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パーヴォ・ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団来日公演 [国内クラシックコンサート・レビュー]

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大変失礼ながら、予想もしていなかったあまりに素晴らしい演奏力で、本当に驚いてしまったパリ管弦楽団の来日公演。

楽しみにしていた公演でもあった。パリ管弦楽団というと我が敬愛するホールであるフランスのサル・プレイエル(去年訪問できました)のフランチャイズ楽団である、ということ、そしておそらくいま最も忙しい人気指揮者であるパーヴォ・ヤルヴィ、そしてなによりも最も魅力的だったのは、その選曲。これは絶対行かないと、と思っていた公演だった。

フランスのオケならフランスもので統一するか、と思えばそうでもなく、シベリウス、リスト、そしてサン=サーンスというかなり多彩な選曲。特にサン=サーンスの3番「オルガン付き」は大好きな曲。あのホール全体を揺るがすオルガンの重低音、あれは音マニアにとっては堪らないものがある。

そういうこともあって、今回は大奮発でS席。でもいわゆる皇族VIP席が座る2階のLB席にしてみた。

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私はそんなにそうは思わないのだが、このサントリーホールはステージからの音が上空に上がる傾向にあって、1階席だとステージからの直接音があまり聴こえない、という意見が多い。今回皇族VIP席の2階席にしてみた。

斜め上方からステージを俯瞰するのだが、思ったほど違和感がなく、いい眺めだと思った。音響は実に素晴らしかった。

絶対音量が大きく、音像も明瞭。響きの芳醇さ、音の広がりなどのスケール感も大きく感じて、オケものを聴くには申し分なし、視認性、音響、両方において、ここをVIP席にしただけのことはある、と感じた。(じつは皇族専用の通路がこのブロックの後方にある、というのがもうひとつの理由でもあるのだが。) 次回からここを自分のお気に入りの席にしようか、と思ったくらいだ。

今回パリ管の演奏があまりに素晴しく感じたのは、ひょっとしたらこの座席の音響の素晴しさのせいなのかもしれないと思ったくらい。

パリ管というとやっぱりいまいちメジャーでないこともあるのか、所々で空席が目立ち、残念な想いだったのだが、そういう私も不肖同じようなイメージを持っていて、じつはそんなに期待もしていなかったのが本当のところ。(^^;;)

ところが最初のシベリウスの「カレリア」組曲の演奏を聴いた途端、顔色が変わったというか、このオケは演奏水準がかなり高い!ということが1発でわかってしまった。うまいオケを言葉で表現することなど愚なこと、耳で聴けばうまいオケなど1発でわかるものだ。

まずウマイとすぐわかるのは、各楽器間でのアンサンブルの乱れなどがいっさいないこと、どの楽器も抜群のテクニックで、それを融合したオケ全体の調和というかバランスが素晴しく秀でていること。あくまで聴き手側の論理で言わせてもらうと、ばらつきのない調和の取れた聴感バランスということ。わかりやすくいうと安定感ある演奏という感じだろうか。

楽器ごとによる優劣のばらつきがなくて、全楽器が一致団結して音の塊りがど~んとやってくるみたいな。

普通は、金管が音を外したり、弦楽器に散漫なアンサンブルがあったりとか、長い交響曲を演奏する上では、なかなかこの全体のバランスが良い状態
を全楽器が一斉にピタッと定位することをずっと維持することは難しいことなのだ。

もうひとつはアインザッツ(音の出だし)が完璧に揃っている、ということ。単純に音の出だしが合っている、といってもタイミングや音程や、リズムが合っているというレベルではなくて、最初の一瞬の音の震え、音の力、音の勢い、というなんとも言葉じゃ表現できない音の全てが完璧に合っている、そんな凄さがあるものなのだ。

これがこの日のパリ管にはあった。

聴いていて、特に弦楽器が素晴しく、低弦などの低域成分もしっかりと乗った厚みのある潤いあるサウンドで、この弦の音色だけでもサウンドステージがステージ上空に浮かぶ感じがこの日も感じ取れるくらいだった。

そして適切なフレージングの長さとブレス、このファクターも聴いている側からすると不可欠な要素で見事なものがある。このフレージングとブレス(呼吸)というファクターは重要で、このリズム、長さ加減が、微妙に聴衆の呼吸のリズムに影響するものなのだと思っている。これがイマイチだと聴いているほうで息苦しくなって客席の咳き込みがひどくなる。演奏者の演奏の呼吸と聴衆の呼吸はシンクロしているのだ。

こんな安定感のあるサウンドで迫られると、こちらもどんどんクレッシェンドしていってしまいすごい高揚感に煽られてしまう。ホントに参った、という感じだった。パリ管ってこんなにレベル高かったの?という想いだった。

パーヴォ・ヤルヴィのなせる業、調教のせいなのかもしれない。2015年からはN響の音楽監督にも就任予定で、いま最も忙しいというか乗っている指揮者でもある。指揮振りは非常にオーソドックスで、クセのない素直な感じ。タクトを持っている右手のほうがキーになっているような気がする。

ヒョロっとしていてちょっとクネクネしている感じが、なんか往年のフルトヴェングラーを思い起こさせるような感がある。

2曲目のリストのピアノ協奏曲第2番。ソリストは若手の新鋭、フランス人のジャン=フレデリック・ヌーブルジェ。

ノーネクタイで襟のボタンを開放したワイルドな服装で体格もよい。この人のピアノは、全般的に強打鍵で女性ピアニストでは絶対かなわない躍動感&パワーとダイナミズムを感じる。なんか去年のラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番を聴いたマツーエフを彷彿させるような感じだった。

そして最大の楽しみだったサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」。これだけ演奏力の高いオケが演奏するのだから、これはじつに素晴しかった。特に格別の美しい旋律を誇る第2楽章。あのオルガンの重低音がホールいっぱいに広がっていく「音のさま」は圧巻。なんかめまいというか酔う感じを誘発する。その上で流れる弦の美しい旋律。本当に恍惚の瞬間。

またリストのときのピアノとチェロの独奏の掛け合いの部分、旋律の泣かせ方、というか、じつに優雅で美しくてはぁ~とため息ものだった。

ドビュッシーやラヴェルに代表されるフランス音楽は、ハーモニー重視のところがあってメロディーと呼べるわかりやすい旋律がないのが特徴。メロディーをわざと曖昧にすることで音楽が大きく揺らいだり、ぼんやり聴こえたりするところにその魅力がある。

でもサン=サーンスはその直系とも言えず、そこまでフォーカスの甘い音楽でもなくて中庸的な美意識感覚があり、その中にもフランス音楽特有のその浮遊感が少し垣間見えるところが魅力と言える。

そんなサン=サーンスの魅力を余すところなく聴かせてくれた。
本当に素晴しいの一言だった。

そしてアンコールもなんと3曲も!演奏力が素晴しいので、いかにもアンコールらしいノリに乗った曲がツボに入り、感動のフィナーレ。普段は1000円以上もする高いプログラムは買わない自分なのだが、この日だけは興奮していることもあり、記念ということで買ってしまった。

今年はヨーロッパの夏の音楽祭で、ウィーンフィルやベルリンフィルなどたくさんの名演を聴いてきたが、これだけ素晴しい演奏力で感動させられた、という点では、この日のパリ管の演奏が今年1番だったかもしれない。

そんな想いを抱きながら興奮冷めやらずという感じで帰宅してもいつまでたっても就寝できなかったのでした。




パリ管弦楽団来日公演2013

2013年11月5日(火) 19:00 開演 サントリーホール

シベリウス:組曲『カレリア』 op.11

リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S125
~アンコール~
ラヴェル 『クープランの墓』から「メヌエット」(ピアノ・アンコール)

サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op.78 「オルガン付」
~アンコール~
ビゼー 管弦楽のための小組曲op.22『子供の遊び』より「ギャロップ」
ベルリオーズ『ファウストの劫罰』より「ハンガリー行進曲」
ビゼー オペラ『カルメン』序曲


ピアノ:ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ
オルガン:ティエリー・エスケシュ

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
管弦楽:パリ管弦楽団


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