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PENTATONEの新譜:山田和樹&児玉麻里 スイスロマンドのファリャ作品集 [ディスク・レビュー]

スペインの巨匠ファリャの作品を取り上げるというセンスがいい。スペイン民族音楽のとてもエキゾティックな旋律の数々が素敵すぎる。

クラシック商業主義、いつもベートーヴェンやマーラーじゃつまらない。いい仕事していると思う。マイナーレーベルだからできるチャレンジなのだろう。

ひと通り聴いてみて、普段全く聴かない、そしてあまりに新鮮で卓越した音楽センスに引き込まれ、あっという間にファリャの虜になってしまった。 

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『三角帽子』『スペインの庭の夜』『火祭りの踊り』、他 
山田和樹&スイス・ロマンド管弦楽団、児玉麻里


https://goo.gl/csNW2H


「ファリャを聴かずしてスペイン音楽を語るなかれ」だそうで、マヌエル・デ・ファリャは、スペイン近代音楽を完成させたといわれ、後続の迷えるスペイン人作曲家たちにも大きな指針を与えた重要な作曲家だそうであるから、まさにこの1枚を聴けば、スペイン音楽の本流に到達、そして堪能できるのであろう。

この1枚には、なんとそんなファリャの最高傑作といわれている作品群が、全部集まっているのだからおいしいことこの上ない。いままでのPENTATONEの山田和樹に対するプロデュースの仕方も、このように、あるテーマを設けて、それに纏わる最高作品群を集めるコンセプチャル・アルバムという毛色が多かったので、今回の作品もとても納得できる。

ファリャの最高傑作の呼び声高いバレエ音楽「三角帽子」、そしてピアノと管弦楽のための「スペインの庭と夜」、そしてバレエ音楽「恋の魔術師」の中から単独で演奏されることで有名な「火祭りの踊り」など。

とにかく聴いてみてほしい。あまりに斬新な旋律で格好いい。
スペインの民族主義と印象主義の両方がバランスよく混在している、なんとも形容しがたいエキゾティックな調べの数々なのだ。

これらの作品群を山田和樹とスイスロマンドで演奏し、スイス・ジュネーヴ・ヴィクトリアホールで収録しているのだから、堪らない。

ピアノと管弦楽のための「スペインの庭と夜」では、ピアノに児玉麻里さんも参加している。
まさに夢のような豪華共演。


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(C) Polyhymnia International BV Facebook Page

録音スタッフは、プロデューサー&バランスエンジニアとしてお馴染みエルド・グルード氏。そして録音エンジニア&編集にカーレル・ブルッグマン氏というクレジットがある。ポリヒムニアも若いエンジニア育成の期に差し掛かっているのだろうか?

たぶんAuro-3Dを使っての収録。ダイナミックレンジが広くて、オケが鳴りきるときの沈み込みも深くて、空間感が秀逸。

オーケストラ録音では、音像も大切だが、より広い音場を余すことなく録りきるところに成功のカギがある。ヴィクトリアホールは、ウナギの寝床のような感じで、決して広いホールではないのだが、空間の再現性が素晴らしいのも収録技術&編集の巧みのなせる業なんだろう。

弦の音色も厚くて、濡れたような艶やかな旋律を描いてくれる。

私見であるが、現在のスイスロマンドの弱点は、金管の不安定さかな、という意見を持っていて、現地ヴィクトリアホールで直接聴いたときもそんな印象を持ったし、彼らのPENTATONEの新譜も歴代聴いてきているけれど、その印象を拭えなかった。

でも今回に関しては、そんな綻びも見当たらなく、素晴らしい出来栄えになっている。

素晴らしい。


とにかく今回は、このスペイン民族音楽のゾクゾクするような斬新な旋律にやられた!