So-net無料ブログ作成

アラベラ・美歩・シュタインバッハー、ブロムシュテッド&N響のベートーヴェン プログラム [国内クラシックコンサート・レビュー]

                                           DSC03462.JPG

今年の秋から、来年の春に向けて、ベートーヴェンに纏わる公演が多く行われるようだ。そんな中、所沢ミューズ アークホールと渋谷オーチャードで、ブロムシュテッド&N響で、ソリストにアラベラ・美歩・シュタインバッハーを迎えてのベートーヴェン プログラムを体験してきた。

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲とベートーヴェン 交響曲第3番「英雄(エロイカ)」。

堂々のプログラム。

ヴァイオリン協奏曲のほうは、先日の日記で取り上げたように、奏者側からすると難曲中の難曲。そして3番英雄は、まさにベートーヴェンの交響曲の中でも、5番(運命)、9番(第九)と並んで堂々3本の指の中に入る大曲中の大曲。

これ以上はないというくらい申し分のないプログラムであった。

結果は、もう完璧なまでのパーフェクト!

恐れ入った、である。ここに一聴衆として最大の感謝と賛辞を奏者側のみなさんに送りたい。

感動で、その夜は、いつまで経っても興奮冷めやらずであった。(それも2日連続!)

所沢ミューズ アークホールのほうは、じつは初体験のホールであった。都心から、じつは意外にもアクセスも良くて1時間位で着いてしまう。ホワイエで渡されたチラシの中では、結構魅力的な公演が多いようなので(アリーナ・イブラギモヴァ嬢のリサイタルも急遽加わったみたい。)、これからも利用させてもらいたいと思った。

DSC03425.JPG



 

DSC03426.JPG



ホールのほうは、天井が高くて、シューボックスが基本で、P席やサイドにも少々の座席があるという拡張型のシューボックスのようなホールであった。内装はなかなか雰囲気があって美しいホールで、音響もちょっとライブ気味でいい音響だと思う。

大ホールだけでなく、中ホール、小ホールのように公演規模に応じて3つのホールを完備して、施設としてはとても大きい。

2日間の公演は、ほとんどバラツキはなくて、両日とも完璧というくらいのレベルで、本当に驚嘆の限りだった。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。

この難曲中の難曲をここまでものの見事に弾ききったアラベラ様の技術には本当に敬服である。
本当に見事であった。

そしてボウイング、弓使い、立居姿もまさに”エレガント!”。

もうますます彼女に盲目になってしまいそう.....

特に第1楽章の後半のカデンツァから第2楽章にかけて、本当に締めに締め上げた線の細さの繊細の弱音で、静謐の中を延々と音色を奏でていくところは、観客のブレスのリズムも耐えられなくて、思わず咳き込む人多数で、その鬼気迫る緊迫感はスゴイものがあった。

何といってもピアニッシモでの旋律の描き方が、本当に美しくて、ふらつくことなく見事に安定して弾ききっていた。そしてそこからフォルテシモまでの強弱の抑揚のつけ方が、ぐ~っと唄いあげていくようにドラマティックにスライドさせるのが素晴らしくて、技術の素晴らしさももちろんであるが、この曲の落としどころを十分知り尽くしているという印象を受ける。

圧巻は、この曲の最大の魅力である第3楽章であろう。自分が1番この曲で最大の恍惚感溢れる美しい箇所と思っている独奏ヴァイオリンとファゴットとの語らい、の部分。両者の掛け合いは、見事としか言いようがない。最高の瞬間であった。

そしてエンディングに向かっての高速なパッセージもスゴイの一言。終わった瞬間、もう一斉にブラボーと驚嘆の大歓声で包まれ、自分は感動のあまり涙が出そうになった。

ここまでこの難曲を完璧に弾ききるには経験があるのではないか、とそのとき思ったのであるが、終演後にホワイエで彼女のCD売り場で見たところ、ORFEO所属時代にこのベートーヴェンの協奏曲を録音しているようであった。

また過去の公演でも何回も演奏している、とのことであったから、本当にこの曲を知り尽くしているとしか思えないその見事なまでの演奏ぶりに合点がいった、というところであった。

そのCD売り場で彼女のORFEO,PENTATONEの過去の録音ライブラリーを眺めてみると、もうほとんどのコンチェルトは録音済みなのだ。

つい最近でたばかりの新人ではなくて、もう十分な中堅選手なのである。

去年あたりからメディアに注目されるようになって、人気が出始めてきているという実感は自分も感じているところで、だから尚更、技術、経験のしっかりしたバックグランウドを持っているうえでの人気だから、実力も伴った存在感、立ち位置がしっかりしている、と思うのだ。

自分はORFEO時代のCDは持っていないが、PENTATONE時代のCDは昔のものの結構4枚ほど持っている。でも当時の自分の彼女の印象はまったく薄く、PENTATONEの女王と言えば、自分の世代では圧倒的にユリア・フィッシャーであった。

そんな陰に隠れて、まったく印象が薄かったのであるが、PENTATONEのジャケットがリニューアルで一新されたころから(モーツァルトのコンチェルト)、レーベルのプッシュ路線もあるのか、急に目立つ存在になって彗星のように目の前に現れてきた。

そこからすごく垢抜けた感じで躍進著しいという感じで、あれよ、あれよ、という感じでいまに至っている。

今年の6月の頃のNDRとの共演での終演後のサイン会に比べて、今回のサイン会のほうが、もう信じられないくらい長蛇の列になっていた。人気が浸透してきた実感がある。

自分も去年はじめて実演に接した訳であるから、彼女のことをよく知っている訳ではない。人気が出始めたいまからでも遅くない。これからも生演奏はしっかり追っかけていきたいと思う。




そして、それにも増して驚いたのは、後半のブロムシュテッドの英雄。

ベートーヴェンの交響曲は二十世紀半ばにワーグナーばりに巨大化したオケ編成で思いっきりロマンチックに分厚い音響で演奏するのが主流だったのだが、最近はスコアに忠実な2管編成にもどす傾向にあって、そういう昔の編成でこの曲をずっと聴いていた自分にとって近年の英雄の演奏は、冒頭のジャンというところからして、どうも音が薄いのが自分の好みに合わなく避けていたところがあったのだ。

正直、今回のプログラムを見たときに、「英雄かぁ?」という感じで、あまり期待していなかったことも事実。

ちょっと過去の日記を覗いてみると、大物では、2010年11月11日のプレートル&ウィーンフィルでのサントリー公演での英雄、そして同じ2010年11月19日の内田光子さん&フランツ・ウェルザー=メスト&クリーヴランド管弦楽団でのサントリー公演での英雄。どちらも音が薄いと感じて、この曲が持つ自分のイメージからは程遠い演奏でがっかりした、と書いてある。(笑)

もうこのあたりからである。その後国内オケ含めて、数えきれないくらいこの曲に接してきたが、ほとんどが音が薄いと感じて満足できた公演に出会ったことがなかった。

そこからこの英雄の近代演奏に対して自分の苦手意識が出てきたといってもいい。

冒頭のジャンの1発でわかるのである。

ところがである。

今回のN響の演奏は、全くその常識を覆すような信じられないミステリーであった。

この日は2管編成だと思ったのだが、予想もしない重厚感と分厚い音色が、まさにずっと自分が求めていた理想の英雄の音に近かったのである。あの行進曲的にどんどん迫ってくるような旋律も、この分厚いサウンドでものの見事に表現されている。

まさしく、これだぁぁあああ!という感じで自分は夢中になった。

自分が経験してきた英雄の近代演奏では最高傑作といってもよかった。

倍管でもなく2管編成でこの分厚いサウンドをN響から引き出していたのは、まさにブロムシュテッド・マジックなのかもしれない。

この方は、巨匠という、かしこまった呼び方をされるより、もっと親しみのあるほうがしっくりくるほどユーモラスだ。でもその反面、リハーサルでのオケへの指導もなかなか厳しいと聞く。

88歳......信じられない。

カラヤンはこの歳の頃に来日した時は、1人では歩けず、エリエッテ夫人や他の人に支えられながら宙をさまようように歩いていたし、カールベームは最後の来日では、車椅子だったし。(笑)

それと比べると、いまのブロムシュテッドは超人的な若さで驚くばかり。最後は楽団員とのコント付き(笑)で、もう驚嘆の一言としか言えなかった。

やはりパーヴォ・ヤルヴィ氏の新音楽監督時代到来などで、N響はいま本当にスゴイ勢いがあるように感じることは確かだ。


DSC03430.JPG

DSC03441.JPG

DSC03438.JPG

12002096_972532646123005_4702781693686754520_n[1].jpg

こちらは渋谷オーチャードでの公演の終演後のサイン会でのショット。mixi/FBでの女性の友人が撮影したものをお借りしました。(本人の承諾を得ました。)素敵なショットですね。

N響演奏会             2015年9月20日 17:00~ 所沢ミューズ アークホール
第86回定期演奏会 2015年9月21日 15:30~ 渋谷Bunkamura オーチャードホール

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテッド
ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー
コンサートマスター:篠崎史紀

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
~アンコール
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 イ短調 第1楽章 妄執(Obsession)

ベートーヴェン 交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0