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PENTATONEの新譜:児玉麻里・児玉桃によるピアノ・デュオ「チャイコフスキー・ファンタジー」 [ディスク・レビュー]

ピアノ録音で素晴らしいと思うレーベルは、2chなら文句なくDG、そして5.0サラウンドならBISといったところが自分の好みの基準。

特にDGなんかは、歴史・伝統があり、数多のピアニストの作品を残してきた。最近の新鋭ピアニストが、みんなDGとそそくさに契約してしまうのは、そういった過去の積み重ねと、他レーベルを圧倒的に駕倒する、その歴然としたピアノ録音の技術レベルを感じ取っているからではないだろうか?

DGやBISに、どちらにも共通する、そのピアノサウンドの特徴は、硬質でクリスタル系であるということ。

特にBISは、全体的にクールダウンした温度感低めのサウンドで、ワンポイント録音の彼らは、マイクから程よい距離感があって、そういう空間がはっきり認識できて、その中でクリスタルに鳴るので、異様に美しく感じる。どちらかという薄味のサウンド。

それに対し、DGは、かなり音の密度感が濃くて、いわゆる骨格感がしっかりしていて、男らしいサウンド。そういう音の芯がしっかりしていながら、クリスタルに鳴るので、これぞピアノ録音の王道と思えるような境地を感じる。

特に彼らDGが録って造り上げたピアノの音というのは、単にコロコロ転がる美しさではなく、1音1音に質量感があって、タメのある鳴り方をするので、それに打鍵の美しい余韻が加わり、まさに濃い、美しいピアノの音色が聴けて、極上と思うのである。



PENTATONEのサウンドは、基本はとても柔らかい質感で、いわゆる暖色系とよばれるような温度感の高いサウンド。(このようにレーベル、つまり技術者によって音の造り上げ方、音のイメージが全然違うので、じつに面白い。)

なので、じつは自分的には、PENTATONEのサウンドというのは、あまりピアノには向いてないのでは?、と思っていた。もちろん彼らのピアノ作品もそういう先入観なしに聴くと、それはそれで適した素晴らしさがあるのだけれど、自分はやっぱりピアノは硬質でクリスタル系が好きなんだな。(笑)

ところが、今回の児玉麻里・児玉桃姉妹によるピアノ・デュオのPENTATONEの新譜を聴いたときに、その過去にずっと抱いていたイメージが払拭されて、まさに驚愕であった。

彼ら独特の柔らかい質感の気配は残しつつも、かなり硬質寄りのサウンドになっていて、音色もクリスタル。そして適度な空間感もある。とてもPENTATONEのサウンドとは思えなく、自分の耳を疑った。


なんと洗練された音なのだろう!


アラベラさんの新譜のときにも思ったのだけれど、ポリヒムニアの音の録り方、作り方は、本当に年々どんどん進化しているというかすごい洗練されてきているのがよくわかる。もう聴いた1発目の出音のニュアンスで、完璧にわかるのだ。

いやぁ洗練されているよなぁ、という感じで。

先日ユリア・フィッシャー来日公演に合せて、彼女の旧譜を聴いたのだけれど、当時はあれだけ興奮したサウンドだったのだけれど、いまの垢抜けた音作りを聴いてしまうと、どうしても古さを感じるし、やっぱり時代の流れってあるよなぁと感じるのだ。

技術の進歩ってほんとうに早い!

とにかくPENTATONEサウンドらしくない音で、時代の最先端をいくようなピアノサウンドと言ってもよく、自分の判断基準では、おそらくPENTATONEの過去のピアノ作品の中では最高傑作のサウンドだと断言できる。

なんでも編集時に6人のエンジニアの耳(過去最高?)で入念にチェックを重ねた万全の作品だそうであるから、その成果は十分に成し遂げれらたのでは、ないだろうか。 



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『ピアノ連弾による3大バレエ~アレンスキー、ラフマニノフ、ドビュッシー、ランゲリ編曲』 
児玉麻里、児玉桃

https://goo.gl/e7mTTk


児玉麻里・児玉桃姉妹によるデュオ作品というのは、じつは意外や意外、はじめてのことらしい。
麻里さんのほうは、PENTATONEでベートーヴェンのピアノソナタ全録音の偉業を達成しているし、桃さんのほうは、オクタヴィア、ECMで録音を重ねてきて、昨今は、ヨーロッパ、日本でのコンサートなど、その活躍・躍進は本当に目を見張るばかり。

麻里・桃姉妹によるデュオ作品をPENTATONEから出そう、という企画は、輸入元のキングインターナショナルさんのアイデアだったようだ。PENTATONEのリリース計画で、そのことを知ったときは、本当に夢のような気分だった。


今回の扱う作品&テーマは、「チャイコフスキーの三大バレエ作品」を、いろいろな編曲家によって編曲されてきたピアノ・ヴァージョンの曲をデュオで弾こうという試み。


ラフマニノフ編曲の『眠りの森の美女』と、ドビュッシー編曲による『白鳥の湖』など、本当に耳慣れたチャイコらしい親しみやすい旋律が最高に癒される。チャイコの三大バレエ作品は、もうクラシックファンに限らずとも、誰もが聴いたことのあるその優雅な旋律の宝庫ともいえる、本当に美しい作品の集まり。

特に、超お宝がアレンスキー編曲による『くるみ割り人形』。この編曲は楽譜が極めて入手困難なため伝説となっていたそう。それがついに音になった。アレンスキーは『くるみ割り人形』全曲を4手連弾用に編曲しているが、ここでは人気の組曲ナンバーと『パ・ド・ドゥ(グラン・アダージョ)』を披露。ピアノ・デュオ書法を知り尽くしたアレンスキーならではの効果が素晴らしい。(HMV記載の輸入元情報から抜粋)

自分は、チャイコの三大バレエの作品の中では、『花のワルツ』が最高に大好き。なんかお花畑にいるようなメルヘンティックな旋律で、聴いていてとても幸せな気分になれる。この曲は、アルゲリッチのDG盤を昔かなりの頻度で聴いていた。実に久しぶりに聴いて、やはりいい曲だよなぁとしみじみ。

このようなメロディの宝箱のような華やかな作品を、4手連弾のピアノデュオで聴く。

オーケストラ・ヴァージョンと比較しても決して聴き劣らない、聴く者を充分に満足させてくれる、圧倒的な音のボリューム感。

逆にピアノだからこそできる、軽やかさ、軽快感など、その絶妙な2人のやりとりは、たぶんお洒落感覚の極致だと思う。

4手連弾のピアノデュオと聞くと、どうしてもピアノにしては音数が多くてヘビーなイメージが湧いてしまうのだが、このアルバムを聴いたときは、はて?4手連弾?と感じることが多いくらい、ふつうの2手の作品のように聴こえてしまう。

重音ではなくて、うまく時系列的に4手が繋がっているような巧妙さを感じて、とても軽やか。
この作品を、ピアノに編曲した編曲家もすごいのだけれど、やはり児玉姉妹のピアノタッチの奏法の素晴らしさも大きな要因じゃないかな?


今回のこのアルバムは、ポリヒムニアが録音で使うオランダ、ヒルフェルムス、MCOスタジオ5で録られた。もうこのスタジオは、おそらく専属契約していると思われ、ポリヒムニアは、ずっと昔から、このスタジオを使い続けてきた。

以下、その収録の模様を、ポリヒムニアのFB公式ページから拝借してご紹介。


オランダ、ヒルフェルムス、MCOスタジオ5
こんな感じで、スタジオにピアノが2台置かれていました。

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収録中に仲良く記念撮影。(ポリヒムニアのジャン=マリー・ヘーセン氏は、今回録音エンジニア&編集を一気に引き受けた。)

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お仕事中。

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フォト撮影

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自分は、ライブな生演奏も好きだけれど、やはりオーディオファンなので、このように、”いわゆる作り上げた音”の作品が好き。

やっぱり録音って芸術作品だと思う。

生演奏は生演奏の良さ、感動があるけれど、こういう録音の素晴らしさ、「ピアノがこんなに綺麗に録れているなんて!なんて素晴らしい録音なんだろう!」エンジニアの苦労を評価できるのは、なんとも言えないオーディオだけが持っている価値観だし、オーディオファンだけが持ち得る幸せだと、思う。

自分は、録音エンジニアたちが、この空間を切り取ってくる、その芸術作品につねに尊敬の念をやまない。

チャイコの4手連弾は、過去に何枚も作品はあるかもしれないが、今回の児玉姉妹による作品には、過去のその時点では捉えられなかった「音のさま」があって、なんと言ってもうむを言わさぬ説得力がある。

過去最高のチャイコのピアノ4手連弾作品と堂々と胸を張って言えるし、ちょっと早いけれど、クリスマス・プレゼントとして贈るには、あまりにぴったりな軽妙洒脱な作品に仕上がっている、と思う。


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