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myrios classicsの新譜:タベア・ツィンマーマンのヴィオラ小品集 [ディスク・レビュー]

自分が敬愛してやまないタベア・ツィンマーマンの新譜が届いた。

以前の日記でもずっと綴ってきたように、myrios classicsという室内楽専門のドイツの高音質レーベルに所属して、その一連の素晴らしい作品は自分をずっと魅了し続けてきた。

ずっと縁がなく、なかなか実演に接することができなかったのであるが、去年、リサイタルと、彼女が所属するアルカント・カルテットの公演を経験することができた。

彼女の映像作品はないので、CDのジャケット写真を見て、その妖艶な音色を聴きながら、ずっと自分の頭の中で空想してきた奏者であったので、いざ目の前で演奏している姿を拝見するに至り、まさに万感の想い、といったところだった。

マイナーな高音質レーベルなので、プロモート、広告戦略というのもつつましやかなもので、それが玄人向け音楽家と言われる所以というか、神秘性のベールに包まれているという感があって、自分にとってそれがすごく魅力的であった。

ゴローさんも一押しのヴィオリストであった。

彼女の取り上げる作品は、玄人受けするというか、渋めの曲が多くて、聴いていてマニア心をくすぐるというか、じつに格好いい。特に最近のヒンデミットの作品は圧巻で、ヴィオラにこだわる作品としては、ヴィオラ奏者にとって避けて通れない作曲家、作品なのだと思うようになった。

元ベルリンフィルのヴィオラ奏者であった土屋邦雄さんがヨーロッパに留学するきっかけになったのも、東京藝術大学での旧奏楽堂で、作曲家ヒンデミットを前に彼の無伴奏を演奏したことだったという話を聞いていただけに、その思いはより一層強いものになった。

そんな彼女の最新作。 

154[1].jpg
 

『忘れられたロマンス~リスト、グラズノフ、ヴィエニャフスキ、ヴュータン、コダーイ、他』 タベア・ツィンマーマン、トーマス・ホッペ 

http://goo.gl/yM52LU


いままでの彼女の作品とは、まったく方向性の違う新しい試み、と言おうか。

ヴィオラの小品集。

本当に珠玉のような美しい旋律が散りばめられた小作品を、たくさん詰め込んだ、という感じで、出てくる音の雰囲気が、華やいでいるというか明るい、ほんのりとしたイメージで、いい意味でかなり期待を裏切られた。

いままでの彼女の作品は、ずっとどこか少し陰影感の漂うようなモノトーン調の調べが多かったので、今回もと思ったら全く想いもよらなかった美しい調べの数々、至極正当法という感じ。

フランツ・リスト、グラズノフやヴュータン、ヴィエニャフスキの人気曲が収められ、まさにヴィオラの小さな作品の名曲集という仕上がり。

サウンドのテイストは、やっぱりこれもいままでとはちょっと趣が違った。

いままではヴィオラの録音レベルがすごく高くて、前に出てくるというか、朗々と鳴るというか、妖艶というか、そんないわゆる主張する色気を感じたのだが、今回は結構ヴィオラの録音レベルがすごく低くて、ちょっと全体としておとなしめのイメージであった。

ピアノとのバランス、空間の出し方など、全体のバランスを考えてのことなのかな、とも思った。このレーベルのサウンド作りは、本当に裏切られたことがなくて、まさに自分好み。

彼女の作品は、ずっとベルリン郊外にあるダーレムのベルリン イエス・キリスト教会で録音されている。

教会特有の残響感たっぷり、という感じでなくて、もっとつつましやかな程よい響きが、録音場所として適しているのではないのかな、と常日頃感じている。

室内楽の魅力は、演奏者のブレス、各楽器のこまやかなフレージングやニュアンスが手にとるように感じられるところで、そして音数が少ないことで、そのほぐれ感というか、隙間のある音空間を感じることができて、立体的でふくよかな感覚になれるところ。

ちょっといままでの彼女の音色のイメージとは違ったけれど、いわゆるヴィオラ特有の”深い”音色は見事に表現されているし、音程の安定感と音の柔らかい伸びが素晴らしくて、繊細な心の動きやふるえが感じられる表現は、彼女ならでは、と思うところがあった。


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