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スクリャービン讃 [ディスク・レビュー]

BISレーベルの録音を聴くたびにいつも思うのは、その空間表現の美しさ。他の高音質マイナーレーベルは、どちらかというと空間を確保することも大切にしているけど、特に音自体のエネルギー感というか鮮度感が高くて前に出てくるような録音が多い。

BISは、それに反して録音レベルはすごい低くくて、透明感というかクリスタルな感じな印象で、空間の構成の中に組み込まれ、溶け込んでいて、立体的な聴こえ方をする録音が多い。要は、ダイナミックレンジが広い録音と言ってしまえばそれまでなのだが。(あくまでマルチチャンネルで聴いている感想です。) 

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スクリャービン:ピアノ協奏曲、メトネル:ピアノ協奏曲第3番 スドビン、リットン&ベルゲン・フィル 



今回のBISのスクリャービンのピアノ協奏曲の新譜を聴いたときに、そのあまりに色彩感豊かで、美しい空間表現にため息が出てしまった。

ピアノの音色は締めに締め上げたという感じの線の細さでクリスタル。鍵盤のタッチの音、弦を叩くハンマーのフェルトの音がカキンと聴こえてきそうなくらいかなりソリッドなテイスト。粒立ちが煌びやかで、でも単にコロコロ転がすだけではダメで、1音1音に質量感というかタメ、沈み込みがある。(これはゴローさんが私に教えてくれたピアノのオーディオ再生の極意です。)

オケの音も弦の音色も厚みがあって、全体的にピタッと揃っている同時性、そして木管の艶やかさなど申し分ない。

それらが一体になって、空間を形成して部屋を埋め尽くす「さま」は圧巻である。

ここまで私が絶賛するのも珍しい。(笑)

拙宅の「なんちゃってサラウンド」システムでもここまで素晴らしい空間表現を提示してくれるのだから、これぞBIS録音の代表格と思ってしまうほどだ。

思うに、こういう空間表現の優れた録音というのは、やはり収録現場でのマイクのセッティング、そして録音エンジニアのリミックス作業に依存するところが大きいのではないか、と思う。

BISをはじめ、他の高音質マイナーレーベル、いやメジャーレーベルも、やっぱりクラシックの本拠地のヨーロッパのレーベルのこういうオケを収録する技術はたいしたもの、毎度のことながら、よくきちんと綺麗に録れていると本当に感心する。

我々オーディオファイルは、そのような作り手側が苦労して作った空間情報が入ったディスクの情報を万遍なく一滴も漏れなくSPから出し尽くしてやって(これが大変なのです。(^^;;)、さらにSPの位置調整、ルームアコースティックで、完全を期するということをやっているに過ぎない。

今回のBISの録音を聴いて、そんなことをしみじみと思った次第。

そんな素晴らしい録音をもとに聴くスクリャービンのピアノ協奏曲。

スクリャービンはロシアのピアニスト出身の作曲家で、たくさんのピアノ作品をはじめ、管弦楽など数多の作品を残している。いままでスクリャービンの曲は、ピアノ作品が多いこともあるが、いろいろな演奏家で聴いてきているのだが、やはり根底にロシアのロマンティシズムな旋律が流れていて、音色のパレットがすごく多彩で、聴いていてすごく優雅な気持ちにさせてくれる曲ばかり。

そういう意味で、同じロシア出身で、ピアニストでありながら偉大な作曲家であったラフマニノフに非常に似ている。

唯一違うのは、ラフマニノフは13度(鍵盤の離れる距離のことです。)以上届く巨人の手のひらの持ち主だったのに対し、スクリャービンは10度届くか届かないかの小さな手で、途中右手首を故障するアクシデントに見舞われ、左手だけでアクロバティックな柔軟な動きを体得したことで非常に敏捷なテクニックを持っていた「左手のコサック」と言われたピアニストだった。

このスクリャービンのピアノ協奏曲は、ピアノの煌びやかな旋律がすごいロマンティックで、そこにオケが合奏すると大河のような雄大なスケールの印象を受ける。実に美しくて魅力的。まさにこの曲だけでも巨匠の筆至という感がある。

今回のこの新譜では、カップリングとしてスクリャービンの兄弟弟子メトネルのピアノ協奏曲第3番が含まれている。この曲もスクリャービンに決して負けていない美しい旋律が散りばめられた作品で力強いダイナミックな曲だ。

かなり聴きごたえがある。

演奏するのが若手の俊英、エフゲニー・スドビン。

過去に何度も言っているが、やはり自分は若い演奏家で、新しい演奏、そして最新の録音技術による新しい録音が好き。クラシックの楽しみ方、価値観は人それぞれで正しいなどという基準はないが、自分は将来性を期待する、なにか見通しが広くなるような、そんな感じを受けるのが好きなのかもしれない。

オーディオオフ会でかける優秀録音のソフトがまたひとつ増えそうだ。


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