リサさま降臨 [クラシック演奏家]
ユリア・フィッシャー、アラベラ・美歩・シュタインバッハー、そしてリサ・バティアシュヴィリ。
自分が深く入れ込んでいて、現在のヴァイオリン界を彩る新星たちのプロフィールには、指導者として決まって、その人の名があるアナ・チュマチェンコ女史。
「音楽であろうが何であろうが、指導者には人間を形成する使命がある。」
それが彼女の教育理念。
「生徒は、演奏家としてではなく、まず人間として育てたい」。
感性豊かな時期に演奏漬けにならず、文学、絵画、演劇に心を揺り動かすことの大切さを実感している。 だからこそ、コンクールに対しては慎重にならずにいられない。
「勝つこと、優勝することは、芸術家の人生においては実に小さなこと」
この考え方は、アラベラさんのインタビューで確かに読んだことがある。
「若い頃は、演奏漬けの毎日でなく、人間らしい生活をすることを心掛けました。」と彼女は言っていた。恩師のアナ・チュマチェンコ女史の考えを純粋に、しっかりと受け継いできているんだな、と今思えば合点のいくところだ。
ご存知のように、いままで、ユリア・フィッシャー、アラベラ・美歩・シュタインバッハーと自分の日記でも、何回も何回も、とても深く取り上げてきたのだが、もう1人、とても大切な女性ヴァイオリニストを、きちんと日記にすべきと思った。
リサ・バティアシュヴィリ
(以下掲載させていただく写真は、FBの公式ページからお借りしています。)
ゴローさんとも所縁の深いヴァイオリニストで、自分にも想い出がたくさんある。
ある意味、ユリアやアラベラさんと比較しても、クラシック界で待遇されているステータス、格からして、3人の中でもダントツに格上だと思う。
そんな彼女を取り上げずにいるのは問題だし、ちょうどつい最近、新譜のCDとBlu-layが発売されたばかり。とてもいい機会なので、彼女のことを調べて、この日記で紹介したいのと、自分の想い出や、自分の彼女に対する印象などを素直に書いてみたいと思った。
リサさんを知ったのは、2011年のゴローさんの日記からであった。
いつも女性ソリストばかり追っかけている(笑)自分と違って、硬派だったゴローさんにしては、珍しく鼻の下を伸ばした感じでリサさんにゾッコンという感じだった。
ちょうど弾丸来日中で、N響との定期公演で、自分もぜひ観てみたいと思い、当日券で馳せ参じた。
この日の公演は、バルトークの「青ひげ公の城」の演奏会形式がメインで、確かこの年は、小澤さんのサイトウキネン松本でも同演目が演じられて、それで注目されていたコンサートでもあった。その前半ということで、リサさんはブラームスのコンチェルトを演奏することになっていた。
「当日券で、NHKホールに見参!」と相変わらずのノリでつぶやいていたら(笑)、それを見たと思われるゴローさんから携帯にかかってきて、「ブレークのときにロビーで落ちあいましょう。」ということになった。
前半が終わって、落ちあって、「いやぁ素晴らしい!感動しました!」と、「ねっ?いいでしょ?」ってな感じで、2,3言交わしたら、ゴローさんの携帯に電話がかかってきて、その後に、「ゴメン、リサからお呼びがかかってしまった。今回彼女のお世話役しているんだよね。後半も楽しんで!」と言って嬉しそうに、楽屋に向かっていったのでした。(笑)
そしてコンサート終演後に、軽食&お茶しようということになって、NHKホールからの渋谷駅の帰路のカフェでお茶したのであった。
いろんな話をした中で、当然、リサさんの話題も多く、
「いやぁ彼女はいいよ!才色兼備で実力も確かで、これからの時代を担うヴァイオリニストになることは間違いないよ。」
「ベルリンフィルとも共演しているんだよ。2007年のヨーロッパコンサートでラトルといっしょにやっている。ぜひ観てみてごらん。」
「なぜ、ブラームスのコンチェルトを急遽の弾丸来日で、今回やったかというと、たぶん彼女、録音でブラームスをやるからだと思うんだよね。 よくやることなんだよ。自分が録音をする予定の曲があるときは、その曲を事前にツアーで何回も演奏することで、イメージを掴むということを。」
確かにその後、2013年に彼女のブラームスのコンチェルトの録音が出たことは確かであった。(笑)
残念だったのは、このときの公演は、メインの「青ひげ公の城」は絶賛されるも、前半のリサさんのブラームスはボロクソの凡演だった、という酷評が多かったことだ。N響の演奏がボロボロで、彼女が可哀想、所詮、「青ひげ公の城」の前座に過ぎない、という公演評が多かった。
TV収録したのは初日。自分が観たのは2日目だったが、そんなに悪いとは全く思わなかったし、逆に素晴らしいと思ったほどだ。あとで、TV放映を観て初日公演も観たが、確かに破たんのあるところもあったが、そんなに酷評するほどのことかな?と感じた。
ゴローさんは、この酷評に、「くやしくて、くやしてくて、仕方がないよ!」とボヤいていた。
リサさんがN響の定期公演に出演しているのは、2004/2006/2009/2011年の4回。自分が観たのは、この2011年の公演だった。
まだこの当時は、これからの世代を担うホープという印象で、これがリサさんとの出会いだった。
リサさんのキャリアを紹介しておこう。
グルジア出身(グルジアは現在ジョージアと改名)、アナ・チュマチェンコに師事。11歳の時に一家でドイツ・ミュンヘンに移住。1995年シベリウス国際コンクールに史上最年少の16歳で出場し、第2位。
2001年BBC が立ち上げた"New Generation Artists"の初代メンバーに選出、BBCプロムスでのデビューはBBC Music Magazineで"本年最も傑出した存在"と称賛。2003年にはシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭でレナード・バーンスタイン賞を獲得、その後ボン国際ベートーヴェン音楽祭ではベートーヴェン・リング賞を獲得。(所属先のUniversal Music JapanさんのHPより。)
2001年にEMIよりCDデビュー。その後ソニー・クラシカルから2枚のCDをリリースし、2010年にはDG(ドイツ・グラモフォン)へ移籍。現在に至る。
現在、欧米のオーケストラから引く手あまたのリサさんは、2012~13年シーズンにはシュターツカペレ・ドレスデンとケルンWDR響の、2014~15年シーズンにはニューヨーク・フィルハーモニックのレジデンス・アーティストを務めている。(レジデンス・アーティスト:そのオーケストラのその年のソリストとしての”顔”的な称号。)
そして、今シーズン 2016~2017年には、ついにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のレジデンス・アーティストを務めることになったのだ!
今年の動きだけでもスゴイのだ。いまが旬というか絶頂期とも思えるくらい。
ベルリンフィルとは、彼らの定期公演で演奏している。(あるいは演奏予定。2016-2017年のベルリンフィル定期公演のソリスト・カレンダーに掲載されていたので覚えていました。)
そして、今年2016年のベルリンフィルのヴァルトビューネ野外コンサート(ヤニク・ネゼ=セガン指揮)で、見事ソリストを務める。
ウィーンフィル(エッシェンバッハ指揮)とは、ウィーン楽友協会で演奏をおこなっている。
意外や意外、ウィーンフィル&ウィーン楽友協会は初体験だったそうだ。
そしてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(ダニエル・ガッティ指揮)とは、まさに今日からの12/14~15の2日間、アムステルダム・コンセルトヘボウで公演を行っている最中なのだ!まさに、この写真もホッカホッカだ!
まさに世界三大オーケストラと、彼らの本拠地で彼らをバックにソリストを務める!
これこそいま演奏家人生で最高潮のバイオリズムにいるときなのかもしれない。
まさにそんな絶頂期にいる彼女の新譜がDGから出た。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
リサ・バティアシュヴィリ、ダニエル・バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリン
https://goo.gl/pHUQ7P
DGから通算4作目は、巨匠バレンボイムとその手兵シュターツカペレ・ベルリンとのコンチェルトで、チャイコフスキーとシベリウスという、もうこれは贅沢に贅沢を尽くした作品となった。
乗りに乗っているいまの彼女にふさわしい作品。
DGなので、Emile Berliner Studiosの録音かな?と思い、クレジットを確認してみたのだが、どうもそうでないようだ。(不明?)録音場所は、ベルリンでは、No.1と言ってもいいくらいの超有名録音スタジオであるTeldex Studio Berlin。
数々の名録音がこのスタジオから生まれた。
Teldex Stduio Berlin
そのときの録音セッションの様子。おびただしい立脚マイクが生々しい。
最初、封を開けて聴いた第一印象は、どうも自分のオーディオの2chシステムと相性が合わないというか、ピンとこなかった。
コンサートホールでのセッション録音と違って、キャパの狭いスタジオでの録音だとどうしても響きの少ないデッドな感じがして空間感も少ない感じがし、自分の好みの録音ではないような気がしたのだ。
でも休暇を取って、大音量で聴いてみると、ずいぶん印象が違った。幾分デッドな印象は、やはり拭えないが、でも骨太でがっちりした音の造りはさすがDGだと思ったし、響きもかなり改善して感じられた。やはり夜分での小音量では、真の録音の評価はできませんね。
後半のシベリウスのほうが、響きが豊富に感じました。編集&エンジニアの違いによるものでしょうか?
リサさんの演奏力は、やはり大したもの。王道たる演奏で、特にシベリウスは鳥肌がたつくらい狂気迫ったものがある。チャイコフスキーは、あまりに耳タコ名曲で、数多の演奏家が取り上げてきている曲なので、リサさんとしては、当初はあまり積極的でなかったのを改心して取り組んだようなことが読んだが、とても個性の強い前へ出るチャイコフスキーだったように思う。
さて、もうひとつの新譜が、今年のベルリンフィル・ヴァルトビューネ野外コンサート2016のBlu-ray。
![895[1].jpg](http://akira-nonaka.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_ea6/akira-nonaka/m_8955B15D-600e9.jpg)
『ヴァルトビューネ2016~チェコ・ナイト~スメタナ、ドヴォルザーク』
ヤニク・ネゼ=セガン&ベルリン・フィル、リサ・バティアシュヴィリ
https://goo.gl/FPfh8Q
今年のテーマは、「チェコの夕べ」ということで、スメタナやドヴォルザークなどのチェコに所縁のある作曲家を取り上げる、ある意味とても濃厚なスラヴの香り漂うコンサートとなった模様。
この野外コンサートも一度でいいから体験したいと思っていたりする。PAらしくない本場のベルリンフィルハーモニーで聴いているようなリアルなサウンドだったとゴローさんが言っていた。
ここで、リサさんは、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を披露。
久し振りに観る演奏姿。やはり立居姿が美しい。絵になるヴァイオリニストですね。
やはり体格が大きいということと、全体から発するオーラというのがあって、こういうベルリンフィルとかウィーンフィルのような世界三大オーケストラをバックにしても堂々と渡り合える、決してオーラ負けしない、そういう自然な”風格”というのが備わっていると思うんですよね。
彼女の演奏スタイルの特徴は、とても自然流というか、変なクセがないとても美しいフォームだと思います。
ユリアは、小柄ながらとても男性的でパワフルな演奏スタイルで、それがきちんとサウンドになって現れていた。
アラベラさんは、ヴィジュアル・クラシックの典型で、本人も聴衆から観られていることを意識しているフォトジニックな演奏スタイルで、サウンドはとても女性的。(ソリストのお部屋には、等身大の鏡が必ずあって、そこに自分が弾いている姿を観て、常日頃全体のフォームをチェックしていると聞いたことがあります。アラベラさんのDVDを観ると、彼女の部屋にそういう鏡がありました。(笑))
リサさんの演奏スタイルは、あざとさがなくて、とても自然流のレガートな美しさがある。
技巧も高いレヴェルにあって、感性の鋭さも相まって、いまが旬というのが納得のいく映像だと思いました。
今日は、リサさん特集。持っている映像素材をすべてチェック。
前述の自分が観に行ったN響定期公演の録画BDも鑑賞してみた。
自分が行ったのは2日目だったので、白いドレスだった記憶があるのだが、録画は初日だったので、紫色のドレスであった。
2011年12月9日:NHKホールとある。いまから5年前かぁ?月日が経つのは早い。
当時は酷評された公演だったが、今観ても、破綻している部分はあるけれど、そんなに酷評するほど?と、思えたのは変わらなかった。風貌や全体が今と比べて、やっぱり若いなぁという感じなフレッシュさがあって、微笑ましい感じがした。
この日の公演は、リサさんのブラームスを生で聴けるだけでも嬉しかったのだが、さらにさらに 第1楽章でクライスラーのカデンツァを演奏したことが希少価値に値する出来事であった。ブラームスのヴァイオリン協奏曲の場合は、作曲にあたってアドバイスし、初演もした名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムのカデンツァが演奏されるのがほとんどで クライスラーの美しいカデンツァは、中々生で耳にすることがない。もうこれだけでも大満足!
ところでディスクではどうだっただろうか?と思いをめぐらすと、クライスラー本人の古い演奏の他には、クレーメル カラヤン指揮ベルリン・フィルの70年代アナログ録音ぐらいしか思いつかない。
このことはゴローさんから教えてもらったことなのだが、この貴重なクライスラーのカデンツァを生演奏で聴けただけでなく、きちんと録音として残せたのも本当に幸運であった。
ついでに、そのときにゴローさんから推薦されたリサさんが出演しているベルリンフィルのヨーロッパコンサート2007のDVD。
ふつうの中古市場では滅多にお目にかからないレアなDVDで、アマゾンの中古市場マーケットプレイスでもあることにはあるけれど、売価3万円とかすごいプレミアがついている貴重なDVDだ。
自分もそれくらいの値段で、思い切って入手した記憶がある。
こちらはもっと若い。(笑)
ブラームスのヴァイオリン&チェロの協奏曲だったのだが、今こうしてみると、演奏スタイルは今と変わらない一貫したものがあるんだなと感じた。(というかこれは無意識の産物で、意識して変えるというのは、なかなかできないこと。)
まさに今日は、”共演オファー殺到”の真っただ中にいるリサ・バティアシュヴィリを追ってみた。
そんな彼女だが、ロシアの軍事介入に揺れるウクライナ問題について、音楽家として静かな態度表明を行ったこともあった。
リサさんは、フィンランドのヘルシンキで行われた平和コンサートに出演し、ジョージアの作曲家イゴール・ロボダの「ウクライナのためのレクイエム2014」を演奏した。
そして、「民主主義と自由と子供たちのためのより良き未来を得るために闘っている民族と国家を蹂躙し辱める行いは正しくありません」と穏やかながら強い表現で聴衆に語りかけた。
「音楽は侵略的なものとは一切相容れない、最も平和な言語です。しかし同時にそれは私たち音楽家に、私たちなりの意見を、知性でなく感情に発する意見を表明する自由を与えてくれるものでもあります。」
祖国ジョージア(グルジア)の辿ってきた運命と相重なるところによる連鎖反応があるのも原因だったようだが、芯の強い、筋が通らないことにきちんと反対の意を唱えられるだけの心の強さ、実行力もあるのだ。
新譜も発表したことであるし、それに関連する世界ツアーもあるのでは、と思う。
ぜひ日本に呼んでほしい!!!
この最高に旬なときにいるリサさんを、もう一度生で観てみたい!
もう責任をもって盛り上げます。(笑)
そうすることが、ユリア・フィッシャー、そしてアラベラ・美歩・シュタインバッハーと、アナ・チュマチェンコ門下生を盛り上げてきた自分の最大の責務で運命だと思うからです。
また天国のゴローさんへの恩返しにもなるかな?
NYWCC (NewYork Wolf Conservation Center) [雑感]
エレーヌ・グリモーが創立した狼保護施設センター(Wolf Conservation Center:以下WCCと記す。)の存在をキャッチできた。NY(NewYork)の郊外のSouth Salemにあることがわかった。ありがたいことに自分のグリモーの日記にコメントを投稿していただき、いろいろ教えていただいた。
アメリカにも近い将来に行ってみる予定で、そのときに、このグリモーさんのWCCをぜひ表敬訪問したい夢を抱いていたりする。
そのコメントをいただいた方は、なんと、そのWCCのFound Raising Dinner(いわゆる寄付金集めのための親交パーティのような感じ)に2回も参加して、グリモーさんと懇親を深め、とても近距離でグリモーさんと忘れられないような想い出をたくさん作られたんだそう。
グリモーさんの実物はさらに優雅で美しく、どんな人の話もあの目でじーっと相手を見ながら熱心に聞くので誰もが吸い込まれるように惹かれてしまうそうだ。
そのWCCのHP、もちろん英語で書かれているのだが、自分のつたない英語力で、さらっと一通り読んでみて、WCCの全容を紹介できたら、と思い日記にしてみることにした。なにせ近い将来行くところなのであるから、自分のためにもなるだろう。
WCCは、グリモーさんが1996年に創立して、基本は非営利団体・教育・環境保護団体で、自分から利益を出すビジネス体ではないのだ。すべて個人や団体からの寄付で、生計を立てている。
でも、このHPには、普通の民間企業のように、年度ごとのAnnual Reportというのを発行していて、このAnnual Reportを読めば、WCCが毎年どのようなことをやってきたのかの概要が分かる。
基本は寄付で、生計を立てている団体なので、どのくらいのインとアウトなのか、というと、2014年の寄付の収入は、
総額 $1,056,175
日本円で約1億!
個人単位の寄付から、団体、組織としての寄付など様々な形態が存在する。
さらに、その年度の支出は、
総額 $748,487
日本円で、約7700万。
黒字経営だ。(笑)
もちろんお金としての寄付が前提だけれど、現物支給(In-kind)としての寄付も受け付けている。(現物支給してくれた人の名簿リストもあるが、本当にスゴイ人数。)
このHPやFBなどから、いわゆるOnline Donation(オンラインでの寄付)ができる仕組みで、自分もさっそくDonateした。
自分のE-Mailアドレスや住所などの個人情報も送るので、なんかグリモーさんと繋がっている感覚になる。
実際のところ、その後、いろいろメールでWCCの情報が送られてきて、さらにDonationへの招待含め、WCCの活動の近況情報なども送られてくる。
Donateした人は、その金額に応じて、ランクごとに、そのAnnual Reportに名簿として記載される。上は、$25,000 (¥260万)から下は、$250~$499 (¥26000~¥50000)。
ハイ、自分はもちろん一番下です。
Donateするときは、どのくらい本気なのか、を確認する項目があって(笑)
In Honor of としてなのか、In Memory of としてなのか・・・ 毎月寄付してくれるのか?
など、ハイ、自分のできる範囲です。(笑)
自分もこのAnnual Reportの寄付してくれた人リストに掲載されるかな???
正規のスタッフは、全部で、22人。
ボード・オブ・ダイレクター 9人 (この中にグリモーさんはFounderとしての肩書で掲載されている。)アドバイザリー・ボード 8人 スタッフ 5人
という内訳。
それに膨大な人数のボランティアがいる。
じゃあ、WCCってどんなことしているの?というと大きく次の3つに分けられる。
①狼を養育する。(Nurture Wolves)
②人々への狼に関する教育。(Educate People)
③支援者・資金などを結集する。(Mobilize Support)
①狼を養育する。
現在、WCCで飼育されている狼は30匹。広い敷地をランドスケープの敷居で囲まれた中で過ごしている。(28エーカーくらいの広さ。エーカーというのは広さ面積の単位だそうです。)狼の人口を回復し、狼と自然とのパートナーシップを援助、つまり自然に帰すための手助けをする。
②人々への狼に関する教育。(Educate People)
2014年だけでも、大人&子供(大半はキッズだそうです。)で4万人の人を教育。狼の生態、自然界とのパートナーシップ&今置かれている苦境などを人々に教育して伝え、支持者、資金などのサポートを得ることが目的。
教育する場所としては、屋内(In-site)の場合は、WCCの敷地内で行うし、屋外(Off-site)の場合は、アメリカの北東地域の学校、博物館、図書館、自然センターなどのロケーションで行うことが多いそうだ。
2014年だけでも、WCCの敷地内でおこなう屋内のプログラムは、385回にも及んだし、屋外の講演は、145回行ったそうだ。
ポイントなのは、このとき、その教育の対価として報酬をもらわないことですね。あくまで寄付という形で繋げるのが非営利団体の立場ですかね。
③支援者・資金などを調達する。(Mobilize Support)
ある意味、これがこの団体の命綱的なところもあるのだろう。
②のEducation Programを充実させて、その現実を人々に理解してもらったうえで、寄付してもらう道筋をつける。FBなどに代表されるようなSNSを使った宣伝、サポートも順調で、2億人のサポーターがいるそうだ。
WCCってこんな感じの団体。
狼を愛するが故の狼の啓蒙活動&教育をして、それに基づいての寄付金で狼の飼育含め、団体を運営している非営利団体。
ある意味、人間のご都合主義によって、狩猟のターゲットにされ、激減した狼の生態系。それをこのような形で、飼育してまた野生に返していく、という狼の保護団体というのが実際の姿だ。
以前の日記で記載したように、グリモーさんが単身でアメリカで究極の貧乏生活の中、苦労しつつ1996年に創立した、その狼保護団体であるWCC。
現在は、スタッフ22人に多数のボランティアを抱え、年間1億の寄付を集める巨大な団体に成長していた。
WCCの年間カレンダーには、こと細かく、Education Programの日程がびっしり詰まっている。
もし、自分がWCCを訪問したい場合は、この年間カレンダーの日程を見ながら彼らの不在のときに訪問しないような注意が必要だ。さらにWCCのあるエリアは、かなり広大で、NY都心からも離れているようなので、相当用意周到に準備をしていかないと失敗する可能性が多いと思われる。
また、これだけの規模の団体なので、もう単に興味本位で立ち寄るというレベルではなく、きちんとWCC&狼のことを深く想う気持ち、つまり本気度が必要な気がしてきた。(どれくらいの頻度で寄付する、自分の本気度があるかどうか、も含めて。)
グリモーさんを思う気持ちから、狼のことをどこまで本気で思えるかですね?
う~む、まだまだ先の話だが、気が引き締まってきた。グルルゥゥゥゥ~。
Wolf Conservation Center 公式HP http://nywolf.org/
ヨハネス・モーザー [クラシック演奏家]
PENTATONEと専属契約を結んで第2弾の新譜がでた。それに絡んでということだと思うが、先週、来日を果たし、トッパンホールでチェロ・リサイタルを、そしてミューザ川崎では、東京交響楽団とチェロ協奏曲でコンチェルトも披露してくれた。
ヨハネス・モーザーは、PENTATONEと契約を結んだ2015年11月頃に知ったアーティストだったので、ぜひ、実演に接してみたいとずっと想いを馳せていて、念願かない、両公演とも参加してきた、という訳。
第1弾のドヴォルザーク・アルバムのときにディスクレビュー日記を書いたが、もう一度簡単に紹介しておくことにしよう。
ヨハネス・モーザーは、ドイツ系カナダ人のチェリストで、1979年生まれの現在37歳。2002年チャイコフスキー・コンクールで最高位を受賞。
使用楽器は、1694年製のアンドレーア・グァルネリ。
モーザーは、いままでベルリン・フィル、シカゴ響、ニューヨーク・フィル、クリーヴランド管、ロサンゼルス・フィル、ロンドン響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管などなど、もう書ききれないほどの世界のオーケストラ&高名な指揮者と競演してきており、英グラモフォン誌からもその絶賛を浴びている。
室内楽奏者としても熱心に活動しており、五嶋みどり、ベル、アックス、カバコス、プレスラーなどとしばしば共演、ヴェルビエ音楽祭、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭など多くの国際音楽祭にも登場している。
モーザーはあまり知られていないレパートリーを取り上げ優れた演奏をするアーティストとしても非常に評価が高いようだ。
とにかく、写真を見ていただければ、お分かりのように、”ナイスガイ”という言葉がぴったりくるような底抜けに明るい青年。
そしてなによりも若い。まだ37歳にして、これだけのキャリアを積んできているのだから、本当に将来楽しみな大器であることは間違いない。
第1弾のドヴォルザーク・アルバムで彼のサウンドを聴いたとき、その外見からくる爽快なイメージよりも、もっと実は硬派で本格派&実力派の骨のあるチェリストの印象を自分は感じ取り、今後の”新しい録音”の時代の担い手という期待を寄せていた。
そんな彼をオーディオだけでなく、生で演奏する姿を一目観てみたいという夢を実現できた。
その前に、第2弾の新譜の紹介からしよう。
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ、ヴォカリーズ、プロコフィエフ:チェロ・ソナタ、スクリャービン:ロマンス、他
ヨハネス・モーザー、アンドレイ・コロベイニコフ
https://goo.gl/gNpZWd
第2弾はロシアン・アルバム。プロコフィエフ、ラフマニノフ、そしてスクリャービンのチェロ・ソナタをはじめとする作品が取り上げられている。
前作の第1弾がコンチェルトだったのに対し、今回は室内楽作品としてのアプローチで、実際の演奏活動でも、見事な両刀使いでもあることから、彼の演奏力、レパートリーの広さが伺えると思う。
何回も聴き込んでいるのだが、情感豊か、鮮やかではあるけれど、ちょっと渋めの色彩感というか、色に例えるならグレーで深い音色、という感じがして、表面はロマンティズムで溢れているものの、その背後にはロシアの厳冬のイメージが湧いてくるような、そんな雰囲気のアルバムに仕上がっていると思う。
あのロストロポーヴィチも協力したと言われるプロコフィエフのチェロ・ソナタと、哀愁漂うラフマニノフのヴォーカリーズは、トッパンホールのリサイタルでも披露してくれた。
録音は、もうお馴染みポリヒムニアの御用達でもあるオランダ放送音楽センターMCO5スタジオで収録。
下の写真はポリヒムニアのFB公式ページから、そのときのセッションの様子。
ポリヒムニア側の録音プロデューサー&バランス・エンジニア&そして編集と、すべてエルド・グロード氏が担った。PENTATONE側のプロデューサーは、もちろんジョブ・マルセ氏。
もう王道のコンビであるし、録音の完成度の高さは言うまでもない。
明記はされていないけれど、Auro-3Dで録っているのではないだろうか?
空間は広く録れているし、チェロの低弦の解像度も高く録れていて、朗々と鳴る感じのボリューム&音量感も気持ちいい。ピアノの音色の質感は、これは伝統的なPENTATONEのピアノの音色。
(その点、児玉姉妹のピアノ音色は、ちょっと異次元でした。)
そしてチェロとピアノのバランス配分や、リスポジ・聴き手から感じる遠近感も違和感がなくて、さすがエルド・グロード氏の仕事だと思った。
かなりヘビロテで聴いています。
じつは、PENTATONEからの第3弾もすでに決まっているのだ。スイス・ロマンドとのコンチェルトを収録済みで、来年の3月にはマーケットにリリースされる予定である。あのスイス・ジュネーヴのヴィクトリアホールでのセッション録音で、すでに収録完了していて、ただいま編集中といったところだろうか。これは本当に楽しみである。
そんなヨハネス・モーザーを生で聴ける!
まずは、トッパンホールで、チェロ・ソナタとしての室内楽。
ピアノのパートナーは、2012年の来日リサイタルのときと同じ高橋礼恵さん。
はじめて彼の実演に接した訳だが、その印象を、ずばり結論から言うと、”はちきれんばかりの体育会系ソリスト”という感じだろうか。(笑)
とにかく自分がイメージしていたそのまんま。(笑)
とにかくボウイング、弓使い、その演奏動作すべてにおいて、スピード感、切れ味が鋭くて、俊敏の極みのような演奏家で、スポーティーなスタイルにぴったり合致していた。
最初のヒンデミットやバッハの無伴奏のときは、楽曲のせいもあるのか、思ったほど冴えない感じだったのだが、3曲目のデュティユーから空気がガラっと一変した。剃刀のような鋭い跳ね弓や、弾けるようなピッチカートで、あまりに切れ味鋭いので、聴いていて(観ていて)かなり小気味いい感じだった。
後半のプロコフィエフのチェロ・ソナタや、ラフマニノフのヴォーカリーズなどになると、一転して、いわゆる聴かせるメローな感じで情感たっぷりに弾くのも、かなりサマになっていて、かなり演奏表現の幅が広い、と感じた。
高い技巧のチェリストだと思う。
揚げ足をとるようで、申し訳ないが、敢えて言えば、舞台袖に下がるときに、なにせ、エネルギー持て余している若者のせいか、セカセカ退場していくのが笑えるところだろうか。(笑)もっと余裕を持てばいいのに、と思うのだが、でもこのほうが若者らしくていいっか?(笑)
ヨハネス・モーザーというチェリストは、屈託のない明るい青年のイメージと、ぴったり合うようなスポーツスタイルの超絶技巧の演奏家である、というのが自分のイメージだった。
そしてミューザ川崎で、東響とコンチェルト。
1曲目は、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲を団員達と一緒に弾き、そのまま止まらずに続けて、デュティユーのチェロ協奏曲を演奏する、という指揮者ノットの粋な計らい。
じつは、この日体調コンディションが悪く、前半は意識朦朧として聴いていたので、ヨハネス・モーザーの演奏をしっかり聴けていなかった。本当に申し訳ない。でもところどころの記憶では、リサイタルのときのイメージと全く変わらない。素晴らしい演奏だったと思う。
ヨハネス・モーザーのFBページからお借りしました。
(ルーツは東響さんの投稿だと思います。失礼します。ゴメンナサイ)
この公演の時のリハーサルの様子。
![15319182_606166126237404_2683330820297703943_n[1].jpg](http://akira-nonaka.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_ea6/akira-nonaka/m_15319182_606166126237404_2683330820297703943_n5B15D.jpg)
そして終演後、東響のチェロセクションと記念自撮りの撮影中(笑)
とにかく若くて明るいイメージそのもののナイスガイで、スポーティーな超絶技巧のテクニシャン。
新しい録音、新しい演奏、といったこれからの世代を担う若い演奏家として、とても有望株で、自分が肩入れしても許せる”男性の(笑)”演奏家に出会えた、という印象だ。
ヨハネス・モーザー&高橋礼恵 チェロ・リサイタル
2016/11/29 19:00~ トッパンホール
前半
ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタ Op.25-3
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番 変ホ長調 BWV1010
デユティユー:ザッハーの名による3つのストロフ
後半
プロコフィエフ:バレエ音楽<<シンデレラ>> Op.87より<アダージョ>Op.97bis
ラフマニノフ:ヴォカリーズOp.34-14
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119
~アンコール
スクリャービン ロマンス
サン=サーンス <<動物の謝肉祭>>より<白鳥>
チャイコフスキー ノクターン 嬰ハ短調Op. 19-4
東京交響楽団 川崎定期演奏会 第58回
2016/12/4 14:00~
指揮:ジョナサン・ノット
独奏:ヨハネス・モーザー(チェロ)
コンサートマスター:水谷晃
前半
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
デュティーユ:チェロ協奏曲「遥かなる遠い国へ」
~アンコール
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 第4番からサラバンド
後半
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61
秋の京都の紅葉散策 そのさん [国内音楽鑑賞旅行]
まず、目指すは平授庵。
ここは最高に楽しみにしていた。
ここもJR東海の「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンで採用された紅葉スポットで、これが実に素晴らしい絵柄で、ガイドブックの写真を観たときは、絶対ここにいくっ!という感じで楽しみにしていたところであった。
建物の室内から外の紅葉を撮影するのが、ひとつのポイントになっていた。
本来であれば、こんな素晴らしいショットが撮影できるはずであった。
ところが実際行ってみると、こんなん感じであった。(笑)
紅葉は完全に盛りを過ぎているようだった。あと、入り口の門のところのおばさんに聞いたところ、室内には入れないそうで、そうすると、例の室内からの紅葉の撮影はできないことになる。詐欺だ。(笑)
でも盛りが過ぎたいまの時期だから、そうなのであって、紅葉真っ盛りのときは、室内からの撮影も許可されるのかもしれない。
この平授庵では、こんな庭園もあって、それなりに和の風情があって素敵だと思った。
また、ここ平授庵では、こんな人力車が大変多く、京都にいたときに感じたのだけれど、結構観光客って、こういう人力車に乗ってみたい、というニーズがあるみたいですね。あちらこちらで、散見されました。
つぎに目指したのが醍醐寺。豊臣秀吉ゆかりの大寺院で、ここの入り口から入った1番奥にある弁天堂というエリアの紅葉が、ガイドブックにも乗っている最高の紅葉スポットになる。
さっそく、そこに到着。
う~ん、確かにガイドブックの写真と比べると、盛りは過ぎている感じなのだけれど、紅葉の自然と、全体のフレーム内での構図のセンスの良さは抜群で、これは絵になるショットだと思いました。素晴らしい絶景だと思う。
次に向かったところは、高台寺。
まずは、ここにも人力車がスタンバイされていました。京都では、この人力車に乗ってみたい、というビジネスが盛んなんですね。
ここはどちらかというと、約1300個もの照明を使う大規模なライトアップが評判で、紅葉の木々が夜の水面に浮かび上がる幻想的な臥龍池が超有名で、このお寺での一番有名なスポットでもある。
どちらかというと夜のライトニングのほうがいい感じですね。
でも、この臥龍池の存在がわからなかった。(大泣)
スタッフの人に聞いても、池はここにありますけど・・・?う~ん?という感じで、心もとない。
結局場所を特定できず、とりあえず、美しいな、絵になるな、というショットを撮影してきました。
ここは、この時間帯は逆光になってしまったけれど、石&砂の庭園と紅葉が妙にマッチした、とても絵になるフレーム構図だと思いました。
こんな青竹の森林のような場所もあって幻想的。
敢えて言えば、このショットが1番絵になるかな?という自分の印象。
そして最終章の訪問先は、北野天満宮のもみじ苑。
ここは永観堂についで、最高に素晴らしい紅葉スポットだと思いました。
かなりの庭園の広さで、もみじでいっぱい!
樹齢400年以上の楓、豊臣秀吉ゆかりの史跡でもあり、昼間に訪れましたが、やはりここも夜の
ライトアップがいいですかね。
とにかく紅葉したもみじでいっぱい。
ここの1番の紅葉スポットは、たぶんここ。
なんとプロのモデルさんによる撮影が行われている最中で、結婚式の記念撮影は、このスポットで撮影しましょう!というプロモ的な写真を撮影しているのだと思う。
ご覧のように照明機材があります。ディレクター、照明係、衣装係、撮影スタッフなど、かなりのスタッフ陣で物々しい感じで撮影がおこなわれていました。
ショット最終形は、こんな感じなのでしょうか・・・?
帰りの路すがら、紅葉の落ち葉が川沿いに集まって幻想的。
紅葉散策の最終地を、この北野天満宮のもみじ苑にしてホントに良かった。
最後を締めくくる最高の紅葉スポットだと思いました。
これにて京都ツアー全日程終了。
自分に、まずご苦労様と言いたい。(笑)
日本の和のテイストを味わう旅行として、京都を選択するのは、至極当然だし、海外旅行とは違った、本当に素敵な体験ができた。まっ自分は、食生活だけでなく、基本、和党の人間なので、大変満足のいく音楽旅行だと思いました。
秋の京都の紅葉散策 そのに [国内音楽鑑賞旅行]
9月に訪問した時は、とても感動した。特に金閣寺は、入り口から長々歩いていると、突然あの風景が現れるときは、心臓にドキッとするくらい感動するのだ。
紅葉時期を迎えて、綺麗に色づいていると、さらに映えて見えるだろうな、と思い、訪問してみることにした。
まず金閣寺。
意外や、ほとんど色づいていなかった。
でも、この荘厳なお姿は、相変わらず圧倒される。
どうしても紅葉の金閣寺を撮影したい自分は、スポットを探った。
そうすると、ここからのフレームが、秋の紅葉の金閣寺を連想できて、素敵だと思った。
つぎに銀閣寺。
こちらのほうが色づきはよいように思えた。
この日は、あいにく1日中雨が降っていて、写真を撮影しても、フォーカスや輪郭が甘いというか、ぼやけているように見えるのだが、でも色づいた銀閣寺は美しい。
まっ、これは自分の嗜好の問題だが、金閣寺も素敵だけれど、銀閣寺のほうが、庭園などの和の様式美が整っている感じがして美しい気がする。
そして京都市交響楽団の素晴らしいコンサートに大感動して、一気にボルテージが上がり、雨が降っているけれど、遠征して出向いているので、これは行かなきゃ損ということで、この晩も秋の紅葉狩りに出かける。
選んだのは永観堂。
これが大正解だった!
たぶん今回の紅葉散策の中で、1番最高の紅葉スポットだと思えた。
永観堂は、京都屈指の紅葉名所で、平安時代にその紅葉が和歌に詠まれるほど歴史は古く、いつしか「もみじの永観堂」と呼ばれるようになったそうだ。
境内には、もみじが3000本以上と京都で最多!
中心部より寒いので、色づきの良さでも評判が高い。
伽藍や池など、秋の境内は絶景ビューが目白押し。
とにかく、秋の京都の紅葉散策をするなら、敢えて1箇所を選ぶなら、迷わず、この永観堂をお勧めします!
とにかく入り口からこんな絶景な通りが現れる。いやが上でもかなり期待させられる。
このフレームが現れた時点で、もう永観堂は間違いなし!と確信が持てた。
以下、庭園内をいろいろ散策して、アンテナにビビッときたショットを撮影してきたので、ご覧ください。境内は、かなり広いです。そして色づいたもみじで一杯!
たぶん、このフレームが、この永観堂の中で最高のスポットだと思われる。
ガイドブックに載っているのは、このショットだと思います。
美しすぎる!
なんと庭園内には、雅楽の旋律が流れていました。
ほかにも、帰りの道すがら。。。
とにかくこの永観堂は最高の紅葉スポットだと、つくづく実感したし、2日目にして、これだけ堪能できたのなら、今回の秋の京都の紅葉ツアーは大成功だと確信できたのでした。
秋の京都の紅葉散策 そのいち [国内音楽鑑賞旅行]
そんな昔からやっていたんだ?(笑)
自分は今年になって京都を強く意識したので、このキャッチフレーズも今年になって、はじめて耳にするような感じがした。
なにせ普段TV観ない(少なくとも音声は聴かない)人なので。(笑)
まさに京都には世界文化遺産の寺院が集中していて、「日本&和」を意識する絶景の景色が集中している。
特に秋の京都の紅葉は、大変な人気で、この時期はまず宿泊が取れない。
何か月も前から予約しないといけない。
以前、この時期に宿を取ろうとしたら、東は名古屋付近、西は岡山あたりまで、びっしり予約満杯で取れなかった経験がある。「理由は秋の京都の紅葉は、毎年こんな感じなんですよ。」という旅行会社のお姉さん。
今回、京都のツアーで11月下旬にコンサートに行くので、この時期は紅葉真っ盛りだな、ということで早めに予約しておいた。
紅葉鑑賞はやはり、昼間もキレイだけれど、夜のライトニングのほうが、ずっと感動しますね。
あの衝撃の美しさは、間違いなく夜のほうが感動する。
秋の紅葉の鑑賞の時期のタイミングって難しい。
ガイドブックに載っているような絶景の写真は、もちろん撮影用で、年間の中で最高の瞬間を撮影した写真。自分のように、限られた日程で、いろいろな寺院を廻るとなると、どうしても当たりはずれが出てしまうのだ。
まだ色づいていない、紅葉真っ盛り、盛りが過ぎた、この3種類のどれか。
全部の寺院が揃うということはまずない。
今回行って大正解だと思ったのは、永観堂、清水寺、そして北野天満宮だと思った。
前者2つの寺院は、夜のライトニング。やっぱり夜のほうが感動する。
では、実際の旅行では、3日に分けて、紅葉狩りをしたので、それに合わせて3部構成の日記で紹介したいと思う。
1番最初に行こうと思ったのは、毘沙門堂。
JR東海の「そうだ 京都、行こう。」の初年度のキャッチコピーのときに使われた紅葉スポットで、
こんな目の覚めるような素晴らしい絶景の写真を期待していた。
でも実際行ってみたらこんなんだった。(爆笑)
もうがっくり、の極致。
そのときガイドブックの写真って、絶景の最高のタイミングで撮影しているから、実際はこんなもんかもよ、という友人のコメントもあり、はぁ~、今回の秋の京都の紅葉ツアーって意気込んで楽しみにしていたけれど、実際はこんなもんで、過度の期待はしないほうがいいのかなぁ、という気持ちになった。
申し訳ないが、嫌な運気が漂っている感じがした。
それを見事にぶっ飛ばしてくれたのが、京都市交響楽団のコンサートであった。
大変素晴らしかったので、よっしゃ、夜の紅葉を観に行こうと思い、9月の時は、絶景の撮影ポイントである「奥の院」が工事中で、いい写真が撮れなかった清水寺に行くことにした。
今回学んだことは、やっぱり「秋の京都の紅葉鑑賞」は、人混みとの闘いである、ということ。
ある意味当たり前だよね。みんな考えることは同じなんだから。
とにかく時間に余裕をもって、行列を待つ覚悟でないといけない。
もちろんお寺によって人混みのバラツキはあるのだけれど、特に大激混みだったのが清水寺。
清水寺は、平成20年に開始した平成の大改修工事の真っ只中で修理している箇所がたくさんある。
この大改修は、安全に工事を進める必要と、美しい景観をできるだけ保つため、少しずつ行われてきたのだが、いよいよ「清水の舞台」で知られている本堂が、早ければ来年2017年の春、改修のため素屋根で覆われることになるそうだ。
素屋根で覆われることになる期間は、清水の舞台を過ぎてすぐの高台(いわゆる奥の院)から普段であれば眺めることができる「右に清水の舞台、左に京都の街並み」というおなじみの景色が見れなくなってしまうことを意味している。
その直前ということは、いいタイミングで拝観できると思った。
でも行ったら、地獄が待っていた。(笑)
この大行列を観て、このまま帰っちゃおうか?と思ってしまった。(笑)
気が遠くなる。
えっつらえっつら、ようやく清水寺の境内に入ったはいいものの、中も大変な人混みで身動きが取れない。もう中でスタッフの方が交通整理をやっているのだ。
もうこんな状態で、絶景を撮影するポイントである「奥の院」までは、あと1時間かかりそうです、というアナウンス。なんか雨も降ってきた。。。
そして待つこと1時間超、ようやく絶景の撮影ポイントに到着。
おぉぉぉ~!これでオレは十分報われたか???
嬉しかった!
さらにもう少し離れたところから。左に京都の街並みが見えるようなポイント、つまりを「右に清水の舞台、左に京都の街並み」を探って、こんな感じ。
ありがとう!もう思い残すことはないよ。
雨は降っていたけれど、足取りは軽かった。
秋の京都の紅葉が、ちゃんと美しいところもある、ということがわかったので、今晩のショットだけでも充分救われた。
大切なものが撮れたので、あとは、帰路の最中、ビビッとアンテナに引っ掛かったポイントを撮影。
素晴らしかった!
コンサートをきっかけに嫌な運気を一気にぶっ飛ばした!
疲れたけれど、最高の1日となった。
京都市交響楽団定期演奏会 11/26 & 11/27 [国内音楽鑑賞旅行]
でも今回は、すでに素性がわかっているので、本当にリラックスできて楽しめた。
そしてなによりも、楽曲の素晴らしさ、純粋にこれだけに専念でき感動できた。
メシアン トゥーランガリラ交響曲。
今回のコンサートの感動は、この楽曲に尽きると思う。
もちろん指揮者、ソリスト、オーケストラのみなさんのすべてが素晴らしいのはもちろんなのだけれど、この曲のとてもユニークでちょっと不思議な調性の旋律が、自分の心を鷲掴みにした。
メシアンは、20世紀を代表する作曲家で、ジャンルとしては現代音楽なのだが、現代音楽のような”前衛的”な要素よりも、もう少し万人に受け入れやすいような親しみやすさがある。
今回この曲が、自分の心を動かしたのも、そんなところに要因があるのだと思う。
調べてみると、このトゥーランガリラ交響曲の日本での初演は、1962年、小澤征爾さん指揮&NHK交響楽団によるものであった。
小澤さんは、メシアンの生前とも交流があったようで、このトゥーランガリラ交響曲の録音を捜してみたのだが、意外や数が少なく、その中でも小澤さんは積極的に録音をしている。
そして現代クラシック界で、メシアンの演奏家として第一人者なのが、児玉桃さん。
オクタヴィア時代から、メシアンの作品をずっと録り続け、メシアンの演奏に関しては、彼女の右に出る者はいないと思う。
このトゥーランガリラ交響曲の中で、大活躍なのが、オンド・マルトノという古楽器。この楽器の演奏の第一人者である原田節さん。この曲を演奏するだけでも300回は下らない、という。
そして指揮者が、京都市交響楽団の首席客演指揮者の高関健さん。自分の中では、若き頃にカラヤン指揮コンクール・ジャパンの優勝者というイメージがどうしても強いのだが、児玉桃さんのデビュー以来、ずっと彼女をサポートしてきた恩師のようでもあるそうだ。
こうしてみると、このようなバックグランド&布陣で、京都コンサートホールで、京都市交響楽団の演奏で、この演目を聴くのは、やはり自分の運命のような気がしてならない。
今回の座席は、
初日は、こちら、1階席1列10番目。
2日目は、1階席3列17番目。
なんと!驚いたことに、9月のアラベラさんのときの座席と、両日とも全く同じなのである!
こんなことってあるのだろうか!(驚)
神様の誘いんですね。きっと。。。
このトゥーランガリラ交響曲の編成は、最前列に、ピアノをはじめ、鍵盤の古楽器がずらっと並び、その後ろに大編成のオーケストラが陣取るというまさに大編成そのもの。
最前列は真ん中にピアノがあるのだが、その左側に、チェレスタ、ジュ・ドゥ・タンブル、ビブラトンという古楽器が並ぶ。
右側にオンド・マルトノ。
ステージ全体を俯瞰してみると、こんな感じの大編成なのである。
特に、自分の中では今回大活躍というか、曲全体に山椒にピリッという感じで、素晴らしいアクセントを加えていたのが、オンド・マルトノであった。
オンド・マルトノという楽器自体は初体験ではなく、以前にサイトウキネン松本で、「火刑台上のジャンヌ・ダルク」で使用されていたことで、記憶にあったのだが(このときの演奏も原田節さんだと思う)、こんな至近距離で聴くのははじめてであった。
オンド・マルトノというのは、いわゆるシンセサイザーの原型ともいえる古楽器で、上の写真のように、鍵盤そのものの以外にスピーカーが何個も立てられている。20世紀前半に誕生・発展した電子楽器で♪ピュオ~ンというグリッサンドのかかったいかにも電子音的なサウンドが印象的。
非現実的な宇宙サウンドと言ってもいいのではないか?(笑)
クラシック音楽の世界では、今回のメシアンのトゥランガリラ交響曲がオンド・マルトノを効果的に用いた楽曲として 最も有名かつ成功作だと言えると思う。
ゴローさんが、その昔、サイトウキネンの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」の撮影で、現地から、このオンド・マルトのことを日記にして発信していたことを覚えていた。
その日記の中で、「SACDの初期にDECCAからリリースされたシャイー指揮RCOのトゥランガリラ交響曲では、5.0サラウンドで まさに部屋を縦横無尽に駆け巡り非常に印象的な効果をかもしだしていた。」と書いてあって、うっ欲しい~と思い、捜してみたのだが、廃盤のようで見つからなかった。いつか中古市場で、必ず!(笑)
トゥランガリラ交響曲を聴いての全体の印象。
とにかく不思議な調性の旋律が魅力的で、自分が一番感じたのは、音数が多いな、ということだった。(笑)
古楽器含め、これだけの大編成で演奏される曲なのであるから、ある意味、”音数が多い”のは当たり前なのかもしれないが、座席もかぶりつきということもあって、かなりの迫力で自分に迫ってくる感じで、たいそう気に入ってしまった。
とにかく一番大変なのは、ピアノの桃さん。
まさに80分の大曲で、交響曲という名前だけれども、ピアノはずっと弾きっぱなし。ある意味、すべての楽器を従え、ピアノがぐんぐん引っ張っていっているような”ピアノ協奏曲”で、まさに全身全霊の熱演に、観ているほうが魂を何回も吸い取られそうな感じになった。
交響曲といっても全10楽章からなる変則の構成で、1楽章づついろいろなバリエーションの表現が要求される。静謐な美しい調べから狂喜乱舞の和音の連打に至るまで・・・いろいろな表情を見事演じ切っていた。
京響のオーケストラサウンドも申し分なかった。やはりこのオケは、ホントに弦が極めて優秀。音にしっかりした厚みがある。
そして先日の日記でも書いたけれど、ヴァイオリンが奏でる帯域、ヴィオラが奏でる帯域、チェロが奏でる帯域、コントラバスが奏でる帯域、弦楽器だけでも高域から低域にかけて様々に異なる周波数帯域を持つ楽器の合奏なのがオーケストラ。
この日の合奏は、オーディオ的なアプローチでいうところの見事な周波数領域上での”和声感”を感じるサウンドだった、ように思う。
指揮者の高関さんは、素人の自分がいうのは大変恐縮なのだが、指揮の振りが非常に美しくてレガートな印象だった。特に指揮棒を持たない左手の表情が豊かで美しく感じる。
今は亡き、クラシック写真家の木之下晃さんが、仰っていたことなのだが、カラヤンの指揮の美しさは、指揮棒を持つ右手ではなく、その左手の表情の美しさにある、という言葉を思い出した。
とにかくいままで聴いたのないとてもユニークな楽曲で、演奏の出来含め、今年1年を締めくくるイヴェントとして相応しい素晴らしい演奏だったと思う。
前回の9月、そして紅葉が美しかった今回の11月と、京都ツアーと題して、京都市交響楽団&京都コンサートホールを体験したが、海外音楽鑑賞旅行に決して負けない同等、いやそれ以上のレヴェルの質の高さと充実した音楽旅行だったと、いま回想してみていえるのではないだろうか。
(左が児玉桃さん、右が原田節さん)
京都市交響楽団第607回定期演奏会
2016/11/26 & 2016/11/27 14:30~
京都コンサートホール
指揮:高関健
独奏:児玉桃(ピアノ)
原田節(オンド・マルトノ)
管弦楽:京都市交響楽団
メシアン:トゥーランガリラ交響曲(80分)