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生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会 [国内クラシックコンサート・レビュー]

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のだめカンタービレ。

女性漫画誌「Kiss」で連載され大ヒットして、2006年でフジテレビで放映されて、さらに火がついて日本中、クラシックブームの大フィーバー。

さらにテレビの続編として、ヨーロッパ編を描いたバージョンを、映画(実写)で前・後編として放映してこれまた大成功。

クラシックファンの自分は、もちろん全部観てましたとも!(笑)

さすがに漫画誌連載のときは、その存在は知らなかったけれど、フジテレビ放映の時、はじめて観たとき、クラシックを素材にしていたこと自体、すごいびっくりで新鮮だった。

かなり夢中になった。

クラシック音楽は、どちらかというと敷居の高いジャンルで、お高く留まっているとも思われがちなイメージだったのに、この番組のおかげで、ずいぶん市民権を得られたんではないか、と思ったほどだ。

この原作がなぜここまで成功したかというと、自分が思うに、やはりクラシックを一般人の等身大の目線から描いていて、いままでマニア的な存在だったクラシックファンを一気にメジャーなところに連れてきてくれた感じになれたことなのではないか、と思う。

そして原作者の二ノ宮知子さんの作画の前の情報収集、大勉強にもよるところも大きいクラシック音楽の専門性、描画の正確性もきちんと作品に備わっている......

そんなところに大成功の秘密があるのだと思う。


また、このテレビ番組が放映されたのが2006年10月~12月で、自分が前職を退職したのが、2006年3月。

ちょうど1年間無職で浪人していたころで、毎日サンデーの先行きが見えない暗い日々を過ごしていた時期だったので、尚更タイムリーな衝撃で、自分の一生のメモリアルな番組に思えたほどだ。

テレビ番組、映画のDVDは、全部揃えた。
そして、のだめオーケストラによるCDベスト集も買った。

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存在は知らなかったけれど、このテレビ番組で存在を知って、漫画のほうも後追いで揃える。(笑)

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じつは、この”のだめ”に関するイベントで、生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会、というコンサートがあるのだ。

大変失礼な話であるが、自分は存在を知らなかった。(^^;;

当時の”のだめ”の番組作りで、いわゆる取材協力、監修という形で、プロの立場から作者の二ノ宮さんや俳優たちに指導していたNHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さんが主導でおこなっているイベントで、漫画“のだめカンタービレ”の大ファンだった、愛知県春日井市にある「かすがい市民文化財団」のスタッフが、漫画巻末に“取材協力”として名前があった茂木さんに、“のだめ”のコンサート が春日井で出来ないか相談したところから、この音楽会の発端は生まれたのだそうだ。

茂木さんの指揮で、愛知が誇る三大オーケストラ、セントラル愛知交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などで、のだめの曲を、その春日井市民会館で演奏する、というもの。(もちろん全国の各地にも遠征するようです。)

さらに、単なるオーケストラの演奏に終わらず、ステージ背面にスクリーンで、演奏中に、その曲に相当するのだめのシーン描画をすることで効果を高める、という演出もあるらしい。

もう10年も続いているようで、今年が10周年記念公演にあたる。

今回、愛知県春日井市まで、この公演を聴きに行こうと思ったのは、「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番」を演奏する、ということなので。

このラフ3は、自分にとっての勝負曲なのだ。

これは聴きに行くしかあるまい。(^^)

原作では、のだめのライバルのRuiが、千秋の指揮で、この曲を弾いている。(自分の記憶では、Ruiは山田優さんが演技していて、赤いドレス着て弾いていましたね。)

今回、このラフマニノフの3番を演奏してくれるピアニストは高橋多佳子さん。

1990年に、あのショパンコンクールで第5位入賞という輝かしい経歴を持ち、今なお第1線で活躍している素晴らしいピアニストである。

今回の演奏会は、のだめのライバル、Ruiが演奏した曲を中心に送る「Rui's Edition」と呼ばれるもので、このラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のほかに、ラヴェルのピアノ協奏曲、ラヴェルのボレロなど、とても魅力的なプログラムだ。

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じつは、このラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番をテーマに、読み切り版限定ということで、漫画のほうの”のだめカンタービレ”も一夜限りの復活をしているのだ!

例の女性漫画誌「Kiss」で掲載されて、さっそく読んだ。

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5年の時を経て、アラサーになったのだめと千秋。2人はまだ”アレ”をしていないんだそうだ.....(^^;;

茂木さんと高橋さんとはFBで友人になっていただいていることもあって、その応援をしに行く、という意味合いも強い。


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番は、ピアノ協奏曲の中では、最も技巧的に難しい曲と言われていて、これを高橋さんがどのように魅せてくれるか、ホントに楽しみである。

.............。


そして、今日、その、のだめコンサート(生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会)を聴きに、愛知県の春日井市まで行ってきました。

新横浜から名古屋まで2時間くらい。そこからJR中央線で春日井まで出て、そこからバス。
春日井市役所の建物の一角として、春日井市民会館は存在していた。

春日井市民会館

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驚いたのは、客層がすごい若いこと。普段コンサートゴアーである自分の経験からすると、クラシックのコンサートに来る年齢層って大体想像できる。でも今日の客層を観て、ちょっと驚きと言うか、ものすごい若いのだ。しかも女性が多かったような気がする。やはりここら辺はのだめ効果なんですね。

ホワイエ

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今回の公演が10周年を祝う記念公演で、作者の二ノ宮知子さんから花束が届いていました。

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そして過去10年の歩みを表すパネルの展示。
このパネル群を見て、このコンサートの存在を知らなかった自分は、勿体ないというか恥ずかしい限り。(でも近くにいた女の子も、いままで知らなかった、と言っているのが聴こえてきました。)

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ホール内装

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上階席なしで、1階席のみで傾斜がついている。ちょっと気になったのが、ステージの奥行きが狭いこと。大型のオケを入れるには、窮屈そうな感じがしました。

音響は違和感を感じることはなかった。普通にニュートラルです。


まず茂木大輔さんが、MCで、のだめとの関わり、そして今回のRui's Edition/ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番を取り扱うまでの経緯、そしてこの音楽会の歴史(もちろん中心は春日井市だけど、全国に展開していて、北海道、四国、沖縄以外は全部遠征したとのこと。)の説明をされていた。

茂木さん、なかなかスピーチ上手で、観客を笑わすツボを持っていると思います。(笑)

そして、いきなりのメインイベントであるラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番が始まる。

高橋多佳子さん登場。

FB友人の演奏家のコンサートっていつも大緊張。こっちの心臓がバクバクする感じになってしまう。

演奏は、こちらのドキドキしていた心配が無用だったように、素晴らしかった、と思う。
全体的にゆったりとしたテンポで、女性的なアプローチ、雰囲気を持った3番だと思いました。

激しく、しかも叩く鍵盤の数が多いところなど、無理せず、しっかりと着実にという感じのアプローチで、小山実稚恵さんに似ているな、と思った。

難所、見せ場がたくさんあるこの曲は、もちろんその箇所、ツボを自分は熟知しているので、しっかり拝見しましたが、難なくクリアされていて、自分もその部分でのエクスタシーを感じ取れた。

特に第1楽章のカデンツァのところは、いきなり山場という感じで、シビレル感じだったなぁ。

そして最大の自分のツボはコーダに向けてのグルーブ感と、一気加勢に盛り上がり、その頂点で派手な軍楽調の終止に全曲を閉じる部分。もうここを味わいたいがために、いままでのドラマもこの瞬間のためにある、と言ってもいいところで、そこもバッチリ決めてくれた。

本当によかった。終わった後、胸をなでおろした。

今回はラフ3という激しい曲だったのでマスクされているところもありますが、高橋さんは根本は繊細で女性的なタッチのピアニストだと思いました。手の動き、表情を見ていたらそれを感じます。

じつは、この最初の曲のときに、もうひとつの大事な発見があった。

それはステージ背面にあるスクリーンでの描画効果。
自分が、ネットで調べていた時は、単にのだめの漫画のシーンを映す、というくらいの認識であったのだが、これがじつはとんでもない!大変巧妙な心理効果で、もうびっくりしてしまったのである。

のだめの漫画シーンだけでなく、演奏者からのこの曲に対するメッセージ、ラフ3の歴史、そして曲の構造など、これが実に巧妙なのだ。

単に順番に並べて映すんじゃんなくて、ちゃんと曲の進行、旋律に合わせて、どのタイミングで、どのような内容のものを映し出すか、が相当練られているというか、要は演奏者の曲をBGMにしながら、聴衆者が感動できるようにストーリー性を持った挿絵になっているのだ。この挿絵のシナリオを作っている人は、完璧なプロですね。

ラフ3を聴きながら、この一連の挿絵を見ていたら、ふつうのコンサートの演奏を聴いている以上にスゴイ心象効果が増幅されて、自分のこの勝負曲を聴きながら、思わず涙腺が弱くなり、涙が出そうになった。

この演出は素晴らしいですね。

特許出願したほうがいいですよ。(笑)それも自社技術を保護するための特許ではなく、他社から収入を得るための特許戦略として。(笑)

10年前からこの音楽会はやっているのだから、ずっとやっていることなのかもしれませんが、自分は今日はじめて拝見してその心象効果に相当驚きました。今回の演奏会の中で1番印象的だったかもしれない。

後半は、パリ在住でパリ コンセルヴァトワール(パリ音楽院)在学中の岡田奏さんによるラヴェルのピアノ協奏曲。

素晴らしかったですね。

驚いたのは、全身細身の美人にもかかわらず、かなり打鍵が強くパワフルで、男性的な演奏をすること。もちろんラヴェルのコンチェルトということもあるのでしょうが、圧倒されました。

なんかふっとユジャ・ワンのことを思い出してしまいました。
でも第2楽章の情感あふれる美しい旋律は、繊細に歌い上げる。そのあまりに恍惚の美しさで、息を呑む、とはまさにこのことだった。

きちんと両面を持ってますね。将来期待のホープになると確信しました。

最後はボレロで堂々フィナーレ。

中部フィルは、弦楽器がほとんど女性団員というのが相当驚きましたが(前方席の自分から見ると、女性ばかりのオケに見える。(笑))、実力はかなりしっかりしていると思い、在京楽団に決して負けていないと思いました。(mixiの友人も絶賛していた。)


ここまでアットホームでレベルの高い演奏会であるならば、尚更、その知名度をどんどん上げるというところに自分の感心は行ってしまうんだなぁ。(笑)

10年もやっているのだから、自分が知らなかっただけで、有名なのかもしれないけれど.....
ネットで検索すると、きちんと詳しく情報が展開されている。

でもネットってその存在を知らないと、自分から能動的に探しに行かない限り、ヒットしない訳で、できればもっとプッシュサービス的に、もともと存在を知らない人に知らしめる方法を考えると、もっと知名度があがるのに、と思いました。のだめなんだから。(現に自分はのだめファンでもあるにも関わらず、まったく知らなかったので。)

でもふつうのクラシックコンサートとは一味も二味も違う、素晴らしい、楽しいコンサートをありがとう、と言いたいです。


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高橋多佳子さんと茂木大輔さん(指揮)


生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会
2016.3.13 15:00~ 春日井市民会館

指揮:茂木大輔
ピアノ独奏:高橋多佳子、岡田奏
管弦楽:中部フィルハーモニー管弦楽団

ドヴォルザーク チェコ組曲ニ長調作品39より第2曲ポルカ
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ニ短調作品30
~ピアノ:高橋多佳子

ガーシュイン 「アイ・ガット・リズム」
       ~ピアノ:高橋多佳子、岡田奏

ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
     ~ピアノ:岡田奏

ミョー  スカラムーシュよりブラジレイラ
     サックス:片田景子 ピアノ:岡田奏

ラヴェル ボレロ


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茂木大輔

かなさんのツイートから拝見させていただきました。素晴らしいご感想、見事にまとめていただいたレポートをありがとうございました!とても有り難い事だと思っています。投影の台本は僕が作り、春日井の小松さんたちが製作してくれて、それを音楽をかけながらみんなで見て会議して作ります。8月東京調布、兵庫(2プログラム)10月沖縄、1月埼玉と続きます。もっと知られると良いのですが・・・またどこかでお越し下されば嬉しいです。本当にありがとうございました!茂木大輔@本物(笑)
by 茂木大輔 (2016-04-13 11:08) 

ノンノン

茂木さま、本物からコメントありがとうございました。恐縮です。(笑)じつは、ふだんのご活躍を、かなり近いところで観ている者だったりします。(爆笑)

日記にあるように、のだめは昔かなり入れ込みましたので、それに茂木さんが深く関わっていた、という事実に驚愕して、”のだめについて書こう!”、茂木さんのやってきたことを紹介しよう、とかなり計画的に書きました。(笑)自分の過去ののだめ経験や、ネットで春日井との出会いの記事を参考にしながら。。。です。

もうひとつこういう日記を書こうと思ったのも、取り扱う曲が、ラフマニノフの3番という自分にとって勝負曲でしたので、これは、ぜひ春日井まで聴きにいかないと。単なるコンサート鑑賞日記で終わるのではなく、なんか自分のブログで、全体を紹介できるようなスタイルと思って書きました。高橋さんの3番は素晴らしかったです!

日記にも書きましたように、この投影技術が最高に驚き、その効果に感動いたしました。じつにこちらの心理効果をぐ~っと盛り上げてくれる効果が素晴らしくて、どの曲も涙もので感動いたしました。それもその挿し込みタイミング、内容が巧妙で考えられていて、これは素晴らしいコンサート鑑賞技術だと思いました。

ラフマニノフの3番という曲でこの音楽会を知り合えたのも、やはりなんか運命の糸を感じました。ぜひ、チャンスを見計らって、通わせてもらいます。春日井は自分の通える範囲ですので、やはりのだめコンサートは春日井で聴く、というのが発祥の地、筋が通る、という仁義かな、とも思いますが、そこは柔軟にですね。

自分がいままで存在を知りませんでしたので、なんか、うまいネットワーク宣伝方法で、プッシュ的に知らない人たちに情報を送り届ける仕組みができる、ともっともっと有名になって、いいのではないか、と思いました。

今回は、本当に素晴らしい演奏会、そしてコメントまでいただき恐縮でした。これからもご活躍をずっと見守っていく予定でございます。(笑)
by ノンノン (2016-04-13 16:49) 

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