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体験!八ヶ岳高原音楽堂 [国内音楽鑑賞旅行]

世界的なピアニストであるリヒテルと日本を代表する世界的作曲家の武満徹のアドバイスにより設計された究極の木造ホール。じつは、この音楽堂、単独の施設というより、八ヶ岳高原ロッジという超高級リゾートホテルの付属施設のような位置づけだ。音楽堂で開催される室内楽は、「八ヶ岳高原サロンコンサート」という呼称で、クラシックに限らず、いろんなジャンルのコンサートが開催される。有名アーティストによる公演も年間10公演くらいあるようだ。

”コンサート付き宿泊セット”というプランがあり、コンサート終了後に八ヶ岳高原ロッジに宿泊する、というのが定番コースのよう。

ところが、なにせ八ヶ岳の超高級リゾートホテルだけあって、凄い高い。1名で宿泊しようとすると、コンサート+ブッフェディナー+ご宿泊・ご朝食で1番安いランクでも4万円以上はする。助かったのは、”コンサートのみ”という日帰りプランもあるのだ。なんとお値段8000円!これしかない。まさに自分の目的にぴったり。さっそく実行。 

1年前から行きたくて行きたくて、ずっと温めてきたプランだった。実現できて感無量だった。

最寄駅の野辺山駅から、八ヶ岳高原ロッジに行く送迎バスがあって、それに乗ってホテルまで行く。駅から山間部をどんどん入っていく感じで、距離的にかなり離れている。(タクシーの運ちゃんに後で聞いた話では、音楽堂まで含めると12kmくらい離れているんだそう。)

途中の景色は、植林されたカラマツの樹木が綺麗に立ち並んでいて森林の中を進んでいく感じで、すこぶる美しい。さすが、軽井沢と並んで、日本で屈指の別荘地帯である八ヶ岳。晴れていて八ヶ岳の山麓も綺麗にそびえ立っているのが見えるし、その景観は圧倒される。なんか別世界に来た感じだ。まさしく和の美的センス。

八ヶ岳高原ロッジは、そのような森林の山奥にある。ホテルにバスが到着し、まずはホテル内のレストランでランチ。そしてホテル内を散策。ここら辺は明日の日記で書こう。

八ヶ岳高原音楽堂は、この八ヶ岳高原ロッジから、さらに送迎バスで、これまたかなり離れた山奥にある。

到着して、バスを降りると、そこに八ヶ岳高原音楽堂が現れた。
避暑地の美しい自然の中に佇む素敵な施設という趣の外観ですごい洒落ている。

八ヶ岳高原音楽堂
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さっそくホワイエに入ってみる。
自慢の木造建築ということもあって、ホワイエも木目調のデザインが美しいしっとり感のある落ち着いた感じだ。ここの椅子は特徴があって、ホール内、ホワイエと、この椅子が共通に使われているのだ。

ホワイエ
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さっそく受付をする。ここで開催されるサロンコンサートのチケットは事前に電話で予約する。支払、発券は、当日のホール内で行うのだ。さらに座席番号は、そのホールで抽選でおこなう。私はクレジットカード決済をして、いよいよ座席抽選。なんと最前列の右側だった。はっきり言って青ざめた。 音響的にいわゆる”かぶりつき”の最前列は自分の好みではないし、せっかくはるばる遠方から来ているのだから、ホールの響きを堪能したい、という想いもあって中央から後方席を望んでいたのだ。後述するが、この座席が後で感じる物足りなさを感じる原因のひとつだったように思う。

さて、いよいよホールの中に入る。

 ホール 背面からステージを撮った場合(逆光で見えにくくて申し訳ない。)
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 ステージ側から背面を撮った場合。koTKG8GjyKZ_CiJ1370067777[1].jpg
 
そして圧巻の天井。
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ホールの入り口を撮った場合。
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ホワイエ、ホールで共通に使われている椅子。
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カラマツやツガなど4種類の木材を組み合わせて作られているそうで、ホールは六角形の独特の形状をしている。このホール独特の仕掛けとして、ホールの側面がすべてガラス張りになっていて、外の緑の大自然の風景が視覚に入るというようになっている。

音の反射などを考えると、そこだけガラスというのもマイナス材料にも思うのだが、それを差し引いてでも、いわゆるコンサートを鑑賞しながら、外の自然が見える、といういわゆるセレブ感を醸し出すパフォーマンスに重きを置いているのだろう。

実際、客席に座りながら、このガラス越しに晴れているときは富士山が見えるように設計されているのだという。

夕方になると陽が落ちてきてくるのだが、そうするとステージ上方の照明でステージの演奏者のところだけがライトアップされる。その薄暗い外の自然風景との対比で、そのライトアップされたステージがじつに視覚的に映えるというかヴィヴィッドな感覚なのだ。

木造空間の音色の素晴らしさは、その視覚効果もあるのだと思っている。木材を見ていると自然と心が和むし人間の五感に優しい感じがする。そういう中で自然の緑との調和も含めて、視覚効果から豊かな気分にさせる、そういった仕掛けがこのホールの1番の特徴なのだと感じた。

音響面では主に室内楽の演奏を想定していて、小ホールという佇まいで、理想的な残響1.6秒を達成ということ。キャパは250名。写真でもわかるように本当にこじんまりとした小空間で、室内楽を楽しむには、広すぎず、狭すぎずのフィットした音響を得られる最適空間だと思う。

また木のホールならではの耳に心地よい柔らかで自然な響き、そんな素晴らしい世界だった。吉村順三設計事務所が建築で、音響はヤマハ音響研究所が担当している。

ここで、前橋汀子さんのヴァイオリンリサイタルを聴くことができた。このホールのサロンコンサートでは、それこそいろんなジャンルのコンサートが開催されるのだが、ぜひクラシックを聴きたかったし、弦とピアノの音色を聴けるのは嬉しかったし、そのためにピンポイントでこの日程にしたのだ。

実際自分で聴いた印象。まずライブでもないしデッドでもない中庸、ニュートラルな響き具合だ。帯域バランスがどちらかに寄っているなどというアホなこともない。

ピアノの音色はいい。問題はヴァイオリンだ。予想していたほど綺麗な音色に思えない。このときは正直青ざめた。

演奏中いろいろ考えたのだが、自分にとってヴァイオリンの独奏をこんな至近距離で聴くなんて、いままで経験がなかった。ボーイングや弓使いなどの細やかなニュアンス、息遣いなどが感覚的なのだが全部聴こえてしまう感じで、美しくない。こういうのってある程度マスクされていたほうがいい。

先日ヒラリー・ハーンをみなとみらいで聴いたばかりなので、そのときはまったく感じなかったものが、今回聴こえてしまう感じだった。ヴァイオリンの音色を至近距離で聴くことの難しさだと思った。あとヴァイオリンを弾いているときの音色の余韻というか響きがあまり感じられなかった。

思うに、やはり最前列というのが問題かと。最前列はステージから発せられる直接音はしっかり聴こえるけど、壁や天井からの反射音は聴こえずらい。響きを堪能するなら、中後方がベストだ。やはり人間の耳に心地よい音色で聴こえる仕組みは、この直接音と反射音がブレンドされて聴こえてくるところにある。

そんな不満を開始時から抱いていたのだが、それも3曲目のブラームスのソナタから、あまり気にならなくなってきたというか、いま発せられている音色で演奏に集中できるようになった。今回の演目はどれも聴きやすい珠玉の名選曲で、コンサートが後半になればなるほど、どんどん盛り上がっていく、そんな心使いがあるようだった。特にブラームスのソナタは大好きな曲なので最高に酔いしれることができた。

前橋さんは、前半は黄色のドレス、後半は赤いドレスという衣装替えで、華やかなそのもの。

今回このホールを経験して思ったことは、この八ヶ岳高原音楽堂でのサロンコンサートというのは、木造ホールの柔らかい質感の音色と同時に自然を取り込んだ視覚効果抜群の内装空間の美しさの双方で、観客の気持ちを高揚させるそんなセレブ感溢れる演出がとても素敵なのだと思う。

いつも経験している都内のホールでは到底味わえない、ゴージャスで自然の和みのセンス、セレブご用達のホールなのだ。過去にはリヒテルはもちろん、アシュケナージ、ミーシャ・マイスキー、ブーニンなどがこのホールで演奏している。

帰りの最寄りの野辺山駅までタクシーを使ったのだが、この運ちゃんがじつに物知りでいろいろなことを知っていた。この音楽堂が完成したころ、武満徹さんが音楽監督をずっと勤めていて、よく昔は10日連続で、この音楽堂で音楽祭が開催されていて業界の有名人などがよく招待されていたということ。実際、武満さんは軽井沢に別荘を持っていて、その武満さんをよく送った、という経験があるそうだ。

客層は品位が高く、音楽堂のコンサートが終わったら、そのまま高原ロッジで宿泊と同時に、この八ヶ岳に別荘を持っている人が、音楽堂のコンサート終了後に、自分の別荘で宿泊する、というそんな感覚なのだそうだ。

いまの自分とは別世界のそんなブルジュワな世界を垣間見たそんな感じがする体験でした。xEeS2lGhG7dlwmB1370067983[1].jpg


八ヶ岳高原音楽堂サロンコンサート
2013年5月25日 17:00~19:00
八ヶ岳高原音楽堂

J.S.バッハ:G線上のアリア
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 K.296
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78 『雨の歌』

【休憩】

パガニーニ(クライスラー編):ラ・カンパネラ
フィビヒ(ジャムリー/バツェヴィッチ編):<夏の夕べ>作品41-6~『詩曲』
シマノフスキ:<神話-3つの詩> 作品30より『アレトゥーザの泉』
シャミナード(クライスラー編):スペインのセレナード
サラサーテ:アンダルシアのロマンス
ドヴォルザーク(クライスラー編):ユーモレスク
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ 作品28
バルトーク(セーケイ編):ルーマニア民族舞曲
モンティ:チャールダーシュ

ヴァイオリン:前橋汀子
ピアノ:松本知将


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