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アラベラ様狂騒曲~NDR & アラベラ・美歩・シュタインバッハー来日ツアー [国内クラシックコンサート・レビュー]

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本日無事帰京。もう燃え尽き症候群というか、今年の芸術の秋を一足早く経験してしまい、あとはひたすら毎日働くだけ、という日々に戻り、どっと疲れが出てしまった。

リアルタイムでSNSのほうに投稿したが、もう少し加筆してきちんとした日記にしておきたい。

メンデルスゾーン&チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の新譜リリースに伴い、その凱旋コンサートみたいな位置づけで、大阪、東京、そして愛知とツアーが組まれ、それを全部追っかけてきた、という訳だ。

● 6/3 大阪シンフォニーホール 

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久しぶりの大阪シンフォニーホール。日本で初めて本格的なクラシック専門ホールということで建設されたコンサートホールで、当時は残響2.0秒(この残響時間は、名ホールとしてのひとつの指針のパラメータですね。欧州の名ホールを片っ端から残響時間を測っていったら、不思議とどれも残響2.0秒だった、という話を聞いたことがあります。)を唄って世界最高の音響をアピールしていた。

このホールで今回演奏を聴いたとき、あぁぁ~やっぱりいい響きだな、とつくづく感じたところ。ホールの形状としては、ちょっと奥行きが狭くて、天井が異様に高いのが特徴。

オーディオで聴くアラベラ嬢の音色は、ちょっとドライ気味に聴こえるのだが(たぶん自分のオーディオ再生の問題。)、この大阪シンフォニーホールで聴いた彼女の音色は、ふだん聴いているのに比べ、色艶、光沢感など申し分なしで、潤いがあってじつに瑞々しい音色だった。このとき、やはりこのホールは音響がいいんだなぁ、とそのときに思ったことだった。

演目はメンデルスゾーンのVn協奏曲と、マーラー交響曲第1番。

じつに1年ぶり。久しぶりに見るアラベラ嬢の演奏姿。
かなりドキドキというか興奮しながら観ていた、と思う。

残り2回を聴いて、じつはそうでもないことがわかったのであるが、この最初の1発目の印象は衝撃であった。SACDで聴いていた分には、比較的テンポゆっくりめで情感たっぷりという印象なのだが、この日の実演は、ものすごいテンポの速さで激情型とも言えるような激しいドラマティックな演奏スタイルのように感じてしまった。もう全然違う。

実際ライブで観るなら、自分の好みからすると、断然後者のほうが好み。疾走感というか生はこれくらい早いテンポで激しいほうがいい。

でも残りの2回を聴いて、そんな感じでもないやっぱり普通のテンポだよなぁと思うようになって、考えたのは、やっぱり彼女の演奏スタイルが原因かな、と感じたことであった。

彼女の演奏の立居ふるまいはじつにカッコよくて、ボーイングするときの体の体重移動のさせ方、弓裁きなどが曲のフレーズにあわせて、ウマく絵になるような印象を受ける。特にそのフレーズに合わせて弓を引いた後に、宙に投げ出すようにする弓裁きは、他のVn奏者では、いままで観たことがなくて、彼女独特のスタイルだなぁと感じた。じつに絵になる感じで、彼女のアピールポイントかもしれませんね。

彼女の体格のサイズから、いわゆる力感溢れる演奏というよりは、その相応のサイズに合ったコンパクトな魅力があって、どちらかというと線の細い繊細な美しさがある音色だと感じる。優雅な演奏という表現がぴったりだろうか。

1度この体験をしてしまえば、残り2日間の感想は、ほぼ同じ。バラツキはほとんどなかった。

そうして後半のNDRによるマーラー交響曲第1番。
今回は、ひとつの売りがあって、同じマラ1でも「ハンブルク稿」というバージョンで、それも過去にいろいろ演奏された経歴があるのだが、今回のNDRのバージョンは世界初のお目見えという珍しいバージョンであるところであった。

今回のツアーで1番後悔しているのは、このハンブルク稿を、準備時間がなくて、よく事前に勉強していなかったところであった。

本当に悔しい。

ということで、この初日の公演では、このNDRのマラ1はよくわからないで聴いていた感じで、その評価ができない状況で、これではダメだ、と思い、翌日の東京サントリー公演で出直すことにした。(その前に家で調べて、何回も彼らのCDを聴きこんで。)

初日は、やはりアラベラ嬢を観ることが1番の成果であった。

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2015/6/3(水)19:00~ 大阪シンフォニーホール
指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
管弦楽:NDR(北ドイツ放送響)
独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
~アンコール~プロコフィエフ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 op.115から 第1楽章

マーラー交響曲第1番 ニ長調「巨人」(1893年ハンブルク稿)
~アンコール~ワーグナー: オペラ「ローエングリン」から 第3幕への前奏曲

●6/4 東京サントリーホール 
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NDR&アラベラ嬢のコンビの知名度からどのくらい集客があるのかな?とちょっと不安であったが、超満員とまでは言わないが、かなりの入りで着実に集客力が出てきている、と感じた。これは今回の3公演すべてに共通する感想で、空席はあるが、かなり埋まっていたという印象であった。ちょっと嬉しかったりする。特にサントリー公演では、気のせいか、身だしなみがしっかりした紳士淑女という層がすごく多い感じがした。


NHKがこの公演を収録している。カメラマンに聴いたところ、9/13 NHK Eテレ(9:00~)で放映される予定だそうです。ノーカットでしょう。楽しみ。


アラベラ嬢の演奏は、バラつきがないので、今日のポイントは、NDRによるマラ1によるハンブルク稿の演奏。

世界初のハンブルク稿の1番大きなポイントは、5楽章制で第2楽章の「花の章」があることだと思う。じつに美しい旋律の楽章で、今日の実演では、トランペット奏者が舞台左側でソロのような感じで演奏して、その穏やかな旋律にヴァイオリンが甘美に寄り添う。そんな風情でじつに美しかった。自分が最初に違和感があったのも、マーラーらしくないこの旋律のせいか、とも邪推したり。

また第1楽章最初のほうのリピートが この楽譜には無いそうで、さらに第3楽章(通常版の第2楽章) も もう1フレーズ繰り返すはずが、無いので こちらも そうなのだろうと想像できた。

こういうところも普段聴いているのと違和感があった一つの理由かな、とも感じた。

現行版は4管編成なのに対し、ハンブルク稿は当時3管編成なので、そこも準拠しいてるのか、と思って観たが、なにぶん自分の座席からよく見えなくてわからなかった。

その他いろいろ細かいところで違うみたいだが、結局自分の中で完全に理解できないで終わってしまった。

このハンブルク稿は、1989年に若杉さん/都響のコンビで初演した経緯がある。(日本で、という意味?たぶん)。

CD録音もされているようだ。それに対してヘンゲルブロック盤は、国際マーラー協会から出版が予定されている新全集版による世界初録音という意味のようで、ハンブルク稿は、けっこういろいろパターンがあるようで、「花の章」を第2楽章に加えた全2部・5楽章制で、オーケストレーションの細部の異動も数多くて、大筋は決まっているのだけれど細かいところで、いろいろバリエーションがあるのだと自分では理解している。

はじめ、このヘンゲルブロック盤のハンブルク稿の録音を聴いたとき、なんか録音が悪いな、と感じたのが第1印象。

普段のマラ1であれば、もっと気持ちよく聴こえないといけないのに、なんか聴いていて、伸びやかさがないというか気持ちよくない。

またこの日のマラ1の演奏は、鳴っていないというか演奏がひどかった、という友人の感想が観られた。(確かに連日連戦の疲れ、というのもありますね。)

自分は事前にCDで録音が悪いと感じていたので、こんなものじゃない?という感じで、逆にCDの録音より、ずっと生演奏のほうがずっと迫力あるサウンドだったので、そんなに違和感はなかった。

個人の感性なので、真相は永遠に謎であるが、感想の中には、この版は、古楽のスタイルを踏襲している、という意見があって、それを考えると、古楽のノンビブラートな響きを伴う演奏であれば、鳴っていないように聴こえるのもあり得るのかな?と思ったりした。

だが、しかしだ。

この日の生演奏を聴いて感じたのは、

NDRのCDの録音はよくない?ということ。(あくまで自分の主観です、ゴメンナサイ。)

生演奏でこれだけの素晴らしい演奏を聴かせてくれる彼らなのに、これを録音作業で作品とすると、あのようなナローレンジな情報量の少ない、オケの音が薄い、作品になってしまうこと自体、自分はとても許せない気持であった。

今日の実演を聴いて、彼らのCDでは、その彼らの演奏の魅力の半分も伝えていないと思えた。

もっと彼らの真の姿を捉えてほしい!

生演奏のトーン、アンビエンス(響き)をそのまま収録して、オーディオ再生でもそのように聴こえるようにするのがひとつの録音哲学なんじゃないだろうか!

そんな気持ちを多く持ったこの日の公演であった。

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2015/6/4(木)19:00~ 東京サントリーホール
指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
管弦楽:NDR(北ドイツ放送響)
独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
~アンコール~プロコフィエフ: 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 op.115から 第1楽章

マーラー交響曲第1番 ニ長調「巨人」(1893年ハンブルク稿)
~アンコール~ワーグナー: オペラ「ローエングリン」から 第3幕への前奏曲


● 6/6 愛知芸術劇場コンサートホール

生まれてはじめて名古屋の地を踏む。名古屋名物のいろいろな美味しい食べ物もたくさん堪能した。もちろん今回のこのコンサートホールもはじめての体験。

愛知芸術文化センターという総合施設の中の1施設として、このコンサートホールがある。

愛知芸術文化センター 
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愛知芸術劇場コンサートホール
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愛知芸術劇場コンサートホールはじつに素晴らしいコンサートホールであった。内装空間もワインヤードなんだけれど、そのようなガチガチの限定ではなくてもうちょっと型破りなところが散見される不思議な空間という感じ。

音響がじつに素晴らしかった。前方から5列目のかぶりつきにも関わらず、響きが豊富に聴こえて、直接音をかなり強化していた。理論的に不思議.....

写真を観てもらえればわかるように、ワインヤードにしては、背面、側方の座席数のキャパが小さい。ステージの発音体から360度無指向で流れ出る音は、ワインヤードの場合、四方の観客に吸われてしまう感じになるのだろうけれど、ここは、座席キャパが狭くてすぐに壁があるので、壁からの反射音を得やすいようにしているのではないか、という予想が立った。

いわゆる初期の側方反射音を得やすいようにしている仕組みですね。

また天井にある浮雲(反響板)も多数見られた。

こういう工夫が、かぶりつきであるにも関わらず、響きが豊富に感じる理由なのか、と予想した。

本当に地方には素晴らしいホールがたくさんある。コンサートホール探訪は、なにも海外に拘る必要はなくて、定年退職の老後に、こういう国内のいいホールを探訪するために全国行脚の旅に出るのもいいのではないか、とつくづく思った。

このツアーの最終章を締めくくる公演は、前日2日と違って、NDRの演奏演目が違った。ドヴォルザークの「謝肉祭」とベト7があるところであった。

もう3回も同じ公演を聴くと、勝手がわかってきて、初回の時が1番衝撃だよな、という感じはするが、新たな発見もたくさんあった。

座席が、この写真の角度なので、アラベラ嬢のVnの音色が、弦が擦る音がはっきり聴こえるというか、かなり質感が生々しく聴こえてVnを近くで聴くとこういう感じなんだよなぁ、とつくづく。

NDRのベト7やアンコールのハンガリー舞曲はじつに素晴らしかった。特に前半よりも後半になるにつれて、どんどんクレッシェンドしていく、その盛り上がり方は異常に素晴らしくかなり興奮した。ずっとツアーを追っかけてきたので、演奏の出来不出来に関わらず、最終日は賞賛で讃えようという気持ちだったので、寄る年波によって涙腺が弱くなってきていると思うが、エンディングのときは、相当こみあげてくるものがあった。

ありがとう、と共にご苦労様といいたいです。

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2015/6/6(土)15:00~ 愛知芸術劇場
指揮:トーマス・ヘンゲルブロック
管弦楽:NDR(北ドイツ放送響)
独奏:アラベラ・美歩・シュタインバッハー

ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」op.92

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
~アンコール~クライスラー: レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース op.6


ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調 op.92
~アンコール~ブラームス: ハンガリー舞曲第5番




3公演とも終演後にサイン会があった。
全日とも参加した。
ヘンゲルブロック氏とアラベラ嬢の2人が参加した。

去年のアラベラ嬢のリサイタルでは、このサイン会のときの写真撮影は撮り放題であったと思ったが、今年から撮影禁止になっていた。このときにヘンゲルブロック氏の話すのを聴いたのであるが、じつに豪快な人で、「がっはっはっは~!」という感じで、すごい大きな声で大笑いすることが多くて豪快だなぁ~と思った。(笑)

申し訳なかったのは、アラベラ嬢のSACDのジャケットにサインしてもらう関係上、ヘンゲルブロック氏のサインをもらえなかったところであった。パンフレットにサインをしてもらう配慮があってもよかったかもしれない。

初日のときに、撮影禁止とは知らずに、撮影しようとしたら、ダメ~って手が入ったりして、その事実をはじめて知りました。(笑)

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アラベラ嬢とは、今度9月のシルバーウィークで再度N響との共演でお目にかかる予定。楽しみ。

ということで、一足早い私の芸術の秋はおしまい。

SNSでのお目汚しの投稿、失礼いたしました。ちょっとはしゃぎすぎました。(^^;;


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