So-net無料ブログ作成

ナレ・アルガマニアン [ディスク・レビュー]

PENTATONEレーベルを支えるアーティスト達は、それこそ俊英たちがたくさん揃っている訳で,アラベラ・美歩・シュタインバッハーばかりプッシュしていては申し訳ないというもの。すべてのアーティスト達各人について、きちんと応援アピールする日記を書いていきたいとはいつも思っているのだが、なかなか遅筆で申し訳ないと思っている。

その中でも、ヴァイオリン部門でアラベラ様とこれば、ピアニスト部門、やはりPENTATONEの期待の新鋭ピアニストといえば、このナレ・アルガマニアンを取り上げないといけまい。

なんでも内田光子さんも絶賛らしい(驚)、アルメニア出身の美人のピアニストだ。
輝かしい経歴、コンクール歴を誇り、若干26歳という期待の俊英。
こういう将来性のある有望株の若い演奏家を応援していくのは先行きが明るい感じで本当に楽しい。

10441368_10152147552371889_2689042969731347040_n[1].jpg

じつは彼女のデビューは、2年前のこのPENTATONEでのアルバムで、ラフマニノフの作品集を取り上げていた。その当時私はこのデビュー盤を購入していた。 

907[1].jpg
 
音の絵、幻想的小品集、コレッリ変奏曲 アルガマニヤン

http://goo.gl/uQj00W

当時は22歳という若さで、そのデビュー盤についているボーナスDVDで演奏姿を拝見すると、とてもエキゾティックな美貌の持ち主という印象できっと人気が出るだろう、と思っていた。

アルバムの選曲、曲の並びというのは結構アーティストに対するイメージに影響するもので、このラフマニノフ作品集の選曲のセンスが、これまた素晴らしくて、驚いてしまった。

かつてのホロヴィッツのアルバムみたいにメイン・ディッシュで ソナタ第2番がドンと据えられていて後はアラカルトで小品集・・・といった選曲ではない。

初期の幻想的小品集Op.3(有名な「鐘の前奏曲」を含む)を5曲 作品番号順に弾いて、その後に中期の油の乗り切った練習曲「音の絵」Op.33の8曲を大きなかたまりとして置き、最後に後期の「コレルリの主題による変奏曲」Op.42で締めくくる。

誰か仕掛け人がいるのではないか、と思うようなインテリジェンスを感じてしまう。

録音もまさに、これぞPENTATONEサウンドという感じで、あざといと思うくらいの残響の豊かさと、自然な綾というか、柔らかい質感でとても美しいサウンド。

彼女は現在に至るまで3作品出しているのだが、途中の2作目は不覚にもまだ聴いていないのだが、つい最近出たばかりの新譜がハチャトゥリアン、プロコフィエフのピアノ協奏曲。 

034[1].jpg
 
ハチャトゥリアン:ピアノ協奏曲、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 アルガマニヤン、アルティノグル&ベルリン放送響

http://goo.gl/1X4vhW

ジャケットデザインもすごく洗練されていて、美しい。彼女自身の風貌、スタイルもデビュー時に比べて、ずいぶんと垢抜けたというか美しくなった。やはり女性アーティストは経年とともにどんどん美しくなるもの、という持論は正しいと思った次第。

ところが最初この新譜の録音のテイストを聴いたときに、ピアノの音色がどうもプラスティックというかカチカチな音色に聴こえて、どうも違和感があった。どうも加工しすぎているというか、人工的で、自然のピアノの音色とは思えない抵抗感があった。

PENTATONEっぽくない感じで、思わずクレジットを見てみた。

そうすると制作スタッフ陣がPENTATONEとドイツの公共放送ドイチュラントラディオ•クルトゥアー (Deutschlandradio Kultur 以下DLR)との共同制作のようであった。録音はポリヒムニア(Polyhymnia International BV)。


PENTATONEというのは、いわゆるレーベル、レコード会社のこと。
ポリヒムニアというのは現場での録音、ポストプロダクションなどを担当する会社のこと。ポリヒムニアが現場で録音・収録したものを、PENTATONEがSACDとして世の中に出すというパートナー関係なのだ。

PENTATONEもポリヒムニアも、もともとはフィリップスからの流派。やっぱりオランダなんだねぇ。
アムステルダム・コンセルトヘボウの屋根裏部屋にあるのもポリヒムニアの編集ルームだ。

ポリヒムニアは、ジャン・マリー・ゲーセン氏、エレベット・ポーター氏が中心になっている。ジャン・マリさんは同時にPENTATONEとしてもバランスエンジニア・編集などとしてクレジットされていることが多い。プロデューサーはジョブ・マルセ氏、編集にエルド・グロード氏。まさにPENTATONEサウンドを作り上げているキーマン、黄金スタッフだ。

ドイツの公共放送のDLRとこのポリヒムニア、PENTATONEとの三つ巴のタッグは、今に始まったことでなく、あのヤノフスキ&ベルリン放送響のワーグナー・ツィクルスもこの三つ巴タッグによる作品なのだ。

今回の彼女の作品もベルリン放送響がオケとして参加していることから、やっぱりビジネスってつながっているもんなんだなぁ、と再認識。

やっぱり少しテイストが違うというか、今回の新譜は、いわゆるダイレクト感が強くて、きびきびしたサウンドに仕上がっている。いつもの残響たっぷりで柔らかいサウンドとは正反対という感じ。ピアノの音色がカチカチなのも、なんかこのテイストに沿った感じだ。

でも予想外というか、意表をつかれた録音のテイストではあったけれど、作品自体の素晴らしさ、完成度の高さは間違いないところ。

やはりかなり聴きごたえがある。

なによりも彼女のピアノのテクニック、そして安心して聴いていられるその安定感は、卓越したものがあると思う。対オケとのバランス感覚も決して負けていない。十分主張している。

PENTATONE一押しのピアニストとして、今後とも注目していきたい若手演奏家だ。 

PENTATONEレーベルは、小さい会社ながら ちゃんと独立のレーベルとして世界的にみとめられ 着実にレパートリーを拡充しているしてことは、実に立派なこと。

こういう若手演奏家を育てていき、前に据えていく姿勢、ツィクルスを何年もかけて制作していく,何年も先を見据えた指針、そして アーティストの特性や営業めども考えながら、徐々にクラシック音楽の名曲を網羅する整然としたカタログがジグゾー・パズルのように完成してゆく。

こういう着実で10年後を見据えたリリース計画についヨーロッパの整然とした街並みを連想してしまう。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0