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東京・春・音楽祭 ヤノフスキ&N響 ワーグナー「ジークフリート」演奏会形式 [国内クラシックコンサート・レビュー]

東京春祭ワーグナーシリーズ、ヤノフスキ&N響「ジークフリート」千秋楽。

1日空けてようやく落ち着いて感想を書けるようになった。

終演のときは言葉を失うほど感動した。過去最高だった。

「音楽だけに集中して舞台装置による解釈なしにワーグナーの楽曲の音楽的な質の高さを観客に伝える。」

そういう演奏会形式にこだわってきたヤノフスキの信念を見せつけられたような感じだった。

リング4部作の中では、ジークフリートが1番地味な演目(女声がほとんど出てこない。)という前印象だったのだけれど、一昨年、去年のラインの黄金、ワルキューレと比較して、今年のジークフリートが、それらを超える最高レベルの演奏だったというのも驚きだった。

去年のワルキューレのときも相当感動したんだけれどね。


まず傑出していたのが声楽ソリスト陣。

これが驚異的なレベルの高さ。

やっぱりジークフリート役のアンドレアス・シャーガー。

初日公演のみなさんの評判は異常なまでに高かったのだが、それに全く偽りがなかった。
声質は軽い部類だと思うが、声の張り出し感、歌い回しにキレがあって、観客に伝わってくるアタック感が凄い。

声量も抜群で、ホール空間への定位感もずば抜けていた。なによりも歌うときに、歌のみの表現力だけではなく、演技がキビキビした感じで入っていて、見ていて、聴いていて、小気味よさ、というか爽快感があった。

テノールにとって、ジークフリートという役柄は、全幕ずっと出ずっぱりで、技巧的にももっとも難しい難役。これをシャーガーは、さすがに第2幕はセーブしていたようにも思えたけど(笑)、ものの見事に演じきった。

なんでも彼はオペラッタ歌手だったらしく、ヘンデルテノールへの転身という変り種。
ヘンデルテノール、いけるんじゃないか! 自分にはまったく盲点の歌手だった。

他の声楽ソリスト陣も全員ものすごいレベルが高い。

特にミーメ役のシーゲル氏、個性派で味があって、声質、声量も素晴らしくてジークフリートを喰っていたところもあった。

しかし、よくもまぁこんなにレベルの高い歌手陣を集められたなぁと感心することしきり。


最終局面のジークフリート&ブリュンヒルデの二重唱は、もう芸術の極致と思える美しさで、言葉を失い、息を呑むとはまさにこのことだった。


そしてなによりも、自分が感心したのは、ヤノフスキの指揮、全体のコントロール術。

ヤノフスキの指揮振りは地味というコメントも散見されたが、自分は全くそう思わない。見ていて、とにかく無駄がない,贅肉をいっさいそぎ落としたものスゴイ洗練された棒だと思いますね。

ずっと見ていると、ヤノフスキの指揮には自分のパターン・リズムがあって、棒の右手の使い方、棒を持たない左手の使い方に彼独自の特徴がある。でもそれがオケの流れを流麗に引率していて、全体を巧みにコントロールしているように見えて、スゴイ洗練されているように見えるんですよ。

同業者の指揮者や演奏家などの玄人受けする指揮だと思います。


昨今のパフォーマンスばかりが目立つような中身の薄い指揮者より、これぞ、中身優先の玄人受けのプロの指揮だと確信しますね。

そうしてコンマスのライナー・キュッヒル。これがスゴイ存在感。自分の座席からなのだが、彼の音色がすごいオケをグイグイ引っ張っているのがすごくよくわかる。その昔、メータかムーティか忘れたが、ウィーンフィルの来日公演のときに全く同じ経験をしたことがあった。本当に強力な引率力で、まさにこれぞ、「ザ・コンマス」ですね。


そして、なによりもこの演奏会&サウンドを支えていたのが、N響のみなさん。

連日のヤノフスキの厳しい指導、長時間のリハで精神力ギリギリの思いをして鍛錬してきた日々。それがこの日に実を結んでいた。

みなさんは最高に格好良かった!


去年のワルキューレのときも思わずツィートしたのだけれど、やはりワーグナー演奏を日本の企画、日本の団体で、世界水準と照らし合わせても、これだけレベルの高い演奏を日本で実現できる、聴ける、ということ、これは本当に凄いこと。

まさに日本の誇りと思ってもいいことなのでは、と改めて思いました。

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東京春祭ワーグナー・シリーズVOL.7
「ニュルンベルグの指環」第2日「ジークフリート」

2016.4.10 (日)15:00~20:00  東京文化会館 大ホール

指揮:マレク・ヤノフスキ
ジークフリート:アンドレアス・シャーガー
ブリュンヒルデ:エリカ・ズンネガルド
さすらい人:エギリス・シリンス
ミーメ:ゲルハルト・シーゲル
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ファーフナー:シム・インスン
エルダ:ヴィーブケ・レームクール
森の鳥:清水理恵

管弦楽:NHK交響楽団(ゲストコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)
音楽コーチ:トーマス・ラウスマン
映像:田尾下哲

 曲目:

ワーグナー:舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」第2日「ジークフリート」


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