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山田和樹指揮スイス・ロマンド管弦楽団&樫本大進 [国内クラシックコンサート・レビュー]

生演奏とオーディオ、そんな我々の永遠のテーマを考えさせられた山田和樹&スイス・ロマンド管のコンサートだった。

今年に入ってから、オランダの高音質レーベルPENTATONEから、この山田和樹&スイス・ロマンド管のSACDが立て続けに2枚発売。フランスとドイツの管弦楽作品集、しかも丸々ではなく、素敵な旋律の楽章のみを抜粋するという、いわゆるコンセプトアルバム。これが聴いていてじつに程よい気持ちよさで我々を誘い、優秀録音でもあり、じつに素晴しかった。


愛聴盤でもあり、このコンビの将来性にとても有望な感覚を抱いていた。したがって、このコンビが来日して、しかもソリストに樫本大進という。これは期待せずにいられようか?彼らを生で聴ける!!今年最大のコンサートイベントだった。


結果的にじつに素晴しかったコンサートだったといってよい、と思う。間違いなく大感動であった。でも前半のその印象から、思わず辛口のコメントを発せざるを得ないこともあった。


それは座席による音響。今回サントリーではいい音響と言われている2階席RBブロック。いわゆる皇族VIP席である。

視認性は最高なのであるが、今回オケのサウンドが、帯域バランスがハイ上がり(高域寄りのこと、低域が聴こえないこと)に聴こえたことだ。低弦などの低音が聴こえてこなくて、音痩せするような感覚。

自分にとって、オケのサウンドというのはひとつの絶対基準を持っている。それはピラミッドバランスがきちんと成り立っていること!特に低域の量感というのが、オケを聴く上では命綱。この豊かな低域がベースに下支えにあって、その上に、中高域が乗っかる、というサウンドが、オケを聴いていて1番、潤い感があってじつに気持ちがよく最高にいい。


それがハイ上がりなので、音痩せの感覚で、聴いていて悲惨であった。
まぁ、あとの分析によると、どちらかというと同じ2階席でも反対のLB席のほうが、いわゆる低弦楽器の反対側に座ったほうがポジション的に低音弦がよく聴こえる訳で、今回のRB席がいまいちハイ上がりに聴こえたのは、納得がいく感じがした。でもどちらにせよ、LB席にせよ、RB席にせよ、オケを側面から聴かなければいけないということ自体に、指向性の問題から、無理があるというような気がする。

特に最初の現代音楽は曲の構造自体がすでにハイ上がりなので、仕方がないにしろ、樫本大進を迎えてのチャイコのコンチェルトでもその感は拭えなかった。できればユニゾンやトゥッティといったようなオケがいっせいの合奏状態に入ったときに、その最高の気持ちの良い瞬間が味わえるものなのだが、それは後半まで待つしかなかった。


まぁ、こういう問題は、演奏者側の問題ではないので、彼らを責める訳にも行かず可哀想といえばそうなのだが、私が ”生演奏よりもオーディオを聴いているほうがいいときもあるんだなぁ、”とつぶやいたのはそんな背景があるのだ。

彼らのSACDをずっと愛聴盤として聴いてきた立場からの発言だった。


生演奏は、大音量、再生空間の広さなど素晴しいが、座席による音響のムラがあるし、また演奏者の出来不出来によるムラもある。その点オーディオは常にベストの演奏、音響を時を選ばずして聴ける。


それでもイソイソと演奏会に出かけてしまうのは、やはりそのとき、その場所にいて、その感動を得るというリアリズムが堪らなく魅力的だからだ。これはオーディオでは絶対に得られない。だから我々はずっとこのジレンマに悩まされているのだ。


しかし樫本は凄かった。山田の指揮、オケとのかけあいも秀逸であったが、自分には、まさに彼の独壇場にも思えたほど素晴しかった。弦の音色自体の安定感とビブラート感、そして強力な音量、そして目にも止まらぬほどの超高速パッセージの連続。ご存知この曲は耳タコ名曲でもあるので、終盤に向かってどんどん信じられないくらいのテンポの速さでクレッシェンドしていき、盛り上がっていく。そのエンディングに向けての疾走感は、自分にとって”シビレル”という表現が1番であった。


こんな感動したチャイコも近年になかった。

反面、少々期待はずれだったのが、山田の指揮振り。

なにせ話題の人なので、期待していたが、ずっと彼の指揮振りを見て、凡庸というかつまらない、というか、彼のキャラに被るところもあるかもしれないが、重みがなくて軽薄でオーラを全く感じない。指揮のテクニックとしては、まだ若いというか、もう少し熟練味が加わればなぁと感じるところがあった。


でも指揮振りのさまはそうかもしれないけれど、彼がオケから引き出している、その多才な表現力、そしてその力量は感心するところが多々あった。特に幻想では、こちらが驚くほどの新しいチャレンジを試みていたし、3曲通じて、見事にスイスロマンド管を操縦していた印象があって見事であった。

そしてアンコールがじつに素晴しい。いままでの不満を一気に粉砕するべく、このオケの魅力満開だ。ビゼーのアルルの女をはじめとしたフランスの管弦楽曲や舞踏音楽の演奏だったのだが、こういうジャンルの演目は、この名門オケの最も得意とするところで、その優雅な旋律の泣かせ方というか、軽やかさというか、本当に見事としかいいようがない。

これは彼らをオーディオで聴いていても常に感じていたことなのだ。


不満からはじまったコンサート、気づいてみれば大感動で締めくくり。ヤキモキさせるその演出にやられた感じ。(笑)


もう公表してしまうが、2年後に彼らスイス・ロマンド管弦楽団の本拠地であるスイス・ジュネーブにあるヴィクトリア・ホールを必ず訪問して、そこで彼らを聴くことにしている。


スイス・ロマンド管弦楽団.....アンセルメの時代からの超有名名門オケだが、私の中でもそれだけ期待しているオケなのだ。



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山田和樹首席客演指揮者 スイス・ロマンド管弦楽団

出演山田和樹
ヴァイオリン:樫本大進
スイス・ロマンド管弦楽団

2014.7.8 19:00~ @サントリーホール


藤倉大:Rare Gravity  <世界初演>
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35

ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調
BWV1005から「ラルゴ」(ヴァイオリン・アンコール)
シュレーカー:舞踏劇「ロココ」より「Ⅲ. マドリガル」

ビゼー:「アルルの女」第2組曲から「ファランドール」


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