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小澤さんの水戸室定期公演、そして竹澤恭子さん [国内クラシックコンサート・レビュー]

昔は、1公演につき丁寧に感想日記を書いていたが、去年の年末あたりから、コンサートの感想日記を書かなくなった。理由は、やはり数多くの公演を聴きに行く身にとって、1本単位で詳細な日記を書くのが億劫になった。

コンサートで聴いている最中に、どのように日記にすればいいだろう、とかいちいち考えて聴くのがつまらない、と思ったから。やはり聴いているときは、頭をからっぽにして音楽に純粋に入り込みたい、と思ったのである。

だから終演後に感想をつぶやくくらいにしている。

でも今日の水戸芸術館での小澤さんの水戸室定期は、本当に感動できて、これをつぶやき程度で終わらせるのは失礼だと思ったのである。きちんとした日記として残したい、と心底思ったのである。

ここ最近の小澤さんの水戸室定期はずっとベートーヴェンの交響曲が続いていて、おそらく収録していて全集にするのではないのかな、と感じていた。今日もステージを見ると収録マイクなるものがあった。

ユニバーサル?DECCA?ソニー?

いずれにせよ、水戸室としてははじめての全集、絶対に買います!(できればSACDでね。(*^^*))

ベルリンフィルのラトルの最後の大仕事としてベートーヴェンの交響曲全集を収録することが残っている。これはベルリンフィルにとって、ブラームスと並んで避けて通れない大仕事なのである。

小澤さんが、なぜベートーヴェンを選んだのか、わからないが、やはりカラヤンが異常にこだわったベートーヴェン交響曲全集であるからして、カラヤンに師事して日本人指揮者として大きい運命を切り開いた人なので、そこにこだわりがあるのかな、と邪推したりする。

すみません(^^;; 勝手に全集を作るんだ、と思い込み、勝手に予想し放題の勝手なことことをずらずら書きました。(笑)

でももう十中八九そう思い込み期待しております!

じつは、今日の水戸室定期には、もうひとつ大きなお目当てがあった。

それは竹澤恭子さんの実演に接すること。


もちろん存在はよく知っていて、世界の有名なオケ(ニューヨーク・フィルハーモニック、シカゴ交響楽団、ロンドン交響楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)と共演を重ね、ルツェルンなどの世界的音楽祭にも出演なされ、まさに国際舞台を活躍する日本人奏者の誉的な存在である。

そんな竹澤さんが、この5月から水戸室の正式メンバーになるのだ。

国際舞台を活躍されているのを知ってはいたものの、じゃあ彼女のCDを聴いたの?実演に接したことはあるの?となるとどちらもノーだったからである。今回の水戸室メンバーへの入団をきっかけに、ぜひ今日の公演で、その実演に接してみたい、とかねてより思っていた。スゴク楽しみにしていたのだ。

公演後、感動したので、さっそく竹澤さんのCDを買いました!

DSC03126.JPG


また近日中に、よこすか芸術劇場で、児玉桃さん、竹澤恭子さん、堤剛さんの室内楽を聴きに行く予定で、よこすか芸術劇場をはじめて体験するという目的もあるのだが、このメンバーによるアンサンブルが最高に楽しみで、そういうこともあって竹澤さんは、ぜひ実演に接してみたい、とかねてよりずっと思っていたのである。

今日の水戸室公演は最初、ひとつの悲しい儀式から始まった。

ずっと水戸室のヴィオラ奏者として活躍されてきた江戸純子さんがご逝去なされ、その追悼の演奏が行われたのだ。

モーツァルト ディヴェルティメント 第2楽章。

もちろん拍手なし。小澤さんが指揮した。(もちろん椅子もなし。)
潮田さんのときもこの曲だったと思う。小澤さんがこの曲をそのようなときに使用する理由を知りたい気もする。

そして前半は恒例の指揮者なし。

1曲目はゲルスターのティンパニーと弦楽のためのカプリチェット。
自分は初体験の曲である。舞台右前方にティンパニーが5つも用意されている。

冒頭の弦楽のユニゾンに絡むようにティンパニーが連打される、そのパターンを繰り返すような感じの曲。なかなかオドロオドロしていて、重い感じの不思議な曲だが、水戸室の華麗で優雅な弦の魅力とティンパニーの切れ味鋭い炸裂音とが交互に奏でられるコンビネーションは、じつに秀逸。

こういう感じの曲って結構オーディオ的にもオイシイ聴きどころ満載の曲だよなぁ、なんてまたオーディオマインドをくすぐるような観点から考えてしまうのは、やはり病気だろうか。(笑)

ティンパニーのこの鋭利な立ち上がりの早い炸裂音をオーディオ再生で実現するのは、なかなか難しい、そんな曲だなぁ、なんて演奏中考えていた。

そして、前半の最後、2曲目のモーツァルトヴァイオリン協奏曲第5番<トルコ風>

いよいよ竹澤恭子さん登場である。

真っ白なドレスに身を包み素敵であった。
登場して歩いてくるその姿からして、元気娘という感じではちきれんばかりなのである。

とにかく細かいところも含め、舞台上の所作がキビキビしていて、ゴムまりのように弾むと言ったらいいだろうか。本当にはちきれんばかり、という感じなのである。

そしていざその演奏を拝聴させていただき、まさにそのイメージ通り、ものすごいダイナミックな演奏、ちょっとオーバーアクションとも思えるくらいの大きなアクション。曲の旋律に合わせ、激しく体を大きく揺らす感じで、かなり情感的に演奏する。

それで、奏でられる弦の音色も、じつに音量が大きくて響きも豊かで朗々と鳴る絢爛な音。旋律が上下に流れるようにスライドするようなところもじつに美しく弾ききる。

ボーイングの所作もダイナミックそのもので、なんか男性奏者を観ているような感覚に陥ってしまった。

女性ヴァイオリニストで、これだけキビキビしていてダイナミックに演奏する奏者は、自分はあまり観たことがないかもしれない。かなり面喰いました。(^^;;

とても魅力的なヴァイオリニスト。

彼女がこのような弾き方なので、演奏曲全体も、この演目にふさわしい元気そのものの、といった明るいイメージであった。

いやぁたまげたのと同時にお見事でした。

こんな方が水戸室のメンバーに入ってくれるなんて、将来がとても明るいと思いました。

そして休憩を挟んで、小澤さんのベートーヴェン交響曲第2番。

この曲は、あまり自分は馴染みがないのだが、第4楽章の主題は、NHKのベルリンフィルのヨーロッパコンサートなどの最初のテーマ主題曲で使われていた旋律で聴き覚えがあった。

今日の小澤さんを観て、思うのは、療養から徐々に復帰していく過程で、ひとつの安定期に入ったのでは、と思うような安定ぶりを感じた。椅子があるのは仕方ないにしろ、指揮ふりが非常に悦に入っていて、まったく不安定なところなど微塵もないのだ。前半指揮者なし、で後半のみというこのスタイルで、ようやく自分のペースが確立できたような。

またオケの演奏の抑揚の部分と、小澤さんの指揮のキューがものの見事にシンクロしていて、小澤さんの振りにオケ全体がきちんとコントロールされているように、観ていてお互いのあ・うんの呼吸が合っているようにちゃんと見える。

あぁぁ~小澤さん、安定期に入ったなぁと思うところがあった。

以前、インタビューで小澤さんは担当医に、もう少し力を抜いて指揮することを考えろ、と言われているんだけれど、これがねぇ、実際指揮台に立つと、もうがむしゃらになってしまい、その後ガクッとくるんだよねぇ、ということを言っていた。

でも今日の指揮ふりを見ると、力を抜いていかに指揮の本筋に迫るか、を悟ったようにも思えた。

小澤さん、元気そうでした。

それにしても水戸室のアンサンブルの完璧さは見事としかいいようがない。特に水戸室の弦の音色の美しさは世界トップレベルだと自分は確信していて、実際すごい音色が厚いし、一糸乱れないピタッとした同時性のアンサンブルは素晴らしいと思うばかりであった。

朗々と歌い上げる、といった表現がいいだろうか。
木管の嫋やかな音色も素晴らしかったし、金管の安定さもよかった。

こんな小さな室内管弦楽団なのに、まるで大編成のオケを聴いているのと変わらない、これだけの音の厚みを出せるのは1人1人の技量の高さはもちろん全員のお互いの信頼からなるコンビネーションの賜物なのだなぁと思うばかりである。

自分は、SNSはmixiはふだんの自分の仲間たち、FBはそれに加え演奏家などの業界の方々の応援という使い分けをしていて、実際FBでは数多くの演奏家の方にありがたくも友人になっていただいている。

やっぱり思うのは、外来オケや外来ソリストだけの鑑賞よりも、こういう友人関係にある演奏家の方々の実演にじかに接することで、いわゆる情が移るというか、感動が何倍も大きくて深いものになると感じつつある昨今なのである。

先日の東京・春・音楽祭のときのN響のワルキューレのときも、日本の企画、日本人によるものであるが故に、なにか余計に胸にこみあげてくるような、グッとくるような熱いものを感じてしまった。外来ものであれば、それなりにサバサバと感動するくらいで終わるのに、やはり同じ日本人であるが上の”情”というか、そういうものがあるほうが、感動の深さが大きいんではないかな、と思うのだ。

いまは仕事で忙しいので無理なのだが、老後の楽しみとして、在京楽団の定期会員になる夢がある。現在はミューザの東京交響楽団の名曲シリーズの会員だけなのだが、老後になったら、さらにN響、都響、新日フィルあたりをさらに加えてみたいな、と思っていたりする。

いまはサイトウキネン、水戸室の公演は、必ずカバーしようと心がけている。

これは小澤さんがもう振れん、というときまで見届けようという心意気で、これが小林悟朗さんへの自分の恩返しだと思っているためだ。

だから今日も、この水戸芸術館で、渡辺さん、豊嶋さん、安芸さん、宮田大くん、そして川本さん、他みなさん、の演奏を聴くと安心というかホーム感覚になる感じがして、これを将来在京楽団の方へもそういう想いを抱けるようになったらなんて漠然と考えている訳だ。

外来オケ、外来ソリストに対しては、そのようなホーム感覚にはならないし(ある意味憧れの概念だけですよね。)。

やっぱりそっちのほうが楽しいっしょ!

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2015/5/17 14:00~ 水戸芸術館
第93回水戸室内管弦楽団定期演奏会

第1部 指揮者なし

ゲルスター:ティンパニーと弦楽のためのカプリチェット
ティンパニー独奏:ローランド・アルトマン

モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調K.219 <トルコ風>
ヴァイオリン独奏:竹澤恭子

第2部 

指揮:小澤征爾
ベートーヴェン 交響曲第2番 ニ長調 作品36

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