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バイロイトって、こんな街。 [海外音楽鑑賞旅行]

パリCDGからニュルンベルグへのフライト。小さい飛行機なので、カートをすぐにピックアップして、そこからタクシーで、ニュルンベルグ中央駅までタクシー。そしてDB(Deutsche Bahn)在来線に乗る。その間、わずか1時間の早業。(笑)

それで、ようやくバイロイトに着いたのが、夜中の2時頃。


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バイロイト中央駅(Bayreuth Hbf)

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雨が降っていた。タクシーが1台だけ止まっていた。助かった!こんな夜中で、もしタクシーが1台もなかったら、雨に濡れて、途方にくれて最悪だったろう。

タクシーに乗って、自分のホテルまで行く。

この間がすごく嫌なのだ。見知らぬ土地に行くとき、自分のホテルまでタクシーで行く間が、なにか見知らぬ土地にふっと投げ出されたような感覚になり、方向感覚がマヒして、とても恐怖感に襲われる。

バイロイトって、すごい小さい街なのに、タクシーはグルグルといろいろ道を曲がりながら行くので、すごい恐怖感だ。


バイロイトでのホテル。

ARVENA KONGRESS HOTEL

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バイロイト市内でも超有名で高級ホテル。
お値段も素晴らしく高かった。

渡航の3週間前に捜したのに、奇跡的に空いていたバイロイト市内のホテル。祝祭劇場まで徒歩圏内ということであったが、いやはや、中央駅からかなり歩くので、そこからさらに祝祭劇場まで徒歩は厳しいものがある。でも送迎バスがある。

フロント

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そして部屋。

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なかなか雰囲気があって、とても素敵。居心地は素晴らしくよかったが、唯一の不満だったのは、WiFiが細かったことであろうか?結局パソコンで写真をアップロードできず、今回の旅行は、つぶやき中心で進めることに決定。でも結果的それがよかった。旅行中は、つぶやきぐらいがちょうどいい。


朝食、昼食を食べるレストランが、すごい豪華!
驚いてしまった。(右に映っているのがワーグナー像です。(笑))

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ピアノも置いてある。

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欧州テイストのお洒落感満載で、超高級ホテルだなぁ、という実感。
過去の音楽鑑賞旅行で、こんなに豪勢なホテルはなかったと思う。

ホテルの前には、なんとワーグナーさんが!(笑)

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さっそくバイロイトの街の散策。

バイロイトって、どんな街ということを一言で言うと、音楽祭が開催される街としては、たとえばルツェルンのような自然の風光明媚な美しさ、とか、ザルツブルクのような女性に好まれる華やかさ、という煌びやかさという輝きは、ないけれど、独特の味というか、非常に雰囲気のある、とても素敵な街だという実感。

とにかくワーグナー一色なのである。

マイスタージンガー通りだとか、タンホイザー薬局だとか、通りの名前や建物など、いろいろなところにワーグナーに関連する名前がついているし、このように、至る所にワーグナーさんの銅像が立っていたりするのだ。

実際自分はそういう類のショップに寄ることはできなかったけれど、ワーグナーの楽譜、書籍、記念グッズなど、ワグネリアンにとっては、とてもお宝となるようなものが、いっぱいある素敵な街なのだ。

女性が、自分の部屋にぬいぐるみなど、自分の好きなものでいっぱい囲まれる幸せ感、といおうか、自分の好きなワーグナー関連のもので、周りがいっぱい囲まれている幸福感というか、そんな街なのだ、バイロイトって。。。

さっそくホテルから中心街へ歩く。
観光処が集まっている中心街へはかなり歩くことになる。

ずばり中心街、つまり最初にきっかけで、中央駅まで行く基準とした通りは、この通り。

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最初、こんな風景が続くので、ずいぶん地味な街だなぁ、と。(笑)

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いきなりタンホイザー薬局。(笑)

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そして本屋を見つける。ウィンドウを覗くと、1930年代のバイロイト音楽祭のプログラムなのだろうか、ずいぶん古くて貴重な書物が陳列されている。指揮にフルトヴェングラーと書いてある。

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かなり歩いて中央駅付近の十字路に出たら右折で、中心街に向かう。

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ちょっと自分の視覚にビビッと来る建物があったら、すかさずパシャリ。いい感じのホテル。

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この通りが、たぶんバイロイトの街の中で一番大きな通りで自動車がバンバン通っている。

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さらに歩いていくと、教会のようなものが見える。
ガイド本には、お城としか書いていない。

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この教会の鐘が街に鳴り響く音って、やっぱり堪りませんね。素敵すぎる。

そうこうする内に、バイロイトの辺境伯歌劇場を見つける。

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1747年に完成したドイツに現存する唯一のバロック式劇場。絢爛豪華な装飾で埋め尽くされ、美しい内装空間を誇り、ヨーロッパで最も美しいバロック劇場のひとつとして世界遺産に登録されているのだ。

ここはぜひ観覧してみたかった。残念ながら現在修復閉館中で、外観から撮影するのみ。ワーグナーも、その昔、ここでベートーヴェンの第九を振っているのだ。

その向かいにギリシャ神話風の彫刻。

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ここから最初に目指すは、ハウス・ヴァーンフリート。

この辺境伯歌劇場のある通りであるOperanStr.をずっと登っていくと、こんな景観。

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ここのホテル&カフェはお天気のいい昼間は、テラスでお客さん、いい雰囲気。

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坂を上りきった反対から見下ろすと、こんな感じ。

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そして再び十字路。ここにも大きなテラスがある。

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ここを左折すると、ハウス・ヴァーンフリートのあるRichard Wargner Streetに出る。

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ここからRichard Wargner Streetの景観の様子。

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途中でワーグナーさんと愛犬、発見!

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あの奥に音楽祭の旗が立っている所が、ハウス・ヴァーンフリート。

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ここは、すでに前回の日記で紹介しているので、また元に十字路のところに戻って、Richard Wargner Streetと反対方向のMaximilianStr.ほうを散策する。

いきなりこの美しい景観。

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たぶん、この十字路からこのMaximilianStr.のほうを俯瞰した、このショットがバイロイト散策した中で一番気に入っている。


さきほど述べたガイド本にお城としか書いていない建物だと思うのだが、この通りまで伸びてきていて一面に大きな敷地を占めている。なんか外装が美しい。

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そこで、こんな風景も。。。

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そしてさらに歩いていく。

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歩いていると、喉が渇いたなぁ、と思っていたら、こんなところにこんなものがぁぁああ。自動販売機は助かるのだけれど、その横の屋台店が全体が赤くてお洒落。

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このBRATWURSTEってなんなのだろうなぁ?とそのときは思っていた。(ドイツ語で焼ソーセージのことなんですね。)

そうしたら、反対方向のRichard Wargner Streetでも同じような屋台店を発見!ここにもBRATWURSTE(ブラートブルスト)とある。

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はて?買って食べているお客さんの手元にあるものを見てみると、ハンバーガーの2枚のパンの中に焼ソーセージが2本くらい挟んであって、それを調味料をつけて食べるファーストフードみたいだ。ドイツでは、有名な焼ソーセージのファーストフードみたいで、あとでガイドブックで確かめてみたらきちんと載っていました。


さらに歩いていくと・・・こちらは、いまだにvodafoneなのでしょうか?(笑)

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そしてランチ用レストランということで、狙いをつけていた、オスカーというビアレストランを発見。築600年以上という館の中にあって、気軽なビアレストラン。

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さっそく中に入る。

とても素敵なお店の内装。

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ここで、まずビールを一杯、グイッと。ウマい!!

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フランケン風焼ソーセージとザウアークラウトを頼もうと思ったのであるが、ちょっと朝早すぎて、また朝食時間タイムらしく、ふつうのメニューには、あと1時間半かかると言われて、あっそう、じゃあいいや(笑)という感じ。

店を出て、さらにMaximilianStr.の奥のほうに歩いてく。

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そうすると、Marketといって、ちょっとした広場に出る。

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なんと、ここで野外バスケットをやっていた。クラシックな街だと思っていたが、なかなか。同性から見ても、たくましい体をしたお兄さんたちが、汗水流してバスケットやっていました。


ただで、やっている訳ではありません。DJの方がヒップホップの音楽をかけながら、ノリノリでやっているのです。バイロイトのイメージがぁぁあああ!(笑)

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通りに行きついたところで、教会(Spitalkirche)に遭遇。

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ここを左折する。

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雰囲気のいいカフェを発見。

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ふらっと歩いているうちに音楽祭に時間が近づいてきて、タイムアウト。Uターンしていま来た道を戻っていく。


そうするとワーグナーさん、化粧品売っていました。(笑)

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路上で、古楽器を使って喉かな演奏会。
いい雰囲気です。

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バイロイトって、こんな感じの街です。滞在期間2日間ですので、回れるところが限られましたが、十分街の雰囲気が味わえたと思います。やはり、華やかさというより、いい味出している街という表現が合っていることがわかるでしょう?(笑)

ワーグナー一色の街で小さな街ですが、とても雰囲気があって、私は大変気に入りました。音楽祭に限らず、オフシーズンでも寄ってみたい街だと思いました。


ハウス・ヴァーンフリート [海外音楽鑑賞旅行]

ワーグナー好きにとって、バイロイトの街に来たら、祝祭劇場に次いで大切なのは、ハウス・ヴァーンフリートだ。

呼称として、ヴァーンフリートだけでいいと思うのだが、現地の方に道を尋ねたときに、ヴァーンフリートでは、わかってもらえなくて、「あぁぁ、ハウス・ヴァーンフリートね!」という感じだったので(笑)、ハウス付きの呼称で今後、統一する。

自分のホテルは、中央駅から結構距離があるロケーションで、バイロイトの街で、観光処の集まっている市街地に行くには、かなり歩かないといけない。

ガイド本の地図を見ているだけでは、どうしても地理感が養えなくて、結局通行人の方に結構聞いた。

そして、辿り着いたハウス・ヴァーンフリート。

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祝祭劇場を建てるために、バイロイトに移り住んだワーグナーの住んでいた館である。

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館の前には、ワーグナーの創作活動のパトロンだったルートヴィヒ2世の胸像が立っている。ルートヴィヒ2世がいなければ、ワーグナーも後世にこれだけの功績を残せなかったであろう。

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さっそく、ハウス・ヴァーンフリートの裏庭のほうに移動する。

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ここには、ワーグナー、そして妻コジマ、さらに愛犬が眠っているのだ。

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心の中でこのように祈った。「あなた様のオペラを愛し、とうとうこの聖地までやってきました。これを機会に、より一層、陶酔感のある、あなた様の作品に向かい続けていくことを誓います。」

目的達成。もうこれで十分。(笑)

あっという間の出来事であった。

このお墓のさらに奥の裏側には、緑一面の公園が広がっている。
素晴らしい環境。

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ハウス・ヴァーンフリートの正面向かって左側の横には、息子のジークフリートの家がある。

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もう少し拡大して撮影してみると、下のほうにジークフリードの家と書いてある。
                                                                                                                                                                                         
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そして右側の横には、ワーグナー博物館とカフェがあるのだ。ワーグナー博物館のほうは後でまた説明する。お天気の中、カフェのお客さん、気持ちよさそう。

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ワーグナー博物館の中の受付で、観覧のチケットを購入して、緑のシールを胸に貼って、館内を見学する。

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ハウス・ヴァーンフリートは、ワーグナーが暮らしていた書斎やリビングなどの生活空間をそのまま残し、遺品などを展示して見学する博物館のようになっている。

館内撮影OKのようで、みなさん、バシャバシャやっていましたので、私も撮影することにしました。どうしても人が写ってしまい、肖像権NGだが、仕方がない。。。申し訳ない。


ハウス・ヴァーンフリートの最大の見どころは、ワーグナーの書斎。
入り口にワーグナーとコジマの胸像。

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入ってみると、これが、じつに素晴らしい!

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赤のカーテンに白の壁というツートンカラーの組み合わせが素晴らしく、さらに裏窓のある高級感のある雰囲気。

左右両サイド、そして背面には書籍がびっしり。
その本棚の上には、自画像の肖像画や、コジマ、ジークフリート、リストの肖像画もある。

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そして立て掛け型の大きなコジマの肖像画。

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天井は、豪勢なシャンデリアとセンスのある塗装のカラーリング。

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なんとも素晴らしい書斎空間。

驚いたのは、ここで室内楽コンサートを模様しているのだ。

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ヴァイオリンとハープの室内楽で、30分くらいのコンサートを繰り返して演奏する、という感じ。(ヴァイオリン奏者は東洋人の方のようでした。)

これが、またじつに音が素晴らしくて驚くのだ。下手な室内楽ホールよりも素晴らしいと思えるほどだ。音がすごい濃厚で、ハープの下から上までのとても広い音域を隈なく出し尽くしているという感じで、ボロロンというなんとも心地よい響きが部屋中に広がる。ヴァイオリンの音色も妖艶だ。2人のハーモニーのアンサンブルは、それは、それはとても美しい音色であった。

ここで聴いたタイスの瞑想曲は一生忘れることができないでしょう。

贅沢な瞬間。。。


さて、書斎以外の部屋も見学。


妻コジマの父は、ピアニストのフランツ・リスト。このバイロイトにもリスト博物館があり、ワーグナーとリストは切っても切れない関係にある。

所蔵のピアノの上に、ワーグナーとリストの肖像画。

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ワーグナー一家が使っていたと思われるワイングラス、コーヒーカップ、スプーンなどの食器。
博物館の中の展示は、大抵が、外気に遮断するための容器をかぶせられている。

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食卓。

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2階のほうに上がる。

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ソファ。

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椅子。

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ローエングリンの衣装。

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パルジファルの衣装。

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ワーグナーの肖像写真。

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ワーグナーとジークフリートの写真。

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直筆譜。

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そしてワーグナー一家の家系図。

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感無量である。


つぎに、このハウス・ヴァーンフリートの正面向かって右側にワーグナー博物館がある。

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受付。(ここで入館のチケットの胸のシールをもらう。)

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受付のフロア。

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展示物は、地下にある。

時代の古いもののために、暗幕で覆われていて、太陽の光、照明はいっさい入らないような部屋になっている。

まず、祝祭劇場のミニチュア。

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プロジェクター投影。

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そしてパルジファル、ローエングリンなど、一連の楽劇に使われた衣装がケースに保管されている。

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これはなんだろう?そのときはわからなかったのであるが、当時の舞台芸術のミニチュアなのだろうか?

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そしてバイロイト音楽祭で指揮をしてきた往年の名指揮者たち。(写真ボケてしまいました。)

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フルトヴェングラーやトスカニーニの姿もある。

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なぜか、日本流和風な庭園を観ながら、おそらくワーグナー音楽を聴いているリスニングルーム。

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そして往年(最近?)のバイロイト音楽祭での名シーンを撮影したショットが展示されている。

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祝祭劇場の他に、ここを観れただけで、自分はもう十分だと思いました。ワーグナーの聖地バイロイトに来たなら、このハウス・ヴァーンフリートとワーグナー博物館は、必ず訪れないといけないスポットであることは間違いなし。

もう思い残すことはありません。


バイロイト音楽祭 「トリスタンとイゾルデ」 [海外音楽鑑賞旅行]

ワーグナーの楽劇の中でも、「トリスタンとイゾルデ」はとても大好きな演目で、拙宅オーディオオフ会でも有名な第1幕への前奏曲は、よくおかけするのだ。もちろんPENTATONEのヤノフスキ&ベルリン放送響であることは言うまでもない。

この第1幕への前奏曲、そして第3幕の終結部(イゾルデの愛と死)は、ワーグナーのオペラでは、示導動機といって、この前奏曲の部分に使われた動機(モティーフ)がオペラ全体の中で何回も登場してくる。(ワーグナーの手法)

とても情感的で、美しい旋律で、この楽劇のテーマである「官能的な愛」が、とても色濃く表現されている。なにか、大きな「うねり」のようなものを感じて、大河のごとく壮大な美しさを感じる。ワーグナー音楽の代表格とも言えるドラマティックな展開なのである。

オペラ自体は、劇としては意外や動きは少なくて、延々とトリスタンとイゾルデとの熱烈な愛をお互い語り合う、愛し合うというところが多い、ある意味、ちょっと重たい部分もあるのだが、ワーグナーが「最高」としただけの作品の完成度はあると思う。

愛聴盤のPENTATONE ヤノフスキ盤では、トリスタンにシュテファン・グールド、そしてイゾルデにニーナ・ステンメというキャストで、この盤をずっと聴いてきた自分にとっては最高の当たり役というか、これが自分のリファレンスにもなっている。

今回のバイロイトでも、トリスタンは同じシュテファン・グールドで、これが楽しみで仕方がなかった。

「トリスタンとイゾルデ」は、バイロイトだけではなく、東京二期会やMETでも上演されるようで、なにか今年のひとつのキーになっている演目なのかな、と感じていて、注目の演目なのだと思うようになってきた。

東京二期会の公演もさっそくチケット購入して、観劇に行く予定である。


今回のバイロイトの「トリスタンとイゾルデ」は、バイロイト音楽祭の総監督のカタリーナ・ワーグナーさんが演出を担当、そして指揮が、クリスティアン・ティーレマン。ティーレマンは同音楽祭の音楽監督でもあって、鉄壁の両コンビで挑む。

カタリーナさんの演出家としての腕前は、どのようなものなのか?去年も披露されている演出だが、自分は敢えて情報集めはしないで頭を白紙で臨んだ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele


第1幕。とても幾何学的&無機質なデザインな鉄筋で出来た格子状の階段&通路オブジェ。

やっぱりバイロイトの演出だなぁ、という第1印象。とても抽象的で、どういう意味があるのか観客に考えさせる舞台装置。なんでも、このセットは18世紀、イタリアの建築家で版画家としても活躍したジョヴァンニ・バティスタ・ピラネージの名作「(幻想の)牢獄」をモティーフに考案されたものなのだそうだ。

歌手たちは、この階段&通路を動きながら、ある場面になると、その心理表現に同期して、この階段&通路が縦方向にスライドしたりして、観ている側をスリリングな気持ちに陥れる。

本当に不思議な空間、そして演出効果だ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele

トリスタンとイゾルデが「愛の薬」を飲み合う場面では、なぜか2人は薬を飲まずに捨て、薬に頼らなくても、お互い深い愛に満ちているかの如く、抱き合い、愛を確かめ合う。

ここも、原作とは一味違うスパイスを加えたカタリーナさんの演出効果なのだろうか?


じつは、この場面に限らず、数多くの部分で、原作とは違う解釈、登場人物のキャラクター設定などの妙を加えているのだが、それが決して破綻した内容ではなく、許容範囲でいい方向に作用しているように思えた。



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写真提供:Bayreuther Festspiele



第2幕のトリスタンとイゾルデの密会の場面、そして瀕死の重傷を負ったトリスタンが、イゾルデの幻影に想いを寄せ語り掛ける部分の第3幕とも、非常に簡素な舞台装置で、特に第3幕は、装置はいっさいなかった。闇の中で、写真のような投影技術をうまく使った光の三角錐の投射イメージの中に、イゾルデの幻影を映し出し、そこにトリスタンが語り掛ける。

バイロイト祝祭劇場は、ものすごい古い劇場なのだけれど、舞台装置や照明などのIT化は、近代的というか確実に進んでいて、いまの時代に合っている印象を受ける。特に第3幕での闇の中での、この光の投射効果は、とても美しくて印象的だった。

全3幕とも正直照明は、ほとんどないと言ってよく、闇の中で、そこに少ない光を巧みに使って効果を出していたようなそんな照明演出だった、ように思う。

イゾルデがかけつけると同時に絶命するトリスタン。
最大のヤマ場である「愛の死」をイゾルデが歌う。


抽象的で奇抜な演出が多いバイロイト演出の中では、演出、舞台装置、照明ともに、とてもシンプルな構成で、ある意味普通のオペラっぽいところが、とても自然でよかった。でも第1幕のようなバイロイトらしい、ちょっとした山椒のピリッと効いた仕掛けもあって、単に平凡で終わらないところが、自分にはカッコよい感じがして素晴らしい演出だと思った。

素直に感動できました。

カタリーナさんの狙いも深いところは、もちろん、もっとあるのだろうが、才能あると思います。(笑)(前回の演出のマイスタージンガーでは散々なブーイングだったようですが。。。)

バイロイトの聴衆は、かなり乱暴というか、はっきりと意思表示する、と思った。終演後の最初の歓声がブーだった。(笑)そして、その後、割れんばかりの大歓声、ブラボーと足踏み鳴らし。

ヨーロッパのオペラ聴衆は、いいものはいい、悪いものは悪いとはっきり意思表示する、と聴いてはいたが、オペラ鑑賞歴の浅い自分は、ブーを初めて聞いた。

どういう意味でのブーだったのかは、不明だが、その後の大歓声を聞くと、やや意味不明でもある。やっぱり品行方正の日本のオペラファンの聴衆とは、かなり温度感が違うと感じたところである。



歌手陣。 

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シュテファン・グールド(トリスタン)
写真提供:Bayreuther Festspiele

トリスタンのシュテファン・グールド。同役では自分のリファレンスであることを言ったが、本番の生を観てもやはりよかった。バイロイトで、自分の本懐を遂げられたと感じた。小柄ながら、いわゆる馬力型のヘンデルテノールなのかも。この人の実演は、近年では、東京・春・音楽祭でのN響ワーグナーの「タンホイザー」演奏会形式でも聴いた。ワーグナー歌手としては、もう脂が乗りきった人ですね。カーテンコールでは、出場歌手の中でダントツの大歓声、ブラボーを集めていました。 

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ペトラ・ランク(イゾルデ)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ある意味、泣かせる官能的な旋律である「愛と死」は、このイゾルデが担わないといけない、この楽劇では本当に決め処の役。十分その大役を演じ切り、歌い切ったと思った。声質も声量も十分。安定した歌唱力。ただ、煩い自分にとって(笑)、敢えて言えばもう一息、この楽劇で大切な「うねり」の感覚、ぐぅ~っと腹の底からホール内を圧するような馬力、粘着力というか”濃さ”みたいなものがもう少し欲しい感じがした。ニーナ・ステンメはヴィブラートが強い歌手ですが、その点が、イゾルデに関しては、自分を満足させてくれる歌手なのでした。


そしてティーレマン。 

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およそ4時間の長丁場、見事にオケをドライブしてコントロール下において、素晴らしいサウンドを醸し出していた。同音楽祭の音楽監督ということもあって、ワーグナー解釈の第1人者でもある、その実力を見事に発揮していたと思う。ティーレマンという指揮者は、よく独自解釈&独特のテンポ感、うねり感を持つ人で、それが聴いている人にとっては違和感を感じる場合が多いという話もよく遭遇するのだが、今宵に関しては、まったくそういうことを感じなかった。まさに王道のトリスタンとイゾルデだった。

カーテンコールに現れたときは、もう大変であった。歌手たちを遥かに凌ぐ大歓声、ブラボー、足踏み鳴らしでホールが揺れた。

バイロイトの聴衆はよくわかっていた。

ティーレマンが、ピットに入っていたオケを全員ステージにあげてのカーテンコール。
オケメンバーは、全員私服です。(笑)

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バイロイト音楽祭2016 「トリスタンとイゾルデ」

2016/8/13 16:00~ バイロイト祝祭劇場


指揮:クリスティアン・ティーレマン
演出:カテリーナ・ワーグナー
舞台:フランク・フィリップ・シュロスマン
   マティアス・リパート
衣装:トーマス・カイザー
演劇構成:ダニエル・ウェーバー
照明:ラインハルト・トラウプ
合唱指揮:エーベルハルト・フリードリッヒ

トリスタン:シュテファン・グールド
マルケ王:ゲオルグ・ツェッペンフェルト
イゾルデ:ペトラ・ランク
クルヴェナール:イアイン・ペイターソン
メロート:ライムント・ノルテ
ブランゲーネ:クリスタ・マイヤー
羊飼い:タンゼル・アクゼイベック
舵取り:カイ・スティーファーマン
牧童:タンゼル・アクゼイベック



バイロイト音楽祭 「神々の黄昏」 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト音楽祭で人生最初に鑑賞することになったのが、「ニュルンベルグの指環」の最終章の「神々の黄昏」。

事が決まって渡欧するまで、ほとんど時間がなかったので、予習素材としてDG/UNITELから出ている1980年のバイロイト音楽祭のDVDで1回さらっただけであった。

もともと指環(リング)って、神話のお話なのであるから、この予習素材は、それ相応の時代考証での舞台芸術、衣装で、好感の持てる、いわゆる保守的・伝統的な路線の演出だった。自分にとっては、とても受容的な演出だった。

オペラって、演出、舞台装置、衣装、演技、歌手の声などによる総合芸術と、よく言われるけれど、オペラを鑑賞するたびに都度思うのは、やはり演出の占める割合が、その公演の大部分の印象を決めてしまうんではないかな、ということ。

筋書は常に不変、そして作曲家ワーグナーがこの楽劇で何を伝えようとしたいのか、は固定で不変のはず。そして、なによりも音楽が不変。

でも演出家がそれをどのように表現して、あるいは読み替えたりして、どう舞台表現していくのか、の出来具合で、その作曲家の意図が歪めれられたり、観客にうまく伝わるのかが決まるのではないのか?とオペラ鑑賞歴の浅い自分でもそう感じてしまう。

今回の指環4部作の演出家は、フランク・カストルフ氏。

今回が新制作ではなく、3年前あたりから、ずっと同じ演出で毎年上演してきている。それを今年私は見た訳だ。



はっきり言おう!


カストルフ氏のリングのこの演出は、私には、全く理解不能で、「神々の黄昏」の筋書を、いま目の前で展開されている演出に、どのように解釈、結び付け、理解していくか、という頭の中の処理が、舞台進行のスピードについていけなかった。

こうやって帰国後に他人の感想を少し垣間見る感じで、はじめて、あぁそうだったのか?と理解する感じ。

3年前からずっとやっている演出なのだから、事前に情報を掴んでおくこともするべきだったかもしれないが、突然決まったことなので、そんな余裕はなかった。

ずいぶんと意味不明、理解不能でメチャメチャだなぁ、という印象で、悲しいかな、これが私のバイロイト演出の人生初の経験となった。

2,3年前のねずみのローエングリンでも、その最悪の演出ぶりが話題になったことは記憶に新しいので、やっぱりバイロイトの演出って一筋縄ではいかない、超難解・奇怪というのを、身をもって経験してしまった。

バイロイト演出は難しすぎる!

このカストルフ氏のリングの演出は、どうも私だけでなく、マスコミ、評論家あたりの評判もほぼ同様のようで、悪評にさらされているようだ。

ラインの黄金、ワルキューレ、ジークフリードなどは観ていないので、私が責任もっては言えないが、どうなのだろう?

毎年バイロイトに行かれている方であれば、この演出にも慣れて、どう読み替えられているのか、というツボがわかってその素晴らしさを評価できるのかもしれないが、人生初体験の自分には、あまりに荷が重すぎた。

時代考証は現代。舞台装置もかなり大がかりで、天井から白幕を吊るして投影したりもするのだが、その投影内容の画像も、なにかしら意味不明でどういうことを言いたのだろう?とまず考え込んでしまう。

過度の読み替え、抽象すぎて、何を表現したいのか?を常に観客に考えさせるような凝った演出なので、頭がそちらに集中しすぎて、歌手の歌声、演技、表現だとかのもう一つ大事なファクターに気が回らないのだ。


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


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写真提供:Bayreuther Festspiele


この日記で採用している写真は、バイロイト音楽祭の公式HPから正式に購入した写真で、著作権的にクリアされているものです。(HPの中の上のバーにあるFOTO ORDERから入っていて、写真を購入できます。過去の年度の音楽祭の写真も購入できます。)

バイロイト音楽祭公式HP
http://www.bayreuther-festspiele.de/english/english_156.html



第1幕と第2幕でのギービヒ家は、中央にケバブの売店がある。店内にはトルコの国旗とベルリンの熊のマークの旗が張られており、第2幕では一同がケバブを食べながら騒ぐ。

第3幕では、突然ニューヨークの証券取引所が出てきて、そのビルの前でラインの乙女たちが高級オープンカーの中で寝ており、(しかもラインの乙女はヤンキー女だし。)しかもそのクルマは1人の男をはねて重傷を負わせ、スクリーンではラインの女たちがその男の死体をトランクに詰め込む模様が写される。


ジークフリートが殺される前にラインの乙女のうちのひとりと、この車の上で情事に至る。

ハーゲンはジークフリートを背後から槍で刺すのではなく、金属バットで正面から殴り殺す。

ほんの一部を掻い摘んでいるにすぎないけれど、後出しじゃんけんで考えてみれば、その難解な解釈の真意がわからないでもない。でもリアルタイムには、あまりに自分の頭にある筋書のイメージと乖離しすぎて理解するには荷が重すぎた。

予習素材のDVDで見た1980年代の頃のような神話らしい時代考証の演出って、もうバイロイトでは復活することってないのだろうか?やはり現代の時代考証、そしてつねに一捻りある抽象的解釈優先なのだろうか?

でも歌手たちは、かなり善戦しているように自分には思われた。


特にカーテンコールで大歓声でブラボーで迎えられていたのは、ブリュンヒルデを歌ったキャサリン・フォスター。 

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キャサリン・フォスター(ブリュンヒルデ)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリート亡き後の独唱は、すざましい壮絶なものがあって、まさに場を圧するという感じで、その勢いのまま、カーテンコールでのブラボーを勝ち取ったと言っても過言ではなかった。 


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シュテファン・ヴィンケ(ジークフリート)
写真提供:Bayreuther Festspiele

ジークフリートを歌ったシュテファン・ヴィンケも安定した歌唱力で、主役の大役を堂々と歌い切った。 


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シュテファン・ミリンク(ハーゲン)
写真提供:Bayreuther Festspiele


「ワルキューレ」ではブリュンヒルデというヒロインが、「ジークフリート」ではタイトルロールであるヒーローが活躍する。この「神々の黄昏」では、じつは悪役のハーゲンがそれに相応したりする。

そんな大切な役を、見事に演じたのがシュテファン・ミリンクで、悪役にふさわしい見事な役への成りきりっぷりで、バスの魅力的な声が劇場を支配していた。 




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そしてなによりも、自分にとって、この公演の大きな目玉だったのが、指揮のマレク・ヤノフスキ。

自分の音楽人生にとって、なにかと縁の深い巨匠である。彼のバイロイト・デビューの現場に立ち会えることができた、というのが、自分にとって一番大きな収穫であった。

ヤノフスキのリングの演奏は、テンポが速いとの話もあるらしいが、現地で聴いた限り、自分的には、そう?という感じであった。(笑)

「音楽だけに集中して舞台装置による解釈なしにワーグナーの楽曲の音楽的な質の高さを観客に伝えること。」と、演奏会形式のスタイルにこだわり続けてきた巨匠にとって、今回のオペラ指揮には、本人の大きな決断もあったようだ。

BR-KLASSIKでのインタビューで、ヤノフスキは、思わず本音で、このように答えている。

「自分も77歳。この機会を断ったら、あの音響が独特のオーケストラピットを味わうことは二度とできない。私は弱くなったのです。後悔はしていません。」

カーテンコールでの歓声は、1番大きかった。

相変わらず、控えめな所作であるけれど、この割れんばかりの大歓声・ブラボー、そして床の踏み鳴らしに、なにか自分が褒められているかのように嬉しく涙が止まらなかった。自分は惜しみない拍手をずっと送り続けていた。

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バイロイト音楽祭2016 「神々の黄昏」

2016/8/12 16:00~ バイロイト祝祭劇場

指揮:マレク・ヤノフスキ
演出:フランク・カストルフ
舞台:アレクサンダー・デニック
衣装:アドリアーナ・ブラガ・ペレツキ
照明:ライナー・キャスパー
撮影:アンドレアス・ダイナート&イェンス・クルル
合唱指揮:エーベルハルト・フリードリッヒ

ジークフリート:シュテファン・ヴィンケ
ギュンター:マルクス・アイヒェ
アルベリヒ:アルベルト・ドーメン
ハーゲン:シュテファン・ミリンク
ブリュンヒルデ:キャサリン・フォスター
グートルーネ:アリソン・オークス
ヴァルトラウテ:マリナ・プルデンスカヤ
ノルン1:ヴィーブケ・レームクール
ノルン2:ステファニー・ハウツィール
ノルン3:クリスティアン・コール
ヴォークリンデ:アレクサンドラ・シュタイナー
ヴェルグンデ:ステファニー・ハウツィール
フロースヒルデ:ヴィーブケ・レームクール

合唱:バイロイト祝祭合唱団
管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.3 [海外音楽鑑賞旅行]

オペラハウスの音響学を考えるときに、単にステージ上の歌手の声が、客席に綺麗に聴こえるだとか、ピットのオーケストラの音が客席に豊潤に聴こえるだとか、いわゆる単に、対聴衆、対観客席という我々の目線だけで評価してはダメなのである。

オペラというのは、歌手とオーケストラとのブレンド&調和がとても大事なファクターで、歌手がオーケストラとうまく調和して歌うためには、透明でバランスの取れたオーケストラの音が歌手に聴こえないといけない。

これが実現すれば、歌手は自分の声量を適切に調節することができる。

一方、ピット内のオーケストラ奏者は他のパートの音が聴こえる必要があるし、また良好なアンサンブルを保つため、演奏者には歌手の声が聴こえる必要がある。さらに視覚的条件として、歌手と演奏者から指揮者が容易に見えることが当然のことなのである。

オーケストラ奏者と歌手にとって、お互いの音が聴こえることは、お互いに見えることよりも重要なことなのである。

我々聴衆に音を送り届ける前に、まず、歌手の声はピットに、そしてオーケストラの音を舞台に返す、という前提があること。

こういうキャッチボールが内々的に必要なのも、やはりオペラハウスの音響学の難しさなのかもしれない。

単にステージ上の音を観客席に隈なく送り届ける仕組みだけに執心すればいいコンサートホールよりも、ずっと難易度が難しいところなのだと思う。

オペラハウスのピットの形状には、つぎの大きく二つのタイプに大別される。

①開放型ピット

ごく一般のオペラハウスのピットは、みんなこのタイプ。ステージの前方にオケのエリアがあり、ある程度の深さはあるものの、観客席からは、オケの姿は見えるし、ステージ上の歌手からも視認性がいい。敷居で囲まれているとはいえ、オケのサウンドはピットから上空のほうへ伝わり、ステージ、観客席に拡がっていく。まさに開放型である。

②沈み込んだ閉鎖型ピット

これは、まさにバイロイト祝祭劇場のピットのことを言っていて、ある意味、開放型ピットのアンチテーゼとも言える。いま、これから体験するのは、こちらのピットのことで、自分はバイロイト祝祭劇場を語るときは、このピットの特殊性がとても、このオペラハウスをユニークな存在にしているのではないか、と思うほどなのだ。

バイロイト祝祭劇場のピットは、ピットの半分くらいが、ステージ舞台の真下に埋め込まれた感じの状態になっていて、残りの半分のエリアがステージの外側に出ているとはいえ、その残りのエリアの上部は天蓋によってほぼ全面が覆われている。つまりフタが締められているのだ。そしてステージとその天蓋との間にスリットが入っていて、そのスリットからオケの音が絞り出されてくる仕組みなのだ。オーディオファン、オーディオマニアからするとどうなの?これって。(笑)


ワーグナーのオペラの場合、少なくとも彼の晩年の作品については、「見えない」オーケストラによる「神秘的」な音の創造が、作曲者の劇的な構想における重要な要素となっていて、この要件によってワーグナーは、沈み込んだ天蓋に覆われたピットを考案したのである。

自分がバイロイトを経験するとなったときに一番体験してみたかったのは、こういうピットスタイルでのオケのサウンドがどう聴こえるのか、ということが最大の関心事だった。他人の聴感レビューはあまり耳を傾けないふだんの自分にとって、ここは、自分の耳で直に確認してみたかった。

まず、前回のNr.2の日記で記載したように、ここのピットの写真を自分のデジカメで絶対撮影したかった自分は、苦心の末成功した。

それが、この写真である。

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自分の一生の宝物である。バイロイトに行った!という自分の証でもある。

世界中のコンサートホール&オペラハウスを探訪する者にとって、やはり他人の写真を拝借するのはいやなものだ。(たとえ、それがプロの写真家の撮影したものでも。。。)自分のカメラで撮影することで、初めて、そのホールへの征服感というのが達成される想いなのだ。

よく見るとオケの団員達の服装は、みんな私服である。(笑)やはり観客から見えない、さらに夏のシーズンということもあって、みんな私服なのだと思う。

この写真を見ると、いままでの説明が納得いくように、スリットが入っていて、そこからオケのサウンドがでてくる、というのが理解できるであろう。

それじゃ、一部がステージ舞台の下のほうに埋め込まれていて、残りのエリアが外に出ていて、そこは天蓋に覆われている、というのは、この写真だけでは、ちょっとまだ理解しずらいところがあって、もう少し解説にトライしてみたい。

ここからは、バイロイト音楽祭のFB公式ページの写真をお借りしたいと思います。

この写真が、ステージ側から観客席の方向に向かって、スリットを通して、ピットを撮影したものである。

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真ん中に指揮台の椅子があって、その前に、プルト・譜面台と団員の座る椅子が並んでいるのが分かる。つまり、オペラ指揮者は、この方向を向いて指揮していて、やはりスリットの中から、ステージ上を覗き込んで、オペラ歌手の動きを観ながら指揮しているのが納得いく感じだ。

やっぱりオペラの指揮は、オケと歌手との調和で、それを誘っているのが指揮者の仕事なんです。これはバイロイトでも変わらないポリシー。

次の写真が、その全く反対で、観客席からステージの方向に向かって、スリットの中を覗いて撮影した写真である。

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これを見ると、指揮者のいる床から、階段状になっていて、どんどん下の方向に深く下がっているのがわかる。

つまりふつうのオーケストラの配置で考えると、一番前に弦楽器群(弦5部)、そして真ん中に木管楽器群、そして奥に金管楽器、打楽器群となると、指揮者の手前の弦楽器奏者が、一番高いところに居て、木管、金管、打楽器となっていく順番で、階段状で下に深く潜り込んでいく感じなのである。

古い写真で申し訳ないが、バイロイト・ピットで演奏しているオケは、まさに、こんな感じで演奏しているのである。(写真のクレジットを見ると、なんと指揮者がワーグナーの長男のジークフリート・ワーグナー氏で、バイロイト祝祭管弦楽団の演奏風景のようである。)


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よくバイロイト・サウンドは、弦楽器はとてもパワフルに聴こえるのだけれど、金管群が遠く感じるとか、というレビューをよく読んだことがあって、それを読んだとき、このピットスタイルで演奏しているなら、それも当然だよな、と思うところがあった。



自分は渡欧前に、イメージしていたサウンドは、ステージ上の歌手の声は直接音、オーケストラは間接音を聴いている感じというものだった。間接音なので、直接音に比べると、あちこちで反射した後で、音のエネルギー感がかなり減衰している感じで、明瞭さに欠けるというイメージだった。

そしてなによりも、間接音であるならば、歌手の声、動きに対して、時間的、位相的にディレイ(遅れ)があって、観客席から観ていて、同期していないんではないか、と考えたことだった。

でも実際聴いてみた印象は、自分の理論はあれこれ考え過ぎの、空回りのところがあって、観客席でオペラを鑑賞しているというシチュエーションをからすると、なんら違和感はない、素晴らしいものだった。(かなり安堵した。)

ちょっと肩すかしを喰らった感じでもある。

まず、ステージ上の歌手の直接音。これは非常によくホール内を通る声で、よく伸びていた。

最上階席にいても、かなり明瞭に聴こえたので、声の通りは非常にいいホールだと思う。

そしてオケのサウンドも、とてもこういう構造のピット、スリットから絞り出されている音とは思えない極めて通常のサウンドだったように思えた。

なぜか、をここで理論的に説明するのは、ちょっと不可能。たとえば、こんなピットなら、すぐ思い出すのは、籠った感じの音に聴こえるとか、というイメージがつきまとうが、そうでないのだ。本当に、本当にごく普通の音。

まぁ、ある意味、ホール内を音が廻るぐらいか、というとさすがにそうでもなく、ステージ周りでのみ音が鳴っているという感覚は確かにある。でも、このピット構造なら、それは当たり前ではないだろうか?

ホールの響き自体も、極めてニュートラル(中庸)に近いレベルだけど、ほんのりとライブ気味寄りかな、というレベルと感じた。音質自体は比較的柔らかいウォーム系の音ですね。

でも自分が一番慄いたのは、ピットのオケが見えない状態で、ステージのどこから音が鳴っているのかわからない状態、観客席から見えない状態で、伴奏のオケが鳴っていることの、何とも言えない不気味さ。

ステージで歌手たちが歌っているときに、鳴っている伴奏が、どこから聴こえているのか、わからない、演奏している場面が見えない、なんとも言えない不気味さ、というのを感じて、これが、バイロイトの醍醐味、そしてワーグナーが目指していたところではないのかな、と思ったことだった。

素晴らしい体験だった!

以上3部に分けての大特集の体験記であったが、いかがであろうか?
バイロイト祝祭劇場のミステリアスな部分、特殊性が伝われば幸いである。

死ぬ前に、もう一回くらいバイロイト詣をしよう、と心から思っている。


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.2 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場で、最初に初演されたのが、1876年の「ニュルンベルクの指環」、いわゆる指環(リング)である。そして、つぎのパルジファルが初演され、その翌年には、ワーグナーはこの世を去ってしまう。

結局、ワーグナー自身が、この劇場で自分の作品を上演したのは、指環とパルジファルの2作品だけなのである。

後は、妻コジマ、そして息子のジークフリート。そしてジークフリートの未亡人、ヴィニフレート、そしてその息子たちであるヴィンラード&ヴォルフガングの兄弟がこの音楽祭の運営にあたり、残りのワーグナー作品も上映され、子孫代々、引き継がれながら、この音楽祭は運営されてきたのである。

現在は、御大ワーグナーのひ孫で、前総監督のウォルフガンク・ワーグナーの娘であるカタリーナ・ワーグナーさんが総支配人・総監督である。 

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いま現在のバイロイト音楽祭の運営は、支配人として、このカタリーナ・ワーグナーさん、そして音楽監督として、クリスティアン・ティーレマンのタッグで、運営されているのだ。

ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているとのことなのだが、はたしてどのようなオペラハウスなのか?

とにかく普通のオペラハウスとは、かなり趣が違う非常にユニークな構造なので、自分が実際内部に入って、そのありようを見てくるのは、大変勇気が要り、興奮することでもあった。

バイロイト祝祭劇場の入り口は、左右にある入り口から入る。劇場の真正面についている扉は、開かずの扉である。

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今年はヨーロッパで多発しているテロに対する厳戒態勢下ということで、事前にカタリーナ・ワーグナーさん署名の通知文が発せられており、身分証明するためのパスポート持参、カバンの持ち込み禁止(携帯用であればよい。)、座布団持ち込み禁止、液体状物質の持ち込み禁止、そして検査のために最低でも1時間前には劇場に着くように、のお達しがあった。

実際は、そこまでの検査はなかったが、ただ、ホワイエには、それは驚くほどのおびただしい警備員がいたことは確かだった。

まず、この左右の入り口に入るときにチケットを見せて、入場する。そしてホールの中に入るには、さらにたくさんのゲートがあり、そのゲートには、必ず係員がいるのである。

バイロイトのチケットは、昔は記名制といって、チケットに購入者の名前がついていて、そのチケットと入場する人が同じという条件下があったこともあったらしいが、いまは、その記名制はなく、基本はチケットについているバーコードで管理されている。

その扉に立っている女性の係員は、バーコードリーダーを持っていて、それでチケットをスキャンする。

チケットの座席に応じて、入るべきゲートが決まっており、バーコードをスキャンするので、自分のチケットにあったゲートしか入場できない仕組みなのだ。

だから、違うゲートから入ってみて、ホールの内装写真を撮影してみたい、という不届き者にとっては、まったく実行不可能な仕組みなのだ。だから最前列に行きたかったなら、その最前列のチケットに当選するしかないのである。

だったら、自分のゲートから入って、ホール内を自由に動き回ればいいのではないの?という考えもあったが、これも無残にもその夢は打ち砕かれた。これについては、また後述する。

まず、ホール内部のホワイエの様子から。

音楽祭の祝祭劇場って大体このような形式になっている。これはザルツブルク祝祭大劇場でもまったく同じだな、と感じたところであった。

それは、ホールへのゲートは、原則両端左右にあって、真ん中に相当するエリアは、クロークと申し訳なさそうなホワイエ空間という感じである。

右側のゲート。
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左側のゲート。
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ホールに入るゲートは、この1階の他に、階段を上っていって上階から入るような箇所がある。

真ん中に相当するエリアのホワイエ空間。ちょっと薄暗い感じの空間などなのだが、ブラウンを基調とした、とてもシックな造りになっていて雰囲気がかなりある。そしてホワイエの奥には、クロークがある。

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そして、ホール開場とともに、ホールに入る。

自分は初日の神々の黄昏は、最上階席でとても残念賞の座席、そして2日目のトリスタンとイゾルデは平土間最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えることのできる最高のポジションの座席であった。

幕間ブレークの時に、中にいる観客を全員外に追い出して、中を完全の空席ホールにしてしまい、扉には鍵をかけてしまうのであるが、初日の日、偶然にも、中の観客を追い出した後の空席状態のホールで、たまたまひとつの扉がふっと開いていて、私は吸い込まれるように、そろ~っと寄って思わず写真をパチリ。

まさにホール愛に満ちている自分のために、音楽の神様が自分にプレゼントしてくれたようなショットが撮れたのだ。


これが、まさにこのショット。

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これがバイロイト祝祭劇場の内装空間。

ホールの形状は、いわゆる扇型。ところが両端の側壁はおたがい平行なのである。

その両端の側壁には、ギリシャ神殿を思い出させる柱が取り付けられていて、ホール側に突き出た感じになっている。天井は平坦であるが、ギリシャ円形劇場を覆う巨大の天幕のごとく、後方から前方に向かって、天井が上昇しているように感じる。

ご覧のように、ホールの大半が1階席平土間で、その特徴は、前方から後方に至るまで、もの凄い傾斜が大きいことだ。

傾斜した床から天井までの高さは、かなり高いと感じ、そのおかげで、残響時間も比較的長い。(資料スペックには、残響時間1.55秒だとある。)これはロマン派のワーグナー音楽には、極めて好適である、といえる。

内装の仕上げは、主にプラスターで、レンガまたは木の下地の上に施工されている。天井面は水平で、これも木の上にプラスター塗り。

まぁ、ざっくり見た感じでは、正直いうとウィーン楽友協会や他のヨーロッパのコンサートホール&オペラハウスに見られるような、建築当時は、そういう概念があったかどうかは不明であるが、いま考えてみると、素晴らしい音響を生み出している要素がいっぱい散りばめられている、ある種のミステリーみたいなものは正直インスピレーションは湧いてこなかった。

とにかく、このホールに入ってみて1番驚いたのは、その客席構造。

上の写真を見てもらえばわかるように、縦のライン(通路)がまったくないのだ!

入り口は、両端左右の入り口固定。いったん中に入ってしまうと、ホールの中を縦移動して、前後に移動するということが全く不可能な構造なのだ。ホールの中を自由に動けないのだ。

これには心底驚いた。

1階席は前方から後方に至るまで傾斜が大きくて、ホール内は縦移動ができない構造なので、それぞれの高さに横からのゲートがあってまったく固定なのである。

各ゲートには常に係員がいて、チケットを確認するので、外から自分の好きな列に入ってみたいというのは、正規のルートでは無理なのある。


つまり最前列付近の座席に近寄れる人、そこに行けるのは、
そのチケットを持っているだけの人の特権という感じ。

これは正直ショックは大きかった。ホールマニアの自分にとって、このホールの内装写真を撮るなら、最前列の前方から後方を撮るアングルが欲しいと思っていたのと、あと最大の関心事として、バイロイト独特のピットの写真を撮ってみたい、と思ったからである。これを実行するには、最前列に行かないといけない。

志半ばで倒れるか!


初日は、最上階席だったので、もう完全諦めなのであるが、2日目のトリスタンとイゾルデは、最初チケットの番号と、ホワイエでのゲートの位置を確認すると、なんとゲートは、階段を何階も昇って行かないといけない、ことが判明。

この時点で、平土間1階席ではない、とあきらめの境地。

でもいざホールに入場してみると、なんと平土間の最後尾列であることが瞬時に分かったのだ。

そのとき、自分が、渡欧前にずっとイメージしていたのと、この縦のライン(通路)がまったくないホールでの唯一のウィークポイントは。。。それは一番両端左右のところは、絶対通路がついているはず、だと想像していたことなのだ。

つまりいくらなんでも、全部横側にはめ殺しの通路ではなく、一番両端は縦のラインが必ずあるはず。

想像が当たっていた。入場した瞬間、平土間だとわかった瞬間、すぐに一番端を伝って、最前列に出ようとする。

確かに通路はあるが、かなり細いし、中には列によって、まったく通路が塞がれている列もあった。

もうそういう場合は、座席をまたぐしかないのである。だから細い通路を伝わりながら、ときによっては塞いでいる座席をまたぎ、を連続して、なんと最前列に躍り出ることが出来たのだ!

もう息をきらしながら大感動。念願のピットの撮影ができたことは次回お話しするが、待望の最前列から、ホール後方に向けてのアングルを撮影することが出来た。


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最前列の中央から、ホール後方を臨んだアングル。

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天井

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トリスタンとイゾルデでは、平土間の最後尾列で、ステージをど真ん中に見据えるという最高のポジションであった。

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こうしてみると、バイロイト祝祭劇場のステージの開口率は、それほど大きいという感じでもなかった。ごくアベレージ付近で、どちらかというと小さめな感じもする。

なにせ、ワーグナーの作品しか上映しないし、原語上映が原則で、字幕掲示板などもいっさいない。



バイロイト祝祭劇場と言えば、話題になるのが、ワーグナーが長時間オペラのために眠らせないようにするために考案したという固い椅子。

最上階席での座席はこんな感じ。ケツ痛いです。(>_<)
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平土間の椅子になると、もう少し改善されていて、座るところがクッション性のものがついていたりするのだが、それでも近代のホールからするとたかがしれたもの。

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長時間固い椅子に座っているとお尻が痛くなるばかりか、腰にきたりするのだ。


バイロイト祝祭劇場で、もうひとつ驚いたことに、終演後のカーテンコールの絶大のブラボー歓声と同時に、床をドカドカ踏んで、ブラボーの意思表示をすること。これはじつにすごい音で驚いた。

床を見てみると、古いホールだから木で出来ているのだ。

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これじゃあ、ドカドカ鳴るよな。(笑)

近代の最新ホールじゃ、こんなに鳴らないですよ。彼らは、ここでは床を踏めばデカイ、ドカドカした音がするということを経験上知っているんですよ。だからブラボーの意志表示も木の床でドカドカ鳴ることが伝統で受け継がれている方法なんだと思いました。


初日の座席は、最上階席であった。こんな感じの狭いボックス的なところに押し込まれたような印象だった。よく見ると、観客の服装もカジュアルな人も結構多く、比較的低価格帯の座席なのかな、とも思った。

この最上階席から撮ったホールの内装もアップしておく。

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なんとも、こともあろうか、初日の神々の黄昏の時の座席は、こんな座席であった。(爆笑)

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柱で、舞台が見切れている座席であった。
どうりで簡単に入手できる座席だと思った。

ヨーロッパではこういう座席が普通に存在したりするのだ。つまり他の座席と比較して、極端に値段が安い座席であったり、簡単に手に入ったりするのは、やっぱり甘い話には、罠・毒があるのだという証拠であったりする。

私は、まだ右半分見えるから、まだマシなほうであるが、私の左のおばさんは、もっと最悪である。まったくステージが見えないからである。結局、他のお客さんの勧めで、空席の空いているところに移動して事なきを得ましたが。

このように死角となるデッドエリアというのは、ヨーロッパのコンサートホールでは平気で存在したりする。自分が提案するには、ホール主催側は、自分のホールのデッドエリアを認識して、この座席のチケットは販売しないようにする配慮が必要だと思うのだ。

でも値段を極端に安くしているということは、自分たちでもきちんと認識している、という証でもあるのだが。。。

空調は、悪くて蒸し暑いという定説がずっと、このホールにはあるのだが、自分はまったくそんな感じはしなかった。非常に快適であった。なによりも、私がいた滞在期間は、ものすごい極寒の気候であったのでちょうど良かったのかもしれない。

とにかく、一番驚いた縦のライン(通路)がまったくない座席構造。お客さんは、両端の左右のゲートから入場するしかないので、先に入ったお客さんは、すぐに座らないで、ずっとスタンディングのままで、待っているのも、この特殊の座席構造所以のバイロイト・マナーなのかもしれない。

このような感じ。(最上階席でのひとこま)
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とにかく、憧れのバイロイト祝祭劇場の内装空間を体験出来て、感動すること、一生の思い出になった。

そして、ついに最終章は、このオペラハウスの最大の関心事の独特のピットと、そしてオペラハウスの音響について言及します。


体験!バイロイト祝祭劇場 Nr.1 [海外音楽鑑賞旅行]

バイロイト祝祭劇場は、おそらく世界で最も特異なオペラハウスである。

そのユニークな設計思想は、作曲家ワーグナーが、オペラがいかに見え、いかに聴こえるべきか、という命題に対する彼の理想、考え方が盛り込まれているといえる。

バイロイト音楽祭は、ご存知、抽選式の音楽祭で(現在ではインターネットでも買えるようだが。)それにしても応募してから7年くらい経過しないと(この間事務局側は、この人は何年応募してきているのかを、きちんとカウントしている。)当選できない大変チケット入手が困難な音楽祭なのだ。

最近では、NHKでも生放送される機会も多いのだが、やはり祝祭劇場を含め、いまだにつまびらかにされていないという事情もあって、ミステリアスな雰囲気が、たくさんある音楽祭でもある。

ワグネリアンとまではいかなくても、ワーグナーのオペラをずっと愛してきた者にとっては、ぜひ訪問してみたい聖地であった。

バイロイト祝祭劇場は、バイロイト中央駅(Bayreuth Hbf)から徒歩15分位ずっと歩いていくと、丘の上にそびえ立っている。

自分のホテルは、中央駅から結構離れているので、行きは結構タクシーを使ったりしたが、それでも終演後(夜22時位)の足はまったくないので、祝祭劇場から中央駅まで、みんな徒歩で降りてきて、結局ホテルには徒歩で帰還したりした。

丘の上に立っているバイロイト祝祭劇場が目に飛び込んできたときのあの心臓がバクバクと鼓動する感じは、いまだに忘れることはできないだろう。

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左の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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右の横のほうから祝祭劇場を臨んだアングル。

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幕間からの開演15分前に、この場所からファンファーレがおこなわれる。 (次幕が始まるので、座席に戻ってください、という意味の儀式。)

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祝祭劇場自体は、丘の上に立っている感じなので、その丘から下のほうを眺めるとこんな感じで、道路がまっすぐ中央駅に向かっている。

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 祝祭劇場の前は、それなりのスペースの広場になっていて、ここで紳士・淑女らが、歓談などをするのだ。

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ここの劇場前の広場にも、このようにきちんと広場の名前”ヴォルフガング・ワーグナー広場”と名付けられていたりする。

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祝祭劇場は、高いところにあるので、劇場の前のこの広場から階段で降りてきたところに、休憩のベンチがあって、自分は、ここでずっと休んでいた。目の前にバイロイト音楽祭の説明についてのパネリングがあった。

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そして、祝祭劇場の丘、そしてこの休憩用のベンチを少し降りたところの前庭には、ワーグナーの頭像がある。

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ここには、おそらくであるが、バイロイト音楽祭で名を馳せた往年のワーグナー歌手のプロフィールなどが、パネリングされているのだ。

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祝祭劇場の右横には、大きなビアレストランが全部で2棟ある。そのうち1棟は、2階立てなので、フロアとしては、室内では3フロアあることになる。

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ここは、幕間ブレイクのときに、観客がいっせいに集まって、ビール、食事などの軽食をする場所なのだ。

なにせ、祝祭劇場は、幕間ブレイクのときは、ホールの中の観客を全部追い出して、中を完全な空席ホールにして、そして扉に鍵をかけてしまい、中に入れないようにしてしまうのだ。(笑)

したがって、ホール内の観客は、ブレイクのときは、全員外に出ないといけない訳で、行き場所としては、この2棟3フロアあるビアレストランの室内か、残りの人は、みんな外で立食休憩という感じなのである。


開演1時間前近くになると、ぞくぞくと紳士・淑女たちがどんどん集まってくる。

久し振りのフォーマルな音楽祭への参加。男性なら燕尾服、タキシード、女性ならドレスなどの正装、その威圧感・存在感は間近で見ていて相当迫力があった。小柄な東洋人、日本人では出せないような大人の雰囲気と言うか、あのオーラは我々には無理だな、と思うことしきり。

また動作もおおらか、ゆったりしていて、小回りの利いてなにかカチャカチャしている我々と違って、やはり根本的に雰囲気・オーラが別世界。

客層は、身だしなみ、外観の雰囲気から、やはり上級階層の方が多いように思われ、年齢層も、かなり高いように見受けられた。バイロイト音楽祭に行けるような方は、やはりワーグナー協会会員であったり、それなりのステータスの方も多いのだろう。

それでは、音楽祭開始前に祝祭劇場の前に集まった紳士・淑女たち、そして幕間ブレイクの様子をじっくりと見てもらい、バイロイト音楽祭の雰囲気を味わってもらおう。

顔が映ってしまっており、肖像権の問題もあるが、顔を映さないように撮るのは不可能であり、外国の方ということもあって、仕方がないのではないか、と思い、掲載します。

やはり音楽祭の雰囲気を伝えるには、このショットはどうしても必要です。

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2016年の海外音楽鑑賞旅行は、バイロイト→ベルギー→ロンドン。 [海外音楽鑑賞旅行]

2016年度も海外音楽鑑賞旅行を実行することになりました。
8/11~8/22まで、バイロイト、ベルギー、ロンドンの3都市を周遊してまいりました。

本来ですと、今年は海外旅行は充電と去年のパリでのトラブルも心の傷が癒えないことから、お休みの予定でしたが、お盆休みの3週間前のある日、突然、神降臨です。(笑)

深夜に突然思いつき、どんどん妄想モードで、あっという間に旅行計画書を作成して、翌日には旅行会社に相談して、実行に進めている自分がいたのです。

やはり音楽の神様は、自分を守ってくれたのか、わずか3週間前で、どこも音楽祭シーズンで、予約満席とも思われる中、エアー、ホテル、鉄道、そして完売プレミアのコンサートチケットも続々と決まってくれる嬉しさ。

そして、結果として、テロ、スリなどのトラブルはいっさいなく、万事計画通りの素晴らしい夏の音楽祭シーズンをヨーロッパで過ごすことができたのです。

今回の発案のきっかけは、バイロイト音楽祭でした。

応募し続けて7年くらい経過しないと当選しない困難を極める抽選式の夏の音楽祭で、これがひょんなことからチケットを入手することができたのです。

ここから自分の大妄想は、始まりました。

バイロイト音楽祭だけでは。。。ということで、他の夏の音楽祭も模索してみました。

いろいろ考える中で、今年は、自分が前職時代にヨーロッパに赴任して生活していた空間のロンドンとベルギーを訪問してみようと考えたのです。

正直言いますと、ロンドンとベルギーはクラシックという分野から見ると、どうしてもクラシックの盛んな国とは言えず、でも、自分の生涯の中で、死ぬ前に、もう一回は、ロンドンとベルギーを訪れてみたいという気持ちもある。

自分が生活していた空間の景観、そして空気を吸いたい、という気持ち。

そうするとクラシックという切り口で考えてみると、コンサートホール&オペラハウス、そしてコンテンツを基準で選んでいては、この2か国はどうしても後回しになって、いつ行けるかわからない。

行くなら、今年しかないと思ったのです。

それで、ロンドンでの夏の音楽祭ということで、BBC Promsとグラインドボーン音楽祭を選択したのです。

ベルギーは、じつは、世界遺産グランプラスで2年に1回開催されるフラワーカーペットのイベントが今年あり、それも今年は、日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたり、花絨毯の模様は、日本をテーマにした「花鳥風月」のデザイン(日本人デザイナー鈴木不二絵さんのデザイン)ということで、ぜひ日本人として、ぜひ現地に、直接観に行きたいと思っていたところでした。

もう音楽とかいっさい抜きです。

じつは1994年にベルギーに住んでいたときに、このフラワーカーペットを体験したことがあるのです。それから25年経過したいま、日本をテーマにした花絨毯、日本人ならぜひ体験したいと思っていました。

ベルギーは、音楽抜きで、このフラワーカーペットが目標でした。

このような旅行をしてまいりました。

それではイベント分野ごとに簡単に感想を述べていくことにします。


● バイロイト音楽祭

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まさしくワーグナーの聖地、バイロイト。簡単には入手できないチケット。このバイロイトの街に入ったときの緊張感。そしてバイロイト祝祭劇場を目の前にした時の感銘は、一生忘れ得ないでしょう。いまでも、心臓がバクバクしていたのを思い出します。

ホールマニアの自分としては、バイロイト祝祭劇場の内装空間や、特に他のオペラハウスとはかなり違う形式のピットに大変興味を持っていて、これを一目見たいと思っていました。またこの異様な形をしているピットから出てくるオケのサウンドはどんなものなのか?が最大の関心事でした。

ところが、このホールが他には例を見ない、かなり特殊な構造になっていて、この課題は大変困難をみることになったのです。

演目は、「神々の黄昏」と「トリスタンとイゾルデ」の2公演を観ました。前者がヤノフスキ、後者がティーレマンが指揮です。ワーグナーに関しては、ヤノフスキとは、自分の音楽人生にとって、ずっと縁のある巨匠で、彼のバイロイト・デビューを現地でじかに観れたことは、大変感慨深いものがありました。一生の想い出になることは間違いないでしょう。


● ベルギー・フラワーカーペット2016

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日本&ベルギー友好150周年の記念イヤーにあたる今年。フラワーカーペットの絨毯模様は、ペゴニアの花などを駆使して、日本を代表する「花鳥風月」のデザインで飾られたのです。

昼間はもちろん、夜のライトニングされた絨毯模様も、夜の闇の中にくっきり浮かび上がるような感じで、感動も一塩でした。

自分は最終日の8/15に閲覧したのですが、天気も快晴ということで、グランプラスはもう大変な人混みで、まだ、あまり人のいない早朝に花絨毯を写真に収めておいて、本当によかったと思いました。

あまり市街の大きな散策はせずに、ずっとグランプラス周辺、そしてグランプラスにずっと居たというのが実情でした。

● BBC Proms

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夏の音楽祭としては、最大規模のイギリス・ロンドンでおこなわれる音楽祭。ロイヤル・アルバート・ホールに初見参してきました。いわゆるドーム型ですので、生音主義の直接音&間接音のクラシック専門ホールとは違い、PA主導型のサウンドになります。客層もとてもカジュアルで、コンサート自体がとてもリラックスできて、カジュアルな音楽祭という印象を持ちました。こういうクラシックがあってもいいですね。

ここでは、アルゲリッチ&バレンボイムで、ウェスト・イースタンディヴァン管弦楽団で聴きました。アルゲリッチのリストのピアノ協奏曲以外は、ここでも、アンコール含め、全部ワーグナーづくし。(笑)今年の夏は、ワーグナーに浸りなさいという神のお告げなのですね。

● グラインドボーン音楽祭

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ロンドンの郊外で開かれる超セレブなオペラ・フェスティバル。

男性は燕尾服、タキシード、女性はドレスのフォーマル着用のドレスコード。とにかくイギリスの貴族社会風な雰囲気で超セレブ。ロケーションが、イギリスの田園地帯の緑の自然の中にあって、素晴らしい景観の中で、オペラを楽しむという趣旨の音楽祭であることが特徴になります。

地の利が悪くて、ロンドンから鉄道で1時間、そこからさらに送迎バスで、かなりアクセスが大変。

この音楽祭、じつは一番の売りは、本番のオペラというより、幕間ブレイクにあるピクニック・ディナーにあるのです。休憩になると、ホールの前一面に広がる草原の中で、テーブルをセットして、ポーターさんに食事の用意をしてもらって、その大自然の中で野外ディナーを楽しむ。 草原にはときどき羊が放牧されていることもあり、まさに素晴らしい景観の中でピクニック・ディナーを楽しめる、というところにこの音楽祭の大きな特徴、楽しみ方があるようです。

ところが、この日は、早朝からあいにく強い雨に降られ、ピクニック・ディナーの時には、雨は止んでいたのですが、主催側の判断で、大半は、室内でディナーを取る、という方針に変更されていました。

楽しみにしていただけに、本当に残念です。

それでも草原でディナーを取られている方も数名いらっしゃいました。

この日は、今回の旅行の最終日ということで、疲労が相当溜まっていてピークに達していた状態でした。自分でも最悪のコンディションで、オペラ鑑賞にも少なからず影響があったことは否めません。


大枠は、こんな感じの旅行でした。

これ以外に、街の散策など、オフの過ごし方も日記にしていきたいと思います。

それでは、これから個別に詳細に連載をしていきます。

しばらくお付き合いください。

またこの場を借りて、今回の旅行のセットアップに万全を期してくれた、旅行会社のスタッフの方には、本当に感謝する次第であります。この場で厚く御礼を申し上げます。


のだめコンサート.....祝・東京初上陸。 [国内クラシックコンサート・レビュー]

渡欧は、元々なかった企画なので、以前から入れていた企画があって、それと重なって、いまは超多忙。おそらく渡欧前の自分的に最大イベントなのが、この「のだめコンサート」。

ある意味、盛り上がるうえでもいいタイミングになった。

前回、はじめての体験と言うことで、愛知県の春日井市まで遠征してきた。

その結果は、日記にした通り、素晴らしいコンサートで、いままでに体験したことがない感動だった。

自分が、いいと思ったのは、とてもアットホームな雰囲気であること。
普段行っているクラシックコンサートとは、全然雰囲気が違う。

まず客層がとても若い。女性が多い。MCが入りながらの進行なのだが、とても暖かい、手作り感満載というか、心がこもっているコンサートの造りと進行で、客席にいて、ほんわか、する感じなのだ。

ステージの演奏者と観客の距離感がすごい近いですよね。

こういうコンサートは、ちょっといままでに経験ないなーという感じで、とても新鮮だった。
もちろん技術的なレベルも高い。だから、とても不思議な感覚のコンサートなのだ。

NHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さんが、かすがい市民文化財団のメンバーと発起して、企画、運営しているプロジェクトなのだが(詳細な経緯は前回の日記で詳しく説明したと思います。)、今年で10周年記念となる活動なのだ。

セントラル愛知交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団と、春日井はもちろん全国を行脚するという活動も軌道に乗っているみたいで、集客も満員御礼が常、と地道に基盤を作っている。

自分は、前回初体験で、いままでの歴史というのを知らなかったのだが、なんと、今回の東京公演は、のだめコンサートの「東京初進出」なのだそうだ!

その東京初公演は、調布市グリーンホールで開催される。
もう、この日のために、ゲゲゲのまち、ゴローさんのまち、である調布を取材してきたんだから。(笑)

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東京が初進出ってちょっと意外?とも思ったが、これを機会にうまく軌道に乗って、これから東京公演も定期的にやってくれるといいな、と思ってしまう。必ず通わせてもらいますよ。(笑)

今回の記念すべき東京初公演が、これがちょっと特別なのだ!

オーケストラ編成が、「のだめスペシャルオーケストラ」と題して、この1夜限りの特別編成オケで、なんとほとんどN響メンバーで占められる(新日本フィル、メンバーもいらっしゃいます。)超豪華編成なのだ。

こういうときに一堂に集まってくれる、というのも茂木さんの普段の仲間からの信望がいかに厚いか、ということを、示しているのでは、と思う。 
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茂木大輔さん

独奏ソリストは、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番で、前回に引き続き、高橋多佳子さん、モーツァルト オーボエ協奏曲に、これまた驚きのN響オーボエの池田昭子さん(じつは隠れ大ファンです。(^^))、そしてメインディッシュにブラームスの交響曲第1番。 
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高橋多佳子さん(C) Akira Muto

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池田昭子さん

なんと贅沢なんだろう!のだめコンサートに、この布陣!を知ったとき、ホントに驚きました。
東京初公演にかける心意気がよく伝わってくる。

このイベントに関して、いろいろな取材を受けてきたみたいだが、ピアノ雑誌:月刊ショパンでのインタビューを読みたく、買ってみた。

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たぶん、自分にはあまり普段、縁がないと思われる雑誌。(笑)でも新鋭などピアニストの情報がいろいろ掲載されていて、面白く拝読させてもらった。

茂木大輔さん×高橋多佳子さんのインタビュー。
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高橋さんは、前回も紹介した通り、1990年に、あのショパンコンクールで第5位入賞という輝かしい経歴を持ち、現在も第1線の現役ピアニストとしてコンサート、録音などで活躍されている。桐朋学園大学の講師としても後進の育成にも励まれている。

美人なんだけれど、3枚目キャラで、ノリがよくて、みなさんから愛される方ですね。(^^)

なんと、のだめコンサートには、過去20回くらい出演されていて、もうこの企画をずっと支えてきた方なんですね。茂木さんとのコンビは、スゴク似合っていると思います。

この、のだめコンサートは、ちょっと特徴がある。
それは、ステージ背面にスクリーンをかけて、演奏中に投影をおこなうこと。


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曲の構造の説明や、いま演奏している奏者の氏名、独奏者のコメント、のだめの漫画シーン、など演奏中に、かなり細かい時間単位で画面を切り替えていって、それを見ていると、不思議と演奏と相まって、スゴイ感動の相乗効果があって、涙もんなんですよ。(笑)

のだめコンサートで1番驚いたのは、この投影。これは面白い試みだと思いますね。
こういうコンサートは、いままで体験したことがなかったので、驚きました。

その他にも、MCが入って、茂木さんと独奏ソリストさんたちのインタビューが入ったりして、とても楽しいです。

こういうコンサートって、ふつうのクラシック特有のオスマシの雰囲気と違って、アットホームで温かい感じがしてとてもグーです。

私は、前回ですっかり気に入りました。

ぜひ、この東京公演が大成功して、東京でもレギュラー的に公演してくれることを期待したいです。

公演日は、8/6(土)調布市グリーンセンター、いまからでもチケット買えます。楽しいコンサートですので、ぜひ!

詳しくは、公益財団法人 調布市文化・コミュニティ振興財団のこちらのページで。

https://www.chofu-culture-community.org/forms/info/info.aspx?info_id=4995

.......そして本番当日。

 ゴローさんのまち、調布で、のだめコンサート。。。祝・東京初上陸。あまりに贅沢な顔々と、ボリュームいっぱいのメニューと相成った。

お天気も快晴で、とても気分がいい。

NHK交響楽団首席オーボエ奏者、茂木大輔さんと、かすがい市民文化財団との連携ではじまったこの企画、今年で10周年ということで、いままで全国、累計82回のコンサートを重ねてきた、ということであったが、意外や驚いたことに、東京公演は、今回がはじめて。

記念すべき、その公演に参加できて、光栄でございました。

今回の主催は、調布市文化・コミュニティ振興財団で、場所は、調布市グリーンホール。
以前撮影した時よりも、緑々していて綺麗になった。

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前回の日記では、オールN響(+新日本フィル)選抜と書いたが、今日プログラム冊子を見て、メンバーを確認すると、N響、新日本フィル以外にも、読響、都響、名古屋フィルの方々も参加されていて、改めて茂木さんの人望の厚さを垣間見る思いがした。コンサートマスターはN響の永峰高志氏。

東京初上陸の公演にふさわしい、本当に贅沢な「のだめスペシャルオーケストラ」と相成った。

やっぱり思うのは、普段と違うその客層。圧倒的に若い女性中心。なんか華やかな感じで大変よろしい。やっぱり、「のだめ効果」と言うことで、お堅いイメージがつきまとうクラシックであっても、こういう若い世代の方が積極的にクラシックに興味を持っていただけるのは、すごくいいことではないか、と感じる。

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必ず、楽章間に拍手をしてしまう、ところもなんとも微笑ましい。(笑)わかる~、その気持ち。クラシック曲の楽章って完結しているので、終わった、あの迫力に思わず、拍手してしまう感覚が。。。


今日のホワイエは、東京初公演ということで、華々しかった。

お花が届いていた。(お二人は仲が良いのです。(笑))

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なんともお洒落なお口添えが!春日井公演のときは、なかったような。。

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そして、いよいよコンサート。

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本当に、フランス料理のメインディッシュを、これでもか!これでもか!というくらいゴージャスなメニューで、本当にお腹いっぱいという感じであった。

ずっと通して思ったのは、東京初公演ということで、のだめの核心となる曲を選曲しているのではないか、と感じたこと。

基本は、茂木さんのMCを挟みながらの進行。

最初は、ウィリアム・テルの序曲より「スイス軍の行進」で肩慣らしの後、高橋多佳子さん登場。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番の悲愴、第2楽章。

この曲は、のだめと千秋の最初の出会いのときに、使われた曲で、やはり核心をつく選曲。

もうご存知だろうが、悲愴ソナタは美しすぎる!

自分は、オヤジを亡くしたとき、この曲を盛んに聴いていたこともあって、ブラシーボ効果というか、想い出して、なんかグッとくる感じを抑えきれなかった。

高橋さんの印象は、前回公演と同じ、女性的で繊細タッチなピアニストだと感じた。
今日は、指捌きが見えない座席だけれども、ご本人が普段SNSに投稿する動画を見ると、手、指が非常に綺麗だと思うこと。

そして、大曲のラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番。

茂木さんは、音楽家というのは、自分が音楽を志そうと思う一瞬のその瞬間、というのが人生の中に必ずある、と仰っていて、この曲も、のだめのロケのときに、千秋がこの曲を弾くシーンを撮っているときに、上野樹里さんの心の中に演じる側として、そのようなある種のキッカケを生んだ、とても想い出深いロケだったらしい。

これは、本当に素晴らしかった。この曲独特のちょっと暗めなのだけれど、人の心を惹きつけるようなラフマニノフ特有のロマンティックな旋律。高橋さんのピアノとオケとの競演は見事な作品として、完結していた。ブラボー!


今日はとても贅沢なので、この後に、さらにゴージャスなメニューが続く。

モーツァルトのオーボエ協奏曲。

なんと!N響オーボエ奏者の麗しきマドンナ、池田昭子さん登場。

原作では、オーボエ奏者の黒木くんが吹く曲だが、このロケのときの監修・指導はもちろん、黒木くんの音を実際吹いていたのは、池田さんだったらしい。(驚)

やっぱりみんな関わりというのが、ずっとあるんだね。

池田さんは、やはり格好良かった。

この曲の底抜けに明るい感じが見事に表現されていて、嫋やかなオーボエの音色。
自分は木管の音色に煩いのだが、さすがプロ中のプロ。申し分なかった。

そして休憩を挟んで、後半、ブラームスの交響曲第1番。

もう大曲中の大曲。演奏が素晴らしいのはもちろんだが、投影が、いつもの雰囲気とは違う、ちょっとシリアスで、重みのある内容進行に驚いた。

交響曲受難の時代を生きたブラームスの心の葛藤、そして、ブラームスが、クララ・シューマン(師シューマンの妻)に送った誕生日のはがき。ここに書かれていたアルペンホルンの旋律が、交響曲第1番の第4楽章に登場し、これが交響曲全体を作っている(茂木さんご本人の投稿から)、など、かなり深い内容だった。

投影のシナリオは、茂木さん原作だが、毎回思うが、よくできていると感じる。(演奏中への挿し込みタイミングも含めて。)

アンコールは、ベートーヴェン交響曲第4番の第1楽章と第4楽章の抜粋。

これは、のだめのテーマ曲なので、やはり核心をつく選曲。
これをエンディングに持ってくるのは、東京へのご挨拶なのだ、と思う。

オケ奏者をいっせいに立たせて演奏させて、お笑いをとったり、なかなか印象的なエンディングでした。

最後の投影は、なんか映画のエンディングのタイトルロールを見ている感じ。(笑)

さっき、いままで演奏していた奏者の静止画をキャプチャーして、すぐにこのエンディングに使うなんて、投影スタッフがコンサート進行中に裏で急いでそそくさと作っていたんだね、きっと。

見事でした。

投影は、前回春日井で観た印象より、さらにずっと洗練された流暢な造り・流れになっていたと思います。

いやぁ、アットホームで楽しいコンサートありがとうございます。

終演後のサイン会。手前から、高橋多佳子さん、茂木大輔さん、池田昭子さん。

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この日は、あまりに気分がよかったので、この後、深大寺に足を延ばす。
(もちろんバスで。(笑))
そして湧水さんの美味しいお蕎麦をいただいたのでした。

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茂木大輔の生で聴く「のだめカンタービレ」の音楽会。
8/6(土)14:00~ 調布市グリーンホール

指揮:茂木大輔
ピアノ:高橋多佳子
オーボエ:池田昭子
管弦楽:のだめスペシャルオーケストラ

前半

ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲より、”スイス軍の行進”

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調op.13「悲愴」より第2楽章。
(ピアノ:高橋多佳子)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調op.18 (ピアノ:高橋多佳子)

モーツァルト オーボエ協奏曲 ハ長調K.134 (オーボエ:池田昭子)

後半

ブラームス 交響曲第1番 ハ短調op.68

アンコール

ベートーヴェン 交響曲第7番 第1楽章&第4楽章(抜粋)