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Channel Classicsの新譜:古楽の世界への誘い。 [ディスク・レビュー]

1年のうちで最も忙しいこの時期をなんとか乗り越えられそうだ。その合間を縫っての休日のオーディオタイム。

正月に1度聴いていたが、オランダの高音質レーベル Channel Classicsの新譜を3枚、今日じっくり聴きこんでみた。

正月にも感じていたが、3枚ともじつに素晴らしい優秀録音。いわゆるガツン系ではなくて、癒し系室内楽の様相で、疲れ切った頭と体を十二分に癒してくれた。

ジャレット・サックス率いるこのレーベルも順調のようで、新譜の回転率が速い印象を受ける。
レーベルのサウンドというのは、およそイメージが決まっているものだが、この3枚は、各々でその印象が違っていて、じつに興味深かった。同じレーベル、スタッフの作品とは思えなかった。 

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メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲第1番、第2番 
ハムレット・ピアノ・トリオ

http://goo.gl/4ZW6eE

2011年に結成された、ピアノ:パオロ・ジャコメッティ、ヴァイオリン(アムステルダム・シンフォニエッタの音楽監督!):カンディダ・トンプソン、チェロ:クセニア・ヤンコヴィチによるアンサンブル 「ハムレット・ピアノ・トリオ」による演奏。

メンデルスゾーン時代のサウンドを再現するべく、エドウィン・ベウンク・コレクションのエラール・ピアノとガット弦を使用している(東京エムプラス情報 on HMV)とのことで、ピリオド・アプローチ。


オランダは、まさに古楽王国で、Channel Classicsというレーベルも過去からずっとピリオド楽器による古楽演奏の録音を多く取り入れてきている。(レイチェル・ポジャーなんか代表格。彼らのひとつのレーベル・カラーですね。)

またエラール・ピアノを取り入れることは、ピアノの達人でもあったメンデルスゾーンへのオマージュの意味合いもあるのだろうか。

今回の作品もその王道のアプローチの一環なのだと思えた。

メンデルスゾーンは初期ロマン派の作曲家で、明るい旋律の曲が圧倒的に多いイメージがあるが、このピアノ三重奏曲は、短調で書かれていることもあって、明るいながらもどこか影がある、その両面が垣間見えるバランス感覚が絶妙。

ピアノ三重奏曲、四重奏曲、そして五重奏曲と名曲を書き綴った室内楽の王、シューマンを持ってして、「ベートーヴェン以来、もっとも偉大なピアノ三重奏曲」と言わしめた、このメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲。

すべての役者がそろった。

聴いてみて、じつに素晴らしい作品、演奏で、そして録音でもあった。
エラール・ピアノの音色は、表現が悪くて申し訳ないが、モダンピアノと比較して、ヌケ感が悪い、”こもり”気味の音色に聴こえたことは確かだが、でもこの音色でないと表現できない世界が、そこにあることが感じ取れた。

逆にこれがモダンピアノであったなら、華やか過ぎて、このディスクに収められている世界の表現、味は出せなかっただろう。

自分は古楽の世界、よさは、あまりよくわかっていない人なのだが、ピリオド楽器を使わないと表現できない当時の演奏形態の醸し出す雰囲気の価値観は間違いなくあると思う。それが古楽を理解できるかどうかの分かれ道ですね。

そのように肯定的に思えたのもChannel Classicsの録音技術の素晴らしさによるところも大きい。

自分が普段思うこのレーベルのサウンドの特徴は、各楽器のエネルギー感が大きくて、前へ前へ主張するような音の出方をすること。

で、空間もはっきり認識できて、この双方を両立するって、結構録る側の人からすると難しいのではないかなぁと思う。

クレジットには、録音も編集もすべてジャレット・サックス1人になっている。本当に1人でやっているのか、はたまた、共同でやっているのだけれど、クレジットは自分1人だけというワンマン体制なのか(笑)不明だが、彼じゃないと作れないサウンドですね。

ヴァイオリンはリアから、ピアノとチェロはフロントから、というチャンネル配分で、心地よい立体感、包まれ感があって素晴らしい。

いい録音ですね。

録音セッションは、2014年にオランダのヒルヴェルサムのMCOスタジオで行われている。このスタジオはオランダでは超有名なスタジオで、自分もこのスタジオでの録音をたくさん持っているが、ぜひ中を見てみたいと思っていたら、冊子の中にその模様があった。

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とてもシンプルですね。


クレジットでもうひとつ興味深かったのは、Channel Classicsのマスタリング・スタジオのスピーカーが、Grimm Audioのものを使っていたこと。

つい最近も、アムステルダム・コンセルトヘボウの屋根裏部屋のポリヒムニアの編集ルームも、B&W N805を使っていたのを、このGrimm Audioに変えている。いまヨーロッパのクラシック・レーベルでは、このブランドがトレンドなのでしょうか? 

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ドヴィエンヌ フルート四重奏曲集、ファゴット四重奏曲集 
ムジカ・レアーレ(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団員)

http://goo.gl/XEySCB


18世紀フランスで活躍したフルート奏者、作曲家のフランソワ・ドヴィエンヌの木管(フルート、ファゴット)をフィーチャリングした四重奏曲。

このレーベルでは定期的に、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のメンバーによる室内楽作品を録音しており、今回も「ムジカ・レアーレ」というRCOメンバーによる室内楽楽団による作品。

これも素晴らしかった。

ドヴィエンヌという作曲家の作品は、あまり聴いたことがないのだが、数多くの管楽器作品を残しているようで、今回聴いた印象は、誰もが親しみやすい非常に万人受けする優しい旋律を書く人で、これが木管の嫋やかな音色とよく合って、木管好きの自分には、堪らない魅力な作品である。

録音は、さきほどの作品とは違っていて、楽器そのものが遠くに感じる、全体を俯瞰する感じで、なんだか、かなりBISっぽい。(笑)

同じレーベル、スタッフとは思えないテイストで、こんなに違うんだなぁと感じいることが多かった。この作品を録るなら確かにこのような感じがいいですね。

その取り扱う作品に応じて、どのような録音スタイルがいいのか、柔軟に変えられる、そういうところが優秀でいいですね。 

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細川俊夫:ヴェネツィアの歌う庭、ヴィヴァルディ:協奏曲集~海の嵐、夜、ごしきひわ、他 
シュヴァルツァー(リコーダー)、オランダ・バロック

http://goo.gl/gQJPIW


世界での活躍が著しい日本の現代音楽作曲家、細川俊夫さんの作品を、ヴィヴァルディの作品と交互に聴くというコンセプトの作品。細川さんの作品をこのレーベルで聴くとは、夢にも思いませんでした。(笑)

オランダ古楽界の若き精鋭集団オランダ・バロック(元オランダ・バロック協会)による演奏。オランダ・バロックは、このレーベルでは、ソリストと共演する形で、アルバムを作るというのが多いですね。

今回の作品は、世界最高のリコーダー奏者の一人、イェレミアス・シュヴァルツァーとの共演。

このシュヴァルツァーの委嘱により作曲された細川さんの「ヴェネツィアの歌う庭」は、ヴィヴァルディの4つのリコーダー協奏曲と交互に演奏するために作られた5つの小品で、日本でも2014年に演奏されているそうである。(東京エムプラス情報 on HMV)

これが聴いてびっくり!

作品の素晴らしさは、言うまでもないが、特に録音の素晴らしさに驚いてしまった。このレーベルで聴いてきた作品の中ではトップクラスに入る出来で(というか自分好みというまでですが。)、特に細川さんの曲のときでは、静謐な広い空間の中で、平皿に盛った水面に水滴がポタリと落ちるときに感じるような生生しい音表現には鳥肌が立ってしまった。

武満さんのディスクでもよく感じることなのですが、現代音楽というジャンルは、音楽として聴くには難しい面もありますが、オーディオ的に美味しい音の世界というか、隙間、空間を感じる広いキャンパスの中で、スコーンと抜けるような急峻な立上がり、立下りのある音の連続で、鋭利というか、なんかカミソリのような感じがして、ゾクゾクする感じが堪りませんね。

そういう面で、自分にはとても美味しい世界。

とにかくびっくりしました。

古楽には、苦手意識があった自分ではありますが、この3枚を聴いて、より身近なものに感じたことは確かです。

仕事で超多忙な日々を送っていた、つかの間の休日、いい過ごし方ができました。


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