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児玉桃さんのECM録音 第2弾 永遠のパートナー [ディスク・レビュー]

ECMというレーベルは、マンフレート・アイヒャーによって設立されたレーベルで、ミュンヘンに拠点を持つ。まさにアイヒャーのワンマンと言ったら語弊があるが、彼の持っているビジョンが、レーベルのすべてのカラーを決めているような一種独特のセンスを持ったレーベルだ。

厳冬を思わせるシルエットで統一感のあるジャケット、寒色系でリバーブを少しかける鋭利なサウンド、メジャー路線には決して屈しない拘りぬいた所属アーティストのプロデュース、すべてがアイヒャーの持つポリシーのもとで、運営されている。

このようにあらゆる面で、レーベル全体が統一感をもって企画されているため、万人受けではなく、最初から固定ファン層を獲得することに狙いを定めているように思える。

かなり個性のあるレーベルだと思う。

元々ジャズをメインに録音してきたレーベルなのだが、1984年にECM New Seriesと称して、現代音楽、バロック音楽などの録音も始めるようになった。このジャンルが、彼らのECMレコードのクラシック録音ということになる。

こんな強烈に個性のあるレーベルに、日本人としてECMと初めて契約して、CDを出したアーティストがいる。

ピアニストの児玉桃さんだ。

2012年に第1弾が出て、武満さんやラヴェル、メシアンの曲などを収録している。

自分はこのCDの存在を後年に知ったのであるが、ECMから日本人がCDを出せるなんて、ということで、大層驚いたし、素晴らしい優秀録音で、自分の日記にも書いた。

そして、ついに第2弾が出たのだ。 


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『点と線~ドビュッシー:12の練習曲、細川俊夫:エチュードI-VI』 児玉 桃

https://goo.gl/pOBNMq (HMV)

https://goo.gl/QtiZOS (TOWER RECORDS)


作品は、ドビュッシー晩年の名作「エチュード(練習曲)」に、日本の現代音楽作曲家の細川俊夫さんが作曲した「エチュード(練習曲)」を交互に挟みながら構成されているコンセプトアルバムである。

なぜドビュッシーのエチュードと、細川さんのエチュードを交互に挟んだ構成なのか?

これはライナーノーツに児玉桃さんが詳しくそこに至るまでのプロセス、心情の過程を寄稿している。

いままで長い間、リサイタルで、ドビュッシーの曲を弾いたり、細川さんの曲を弾いたりしてきたことで、この2人が、前任者と後継者の関係にあるという立ち位置で、自分の中には、浮かび上がってくるのだそうだ。

そして桃さんが、アイヒャーに、この2人の作品(エチュード)を交互に配列して弾くことを提案。

でもこの試みには、もうひとつ大きな個人的見解があって、フランスと日本の音楽家、アーティストには、お互いの国の文化を交互に尊敬しあう興味深い嗜好があること。ドビュッシーは、日本の文化を深く愛していた。彼の作品の交響詩”海”の初稿の表紙には、葛飾北斎の画が使われていたり、フランスの画家のモネは、日本の木版画をコレクションしてたり、非ヨーロッパ的なものに憧憬の念を抱いてきた。

片や、日本人の作曲家の武満徹さんは、ドビュッシーに代表されるようなフランス音楽に大きな影響を受けてきた。

このようにフランスと日本人の芸術家たちは、お互いの文化を尊重し合ってきた。細川さんの曲を初演含め、委託されて弾くことの多い桃さんにとって、細川さんの曲は、とくにドビュッシーの曲に相通ずるものが多いのだそうだ。

自由な作曲技法、配色の重ね合わせ&表現などなど。特に黙想を思わせる”間”や、音楽表現の中に現れる、詩的表現、叙情的表現などがとてもかなり深い部分で、この両作曲家には共通しているものを感じるとのこと。

そんな想いから、両作曲家の曲を交互に並べるというコンセプチュアルなアルバムをアイヒャーに提案し、実現となったようだ。

以上は、児玉桃さんの寄稿の部分を私の拙い英語読解力で書いているので、かなり曖昧なこと、お許しください。(笑)



実際アルバムを全般に聴いてみての私の印象を述べてみる。

ドビュッシーと細川さんの曲を交互に並べ再生されるのだが、ドビュッシーは薄暗い闇の中の微かに漏れこんでくる採光、そして続く細川さんの曲は、陰影感たっぷりの漆黒の世界というまさに”明・暗”の世界が交互に並んでいるように自分には聴こえた。

でも、そこには、両者とも、現代音楽特有の前衛的な表現が共通していて、隙間の美学、鋭利な音表現の世界は、確かに相通ずるものがある、と自分にも理解できる。


いやぁ、かなり芸術的で抽象的・文学的でさえある精神性の高いアルバムに仕上がっているなぁ、と思いました。


かなり硬派な路線のアルバムです。

こういう硬派路線では、サウンドのクオリティーが高くないと洒落にならない。


そこで・・・サウンドの評価。

2chステレオ録音。

前作のECM録音第1弾は、先入観なしに聴くと、それはそれは素晴らしい録音なのであるが、どちらかというとオンマイク気味の録音で、ECM独特のリバーブを施しているのがはっきりと分かる感じのテイストであった。

ギラギラした感じの結構鮮烈なサウンド。

自分の好みからすると、もうちょっと空間感というか、マイクとの距離感が欲しい感じがして、スタジオもしくはコンサートホールのエアボリュームの存在が分かるようなアンビエンス&気配感があったほうがいいな、と感じた。

ある空間の中で、発音体があって、その空間と、実音&響きの3セットが遠近感含めバランスよく”立体的”に聴こえる。どこからか俯瞰して聴いているような感じの聴こえ方が好きなのだ。

つまり、ダイナミックレンジの広い録音が好きなんですね。

これはあくまで、自分の耳の好みの問題ですから、絶対値評価ではありません。人それぞれですから。

でも今回の第2弾は、まさに自分のそのような気になっていた点を全部払拭してくれたかのような出来栄えだった。

本音だよ。自分は録音評にはお世辞は言いません。

1番気になっていたマイクとの距離感もややオフマイク気味でいい感じ。そしてなにより大切な適度な空間感がある。1発目の出音を聴いたときのホッとしたこと。(笑)

やはりECM録音。

全般の印象からすると、やっぱり全体的にうっすらリバーブかけているような感じはする。でも、そのリバーブをかけているのか、かけていないのか、わからない程度のナチュラルなピアノの音色の質感は好印象。

非常にしっとりと滑らかな質感で、実際の生演奏のピアノの音に近い。クリスタルな透明感も文句ないし、高音域にいくほど煌びやかに聴こえるのも、やはりややリバーブをかけているためにそう聴こえるのか?

とにかく前作と比較すると、文句なしに断然に洗練されている。

素晴らしい!と思う。

やはり技術の日進月歩は本当に素晴らしい。

2chのピアノ録音作品としては、文句ない作品だと思う。自分好み。
DGのピアノ録音と遜色ないどころか、煌びやかさでは優っていると思います。

自分はサラウンド専門なので、オーディオオフ会で、お披露目する2chソフトってなかなか候補が少ないのだが、いいソフトに出会えたという印象である。


とにかく作品がかなり硬派な路線なので、それをきっちりサポートしているサウンドのクオリティの高さは本当に大切なこと。

今回の作品を聴いて感じたことは、やはり演奏家、アーティストにとって、自分のカラーを、きちんと表現、具現化してくれる永遠のパートナーに出会えるかどうか?ということが、その演奏家にとって、自分の演奏家人生の運命を決める大事なことではないか?ということであった。

児玉桃さんは、どちらかというと現代音楽がカラーの演奏家。
そういう意味で、細川俊夫さんとのパートナーはとても、大きな出会いでもある。

今回のECM録音のトーンマイスターは、前作の第1弾と同じステファン・シェールマン氏が担当している。やはり長年にわたって成功してきている演奏家は、自分の音を具現化してくれるトーンマイスターの、これまた永遠のパートナーがいるものなのだ。

自分がすぐ思いつくだけでも、

内田光子さん。

フィリップス時代から現在に至るまで、現ポリヒムニアのエベレット・ポーター氏が彼女の音をずっと録り続けている。


そしてエレーヌ・グリモー。

DGに移籍してから、というものの、ほぼ全作品といっていいほど、シュテファン・フロック氏が彼女の音を担当している。

長らく成功しているアーティストは、このように二人三脚で、自分のカラー、自分の音を知り尽くしてくれている、音職人のパートナーがいる、いや育ててきているものなのだ。

児玉桃さんに至っても、このECMのステファン・シェールマン氏がそのような永遠のパートナーになっていくことを心から願ってやまない。


 


埼玉初上陸!のだめコンサート@ウエスタ川越。 [国内クラシックコンサート・レビュー]

ついに今週の土曜日に、のだめコンサートがやってくる。今回は埼玉県にある川越市に去年平成27年の春にできたばかりの複合施設「ウエスタ川越」の大ホールでおこなわれる。

ピッカピカの新ホールだ。

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本来は多目的ホールの意味合いが強かったのだろうけれど、写真を見てもらえばわかるように、完璧な音楽ホールで、シューボックスに近い形。(やや扇型で外に広がっている。)天井や両側面には、調音のための反射板パネルが装備されている。

後方になるにつれて外に広がる形なので、後方になるにつれて、反射音がきちんと客席に戻ってくるように反射板パネルがさらに強烈な仕掛けになっている。ちょっと座席に傾斜があるかな?という感じはある。キャパは1700席程度の少なめでウィーン楽友協会とほぼ同じで、シューボックスに適した容積。

こ~れは音響良さそうだ!(笑)

まず、この面だけでも、自分には楽しみ!


のだめコンサートの魅力は、やはり心が暖かくなるというか、とても楽しいコンサートというところにあるのかもしれない。

ふつうのクラシックコンサートにあるような高貴な趣味という佇まいの雰囲気もいいのかもしれないが、のだめコンサートは、もっと庶民的で、とても人のぬくもりを感じる暖かい雰囲気のコンサート。

この点が自分には、とても気に入っている。

その証拠に驚くのは、その若い客層だ。

ふつうのクラシックコンサートって、自分の経験上、かなり高齢層のファンで占められている。サントリーホールやミューザ川崎で、自分の席に座ると、キョロキョロ見回してみるのだが、やはり年齢層が高いよな~、クラシックを支えているファン層って、やはり高齢層なんだな~と毎回思うものだ。

もちろん例外もあって、人気テノールのヨナス・カウフマンのリサイタルなんか、女性ばっかり、というのも確かにある。(笑)

最近クラシックを仕事面から考えることも多く、車の中でコンサートホールを実現というけれど、自分が長年経験してきているクラシックコンサートの客層って、間違いなく高齢層によって支えられているもので、そうするとシニア層による運転を狙うのか?

どういう運転層を狙うのか?とかマーケット面を真剣に考えたりするのだ。(笑)

それに対し、のだめコンサートは、信じられないくらい客層が若い。50歳台の自分が、ちょっと居心地悪いというか、恥ずかしくなるような感じがするくらい。若い男女カップル、若い女性同士、とにかく、周りの空気がパッと明るくなるような若い客層で占められている。

これって、とても大切なこと。
若いファン層に、クラシックに接してもらうとてもいいチャンス。

そして、こののだめコンサート、毎回開催すれば、必ず満員御礼の集客力。
その果たしている役割って大きいと思うのだ。

とにかくアットホームで心暖まる雰囲気で、客層がとても若い、ここに、いつもとは違う新しい形態のクラシックコンサートがあって、自分はそこにとても魅力を感じる。

企画、そして司会進行MC、そして指揮者が、現在NHK交響楽団の首席オーボエ奏者の茂木大輔さん。(以下写真はFBからお借りしています。) 

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大変マルチタレントな方で、有識者でもあり、いろいろな面で才能豊かな方でもある。ずっと応援してきている。茂木さんと、「のだめカンタービレ」の原作者の二ノ宮知子さんとの交流から、このコンサートは始まった。まさに茂木さんが引っ張っていっている企画なのだ。


そして、今回出演される高橋多佳子さん。 
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もう20回以上、そして毎回レギュラー出演で、高橋さん抜きののだめコンサートは考えられない。茂木さんと高橋さんのコンビで支えてきた企画と言えると思います。

超美人で優しい感じの方で、でもどこか3枚目キャラのあるところが魅力だったりします。(笑)ショパンコンクールで第5位という輝かしい経歴を持っていて、そのショパンの故郷 ポーランドにも12年暮しており、ショパンとともに人生を歩まれてきた。

現在も第1線のピアニストとして活躍されていて、桐朋学園講師、そしてコンサート活動、教育関連と幅広く活躍されています。



そして、もう1人、出演される岡田奏さん。 
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これは自分の考えなのだが、ある意味今回ののだめコンサートの主役は、この岡田奏さんなのではないかな?とも思っていたりする。北海道函館の出身で、パリ音楽院~パリ・コンセトヴァトワールをご卒業されたばかりの期待のホープ。

同じく北海道札幌出身の高橋さんと幼馴染だそうで、小さい子供の頃から岡田さんをよく知っている間柄なのそうだ。

自分がはじめて、のだめコンサートに行った聖地の愛知県の春日井市民文化会館のときのコンサートも、この高橋さんと岡田さんのコンビ出演だった。そのとき岡田さんはラヴェルのピアノ協奏曲を演奏されていたのではなかったかな?


驚いたのは、その直後だった!

なんとベルギーのブリュッセルで開催される国際音楽コンクールであるエリザベート王妃国際音楽コンクールで、ファイナリストまで選抜されるという快挙。

自分も心底驚いてしまった。

なんでも、このエリザベート・コンクールというのは、予選からファイナリストに選抜された後は、携帯などいっさい外部と繋がるものは没収されて、外部といっさい遮断された空間で監禁状態で、ファイナリスト集団とともに暮らし、最後のコンクール試験をおこなう、という特殊なコンクールなのだそうだ。


自分の曖昧な記憶だけれど、仲道郁代さんもエリザベート・コンクールのファイナリストだったと思ったし、堀米ゆず子さんは、このエリザベート・コンクールの優勝者だったと思いました。

岡田奏さんも、見事にその仲間入り。輝かしい経歴を刻むことができたのは、自分のようにうれしい。のだめコンサートの出演者から、そういう快挙が生まれた、ということ自体がなんとも嬉しいことではないか!

そういう素晴らしいことがあった後の、のだめコンサート出演なので、ある意味、岡田奏さんにスポットライトがあたる位置なのは、ごく自然のことではないのかな?と自分は思うのです。

コンクール期間中の監禁状態にあったとき、どんな感じの様子なのかなど、MCで聴いてみたいような気がする。(笑) ボクら一般市民ははじめて聞くことと思いますので。。。

今回ののだめコンサートでは、高橋さんがベートーヴェンのソナタ《悲愴》より第2楽章、岡田奏さんとのモーツァルトの2台のピアノのためのソナタ第1楽章、そしてガーシュウィンの《ラプソディー・イン・ブルー》を弾く。

そして岡田奏さんが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番という堂々たる大曲。

本当に楽しみだ。

のだめコンサートでのオケは、通常開催される地元のオケを使われることが多いそうだが、今回の川越公演は、主催者側の強い要望もあってほとんどオールN響選抜メンバー。(^^)

こういうときにN響のメンバーが一斉に集まってくれるのも、やはり茂木さんのN響内での信望の厚さを示しているのではないだろうか?

また、自分にとってのだめコンサートは、岡田さんのような新しい若い演奏家との出会いの場でもあったりするかもするかもしれない。新しい若い演奏家は、どんどんチャンスを与えて、クラシック界を活性化すべき、ということを過去に言及したこともあったのだが、どうしても演奏会に頻繁に足を運ぶ、という有言実行は正直できていなかった。

そういう点で、のだめコンサートは、そういう期待のホープの若手演奏家の演奏を聴ける自分にとってのいい場所なのかもしれない。

うぅぅぅ~、なんか書いていて、だんだん自分も高揚してきて、楽しみで楽しみで堪らなくなってきた。

そうして、ここからが本番当日。



堂々3時間のコンサート。期待を裏切らぬ楽しい&そしてクオリティの高いコンサートだった。

ウエスタ川越という複合施設が、去年できたばかりの新しい複合施設ということで、さらにその中の新ホールということで、自分は、まずそこがとても興味があった。

首都圏から電車で、大体1時間くらい。

ウエスタ川越

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大ホールへの入り口。

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こんなフロアが現れる。

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やっぱりのだめコンサートは客層が若い!

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原作者 二ノ宮知子さんから花束が。

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そして期待の新ホールに参入。

正面の図

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前正面から後ろをみた図

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側面

後方から前方側面を撮影

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前方から後方側面を撮影

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天井

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ネットの写真で見ると、完璧なシューボックスに見えたのだけれど、実際入ってみるとシューボックスではなかった。やはり音楽ホールがメインなのであるけれど、多目的にも利用できるみたいな幅の広い用途のホールのように思えた。

後方に行くにつれて、外側に広がっていって、上階席もある扇形のホール。

側面には、客席に反射音を返す反射板がしっかりと施されていて、天井もかなりしっかりした反射板の造りになっている。ステージ上は、客席に向かって放射状に開口する感じで、初期反射音を客席に返す仕組みも伝統的な造り。

音楽ホールとしては、さすが最新だけあって、かなりしっかりとした造りだと思った。

音響の印象は、座席が前方9列中央だったので、直接音中心のサウンドであったが、響き具合としては、ややライブ気味だけど基本は中庸、響き過ぎず、ドライでもない、という佇まいの良さで、帯域バランスは、偏っていなくて、いいバランスだったと思った。

最初ホールに入ったときの暗騒音は、客席の話し声のざわめきを聴いた限りでは、空気が澄んでいて、S/Nは良さそうで、ライブ気味な印象だった。

オケの弦楽器の音が、厚みがあって、かなりずっしりと重心が低くて、いい音響だな、と確信。

ピアノの音も、もっとライブで響きに混濁するくらいかな?と予想していたのだけれど、まったくそんな感じでなく、打鍵の音もクリアで、1音1音分離して聴こえる。

新ホールとして合格点、素晴らしい音響だと思いました。




さっ、本番ののだめコンサート。

ロッシーニのウイリアム・テルから始まる。
今回のウエスタ川越のだめスペシャルオーケストラは、大半がN響メンバーから選抜された特別なオケとなった。急遽、特別参加で、いま話題の美人チェリストの新倉瞳さんが急遽オケメンバーに参加されていたようです。

この最初のウィリアム・テルを聴いた限り、いい感じ。弦&木管&金管と、ともに安定していて、聴いていて危なげのない安心できるサウンドだった。うまいオケ!

これで、これからの3時間安心して聴けそうだ、とホッとした。
オケって、オーディオと同じで最初で、力量、素性がある程度わかるもんなんですよね。

そして高橋多佳子さん。

最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタの悲愴、第2楽章。

高橋さんの演奏で、この曲を、のだめコンサートで聴くのは2回目だと思ったが、じつは、この曲、オヤジが他界した時、ずっと気分が地獄に落ち込んでいた時に、魂のレクイエムとして繰り返し聴いていた曲で、この曲を聴くだけで条件反射的に「どっーー!」と涙が溢れ出てきてどうにも止まらなくなる曲なのだ。

もう今回もそうだった。のだめと千秋の出会いのときのメモリアルな曲なので、このコンサートでは大切な1曲。

高橋さんの印象は、いままで通り、とても女性的な繊細なピアニストであることを再確認。

特に印象的なのは、肘から指先に至るまでの腕の部分の動きがすごい柔らかでしなやかなこと。特に手首のスナップの使い方見ていても、とても柔らかいよなぁ、と感じる。シルエットとしても女性的に見えてしまうのも、そんなところが要因なのかも?

でも、ラプソディー・イン・ブルーのときは、基本柔らかいんだけれど、あのカッコよいリズミカルに弾ける姿は、かなり格好良くシビレました。これはじつに素晴らしかった。

あっ、岡田奏さんとのモーツァルトの2台連弾のときの、原作の弾き始めで間違えるコントも素晴らしかったです。(笑)



そして岡田奏さん。

ある意味、今回の主役とも言える。

いやぁ、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番は、これはじつに素晴らしかった。ブラボーです♪

奏さんの印象は、やっぱりパワフルで男性的な力強さが基本だと思います。ところがpp弱奏のときの弱音表現のときが、これまた打って変わって、腕、手首の動きがものすごく柔らかくて、こういう弱音表現もじつに素晴らしい。

強打腱なパワフルな表現と弱音表現の両方、力強さとしなやかさの両方、緩急の使い分けがこれだけきちんと表現分けれるのは、ちょっと驚きというか、素晴らしい才能だと思いました。ラフマニノフの2番をずっと観て、聴いていて、それが1番強く印象に残りました。

アンコールのラヴェルのピアノ協奏曲 第2楽章のあまりの美しさに涙。

いやぁ将来本当に楽しみな大器だと思います。


番外編として、今回は、おならたいそう、という笑える演出もあって、のだめコンサートらしくてよかった。

全編を通して、茂木さんのMC、手慣れた司会進行、笑いあり、博識なところもあり、安心して聴いていられた。もう自分も大分のだめコンサートに慣れてきたかな?(笑)

投影のほうも洗練された描画づくり、シナリオストーリーで素晴らしかった。ただ、思ったのは、なんかいつもよりスクリーンのある場所が、かなり高い位置にあったこと。

なにか理由があるのか、わかりませんが、いつもだと演奏を聴きながら(つまり演奏者を観ながら)、スクリーンの投影がそのまま目に入ってくるので、自然だったのですが、今回は、あまりに高い位置にあるので、意識して頭、目線を上げないと投影内容を見れず、本番は、ついつい演奏者を見てしまうので、投影のほうがついついスルーで見ていなかったり、ということがたびたびあったのが、難しいな、と感じたところでした。

ステージの背面のところには、音響反射板が設置されていて、そこに背面のスクリーンを被せては、確かに音響的には、オケの音を客席に返す初期反射音で不利に働くということも考えられるので、高い位置に上げた、というのも予想されます。

あるいは、自分の座席が1階席前方だったからかもしれませんね。広いホールなので、上階席や後方席の人には、あのくらいの高さじゃないとダメという判断だったのでしょうか?

でも自分は、やっぱりのだめコンサートの素晴らしさは、この投影の効果が大きい、と思っているので、やはりいつものスクリーン高さのほうが、演奏家を見ながら自然と投影が目に入ってくる、という点でよいのでは?と思います。

なには、ともあれ、堂々の3時間のコンサート。楽しくて、素晴らしいコンサートでした!

全国各地から招聘されて、どんどん活動の幅が広がるのだめコンサート。7月には、2回目の調布での東京公演も決まった。(自分は行けるかどうかビミョー(^^;;)

長野から初招聘の話も来ているそう。。。

この調子で、どんどん、全国制覇していってほしいと願うばかりです。


終演後のサイン会。(手前から茂木大輔さん、岡田奏さん、高橋多佳子さん)

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茂木大輔の生で聴く「のだめカンタービレの音楽会」
2017/1/21(土)14:00~16:45 ウエスタ川越 大ホール

前半

ロッシーニ 歌劇「ウイリアム・テル」序曲よりマーチ(スイス軍の行進)

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調「悲愴」op.13より第2楽章
ピアノ:高橋多佳子

モーツァルト 2台のピアノのためのソナタK448 ニ長調より第1楽章
ピアノ:高橋多佳子&岡田奏

野田恵(リアルのだめ)作詞:作曲
おならたいそう
うら:田村麻里子

ベートーヴェン 交響曲第7番 イ長調 op.92より第1楽章

ガーシュイン 「ラプソディー・イン・ブルー」(倉田典明編曲)
ピアノ:高橋多佳子

休憩

後半


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
ピアノ:岡田奏



毎年の聴き初めは、小澤征爾&水戸室内管弦楽団@水戸芸術館 [国内クラシックコンサート・レビュー]

毎年、聴き初めのコンサートを体験すると、あぁぁ、これで今年のクラシック・コンサート通いが、また始まるんだな、という身が引き締まるような想いがする。

人間の感覚って不思議で、クリスマスから年末にかけては、もうその年のいろいろな想い出が走馬燈のように頭の中を駆け巡るのだが、不思議と、年が明けて正月三が日を過ぎると、急にそれらは遠い世界のように色褪せて、新しい世界の幕開けのような白いキャンバスが広がるような感覚に陥る。

今年は、事情があって、生活環境の大きな変化が起こる可能性があり、コンサートの予定も4月まで入れているが、それ以降は白紙で、逆に入れられない。

ただ、コンサートに行く、オーディオなどの趣味は、自分の環境が許す限り、相応のレベルで楽しんでいきたいことには変わりない。

なんか不安定な日々の連続で、少々気が滅入っているのだ。(笑)

今年の聴き初めのコンサートは、水戸まで赴いて、水戸芸術館で、小澤征爾&水戸室内管弦楽団の定期演奏会。もうここ3年連続、ずっと聴き初めのコンサートは、これにしている。

やっぱり小澤さんで、その年の自分のクラシック人生をスタートさせるのは、とても自分のカラーに合っていると思うし、自分も気に入っている。


今週末は、大雪予報で天候が危ぶまれたが、極寒であったけれど、首都圏はいたって快晴。

水戸芸術館の、らせん状に天に伸ばした高さ100mのシンボルタワー(アートタワー)が眩しい。

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今日の演目は、

前半は、水戸室のスーパースター団員である竹澤恭子さん(ヴァイオリン)と、同じく川本嘉子さん(ヴィオラ)によるモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラの協奏曲。

そして後半が小澤さん指揮で、ベートーヴェン交響曲第1番。

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小澤&水戸室は、ただいまベートーヴェン・ツィクルスを進行中なので、その一環の公演という位置づけになる。

竹澤さんは、2年前に水戸室に入団と同時に、そのお披露目公演もあって、自分は馳せ参じて、その男性的なダイナミックで躍動感ある演奏にすっかり虜になって大ファンになってしまった。それ以来、ずっと応援し続けている。現在パリ在住で演奏家活動を続けられている。

川本さんは、もう何回も触れているが、サイトウキネン、水戸室とずっと小澤ファミリーの中心人物として長年活躍して、自分は昔からずっと応援してきている演奏家なのである。サロンコンサートで、直接お話させていただいたのもいい想い出。

そんな二人によるジョイントで、ヴァイオリンとヴィオラの協奏曲をやる、というのは、とてもタイムリーでいい企画と思った。

公演を前にして、水戸芸術館スタッフブログで、2人のインタビューが掲載されていた。
とても興味深い内容で、大変面白かった。これは、ぜひ、ぜひ読んでみてください。


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(左が竹澤恭子さん、右が川本嘉子さん)


水戸芸術館スタッフのブログ

http://blog.arttowermito.or.jp/staff/?p=18759


今回扱うモーツァルトの曲が、いかにヴァイオリンにとって、その倍音の出方からして、いかに弾きにくい、というか美しい響きを奏でるのが、難しい曲なのか、演奏家でないとわからないような考察をされていて、自分は随分興味深く拝読させてもらった。

竹澤さんと川本さんは、なんと!桐朋学園高校の同級生なのだそうで、当時の授業で、小澤さんが飛び込みで、「ちょっと俺が振ってみようか」、という思い出話に華が咲き、大変面白い。

前半は、そんな2人が主役のモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲。

指揮者なしで、竹澤さんと川本さんが指揮者のところで、仲良く横並びで、弾き振りをする感じで、オケを引っ張っていく、というスタイル。

指揮者なしは、なかなか全体のバランスをとるのは、難しいことは確かだが、水戸室のメンバーは、もう指揮者なしのスタイルは昔からのお家芸で、お手の物。

自分の評価では、今回の演奏の作品の表現力、演奏技術の完成度は高いと感じた。

ヴァイオリンとヴィオラが交互に、各自のパートを演奏し、それにオケが追随する感じで進めらるのだが、2つの楽器の旋律が前へ前へ出るように、主張して、同時にオケも交えた合奏が全体の様式美・形式感を整えていて、じつに美しい楽曲体系を構築していたように思えた。

両人のインタビューでは、ヴァイオリン&ヴィオラの倍音が美しく響きにくい難しい曲とのことだが、駄耳の自分には(笑)、十分すぎるハーモニー&和声感のある気持ちよさだったような気がする。

そのような印象に拍車をかけたのが、やはり水戸室の弦の優秀なサウンドなのだと思う。水戸室の弦は、世界トップクラスの弦の厚み、ハーモニーといってもいい。


同じく鑑賞していた仲間が、指揮者のいる統率感、推進力のようなものがもう少し欲しかった、という印象を語っていた。まっそう言われれば、理解できないこともない。

でもそう言われるまでは、自分はまったく意識しなかったし、弾き振りというスタイルでは、これで十分すぎるレベルなのではないだろうか。


後半は、いよいよ小澤さん登場。お見かけしたところ、元気そうで何よりだ。

サントリー30周年記念コンサートのときは、常時座って指揮する姿に、ちょっと寂しい想いをしたことは確かだった。でも、いまでは、この座りながら指揮して、大切な部分では立って指揮をする、というスタイルがすっかり馴染まれて、曲の全体の流れから、じつに自然で、流暢な動きのように思えて、小澤さんの現在の体力にあった自然な指揮のスタイルを確立できたのかな、という想いがあった。

無理をすることない。自分は小澤さんには、できるだけ細く長くやってほしい、と思っているので、その都度自分の体力に合った指揮のスタイルを模索して見つけ出していけばいい。

小澤さんが立つと、やはりオケが締まる。サウンドはもちろん、気が入る、というか、団員たちの魂の持っていきかたのツボを心得ている。

団員のみんながいかに小澤さんを信頼しているか、長年の信頼関係が築き上げてきた、その到達した高みがなせる業なのだと思う。

思わずそう感じるくらいのオケの”気”を感じ取れた。

ベートーヴェンの1番は普段あまり聴かないマイナー感があるが、メジャーな5番,7番,9番などに負けないくらいいい曲じゃないか?(笑)

やはりその年の聴き初めの公演は、小澤征爾&水戸室管弦楽団を水戸で聴く!これは、今後も続けていこうと、今日改めて決意を新たにした。

それがなによりも自分に合っている。

つぎの5月の定期公演では、共演ソリストに、なんとマルタ・アルゲリッチが登場!そして、その次の定期公演では、ついに頂点の第九と進んでいく。

小澤&水戸室@水戸定期から今年も目が離せそうにない。

問題なのは、はたして自分が観に来れるかどうかだ。(笑)

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水戸室内管弦楽団 第98回定期演奏会
2017/1/15(日) 14:00~ 水戸芸術館コンサートホールATM

・第1部 指揮なし
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
独奏:竹澤恭子(ヴァイオリン)、川本嘉子(ヴィオラ)

・第2部 指揮:小澤征爾
ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 作品21

管弦楽:水戸室内管弦楽団

 


謹賀新年2017 [雑感]

あけましておめでとうございます。

昨年は、拙ブログをご覧いただき、ありがとうございました。
本日より、仕事始めとなりました。

昨年は、全く予想だにしなかったことが突如起こり、クラシックファンとしては、遠い、遠い永遠の夢と想っていたバイロイト音楽祭に行くことができました。

いまでも夢のようで鮮烈に蘇ります。

また、日本の中で、最も日本らしい都と言える京都を、夏、秋に渡って、2回訪問でき、京都市交響楽団の演奏を堪能できたこと。

その他、数えきれない演奏会の数々。。。

また、オーディオの趣味に至っても、広島遠征、近々での仲間内でのオフ会、そして優秀録音ソフトとの出会いなど、充実していたと思います。

今年に至っては、同じレヴェルの経験ができるか、あるいは予定を立てているか、と申しますと、3月までは、ある程度予定がありますが、それ以降は、全く入れていません。

生活環境ふくめ、いろいろ想うところがあり、なかなか難しい状況です。

前職を退職して、第2の人生を歩むことになって、趣味を生活の主軸に置いた人生に重きを置いて参りました。

それによって、非常に心的に豊かな人生を歩んでいるな、という実感はありました。

確かに「ワークライフバランスで、ライフがワークを遥かに超えているのは、いかがなのものか?」と言われれば、なにも言えない訳ですが。(笑)

人生におけるひとつの転機に差し掛かっているのか、いろいろ熟考していることは確かです。

不透明な面が多いので、これ以上は言及しません。

ただ、演奏会に行く、オーディオなどの趣味は、自分の環境が許す限り、相応のレヴェルで楽しんでいきたいことには変わりません。

ブログに日記を投稿するのも、精神、体力が許す限り、続けていきたいと思っております。

なにとぞ、本年もよろしくお付き合いいただけると幸いと思っている所存でございます。

去年の年末は、北海道は記録的な大雪で、最初の帰省の便は、空港に着陸できず、成田に戻ってまいりました。2度目の大晦日のチャレンジで、このように快晴となり、無事に実家で年末年始を過ごすことできました。

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