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フィルハーモニー・ド・パリでパリ管弦楽団を聴く! [海外音楽鑑賞旅行]

フィルハーモニー・ド・パリでパリ管弦楽団を聴く、この日は間違いなく今回のツアーで最高ボルテージのコンサート。ホールのことだけではなく、やっぱりコンテンツ(オケ)も揃って最高のシチュエーションで聴かないと後悔が残る。

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もちろん先日のレ・デソナンスも大変素晴らしかった。でもやはりここではパリ管でぜひ聴いておかないと。

パリ管は、2年前にパーヴォ・ヤルヴィが率いてサントリーホールでおこなった公演に行ったことがあって、恐ろしく感動した経験がある。ベルリンフィルでもなければ、ウィーンフィルでもなく、この年はパリ管が1番とまで言い切った。

音の出だしなど、すべてにおいてタイミングや音程、リズムが合っているというレベルだけではなく、最初の一瞬の音の震え、音の力、音の勢い、というなんとも言葉じゃ表現できない音の全てが完璧に合っている、そんな凄さを2年前に感じた。過去の日記を読み返してみると、そんな生々しい感動がこと細やかに書いてあるのだ。その文面を読んで、本当に感動していたんだなぁ、ということがわかる。

この日のコンサートは、なんと1階席平土間のど真ん中!!!

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やれ響きが多いほうがいいから上階席がいいとか、理屈をこねていても、やっぱり人間ってこういう1階席の平土間ど真ん中だと無意識に喜んでしまいますね。(笑)視界的には最高の席でしょう。

この日の彼らの公演を改めて聴いて感じたこと......

ノーミス。やはりパリ管って弦にしろ、管楽器にしろ、打楽器にしろ彼らに苦手な部分というのがあまり見当たらないですね。

分厚くて鮮やかな弦楽器、色彩あふれる嫋やかな木管、そして圧倒的な金管の咆哮、そして炸裂感あふれる打楽器など、とにかく個々のパートの力量のレベルがとても高くて、それでいて全体の均衡なバランス、計算されたように緻密で正確なオーケストラ・サウンドの組み立てが指揮者ジェームス・カフィガンの棒のもとにものの見事に具現化されていた。

2年前に聴いたときと同じように、完璧だった。
いつ聴いても裏切られることのないオケだと思った。

この日は、交響詩(ベルギー出身だがフランスで活躍した作曲家セザール・フランクの「呪われた狩人」)、交響詩(マーラーの交響詩「葬礼」)のほかに、ピアノ協奏曲(リスト1番)、そしてガブリエル・ピエルネ(フランスの指揮者・作曲家)によるハープと管弦楽のための小協奏曲というコンチェルトも堪能できる、というフランス色もふんだんに取り込んだとても魅力的な演目だった。

マーラーの交響詩「葬礼」は、本来交響曲第2番の第1楽章の初稿ということで、とても貴重な経験をさせてもらった。

リストのピアノ協奏曲第1番は、ソリストはワーナー(エラート)一押しのピアニスト、ベルトラン・シャマユ(今年春にN響と共演)。(FBの友人に教えていただきました。)体格はふっくらしていたが、とても2枚目のルックスで見栄えのするソリストで、全体的に鍵盤のタッチが軽やかで、粒立ちの綺麗な優しい弾き方をするという第1印象だが、でも強打鍵で主張するところは主張するそういう緩急のあるピアニストだと感じた。(演目にもよるところもあるでしょう。)

ガブリエル・ピエルネによるハープと管弦楽のための小協奏曲のハープ奏者は、元バイエルン放送やウィーン・フィルのグザヴィエ・ドゥ・メストレ。ハープという楽器は、本来やはり女性奏者のほうがヴィジュアル的にもいいかな、とも思ったりするのだが、このグザヴィエ・ドゥ・メストレによるハープの奏でる音色というのは、男性が弾くとここまで切れ味鋭く弾けるものか?と思ったほど、音色が尖っているというか女性奏者では絶対出せない音、その弾けるようなつま弾き方に感心してしまった。

とにかく念願のフィルハーモニー・ド・パリでパリ管を聴けて、こんなに魅力的な演目を聴けるのだから、今回のツアーの大きな目的は、十分に達成できたのだと思う。

願わくは、日本人であれば、この組み合わせでダニエル・ハーディングで聴いておきたかった、というところだろうか......

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2015/10/8  パリ管弦楽団演奏会 フィルハーモニー・ド・パリ 大ホール 

指揮者:ジェームス・カフィガン
ピアノ独奏:ベルトラン・シャマユ
ハープ独奏:グザヴィエ・ドゥ・メストレ
管弦楽:パリ管弦楽団


セザール・フランク 交響詩「呪われた狩人」

フランツ・リスト ピアノ協奏曲第1番

休憩

ガブリエル・ピエルネ ハープと管弦楽のための小協奏曲

マーラー 交響詩「葬礼」(交響曲第2番の第1楽章の初稿)


体験!フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 1 [海外音楽鑑賞旅行]

そして、フィルハーモニー・ド・パリの大ホールを経験するという今回の最大の目的を達成した。

Philharmonie1(大ホール)

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1Fの正面エントランスのやや前方に上階(2階、3階)に上がるエスカレーターがあり、こういう野外からの入り口があって、そこが大ホールへのメインエントランスなのです。

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エントランスに入った後、このようなホワイエ空間が広がる。

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フランスのコンサートホールというのは、座席番号が偶数と奇数で左右に分ける特徴があるのだ。
偶数が右、奇数が左、というように分かれている。

こちらが左側(奇数)のゲート。

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こちらが右側(偶数)のゲート。

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そしてCD販売。

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今回は大ホールでのコンサートは、レ・デソナンスというオケ(2階席右側)とパリ管弦楽団(1階席中央ど真ん中)の2公演を経験することができた。

初日の公演のときの2階席に入るゲートの前のホワイエ空間は、こんな感じ。

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このとき思ったのは、天井からぶらさがっているこの長方形の短冊みたいなもの。これはなんでしょう?天井から一斉にぶら下がっていて、私の身長(180cm)くらいのギリギリの天井の低い空間なのである。

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オーディオ仲間のコメントによると、天井からぶら下がってるのは良く録音スタジオで使われた、昔のトムヒドレー式の振動共振に依る音響エネルギー吸収拡散板なのでは?というコメントがありましたが、真偽は不明です。

さらに最終日の公演の1階席では、今回も私の身長ぐらい極端に低い天井の低さなのだが、今度はぶら下がっているものが違う。本当に不思議な空間です。

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そして、いよいよ大ホールに潜入!

ホールに入った瞬間、なんかSFの世界みたいに、フランス人らしい流線形で、ものすごいシュールな空間だなぁ、と本当に感激。ベージュと黄色と黒の配色の組み合わせで、フランス人らしい色彩センスというかお洒落感覚ですね。

こんなコンサートホールは、もちろん今まで観たことはないです。画期的だと思いました。

ホールの中は、通路がぐるっと一周してもずっとつながっているので、歩きながらホールを1周することができます。1周しながらもう夢中で写真撮影をします。


ホール後方の上階席中央からステージ前方を俯瞰する。

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まったく逆で、ステージ後方側からホール後方を俯瞰する。

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そしてグルッとホールを1周しながら撮影していく。

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ホールの天井のど真ん中にある反響板。(中心的役割)

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この天井ど真ん中にある反響板の周辺をドーナッツ円状にぐるっと取り巻くブーメラン型の浮雲(反響板)たち。

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初日のときは、2階席だったので、そこからホールをぐるっと回って撮影したときは、これらの周辺を取り巻いているブーメラン型の反響板は、もうバラバラのサイズで、それこそアシンメトリー(左右非対称)な配置のように見えたのだった。

ところが最終日の公演のときの座席が1階席中央ど真ん中であったので、天井を見上げるとホール天井の全体のシルエットが見渡せる。そうするとけっしてアシンメトリー(左右非対称)なんかではなくて、きちんと真ん中の反響板を中心に、シンメトリー(左右対称)で、ブーメラン型の浮雲たちがドーナッツ状で周りの円周をぐるっと取り巻いているのである。(このときメチャメチャな配置ではなく、きちんとシンメトリーなんだな、と思い、ホッとしました。)

フィルハーモニー・ド・パリは、アシンメトリーなホール構造で、音響バランス悪そうに第1印象感じるのだが、平土間のど真ん中に立って、天井を見上げると、真ん中を中心にブーメラン型の反響板が同心円状に取り囲んでいて、実はシンメトリーなんだよね。これで、ステージの音をホール全体に均一密度で拡散しているのです。

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上の写真は、フィルハーモニー・ド・パリのFB公式ページからお借りしています。

ふつうのコンサートホールでは、浮雲はステージ上空のみに存在する場合が多い。(ステージからの音が上空に上がったものを下に返す役割。~天井で反射するのでは戻ってくるのが時間的に遅れるため。)でもこのホールは側方、そして後方に至るまで、円周状に浮雲がホールを取り巻いているのである。

こうすることで、ホールの至るところで、音を観客席に返すように配慮されているものと思われる。


それにしても、このブーメラン型の浮雲のデザイン、なんとシュールな形なんだろう。フランス人らしいデザイン.....

ステージのサイドからみたシーン。

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それにしてもこの異様なブーメラン型の浮雲(反響板)。

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そして壁面には音の拡散用の凹凸がきちんと刻まれているのだ。

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背面からみたステージ。

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とにかくこのホールに入ったときの第1印象は、アシンメトリー(左右非対称)である、ということ。右側のこの部分には座席エリアはあるけど、左側にはなかったり。もう左右でその構造が全然違うのだ。ホール全体の容積というかその形自体が左右非対称。

この空間を観たとき、自分がサッと思い出すのは、あまりいい音響ではないのではないか?ということであった。お洒落な空間を設計することを優先するあまり、音響面の配慮が今一歩であるとか。

実際、日本にいたときに、先にこのホールを経験した自分のオーディオ仲間からは、1階席後方に座っていたけれど、サントリーホールよりも音が全然飛んでこなかったよ、と言われていたので、やっぱりな!という感じでいたのだ。

このホール内の写真を撮影しようと思ったとき、うまくフレーム内に収まらないのだ。普通のホールだと、後方席のセンター上階から見下ろすように撮影すると、そのホールの全体像を撮れる、という自分なりの経験があった。

もしくは、斜め後方から側方とステージ前方を含むように俯瞰して撮れば、じつにいいホールの写真が撮れるのだ。

でもこのホールはそれが通用しない。左右が非対称なのと、いろいろな場所で全然構造が違うので、カメラのフレームに収まらなくて、結局部分部分をバラで撮影するしかなく、つながりがわかりにくいのだ。

結局全体を俯瞰したいなら、現地で直接あなたがホールの中に入ってみてください、としか言えない。(笑)

ホントにフシギ空間......


こういうアシンメトリー(左右非対称)の構造というのは、ステージからの音の反射が左右でアンバランスになってしまうため、音像(音のフォーカス)がきちんと真ん中に定位しない、というイメージがどうしても感覚的につきまとう。

どうも精神上よろしくないのだ。

ところが、初日の2階席で聴いたときの、実際オケの音を聴いたときには、もうビックリ!
あまりに素晴らしい音響だったので、ひたすら驚くしかなかったのである。

いままで自分が聴いてきたコンサートホールでは最高の音響のように思えた。(オケの演目もドビュッシーの海、ベートーヴェンのVn協奏曲、ベートーヴェン交響曲第5番、といずれも聴き映 えするのも原因だったかもしれない。特にベートーヴェンのVn協奏曲のときは、あまりの恍惚の音響に、これはこのホールはスゴイ!と確信したのであった。)

なんで、こんなアシンメトリー(非対称)のへんちくりんな構造で、こんな凄い音が出るのか理解不能であった。

最終日には、1階席の中央ど真ん中で聴いたが、確かに1階席と2階席では音の聴こえ方が違った。(2階席のほうが天井に近いせいか、響きが豊かですね。1階席は強烈な直接音という印象であった。)

でも聴こえ方は違うにせよ、両方とも音響が素晴らしいのは間違いなかった。とにかく直接音が明瞭に聴こえてくる。ステージからのダイクレクト音がきちんと座席にパワフルに届く、というのは、もうホールの音響基準では大前提の事項なのだ!(音響の悪いホールは、このファクターが成り立っていないのが大半。)

1階席の最大の弱点は、ステージの音が真横にダイレクトに来ないということなのだが、ここはまったくそんな問題とは無関係。バッチリ音が飛んでくる。大音量で全身に音のシャワーを浴びるような快感で素晴らしいものがある。

そして鮮度がとても高い音。

直接音がこれだけパワフルに届くとなるとあとは響きの問題。ここは、とても響きが豊かでライブな空間であった。(その響きの質を決める壁の材質はなんなのでしょう?ウィーン楽友協会に代表されるように、古来では漆喰がベストと言われています。家庭のオーディオルームは漆喰がいいですね。)

特に2階席で聴いていたときは、非常に響きが豊かなのだが、その反面で直接音が響きの中で埋没して遠くに聴こえることもなく、明晰に聴こえて、きちんとその双方が両立している。

あと気づいた点では、音の余韻の空間への消えゆくさまが美しいこと。オケがジャンと音を鳴り切るとその余韻が綺麗に長時間漂う感じで、心地よい残響感というか結構ライブな空間に感じたりする。

このように聴こえることで、オケものなんか、音の広がりというかスケール感が大きくて、なんか雄大な音楽を聴いているような感覚になれるのだ。

音質のテイストはどちらかというとソリッド気味。

もちろん帯域バランスも偏っていなくて均等だが、特に低弦楽器のチェロやコントラバスなどが演奏するときの弦が摺れる臨場感というか、ゾリゾリするように聴こえる感覚は解像度が高くてとても秀逸。

基本的に、弦の音色は低弦に限らず、どれも立っていますね。秀逸です。


なんか聴いていて、あまりに意表を突く素晴らしい音響だったので、年甲斐もなく興奮してしまった。

自分は古い音響学しか知らないので、こんなアシンメトリーな空間で、こんなことが実現できてしまうのがとても不思議で、これが最新の音響技術なのかもしれませんね。

大体古来から存在するコンサートホールはみんな左右対称のシンメトリーなのです。そのほうが精神的によろしい。(笑)

日本で唯一アシンメトリーな形状のホールだと思うのはミューザ川崎。

はじめて、ここに足を踏み入れたときは、ぶったまげた。2階席などは床が傾いているのである。(笑)従来のデザインセンスに捉われないその奇想天外な左右非対称な内装デザインはホントに驚いた。(厳密にいうと非対称でなくて、きちんと対称だと思うのですが、内装デザインが従来にない奇抜で非対称っぽく見えてしまう、というのが正しいでしょうか....)

でも白い反響板などが、客席下側についていて上空に向かうにつれてらせん状に渦巻いているところ、そしてステージ側方&後方の反響板などの効果から、ステージの音がトルネードのように上空に巻き上がり、あの独特のアコースティックを実現しているのだ、と自分なりに予想していたりする。(天井の中心にある反響板を、やはりドーナッツ状に同様の反響板が円周上に取り巻いている。そしてらせん状に見えた客席下部にある白い反響板もよく見ると、その下に位置する客席に音を返すようになっているんだと思う。ステージを取り巻いている反響板も同様。とにかく、あの広いキャンパスの中で、つねにステージ上の音、そしてそれがホール空間を漂うときに、それをいかに客席にその音を返すか、という工夫が随所にされているのが、あのホールの音響が素晴らしいポイントなのだと、自分は想像する。)

やっぱり最新鋭のホール設計は、こういう従来からある古い形に捕らわれない独特のデザインから素晴らしい音響が出来上がったりするものなのだろう。

フィルハーモニー・ド・パリも、かたつむりのような流線型のデザインの内装空間も、じつは音を乱反射させ、煌びやかに聴こえるようになっていて、きちんと観客席に音が向かうように最終的にはつじつまがあっていたりするのだ、と思う。

古い我々の視覚認識が、そのセンスについていけないだけなのかもしれない。

ちなみにホール形式は、ワインヤードで、奥行きは意外と狭いです。

こちらは、ブレーク時のドリンクコーナー。(初日の2階席でのゲート近くのドリンクコーナーです。)(すみません、むさ苦しいオジサンを映しまして....)

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初体験の初日の公演は、レ・デソナンスという中規模編成のオケを聴きました。彼らは指揮者を置きません。(水戸室のように演奏します。)このカーテンコールは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を終演のとき。もうあまりに素晴らしくて恍惚に浸っておりました。

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Bach in India (パリ室内管弦楽団) [海外音楽鑑賞旅行]

毎年、海外音楽鑑賞旅行を企画するときの自分のやり方というのは、

①まず、どこのホールを経験したいのか?
②どのようなコンテンツがいいのか?
③日程

この3つで決める。
そして大事なのは①と②がある程度決まった場合は、そのツアーをやる上で公演日程を横方向
に串刺しするポリシーみたいなものを決めてやると、もっとカッコいい。(笑)

・初年度のベルリンは、カラヤン・ベルリンフィルのルーツを巡る。
・2年目のパリ/ベルリン/アムステルダムは、ゴローさんのマネ。
・3年目のルツェルン・ザルツブルク音楽祭は、ザルツブルクではモーツァルトではなくて、カラヤンにまつわる旅をする  
    
・4年目のライプツィヒ・ドレスデンは、鈴木さん&BCJのカンタータ全集完成の偉業に敬意を払って....
・そして5年目の今年はPENTATONEにまつわる旅をする。

ってな感じ。

ハコマニアの自分にとっては、①がすべてを決める。まずなにがなんでも①が大事。
そこからさらに、1年のうちいつ決行するかは、コンテンツを選んで...というようにしたいが、ここが悩みどころで、自分は一般社会人なので、仕事に応じて休めるタイミングが限定されてしまう。

なので、いきなり②を飛び越して③を決める。まずハコを決めて、その後に日程が決まると、そこでやっている公演が自動的に決まる、というように、コンテンツを選べない。

それでも今年のパリ管、スイス・ロマンド、RCOのように最低限譲れない線はある。

そこら辺のさぐりあいをやった上で徐々に決めていくのだ。各ホール、楽団の公演カレンダーを眺めつつ、いい公演が連なるように選んでいく。このときが最高に楽しいときといっていい。(笑)

そうすると主役コンテンツ以外に、どうしてもハコ優先のためにローテーションの穴の日ができてしまう。穴といっては失礼だが、自分が知らないコンテンツを観ることになる。

今回のフィルハーモニー・ド・パリのPhilharmonie2 (小ホール)を体験したいがために、選んだコンテンツが、パリ室内管弦楽団によるBach in Indiaという公演だった。

インドというのは、事前には??だったのだが、バッハ好きの自分にとっては、フィルハーモニー・ド・パリでバッハが聴けるなんて!という感じでウキウキもんであった。

リアルタイムで現地から報告しているときは、まったく気づかなかったのだけれど、いまいろいろ時間をかけて調べながらブログにまとめていると、気になることがある。

現存するシテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(Cite de la Musique、音楽の街)という音楽施設と一体となって、新しくフィルハーモニー・ド・パリが形成されているという図式。

奥に見えるのが、Philharmonie1(大ホール)で、右側に見えるのがシテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽総合施設でPhilharmonie2(小ホール)はこの中にある。

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新設された2,400席のコンサートホ-ルはPhilharmonie1(つまり大ホール)、そしてこれまでシテ・ドゥ・ラ・ムジーク内にあった1,200席規模のホールは、今後はPhilharmonie2(小ホール)という扱い。

つまり今回新しく設計されたのは、Philharmonie1のほうで、Philharmonie2のほうは、元々の総合音楽施設の中にあったホールということのようなのだ。(リ・デザインはしているかもですが。)

そうすると気になるのは、このPhilharmonie2(小ホール)の内装空間。

今回の自分の座席から。

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いままでクラシックコンサートホールをいろいろ観てきた自分の経歴から、あまり見たことのない珍しい内装空間で、特にどうしても気になるのは、このホールの天井。

天井。

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これはどう見てもクラシックコンサートホールの天井とは思えないのだ、自分には。

クラシックのコンサートホールは生音・原音をどう扱うか、というのが”きも”なのであるから、どうしても直接音、間接音(反射音:響き)という考え方が必須で、ホールの壁、天井、床の「形状」、「材質」など、さらに「反響板」というオマケもついた関係でそのファクターで音響が決まってくる。

でもこの天井を見ると、クラシックコンサートホールというよりは、ロックやポップスなどのPAサウンドを駆使するコンサートホールのように思えるのだ。(天井がこんな感じでは反射音は期待できないだろう!)

そうすると、この音楽施設内にもともとあったこの小ホールは、じつは以前は、ロックやポップスなども考慮した総合マルチなホールとして設計されていたものなのではないのかな?と思ったりする。

それを名称をPhilharmonie2と改称して、クラシックの室内楽もここでやりましょう的なアプローチではないのかな、と思ったり。

先の写真の私の座席からのステージの写真を見てもわかるように、この日のコンサートは、ステージの上に立脚式のマイクが多数立てられており、最初録音するのかな、とも思ったが、この日のコンサートのインドの楽器ではPAを使っており、そのため、収録というよりは、オケの音もマイクを通してPAでホール内に流すというのがメインであった。

ホールの後ろには、ロックのコンサートのように、PAのコントロールルームが設置されている。

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今回のコンサートだけがそうだった、という感じであってほしいが、最初から全公演ともPAサウンドでホールに音を流すというのが前提のホールであると、もう生音・原音主義の私としては、もうこのホールはサヨウナラ、という感じになってしまう。(笑)

話を戻して、この小ホールでおこなわれたこの日のコンサートについてレビューしよう。

"Bach in India"というこのコンサートのコンセプトは、パリ室内管弦楽団とソリストによるバッハの曲と、インドの楽器を使いながらのインド音楽(?)のコラボのようなコンセプトであった。

バッハの曲は、ヴァイオリン協奏曲とシャコンヌ。でもサウンドがイマイチだった。(泣)

インド楽器の音色があまりに強烈で、あのインド独特の強烈な旋律を奏でるものだから、もうこちらのほうが完全にバッハを喰っていた感じだった。

コンサートの進行、演奏者は、大きく3つに分けられる。

・女性ヴァイオリン奏者のソリスト
・3人によるインド衣装をまとったインド楽器奏者
・オーケストラ(パリ室内管弦楽団)

最初は、女性Vnソリストとオーケストラのバッハのヴァイオリン協奏曲。指揮者なしの女性Vnソリストによる弾き振り。もうバッハの名曲中の名曲!

オーケストラの中に日本人女性Vn奏者がいたような....しかも自分の知っている奏者に見える..... なんで?という感じで、たぶん自分の勘違いだと思うので、名前は伏せておきます。

聴いてみるとこれが鳴っていないんだなぁ。(爆)

ステージのところでこじんまり鳴っている感じで、客席まで音がダイレクトにやってこない。この広いエアボリュームを音で満たしきれていないのだ。かなりの欲求不満。このホール(少なくとも1階席平土間)は、音響的にあまりいい音響ではないな、というのが第一印象。

問題なのは、そういうホールの音響面の問題を除いたとしても、奏者たちが奏でる音色そのものにも問題がある。

女性ソリスト奏者のヴァイオリンの音色は、彼女はダイナミックに弾いているのだけれど、音がシケっている、というかまったく響いてこない。ヴァイオリン特有の美しい倍音成分などまったく出ていない感じ。あまりに鳴っていないので、モダン楽器ではないのではないか、という思いもでてくる。フシギ.....

彼女の演奏・立居姿を見ている分には、凄くダイナミックで相応のスゴイ音が出ていそうな錯覚がするのだけれど、実際出ている音はショボくてそのギャップに疲れ果ててしまいました。(後半のバッハのシャコンヌも同じ印象。)

オーケストラのサウンドもどうもあまり感心しない。サウンド全体としてオケ特有の量感はそれなりに出ていたのだけれど、音色が美しくない、というか響きに潤いがないんですね。デッドなサウンドだと思いました。

中域の生々しい押し出し、鮮烈で煌びやかな高域、そして締まりとスピード&量感が両立する低域とで成り立つピラミッドバランスのとれた美しいハーモニーで聴こえてこない。(まるでオーディオ!(笑)でも、うまいオケは、必ずこれがきちんと実現されています!)

彼ら(パリ室内管弦楽団)のオーケストレーション自体は確かに非凡なものを感じる。決して凡演ではない。注意してパートごとに聴くとよく弾けていると思ったし、全体の組み立ても、問題があるとは思えなかった。

やっぱり音色なんですよね。自分の好みに合わないというか...そして自分に向かってこないので、いわゆるドッと押し寄せるようなアタック感みたいなものも希薄で印象が薄いんですよ。

ホールの音響のせいなのか(たぶんこっち)、オケそのもののせいなのか、区別がつかなかったが、はっきり正直に書くと出だしはあまり感心しない印象であった。

最後の大編成もののオケの曲は、彼らは量感はそれなりにきちんと持っているので、終盤につれて盛り上がっていき、爆発する感覚は感じ取れた。ただ私を感動させるには、もっと音色そのものが美しくないといけないし、感動できるオケのサウンドなら必ず持っている帯域バランスを彼らは、この日に限って実現できていないように思えた。

唯一感動できたのは、3人によるインド衣装をまとったインド楽器によるインド音楽。

各インド楽器はPAを通してホールに流される完全なPAサウンドなのだが、ここまで割り切られると、PAサウンド独特の気持ちよさというか、たとえばヴァイオリンにコードがついていて、弓で奏でられる音色は完璧な”電気ヴァイオリン(笑)”。

もうここまでやるなら逆にその気持ちよさに感心して酔える。特にあの独特のインド音楽のムーディな感じが、この電気の音にマッチしている。あの小太鼓のようなインドの打楽器の音色もそう。

PAサウンドを侮るなかれ!という感じで、たとえばロックコンサートのようなドームでやるような大音量で歪みまくり(割れた音)のクオリティのひどいPAとは全然違って、品質的には非常に優れたPAサウンドだったと思う。やはり演奏規模に応じた器でのサウンドはPAでも重要という同じことが言えますね。

最後は、女性Vnソリスト奏者と、このインド音楽奏者3人とオーケストラの全員での合奏は素晴らしいものがあった。サウンド的にはもちろん、いろいろ不満はあるのだけれど、コンサートの流れとして、こういう順番の組み立てなら、きちんと盛り上がるよなぁとその計算されたシナリオに感心しきりであった。

日本では絶対経験できない類のコンサートであるし、貴重な経験だったと思う。

また、このPhilharmonie2がPAサウンドもこなすロック・ポップス・クラシックのマルチなホールなのか不明なのだが、今度は純粋な生音のクラシック再生をこのホールで聴いてみたいと思った次第である。

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2015/10/4 Bach in India 16H30~ at Philharmonie de Paris

Johann Sebastian Bach
Concerto pour violon en re mineur BWV1052

Dr.Lakshminarayana Subramaniam
Carnatic Classical,pour violon seul

休憩

Johann Sebastian Bach
Chaconne pour violon seul

Dr.Lakshminarayana Subramaniam
Paris Concerto,concerto pour violon indien et orchestre-
creation Tribute to Bach,pour deux violon et orchestra



Orchetre de chambre de Paris

Josep Vicent,direction
Amandine Beyer,violon et direction

Dr.lakshminarayana Subramaniam,violon
Ambi Subramaniam,violon
Vankayala Ventaka Ramana Murthy,mridangam


体験!フィルハーモニー・ド・パリ Philharmonie 2 [海外音楽鑑賞旅行]

パリ管弦楽団の新しいフランチャイズ・ホールであるフィルハーモニー・ド・パリを経験すること。
これが今回のツアーの最大の目的といっても過言ではなかった。

パリの北の外れにあるので、交通の便が悪いとか、終演の夜遅くなった時にパリ市街に戻るのが大変そうだ、とか事前にいろいろ情報をもらっていたのだが、まったくそんな心配は無用であった。

メトロM5のPorte de Pantinで下車して地上に上がったときに、すぐ目の前に広がる公園の中に堂々とそびえ立っているのである。自分の滞在ホテルのOperaからも1回乗り換えで簡単に行ける。少し拍子抜けしたぐらい。

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ここは1980年代にラヴィレットという公園としてコンペで整備されたところで、建築界では有名なところなのだそうである。この中にシテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽施設とコンセルヴァトワール(パリ音楽院)があり、このフィルハーモニー・ド・パリはその隣に出来たもの。

つまり現存するシテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(Cite de la Musique、音楽の街)と一体となって、新しくフィルハーモニー・ド・パリと形成されているのである。

新設された2,400席のコンサートホ-ルはPhilharmonie1(つまり大ホール)、そしてこれまでシテ・ドゥ・ラ・ムジーク内にあった1,200席規模のホールは、今後はPhilharmonie2(小ホール)という扱いになる。こうしてみると今回新しく設計されたのは、Philharmonie1のほうで、Philharmonie2のほうは、元々の総合音楽施設の中にあったホールということのようだ。(リ・デザインはしているのかもしれないが。)


奥にあるのが、Philharmonie1(大ホール)、そして手前の右側に赤い枠のゲートのある施設が、シテ・ドゥ・ラ・ムジークという総合音楽施設で、この中にPhilharmonie2(小ホール)がある。

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Philharmonie1のホール設計はジャン・ヌーベルという有名な建築家で、リヨンのオペラハウスやルツェルンのコンサートホールも設計している。音響設計はニュージーランドのマーシャル・デイ社が担当し、日本の永田音響設計は設計者ジャン・ヌーベルのパーソナル・アドバイザーという立場でその音響設計に係わっているようだ。複数の音響設計者が一つのプロジェクトを担当するという複雑なデザイン・チームの構成は、やはりフランスならではのさらにこのホールの独特のユニークなデザイン設計に起因するものなのだろう。

Philharmonie1 (大ホール)

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目の前には美しい緑の芝生と公園が広がっている。

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このエスカレーターで上階に上がると、そこに大ホールのエントランスがあり、そこから大ホールに入る。これは、また後日日記にする。

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その上階に上がったところに大ホールへのエントランスがある。

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地上からは、さらにその横にこのような階段があり、それを上っていくと、この建物の側面に出る。そこには広いスペースがあるのだ。

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そこから建物を横から撮影する。

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ここがPhilharmonie1の正面エントランス。

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この中に入ると、このような空間が現れる。

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天井のこの尖った針のようなものが何本もぶらさがっているのはフランス人らしい感性なのでしょうか?

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このPhilharmonie1の建物の中には、カフェ、マルク・シャガールの画廊(スゴイ片隅スペースにあり、大したことないです。総合音楽施設の中のミュージアムの中に本格的な画廊があると思います。)、そして資料室/図書室、子供への楽器教育ルーム(私のつたないフランス語読解能力では....)などが1Fのフロアにあるわけです。

ここがカフェ。

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中はこんな感じ。

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マルクシャガールの画廊。(片隅スペースにある。)

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ここが資料室/図書室。(写真撮影禁止です。)
ここはまだ中ががらんどうでなにも入っていませんでした。

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子供への楽器教育ルーム

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次にPhilharmonie2(小ホール)の説明をおこなう。先述のように、総合施設の中に小ホールは存在する。Philharmonie1の手前側にその大きな総合施設があり、ゲートの部分は赤い枠でオシャレなセンスでいっぱい。

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中に入るとこんな空間が現れる。(写真右に見える大きな円柱状の建物がPhilharmonie2である。)

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レセプション

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セミナーなどができる会場スペース。

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そしてここが休憩カフェ。
ここはPhilharmonie2に直結していて、つまり小ホールでコンサートのブレーク休憩時に、渡り廊下を渡って、このスペースでドリンク休憩をする場所なのである。普通はスタンディングなのに、ここにはテーブルと椅子があるのが特徴ですね。もちろんここにトイレもあります。

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ブレーク時。

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ヨーロッパの休憩時にホールの外に出るときの決まりごとが面白い。日本のホールだといったん外に出るときは、チケットの半券をお持ちください、というアナウンスが流れるが、ここではこういうコインを渡してくれるのだ。そして再度入場するときそのコインを返却するのである。

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さらにCD,本などを売っているショップ。そしてミュージアム。

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大きなコンサートホールであれば、必ずあるショップ類だが、なぜかそのショップ名は、”harmonia mundi”になっていたこと。お膝元のフランスのインディーズレーベルだが、彼らの商品しか置いていないのか、と思ったが中を覗くと、CDであれば、フランスもので有名なEratoレーベル、その他DG,DECCA,EMIなど有名なレーベルの商品は全部揃っている感じでした。(PENTATONEもあった。(^^;;)本も置いてあって、バッハやモーツァルトの書籍など盛りだくさんである。


なんかこういう空間は、オーディオファンをかなり刺激しますね。記念に自分へのおみやげを買ってしまいました。

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グリモーの本、グルベローヴァさま、アネッテ・ダッシュ、ベルナルダ・フィンクの歌曲集。(なぜか女性ばかり...(^^;;)

なるべくharmonia munidレーベルのものを買いました。(笑)
ネットで買えるかも、ですが、ここで買うのが一生の記念でいいですね。

このホールで、リサイタルをやったグリモーであるが、たぶんグリモーは狼とともに暮らし、自分のコンサートの稼ぎをすべて狼の育成費に充て、それがなくなったら、またコンサートに出るというそういう人生というか狼愛....そして演奏会前にはスタインウェイのショップに現れて、心ゆくまで練習をする、なんてことが、この本には書かれているのだと思います???

この本、CDショップを突き抜けるようにしていくと、そこにミュージアムがある。入場料を払う必要があるが、ここにはマルク・シャガールの本格的な画廊があるのだと想像する。Philharmonie1のほうにあるのは簡易版だと思いますね。

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ちなみに、この施設に来た時の休憩場所というか憩いの場所は、Philharmonie1そしてその手前にある総合施設+Philharmonie2のさらに手前にあるカフェでした。ここは、カフェだけでなくレストランでもあり、公演前の時間つぶしに随分重宝しました。このコンサートホールでの大切なカフェ&レストランですね。店員さんは英語が通じません。(泣)

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いよいよPhilharmonie2(小ホール)を体験。

先述のように、総合施設のホワイエ空間の中に円柱状の建物があって、それがPhilharmonie2なのである。

Philharmonie2(小ホール)

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中に入るとホワイエ空間が現れる。

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そして、いよいよ小ホール潜入。

正面

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背面

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側方

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天井

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そして今日のコンサートはPA(拡声装置)を使うので、ホール後方にロックコンサートのようにコントロールルームがあったりするのだ。

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小ホールの内装空間だが、予想以上に大きなエアボリューム。(特に天井が高い。)日本の室内楽ホールよりずっと大きい感じがした。1200席のキャパというから、日本で言えば大ホールと室内楽ホールの中間くらいな感じだろうか。

内装デザインとしても不思議な空間で、こういうデザインは自分ではあまり観たことがないですね。単なるデザイン美なのか、音響上の仕掛けなのか判断つかないが、面白い空間でフランス人らしい設計だと思った。

この等間隔に立ってデザインされている長方形状の衝立は、自分の勘では間違いなく音響上の工夫によるもの。ぜひ近いうち解明したい。天井近い壁の部分は全方位面、なぜか吸音性の布製のカーテンで敷き詰められていたのは、とても気になって仕方なかった(笑)

それよりも、この天井の様子をみると、どうもクラシック専門ホールではないような気もする。もともとは、シテ・ドゥ・ラ・ミュジークという音楽施設の中のホールだった訳で、そこがロックやポップなどのPA施設の整った総合ホールのような趣だったんだろうという気がしてきた。今回のコンサートもPAを使用していたので、そこら辺はこのホールの範疇なのだろう、そんな感じがする。クラシックのコンサートホールではこんな天井はまずありえませんからね。

今日の室内楽コンサートは、ちょっと変わった趣向で、クラシックとインド音楽の融合のようなジャンルで、PA(拡声装置)を使うので、ホールの音響を確認するうえでは正直困った。

クラシックは生音・原音なので、ホールの音響は、直接音と間接音(反射音:響き)を聴くことで評価する。でもそこにPAサウンドが混ざってしまうと、なにを評価しているのか、わからなくなるからなのだ。ホールの素性がわからないのだ。

だから正直、音響がどうだったというのは正直ここで断言することはできない。

でもざっくばらんな評価からすると、この広いエアボリュームを音で埋め尽くすことが出来ていなかったような.....(^^;;
もっと端的に言うと客席に音が届いていないというか、ステージ上でこじんまりと音が鳴っているように聴こえる。1階席であったが、もっとステージからダイレクトに音が飛んでこないと......上空を見ると浮雲(反響板)のような工夫もないことから、観客席に音を向かわせるトリックをどこでやっているのか.....

自分の座席。

ステージを見てもらえばわかると思うが、たくさんの立脚式のマイクがセッティングされている。本公演を収録しているのか定かではないが、もし収録でないとすると単にPAを使ってホールに音を送る、そのためのマイク、そしてそれがこのホールのサウンドの作り方という考え方もできるのである。

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イベントとして凄く面白いコンサートであったが、ホールの素の音響評価が出来なかったのは、ちょっと自分にとっては残念であった。ぜひ近いうちリベンジしたい。(もしそういうホールであるのであれば...)

とにかくこの日は小ホールとはいえ、フィルハーモニー・ド・パリの建物に入れたことだけでも大興奮の1日であった。


再訪!パリ・オペラ座ガルニエ [海外音楽鑑賞旅行]

ルーブル美術館の北側というパリの中心地に堂々とそびえ立ち、ターコイズグリーンのドームと金の装飾が特徴の舞台芸術の殿堂、通称オペラ座ガルニエ。まさにパリを代表する建造物。ここも3年振りの訪問。

パリの滞在ホテルが、じつはこのガルニエのすぐそばにあったので、このガルニエの前には、メトロのOperaの駅の地下への入り口があって、毎朝出かけるときは、必ずこのガルニエの荘厳なるお姿を拝見するという夢のような生活を送っていたのだ。

こんな夢のような生活をしていたら、日本への超高速スピードの社会復帰は無理だと思ってしまった。(笑)

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じつは3年前に訪問した時に、大失敗したことがあって、それはまるでベルサイユ宮殿のような壮麗華美な廊下ホワイエがあり、そこの場所が分からなくて、写真に収めることができなかったのだ。

今回の訪問時には、ぜひこの超有名な廊下の写真を取るべく、安全を期して、 ガルニエの館内ガイドツアーに参加しようと思った。このガイドツアーに参加すれば無人のホールの写真も撮影できるし、もちろんこの廊下の場所も分かって撮影できると思ったのである。

館内ガイドツアーは、週に3回のみ実施。その日に合わせて、ガルニエのチケットオフィスに集まる。ガルニエのチケットオフィスは、ちょうど正面の入り口の真裏に存在する。

チケットオフィスのある側。(真裏にある。)
このオペラハウスの建設者であるシャルル・ガルニエの像が立っている。

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結構な人が集まっていた。日本人も多かった。ガイドツアーだけが目的ではなくて、ふつうに公演のチケットの当日券などを求める人も多いのだろうと思った。

ここでしばらく待っていた。そうしたら警備員の人が出てきて、無情の立て看板を立てる.....

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「今日は、NO VISIT DAY」

ガーン。立ち直れなかった。また今回も廊下の写真を撮影できないのか、と頭をよぎった。

でも神様は見捨てなかった。その夜、ガルニエでのバレエ公演を鑑賞しに、このホールの中に入った。エントランスのチケットをチェックするゲートを通って、階段を上がり、2階にあがる。公演のブレーク休憩時にこの2Fのドリンクコーナーで何気なくドリンクを注文。

ドリンクコーナー

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そうするとその横の奥のほうになにかしら広い空間が存在するのだ。「あっもしやして!!!」と思って胸ときめかしながら、行ってみると、やっぱりそうだった!!!こんなところにあった。2Fでホールのある側とちょうど反対方向にこの有名な廊下はあったのだ。

夢中で写真を撮った。中は凄く暗くて、焦っていたのでフラッシュをたかないで撮影したので、出来上がりは暗い写真になってしまった。

ここがまるでベルサイユ宮殿のような壮麗華美な廊下ホワイエ。
本当に美しくて圧倒される。

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撮影している場所の反対側を撮ると.....

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音楽の神様は我を見捨ててはいなかった。この幸運にひたすら感謝するばかり。これでガイドツアーに参加する必要もなくなった。今回のガルニエ訪問の目的は、これで達成された。

このガルニエは外装はもちろんのこと、この華やかさな彫刻を施され、あまりに圧倒される美しい内装空間は、もう実際訪問してみないと、その凄さは実感できないだろう。とにかく息を飲むほどスゴイ。

まずエントランスのチケットをチェックするゲートを通るとこのような階段があり、素晴らしい空間が広がる。

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この階段を上って、2Fに上がってロビー全体を俯瞰して撮影してみると、こんな感じ。

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いまこの写真を撮影している左手側の奥に、その有名な廊下ホワイエがあるのだ。

そしてホール内に潜入。

私の座席から観たステージを含むホール空間。いやぁここの内装の凄さは、毎度本当に驚く。壮麗・絢爛豪華とはまさにこのこと。なんか観劇をするだけでこういう建築物を造ってしまうのだから、現世代では全く考えられないことだと思う。

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そしてあまりに有名なシャガールの天井画「夢の花束」。この天井画の中心から大きなシャンデリア(7tもあるらしい!)が吊るされているのだが、吊っているのは棒状の物(こんな重いものは絶対紐ではない!)でこれが切れてシャンデリアが客席に落ちると大変な惨事になるな、とつまらないことを考える。(笑)

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私の座席は、3Fの後方上階席の中央のボックス席だ。馬蹄型のオペラハウスでボックス席の中に入るのも、あまり経験がない。ボックス席はこんな感じになっている。

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今回鑑賞したのは、現代バレエ。自分は、普段あまりバレエは鑑賞する機会がないのだが(ある意味オペラ以上に観ない。(^^;;)、いままで観てきたバレエというのはたとえば舞台装置・美術がかなり大がかりでしっかりしたものを使い、劇空間、ストーリー性のあるバレエ、つまり20世紀半ばのフランスなどで栄華を極めた、いわゆる「グランドバレエ」と呼ばれるものが圧倒的に多かった。

3年前のこのガルニエでもマスネの「マノン」を鑑賞した。この演目もグランドバレエである。バレエは予習素材などが乏しく予習が困難なので、今回の演目がどのような内容のバレエなのか、予習しないで本番突入したが、まったくそんなハンデを感じさせないくらい素晴らしい感動を得られた。

今回の演目は、舞台装置などはまったくない素の空間で、少し照明に工夫があるくらい。基本は音楽とダンサーたちの踊りを堪能するシンプルなものだった。

もうバレエはダンサーたちの細身&筋肉質の体形の造形美と、振付師によるその独創的なアクロバティックな振り付け、難度の高いリフトといったパフォーマンを観る芸術と言ってもよいと思う。

この夢のような内装美を誇る内装空間のホールの中で、オケの美しい調べとともに、このバレエのパフォーマンスを観劇することがいかに贅沢なシチュエーションなのか、ということをしみじみ。。

ニコ・マーリー、プロコフィエフ、チャイコフスキーの音楽による3部構成の演目であったが、ニコ・マーリーの演目は現代バレエらしいストィックな衣装に研ぎ澄まされたような硬派な、いかにも現代バレエという感じ。

最後のチャイコフスキーのバレエはさすがに盛り上がった。特に女性ダンサーの衣装が、「クラシカル チェチェ」この3部目の幕が開いたときに、チェチェ姿の女性ダンサーでステージが埋め尽くされた瞬間を見て、思わず館内は、「ウワォ~!」というどよめきが起こった。(笑)やっぱりバレエは、チェチェ姿が基本でみなに受けやすいのかな、さすがはチャイコフスキー、「バレエの王様」と思ったものだった。


ニコ・マーリーの作品

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プロコフィエフの作品

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チャイコフスキーの作品

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2015/10/5 パリ・オペラ座ガルニエ 現代バレエ

はっきりと、大声で、明るく、前へ。

音楽:ニコ・マーリー
振付:ベンジャミン・ミルビエ
空間:ユナイテッド・ビジュアル・アーティスツ
照明:ルーシー・カーター

作品19/ドリーマー

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
   ヴァイオリン協奏曲第1番
監督:マキシム・パスカル
振付:ジェームス・ロビンス

テーマとバリエーション
音楽:ビュートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン

エトワール、プリンシパルダンサーと群舞

パリ国立歌劇場管弦楽団

やっぱりオペラの舞台装置は、年々IT化がどんどん進んで手の込んだものが多くなるにつれて、ガルニエのような古いオペラハウスではその実現が難しくなって、バスティーユのような新しいオペラハウスができたのだろうけど、ガルニエのような内装空間(もちろん外装も凄い。)を持つ歴史的建造物は、もうそれだけでパリの遺産というか至宝と言える。

だからこそ今後も絶対残していくべきだと思うし、バレエ、小規模オペラというジャンルでもいいからガルニエを活用していくべきで、そういう形でバスティーユと二輪で運営していくというソリューションは彼らフランス人にとってはまさに正論なのだろうという想いを強くした。

終演後の夜のガルニエ。

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再訪!パリ・オペラ座バスティーユ [海外音楽鑑賞旅行]

2012年のときの訪問以来、じつに3年振りの再訪。相変わらずオペラハウスというより科学技術館みたい。(笑)

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前回訪問した時に比べ、ゲートらしき黒枠のところが工事中になっていたのと、建物のガラスの壁面のところにヴェルディ、シューンベルクなどの文字が貼りつけられていたこと、(現在それ関連の公演開催中ということなのでしょうか。)が異なっていた。でもそれ以外は面影は基本的には変わっていないと思う。


目の前にはバスティーユ広場が広がる。
宿泊先のホテルは、ガルニエのそばであったので、メトロではM8で1本でバスティーユに到着する。

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いつも早く到着するので、このオペラ座バスティーユのとなりにあるカフェで休憩。

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そして並ぶわけだが、3年前も間違ったのだが、エントランスは、見かけ上は、黒枠のゲートの後ろのように思えるのだが、そうではないのだ。(笑)じつは1階にあるここだったりする。

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おそらく当日券を求める人、もしくは、チケットに換券する人が並んでいる。
開場とともに、この自動発券機でチケットを発券するのだ。

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今回の演目「蝶々夫人」のプログラム冊子を売っているところ。

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そこに貼られている蝶々夫人のポスターを拝見。このポスターのデザインフォトを見るといかにもフランスらしい演出というかお洒落感覚というか、とても期待できそうな気がする。こういうテイストのカラーが、パリ・オペラ座で演出されるオペラの素晴らしさ、というかパリ色の強い演出所以だと思う。

エントランスから入ったところのホワイエの空間。近代建築らしいお洒落な空間である。

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パリのコンサートホール、オペラハウスの座席割り当ての特徴は、左右で、偶数、奇数に座席が分かれているところが特徴だと思う。(左が奇数、右が偶数)

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エントランスから入って、ホワイエの空間が現れたら、そこから左右に、偶数、奇数に応じて分かれていくのである。私は偶数なので、この右側から中に入っていく。

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上がっていくと、そこにドリンクバーなどの空間が現れる。

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そしてホール内に潜入。


ピット

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ステージ

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客席

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ヨーロッパの伝統的な馬蹄型のオペラハウスとは違っていて、どちらかというとコンサートホールに近い形状だと思う。ステージは、高さがかなり高い。そして横幅もあって奥行きもかなりある。ザルツブルク祝祭大劇場ほど横幅が広くて、奥行きがあるわけではないが、でも雰囲気が似ているというか近い感覚はあると思う。字幕はステージ左右両側と上階向け用にステージ上方にある。

ちょっとホール空間の広さや形状を考えると、上階席のほうでは、うっすらPAをかけているのかな、という疑惑もある。この疑惑は、じつは昔からこのオペラハウスには存在していて、真意のほどは定かではない。

オペラハウスの座席は、どこが1番適切なのか?という問題は1番難しい問題。

オペラ歌手のような人間の声は、ピアノと同じで、スゴイ指向性がある。だから1階席平土間が1番聴こえがいいのかな?とずっと思っていた。かたや一方では、オケはピットという深く沈みこんだ場所で、しかも囲われている場所で演奏するので、オケのサウンドは、ホール全体に行き渡ることは不可能で一種独特の”こもり”というのを感じ、正直あまり期待できない。

囲いに囲まれているので、それが邪魔で、1階の平土間には、オケのサウンドは横方向にダイレクトに届かない。こもったように聴こえるはず。こういう形式だとピットのオケのサウンドは真上に上がるのである。そうすると上階席の席のほうが、オケのサウンドは綺麗に聴こえるはず。しかも上階席でもステージ真横のボックス席のほうが、ピットに近いので、その上に上がってくる音をダイレクトに綺麗に聴こえるのかな、とも思ったりするのだ。

しかも上階席のほうがステージ全体を上から俯瞰できるので、視認性も抜群だと思うのだ。
ステージは上から観たほうが、オペラやバレエは視認性がいいように思う。(たとえば平土間から観ると、最前列の歌手陣は見えるのかもしれないけれど、奥行き方向が見えない。上階から見下ろすようにステージを観たほうが、奥行き方向の動き含め、ステージ全体の動きが俯瞰できるからである。舞台演出サイドはじつは、前面から奥行きに至るまで、その全体の役者の動き、人模様の動きがじつは舞台演出のキーだったりすることも多いので、それを隈なく俯瞰するには、やはり上階から見下ろすようにステージ全体が見えたほうがいいと自分は思う。)

もちろんセンターの後方の上階席でもいい。ボックス席の真横よりもさらにステージの視認性もいい。オケの音は少し遠いので犠牲になるが、1階平土間より音はいいと思うし、なによりもステージの視認性が最高にいいと思う。問題はオペラ歌手の声の指向性ですね。これが上まで上がっていくかどうか?

ということで、オペラハウスの座席選びと言うのは、あくまで机上の空論ではあるけれど、

オペラ歌手の声の指向性~平土間
オケのサウンド~真横の上階席>センター後方の上階席
ステージの視認性~センター後方の上階席>真横の上階席

こんな感じでなにを重要視するのか、を考え、マトリックス的に選ぶのがいいのではないか、と考えるようになった。

でも自分の今回の座席は、ここ。

1階平土間の前方かぶりつきで、ピットのすぐそばであった。(自分の座席から観たステージ)

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正直オペラ歌手の声はまったく問題なし。そしてオケの音も真横ではあるもののピットのそば、ということもあり直接音ばっちりで、迫力のあるサウンドであった。まったく不満がなかった。

前回3年前に訪問した時は、1階席後方の座席で、オケの音がどうもドライ気味でデッドに聴こえたのでイマイチの印象であった。これで3年振りに、ものの見事にリベンジできたと思う。

コンサートホールでもそうだけど、1階席というのは、ステージの音は上に上がってしまい、真横にダイレクトにこないもの。(それが真横にもダイレクトに来る、あるいはそのように感じるように観客席に音が向かうようにホールの形状、反響板含め、設計されているホールは、じつに素晴らしいホールと言えると思う。)

そして間接音(反射音:響き)は天井、側方の壁、床で反射して聴こえるはずなので、それが1階席だと,その天井、側方の壁とあまりに距離が遠すぎていて、反射した音が1階席に戻ってくるときは、そのエネルギーが減衰してしまって、1階席ではそういう響きはあまり期待できないと思うのだ。(逆を言えば、天井に近い上階席や側方の壁に近い座席のほうが響きが豊かに聴こえるはずである。ここらへんにとって直接音が遠すぎるかどうかの問題のみ。)

要は1階席は、直接音が命!

1階席はサウンド的にはハンディがある、と思う。

でもオペラ歌手の顔や、声を聴くには最高の場所なのかも、と思うのだ。

自分はそういう観点を鑑み、オペラ歌手の顔、声(オペラはこれが1番大事なファクター)を堪能出来て、1階席でも満足できる場所、ということでピットのそばの前方かぶりつきを選んだのだ。

大正解であった。

演目は、プッチーニの「蝶々夫人」。

この演目が観たくてというより、バスティーユを経験するには、スケジュール的にここしか空いてなかったというのが真相だが、でも嫌いな演目ではない。いままで数えきれないほど何度も観てきている自分にとってお馴染みの演目である。パリに来てまで西洋人が和服を着るのを観てもなぁという想いもあったが、実際の演出は、すごく近代的であった。

すでに上にアップした自分の座席から観たステージの写真を観てもらいたいのだが、舞台装置、舞台美術など全くなくてステージの後方に大きなスクリーンがあるだけの簡素なもの。この背面のスクリーンで、照明を工夫して感情の表現をその色で表すというシンプルな舞台芸術の見せ方であった。衣装は現代考証。派手すぎでもないシンプルな現代衣装。

こういう演出のほうが、絶対パリで観る蝶々夫人のイメージにはぴったりだと思い、観ていて本当にうれしくなった。本当に背後のスクリーンの色で、そのシーン、悲しいシーン、ハッとときめくシーンなど、スクリーンの照明の光を切り替えていき、じつに巧妙に演出していくのだ。

舞台装置はまったく存在しないので、役者の演技と、その身に着けた衣装、踊りと所作、そしてこのスクリーンの照明だけで、見事に蝶々夫人を表現していく。見事としか言いようがなかった。


振り付けの演出も、極めてスタンダードな演出で、現代読み替え版でもなく、従来の解釈に忠実なものであった。自分は、こういう古典的解釈による演出が、オペラを観るなら好き。


主役の蝶々さん(エルモネラ・ヤホ)とピンカートン(ピエーロ・プレッティ)の声があまりに素晴らしいので驚きであった。特にテノールのピンカートンのプレッティの声はビロードのような甘い声質で豊かな声量、相当魅力的であった。この演目では、蝶々さんは、歌手にとってはまさに終始出ずっぱり・歌のパートも長く多いため、また若く愛らしい娘の役であるにも拘らず、中低音域に重点を置いた歌唱が求められるため「ソプラノ殺し」という異名をとられる難易度の高い作品なのである。第2幕の超有名アリア「ある晴れた日に」はもう、あまりに素晴らしかった。ヤホは、これをものの見事に歌い切っていた。

ヤホに関しては、FB,mixiともにコメントをいただき、2010年のROHの来日公演「椿姫」でゲオルギューの代役で歌ったのだが、第1幕から声が出なくなってしまって、第2幕から代役に代わったという、mixiの女性のオペラ友人にとって悪夢のような歌手だったそう。

パリではまだ活躍されていたとは!もうそうそう来日はできないでしょうから(高額チケットを買って悪夢を味わった観客が多いので(笑))、パリでご覧になられたのは貴重な体験かもしれません、とまで言われてしまいました。(笑)

確かに全体から受ける印象からすると、華がないかもしれないけれど、蝶々さんという役にはじつにフィットとしていて、素晴らしいと思った。歌手では、他には、シャープレス領事のバリトンの声もじつによかったなぁ。

蝶々夫人は、じつは結構自分でも過去に観てきているオペラの演目で、最近観た中で1番印象的だったのは、3年前の小澤征爾オペラ音楽塾の塾生による「蝶々夫人」。

神奈川県民ホールと東京文化会館の両方を観に行った。完全なオペラ形式ではなく、セミ演奏会形式ということだったのだが、オケの後方にきちんとステージを作って、オペラ歌手がそこで演技をしながら歌うという、オペラ形式と言っても恥ずかしくないほど完成度が高かった。

時代考証も和服など、原作に忠実な演出で、舞台装置も和室という原作そのもの。
近年観た蝶々夫人の中では1番素晴らしいと感じた。

蝶々夫人の演出に関しては、いろいろな試みがされていて、自分が観た演劇舞台では、浅利慶太さんが演出した蝶々夫人では、最後蝶々さんが自決するとき、飛び出る血を演出するのに、赤い布がラッパ状に飛び出す、という斬新な演出を観たことがいまでも鮮烈に印象に残っている。


この演目の過去のDVDなどの映像素材も結構観ているのだが、なんか日本を馬鹿にしたような演出も多くて、同じ日本人として”つっこみどころ満載”なのだが、満足なものに出会えたことがほとんどないと言っていいだけに、パリでこのように本格的な素敵な近代演出を観れて、本当に幸せだったと言える、と思う。

この日は超満員。パリの観客は服装がしっかりしていますね。男性はスーツ、ネクタイが多かったです。(プルミエなのでしょうか。)

パリの初日の鑑賞としては最高の出だしだった。

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2015/10/3  パリ・オペラ座バスティーユ プッチーニ「蝶々夫人」

演出・キャスト陣(パリ・オペラ座HPより)

https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/opera/madama-butterfly


2015年の海外音楽鑑賞旅行は、パリ→ジュネーブ→アムステルダム。 [海外音楽鑑賞旅行]

今年2015年は、パリ→ジュネーブ→アムステルダムの3ヶ国を周遊してきました。

帰国してから2週間くらい経過して、だいぶ高揚した気持ちも落ち着いてきたし、ようやく日記を書こうかな、という気持ちにもなってきた。またパリではものの見事に洗礼を浴びて、人生初の体験のスリを経験して、精神的なダメージも大変であった。

現在、保険含め、事後処理中である。いろいろやっていくうえで、わかってきたことは、やはりいくら保険に入っているとはいえ、病気、ケガなどは無制限でも、スリなど物損は意外と保証上限額が決まっていて、自己負担が大きいことがわかった。現金などは対象外。スリは、やはり”自己責任”といえると思う。

今回ホントによかったと思うのは、このトラブルが後半に起きたこと。目的の大半は成就していて、さほど影響がなかったこと。もし最初の頃に起こっていたら、旅行計画もメチャメチャだったろうなぁ、と思うところだ。

パリ滞在中は毎日相当気をつけていたが(特にメトロ!)、でもやられるときは、やられるものなのだ。やっぱり1990年代の欧州赴任時から一度もその経験がなかったので、海外旅行に慣れた友人が、次々とパリで餌食になっていった日記を読むたびに、どこか他人事で、油断があったのだと思う。やっぱり自分に責任がありますね。

海外の有名なコンサートホールやオペラハウスをじかに経験したい、本拠地のサウンドは、日本にはお持ち帰りできない、そんな想いからここ5年間突っ走ってきた。毎年このために大変な投資をするのだけれど(貯金なんてできません。)、自分は物欲、つまり買ったら後で自分の元に残るものにお金をかけるならいいけれど、旅行など形のないものにお金をかけるのは勿体ない、という考え方の人が多いのをよく知っている。

でも自分は、この異国の地で、自分の趣味であるコンサートホールやオペラハウスを経験できて、さらにコンサート&オペラも堪能する、というこの経験は、なににも替え難い人生の宝、財産、まさに垂涎の体験だと信じている。

帰国した時には、出発前とはもうまったくといっていいほど人生観や視野が拡がって、脳内ソフトが大きく書き換えられて、人間として一回りも二回りも大きく成長した気分になる。これは物に投資するだけでは絶対得られない経験なのだ。

いつまでやれるかわからないけれど、行けるときに行っておこう、という覚悟。

毎年貯金をして、人生設計をしっかりやるというもわかるが、そんな設計通りに人生うまく運ぶことはないんですよ。みんな結構予想もつかないハプニング、波乱万丈で計画通りにいかないのが人生なんです。それを晩年に深々と回想する、というのが常なんじゃないのかなぁ。

そんな気持ち、覚悟で毎年海外に行っている。

その経験を、写真や日記でブログに自分の作品として残しておく、というのが、自分の宝物になるのだと信じている。

今年の旅行も、これからその作品を残していきたいと思う。


SNSのほうではリアルタイムで速報という形で簡単ではあるが報告した。

今回の旅行は、大きく次の3つに集約される。

①パリ管の新しいフランチャイズ・ホールのフィルハーモニー・ド・パリを経験すること。
 (ここでパリ管を聴く!)
②ヴィクトリアホールでスイス・ロマンド管を聴くこと。
③アムステルダム・コンセルトヘボウでRCOを聴くこと。

①、②はもう大変エキサイティングで、こんなに興奮したことはなかった。

訪問したコンサートホール&オペラハウスは以下の通り。

パリ・オペラ座バスティーユ

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パリ・オペラ座ガルニエ

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フィルハーモニー・ド・パリ

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ヴィクトリアホール

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アムステルダム・コンセルトヘボウ

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その他、パリでは公演は聴けなかったけれど、外観だけでも写真を撮ってこようと思い、サル・プレイエル、シャンゼリゼ劇場、パリ・シャトレ座を訪問しようと思っていたが、疲労困憊であえなく断念。またの機会ですね。

また散策もちょっとではあるけれど、写真に収めてきました。(食中心ではありますが.....)それも紹介できれば、と思っています。

記事も、自分の最終作品として残すのであるから、SNSでの速報に比べて、もう少し加筆や訂正を加えて、最終形にふさわしい完成度に上げたいもの。

毎日連続してアップしていくのは、大変かもしれないので、のんびりペースかもしれないが、完成まで頑張ってみたいと思う。


スリ、ぼったくりタクシーなど、もろもろ......... [海外音楽鑑賞旅行]

帰国しました。先週、年に1回の海外音楽鑑賞旅行に行っておりました。パリ→スイス→オランダの3か国周遊です。帰国から2日経ちましたが、時差ボケなど強烈でかなり体調不調。今日ついに会社を全休。おかげでかなり戻ってきた感覚が.....全休にした理由は、もうひとつあって、例のパリであったスリ(人生初めての経験!)に関して、いろいろ事後処理をしたかったためである。

平日に時間がたっぷりある、というのはホントに助かる。
おかげでかなり進んだ。4つ問題点があるとしたら、3つ片付いて、残り1つが条件付きで片付くという感じ。ほぼ目安が付いた。本当に気持ちがスカッとした。

もし、これをずっと未解決のままグレーで抱えたまま、会社で仕事しないといけないと考えたら、 かなり不健康だし、絶対今日のやりかたのほうが心の健康にもいいし、賢明だと思う。

旅行の詳しい内容の日記は、もう少し落ち着いた頃から連載を始めたいと思います。(SNSのほうでは速報はしました。)

目安が付いたところで、余裕が出来たので、今回の旅行先でちょっと気づいたことなどを2,3点書き留めておきたいと思いました。

まず、オランダのスキポール空港での”ぼったくりタクシー”事件。

パリでスリに会い、大きな心の痛手を負った自分が、懸命の想いで、翌朝早朝(6時起き)にCDGからアムスのスキポール空港に降り立った時。やったー。ひとつ壁を乗り越えた、安全な地に来た、という感覚になった。(でもパリほどでないにしろ、アムスもかなり危ないんですよね。)

タクシーに乗ろうとして外に出ようとしたら、若い男が「ヘイ、アムステルダムに行くのかい?」と話しかけてきた。「そうだ。」と答えると、ついてきな、というジェスチャー。

自分は、すぐに日本でいうところの白タクか、と想像した。
このままついていっていいのか、かなりドキドキだったが、普通のタクシーは行列で待つだろうし、ま、いっか、という感じでかなり離れたところまで連れていかれ、そこで車がやってきた。

見た目ふつうのワゴンのタイプのタクシーである。

ちょっと安堵。そのまま荷物を載せて、行先を行って走り出す。
あ~ふつうのタクシーなんだな、やっぱり白タクなんだな、と思い、ちょっと安堵。
大体空港からアムス市内まで1時間位だが、30分位からだろうか、自分はふっと気づいてしまった。

料金メーターの回ることの速いこと、速いこと。(笑)
げげっ!という感じで、ちょっと尋常ではないスピードでどんどん料金が上がっていく。
うわぁこれはゴール時点ではスゴイ値段になるなぁ、とビビる。

ぼったくりかぁ~。どうりでおかしいと思った。
運転手は何食わぬ顔して、日本から来たのか?とか世間話に花が咲く。

パリの場合でも、市街からCDGまで50ユーロ位。アムスでも帰りの空港までは正規のタクシーを使って45ユーロ位。これくらいが相場である。

ところがこのぼったくりタクシーは、85ユーロにもなった。
途中で降ろせ、とも言えず、そうなってしまいますた。(>_<)

みなさん、アムスに限らず、どこの国のタクシーでもそうだと思いますが、空港での呼び込みタイプの人には絶対ついていかないようにしましょう~。

あと、もう一点気になったのは、海外の空港の荷物カウンター。

最初気づいたのパリのCDG。ボーディンパス(搭乗券)の自動発券機で発券した時に、搭乗券だけでなく、荷札もプリントしろ、と空港の人に言われ(それってカウンターの人がやってくれるんじゃないの?)?だったが、荷札もプリントして、カートに取りつける。そうして荷物カウンターに行ったら、無人なのである。

自分で搭乗券と荷札のバーコードをスキャンして、自分でベルトに乗せると自動で持って行ってくれるのである。

わぁCDGって進んでるなーと感心。

ロストバッゲージしそうな気もするが、なんとか大丈夫だった。

その後で気づいたのだが、アムスのスキポール空港でも荷物カウンターは無人。

どこの国の空港でも、もうこういう方向で進んでいるんですかね?

その割には、出発の羽田国際はそうなっていませんでした。(笑)

去年の旅行まで自分にはそういう感覚はまったくありませんでした。

あと、この自動発券機は、言語選択では昔は日本語はなかったが、いまはもう必ず日本語表記も対応している。自分の場合、ずっと英語でやっていたので、相当楽ちんになった感じがする。

それにちなんで、パリのレストランでも日本語メニューを置いてあることも多かった。

そして取り調べをされたパリの警察署でも、ポリスレポート(調書)は日本語対応だった。

面接官とのフェース to フェースの尋問はもちろん英語だが.......

やっぱりスリ王国のパリでは日本人はターゲットにされやすいのか、日本語対応をするのがあちらのモラルという感じなんでしょうかね。

ちなみにスリの解決策を見出すべく、日本大使館に行ったとき、隣の長蛇の列の日本人老夫婦が、「あのぉぉ~パスポートとクレジットカードをスラれてしまいました。」と仰っている人がたくさんおりました。