が大きな要因になる残響時間とか、壁、天井、床からの反射音のシュミレーション、反響板の設置位置とか、そのホール内の音の流れを十分にシュミレーション、解析するのがそのときの大事な仕事。

なにせコンサートホールなんて建ててしまって、実際の音響は全然ダメでした、取り壊してやり直します、なんてのができない世界。

できるまでが勝負。慎重に慎重を重ねる。

そういった意味でコンピュータシュミレーションの登場ってこのビジネスに革新的な進歩をもたらしたのはよく理解できる。

でもそういったシュミレーションでもどうしても解決できない細かいポイントがあって、それを実際に確認するには、やはり1/10くらいの縮尺の模型を造って反射音、音の流れのシュミレーションをチェックするのだそうだ。

音響設計家の中には、模型を造らない人もいるらしいが、豊田さんはかならず模型は造る派。

古い写真で恐縮だが、下記の写真は、カラヤンのベルリンフィルハーモニーを作成するときに造った模型。当時はコンピュータシュミレーションなんかなかった時代だから、模型での実験は大事なプロセスだった。

25940505_2011724641_251large[1].jpg



「オーケストラ奏者や聴衆の人形も10分の1。その中の音の波長も10分の1になるのだけれど、音の速度は変わらないから周波数が10倍になる。だからまず話し声や音楽を普通に録音して、模型の中で10倍のスピードで再生する。キュルキュル キュルキュルっていう音。それをまた録音して今度は10分の1の速度で再生するとホールの中の響きがそれについてくる。これが基本的な理屈です。

模型実験で計測できるのは物理的な特性なので、ホールが出来上がったときに良い響きになるかまでわかるわけではありません。模型の目的はいわゆる変なエコー、例えばステージの上でパンって手をたたいて、エコーが遅れてパパンと返ってきたり、人間が片耳で聴いているときにはエコーとして聞こえないけれど、両耳で聴くとエコーが聞えるといったことを検知するのに適しています。」

・・・だそうだ。(笑)



もちろん建築中の出来上がってきてからの音響調整も大事な仕事。至る場所で残響時間を測定して、ここの部分にもうちょっと吸音材を貼るとか、そういうカット&トライの作業も後工程で多い、と聞いた。


我々、聴衆の立場からすると、コンサートホールの座席によってずいぶん音響が違って聴こえるのはどうしても遭遇してしまうことだが、設計する立場からすると、もちろんすべての座席に均等な音響で、ということを念頭に設計している。

でも実際現物ができると、どうしてもスィートスポット、デッドスポットというのはできてしまうものなんだろう。

難しい永遠の課題ですね。




豊田さんが関わるホール形状は圧倒的にワインヤード・スタイルだ。

別にシューボックスを否定する訳ではなく、やはりそこには収容人数のキャパの問題があり、現代のニーズに合わない。

最近のクライアント側の要望は、圧倒的にワインヤードが多いそうだ。

シューボックスの音響的な利点を出すためには横幅の制限があるので、大きくするには客席を縦に広げるかバルコニーを深くするかになる。でもバルコニーの下は音響的に難しいし、妥協しなければならないことがたくさん出てくる。そうするとどの客席からもステージが近いというワインヤード・スタイルの利点が出てくる。

でも単にそういう技術的な観点だけではなく、もっと違う意味合いで、ワインヤードの最大のメリットは、「intimacy」という独特のキーワードを使って説明されていらっしゃる。

日本語で言うと親密感とか親近感。

シューボックスだと ほとんどの席がステージを向いているので他のお客さんは基本的に背中や後頭部が見えるだけで顔は見えない。それに対してワインヤードでは他のお客さんもエキサイトしている顔が見える。

そういう意味で、親密感。

確かにワインヤードって昔からステージとの一体感が売りな訳で、そういう意味で他のお客の顔が見える、というのは、その波及効果ですよね。


ワインヤード型のホールの音響設計は難しい。もともとが音を反射する仕組みになっていないので、その仕掛けを造るにはある意味ノウハウがいる。ワインヤードのホールは、どう設計すればいい音響ができるのか、もう大体経験上わかってきたそうだ。





とにかく最近のワールドワイドな活躍は素晴らしい。世界の話題の新しいコンサートホールの音響設計には、必ずその名前を連ねているのではないだろうか。

いままで携わってきた作品として、サントリーホール、札幌コンサートホールKitara、京都コンサートホール、フィルハーモニー・ド・パリ、ピエール・ブーレーズ・ザール、そして話題のできたてほやほやのエルプルフィルハーモニー・ハンブルグなど、数えきれない。

自分は、1人の人間がこんなにすべてに関わって駆け回るってありなのかな?とも正直思ってしまう。でもそこは実力、評判の連鎖がものをいう世界なんですね、きっと。


最近のニュースでも、たとえばロンドンの新ホール。ロンドンといえば、まともなコンサートホールがないことで有名だが、ついにワールドワイドなコンサートホールを建設することを公式発表した。

ベルリンフィルを退任するラトルがロンドン交響楽団(LSO)に就任するとき、ロンドンに新ホールを建設することが条件だったとか。(確かにいまのLSOの本拠地のバービカンセンターじゃ、ラトルのプライドが許さないだろう。)音響設計は永田音響設計。ここも豊田泰久さんが絡む。

設計事務所は、ニューヨークとロンドンに拠点を置くDiller Scofidio + Renfroというデザイン・チーム。London Centre for Music projectと題してプレス発表されている。2.5億UKポンドのファンディングを募って臨む。



また下の完成予想図が2021年に完成するBR(バイエルン放送交響楽団)の新ホール。ミュンヘンに建てられる。モダンな外装と内装空間デザインである。このホールの音響設計も豊田さんらしい。


860x860[1].jpg


940x528[1].jpg



BRの本拠地ホールとして新しいホールをミュンヘンに建設するというのは、ヤンソンスの長年の祈願であった。

ヘラクレスザールは音響は素晴らしいが、楽屋や事務局のスペースが今日のインフラ基準に照らしてあまりに狭いし、ガスタイクのフィルハーモニーはあまりに音響が悪い、ということで、ずっとミュンヘンに新しいホールが欲しい、ということでヤンソンスが祈願していたのだ。これを理由にベルリンフィルの次期首席指揮者レースも辞退している。


ヤンソンスは、かねてより、日本のコンサートホールの音響の良さ、ホールとしての水準の高さを絶賛していて「サントリーホールと愛知芸術劇場コンサートホール、 札幌コンサートホール Kitara、ミューザ川崎シンフォニーホール。この4つが私にとって理想のホールで、ミュンヘンにも同水準のホールがほしいと長く願ってきた」と、日本の音響設計への信頼を明らかにしていたくらいだ。



なんか笑い話で、こんな話も新聞の記事に載っていた。ある元日の朝、ゲルギエフから電話がかかってきて、「いまサンクトベテルブルクでヤンソンスと食事をしているんだが、札幌と川崎、どちらの音がいいか、議論になった。君はどう思う?」

「マエストロのお子さんは何人ですか?」「どのホールも自分の子供。優劣などつけられない。」





最後に、これはあるインタビューでの発言で、豊田さんの名言だと自分は思っているのだが、紹介しておこう。



ホールの音響とオーケストラ伝統の音との関係。

例えばウィーンフィルはどこで演奏してもウィーンフィルの音が出るし、モダンなデザインのホールではウィーンフィルの特徴は出ないというわけにはいかない。だからホールの音響というものは普遍的でジェネラルなもの。

ボストン交響楽団のサウンドはどういうものですかと言ったら、皆イメージするものがある。でもそれはボストン・シンフォニーホールが出来たときに最初からあったわけではなく、そこで長い間やっているうちに我々の中にできあがったものであって、新しいホールをつくるときにはそういうイメージはないのではないだろうか。


だから例えばエルプフィルハーモニーがオープンして、NDR(北ドイツ放送)エルプフィルハーモニー管弦楽団がそこでレジデンス・オーケストラとして、これからその伝統を作っていく。


新しいホールの響き&オーケストラの伝統のサウンドは、ホールを作った時にはなにもなくて、そこのレジデンス・オーケストラが長年かけて、そのイメージを作っていくもの。




この分野で、こんなスーパースターの日本人が存在して1人で世界を駆け回っているなんて、本当に驚く限りで、我々日本人の誇りだと思うが、そんなこと実現できっこなくて恐れ多いことだが、お話しする機会があれば、かねてより自分が疑問に思っている数多なことなど、いろいろ突っ込んだお話をしてみたい気もしたりするのだ。(笑)









nice!(0)  コメント(0) 

2Lのマルチフォーマット音源 [オーディオ]

高音質指向型のマイナーレーベルと言えばPENTATONE,BIS,Channel Classics, CHANDOS,RCO Live,SIMAX,そしてmyrios classicsというところが、自分の愛聴している定番のレーベルであった。

北欧のレーベル 2Lの存在は、もちろんよく知っていたが、不思議と所有しているディスクは少なく縁がなかった。

今回、3Dサラウンド、イマーシブオーディオとか立体サラウンドと呼ばれるDolby Atmos/Auro-3Dなどのデモソフトとして急に脚光を浴びた感じだった。

デモソフトとして重宝がられる理由は、同一音源を、SACD,LPCM 2.0,DTS HD Master 5.0,Dolby Atmos 9.0,Auro-3D 9.0 とマルチなフォーマットでエンコードしていて、会場でフォーマットの違いによる聴き比べができるからだ。

SACDと、後半の4フォーマットは、Blu-ray Audioに格納しての2枚組としてパッケージされている。BD Audioのほうは、静止画のメニュー画面のオーディオ設定のところで、フォーマットを切り替える。

こういうマルチなフォーマットを全部対応してくるというのは、かなり音質に拘る高音質指向型のレーベルだといえる。

2Lは業界初で、BD-Audioを導入したレーベルだそうで、そういった大容量の物理媒体を手に入れたからこそ、こういう芸当が実現できたのだと思う。

自分が聴いてみて、驚いたのは、録音が素晴らしいのだ。

かなりいい。

後述するが、録音場所に拘りを持っていて、その空間の捉え方が絶妙で、なんか独自のカラーというか、トーンポリシーを持っている感じがする。

かなり強烈で独特なサウンド。

2Lについては、AV雑誌のAV REVIEW Vol.264に詳しく特集が組まれている。大変参考になった。

ぜひご覧になってみてください。

ここでもちょっと紹介してみる。

2Lはノルウエーのオスロで2001年に誕生したレーベル。北欧ならではの音楽を制作したいというモーテン・リンドベルグ氏によって設立された。

モーテン リンドベルグ.jpg
モーテン・リンドベルグ氏



17434825_1306213919414031_5612153161386269224_o[1].jpg
2016年11月にドイツ・ケルンメッセで開催されたトーンマイスターグング2016での公開ディカッションにも参加した。(1番右)




2Lの録音の特徴は、3次元の2L-Cubeと呼ばれる独自のメインマイクアレイを使用していること。

2L-Cube

2L cube-1.jpg


2L cube-2.jpg



写真を見ていただければ分かるように、上下の2段構成になっていて、下段のほうが、L,C,R,SL,SRの5本の水平サラウンドの配列になっている。

そして上段のほうが、その真上に存在するハイト・チャンネルの4本のマイク。

補助のピックアップはほとんど使わないそうだ。

編集のときも、イコライザーやダイナミックレンジの処理をほとんどおこなわないことをモットーにしている。これはあくまで自分の推測だが、そういう処理が必要ないのは、その録音をおこなっている場所、ロケーションによるところが大きいのだと思う。

彼らが録音をおこなう場所は、大抵が北欧の天井の高い教会や大聖堂の大空間。だから天然エコーなのだ。もうその時点で、そういう空間&アンビエンスを,十分なレンジを確保さえして収録すれば、余計な人工的なイコライザー、ダイナミックレンジの処理はやらないのだと想像する。

2Lのサウンドは、いかにもそういった大空間の感覚が味わえ、残響感たっぷりの天然エコーにまみれたサウンドという感じなのだ。

特に高さ方向の空間をかなり強烈に感じる。上の方向に突き抜ける感覚というか。

聴いていると、まさにその教会、大聖堂の空間に自分がワープした感覚に陥る。

昔、長岡鉄男先生の長岡ソフトと呼ばれたオーディオファイルなら誰でも知っている「カンター・デ・ドミノ」。あれのサラウンド・ヴァージョンだと思ってくれればいい。(笑)

それプラス透明感が増した感じ。

2Lのサウンドの特徴を一言で言えば、そんな感じなのだ。

そして、もうひとつの2Lの収録の特徴と言えば、収録現場の空間の残響成分をリアに振り分けるという一般的なサラウンドの手法というよりは、マイクを中心に置いて、演奏者&楽器をぐるりと円形に配置すること。

882627_609367749098655_1305330147_o[1].jpg


Magnificat-6[1].jpg


193559_191230524245715_4051862_o[1].jpg



こうすることで、すべてのチャンネルを同等に利用したサラウンド手法が彼らのやり方。確かに彼らの録音を聴いてみると、フロントL,C,RとリアのSL,SRの成分が、直接音、残響音の関係というより、5本から同等に直接音が出て合成されているサラウンドなのだ。リアから確かにダイレクトの音が聴こえる。

もちろんハイトチャンネルに関しては、高さ方向のアンビエンス、残響音専門となる。


こうすることで、演奏家自身が体験する響きに近づき、聴いている側が、演奏家同士のやり取りなどが体感できるなどの効果があるのだそうだ。

先述のトーンマイスターグング2016での公開ディカッションでも創立者モーテン・リンドベルグ氏は、この演奏者&楽器とマイクの配置関係について自分たちの独特のカラーを打ち出す特徴だと述べていた。


ただいつもこういった配置関係で録音しているか、というとそうでもなくて、マイクに対して普通の位置関係での場合もある。ケースバイケースなのだろう。

下の写真は、いたって普通。昔は普通配置だったのかな?

193450_191236387578462_1679546_o[1].jpg


902198_516245311744233_821578423_o[1].jpg


919700_517010178334413_477404836_o[1].jpg



そんな独特の2Lサウンド。

2枚ほど、購入してみて聴いてみた。2枚とも、バランスエンジニアは、創立者のモーテン・リンドベルグ氏が直々にやっている。 


062[1].jpg

「マニフィカト~アルネセン、カーニス、ヤイロ」
トロンハイム・ソロイスツ、ニーダロス大聖堂少女合唱団、他
(SACD+ブルーレイ・オーディオ)


https://goo.gl/kT8Zpj


ニーダロス大聖堂少女合唱団と、1992年の創設から合唱団を指揮する芸術監督アニタ・ブレーヴィクの委嘱による作品。合唱、オルガンと弦楽オーケストラに、曲によってソプラノとピアノが加わる。

ノルウェー、トロンハイム、ニーダロス大聖堂で収録された。
まさにこんな大空間!


1462830_609368375765259_186161425_o[1].jpg


2Lサウンドで3Dサラウンドの代表作とも言える作品。
透き通った合唱の声やソプラノが、天井方向に突き抜けるように抜けていく感覚は圧巻。
恍惚に浸れる。そしてなによりも音楽が美しいウットリするような調べなのだ。

透明感があるサウンド。天使の音楽、そんな感じですね。
じつに秀逸な作品だと思う。ぜひお薦めの1枚です。 


875[1].jpg


「わたしの愛も~現代合唱作品集」 
ニーナ・T・カールセン&アンサンブル96
(SACD+ブルーレイ音声ディスク)

https://goo.gl/5Brxiv


オスロの室内合唱団「アンサンブル 96」のアルバム。
オスロのウラニエンボルグ教会で収録された。

2Lディスク.jpg



これは、じつはまだ届いていない。(笑)
でも先日のシアターAVショップでのAuro-3Dデモのときに先行で聴かせてもらった。
合唱が全体を成すアルバム。これもじつに美しい声のハーモニーが織りなす音のさまに圧倒される。やはり同じ2Lサウンドのカラーで、天然エコーで突き抜ける高さを感じる秀逸なサウンド。
早くじっくり聴いてみたい。


2Lサウンドに接してみた印象は、じつに録音がよくて、透明感のあるサウンドで驚いた。高音質指向型で拘りのあるオーディオファイル向けのレーベルだという印象を抱いた。


逆に考えてみると、いち早く3Dサラウンドの導入を決めたのも、単に新技術に敏感に反応するという先進的な立ち位置もさることながら、彼らの環境が、教会、大聖堂が豊富に存在して、そこを録音の本拠地にしているというところが、”高さ”を必須条件としている立体サラウンドにも合致したのだと確信してきた。

誉めてばかりもなんなので、敢えて辛口のコメントを一言、言わせてもらうと、ある意味ワンパターンかな、という感じもしない訳でもない。いわゆるどのアルバムを買って聴いても全部同じに聴こえるという・・・。

北欧の教会、大聖堂の大空間の天然エコー、突き抜ける高さ、透明感のあるサウンド、合唱、女声ソプラノ。。。


これが2Lサウンドのキーワード。

自分は、普通にコンサートホールでオーケストラを聴きたい、室内楽を聴きたい、というアベレージな欲望もあるので、そういった意味で、2Lはたまに聴くなら最高。録音もいいし、という感じの位置づけかな。


でも、それがトーンポリシーなんだからいいのだ、と思う。自分のレーベルのサウンドのカラー。どのレーベルでもその録音の特徴が各々違っていて独自の特徴、独特のカラーがある。

だから、これが2Lのトーンポリシーと堂々としたこれだけのカラーを打ち出せているのだから、立派なものだと思えるのだ。






nice!(0)  コメント(0) 

SACDとBlu-ray Audio [オーディオ]

3Dサラウンドは、音声のコーデックがPCMのハイレゾなので、それをさらに9.0ch分とかなると、記録媒体のお皿の容量は、大きいものを使わないと、その巨大のデータを格納できない。

いままで、デジタルオーディオの記録媒体といえば、CDとSACD、そして最近になってBlu-ray  Audio(以下BD-Audio)、そして映像用のBlu-ray(以下BD)とある。


yjimage[3].jpg



SACDというのは、じつは物理媒体としては、DVDのディスクを使っているのだ。

昔、DVDフォーマット戦争のときに、ソニー・フィリップス陣営と東芝陣営が争ったときに、ソニー・フィリップス陣営が主張していたお皿を、そのままSACDの物理媒体として採用しているのだ。(SACDはソニー・フィリップスのフォーマットです。)

だから記録容量は、4.7GBしかない。

そのソニー・フィリップス陣営のDVDのお皿の中に、格納する音声信号の処理の仕方がDSD(DirectStreamDigital)を施して納めているのがSACDだ。

DSDとPCMのコーデック(信号処理)の違いはこれ。

上がPCMで下がDSD。

DSDPCM.jpg



PCMは、音声の原信号を、あるサンプリングタイム(サンプルする時間軸の幅)で振幅を、デジタイズしていくやりかた。

このサンプリングの間隔が狭くなるほど、ハイレゾな訳で、CDで、44.1KHz、ハイレゾになると48KHz,96KHz,192KHzとなっていく。

狭くなれば狭くなるほど、原波形に近い形にデジタイズできる。

一方で振幅方向の細かさは、ビット深度と言われ、CDは16bit(2の16乗の細かさ)、ハイレゾになれば、24bit,32bitとなっていく。ビット深度も大きくなればなるほど、振幅方向に細かくデジタイズ(高さの表現の細やかさ)できる。

結局PCMは、この縦(振幅)と横(時間軸)の細かさで、ハイレゾの度合いが決まる。

ハイレゾとは、縦(振幅軸)や横(時間軸)でサンプルする間隔が細かくなるので、それだけ原波形に近くなり、それイコール、デジタル化された後のデータ量は膨大になっていくことを意味する。



一方で、DSDは、音声の原信号を、ビット深度は1bitで固定、その1bit波形のパルス幅を可変させてその幅の長さで原信号を表現していく。

ある意味パルス変調みたいな感じ。サンプリング周波数(つまりこの場合は幅の長さの細かさに相当する)は、2.822MHzとかなり高い。

だから、こういう波形処理なので、DSDってある意味、原波形のアナログ波形に近い形で表現できるわけで(この波形をD/Aすればそのままアナログ)、それがSACDはアナログに近い音で、柔らかい質感と呼ばれる所以である。その原因は、その音声処理のコーデックの仕方にあった。空間が広く録れる感じもこちら。クラシックはこちら。(ジャズもSACDが多いです。)

逆にPCMは振幅単位でデジタイズして、サンプリング周波数もKHzオーダーなので、いわゆるガクガクの波形であって、いわゆるメリハリがあってアタック感がある明瞭な音の質感と言われている。ロックやポップスはこちらかな。

DSDのハイレゾは、このパルスの幅の間隔の表現が細かくなっていくことで、もちろん細かくなればなるほど、原波形に近い形で表現できることを意味する。(それイコール、データ量がどんどん多くなる。)

SACDで、2.822MHz、そしてハイレゾとして、5.6MHzと11.2MHzがある。

でもこういうパルス変調の場合、サンプリング周波数が高くなるほど、こういう変調方式で、しかもPCMと違って、もともとのサンプリング周波数が高い訳だから、それをさらに何倍かに逓倍処理したら、それこそノイジーになる傾向になるのは当たり前で、必ずしもハイサンプリングになればいいとは限らないと聞きます。サンプリング周波数をどんどん上げていくほど、音質が上がるように感じる聴感カーブは、停滞気味になるらしい。リニアじゃないのだ。これはサンプリング周波数が低いPCMハイレゾでも言えると思います。


PCMのハイレゾの2chやサラウンド5.0ch(5.1ch)、そして3Dサラウンド9.0ch(9.1ch)を格納するのがBD-Audioや映像BD。BDは、片層25GB、両層で50GBで大容量。

だからハイレゾのような大容量のデータを格納できるのはBD。ましてや3Dサラウンドのような9.0chのような多チャンネルのハイレゾの大容量データを格納できるのは、もうBDしかない。

映像ソフトの場合、5.0(5.1)サラウンドの場合、DTS HD Masterというロスレスの圧縮をかける場合が多い。これは決まったお皿の容量に、映像ソフトと音声ソフトを格納しないといけないので、音声は圧縮するためである。

3Dサラウンドの場合は、いまのところ圧縮しないで、そのままPCMハイレゾの多チャンネルで格納されている場合が多い。(たとえば、Dolby Atmosは、PCM 48/24,Auro-3DはPCM 96/24)

あくまで私観としてだが、BD-Audioはフォーマットしては、マーケット的に正直成功しているとはまったく言えないのではないか、と思っている。

再生するのに、メニュー設定でモニター画面が必要だし、静止画を見ながら音楽を聴く、というスタイルが、オーディオとも言えないし、ヴィジュアルとも言い難い、なんとも中途半端な立ち位置に感じるからだ。

でも最近、3Dサラウンドのデモソフトとして、BD Audioが見直されている。
北欧のレーベル 2Lのソフトがその最先端にある。

彼らは、マルチフォーマット音源という実験的なアプローチで、同一音源をSACD,LPCM2.0,DTS HD Master 5.0,Dolby Atmos 9.0,Auro-3D 9.0でエンコードして、SACDと後者の4フォーマットはBD Audioに収めて、2セットで提供するというスタイルを提供している。

まさにこういうケースの場合、大容量のBDという物理媒体が活躍するのは必然の経緯だと思う。

2Lは、BD Audioを最初に導入したレーベルだそうで、こういう実験的で、先進的なアプローチも納得いくところだ。

自分は、3Dサラウンドは、BD Audioとしてよりは、映像ソフトBDの音声フォーマットして採用されるケースが、ビジネスの本流だと思う。


SACDは、CDに対して差別化するマニア向けの高音質ディスクとしての路線を歩んだ。
結局、普及というよりは、高音質指向型のマイナーレーベル中心に、ニッチな市場となった。

でもBD Audioが映像機器であるBDプレーヤでの再生になってしまうのに対して、SACDは純粋にオーディオ機器としての再生という位置づけ。

やはりオーディオファイルにとってハイエンドオーディオは、映像機器と隔離するべき、という古の拘りがあって、SACDはその象徴的な位置づけでハイエンドオーディオの道を歩んできたと感じる。

(でも最近はOPPOのようなユニバーサルな機器が出てきて、そうでもなくなっている現状。でも自分は古い時代の人間なので、ユニバーサルプレーヤという発想はどうも好きになれない。)

自分はSACDの最大の魅力は、広帯域化による2.0ch再生というよりは、ダイナミックレンジの広い5.0サラウンド再生に最大の魅力を感じる。

SACDは、映像とは別次元の、音楽サラウンドの象徴的存在である。

現在も、これをモットーに最大の”SACDサラウンド”愛好家である。

DSDのハイレゾ(5.6MHz,11.2MHz)は、それを格納するお皿の物理媒体がないので、どちらかというとネット配信の世界で、その活路を見出しているように見える。ストリーミング再生、そしてファイルダウンロード再生である。


3Dサラウンドの登場で、それらの大容量を格納できる唯一の物理媒体であるBDに着目をせざるを得ず、思わず基本に戻ってみたい、と思って、日記にしてみた。

さらにその先には、UHD BDがあるんでしょう。







nice!(1)  コメント(0) 

BARBARA Expo. in Philharmonie de Paris [シャンソン]

コンサートやステージの開催時、それら公演の宣伝を一切行わないにもかかわらず発売直後にチケットが完売する現象は「神話」と呼ばれた。

自分は、シャンソンを聴く趣味がなかったので、バルバラという歌手のリアルタイムの活躍を知らない。(1930~1997没 67歳)

ゴローさんの日記で初めてその存在を知った。


DMGODj1XUAENvn-[1].jpg



でも自分の中にずっと強烈に記憶に刻み込まれていたのは、そのフォトに見られるなんか強烈な個性というかカリスマだった。

目元のアイラインといい、全体の容貌がまさに妖気が漂っているというか、何とも言えない狂気、神がかっている存在感、雰囲気がある。



これにやられた。

自分は演奏家や歌手を気に入るとき、もちろんその力量やセンスなどの中身を気に入ることが前提だが、結構ルックスというか全体のシルエットが醸し出すオーラから入って気に入ることが多い。




いわゆる「持ってる」感があるアーティストが好き。

バラバラという歌手は、まさにそんなゾクゾクっとするオーラがある。

そうこうしているうちに、オーディオ仲間の日記でもバルバラを愛聴している投稿なんかを目にするたびに、これは1回でも彼女のアルバム、声を聴かないとなぁとずっと思いながら時が過ぎていた。

そんな中で、パリの新ホールであるフィルハーモニー・ド・パリで、「バルバラ・エキスポ(展示会)」なるものが、2017/10/13~2018/1/28の期間で開催されているのを知った。

Barbara Expo-2.jpg
                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                       
Barbara Expo.jpg



嫌が上でも毎日その様子が目に入ってくると、やはりバルバラという歌手に触れてみる、彼女の歌を聴いてみるのが、”いま”なんだな、と閃いた。

このイヴェントは、まさにバルバラへのオマージュという意味合いが強く、彼女に関する写真パネルや関連の展示、またおそらく彼女の曲をいま現代のアーティストで歌い演奏するミニ・コンサートも開催されている。いかにパリ市民の中で深く愛され、神話&伝説化されてきた歌手だったかという証明なのだと思う。


そんな様子をちょっと。

パリのメトロにイヴェントの告知のポスターが。パリの街中のあちこちにこんなポスターがあるに違いない。


22383968_1852889931418358_4624217996285781595_o[1].jpg



22426346_1852889664751718_1593115033912600407_o[1].jpg



22459106_1852890211418330_2051555135430577190_o[1].jpg



このイヴェントにはチケットが必要。ゲットして喜ぶパリジャンヌ。

DMCi0CuX4AEkP3P[1].jpg



このようにミニ・コンサートが開かれる。

DMGiNQ5W0AMXHI7[1].jpg



バルバラには、赤いバラがよく似合う。CDコンサート。

DMIbuwAXcAAbty0[1].jpg



そんなバルバラ。彼女のことをゴローさんは絶賛していた。



多感な10代に戦争を体験している。

ユダヤ系のバルバラの場合は ナチス占領下のパリを逃れ、ブリュッセルなどを転々とする。その中で家族が崩壊してゆき、父親は出奔して行方がわからなくなる。 そうした少女時代のトラウマは、「私の幼いころ Mon Enfance」というバラードに歌われている。

そしてバルバラがメジャーにデビューする頃、突然行方不明だった父親から連絡がある。再会のためにナントに急行したバルバラを待っていたのは、息を引き取ったばかりの父親の亡骸だった。

そんな辛酸をバルバラは「ナントに雨が降る」という私小説的な歌として吐き出さずにはいられなかったのだろう。

そんなバルバラの歌には「生々しい痛み」がある。
血が噴き出している心の傷口を露悪的なまでに大衆にさらす・・・
それだからこそ得られるカリスマ的な共感を彼女は得ていた。

また凄惨な内容であっても、彼女が紡ぎ出す言葉には、単なる戯言・恨み節を超えた「詩情」というべき香りを感じさせた。


バルバラの歌は、それは衝撃的な体験で それまで聴いたことのない「歌」だった。

早口の語りが自然にメロディーとなり、自然と語り終わるようにメロディが終わる・・・そんな歌。

言いかえれば 思いっきり言葉に寄りかかった音楽なのだ。

それでいて音楽的なフレーズ感があり、時折ふっと飛翔するように登場する断片的なメロディがバルバラの声と相まってなんとも魅力的だ。

世界のワンマンショーの中に「A Peine つかのま」という歌があった。
その歌が とりわけ印象に残ったのは、単に美しいだけじゃなくて異様なセクシーさを感じたからだ。

なぜか その歌だけNHKは歌詞の字幕を出さなかった。

簡単に言えば、主人公の女が 朝に男を送り出した後で昨夜の情事で残る愛撫の感触を 思い出してゆく・・・そんな内容だ。 バルバラは そうした歌でもユニークな魅力を発散する歌手なのだ。

「ナント」に見られるような「死・・・タナトス」と
「ア・ペイヌ つかのま」のような「エロス」
その両方を同時に、人生の鮮やかな断面として感じさせてくれる・・・
そんなかけがえのない歌手がバルバラだった。




彼女のアルバムをとにかく1枚購入して聴いてみないといけない。

生涯14曲の代表曲、そして14枚のアルバム。
どれがいいのか、すぐには見当がつかない。

まずはベスト盤のこれを購入してみた。 

81f7XqJBPsL._SL1400_[1].jpg


Best of
Barbara

https://goo.gl/npHCQZ

このベスト盤を選んで大成功だった。彼女の代表作がほとんど網羅されていて、聴いていて珠玉の名曲ばかり。バルバラの歌を聴いてみたいなら、まずこの1枚をお勧めする。

シャンソンの世界、魅力的なことこの上ない。けだるいムーディな雰囲気に、アンニュイなフランス語の発音が自然と溶け込む。まさにシャンソンは、フランスの歌曲だ。

バラバラの声は、美声というより、もっと妖気漂う存在感のある、まさにシャンソンを歌うためにあるような、聴いている者に対して畳みかけてくるような説得力のある声。

映像なしの音楽を聴いているだけでも、彼女のカリスマな姿が目に浮かんでくる。

早口の語りが自然にメロディーとなり、自然と語り終わるようにメロディが終わる。
言いかえれば 思いっきり言葉に寄りかかった音楽。

彼女の歌を表現するのに、まさに的確な表現だと思う。

まさにその狂気ともいえる妖艶な彼女のカリスマなルックス、まさにその歌を通しての彼女の表現(死とエロス)のカラーにも相通ずる、伝わってくる熱いものがある。

自分もすっかりバルバラの魅力に憑りつかれたようだ。



バルバラという歌手へのオマージュである「BARBARA Expo」、来年の1月まで開催されています。






nice!(1)  コメント(0) 

Auro-3Dのデモンストレーションを聴いてきました。 [オーディオ]

いまのサラウンド以上に家庭内での実現の敷居は高いと思うが、まずは夢がある。3次元立体音響や3Dサラウンドと呼ばれるフォーマット。

期待はしていたが、自分の中で、現実問題どの程度のものなの?という、どこか懐疑的だったことは認める。

Dolby Atmos/DTS-Xについで、待望のAuro-3Dが上陸。
3Dサラウンドについては、Auro-3Dの製品が市場に出たら、デモを聴きに行こうと決めていた。

きっかけは、ポリヒムニア。

彼らがPENTATONEのSACDを収録をするときに、マイキング含めた収録方法にAuro-3Dを使い始めたことで、その存在を知った。

22384208_1342440792533964_8071337850752137159_o[1].jpg


彼らの映像素材を扱うスタジオ。

「5.0.4」の9.0chの構成。彼らは、クラシックのサラウンドなので、ウーハーLFEの0.1chは使用しないのだ。天井SPには、B&W N805を使い、逆さまにして天井から吊るしている。

このスタジオでオーサリングされたAuro-3D音声の映像ソフトもすでに市場に出始めているのだ。 


404[1].jpg


ダニエレ・ガッティ指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
マーラー2番「復活」

https://goo.gl/rUW6Uy

世界的な名ホールであるアムステルダム・コンセルトヘボウのホール空間を、3次元立体音響であるAuro-3Dで切り取ってくる。

ホームグラウンドにて、ここの音響を十二分に知り尽くしている彼らだからできる試みともいえる。

3Dサラウンドについては、いろいろAV雑誌で特集されているから、ここでは詳しくは書かないが、自分のために簡単に整理しておく。

まずSPの配置。

こちらがDolby Atmos/DTS-X (地上サラウンドが7chだが)。「7.1.4」という型。

Dolby Atmos SP.jpg



天井SPは、屋根に埋め込み型で、特にここの位置という特定のルールはなさそうだ。
この屋根埋め込み型をトップSPと呼ぶ。


こちらが、Auro-3D。「5.1.4」という型。

audro-3d-audio-example-xxx-57f53c6f3df78c690ff74185[1].jpg



天井SPは、地上SPの真上に位置する。ハイトSPと呼ぶ。フロントL,Rの真上にハイトL,R、そしてリアL,Rの真上にハイト・リアL,R。

さらに飛行機の頭上の移動感や天井の高い教会の響きなどを表現するために、ど真ん中の屋根埋め込み型のトップも規定している。


Auro-3Dの規格として、つぎの3つのレイヤーに分けている。

Auro-3D-Perception-Sonore-Naturelle[1].jpg



自分の耳から水平方向に取り巻いているサラウンドをLAYER1、そして耳の高さから抑角が30度にあたる高さ成分を認識するハイト成分としてLAYER2、そして頭上のトップ成分をLAYER3。

それが上のSP配置にそのまま反映されている。


Dolby AtmosとAuro-3Dは何が違うのか?

映画のDolby Atmos、そして音楽のAuro-3Dという住み分けがある。

作成手法の大きな違いは、Dolby Atmosはオブジェクトベース。Auro-3Dはチャンネルベース。

Dolby Atmosは、サラウンドに対して、高さ成分を”オブジェクト音”として追加していく。
個々の音の要素(オブジェクト)をレンダリング(描画)して3次元空間に立体的に配置していく感じ。


レンダリングというのは、そもそもCGの世界の言葉だから、極めて映像的な手法で、処理も難しくて負荷も重い。でもSPの配置を決めつけることなく、異なるSP配置でも実現、適合できるというメリットがある。

一方Auro-3Dは、製作者側であらかじめ定められた3次元のSP配置(チャンネル)に合せて音を振り分けて作り込まれる。だからSP配置は決まっているのだ。いままでのオーディオの制作、オーサリングの延長線上にある考え。いままでに高さ成分のチャンネルが増えた、というだけ。処理の負担も軽い。


ステレオ2chというのは、厳密にL,RのSPの位置決めをクリティカルに調整しないと、音像の位置のポイントや音場が広大になるポイントが現れてこない。そこを探るのが難しい。

でもサラウンドというのは、ある意味、そこまで厳密に調整しなくても、音像のピント・豊かな音場というのが簡単に実現できてしまう。サラウンドのほうがより簡単にこれらを手に入れることが出来る。もちろん難しい厳密な調整をすれば、お化けなサウンドが出来上がる。

自分は最初この意見にかなり抵抗があった。サラウンドとはいえ、最低限の決まりごと、セッティングを施さないとダメなはず。でも時間が経つにつれて、この考え方にも一理あると思うようになった。

3Dサラウンドについても同様のことがいえる。Auro-3Dの開発者の意向では、ハイトのSPは、地上のSPの真上に置いてほしいこと。そしてリスポジから30度の抑角にしてほしい。そうすると水平方向の音場空間と垂直方向の音場空間とシームレスに繋がるとか。


Auro-3Dのセッティングの要は、フロントの構成(地上&ハイト)をしっかりルールどおり準拠して欲しいとのこと。フロント重視のシステムなのだ。


ハイトSPの役割は、完全に直接音に対する反射音と限定している。ハイトSPから直接音が出てくるようなサラウンドの構成はあり得ないとのことだった。

音声のコーデックは、Dolby AtmosもAuro-3DもPCMのハイレゾ。2Lのソフトだと、Dolby Atmosは、48/24で、Auro-3Dは、96/24。


はじめて、この立体サラウンドの音を、自分の耳で聴いたのは、TIAS 2017でのDENONのブース。国内初のAuro-3D対応AVアンプということで、彼らのAVR-X6400Hの初お目見えのデモだった。

25940505_2266925098_3large[1].jpg


全チャンネルともDALIのSPを使用。ハイトSPの設置には、写真のようなスタンド・ポール型を使っていた。


主に2Lのソフトや映画ソフトを使ってのデモだったが、自分が予想していたよりは、まともな音場空間であった。確かに高さ成分を感じ取れる。ただ、歌い文句や予想していたより、イマーシブ感(包み込まれる感じ)は、いまいちかな?という印象。

やはりIASの国際フォーラムの部屋はオーディオ再生に向いていないし、第一部屋が広過ぎと感じた。フロントとリアの音場空間がつながっていないのが原因かな、とも思った。

エム5邸や、全国のツワモノ達のすごいサラウンド・システムをたくさん聴いてきた自分の耳の経験からすると、これくらいならもうみんな実現しているよ、という感じで、それよりも若干高さの改善があるかな、というレベルの感じだった。

これでは手放しでは称賛できないし、もうちょっと実ベースのいい環境で聴いてみたい、という欲望があった。

そこで、自宅の近くのホームシアター専門のAVショップの視聴ルームで、Auro-3DとDolby Atmosの聴き比べができる、というニュースを掴んで、行ってみようと思ったのだ。


視聴ルーム。

DSC01535.JPG



約18畳の広さ。専用リスニングルームとしては平均的な適切サイズ。ここでの視聴であれば、もっと真っ当な3Dサラウンドの評価ができると確信。

SPは全チャンネルとも、フランスのCabasse(キャバス)を使う。自分は知らなかったが、同軸ユニット搭載で世界中から高評価を得ているとか。オンキョウが代理店。

ハイト用のSPは、こんなに小さい。設置はスタンド・ポール型。

DSC01538.JPG


ハイト・リア。

DSC01539.JPG



こんなに小さくても、恐ろしく素晴らしい広い音場空間を実現するのだ。たぶん値段も一般コンシューマ向けと思われ、普及ベースの商品。現実離れしたハイエンドな世界よりも、3Dサラウンドの場合、こういう身軽で安い普及前提の商品のアプローチのほうがいいかも。より現実的だ。

結論からすると、こんな簡易型システムでも全然十分すぎる音場空間で、見事な素晴らしい立体空間だった。


もちろんDolby Atmos用には、すでに天井に埋め込み型のトップSPが設置されていた。

DSC01540.JPG




まず、一番自分が感動したのは、非売品のAuro-3Dのデモソフト。

ステレオ2.0→DTS HD Master 5.0→Auro-3D 9.0というように同一音源で、順次切り替わっていくソフト。確か森林の中の鳥のさえずりのようなネイチャーサラウンドだったと記憶する。


いわゆるサウンドの立体空間の移り変わりの効果を感じ取ってもらうデモソフト。

昔ゴローさんが、NHKでサラウンド特番を作ったとき、同じように、モノラル1.0→ステレオ2.0→サラウンド5.0と切り替わるデモソフトを作っていた。(ヨーロッパの街中で舟をこぎながらの音)

あれの3Dサラウンド版と思ってくれればいい。

これが効果てきめん!!

この非売品ソフトほっすいぃぃ~!

まずステレオで前方に平均的な音場空間が構築されると、そこから5.0サラウンドに切り替わると、一気に水平方向にサウンドステージが拡がる感じで、自分の周りが包み込まれる感じになる。そこから3Dサラウンドの9.0になると、高さ成分が加わるのがはっきり認識できるのだ。自分の耳の上から、ちょうどハイトSPのさらに上部辺りに音場空間が追加される感じ。

全体として、かなりリッチな音場空間になる。

これはふつうのソフトを聴いているよりも、ずっとその増設効果がはっきりと認識できると思います。

このデモソフトで、かなり正当な評価ができる、部屋の広さも適切、ということを認識した。

つぎに、2Lのマルチフォーマット音源のソフト。同一音源をDolby AtmosとAuro-3Dで収録してある。もちろんLPCM2.0やDTS HD Master 5.0でも。

これらはBlu-ray Audioに収録されているが、それとは別にSACDサラウンドのディスクもある2枚組なのだ。

2Lについては、別途日記にしようと思っているので、ここでは深く触れない。

かなり実験的で先進的なサウンドアプローチをするレーベルで、録音はかなりいいと思う。
3Dサラウンドのソフトとして、ここにきて、注目されているレーベルですね。 


875[1].jpg

「わたしの愛も~現代合唱作品集」 
ニーナ・T・カールセン&アンサンブル96

https://goo.gl/5Brxiv


天井がとてつもなく高いオスロのウラニエンボルグ教会で録られた室内合唱団の録音。

最初DTS HD Master 5.0で聴くが、これでも十分すぎるくらい音場空間で、この教会の大空間がよく録れていて、そこにワープしたような感覚になる。これをAuro-3D 9.0に切り替えると、明らかに高さが加わった感じがよくわかり、特に合唱の声の突き抜け感がかなり増える感じになる。

おぉぉ~明らかに高くなったね、という感じ。

Auroのモードには、Auro-2Dという設定モードもあり、ハイトSPを鳴らさないという設定もできる。Auro-3Dを聴いていて、そこからAuro-2Dに切り替えると、高さ方向の成分がスパッと切れてなくなり、水平方向のみ残るという感じで、その差分にガクッと来る。


さらに言えば、ある意味、Auro-3Dから、ステレオLPCM2.0に切り替えると、これは、もう本当に悲しくなるのだ。(笑)

ここで面白い実験をしてみた。

Dolby Atmosの適切な再生には、天井SPには埋め込み型のトップSPを使う。Auro-3Dの適切な再生には、天井SPには地上SPの真上に設置してあるハイトSPを使う。

Dolby AtmosをハイトSPの条件で聴くとどうなのか?

2LのソフトをDolby Atmosモードにして聴いてみる。

確かに高さは感じるが、合唱の声がAuro-3Dのときのように突き抜けるような感じではなく、自分側の前のほうに被ってくるような違和感がある。やはりハイトSPの設定の場合は、Auro-3Dで聴くほうがずっと適切だと感じた。

Dolby Atmosはオブジェクトベースなので、SP設定を選ばないで自由に空間にレンダリングするのが特徴なので、この現象はちょっと不思議だったのだが。。。

じゃあ、Dolby Atmosの本領発揮の条件で聴きましょう、ということで、SP設定を埋め込み型のトップSPにしてDolby Atmosの映画を視聴してみた。


やっぱり音楽のサラウンドと映画のサラウンドは、根本的に聴こえ方が違うし、聴き方も違うと思う。あの映画独特のド迫力のサラウンド効果は、もう本当に映画館、シアター。

音楽が静的な3次元空間の表現だとしたら、映画は動的な3次元空間の表現。移動感のリアルさがハンパない。

本当に頭の上の天井から音が振ってくる、という感じだった。(笑)

自分は映画は大好きだけれど、ふだん時間があまりなく映画をあまり観ない人なので、映画サウンドのクオリティの評価は、偉そうにしないほうがいいと思う。(笑)


ここで、考えさせられたのが、Auro-3Dは専門の音楽だけじゃなく映画にも触手を伸ばしているけど、将来、映画のDolby Atmos、音楽のAuro-3Dということになると、家庭の天井SPは埋め込み型のトップにしたほうがいいのか、ハイトにしたほうがいいのか、まさか両方設置するのはどうなのか?など両フォーマットの併用は、かなり家庭に負担を強いるし、ここがひとつの問題だよなぁと新たな課題を感じた。


Dolby AtmosやAuro-3Dが、天井SPの配置スタイルとして、トップでもハイトでもどちらでも兼用できるのかもしれないが、それが各々において最適なクオリティかどうかは疑問が残るところだ。


もうひとつの驚きなデモのひとつに、毎年正月元旦にウィーン楽友協会で行われるウィーンフィルのニューイヤーコンサート。

じつは、2014年から、今年の2017年までの3年間、ずっとこのコンサートをAuro-3Dで収録していたのだそうだ。 




081[1].jpg

ニューイヤー・コンサート2017 
グスターボ・ドゥダメル&ウィーン・フィル

https://goo.gl/TZMDZB


最近のニューイヤーコンサートはソニーがパッケージしているようだが、パッケージは正式にはAuro-3Dとは表記されていない。でもAuro-3D対応機器で再生すると、オーディオ設定のメニュー画面のところに、LPCM2.0やDTS HD Master 5.0のほかに、きちんとAuro-3D 9.0と表記されるのだ。

それを選択して再生すれば、Auro-3Dで再生される。つまり隠しコマンドなのだ。いままでパッケージに表記されていなかったのは、世の中にAuro-3D対応機器がなかったからだと思う。すでに世の中に発売されたのだから、来年からは正式にパッケージ表記されるようになるだろう。

残念なことは、このソフトを再生するときに、Auro-3DとDTS HD Mater 5.0の切り替えをしなくて、その差分を確認できなかったこと。訪問した時に、このソフトがかかっていて、じゃあ、本番デモ行きましょう、という感じ(笑)だったので、よく吟味できなかった。

TIASのほうで、ある程度視聴できたが、やはり音の沈み込みが秀逸かな、と感じはした。

クラシックのコンサートの映像ソフトは、自分が一番視聴している得意分野なので、このテレトリーできちんと評価したかった。

でもウィーン楽友協会という世界最高の音響空間も、すでに3次元立体音響で切り取っていた、という事実は非常に興奮した。


以上が体験したデモの全貌。

ハイエンドな世界ではなく、安価でコンシューマ向けの現実的な装置で、ここまでの立体音場空間が形成できるなら、自分は十二分に可能性のあるフォーマットだと確信した。

いますぐ自分の自宅に天井SP、3Dサラウンドの環境を敷くことは全く持って不可能だけれど、夢を見させてもらった。一般家庭にこれを施工するのは、やはりハードルは高いと思うが、技術の行く末として夢があることは絶対必要なこと。

サラウンドの次なる行先は高さ方向の3Dというのも必然だと思う。

まぁ、まずは映画館などのプロユースへの導入というのが当然の敷かれているレールかな?

もちろんSP設定が普通の5.1サラウンド環境でも、Auro-3D対応AVアンプがあればアップミックス機能を使うと、高さ成分が疑似ミックスされて、効果は作れるとのこと。

でも、でもだ。自分のかねてからの疑問だった、3Dサラウンドで収録した素材は、それをダウンコンバートした下位互換の5.1サラウンドでもその高さ成分が付加されていて、5.1サラウンドの収録機材、マイキングで収録した従来素材よりもメリットがあるのではないか、という疑問は、この日も解決できなかったのであった。(笑)













nice!(0)  コメント(0) 
前の30件 | -